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情報と製造物責任法について(一)

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情報と製造物責任法について(一)

著者 川和 功子

雑誌名 同志社法學

巻 59

号 6

ページ 165‑186

発行年 2008‑03‑31

権利 同志社法學會

URL http://doi.org/10.14988/pa.2017.0000011370

(2)

情報と製造物責任法について 一六五同志社法学五九巻六号

情報と製造物責任法について︵一︶

川 和   功 子

目 一 はじめに二 米国︑おける適用範囲三 損害の種類四 米国法におけるソフトウエアの法的地位について契約法と不法行為法の関係五 書籍・データベースの瑕疵 ︵以上本号︶六 設計上の欠陥七 警告上の欠陥 ⑴ 医療関係 ⑵ キーボードに関する事例 ⑶ 汎用プログラムについての警告八 因果関係九 免責事由一〇 むすびにかえて

︵二五七七︶

(3)

情報と製造物責任法について 一六六同志社法学五九巻六号

一 はじめに

  日本の製造物責任法一条一項は製造物を﹁製造又は加工された動産﹂をいうとし︑﹁基本的には工業的な大量生産・

大量消費になじむような物︵有体物︶を対象としている﹂とする

︒ディスクなどに記憶されたプログラムそのものは無 1︶

体物なので︑製造物に含まれないが機械に組み込まれた場合には動産であるから対象になるとされている

︒﹁ソフトウ 2

エアが

IC

等に記憶されて組み込まれた製品については︑製造物責任の対象とする考え方もあるが︑ソフトウエア自体

については無体物であることから︑製造物責任の対象とすることは適当でない﹂とされ︑ハードウエアは有体物である

ので︑製造物であるとしている

︒さらに︑サービスは物に含まれないとされる 3︶

4︶

  しかしながら︑ソフトウエアやデータベースなどの電子的情報を含む情報の瑕疵により損害が生じた場合︑供給した

者の責任はどのように考えるのか︑製造物責任が適用される範囲が厳格に有体物に限定されることの必然性についての

議論が必ずしもつくされていないように思われる︒有体物の取引を念頭にして発展してきた従来の議論を情報技術の発

展を踏まえ再検討する必要がある

5︶

  近年の情報化社会において︑航空管制システムや︑株式売買システムのソフトの瑕疵に起因して莫大な損害が生じて

いる

︒現行の製造物責任法は︑経済的損害の賠償を認めず︑コンピュータ・ソフトウエアの供給者は︑エンド・ユーザ 6︶

に対し︑直接製造物責任法における責任を負わないとする︒コンピュータ・ソフトウエアの供給者はライセンス契約に

よって︑ソフトウエアを供給し︑契約条項中に︑免責条項を挿入することによって︑責任を回避することが可能である︒

しかしながら︑製造物責任法の対象となるのが︑有体物であり︑情報︑特にコンピュータ・プログラムという特殊な情

報を含めた情報を除外する理由が将来にわたって適切なものであるかについて考察する必要があると思われる︒ ︵二五七八︶

(4)

情報と製造物責任法について 一六七同志社法学五九巻六号   ソフトウエアが機械に組み込まれ︑ソフトウエアの欠陥が製造物の欠陥そして損害を惹き起こした場合︑ソフトウエアはなぜ製造物責任法の射程に入らないのか︑ソフトウエアであるかハードウエアであるかによっての区別が重要とされているが︑実際には︑技術的に︑ソフトウエアで達成できることをハードで代替することも可能である

︒さらに︑ソ 7︶

フトウエアの欠陥はその〝デザイン〟の欠陥であると性格づけられることや︑製造物についての不適切な指示について

は︑純粋な情報と明確に区別されることなどから︑ソフトウエアをそもそも情報と類型化することに関しても︑疑問が

呈されている

8

  本稿においては︑コンピュータ・プログラム︑さらに︑データベースを含めた電子媒体︑紙媒体を問わず情報が製造

物責任法における製造物であると解釈する余地があるのかにつき︑製造物責任法の適用︑あるいは適用の可能性を示唆

するいくつかの事例を紹介しつつ︑製造物責任法の適用範囲について米国の判例︑第二次︑第三次不法行為リステイト

メントを中心に︑EU法︑英国法などの視点も交えながら︑日本法への示唆について考察することを目的としたい︒

二 米国︑EUにおける適用範囲

  米国の第二次不法行為リステイトメント四〇二⒜条︑第三次不法行為リステイトメント一条は︑製品の欠陥によって

生じた人的︑物的な被害に対して責任を課す︒製造物とは有体財産︵

tangible property

︶であるとされ︑役務は製造物

ではないとされる

︒第三次不法行為リステイトメント一九⒜条において製造物とは︑メーターを通過し︑顧客の構内に 9︶

入った電気など一定の無体財産や大規模に建設されるような一部の不動産を除いて有体財産をいうとしている

︒判例に 10

おいては︑後述のように政策的考慮から地図︑航空地図は製造物とされている実情が存在する

11

︵二五七九︶

(5)

