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Academic year: 2021

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【図書紹介】『物質と記憶』 アンリ・ベルクソン 著 合田正人、松本力訳 ちくま学芸文庫 二〇〇 七年

著者 藤田 尚志

出版者 法政哲学会

雑誌名 法政哲学

巻 4

ページ 85‑85

発行年 2008‑06

URL http://doi.org/10.15002/00008023

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【図書紹介】『物質と記檜竺アンリ・ベルクソン箸合田正人松本力訳ちく裏蓋受庫二○○七年藤田尚志二○世紀前半のフランスを代表する哲学者アンリ・ベルクソンの四大著作-1当意識に直接与えられたものについての試論』『物質と記憶』『創造的進化』『道徳と宗教の二源泉』lの中でも、本書は、ドゥルーズが「ベルクソンの全著作の中でも例外的な、途方もない書物」と絶賛し、『シネこの中でその同時代的な可能性を展開してみせたことでとりわけ有名である。現代の読者の関心を最も強く意きそうな本書は、しかしながら、長らく日本では文庫で手に入れることができなかった。いや、より正確に言えば、昭和十一年(一九一一一六年)を最後に改訳も改版もなされていない高橋里美訳の岩波文庫が折にふれてリクエスト復刊されるのを待ち、すりきれた活字を我慢して読むか、あるいは、田島節夫の優れた翻訳ではあるが、高価な白水社のハードカバー版に向かうほかなかった。この点で、本書がようやく学生や一般人にも容易に入手可能なちくま学芸文庫から、しかも充実した「索引」や基本的な理解の方向性を記した「解説R様々な読解の補助線を提案した「訳者あとがき」を付した形で刊行されたことを素直に喜びたい。偉大な哲学書が文庫化されることは、社会的に十分保証された 地位を有していない日本の哲学・思想研究にとって些事どころの話ではないのである。本書がこれからどのような生産的な11とりわけポスト・ドゥルーズ的な方向性においてIIL読解を被ることになるのか今から楽しみでならない。ベルクソンの新訳シリーズをこの文庫で担当されている合田正人氏と本学博士課程の松本カ氏の手になる翻訳は、わざと硬さを残し、原文の構造を予測させる翻訳調を採用している。これは、重要な訳語の後に迷うことなく原語を挿入していることからも明らかである。『試論」(ちくま学芸文庫、二○○二年)のときのようにすでに他社の文庫版が存在している(岩波文庫、二○○一年)場合とは違って、『物質と記憶』にはこれまでまともな文庫版がなかっただけに別の解決策も考えられたであろうが、シリーズとしての統一性を優先させたのであろう。私自身、目下ベルクソン第三の主署『創造的進化』の翻訳を合田氏と共に進めている。この著作には真方敬道(まがた・のりみち)による達意の名訳で既に文庫版があり(岩波文庫、’九七九年『新たに文庫版を出す意味は上記のようなより原文に沿った調子を採用し、最新の研究の成果を訳注などに反映させられることではないかと考えている。「ふっくらとした日本語」や「原文を想起させない訳文」がもてはやされる昨今だが、知の離乳食や流動食を提供することばかりが哲学の仕事ではあるまい。いずれは原文で読めるよう手助けをする文庫版があってもよいと思われるが如何なものであろうか?

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Hosei University Repository

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