学校現場における秩序と評価の整合性
──A 県と
B
県の小学校長による評価を中心に──岩 月 真 也
(社会学研究科産業関係学専攻博士課程後期)
蠢 問題の所在
1 問題意識
本研究の目的は,公立小学校の学校現場で実際に運用されている教員評価制 度を,A県とB県の学校の事例をもとに描き出し,そこにみられる特徴と問 題点を明らかにすることである。
現在,公務員制度改革が進む中,教師の人事管理制度が議論されている。そ のなかで,教師の働きぶりを評価する教員評価制度が導入された。その目的 は,教育課題を改善するために,教師の意欲や能力を向上することであるとさ れる。この教員評価制度の導入経緯と現状は次のようである。
教員評価制度の導入経緯として,まず,2000年に教育改革国民会議は「教 師の意欲や努力が報われ評価される体制をつくる」ことを提言した(1)。その 後,2002年の中央教育審議会答申は「各都道府県教育委員会等における勤務 評定の評価方法等の工夫,表彰制度や特別昇給の実施等を通じて,優秀な教師 を適切に評価しその処遇の改善を図っていくことも求められる」ことを提言す る(2)。さらに,2002年の経済財政諮問会議は「経済財政運営と構造改革に関す る基本方針2002」でも「文部科学省は,早期に新たな教員評価制度の導入を 促進する。また,教師の一律処遇から,やる気と能力に応じた処遇をするシス テムに転換する」ことを示した(3)。さらに,2007年の中央教育審議会答申で は,「教員評価の取組を一層促進し,教員一人一人の能力や業績を適正に評価
―207 ―
し,教員に意欲と自信を持たせ,育てていく」こと,「評価結果を,任用や給 与上の措置などの処遇に反映させるように促し,教員の指導力や勤務実績が処 遇上にも報われるようにしていく」ことを提言している。なお,評価結果を処 遇に反映させる場合には「客観性のある評価制度を検討していく」ことと,
「学校現場においては,個々の教員だけでなくチームワークによって子どもた ちへの教育をおこなっている意識が強いため,そのような学校現場の特殊性を 考慮した評価の在り方について,今後,検討していく」ことの重要性を指摘し ている(4)。このような動向を背景として,2006年4月現在では,62教育委員 会中57教育委員会が教員評価制度の試行又は実施が行われている(5)。
とはいえ,教員評価制度はいまだ検討段階にある。評価結果を教師の処遇へ 反映させようという動向はあるものの,その処遇への反映は一部にしかみるこ とはできない。つまり,多くの都道府県や政令指定都市において,教員評価制 度が実施,施行されているとはいえ,評価と処遇を結びつけきれてはいない。
それは,上記の2007年の中央教育審議会答申にみられるように,「客観性のあ る評価制度を検討していく」や「学校現場の特殊性を考慮した評価の在り方に ついて,今後,検討していく」という文言にも現れている。このように,教員 評価制度は今なお制度構築中なのである。
教員評価制度は制度構築中であるがゆえに,教育現場の運用実態がわからな ければ,どのような制度を構築すべきかについての有意義な議論はできない。
制度をどのように構築していくのかについては,中村・岡田(2001)の言葉を 借りれば,「既存の制度とその運用の実態,さらには自生のルールを知らねば ならぬ。そうしなければ木に竹を接ぐ結果となりかねない」(6)。にもかかわら ず,現在の日本社会に浸透している「改革すればよくなる」「改革しなければ よくならない」といった問題意識のまま改革を進めることは,真剣に日本社会 をよくしようと考えているとは到底いえない。現場の実態がわからないのに,
どうしてよりよい改革ができようか。危機感を抱かずにはいられない。だか ら,教育現場の運用実態を知りたい。これが本研究の出発点にある問題意識で ある。
―208 ―
2 先行研究
本研究の問題意識は,学校現場で運用されている教員評価制度を認識する必 要があるということであった。では,現段階までに教員評価制度に対してどの ような研究がなされてきたのであろうか。