情報と製造物責任法について 一六八同志社法学五九巻六号

  EUにおける﹁欠陥製品の責任に関する加盟国の法律︑規則及び行政規定の統一化のための一九八五年七月二五日の

閣僚理事会指令﹂︵以下EC指令

︶は製造者に対し製品の欠陥によって生じた損害について責任を課す︒改正された二 12

条は︑製品とは︑動産であって︑他の動産にまたは不動産に組み込まれているものを含み︑電気も含むとする︒ソフト

ウエア自体は適用の範囲内ではないが︑欠陥のあるソフトウエアを組み込んだ自動車や医療機器は︑適用の範囲内で

ある

13

  EC指令の英国における国内法規化に際し︑英国貿易産業省︵DTI︑現在のビジネス・企業・規制改革省︵

Department

for Business, Enterprise and Regulatory Reform

︶︶は当初︑本︑レコード︑テープ︑コンピュータ・ソフトウエアなど

の情報について指令は責任を課す様子はないものの︑欠陥あるソフトウエアを組み込んだ機械の製造者に責任を課すこ

とは重要であるとしていた︒そして︑新規の技術分野において︑ハードウエアとソフトウエアの区別は曖昧になってき

ていることから︑情報と製造物の区別は簡単ではないとし︑ソフトとハードを区別することに懐疑的な態度を示してい

たようである

Consumer Protection

︒しかしながら︑その後︑EC指令が国内法規化された一九八七年消費者保護法︵ 14

Act 1987

︶について解説した指針において︑消費者保護法は製造物についての指示や警告を除く︑純粋な情報︵

pure

information

︶には適用されないとし︑製造物をデザインした者は︑製品の欠陥を惹き起こしたデザインの誤りについて︑

本法における責任は負わず︑製造者がその責任を負うとする︒さらに︑ソフトウエアについても同様に航空ナビゲート

システムまたはロボットなどが人身損害を惹き起こした場合には︑そのデザインを設計した者でなく︑その製品の製造

者が責任を負うとする

︒つまり︑ソフトウエアのデザインについてはサービスの提供であるゆえに︑製造物責任の適用 15

はないとしている︒

  確かにコンピュータ・システムを提供する取引などについて︑コンサルテーション︑オペレーターの教育など︑成果 ︵二五八〇︶

(6)

情報と製造物責任法について 一六九同志社法学五九巻六号 物が残らない純粋な役務の提供について製造物責任法を適用することは困難であるが︑ソフトウエアの提供︑特にカスタムソフトを除く︑汎用ソフトの提供のすべても含め製造物責任法の適用対象外とすることができるのか考慮する必要がある︒

三 損害の種類

  情報あるいは電子的情報が原因となり発生する損害にはどのような種類のものがあるのか︑本稿における考察の範囲

について考慮する︒もちろんソフトウエア自体が損害を惹き起こすということは考えにくく︑アウトプットに基づいて

何らかの行為がなされるか︑機械の一部として使用され︑その機械が損害を生じさせることになる︒

  まず︑情報の瑕疵のために被害者が直接的に損害を蒙る場合が存在する︒例えば︑薬のラベル︑医療情報データベー

ス︑医療カルテ︑航空地図︑株価情報︑投資情報の誤りなど電子媒体あるいは紙媒体に記載される情報によって︑経済

的損害あるいは人的損害が生じる場合がある︒近年︑医療の分野において︑インターネットの普及は電子カルテシステ

ムや遠隔医療支援システムなどの促進︑整備を促す契機となっている

︒他方︑ネット上の不正確な医療情報を信頼する 16

ことによって被害が生じる可能性が指摘される

︒株価情報などコンピュータのアウトプットを信頼して会社に投資した 17

場合には︑経済的な損失が生じるが︑このタイプのいわゆる純粋経済的損害は︑第三次不法行為リステイトメント二一

条コメントによれば︑一般的に製造物責任の適用の範囲外であるとされる︒

  日本においては︑第一四次国民生活審議会の報告において︑純粋経済的損害につき︑賠償すべき損害の範囲に含める

ことは適当でないと考えられるとの意見が提出された︒この理由は︑経済的損害が︑製造物責任が対象とする損害には

︵二五八一︶

(7)

情報と製造物責任法について 一七〇同志社法学五九巻六号

なじまないこと︑この種類の損害は消費者個人よりも企業にとって大きな意味をもっていること︑経済的損害の賠償を

認めると損害の範囲が無限定に拡大するおそれがあることである

︒製造物責任法において純粋経済損害が製造物責任法 18

の定める保護法益としての財産の侵害に含まれるかは明確ではないものの︑製造物責任法は製造物責任が成立する場合

を﹁他人の生命︑身体又は財産を侵害したとき﹂と規定していることから︑製造物責任法の保護法益は有形的な人的損

害や︑物的損害に限られ︑純粋経済損害については民法上の契約責任あるいは不法行為責任の問題として処理されるべ

きであるとされる

19

  次に︑ハードが介在することにはなるが︑コンピュータ・プログラムによって制御された産業機器︑スペースシャト

ル︑航空機︑自動車︑医療機器に埋め込まれたプログラムが誤作動を起こし︑損害を生じさせる場面が生じる

︒自動車 20

の場合︑実際のリコール例としてトランスミッションを制御するコントロール・ユニットのプログラムが不適切なため︑

走行不能となるおそれがある事例

︑エンジンコンピュータ制御が不適切なため︑触媒コンバータが異常過熱して損傷し︑ 21

火災に至るおそれがある事例

などソフトが原因とみられる欠陥の事例は多く見受けられる︒ 22

  しかしながら︑大規模で複雑なシステムにおいては︑損害の原因がソフトウエアなのか︑ハードウエアなのかを突き

止めることが困難な場合も存在する︒機器の役割についても︑例えば︑医療用の手術用ロボットについては︑﹁従来の

外科医の操作を単に代行する段階のものから︑機械化の特性を生かしてヒトの作業精度を向上させるもの︑さらに既存

の治療手技を越えた治療手技を可能とするもの﹂などがあることから︑損害が︑製造物の欠陥に基づくものであるのか︑

医師や医療技術者などの使用者の操作の誤りによるものなのかの判断が必要とされる場面も想定される

︒このようにコ 23

ンピュータ技術の発展により︑操作方法についてより専門的な技術を必要とされる製品が生産されるなかで︑ユーザー

フレンドリーでかつ安全な製品へのニーズが増大する傾向にある

24 ︵二五八二︶

(8)

