• 検索結果がありません。

繰返し荷重を受ける孔あき鋼板ジベルの履歴構成則 に関する研究

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "繰返し荷重を受ける孔あき鋼板ジベルの履歴構成則 に関する研究"

Copied!
6
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

繰返し荷重を受ける孔あき鋼板ジベルの履歴構成則 に関する研究

著者 木作 友亮

著者別名 KISAKU Tomoaki

その他のタイトル Hysteretic Shear Model for Perfobond Rib Shear Connectors Subjected to Repeated Load

ページ 1‑156

発行年 2018‑03‑24

学位授与番号 32675甲第433号 学位授与年月日 2018‑03‑24

学位名 博士(工学)

学位授与機関 法政大学 (Hosei University)

URL http://doi.org/10.15002/00014631

(2)

1

博士学位論文

論文内容の要旨および審査結果の要旨

氏名 木作 友亮 学位の種類 博士(工学)

学位記番号 第660号

学位授与の日付 2018年 3月24日

学位授与の要件 本学学位規則第5条第1項(1)該当者(甲) 論文審査委員 主査 教授 藤山 知加子

副査 教授 森 猛 副査 教授 溝渕 利明

副査(学外)宇都宮大学教授 中島 章典

繰返し荷重を受ける孔あき鋼板ジベルの履歴構成則に関する研究

1. 論文内容の要旨

鋼製橋梁の上部工が,劣化損傷によって架替を余儀なくされる場合,鋼材の腐食を除け ば,床版の劣化損傷が架替理由の大半を占めている.直接荷重を支持する床版は,雨水や 凍結防止剤の散布による塩化物イオンが橋面から侵入することにより劣化しやすい.床版 の劣化損傷の形態としては,ひび割れや鉄筋腐食等の材料劣化に加え,交通荷重の繰返し による疲労損傷が代表的である.

道路橋における床版の疲労耐久性は,移動荷重を繰り返し載荷する輪荷重走行疲労試験 によって評価されている.しかし,試験体の寸法が試験設備の制約を受けるとともに,床 版の支持条件を実橋と同条件にすることもできないため,輪荷重走行試験から床版の疲労 寿命を直接推定できるわけではなく,他の床版との相対比較によって,経験的に耐久性を 判断しているのが現状である.また,比較的新しい構造形式である鋼コンクリート合成床 版は,床版内部の構造が複雑かつ多種多様であるため,汎用的に使用できる疲労耐久性を 評価する手法や押抜きせん断耐力の推定式は構築されていない.しかし,輪荷重走行疲労 試験は,数ヶ月の期間と多額の費用を要するものであるため,数多く実施してデータを蓄 積する研究手法は,必ずしも合理的とはいえない.

上記の問題を解決する手段としては,近年適用が拡大している非線形有限要素解析が挙 げられる.2012年に制定されたコンクリート標準示方書では,非線形有限要素解析を近未 来の性能照査の基幹技術に位置付けており,複合構造標準示方書も同様の方針を踏襲して いる.先駆的な事例として,RC床版の輪荷重走行疲労試験を再現した非線形有限要素解析 も行われている.

(3)

2

こうした非線形有限要素解析を活用することにより,鋼コンクリート複合構造の力学挙 動や疲労寿命を予測できる可能性があるものの,適用にあたっては異種材料の接触面およ びずれ止めのモデル化が問題となる.複合構造標準示方書では,異種材料間の接触面に生 じる接触力やはく離,摩擦力やすべりが構造物の力学挙動に影響を及ぼす際は,これらを 接触面の力学モデルとして考慮しなければならないとしている.また,鋼コンクリート複 合構造では,ずれ止めを配置して異種材料間の相対ずれを機械的に拘束することにより,

相対変位の発生を抑制して一体化した構造として機能させる.一般的には,頭付きスタッ ドや孔あき鋼板ジベル(以下PBLと略記)がよく用いられる.しかし,これらのずれ止め でずれを完全に防止できるわけではなく,作用するせん断力に応じたずれ変位が発生する.

また,このせん断力とずれ変位の関係は強い非線形性を示す.よって,ずれ止めのせん断 耐力やせん断力-ずれ変位関係を正確に把握しなければ,非線形有限要素解析で破壊挙動 を正確に予測することはできない.鋼コンクリート複合構造を非線形有限要素解析で評価 するためには,異種材料の境界面とずれ止めのずれ挙動をいかにモデル化するかという点 が重要である.