本研究に関連する主な先行研究としては,佐藤全・若井彌一(1992),佐藤 全・坂本孝徳(1996),堀尾輝久・浦野東洋一(2002),元兼正浩・八尾坂修
(2004),佐 藤 晴 雄(2004),勝 野 正 章(2003),八 尾 坂(2005),露 口 健 司
(2005),古賀他(2006)などの研究があげられる。これらの研究は,諸外国の 教員評価制度に関する研究や国内において先行実施した都道府県に関する研 究,さらには,教員評価制度に関する調査票調査に分類できる。なお,調査票 調査では,主に校長と教師に対して教員評価制度に対する意識や態度を考察し ている。また,これらの先行研究は,日本と諸外国を対象にしながら,各都道 府県に対して制度の課題や改善のための提言を言及している。これらの中で も,特に,先行実施された東京都,A県,B県,大阪府については,何が述 べられてきたのか。以下では,上記4都府県に関する先行研究に触れてみた い。
まず,東京都の教員評価制度の効果を探った研究がある。浦野(2002)で は,教育の課題に対して「今日必要なアプローチは,教職員,子ども,保護 者,さらには住民の間のコミュニケーションを活発にして,教育上の問題と課 題をこれらの「当事者」が共有し,協力しあうことではなかろうか(7)」という 観点から,東京都の校長と教師に対して教員評価制度の導入後の意識ついて考 察を試みている。
東京都の公立学校の小学校・中学校・高校の校長2280人と教師1332人から 得られた回答を集計した結果,「人事考課制度によって,教師のもっと頑張ろ うとする意欲が高まっている」と感じる小学校の教師は,1割以下であった。
また,「人事考課制度は教師の専門的な力量の向上(職能成長)に役立ってい る」と感じる小学校の教師は,1割以下であった。「人事考課制度は,学校経 営の改善に役立っている」と感じる小学校の教師についても,1割以下であっ
―209 ―
た。この結果から,「『教師の意欲(モラール)の向上』と……『教師の職能成 長』とは人事考課制度の主要な目的のはずであるから,この数値から判断すれ ば,東京都の人事考課制度は目的を達成していない(あるいは失敗である)と いうことになる」。また,「学校改善(改革)の弊害となる恐れがある」と指摘 する。
また,勝野(2003)も制度の効果について論じている。勝野氏は「『制度と しての評価』の批判的な検討を行いつつ,教師の教育専門家としての成長のた めの評価の理論を探求すること」,「教員評価制度,さらには学校評価に子ど も,父母・保護者,地域社会がどのように関わるか」という問題意識から教員 評価制度の考察を試みた。
そして,上述した浦野(2002)の東京都の校長と教師に対する調査票調査の 結果から,「教師の資質能力の向上については効果を 認 め る こ と は で き な い(8)」と指摘し,さらに,浦野(2002)の調査票調査の自由回答欄から,「校 長自身が評価に自信が持てないでいるのである。このことは,評価者訓練の改 善という問題を浮かび上がらせるだけではない。評価基準を中心として,制度 そのものの根本的な再検討がなされなければ,たとえ評価結果の本人開示が行 われ,異議申し立て制度が整えられたとしても,東京都の教師人事考課制度が 目的としていたような効果を生じさせることは困難であると言えるだろう(9)」 と指摘する。
以上のように,浦野氏と勝野氏は,東京都の教員評価制度の効果について,
制度の導入による教師の能力や意欲の向上はみられないと述べている。今後,
両氏は,教師と子どもや保護者等の対話から教師の職能成長を導く教員評価制 度を検討していく必要性を指摘している。
さらに,教員評価制度の弊害を指摘する研究もある。藤田(2005)は,教員 評価制度について,「成果主義的・管理主義的な評価制度を導入することが当 然と見なされるようになりつつある。……いま一度,思い込みや偏見を排し,
