理科ボランティアの可能性 について
1 は じめに
中学校理科の教員 と しての経験 を生かせ ない ものか と,平成21年度の理科支援員配置事業に 応募 し小学校 の理科支援員 と して
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年間活動 し た。5
年生,6
年生の理科 を支援す る週2日, 1
日3時間程度の勤務 であったが,十分な成果 を 実感す ることがでた。 また先生方か らも高 く評 価 され た と同時に,学校現場には今 後 もこの ような支援が必要 であることも痛感 した。
今 日, 日本の学校教育現場 には様 々な教育ボ ランテ ィアが定着 し大 きな成果 を上げている。
例 えば,図書室の蔵書の整理等に携 わる図書 ボランテ ィア。 ミシン操作の指導補助の ミシン ボランテ ィア,和楽器演奏 ・指導の音楽ボ ラン テ ィア等々, 日常的あるいは指導計画にあわせ て導入 され ている。
しか し,理科 においては企業や大学か らの講 師派遣 による特別授業等の報告はあるが, 日常 的あるいは指導計画にあわせ ての導入事例はほ
とん ど無い と思われ る。
そ こで,理科教育に携 わった経験 が無 い人で も参加 できる理科ボランテ ィアの可能性 を, 自 身ボ ランテ ィアで支援員 を続 けるなかで探 って みた。
村上 篤男
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支援の基本姿勢
小学校 にお ける理科の観察 ・実験活動がなか なか充実 しない原因の一つ に教員 の多忙 さがあ ると思われ る。 多忙故に,授 業準備 (観 察 ・実 験の準備)や理科室の管理が十分できない。
準備不足 で授 業に臨めば,授業の充実は得 ら れない。 そ して, この ことが理科の 「観察 ・実 験活動」 に消極的な教師 を増や し, しいては理 科指導に 自信が もてない とい う教師 を生み だ し ているのではないか と考 え られ る。
そ こで,支援活動 の基本姿勢 を,「授業支援」
と 「理科室の管理 ・運営」の
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つに分 けて考 え た。3 授業支援の実際
観察 ・実験活動 を伴 う理科 の授業では用意周 到な準備 が必要 である。材料や器具の配布 な ど に手間取 った りす ると
1
単位 時間の中では授業 が完結 しな くなる。観察 ・実験活動 の充実は事 前の授業準備 にかか ってる と言 って も過言 では ない。そ こで,「授業支援」 を 「授業準備 ‑の支援
」
と考 え活動 した。週
2日とい う限 られ た勤務 の中で効率的な支
援 を行 うため, 「理科支援連絡票」 (図 1) を作 成 し準備 にいか した。‑ 5 9‑
神 奈川 大学 心理 ・教 育研 究論北 第 31号 (2012年 3)」31日)
図
1
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さらに,各学年, 1コマを支援員 の勤務 日に 集 中 させ, この 日にできるだけ観察 ・実験活動
を展 開す るよ うお願 い した。
実際の支援活動 (授業準備) にあたっては, その時々の観察 ・実験に必要な材料 ・器具をセ ッ
トにま とめ, グループ分用意 した。
また,小学生 では観察 ・実験の技能 レベル は それ ほ ど高 くない。 そのため,準備 はできるだ けきめ細か く行 った。
例 えば,化学実験な どでは,試験管や ビーカー を ビニルテープで色分 け し試薬 の混同を防いだ り,電磁 コイル の製作等では材料 をを一人分ず つ ビニル袋 に分 けて用意す るな どである。
4 理科室の管理運営の実際
理科室の管理 ・運営支援 では使 い勝手の よい 理科室の整備 をめざ した。
観察 ・実験用 の器 具や試薬は,収納保管場所 や数 量が明確 になっていて,必要時 に直 ぐに取
り出せ ることが大切 だか らである。
あわせ て,器 具は正常な作動 を保証す るため のメンテナ ンス も大切 である。観察 ・実験 を始 めたが,器具の不具合 で活動 を中断せ ざる得 な い状況に陥 るこ とは少 な くない。
そ こで,理科室の管理 ・運営に対す る支援の 重点 を次の
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つ に置 いた。・観 察 ・実験用器具の保守 ・管理。
・薬品の管理
(1)観察 ・実験用器具の保守管理
学級担任制の小学校 では,すべての教員 が理 科室 を利用す る。 したがって,誰 に とって も使 い勝手 のよい 「観 察 ・実験用器 具の保守管理」
は大切 である。 すべ ての教員 に 「必要な実験器 具がす ぐに取 り出せ る」環境 を提供 しなければ な らない。
