神奈川大学大学 院経営学研究科 師升究年報』 第9号 2005年3月 123
■ 修士論文要旨
ベンチャービジネスの研 究に対する一考察
一 中国ベンチャービジネス企業のマーケティング戦略の展開‑
RESEARCHINTOVENTUREBUSINESS:
DevolopingMarketingStrategyforChineseVentul‑eBusinessCompanies
神奈川大学大学院 経営学研究科 国際経営専攻 博士前期課程
朴 香 蘭
XianghnPiao
『キーワー ド
改革開放政策の実施 と中国政府の個人経営 を重 点にす る政策転換 に したがって、中国ベ ンチャー 企業 の国民経済 に占め る比重 は ます ます大 きく なって い る。 中国ベ ンチ ャー企業 は過去20年 に 亘 って、中国経済発展 を推進す る主力になって き た。 しか し、中国のベ ンチ ャー企業 はいまだ発展 初期の段階にあり、基礎が弱 く、総体的にレベル が低 く、競争力が弱い。そ して、ベ ンチ ャー企業 の発展軌跡 を見 ると、ほ とんどはす ぐ起業 し、す ぐ倒産 して しまう。 このため、中国ベ ンチャー企 業 はどうい うように した ら順調に発展で きるかは 重要 な課題になってい るOベ ンチ ャービジネス企 業 にとってはマ‑ケテ ィング戦略が一番重要 な経 営課題である.ベ ンチ ャービジネス企業のスター トの段階では、マーケテ ィング戦略に基づいた販 売活動が企業の命運 を決めると思 う。大企業など の実力のある企業 は、販売が一時不振で も、経営 基盤 が強 いので、販売 がよ くな るまで待て るが、
ベ ンチ ャー ビジネス企業 は経営基盤 が弱 いため、
立 ち上 げた ときの販売状況 が悪 い と、す ぐつぶれ
て しまう. そ して、ベ ンチ ャービジネスは新興企 業 なので、競争が相対的に少 ない市場のため、一 定の発展 を遂 げることがで きるが、 その企業が成 長期 に入 ると競争相手の市場参入があ り、す ぐコ ピーされた り、特 に実力のある大手企業 にコピー され ると、す ぐ倒産す る恐れが大 きい。 このため、
差別化によるマーケテ ィング戦略 を絶 えず図って い くことが一番重要 である。ベ ンチ ャービジネス は新規性 が高 く、一般的には市場への浸透の障害 が強 く、時間 もかか る。 しか し、 もし浸透の突破 口を開 くことがで きると、つ ま りマーケテ ィング 戦略 をうまく運営す ると、新規性 が高い ことか ら 逆 に既存の商品、サービスに対 し、優位性 が強 く、
一挙 に市場の シェアを獲得す ることがで きる。
中国ベ ンチ ャービジネス企業のマーケテ ィング 戦略 を探 るために、 まずベ ンチ ャービジネスの概 要 とベ ンチ ャービジネス企業のマーケテ ィング戦 略に関す る理論か ら着手 し、中国、 日本の有名 な ベ ンチャービジネス企業のマーケテ ィング戦略 を 分析 し、 中国ベ ンチ ヤ‑ ビジネス企業 のマ ‑ケ
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テ ィング戦略 を提案 しなが ら、現在の問題点 を分 析 し提案 した。最後 は、中国ベ ンチ ャー ビジネス 企業の展望 と課題 につ いて分析 した。
まず、ベ ンチ ャー ビジネスの概 要 につ いて は、
ベ ンチ ャー ビジネスとベ ンチ ャーキ ャピタル に関 して詳 しく分析 した。ベ ンチ ャー ビジネスの定義 については、 リスクを強調す る定義、革 新 を強調 す る定 義、成長 を強 調 す る定義、 ア ン トレプ レ ナーシ ップを強調す る定義の四つ を述べ た。ベ ン チ ャー ビジネス企業の タイプにつ いて、業種形態 によると、流通 ・サ ービス企画型ベ ンチ ャー企業、
技術企画型ベ ンチ ャー企業 、研究開発企画型ベ ン チ ャー企業 に分類 し、付加価値 によると、先端技 術型ベ ンチ ャー企業、雇 用創 出型ベ ンチ ャー企業、