そこで本研究では,非線形有限要素解析における現状の技術課題を整理し,既往研究の 調査・分析と実験的な検討を行った.対象は,代表的な鋼コンクリート複合構造である合 成床版とした.その中で特に,PBL を対象に,未だ明らかとなっていない正負交番載荷お よび繰返し載荷を受けた際の挙動やジベル孔内の粗骨材の影響を詳細に分析するとともに,

繰返し荷重を受けるPBLの履歴構成則を構築することを目標とした.

本論文は6つの章から構成されており,各章の概要は以下の通りである.

第 1 章では,鋼コンクリート複合構造の解析およびずれ止め(頭付きスタッド,孔あき 鋼板ジベル)に関する既往の研究について調査し,現状の技術課題を抽出した.頭付きス タッドの既存のせん断耐力推定式について,パラメトリックスタディによって,各パラメ ータがせん断耐力に及ぼす影響を示した.非線形有限要素解析に用いる頭付きスタッドの ずれモデルを決定するため,既往のせん断耐力の推定式とせん断力-ずれ変位関係の妥当 性を評価した.本検討の結果,いずれの推定式もせん断耐力の実験値を精度良く評価でき ることを示した.また,複合構造標準示方書に記載されている頭付きスタッドのせん断耐 力-ずれ変位関係は,実験結果を良好に再現することを確認した.

さらに,鋼とコンクリート境界面のせん断付着強度について,支圧力 0N/mm2の条件下 で行われた実験データを整理し,コンクリートの圧縮強度と防錆処理の仕様からせん断付 着強度が求められる近似式を提示した.そして,鋼板が無処理ブラスト処理の場合は,摩

擦係数が0.50,無機ジンクリッチペイントの場合は0.62,エッチングプライマーの場合は

0.27~0.42が適当であることを示した.

第 2 章では,合成床版を模擬した静的載荷試験および定点疲労載荷試験を実施し,その 破壊挙動と終局耐力を把握するとともに,繰返し作用下における合成床版の力学挙動につ

(4)

3

いて検討した.また,非線形有限要素解析で載荷試験を再現し,鋼コンクリート複合構造 の非線形有限要素解析に関する技術課題を整理した.底鋼板および補剛材に剥離剤を塗布 して試験体を製作したが,実験結果にコンクリートの付着の影響が現れ,実験と解析の結 果が乖離する一因となった.ずれ止めを線形ジョイント要素でモデル化した解析では,荷 重-支間中央たわみ関係および各部位のひずみの実験結果を良好に再現できたように思わ れたが,相対ずれ変位は実験と解析で乖離しており,実現象を再現できたわけではなかっ た.以上の結果から,鋼コンクリート複合構造の破壊挙動を非線形有限要素解析で再現す るための課題として,鋼とコンクリート間の初期付着を適切に表現する必要があること,

ずれ止め部の非線形的な挙動を正確に表現する必要があることを示した.

第 3 章では,孔あき鋼板とコンクリートブロックの相対ずれによって生じる押し広げ力 を拘束する目的で,試験体の側面を鋼板で拘束した載荷試験を実施した.実験の結果,側 面拘束や開き止めを有さないケースであっても,せん断力が急低下する挙動を示すことは ないことが確認された.また,せん断破壊面の平滑化の進行には,せん断耐力の大きさが 影響を与えることを示した.

正負交番作用を受けるPBLは,孔内コンクリートのせん断破壊面において,凹凸の一部 が破壊されることと,別の箇所で新たな噛み合わせが発生することにより,せん断力が上 昇と下降を繰り返す複雑な挙動を示すことを明らかにした.

疲労載荷試験では,同じ荷重振幅で載荷した場合であっても,疲労寿命が 4 オーダー異 なる場合があることが確認された.この点は,PBL のせん断力のばらつきにより,想定し た荷重範囲とせん断耐力の比(R/Q)で載荷できていなかったことが原因だと考察した.ま た,疲労載荷試験と既往の疲労試験結果を整理し,限られた実験データの数ではあるが,

片対数と両対数の設計S-N曲線を提示した.

第4章では,PBL試験体の内部で起こっている現象を確認し,上記研究課題を達成する ため,既往研究とは異なるアプローチ,具体的には途中止め試験やX線CT(図1),3Dス キャナを活用した実験的な検討を実施した.

