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(1)

法政大学スポーツ健康学部アスレティックトレーニ ングルーム活動報告 第3報 : 法政大学におけるア スレティックトレーナー活動(8)

著者 泉 重樹, 春日井 有輝, 佐藤 祐輔, 鴇田 昌也

出版者 法政大学スポーツ健康学部 

雑誌名 法政大学スポーツ健康学研究

巻 9

ページ 33‑40

発行年 2018‑03‑30

URL http://doi.org/10.15002/00021372

(2)

法政大学スポーツ健康学部アスレティックトレーニングルーム活動報告 第 3 報

-法政大学におけるアスレティックトレーナー活動 8 -

A Report on Athletic Training Room Activities for 2016-2017 in Faculty of Sports and Health Studies, Hosei University.

泉 重樹1)3)、春日井 有輝2)、佐藤 祐輔3)、鴇田 昌也3)

Shigeki Izumi, Yuki Kasugai, Yusuke Sato, Masaya Tokita

[要旨]

 The aim of this study was to report the activities of the faculty’s Athletic Training Room (AT Room) from 2016 to 2017. Altogether, 343 people used the AT Room in 2016 and 472 people, in 2017. The number of AT Room users increased compared to the number in 2015. The room was frequently used by soccer, rugby, and track and field players. As student trainers received practical training from these teams; there were many users among these three team’s athletes. Knee joint injuries were present in 22%(2016)and 23%(2017)on the AT Room users. Additionally, the ratio of individuals using the room for exercise, stretching, and physical therapy was high.

The instruction system to student trainers was enriched, because two graduate students of JASA-AT joined the AT Room in 2017.

 キーワード:アスレティックトレーナー、トレーナー活動、Athletic Training Room

1. 諸言

  ス ポ ー ツ 健 康 学 部 ク リ ニ ッ ク1)とAthletic Training Room(以下、AT Room)は法政大学(以下、

本学)スポーツ健康学部におけるスポーツ医学的 支援システムとして始まった。このシステムがス タートした2011年以来、AT Roomは将来日本体 育協会公認アスレティックトレーナー(以下、日 体協公認AT)を目指す学生トレーナー達の実習の 場として運営されている。2017年度で7年目を迎

え、AT Roomはスポーツ健康学部の学生達だけで

なく多摩キャンパスを中心とした本学の体育会に 所属する学生にとっても、大学の取材や体育会に 所属する学生トレーナー達の紹介によって少しず つ認知度が増してきていることを実感している。

スポーツ健康学部内そして多摩キャンパス内のト レーナールームであるAT Roomではスポーツ健康 学部の教員である医師との連携のもとで、スポー ツ現場で起こった外傷・障害やその他不調の評価 や応急処置、医師の指導の下でのアスレティック リハビリテーション、テーピングやウォーミング アップ・クーリングダウン、各種トレーニングの 指導といったコンディショニング全般も担当して いる2-7)

  本 研 究 の 目 的 は、2016お よ び2017年 度 のAT Room活動を振り返り、これまでの活動との検討 を行うことで、今後のAT Room活動やスポーツ外 傷・障害予防に関する活動に資する知見を得るこ とである。     

[ 原著 ]

1)法政大学スポーツ健康学部 2)法政大学兼任講師

3)法政大学スポーツ健康学研究科

(3)

2. 方法

2.1 対象と AT Room 利用方法について

 AT Roomを利用する対象は基本的には本学部学

生とし、何らかの身体的不調がある場合にはスポー ツ健康学部クリニックを受診後にAT Roomを利用 することを原則とした。また、本学体育会所属の 学生であり、各部に所属するアスレティックトレー ナー(以下、AT)や学生トレーナー、多摩体育館 トレーナー室に勤務しているATからの紹介があ

ればAT Roomを利用できることとした。上記の他、

本学部学生においてはトレーニング相談や身体機 能のチェック希望などコンディショニングに関す る相談については、直接AT Roomで相談ができる こととした。

2.2 開設日

 2016年度、2017年度ともに、4月から12月ま での授業期間中とした。開設日はいずれの年度も 月曜日と木曜日の週2回とした。開設時間は17~ 20時(3時間:5・6限に相当)とした。