自活型 ベ ンチ ャー企業 に分類 し、創業の タイプを 独 自型、ス ピンオ フ型、のれんわけ型、分社型の 4つ に分頬 した。ベ ンチ ャービジネスの意義 と し ては、雇 用機会の創 出、ベ ンチ ャービジネスによ る地域振興、 自己実現の機会の三つ を挙 げた。ベ ンチ ャーキ ャピタル につ いては、五つの要素 (ベ ンチ ャーキ ャピタル会社、ベ ンチ ャー資本、資金 が必要 なベ ンチ ャー企業、技術 ・市場 ・金融 ・管 理 をよ く知 ってい るベ ンチ ャーキ ャピ タル専 門 家、規範 的な金融市場) と五つの特徴 (保証 がな く、 リスクが高 い投資、組合投資、流動性 が小 さ な中長期投資、権益投資、資金、科技、管理 がお 互 いに組み合 っている投資) を主 に述べ た。ベ ン チ ャーキ ャピタルの撤退す る方式 については、ベ ンチ ャー ビジネスの株式 の公 開上場、ベ ンチ ャー キ ャピタル企業 が持 ってい る株式 をほかの会社 に 売 る、ベ ンチ ャー ビジネスが投資企業の持 ってい る株式 を買 う、ほかの会社 が このベ ンチ ャー企業 を購 入 あ るい は専 門 的 な仲 介会 社 が この会 社 を 購 入 してか ら売 るの 四つ を述 べ た。 中国 のベ ン チ ャー ビジネス企業 につ いて は、中国ベ ンチ ャー ビジネス企業の現状 と政府のベ ンチ ャー企業への 支援状況 を述べ た。 中国ベ ンチ ャーキ ャピタル に つ いては、中国ベ ンチ ャーキ ャピタルの問題点 と 解決策 を分析 した。
次 に、ベ ンチ ャービジネス企業 のマ‑ケテ ィン
グ戦略に関す る理論 につ いてはマーケテ イングの 定義 とベ ンチ ャービジネス企業のマ ーケテ ィング 戦略の定義 を述べ なが ら、 その特性 と対応策 を分 析 した。 マ ーケテ ィング戦略の定義 につ いて は、
普遍 的に使 われているアメ リカ ・マーケテ イング 協会 で定義 したマーケテ イングの概念 を詳 しく分 析 し、ベ ンチ ャービジネスの特性 に基づいて構築 したマーケテ ィング戦略 をベ ンチ ャー企業 のマー ケテ ィング戦略 と定義 した。ベ ンチ ャー ビジネス 企業のマーケテ ィング戦略の特性 と対応策 に関 し ては、起業家能力への過度 な依存度 と対応策、商 品 ・サー ビスの新規性 の強 さと弱 さと対応策、経 営資源不足への対応 か ら分析 した。
そ して、中国の有名 なベ ンチ ャービジネス企業 のマーケテ ィング戦略につ いては、海爾集団、聯 想集団のマーケテ ィング戦略 を分析 した。海爾集 団の マ ー ケテ ィ ング戦 略 に関 して は六 つ を挙 げ た。 それ は、市場 を紐帯 に し、業務 プロセス を再 構築 し、市場 に快速 に反応 す る組織構造 を作 る戦 略、注文書 を中心 に、物流 と資金流 を牽引す る戦 略、グローバル化、高効率の電子商務の作動 を実 現す る戦略、ITを有効 に利 用す る戦略、高品質 に 基づいたブ ラン ド戦略、国際的なマーケテ ィング 戦略で ある。 そ して、聯想集団のマーケテ ィング 戦略については、創業初期 の海外戦略、創業期の 技術の高度 化、経営のサー ビス、企業の グローバ ル化 に基づ いて構築 したマーケテ ィング戦略 を分 析 した。
日本の有名 なベ ンチ ャ‑ビジネス企業のマーケ テ ィ ング戦 略 につ いて は、 ソ フ トバ ンク株 式 会 社、楽天株式会社のマーケテ ィング戦略 を分析 し た。 ソフ トバ ンク株式会社のマーケテ ィング戦略 に関 しては、 ブロー ドバ ン ド事業のマーケテ ィン グ戦略 を分析 した。優れている販売 チ ャネル と独 自のIPバ ックボー ンネ ッ トワークを構築 し、競合 他社が容易に追随で きない、 さまざまなサ ービス を低価格で提供で きることか ら競争優位 を獲得す る戦略で ある。そ して、楽天株式会社のマーケテ ィ ング戦略について は四つ をあげた。 それ は、 ター ゲ ッ ト市場 をきちん と分析す る、 マーケテ イング