図1 X線CTによる試験体撮影例

(5)

4

拘束力が作用するPBLについて,静的載荷や疲労載荷を途中で止めてせん断破壊面を観 察し,せん断抵抗メカニズムを明らかにした.この結果から,孔内コンクリートは,まず 片面のひび割れが貫通し,次いでもう一方の面にひび割れが進展するという過程をたどる という仮説を得た.また,高い拘束力が作用するPBLでは,粗骨材やモルタルペーストで 形成された最後の凸部が破壊する時に最大せん断力を示すことを確認した.こうした知見 から,拘束力が作用するPBLのせん断抵抗メカニズムを4段階に区分して提示した.

次に,載荷試験の前に試験体のX線CT撮影を行うとともに,15体の載荷試験を実施し た.この実験および観察の結果から,同じ孔径,板厚のPBLであっても,最大せん断力の ばらつきは大きく,最大せん断力が2倍近く異なる場合もあることを示した.この現象の 原因は,ジベル孔内の粗骨材にあることを明らかにし,PBLの最大せん断力の具体的な変 動係数(16.7%)も提示した.また,試験後のジベル孔周辺の観察結果から,上側二面下側 一面せん断破壊は,二面せん断破壊を生じた後に,孔内コンクリートの上部が損傷するこ とで起こることを明らかにした.

第5章では,載荷パターンをパラメータとした孔あき鋼板ジベルの押抜き試験の結果と 既往研究の実験結果に基づき,せん断伝達特性に関する履歴構成則を構築した.本構成則 の特徴は,実験パラメータを都度設定することなく様々な諸元のPBLを扱えること,繰返 し載荷の影響による塑性ずれ変位の増加量を規定したことにより,繰返し作用を受ける PBLのずれ挙動を表現できること,Slip型のモデルで正負交番載荷の影響を考慮できるこ とである.また,予測モデルの妥当性を検証するため,実験と予測モデルの履歴を比較し,履歴 挙動が良好に再現できることを確認した(図2).

図2 正負交番載荷に対する提案モデルの検証例

-160 -120 -80 -40 0 40 80 120 160

-5 -4 -3 -2 -1 0 1 2 3 4 5

1孔あたりのせん断力, Vps(kN)

相対ずれ変位, δps(mm) Experiment

Conctitutive model 実験

履歴構成則

(6)

5

第6章では,本研究の成果をまとめるとともに,成果の活用例を示した.今後の課題と 展望としては,実構造物の拘束条件を想定したPBLのせん断耐力の推定式およびせん断力

―ずれ変位関係の構築,変動荷重に対する合成構造物設計法確立の重要性を述べた.

2.審査結果の要旨

論文内容の要旨で述べたように,本研究では,鋼コンクリート複合構造の様々な技術課 題を実験的な検討によって達成することを目指し,複合構造の各構成要素,特にPBLに関 して基礎的な実験を行った.これにより,正負交番載荷および繰返し載荷を受けた際のず れ挙動,ジベル孔内の粗骨材が及ぼす影響,PBL のせん断耐力のばらつき程度等を明らか にした.また,正負交番作用や繰返し作用の影響を考慮できるPBLの履歴構成則を構築し,

実験結果との比較検証を実施し,その有用性を示した.

以上のように,ここでの成果は鋼コンクリート合成構造物の開発に大きく寄与するもの であり,高い工学的価値を有するものと判断される.よって,本審査小委員会は全会一致 をもって提出論文が博士(工学)の学位に値するという結論に達した.

参照

関連したドキュメント

第 3 章ではアメーバ経営に関する先行研究の網羅的なレビューを行っている。レビュー の結果、先行研究を 8

ている。本論文では、彼らの実践内容と方法を検討することで、これまでの生活指導を重視し

1、研究の目的 本研究の目的は、開発教育の主体形成の理論的構造を明らかにし、今日の日本における

これらのことから、 次期基本計画の改訂時には高水準減量目標を達成できるように以

一方,著者らは,コンクリート構造物に穿孔した 小径のドリル孔に専用の内視鏡(以下,構造物検査

節の構造を取ると主張している。 ( 14b )は T-ing 構文、 ( 14e )は TP 構文である が、 T-en 構文の例はあがっていない。 ( 14a

 この論文の構成は次のようになっている。第2章では銅酸化物超伝導体に対する今までの研

物語などを読む際には、「構造と内容の把握」、「精査・解釈」に関する指導事項の系統を