2.3 実施内容

 AT Roomの運営は、日体協ATの資格を持つ教 員の指導の下、学生トレーナーが実習として評価 や各種処置を実施する形をとった。

 2016年度は日体協AT資格を持つ教員2名の指 導の下、本学部の3年生21名がAT現場実習とし てAT Roomを担当した。2017年度は日体協AT資 格を持つ教員2名および日体協AT資格を持つ本 学大学院生2名がティーチングアシスタント(以 下、TA)として指導に加わった。本学部の3年生 15名および4年生1名の計16名がAT現場実習と してAT Roomを担当した。

 AT Roomでは以下の業務を行うこととした。1)

スポーツ外傷・障害の応急処置及び評価、2) アス レティックリハビリテーションのプログラム作成・

実施、3)傷害予防・再発防止トレーニングのプロ グラム相談・作成・実施、4)セルフケア及び競技 力向上のためのストレングストレーニング指導を 中心としたコンディショニング全般の相談・指導

である。

 2015年度より開始した医師(整形外科医・日本 医師会認定健康スポーツ医)による診断、医療機 関への紹介状の作成業務も月2回程度の割合で継 続して行われた。

2.4 集計方法

 これまでの発表同様2-5)、実際にAT Roomを利 用した選手達を対象に、後ろ向きに集計を行った。

集計は下記の通りとした。対象者の人数を初めて

AT Roomを利用した者(初利用者)と、個人が2

回目以降にAT Room利用した者(総利用者)に分 けて集計を行った。対象者の競技別、症状を持つ 部位別、実際にAT Roomで行った介入内容、鍼治 療受療者、超音波検査受診者ごとにも集計を行っ た。

 本研究で用いられるデータは法政大学スポーツ 健康学部によるAT Room事業として行われた測 定・評価等において得られた情報の一部を利用し て作成されたものである。本研究はヘルシンキ宣 言8)の趣旨に則り実施され、対象者から文書によ る同意書を得た上で行った。解析の為に用いたデー タの個人情報は全て匿名化して処理することとし た。

3. 結果

3.1 総開設日数および利用者数

 2016年度の開設日数は、春学期(4月~7月)

は29日、秋学期(9月~12月)は29日の計58 日であった。2017年度の開設日数は、春学期(4 月~7月)は30日、秋学期(9月~12月)は28 日の計58日であった。

 2016年度の利用者数は初利用者が76名、総利 用者は343名であった(図1)。1日あたりの平均 利用者数は5.91名であった。2017年度の利用者数 は初利用者が110名、総利用者は472名であった(図 1)。1日あたりの平均利用者数は8.13名であった。

なお、図1では参考としてこれまでの各年度の初 利用者数と総利用者数も記載している4,5)。  2016年度の利用者数の内訳は、学年別では多い

(4)

順に3年生134名(39%)、2年生119名(35%)、 1年生50名(15%)、4年生38名(11%)と続い ていた(図2)。

 利用者の男女別では、男性234名(68%)、女性 109名(32%)であった(図3)。

 2017年度の利用者数の内訳は、学年別では多い 順に3年生183名(39%)、2年生110名(23%)、 1年生93名(20%)、4年生55名(12%)と続い ていた(図2)。

 利用者の男女別では、男性323名(68%)、女性 149名(32%)であった(図3)。

3.2 競技別

 AT Roomの利用者を行っている競技別に集計し

た。

 2016年度の利用者の人数は多い順にラグビー87 名(25%)、陸上競技60名(17%)、ラクロス39 名(11%)、野球36名(10%)、テニス24名(7%)、 ハンドボール21名(6%)、サッカー19名(6%)、 その他であった(図4)。初利用者は多い順に陸上 図 1.AT Room 利用者数

AT Room がスタートした 2011 年度からの推移を示す。

46 58 74 49 86 76 110

84 169

409

152

278 267 362

0 100 200 300 400 500

再利用者 初利用者

(名)

図 2.学年別の AT Room 利用者 2014 年度から 2017 年度までを示した。

50

119

50 93

63

81

119 59 110

143

134

183

26

64

38

55

3

5

2

31

0 100 200 300 400 500

2014年度 2015年度 2016年度 2017年度 その他 4年生

3年生 2年生

1年生

(名)

図 3.男女別の AT Room 利用者数 2014 年度から 2017 年度までを示した。

174

279 234

27 323

85

109

149

0 100 200 300 400 500

2014年度 2015年度 2016年度 2017年度 女性

男性

(名)

(名)

図 4.2016 年度の競技別 AT Room 利用者数

10 11 9 1

6 9 6 2 1 1 1 3 11

77 49 30 35 18 12 13 9 9 8 5 2

5

0 20 40 60 80 100 120

ラグビー 陸上競技 ラクロス 野球 テニス ハンドボール サッカー 器械体操 エアロビック バスケットボール スキー 水泳 その他

初利用者 再利用者

(名)