誠実かつ十全に検討すべき重要な問題である」(10)として教員評価制度の検討を 試みる。そして,氏は教員評価制度に対する弊害を指摘する。その弊害とは,
―210 ―
協働性の低下である。氏によると,「教師は一人で教育活動に当たっているわ けではない。学校運営や教科指導は個々の教師が個別的に責任をもっていると はいえ,学校行事や特別活動はもちろん,学級の活動レベルや雰囲気にして も,学校全体の活動レベルや雰囲気にしても,全教員の協力・協働によって支 えられている。また,学級運営や教科指導にしても,教科担任制の中学・高校 などでは,各教科の教師が同じクラスの生徒の教育・指導を協働的に行ってい る。学級担任性の小学校でも,当該年度の児童の学習・学業態度や学級・学年 の活動レベル・雰囲気などは,前年度までの教師の指導に大きく依存してい る。例を挙げればきりがないが,そのように学校づくりも教育実践も,同僚間 の相互信頼と協力を前提にして,協働して取り組むべき,共同の営みである。
成果主義は,そうした同僚性・協働性・共同性の基盤を分解し,そのレベルの 低下を引き起こす危険性が極めて大きい」(11)と指摘する。
ここで,氏のいう「成果主義的・管理主義的な評価制度」とは何なのか。氏 によると,「管理的評価は,組織の運営やその事業・活動の効率性・卓越性・
円滑さの確保・向上を目的として,成員の活動(職務遂行)とその成果を評価 し,統制しようとするものである」(12)としている。そして,成果主義的評価に ついては,「管理的評価は,外発的な動機づけを重視し,評価結果を実利的な 報酬面での処遇(給与や昇進等)に反映させることになりがちである。つま り,成果主義的・能力主義的な評価・処遇になりがちである」(13)としている。
このように,氏のいう成果主義的な評価制度とは,評価結果を処遇に反映させ るものを意味しているようである。そうすると,多くの都道府県や政令指定都 市での評価制度は,評価結果を処遇へ反映せようと設計中であるので,成果主 義的な評価制度といえる。
このように,成果主義的な教員評価制度が協働性の低下をもたらすという指 摘がなされている。この指摘は重要である。常に,協働性の低下を視野に入れ ながら制度設計をすることは欠かすことができないだろう。以上の研究は,も っぱら教員評価制度の影を指摘していたが,光の部分をみようとする研究もあ る。
―211 ―
八尾坂(2005)は,「人を評価することは難しいことであるが,自ら気づき 省みる機会を与える健全なプレッシャーのもと,自己変革能力を求める人事評 価は期待されてくる」という問題意識から,東京都と大阪府の都府レベルで制 定された運用方法を考察した。その結果,八尾坂氏は,教員評価制度について 次のように指摘している。「人事評価における合目的性,公平・公正性,客観 性,透明性,納得性の5原則は不可欠な要素であるが,やはり効果的に運用す る心得を無視できない。校長・教頭が教師一人ひとりとの対話を通じて,個々 のよさを認め,生かし励ますといった支援的コミュニケーションを取り入れ,
しかも親和的雰囲気(学校文化)を構築できるかどうかによって,自己申告の 機能も変容してこよう。教師の微妙なメンタリティーへの配慮がものの言い方 にも求められてくる。管理職の力量として,『部下である教職員を感じさせ,
動かすシンボリックでしかも人間味のある変革的リーダーシップ』の発揮いか んで,この人事評価制度自体が諸刃の剣となることもあり得る(14)」。
他方,2003年に先行実施されたA県とB県の教員評価制度に関する研究 は,ほとんどないといってよいが(15),そのなかで,B県の評価制度について,
古賀他(2006)は,「制度運用の態様をそのプロセス全体を通して詳細に抉り 出し,改善に向けた具体的課題までをも考究しよう」との観点から,公立学校 長に対して調査票調査をおこなった。その結果,B県の教員評価制度におい て,面談時間の確保,評価者訓練,客観性・公平性な評価という課題を指摘し つつも,校長が学校改善への寄与におおむね肯定的であったことから「一定の 意義を見出すことができよう」と述べている(16)。
