九州大学学術情報リポジトリ
Kyushu University Institutional Repository
Study on Computational Intelligence Approaches for Design of Game Strategies
ワランユー, ワラチャート
http://hdl.handle.net/2324/1959137
出版情報:九州大学, 2018, 博士(工学), 課程博士 バージョン:
権利関係:
(様式6-2)
氏 名 VORACHART, Varunyu
論 文 名 Study on Computational Intelligence Approaches for Design of Game Strategies (ゲーム戦略設計のための計算知能に関する研究)
論文調査委員 主 査 九州大学 教授 高木英行 副 査 九州大学 准教授 丸山 修
副 査 九州工業大学 教授 KÖPPEN, Mario
論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨
本学位論文は,コンピュータとユーザが交互に対戦するターン型ゲームの開発にお いて,ゲームの難易度を易しすぎず難しすぎないように自動調整する課題に対する計 算知能の立場からの研究である.
将棋やチェスのように人間のプレーヤ同士が対戦するターン型ゲームの場合,人間 プレーヤのゲーム戦略をルールベースシステムやニューラルネットワーク(
NN
)等の 知的システムで表現し,同じ戦略システム同士を対戦させて,勝敗を基に強化学習や 共進化の手法で徐々に強くする.こうして得られた知的システムを人間と対戦させる ことができる.一方,コンピュータとユーザが対戦するターン型ゲームでは,ゲーム側と人間プレ ーヤの役割と戦略が異なる.そこで,まず人間プレーヤのゲーム戦略モデルを構築し,
ゲームと人間プレーヤモデルとの対戦勝敗に基づいてそのモデルの戦略を強化し,そ の後,同等程度に強くなった人間プレーヤモデル側戦略とゲーム側戦略との勝敗に基 づいて両戦略を徐々に強くするという段階を取る.本研究はこの枠組みに基づく研究 で,具体的には,人間プレーヤモデルをファジィルールベースシステム(
FS
)で構築 し,勝敗に基づいて進化計算がこのFS
を進化させる方式を採用している.本学位論文は,背景,課題,目的,アプローチ,章構成からなる序論に続き,第
2
章では,本研究で用いる計算知能技術の解説と知能技術のゲーム応用関連研究を概括 している.第3
章では,計算知能技術でゲーム難易度を調整する提案手法の枠組みを 記述している.第4
章では,その枠組みの中で,スタートレックゲームを題材にした 著者個人のゲーム戦略をファジィルールで論理記述して人間プレーヤモデルFS
を具 体的に構築している.第5
章が核心部分に当たり,第3
章で提案し第4
章で具体的に 構築したFS
のメンバーシップ関数を,差分進化で進化させることで人間プレーヤモデ ルを実際に対戦する人間プレーヤ並みに強くする手法を述べ,実験的にその効果を評 価している.第6
章は,前章の手法を更に効率的に学習する方法を提案している.初 期の人間プレーヤモデルはルール記述が不完全でありゲーム側の戦略に対して弱い.そこで,プレーヤモデルの進化に応じてゲーム側の難易度を易しい状態から段々難し くするよう両者の強さのバランスを取りながら共進化することを提案し,実験的に評 価している.第
7
章では以上を考察し第8
章で本研究をまとめて残された課題につい て述べている.本論文は以下の点で評価できる.第
1
に最近のAI
ブームで騒がれるような最強ゲー ムプログラムを作る研究ではなく,ゲーム開発時のゲーム難易度調整手法を提案して いる点が,着眼点と実用性の高さで評価できる.もちろんゲーム毎にプレーヤモデル を構築する労力は大きいが,計算知能技術を使ったシステマティックな調整法は従来 の試行錯誤方式の労力とゲーム開発期間を短縮軽減する点で実用性が高い.第2
に,これも最近のブームに捕らわれずにファジィルールで戦略を記述して人間プレーヤモ デルを構築し,進化計算でルールを調整する方法を採用した点が評価される.複雑な 知識でも簡単なファジィルールの集合体として記述可能であり,
NN
に比較してパラメ ータ数が現実的な調整可能なサイズになっているからである.最後に,本学位論文で はコンピュータと人間が対戦するターン型ゲームを対象にしているが,他のタイプの ゲーム開発への拡張性が高い基礎的な研究である点も評価される.本研究遂行には,幅広い進化計算の知識,統計検定の知識,十分なプログラミング 能力が駆使されている他,本論文で提示された技術の実用性には有意義な価値がある ものと認められる.
以上の独自性,十分な領域知識,実用性から,本論文は博士(工学)の学位に値する ものと認める.