図 5.2017 年度の競技別 AT Room 利用者数

33 17 7

12 4 3 5 7 2 2 2 10

104 71

51 40 22 23 19 10 7 4

7

0 20 40 60 80 100 120

サッカー 陸上競技 新体操 ラグビー ラクロス 野球 ハンドボール テニス ウエイトリフティング アイスホッケー 水泳 その他

初利用者 再利用者

(名)

(5)

競技、ラグビー、ラクロス、ハンドボール、サッカー、

テニス、その他であった(図4)。

 2017年度の利用者の人数は多い順にサッカー 137名(29%)、陸上競技88名(19%)、新体操58 名(12%)、ラグビー52名(11%)、ラクロス26 名(6%)、野球26名(6%)、ハンドボール24名(5%)、 テニス17名(4%)、その他であった(図5)。初 利用者は多い順にサッカー、陸上競技、ラグビー、

新体操、テニス、ハンドボール、その他であった

(図5)。

3.3 部位別

 AT Roomの利用者を対象とした部位別に集計し

た。

 2016年度の利用者の人数は多い順に膝関節83 名(23%)、腰殿部59名(16%)、大腿52名(15%)、 肘関節34名(10%)、足関節30名(8%)、肩関節 23名(6%)、下腿21名(6%)、股関節18名(5%)、 その他であった。初利用者は多い順に腰殿部、膝 関節、大腿、下腿、肩関節、その他であった(図6)。 2017年度の利用者の人数は多い順に膝関節107名

(22%)、足関節93名(19%)、大腿77名(16%)、 下腿41名(8%)、腰殿部41名(8%)、足部29名

(6%)、肘関節29名(6%)、その他であった。初 利用者は多い順に膝関節、足関節、大腿、足部、

下腿、腰殿部、その他であった(図7)。

3.4 介入内容別

 AT Roomの利用者を、行った介入の内容別に集 計した。

 2016年度の利用者の人数は多い順に運動療法 156名(20%)、ストレッチ121名(16%)、温熱 療 法114名(15%)、 マ ッ サ ー ジ102名(13%)、 寒冷療法98名(13%)、超音波71名(9%)、鍼治 療46名(6%)、その他であった。初利用者は多い 順にストレッチ、温熱療法、運動療法、マッサージ、

寒冷療法、その他であった(図8)。

 2017年度の利用者の人数は多い順に運動療法 305名(28%)、寒冷療法230名(21%)、ストレッ チ137名(13%)、超音波113名(10%)、マッサー

図 6.2016 年度の部位別 AT Room 利用者数

図 7.2017 年度の部位別 AT Room 利用者数

図 9.2017 年度の介入別 AT Room 利用者数 図 8.2016 年度の介入別 AT Room 利用者数

16 20 12 4

5 6 9 4

5 2

10

67 39 40 30 25 17 12 14 5 6

11

0 20 40 60 80 100

膝関節 腰殿部 大腿 肘関節 足関節 肩関節 下腿 股関節 手関節 足関節 その他

初利用者 再利用者

(名)

28 24 21 10 10 13 3

8 7 2

6

79 69 56 31

31 16 26

18 15 9

15

0 20 40 60 80 100

膝関節 足関節 大腿 下腿 腰殿部 足部 肘関節 股関節 肩関節 手関節 その他

初利用者 再利用者

(名)

72 62 43 43 31 27 18 16 8 11 9 5

233 168 94

70 50 32 26 19 27 16 5 4

0 40 80 120 160 200 240 280

運動療法 寒冷療法 ストレッチング 超音波 マッサージ テーピング 微弱電流 温熱療法 鍼治療 EMS BIODEX 中周波

初利用者 再利用者

(名)

32 37 34 30 21 17 20 4 10 4 5

124 84 80 72 77 54 26 22 10 9 7 2

0 40 80 120 160 200 240 280

運動療法 ストレッチング 温熱療法 マッサージ 寒冷療法 超音波 鍼治療 EMS テーピング 微弱電流 BIODEX 中周波

初利用者 再利用者

(名)

(6)