そ こで
,
「実験器具管理台帳」 (図2)
m 成 し,物 品の保有状況お よび保 管場所が容易に把 握 できるよ うに した。保 管場所 については,収 納戸棚 に所番地 を設定 して示す ことに した。図
2
実験器具管理台帳さらに,使 いやす さを提供す るため,写真入 りの 「保有物 品カ タ ログ」 (図
3
) を編集す る ことで, 目的の物品を探 しやすいよ う工夫 した。図
3
保有物品カタ ログ( 2)
薬品の管理薬品の取 り扱 いについては よ り厳格 な管理が 求め られ る。 なぜ な ら,適切 な管理 を怠 る と大 きな事故につなが りかねないか らである。常に 薬品の保有状況 を把握 し,使 用後は直ちに薬品 庫 に戻 し施錠 しておかねばな らない。
そ こで,薬 品の保 有状 況 を把握 す るた めの
ー 6 0‑
「理科用薬品保有状況一覧表」 (図 4) を作成 し た。 一覧表 には各試薬の保有墓を示す ととも に,各試薬 の 「保管番地」 を示 し, 目的の試薬 を取 り出 しやす くした。
図4 理科用薬品保有状況一覧表
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2
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また,使用 した試薬の戻すべ き所定の位 置を 表す 「保 管番地 ラベ
ル
」 (図5)
を貼 り,戻 し やす くす る工夫 を した。図
5
保管番地 ラベルこの辺りに.Jt人の年月日を 暮いておさまLJ:う.
5 考 察
「授 業支援 」お よび 「理科室の管理 ・運営」 の
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面か ら理科支援 を実践 して きたわけだが, それ ぞれ十分に成果が得 られた ことを実感す る ことがで きた。(1)授業支援
「授 業支援」の面では,観察 ・実験の準備 が
理科ボランテ ィアの可能性 について
整 ってい るとい うことで,先生方 か らは 「安心 して授業 に臨めた」 との感想 が得 られた。
また,子 どもたちの学習活動 も効率的に進み, 学習効果 もかな り上が った と思われ る。
勤務 した小学校 は,各学年
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クラスの小学校 としては中規模 の小学校 であ る。しか し,
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クラス といえ ども各 クラスの授業 進度が揃 っていなければ支援 は成 立 しない。理 科への学年 としての取 り組み にま とま りが不可 欠 である。 そ こで, リー ダー である学年主任 とコ ミュニケー シ ョンを密 に した。
(2)理科室の管理運営
理科室の管理運営,即 ち 「実験器 具の保守管 理」お よび 「薬品の管理」は,主に長期休業 中 に行 ったC
ただ し,実験器具のメ ンテナ ンスは,授業準 備 の段階お よび授業後の片付 け作業の段階で入 念に行 い, この時点で不具合 が見つかれ ば即時 に修理 ・調整 を行 った。
理科室の整備 が進 むにつれ て,理科室の活用 頻度が増 してきた。週
2
日の勤務 では授業支援 に も限界がある。 実験器 具等 が利用 しやす く, 準備 が短時間で可能 になったため,支援 日以外 で も積極的に観察 ・実験授 業 に向 き合 うよ うに なった もの と考 え られ る。また,低学年では教室で観察 ・実験活動を伴 っ た学習 を行 うことが多々ある。 この よ うな学習 では,実験器 具 を理科室か ら持 ち出す わけであ る。 これ も理科室の整備 が進 むにつれて活発 に なってきた。
この他 にも,物 品購入計画 の立案 に役 立 った と事務 方か らも評価 された。
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おわ リに
「ビーカー洗浄 で も手伝 えれ ば」 くらいの思 いで応募 した理科支援員 派遣事業であったが, 手応 えは十分 に感 じられ た。
事業の終了 した現在 もボ ランテ ィアで通 って
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神
奈 川 大 学 心 理 ・教 育研 究論iii 第31号 (2012年3)
131日)お り,今後 ボ ランテ ィア活動 による理科支援の さらなる可能性 を探 る とともに,理科支援 ボラ ンテ ィアの組織 を確立 したい と考 えている。
あわせ て, ここでの取 り組み を現在担 当 して いる教科教育法 Ⅲ ・Ⅳ (理科)の講座 に活か し ていきたい とも考 えている。