情報と製造物責任法について 一七一同志社法学五九巻六号 四 米国法におけるソフトウエアの法的地位について

契約法と不法行為法の関係

  本章においては︑製造物責任法が生まれた米国において︑製造物責任法の生成を中心に不法行為法と契約法の発展の

歴史について簡略に言及することにより︑ソフトウエアやデータベースなどを含む電子情報取引紛争に適用される契約

法と不法行為法について考察し︑ソフトウエアが今後の製造物責任の適用範囲に含まれる可能性が存在するかどうかに

ついて検討する

  まず︑契約法において︑当初は

caveat emptor

が採用されていたものの︑交渉取引を行う者の経済的利益の保護のため︑

明示的保証︑黙示的保証が契約法の理論として採用された︒しかしながら︑契約法の枠組みにおいては︑当事者間に契

約関係が存在することと︑当事者間における保証を排除することが可能である︒そこで︑契約法の枠を超え︑契約関係

にない当事者間において︑身体に直接使用される化粧品などについて保証責任が課されたり︑﹁本質的に危険な物品

article

︶﹂の場合などにつき不法行為上の過失責任を根拠に責任が課されるようになり︑さらに︑身体的︑物理的な損

害に関して︑不法行為上の厳格責任の適用がなされるようになった

︒厳格責任を課す理由は以下の三つの理由に集約さ 25

れるとされる︒㈠危険な製造物についての損害のコストは︑それを製造し︑販売するものによって負担されるべきであ

ること︑そのコストは製品のコストに上乗せできること︑㈡厳格責任の採用と過失を証明する必要性を排除することは

事故の防止につながること︑㈢過失が責任を課す正当な理由となるにしても︑過失の証明が困難なことや︑訴訟のコス

トなどの点から︑製造物の欠陥が適正に定義され︑限定されれば︑過失の証明は必要とされるべきではないこと

︒この 26

ような政策的な理由から︑ALIによって第二次不法行為リステイトメント四〇二A条が採用された︒EC指令の前文

においても︑米国の場合と同様に︑製造者の無過失責任は︑専門性が増す現代において︑近代的な技術による生産に内

︵二五八三︶

(9)

情報と製造物責任法について 一七二同志社法学五九巻六号

在するリスクの公平な分配をするために必要であるという政策的根拠がかかげられる

27

  このように従来の契約法︑不法行為法の理論において救済することが困難なケースの存在が︑不法行為法の適用範囲

を広げてきた︒そこで︑ソフトウエアやデータベースを含む電子情報取引について︑現在適用されている契約法の状況

について簡単に言及し︑契約法の状況が︑適用しうる不法行為法の状況に与える影響について考察する︒

  ハードウエアまたはソフトウエア︑あるいは双方が取引される取引は︑目的物の提供と役務の提供が混在した取引で

ある場合も多い︒このような取引に関し︑物品の売買に適用される第二編が適用されるか︑役務の提供に適用されるコ

モンローが適用されるかについて︑多数の州の裁判所は︑特にハードウエアとソフトウエアが混合した多くの取引につ

いて契約の支配的目的が物品の売買であるとし︑第二編を適用してきた

︒他方︑役務の提供が取引の支配的な目的であ 28

るとされる場合には役務の提供について規定するコモンローが適用されてきた

︒さらに︑ソフトウエアとハードウエア 29

の混合取引だけでなく︑ソフトウエア単体を巡るいくつかの紛争においても︑役務の提供が支配的な目的であるとされ

る場合を除き︑品質保証が付与される物品の売買の規定が適用されてきた

︒売買法の理論が適用されるのは︑品質の保 30

証が必要とされるべきであるという商業上の需容に負うところが大きい

とされる︒ 31

  UCC第二編は︑物品が商品性や特定目的に適合するという物品の品質水準についての黙示的保証についての規定を

有する︒UCC二

三一三条は︑明示の保証は︑物品に関して売主が買主に対してなした事実の確言や約束で︑物品に

関連し︑かつ取引の基礎の一部をなすものであるとする

︒取引の基礎の一部を構成する物品の説明は︑その物品が説明 32

通りであるという明示の保証であるとされる

︒いったん言葉や︑行為において明示の保証がなされると︑その排除は難 33

しい︒黙示の保証は︑㈠権利侵害の主張に係わる権限の保証

︑㈡商品性の保証 34

︑㈢物品の特定目的への適合性の保証 35

36

に区別される︒商品性の保証とは︑通常の目的に適するものであることについての保証であり︑特定目的への適合の保 ︵二五八四︶

(10)

情報と製造物責任法について 一七三同志社法学五九巻六号 証とは︑その物品が求められている特定の目的を売主が知り︑かつ︑買主が適切な物品を選択し︑または供給するについて売主の技能もしくは判断に信頼していることを売主が知る合理的な理由が存在する場合には︑そのような目的に適合することを保証するものである︒黙示の保証は︑明示の保証と異なり︑UCC第二編に定められた方式に従って排除

することが可能である︒同二

三一六条二項は︑黙示の保証の排除または変更について︑商品性への言及と︑明確性を

要求する︒また︑同二

三一六条三項は保証の排除につき︑﹁﹁現状のまま﹂︑﹁すべての瑕疵のまま﹂等︑通念上保証の

排除について買主の注意を喚起し︑黙示の保証が存しないことを明らかにするものと認められる文言によって排除され

る﹂とする︒

  他方︑コモンロー上の原則によると︑役務の提供者は︑合理的な技能と注意︑勤勉さをもって手際良く︵

workmanlike

manner

︶サービスを提供することが義務づけられている

︒しかしこの場合︑提供される目的物の品質自体に関わる黙 37

示的条項は存在しない︒

  しかしながら︑契約の種類についての判断が裁判所の判断によって左右されるため︑必ずしも一貫しない事態も生

38

︒ 高 度 情 報 化 時 代 に 対 応 す る コ ン ピ ュ ー タ 情 報 に 適 用 す る 法 律 と し て の U C I T

A︵

Uniform Computer

Information T ransaction Act

・コンピュータ情報取引法︶は

︑ U CC 第二 B 編としてまず起草され

︑ N CC U S L

National Conference of Commissioners on Uniform State Laws

・統一州法委員全米会議︶によって一九九九年に採用さ

れた︒その後二〇〇二年に最終的な改正が行われている︒UCITAはコンピュータ情報取引について︑契約の締結︑

第二編と同様の明示的保証︑黙示的保証についての規定を含む︒まず︑四〇二条は明示的保証について定める︒ライセ

ンサーからライセンシーに対してなされる事実の確言又は約束であって広告を含む当該情報に関連しかつ取引の基礎の

一部をなすものであれば︑明示的保証となる︒四〇三⒜条は︑第二編の商品性にかかわる黙示的保証と同じくコンピュ

︵二五八五︶

(11)