ジ81名(7%)テーピング54名(5%)、その他で あった。初利用者は多い順に運動療法、寒冷療法、

ストレッチ、超音波、マッサージ、その他であっ た(図9)。

3.5 鍼治療

 2016年度に鍼治療を受けた者は43名であった。

主訴部位は腰殿部18名(40%)、大腿15名(35%)、 下腿3名(7%)、肩関節3名(7%)、その他であっ た(図10)。

 2017年度に鍼治療を受けた者は35名であった。

主訴部位は大腿16名(46%)、腰殿部9名(26%)、 肘関節4名(11%)、下腿3名(9%)、その他であっ

た(図11)。

3.6 超音波検査

 2016年度に超音波検査を受けた者は4名であっ た。主訴部位は大腿2名、下腿1名、腹部1名であっ た(図12)。

 2017年度に超音波検査を受けた者は43名であっ た。主訴部位は大腿12名(28%)、膝関節10名

(23%)、 足 関 節9名(20%)、 足 部6名(14%)、 下腿3名(7%)、その他であった(図13)。

4. 考察

4.1 AT Room 利用者全体について

 2016年度と2017年度のAT Roomの利用者を集 計した。過去の総利用者状況からみると2016年度 343名は2015年度364名よりの21名減ったものの、

2017年度は472名と100名以上の伸びをみせた。

2017年度の利用者472名は2013年度の483名に は届かなかったもののこれまでの中で2番目に多 かった。開設日(回数)は授業日数と同じで増え ていないことから、2017年度には1日当たりの利 用者が増加した。この理由として2点、考えられる。

1点目は2017年度からTAとして加わった日体協 公認AT資格を持つ大学院生の存在が挙げられる。

つまり各曜日2名の日体協公認ATが学生トレー ナーの指導に関われる環境が整った。このことは 大きな進歩であった。さらにこのTAのうち1名 は日体協公認ATであるとともに理学療法士の資 格も持っており臨床経験豊富な人物であった。そ のため評価・運動指導等に関してメディカルリハ ビリテーションからアスレティックリハビリテー ションまでの流れの中でAT Roomを利用する選手 および学生トレーナーの指導に即戦力としてあ たってくれていた。学生トレーナーに対する指導 者が増えたことで機能評価から運動療法までの流 れが迅速になり、選手を待たせる時間が減少した ことは大きかったと考えている。2点目は学生ト レーナー達自体の存在である。前回の報告5)では、

AT Roomに関わる学生の実習先が学外のチームが

多いとAT Room自体の利用者が減ることを報告し

図 10.2016 年度の部位別鍼治療者数

図 11.2017 年度の部位別鍼治療者数

図 13.2017 年度の超音波評価利用者数 図 12.2016 年度の超音波評価利用者数

6 8 3 1 1 1 1

12 7 2

1

0 2 4 6 8 10 12 14 16

腰殿部 大腿 下腿 肩関節 肘関節 頸部 股関節

初利用者 再利用者

(名)

2 3 2 2 2 1

14 6

2 1

0 2 4 6 8 10 12 14 16

大腿 腰殿部 肘関節 下腿 膝関節

肩関節 初利用者

再利用者

(名)

6 5

8 6 3

6 5

1 1

0 2 4 6 8 10 12

大腿 膝関節 足関節 足部 下腿

腰殿部 初利用者

再利用者

(名)

1 1 1

0 2 4 6 8 10 12

大腿 下腿 腹部

初利用者 再利用者

(名)

(7)

た。そのような反省から、特に2017年度からは原 則、学内の部活動においてスポーツ現場実習を行 うよう学生達を指導してきた。その結果、1名を 除く全員が学内の体育会にてスポーツ現場実習を 行うこととなり、そのような学生トレーナー達か ら各部で怪我を負った選手たちをAT Roomへの紹 介することを通して利用者数が増加したことがあ げられる。

4.2 競技別利用者および傷害部位別利用者について  競技別利用者についても前回の報告5)同様、学 生トレーナーが在籍している部活動のAT Room利 用者が多いことが挙げられる。ラグビー、サッカー、

陸上競技、ラクロス、ハンドボール、テニスは学 生トレーナーが安定して所属している部活動に なってきており、その学生トレーナーからの紹介 による学生の利用が多かったと考えられる。また 2017年度には新体操競技の選手が増加している。

新体操部は本学にはないものの、これも大学院生 に新体操の指導者が入学したことで選手たちを紹 介してくれたことによるものが大きく、AT Room の新しい活用のされ方であるといえる。