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ミックス、価格戦略、商品戦略を しっか り考 える、
商品購買のプロセス、人間がどうやって インター ネ ッ ト上で もの を買 うのか とい うことを しっか り 考 える、 コ ミュニケーシ ョンの重要性 を認識す る などである。
また、 中国ベ ンチ ャー ビジネス企業 のマーケ テ ィング戦略 につ いては、市場戦略、競 争戦略、
イ ノベ ーシ ョンに基づ く技術革 新戦略 か ら分析 し、現在の中国ベ ンチ ャービジネス企業のマーケ テ ィング戦略の問題 を分析 し提案 した。中国ベ ン チ ヤ‑ビジネス企業の市場戦略については、製品 戦略、価格戦略、プロモーシ ョン戦略、販売チャ ネル戦略か ら分析 した。競争戦略については、マ イケル ・ポーターとコ トラーの競争戦略論 を分析 し、各成長段階の競争戦略 を分析 した。国際競争 戦 略 につ いて は、
WT
O加盟後の中国ベ ンチ ャー 企業の競争戦略 を分析 した。 イノベーシ ョンに基 づ く技術戦略に関 しては、ベ ンチ ャー企業 が草新 戦略 を実施す る優位性 があることか ら分析 し、四 つの草新戦略 を提案 した。 それ は自主草新戦略、模倣革新戦略、提携革新戦略、大企業 と合作 して 革 新 す る戦 略で あ る。本章 の最後 に、 中国ベ ン チ ヤ‑ビジネス企業のマーケテ ィング戦略の問題 点 を分析 し提案 した。問題点 としては製品の品質 の問題、認識の偏向、盲 目的に多元化す る、価格 を盲 目的に低価格、高価格 に設定す る、プロモー シ ョン戦略 を設定す るときの問題 などの五つ を挙 げた。
最後 は、今後の中国ベ ンチャービジネス企業の 課題 を分析 し、将来 を展望 した。今後中国のベ ン チ ャービジネス企業の課題 を二つの側面 か ら説明 した。 それはベ ンチャー企業の総合 的な質 を高め、
核心競争力 を育 て る側面 と先進的手段で科学的な 管理 を実現す る側面である。そ して、将来の六つ 趨勢 を展望 した。 ブラン ドと信用度の意識が強 く なる趨勢、先進的手段で科学的な管理 を実現す る 趨勢、現代企業制度 に変 える趨勢、ベ ンチャー企 業の構造 レベルが高 くなる趨勢、ベ ンチ ャー企業 の数が多 くなる趨勢、政府投資を中心 とす る国有 投資に代 って民間投資 を主力 とす る趨勢である。
本論 を通 じて私が開陳 した考 え方 が中国にとっ て大切 なベ ンチャービジネス企業 に少 しで もヒン
トになることを望 んでいる。
キ‑ワー ド:
(∋中国経済 を支 えてい るのは中国の企業 で あ り、
その中で もベ ンチ ャービジネス企業 が一番活躍 してお り、経済 を発展 させ る中心 となっている が、 中国ベ ンチ ャー ビジネス企業 に とっては マーケテ ィング戦略が一番重要 になっている。
①ベ ンチャービジネスの概要 とベ ンチ ャービジネ ス企業のマーケテ ィング戦略の理論 につ いて徹 底的に分析す る。
③ 日本、中国の成功 しているベ ンチ ャービジネス 企業か らそのマーケテ ィング戦略の特徴 を探 る。
④中国ベ ンチャービジネス企業のマーケテ ィング 戦略の提案 として、製品戦略、価格戦略、プロ モーシ ョン戦略、販売チ ャネル戦略、各成長段 階の競争戦略、国際競争戦略、技術革新戦略な どが挙げ られ、中国ベ ンチャービジネス企業の 問題点 として、品質の問題、認識の偏向、盲 目 的な多元化、価格設定の問題、プロモーシ ョン 戦略の問題 などを挙 げ、解決策 を探 る。
⑤ 中国ベ ンチ ャービジネス企業の今後の課題 とし ては、核心競争力 を高 めることと科学的な管理 を実現す ることであ り、今後の展望 としては六 つの趨勢 を見込んだ。