情報と製造物責任法について 一七四同志社法学五九巻六号

ータ・プログラムに関しても︑取引上意義なく通用し︑通常の目的に適する旨の商品性に関わる黙示的保証を課す︒他

方四〇四⒜条は︑特別な信頼関係が存在する場合︑情報コンテントを収集︑編集︑処理︑提供し又は伝達する商人に対

し︑情報の正確さについて合理的な注意を発揮するという︑役務提供の場合におけるコモンロー上の義務と同様の黙示

的保証を課す︒四〇五条⒝条はこのような黙示的保証は情報コンテントの美感︑魅力︑並びに嗜好への適合といった情

報コンテントの主観的な性質には及ばないとされる︒

  四〇三⒜条における商品性にかかわる黙示的保証と四〇四⒜条の合理的な注意に関する保証は単一の取引に重複し

て適用することができる︒プログラムとその機能には商品性の保証が課され︑情報コンテントとデータに関しては合理

的な努力をする黙示的保証が課される︒

  さらに︑四〇五⒜⑴条は︑排除または修正されない限り︑ライセンサーが契約時において︑コンピュータ情報が要求

される特定の目的を知る合理的な理由を有し︑かつ︑ライセンシーが︑ライセンサーの適切な情報を選択︑開発または

提供する技能または判断に依存した場合︑情報がその目的に適合する旨の黙示的保証が存在するとされる︒

  さらに︑四〇五⒞条はシステムのインテグレーションの保証という新しいタイプの保証について定める︒合意によっ

て︑ライセンサーが︑コンピュータ・プログラムと物品によって構成されるシステムを提供し︑または選択することが

要求されており︑ライセンサーが︑ライセンシーがライセンサーの技能や判断に依存していることを知る合理的な理由

がある場合︑提供され︑または選択された部分は共にシステムとして機能するという黙示の保証が課される︒このよう

に︑コンピュータ情報一般に関しては︑物品と同様の黙示的保証についての規定を採用する一方で︑役務の提供に関す

る取引については︑コモンローと同様のルールを採用するものである︒

  さらに︑四〇六条は黙示的保証について︑記録において︑品質︑商品性︑正確性︑努力︑特定目的の充足などの語句 ︵二五八六︶

(12)

情報と製造物責任法について 一七五同志社法学五九巻六号 を使用し︑顕著に記載されれば︑排除できると定める︒このように契約において保証を排除することが容易な統一商事法典第二編の構造をそのまま引き継ぐのがUCITAである︒UCITAはさらに︑ライセンスの条項に同意しないな

ら︑返却ができる場合を定め︑ライセンスへの同意を徹底させる方向を貫いている

39

  しかしながら︑UCITAを採択した州はヴァージニア州

とメリーランド州 40

bombshelter

の二州にとどまり︑逆に法 41

といわれ︑州民をUCITAの適用から保護する規定がアイオワ州︑ノースカロライナ州︑ウエストヴァージニア州︑

バーモント州で採用されるにいたる

という状況となっている︒いくつかの改正を行った後も︑UCITAに対する多く 42

の批判はおさまらず︑NCCUSLは二〇〇三年八月には州に法を採択するように働きかける試みを断念すると公表

した

43

  平行して行われたUCC第二編の改正では︑情報自体はその適用範囲から除外する方針を採用する

︒物品の情報の混 44

合した取引については︑裁判所が部分的にまたは全体に第二編を適用するかについて判断するとされる

︒自動車はコン 45

ピュータ・プログラムが多く含まれていても第二編の範囲に入るスマートグッズ︵

smart goods

︶であり︑ディスケッ

トに入った設計図は物品ではないとされているものの︑混合取引の分類についての明確な指針は提示されていない︒従

って︑情報が適用範囲から除外されたことで︑従来第二編が適用されていた取引に対し︑コモンローが適用される場合

もあること︑第二編の商品性についての黙示的保証の規定が適用されないことが︑製品に対して特定の品質水準を求め

る消費者の期待に沿わない場合があることが懸念される

︒UCITAを採用していない州において︑パッケージソフト 46

を巡る紛争において︑引き続き第二編を課す判例もあるものの

︑ユーザーに対し︑品質に関する保証が十分に与えられ 47

ない場合︑ユーザーは不法行為法における救済を求め︑過失不実表示︑コンピュータ・プログラマーの専門家責任︑製

造物責任などを根拠に争う可能性が存在する

︒つまり︑契約法上求めることができる救済の限界が︑不法行為に基づく 48

︵二五八七︶

(13)

情報と製造物責任法について 一七六同志社法学五九巻六号

請求を増加させる引き金となる可能性が存在する︒専門家の責任︵

professional malpractice

︶の追求も考えられるが︑

現在のところ︑当事者に契約が存在する場合においては︑非良心性などの問題がなければ︑責任排除条項が有効とされ

過失不実表示の請求は認められず︑専門家の責任が認められた判例は数少ない

︒他方英国においてはカスタムメイドの 49

ソフトウエアの供給がなされた事例において専門家責任が認められる裁判例が存在する

50

  不法行為法と契約法は︑このようにその主旨︑適用範囲を異にするものの相互補完的な役割を果たしている︒

  第二編の改正過程においても︑保証違反による人的または物的損害についての請求を認め︑期間内に通知しなければ

ならないとする要件を外し︑人的損害に関する間接的損害︵

consequential damage

︶の制限︑排除が無効とする規定を

置くことにより︑製造物責任法とのハーモナイゼーションを図ろうとする案も存在したが︑﹁欠陥﹂の概念は契約法に

おける物品の描写についての概念とは異なり︑直接の買主でない者にも及ぶことなどの事情からハーモナイゼーション

は断念された

51

五 書籍・データベースの瑕疵

  製造物責任法の適用が問題となった︑書籍における情報の瑕疵が人的損害を惹き起こした事例について紹介する︒米

国の判例において航空地図は製造物であるとして︑出版社の責任が問われており︑同じ情報であるソフトウエアも適用

範囲に含まれるかどうかの参考となる︒

W inter v . G.P . Putnam's Sons

は︑きのこの百科事典に記載されていた情報が誤っていたため毒キノコを食し︑損害を 52

蒙ったとして︑出版社に対し︑製造物責任︑保証違反︑過失︑過失不実表示︑詐欺的不実表示に基づき損害賠償の請求 ︵二五八八︶

(14)