 体育会各部で独自に契約しているプロのATが いる場合にはそのATと教員、学生トレーナー間 の連携の在り方もAT Roomの利用者数と結びつく こともこの2年間で経験している。AT Roomも限 られた開室時間の中での活動である。現場のAT との連携にはまだ課題があるので、引き続き粘り 強く連携を深めていきたい。

 傷害部位別では、2016年度・2017年度ともに膝 関節が最も多かった。これは過去の本学の報告4,5)

と同様である。また本学同様に学内でトレーナー ルームを運営している大学の報告である筑波大学

(16.5%で3位)9)や九州共立大学(25.3%で2位)10)、 久留米大学(34.8%で1位)11)の報告をみても、

膝関節の傷害による利用者は多いことがわかる。

要因はラグビーやサッカー、ラクロスなどの球技 系の団体競技を中心に他の個人競技の学生達が前 十字靭帯再建術後や半月板切除術後といった比較 的長期にわたるアスレティックリハビリテーショ

ンを行っていたことがあげられる。またそれらの 学生たちが筋力評価の為に等速性筋力測定装置

(BIODEX)を利用する目的で定期的に一定期間利

用していたためであると考えられる。

 傷害部位別の2番目以降は、2016年度は腰殿部、

大腿、肘関節、足関節と続き、これまでの報告4,5)

とほぼ同じ傾向であった。しかしながら2017年度 は足関節、大腿、下腿、腰殿部と続いていた。スポー ツで起こる外傷・障害部位としては足関節が最も 多いという報告は多くみられている12)。足関節の 外傷・障害は現場でも多いと考えられるが、軽度 の足関節捻挫等を受傷しても医療機関やAT Room に来室せず、適切な応急処置やリハビリテーショ ンが行われずに復帰している選手もみられること が予想される。2017年度は理学療法士資格を持つ 日体協ATがアスレティックリハビリテーション だけでなく、現場でできるコンディショニングと しての運動療法の実践を通して、AT Roomで患部 のエクササイズをしてから現場での練習に合流す るといった選手も出始めてきた。このようにリコ ンディショニングやウォーミングアップとしての

AT Roomの活用も増えてきていることが部位別の

人数に変化がみられた理由でもあると考える。

4.3 介入内容および鍼治療について

 AT Roomで行った介入の内容は、これまでと大

きな変化はなく、過去の我々の報告4,5)と同様であ

る。AT Roomにおける運動療法では選手自身で行

えるものを指導しながら学生トレーナーが選手と 一緒に実施する形で行っている。この運動療法に 加えて温熱療法や寒冷療法、ストレッチングなど を加えた形が定着してきている。選手達が自身の 身体を理解しセルフコンディショニングができる ようになることは選手達にとって必須の能力であ るため、今後もAT Roomの活動を通して選手たち にこのような啓蒙および教育を継続していくつも りである。

 鍼治療に関しては、2013年度はこれまでで最多 の73名の受療者であった。2016年度の鍼受領者 は43名、2017年度は35名となった。2015年度の

(8)

鍼受領者(20名)よりは多くなったものの、2013 年ほどは多くはなかった。鍼治療は陸上競技、サッ カー、ラクロスの選手に対して多く施術をしてお り、同じ選手に複数回施術する機会が多かった。

鍼治療部位は2016、2017年度ともに腰殿部・大腿 が1位2位であり、過去の報告と同様、筋肉や腱 といった軟部組織が多い部位であった。慢性の疼 痛や硬結といった筋の硬さを訴える選手に対して 治療をしていたためである。

4.4 医師の診察・超音波検査について

 前報での報告5)の通り、2015年度から新たに整 形外科医師が加わり、主に超音波検査装置を用い ての診断や、医療機関への紹介状の作成を行う機 会ができた。超音波検査自体は医師の診察機会が 減少したことを受けて2016年度は4名と前年度の 27名5)に比べて大幅に減少したが、2017年度は 初利用者29名、再利用者14名の計43名に行われ た。これは2017年度になり、評価としてATであ る教員と学生トレーナーの間で独自に超音波診断 装置を活用し始めたことが大きい。医師の指導の 下、ATの評価の一助として活用するとともに、そ の後医師の指導を仰ぐ体制が整ってきていること を実感できる結果となった。

4.5 今後の課題

 2016年度、2017年度のAT Room活動から、指 導スタッフ(日体協公認ATを持つ指導的立場の トレーナー)を増員することにより、AT Roomの 利用者が増加することが明らかになった。これま でにも補助スタッフという形で3年次にAT現場 実習を終えた4年生にAT Roomのアシスタントと して活動してもらっていた年度はあったものAT の有資格者が増員されたのは2017年度が初めてで あり、その結果、学生トレーナーの指導体制もよ り充実したもののなり、AT Roomの利用者増につ ながったと考える。