上記のように八尾坂氏と古賀他氏は,制度の課題を認識しつつも,健全なプ レッシャーや学校改善への寄与という点で一定の意義を指摘している。
以上の先行研究では,都道府県レベルで制定された教員評価制度の大まかな 実施形態や校長と教師の意識・態度の把握を通じて制度の意義や懸念・弊害が 指摘されてきた。これらの研究のように,都道府県レベルで制定された制度の 実施形態や学校現場の校長や教師の意識・態度を把握することは,制度を改善 し構築するうえで欠かすことはできない。たとえば,上記の先行研究からは,
―212 ―
評価結果の開示や苦情処理の整備,労使協議,評価者訓練,面談時間の確保,
管理職と教師の親和的なコミュニケーション等の必要性が導き出されている。
このように教員評価制度の改善に対して様々な指摘がなされている。
しかし,わからない点がある。それは,学校現場で実際に展開されている教 員評価制度である。なぜなら,上記の先行研究がとってきた問題接近の方法と は,都道府県レベルで制定された制度を検討する方法,学校現場の校長や教師 の意識や態度を検討する方法であったからである。つまり,学校現場のレベル において,教員評価制度がどのように展開されているのかは,未だ明瞭な像を 結んではいないのである。にもかかわらず,教員評価制度に対する毀誉褒貶は まことに賑やかであった。実体として存在する教員評価制度を押さえぬままに 議論を展開したとしても,議論は深まらない。印象やイメージだけが一人歩き をする。したがって,私がやらねばならないことは,学校現場の運用を丁寧に みていくことである。そこで,以下では学校現場の教員評価制度を捉える際の 具体的な課題と方法を示すことにしたい。
3 課題と方法
学校現場で展開されている教員評価制度といっても漠然としている。それゆ え,観察には具体的な課題設定が必要とされる。そもそも,教員評価制度を大 まかに把握すれば,次のようになる。教師は年度当初に管理職との面談を通じ て目標を設定する。そして,年度中,校長は授業観察や中間面談等を通じて教 師の働きぶりを把握する。その後,校長は教師を評価する。これが教員評価制 度の大まかな流れである。肝心なことは,具体的な課題を設定することであ る。
そこで,本研究では,学校現場で展開されている教員評価制度を認識する 際,校長が教師をどのように評価しているのか,ということを課題としたい。
なぜなら,評価結果が処遇へと結びつけられようとするなかで,校長が教師を 評価する際,教師の仕事の何を評価対象とし,どのように評価しているのかが 不明であるからである。多くの教師は,教師の仕事が民間企業の営業の仕事の
―213 ―
ように目標の達成度を客観的に捉え評価することが難しいと指摘している(17)。 しかし,学校現場では,本当に設定した目標が達成したか否かで評価が行われ ているのであろうか。本研究ではこの点をはっきりさせたい。したがって,本 研究は,校長はどのように教師の働きぶりを評価しているのかを具体的な課題 とし,そのうえで,教員評価制度の特徴と問題点を述べていくこととする。
以上の課題を達する方法として,事例研究の方法を採用した。研究の対象地 域は,各事例の特徴を描くために,同時期に先行実施し,一定の経験を得てい るA県とB県とした。そして,両県の教育委員会,教職員組合,校長へのイ ンタビューを行うとともに資料収集を行った。なお,校長や教頭は,教職員組 合から紹介してもらった。さらに,A県の2校については,教頭へのインタ ビューも行うことができた。教育委員会と教職員組合に対するインタビューで は,評価方法や労使協議等の項目を立てて自由に回答してもらった。校長や教 頭に対するインタビューも,学校組織,目標管理,評価等の項目を立てて自由 に回答してもらった。インタビューを行った対象者,日程,調査項目について は,表1. 1にまとめ,収集した資料は表1. 2にまとめた。また,本事例の小 学校のデータについては,表1. 3に示した。このように多くの方々の協力を 得ることができたが,本研究の課題は,校長が教師をどのように評価している のかを明らかにすることなので,議論は主に校長のインタビュー記録を利用し て行なっていくこととする。