情報と製造物責任法について 一七七同志社法学五九巻六号 がなされたケースである︒裁判所は本に含まれた情報は製造物責任法における製造物ではなく︑出版社は出版するテキストの正確さを調査する義務はないことを理由に被告にサマリージャジメント︵

summary judgement

︶を下した地方裁

判所の判断を維持した︒

  原告は︑物理的な行動を達成することの指示を与え︑かつ本質的に危険な活動の一部として使用されることを意図し

た本に製造物責任のルールが適用されるべきだとしたが︑裁判所はそのような区別は幻想にすぎず︑ハウツーものの本

は特別なジャンルに属するものの︑﹁良い人生を送る﹂︵

“How T o Live A Good Life ”

︶本を製造物責任の範疇から外し﹁良

いエクササイズをする﹂︵

“How T o Exercise Properly ”

︶本を製造物責任の範疇に残す理由はないとした

53

  他方︑後述する裁判例における航空地図は︑高度に技術的な道具であり︑技術的で機械的なデータを図で表示したも

のであって︑コンパスのようなものであるとした︒コンパスも航空地図も自然界の特色︵

natural features

︶についての

特定の知識が必要とされる活動に従事する個人を指導するために使用されるものであり︑コンピュータ・ソフトウエア

もまた同様であるとした︒きのこの百科事典はコンパスまたは航空地図の使用方法についての︵

"How to Use"

︶本であ

るとする︒そして地図は物理的な製造物で︑使用方法についての本は純粋な考えと表現であるとする

︒さらに︑出版社 54

は合衆国憲法第一修正により︑本に含まれたアイディアと表現に責任を課すことはできないとし︑出版社に出版するテ

キストの正確性を調査する義務はないとする

55

  航空地図の瑕疵により︑飛行機が墜落し︑航空地図の出版社が訴えられた事件である 

Aena Casualty and Surety

Co. v . Jeppesen & Co.

Jeppesen

において︑第九巡回区連邦控訴裁判所は航空地図について製造物であるとの判断を 56

下した︒このケースにおいては︑地図自体は間違っていなかったものの︑その他の

Jeppesen

のほとんどの地図と異なり︑

上空からの景色を描写した地図と︑許容される高さを描写した下降ラインが付されている側面から見た景色の縮尺が異

︵二五八九︶

(15)

情報と製造物責任法について 一七八同志社法学五九巻六号

なっていた︒裁判所は︑航空用の地図の目的は︑情報を︑即時に理解しやすい︑グラフィックな表示にすることであっ

て︑それが︑この地図に有用性を与えるものであり︑信頼を誘因するものであったとする︒ネバダ州法においては︑意

図された使用に安全でない︑設計上欠陥のある製品によって引き起こされた損害について︑原告が使用の際︑その欠陥

について認識していなかった場合︑回復を請求することができるとされる

︒この地図が通常のグラフィック表示とは 57

根本的に異なっており︑言葉と数字と︑グラフィックによる情報が矛盾していることが︑地図を非合理的に危険で︑欠

陥のある製品にしたと判断した地裁の判断は︑明確に誤っていなかったと判断された

58

Halstead v . United States

Jeppesen

においても︑航空地図は製造物であるとされた︒は航空チャートの出版社とし 59

て︑米国政府から情報を収集し︑その情報を商業航空会社などに売られている地図に図として表示して移転しており︑

その取引は製品の取引ではなく︑役務の取引であると主張した︒しかし︑裁判所は︑

Jeppesen

が医学や建築学︑工学

などの認められた専門のメンバーではなく︑専門的な技能が地図の製造に関わっていたとしても︑大量に製造され︑頒

布されているため︑第二次リステイトメント四〇二A条の理論的根拠に基づいて︑航空地図は製造物であるとされた

60

専門的な技能に基づく役務の提供がなされた場合であっても︑その結果が大量に製造され︑頒布された場合においては︑

製造物の範疇に入れることができる︒

Saloomey v . Jeppesen & C o

.,

においても︑航空地図は第二次リステイトメント四〇二A条のコメントcの理由に基 61

づいて︑製造物であるとされた

Jeppesen

︒裁判所は︑チャートがによって製造され︑被害者に個人的なカスタマイズや︑ 62

内容の本質的な変更なしに大量生産され︑被害者に到達したこと︑地図を販売することによって︑

Jeppesen

は売主は

消費者が地図の使用によって損害を蒙らないという売主の特別な責任を引受けたこと︑責任は︑

Jeppesen

がデザイナー︑

売主︑製造者であること︑さらに︑地図を大量に製造︑販売することによって︑

Jeppesen

は責任保険によってその事 ︵二五九〇︶

(16)