 2016、2017年度は外傷・障害をもつ選手以外の

学生のAT Room利用が少なかった。体育会に所属

していないスポーツ健康学部の学生に対しては、

傷害受傷時以外にもトレーニングやコンディショ ニング目的でも利用できることを周知していくだ けでなく利用を促していく方策が必要がある。

 2018年度から100分授業が導入されることによ り、体育会活動は開始時間と終了時間が遅くなる

ことでAT Roomの活動自体も影響は生じると考え

られる。これからもATとしてスポーツによる外傷・

障害の予防を目指して、スポーツ現場での活動と ともに、医師、外部医療機関との連携、学内各部 活動、各部局との連携を通して、スポーツ選手達 の日々の活動を支えていきたい。

5. 要約

 2016年度と2017年度の法政大学スポーツ健康 学部Athletic Training Room(AT Room)活動を報 告することを目的とした。AT Roomの利用者は 2016年度は343名、2017年度は472名であった。

特に2017年度は2013年度の483名に次いで多く の利用者があった。部位別には膝関節が最も多く、

介入は運動療法が最も多かった。これらは過去の 報告と同様であった。2017年度からはTAとして

加わったJASA-ATの大学院生の活躍もあり、学生

トレーナーへの指導体制が充実することで、AT Room利用者増加につながり、学生トレーナーの 実習の場としてより充実したものになった。

謝辞

  本 論 文 を 作 成 す る に あ た り 協 力 い た だ い た、

2016年度と2017年度のアスレティックトレーナー 現場実習生に心から感謝いたします。

参考文献

1)木下訓光,日浦幹夫,泉重樹:健康・スポー ツ系大学学部におけるスポーツ医学診療のあ り方について―法政大学スポーツ健康学部ク リニックの取り組みと現状―.法政大学スポー ツ健康学研究.4,47-57,2012

2)泉重樹:法政大学におけるアスレティックト レーナー活動.法政大学スポーツ健康学研究.

2,51-56,2011

(9)

3)泉重樹,木下訓光,日浦幹夫,安藤正志,高 見京太:スポーツ健康学部におけるスポーツ 医学的支援システム構築の試み―法政大学に おけるアスレティックトレーナー活動2―.

法政大学スポーツ学研究.3,49-57,2012 4)泉重樹,春日井有輝:法政大学スポーツ健康

学部アスレティックトレーニングルーム活動 報告―法政大学におけるアスレティックト レーナー活動4―.法政大学スポーツ健康学 研究.5,1-11,2014

5)春日井有輝, 泉重樹, 塚原由佳: 法政大学スポー ツ健康学部アスレティックトレーニングルー ム活動報告―法政大学におけるアスレティッ クトレーナー活動5―. 法政大学スポーツ健康 学研究.7, 1-12, 2016

6)泉重樹,木下訓光,日浦幹夫:スポーツ健康 学部新入生を対象にした整形外科的メディカ ルチェック―法政大学におけるアスレティッ クトレーナー活動3―.法政大学スポーツ健 康学研究.4,1-9,2013

7)泉重樹, 春日井有輝, 木下訓光, 日浦幹夫: ス ポーツ健康学部新入生を対象とした整形外科 的メディカルチェック(第2報)―法政大学 におけるアスレティックトレーナー活動6―. 法政大学スポーツ健康学研究.7, 13-20, 2016 8) 日 本 医 師 会 訳, ヘ ル シ ン キ 宣 言.accessed

2018/01/22.http://dl.med.or.jp/dl-med/wma/

helsinki2014j.pdf

9)花岡美智子,白木仁,宮永豊,松田光生,河 野一郎,齋藤慎一,宮川俊平,向井直樹,佃 文子,福田崇:「筑波大学スポーツクリニック」

における過去10年間のアスレティックリハビ リテーション活動の報告.体力科學.52(6), 989,2003

10)粟谷健礼, 篠原純司, 辰見康剛, 中村奈菜: 九 州共立大学リコンディショニングルームにお ける学生トレーナー教育と学生アスリートサ ポートの充実化に向けた医療機関との連携方 法の検討. 九州共立大学研究紀要. 6(1), 43- 47, 2015

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2007

参照

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