情報と製造物責任法について 一七九同志社法学五九巻六号 故のコストの負担を補填する権利があり︑かつ︑そのように対処することが奨励されるとした

︒この事件においては︑ 63

大量生産︑販売︑売主の信頼︑リスクの配分といった理由が︑製造物責任法適用の理由となっている︒

  地図はコンパスなので製造物責任の適用があり︑きのこの百科事典はコンパスまたは航空地図をどのように使用した

らよいのかについての本であるとする解釈︑さらに︑製品と純粋な表現という区別については︑あまり説得力がないよ

うに思われる︒地図もキノコの百科事典も人に読まれる必要性があり︑情報に基づいて人が行動を起こすことによって︑

損害が発生する︒地図の場合︑行動を起こす状況がより切迫しており︑情報の真偽について調査する余地が少ない可能

性はあるかもしれない︒しかしながら︑キノコの百科辞典について責任を課すことができれば︑ありとあらゆるハウツ

ーものに関して責任を課す可能性が生じ︑合衆国憲法第一修正によって保護される表現の自由や︑アイディアの頒布と

いう目的と矛盾する恐れが生じる︒その点航空地図については表現の自由を主張する余地は非常に限定されているよう

に思われる

64

  裁判所は︑地図がもたらす危険性︑役務の提供が関わっていたとしても︑個人的なカスタマイズや︑内容の本質的な

変更なしに大量生産され︑頒布され被害者に到達したこと︑売主に対する信頼︑製造者は責任保険によってその事故の

コストの負担を補填でき︑かつ︑そのように対処することが奨励されることなどの政策的な理由付けをもって製造物責

任法を適用する根拠としている︒つまり︑これらの要素が存在し︑表現の自由と矛盾しない限り製造物責任法の適用が

考えられることとなる︒

  カスタムメイドのソフトを除く︑自動車のコンピュータの欠陥事例などを考えると︑危険性︑大量生産︑などの条件

があれば︑危険を回避することのできるポジションにあり︑責任を補する保険に加入することができるソフトウエアの

提供者に対して製造物責任を課す可能性は十分に考慮することができるかもしれない︒ソフトウエアは﹁情報﹂ではあ

︵二五九一︶

(17)

情報と製造物責任法について 一八〇同志社法学五九巻六号

るものの︑表現の自由が問題とされることはない︒さらにその欠陥はソフトウエアの﹁設計エラー﹂という性格づけら

れることから︑本などの情報と異なっている

65

  日本においては︑翻訳書の購入者が書籍の発売元に対し︑書籍の質的な内容についての品質保証責任︵製造物責任︶

を負うとして︑誤訳・翻訳漏れを理由とする正訳文の引渡し︑差換え︑またはそれに代る慰藉料の支払請求をした裁判

例が存在する︒原告は製造物責任の責任について︑﹁大量生産・大量販売という構造そのものを前提として︑生産者の

消費者に対する直接の品質保証という法的メルクマールにより成立するもの﹂であるとし︑書籍の発売元は︑直接購読

者に対し︑品質をチエツクすべき義務があると主張した︒

  裁判所は︑食品や医薬品のように︑欠陥が人の生命︑身体に直接的に重大で回復困難な被害を及ぼす場合には︑その

危険性に鑑み︑生産者だけでなく製造販売業者に対しても品質保証責任を課す余地があるとする︒しかし︑その他の商

品については︑﹁その商品の種類︑性質︑流通過程の実態︑消費者側の選択能力や選択可能性︑さらにはその欠陥によ

って生じうる被害の内容と危険性の度合︑そして責任ありと主張される者がその欠陥を防止できる立場にあるか否か﹂

といった点を検討して品質保証責任を負うべきかを考慮すべきであるとした︒裁判所は︑食品や医薬品の場合に比べ︑

書籍については︑欠陥によって生じうる被害についても軽度なものであるし︑一般的には消費者がその内容を判断し︑

被害を回避することが相当程度可能であること︑発売元に書籍の内容を検討する義務を課すことは︑弱小出版社による

出版を困難なもの可能性があるため︑書籍の発売元は書籍の内容について法的にする検討義務があると解することはで

きず︑品質保証責任はないとする︒さらに︑﹁書籍の奥付けに落丁︑乱丁本は取り替える﹂といった表示は落丁︑乱丁

といった製本工程上の瑕疵あるいは印刷ずれといつた印刷上の瑕疵のある場合に︑書籍を発行した出版社がこれを瑕疵

のないものと取り替える責任を負うことを表示するものに過ぎないとした︒ ︵二五九二︶

(18)

情報と製造物責任法について 一八一同志社法学五九巻六号   この事例における書籍は︑実用書でもなく︑きのこの百科事典よりさらに︑製造物責任法を適用する根拠に乏しい︒

このように︑大量生産・大量販売︑カスタマイズされていないこと︑保険の可能性︑といった要因だけでは︑製造物責

任法に基づく責任を課すことは困難である︒表現の自由を制約しない︑より物品的で︑損害が直接導かれる目的物につ

いて製造物責任法の適用が可能となる︒

1︶ 通商産業省産業政策局消費経済課編﹃製造物責任法の解説﹄六二頁︵通商産業調査会︑一九九四年︶

2︶ 通商産業省産業政策局消費経済課編

1七頁︒経済企画庁国民生活局消費者行政第一課編﹁逐条解説製造物責任法﹂五九頁︵商

事法務研究会︑一九九四年︶

http://3︶ 第一四次国民生活審議会消費者政策部会報告﹁製造物責任制度を中心とした総合的な消費者被害防止救済の在り方について﹂

wp.cao.go.jp/zenbun/kokuseishin/spc14/houkoku_d/spc14-houkoku_d-contents.html.︵最終アクセス日二〇〇七年一一月三〇日︶

4︶ 通商産業省産業政策局消費経済課編・前掲注︵

1︶六三頁︒

――5︶ 北川善太郎﹁情報と民事責任の枠組み情報のPL問題﹂財団法人比較法研究センター﹃情報の瑕疵がもたらす民事上の責任に関

する調査研究﹄五三頁︵財団法人産業研究所一九九三年︶︒松本恒雄コンピュータ・プログラムの瑕疵と製造物責任﹂財団法人比較法研

究センター﹃情報産業と製造物責任に関する調査研究﹄四頁︵財団法人産業研究所︑一九九二年︶

http://wwwNIKKEI BP NET.nikkeibp.co.jp/archives/235/235747.6︶ ﹁管制システム障害は既存のバグプログラムが原因﹂二〇〇三年三月一二日︶

html.︵最終アクセス日二〇〇七年一一月三〇日︶︒日経コンピュータ﹁東証システム障害の真相︑富士通の指示ミスでプログラムが呼び出し

不能に﹂http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20051107/224141/.

  ︵最終アクセス日二〇〇七年一一月三〇日︶

C.2000 ed. 4194AW LOMPUTERTONTRODUCTION, IAINBRIDGE BIDAVD7︶ th

3; W17456ORT ed. 2005 T.VAW.H. ROGERS, WINFIELDAND J217 LON MDIANE ROWLAND & ELIZABETHACECHNOLOGYD'ONALD, INFORMATION TOLOWICZ8︶ rdth

ed. 2006.

1998 T19 §IABILITY LRODUCTS: PORTSOFHIRDTTEMENTAESTR9︶ 

︶ .

︵二五九三︶

(19)

情報と製造物責任法について 一八二同志社法学五九巻六号

10 §19 cmts. d and e 1998.Id.︶  11Id. §19 cmt.d. ︶ ただし︑文書中の誤った情報についての責任は厳格責任ではなく︑不実表示責任によるべきであるとする︒

12Council Directive 85/374/EEC of 25 July 1985 on the approximation of the laws, regulations and administrative provisions of the Member States ︶  concerning liability for defective products OJ L 2107.8.1985 p. 29, amended by Directive 1999/34/EC of the European Parliament and of the Council of 10 May 1999OJ L 14104.06.1999 p.20.

13OJ1989 C114/42.︶ 

14DTI, para.47Nov. 1985.Implementation of the EC Directive on Products Liability, ︶ 

15DTI, 22866.2007, 27. last visited Nov.pdf. .uk/files/file.berr http://www2001Dec. 11para..govGuide to the Consumer Protection Act 1987, .︶  16E-Health――︶ 手嶋豊を巡る法律上の問題医療過誤を中心として﹂民商一三三巻四号一二三頁以下︵二〇〇六年︶保健医療情報

システム検討会﹁保険医療分野の情報化にむけてのグランドデザイン最終提言﹂http://www.mhlw.go.jp/shingi/0112/dl/s1226-1.pdf.︵最終アク

セス日二〇〇七年一〇月一八日︶︒金子宏直情報技術を利用した医療と法的問題﹂野村豊弘ほかコンピュータ社会における人生命 倫理と法﹄六三頁以下︵レクシスネクシス・ジャパン︑二〇〇七年︶

17︶ 手嶋・前掲注

16World Medical Association, Statement on Accountability, Responsibilities and Ethical Guidelines in the ︶七一七頁 Practice of Telemedicine1999, http://www.wma.net/e/policy/a7.htm. last visited Oct. 18, 2007; 日本インターネット医療協議会﹁インター

ネット上の医療情報の利用の手引き﹂http://www.jima.or.jp/userguide1.html.︵最終アクセス日二〇〇七年一〇月一八日︶︒インターネット上

の医療情報を利用する際︑インターネット上の医療情報について情報提供の主体が明確なサイトの情報を利用すること︑営利性のない情報

を利用する客観的な裏付けがある科学的な情報を利用すること︑公共の医療機関︑公的研究機関により提供される医療情報を主に利用する

こと︑常に新しい情報を利用する数の情報源を比較検討すること︑情報の利用は自己責任が原則であることなど記載されている︒

18︶  消費者政策部会報告

﹁製造物責任制度を中心とした総合的な消費者被害防止

・救済の在り方について﹂

http://wp.cao.go.jp/zenbun/

kokuseishin/spc14/houkoku_d/spc14-houkoku_d-contents.html.︵最終アクセス日二〇〇七年一〇月一八日︶

19︶ 朝見行弘﹁製造物責任法第三条﹂遠藤浩編﹃別冊法学セミナー基本法コンメンタール第四版債権各論﹄一七八頁︵有斐閣︑二〇〇五年︶

コンピュータシステムに関して製造物責任法の適用が主張されたケースとして︑売り上げ管理ソフトウエアを含むコンピュータ・システ

ム全体のソフトウエアの欠陥について︑債務不履行のほか︑製造物責任法の適用が可能であると主張されたとのことである︵日経コンピュ ︵二五九四︶

(20)

情報と製造物責任法について 一八三同志社法学五九巻六号 ータ一九九八年一〇月二六日号︶

20―︶ 医療機器事故に基づく民事責任について取扱うものとして錦織成史﹁医療機器事故に基づく民事責任

―2完﹂法学論叢一一五巻六号

一頁︑八頁︵一九八四年︶参照︒

21︶ ダイムラークライスラー日本株式会社が平成一八年七月三一日に国土交通大臣に行ったリコールの届出によれば︑﹁トランスミッション

を制御するコントロールニットのプログラムが不適切なためギヤ変速用シフトリンダに規定値を超える高い圧縮空気が供給され︑ピ

ストンがシリンダヘッドに強く接触することがある︒そのため︑そのままの状態で使用を続けると︑接触の際の振動によりコントロール

ユニット基板内で接触不良が生じ

︑正常な変速制御が行われなくなり

走行不能となるおそれがある﹂とされる

http://www.mlit.go.jp/

jidosha/recall/recall06/07/list/recall07-311_l.pdf.︵最終アクセス日二〇〇七年一〇月一八日︶

22︶ トヨタ自動車株式会社が平成一八年一一月一六日国土交通省に行ったリコールの届出によれば︑﹁排出ガス中の酸素濃度を検出する空燃比

︵空気と燃料の比率︶センサ回路故障時のエンジンコンピュータ制御が不適切なため︑センサの内部配線が断線した場合等に適正な空燃比が

得られなくなることがある︒そのため︑そのまま使用を続けると︑断線時に触媒コンバータが異常過熱して損傷し︑最悪の場合︑火災に至

るおそれがある﹂とされる︒http://www.mlit.go.jp/jidosha/recall/recall06/11/list/recall11-163_l.pdf. ︵最終アクセス日二〇〇七年一〇月一八日︶

23︶ 篠原一彦﹁コンピュータによる医療行為﹂野村前掲注

16―︶九八九九頁︒さらに︑﹁入手した生体情報を解析し薬剤投与などの治療

行為までを自動的に行う医療機器は︑心臓ペースメーカー︑埋込型自動除細動器や人工膵臓︵自動インスリン投与装置︶を除いては存在し

ないのが現状﹂とし︑全身の多彩な因子に配慮した総合的判断医師の治療行為の意思決定自体を機械の側にゆだねることへの抵抗感から

医療現場での自動化は航空運航の場合の自動化とは状況を異にすることを指摘する︒九六頁︒

24ESIGN:2 §EFECTS DACTURINGANUF MAND: DIABILITY LRODUCTS.E., P PASS BEWISL18 ︶ 

2d ed.2006.

25EETONEETONETAL, PROSSERAND KONAGE THE LAWOF TORTS K. P, 389MacPherson v. Buick Motor Co., 217 N.Y. 382, , ; W111 N.E. 1050, 10531916︶  682-6915 th ed. 1984.

26KEETONETAL. supra note 25 at 693.︶ 

2785/374/EEC preamble.︶  28. 738. Supp. F479. National Cash Register Corp., ; Chatlos Systems, Inc. v1985th Cir9543d 2 F.772. Lab-Con, Inc. RRX Industries, Inc. vD.︶  N.J. 1979, aff'd, 670 F.2d 13043d Cir. 1982.

︵二五九五︶

(21)

情報と製造物責任法について 一八四同志社法学五九巻六号

29, ); Jennifer B. Cannata, 1995(231244 n.1239. S. Cal. L. Rev68, Intellectual Property and Shrinkwrap Licenses, Mark A. LemleyNote,Time is︶  Running out for Customized Software: Resolving the Goods VersusService Controversy for Year 2000 Contractual Dispute,21 Cardozo L. Rev. 283, 289-294 (1999); Data Processing Servs., Inc. v. L.H. Smith Oil Corp., 492 N.E.2d 314, 318 (Ind. Ct. App. 1986); 川和功子﹁コンピュー

タ契約と商事法典第二編︵一︶民商一一三巻四︐五号︑七一三頁以下︵一九九六年︶

307721985. th Cir9543d 2 F.. Lab-Con, Inc., .; RRX Industries, Inc. v18:2 §24 note supra.E., BASS P; Systems Design and Management︶  Information, Inc. v. Kansas City Post Office Employees Credit Union, 788 P.2d 8781990; Advent Systems Ltd. v. Unisys Corp., 925 F.2d 6703d Cir. 1991.

31Peter A. Aleces, Symposium: , 87Whither Warranty The Bloom of Products Liability Theory in Case of Deficient Software Design︶  Calif. L. Rev. 269, 2941999.

32U.C.C. §2-3131︶ ︶ ︵

a︶ ︵

1998.

33Id.§2-3131︶ ︶ ︵

b.

34Id. §2-312.︶ 

35Id. §2-314.︶ 

36 §2-315.Id.︶ 

37OFREATISEONTHE LAW CILLISTONONTRACTS §54:224, A T; S. W ed. d Milau Assoc., Inc. v. N. Ave. Dev. Corp., 368 N.E.21247, 1250N.Y. 1977See ︶ th

2007; RESTATEMENTSECONDOF TORTS §299A 1965.ある専門または商業の実務において役務を提供することを請負うものは︑その専門また

は商業において通常保有される技能と知識を行使することが要求されるとする︒

38︶ 川和・前掲注︵

29︶ ︒

39Id. §209b.︶ 

40VA . CODE ANN . §59.1501.12007.-︶ 

41Md. COMMERCIAL LAW Code Ann. 22-1012008.§︶ 

42-9 V2007.S.A. 15-855455a. Code . V; W24632007a329-66Iowa Code ; N.C. Gen. Stat. 20072008.125D.; §§§§︶ 

43The National Conference of Commissioners on Uniform State Laws2003, http://www.nccusl.org/ UCITA Standby Committee Is Discharged ︶  ︵二五九六︶

(22)

情報と製造物責任法について 一八五同志社法学五九巻六号 nccusl/DesktopModules/NewsDisplay.aspx?ItemID56. last visited Nov. 27, 2007.

44UCC 2-1031§︶ ︶ ︵

k︶ ︵

2003.

452-1031Id. §︶ ︶ ︵

k cmt 7.

46Lee Kissman, Comment, Revised Article 2 and Mixed Goods/Information Transactions:︶  Implications for Courts, 44 Santa Clara L. Rev. 561, 589-5902004.

47; Dealer Management Systems, Inc. v2556d 2 N.E.822. Design Automotive Group, Inc., d )2003(1071d at 2 N.E.793Olcott International & Co., ︶  Dist. 2005.

48Aleces, note 31 at 299.See supra ︶  49AccuSystems, Inc. v. Honeywell Information Systems, Inc., 580 F. Supp. 474S.D.N.Y. 1984; Phoenix Service Technologies, Inc. v. Quotron ︶  Systems, Inc., 1997 W.L. 220285E.D.Pa 1997, aff'd.135 F.3d 7663d Cir. Pa. 1997;Data Processing Services, Inc. v. L.H. Smith Oil Corp.,492 N.E.2d 314, 318-389Ind. Ct. App. 1986;川和功子﹁電子的情報の不法行為責任について詐欺︑過失による不実表示︑過失を中心として

⑴⑵⑶

︶ ︒

50Stephenson Blake H.H.J.Hicks Q.C., March .unreported1994, 2O.R., Ltd. Q.B.D. . Streets Heaver, Ltd. vHoldings︶  51Curtis R. Reitz, Symposium: Consumer Protection and the Uniform Commercial Code: Manufacturers' Warranties of Consumer Goods, ︶  75 Wash. U. L. Q. 357, 381-3851997.

52938 F.2d. 10331991.︶ 

53Id.︶ 

54 at 1036.Id.

55Id.︶ 

56642 F.2d 3391981

︶ .

57Id. A-761971; see RESTTEMENT573SECONDOF TORTS §402A.at 575d 87342-343, citing Worrell v. Barnes, Nev. 204, 207, 484 P.2, ︶ 

58Id. at 342.︶ 

59535 F. Supp. 7821982.︶ 

︵二五九七︶

(23)

情報と製造物責任法について 一八六同志社法学五九巻六号

60 at 789.Id.

61707 F.2d 6711982.︶ 

62See R.1965 A cmt. c 402 §ORTS TECONDSTEMENTAESTOF︶ 

63See Saloomey, 707 F.2d at 677.︶  64Frances E. Zollars, Andrew McMullin, Sandra H. Hud and Peter Shers, No More Softlanding for Software:Liaibility for Defects in an︶  Industry that has Come of Age,21 Santa Clara Computer & High Tech. L.J. 745, 7632005.

65note .217 at 8, ONALDDAC & MOWLANDRsupra ︶  ︵二五九八︶

参照

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