なお,本研究が対象とする校長によって評価される教師とは,教師のなかで も小学校で働く教師に限定し,事務職員は含まれていない。学級担任を持ち子 どもに授業をする教師と想定してもらえればよい。
では,本稿の構成を紹介しよう。まず,第1章で目的と方法を明らかにす る。第2章では,現場レベルの運用を大よそ規定している県レベルで制定され た制度の概要を紹介する。第3章では,学校現場で運用されている教員評価制 度を明らかにし,分析結果を示す。第4章で,以上のまとめと結論を述べるこ ととする。なお,本研究では,原稿作成後,調査対象となった各担当者に原稿 を送付して,チェックを経たのちに,最終原稿とした。
―214 ―
表1. 1 インタビュー・リスト
年 月 日 面接対象者 調査項目
2005年11月25日 A県教職員組合 労使協議,評価方法 2005年11月29日 B県教育委員会 労使協議,評価方法 2005年12月29日 A県教育委員会 労使協議,評価方法 2006年1月16日 B県教職員組合 労使協議,評価方法 2006年7月3日 A県C学校の校長 評価制度,把握方法 2006年7月3日 A県C小学校の教頭 評価制度,把握方法 2006年7月4日 A県D小学校の校長 評価制度,把握方法 2006年7月4日 A県D小学校の教頭 評価制度,把握方法 2006年7月5日 A県E小学校の校長 評価制度,把握方法 2006年8月4日 B県F小学校の校長 評価制度,把握方法 2006年8月10日 B県G小学校の校長 評価制度,把握方法
表1. 2 収集した資料
資料番号 資料名
1 教育評価制度問題研究委員会(2005)『教職員評価(育成)制度の現状 と課題』国民教育文化総合研究所。
2 A県教職員人事制度検討委員会(2003)『教職員の新たな人事評価シス テムについて』。
3 A県教育委員会(2005)『教職員人事評価システムハンドブック』。 4 A県教職員組合(2003)『新たな人事評価システム』。
5 A県教職員組合(2004)『人事評価制度2003年度後期調査結果報告書』。 6 B県教職員人事管理システム研究会(2002)『教職員人事管理システム
研究会報告書』。
7 B県教育委員会(2003)『人事評価ハンドブック』。 8 B県教職員組合(2004)『調査報告書』。
9 C小学校(2006)『学校要覧』
10 D小学校(2006)『学校要覧』。 11 E小学校(2006)『学校要覧』。 12 F小学校(2006)『学校要覧』。 13 G小学校(2006)『学校要覧』。
―215 ―
蠡 県レベルの教員評価制度
現場レベルで展開されている教員評価制度をみるまえに,現場レベルの制度 展開を規定する県レベルの制度を把握しておかなければならない。そこで本章 では,A県とB県それぞれの県で制定された県レベルの制度の把握を試みた い。以下では,制度導入のねらい,評価方法,評価結果の活用を述べていくこ ととする。
1 教員評価制度導入のねらい
まず,教員評価制度の導入のねらいを確認しておこう。A県とB県では,
学校組織の活性化や教師の人材育成を教員評価制度の導入のねらいとしてい る。
A県においては,「個々の教職員の校内運営組織における役割と責任を明確 にし,主体的に取り組むことが重要になっており,個々の教職員の能力や適正 を客観的に把握し,教育的力量の向上や,校内組織の活性化に向けた人材の活 用につなげていくことが必要」とされている。そして,教員評価制度について は,「教職員一人ひとりに応じた人材育成と能力開発を行うことを重視」する と述べられている(18)。一方,B県においても,「教職員一人一人の能力・実績
・意欲等を的確に把握し評価することにより,適材適所の人事配置,職員のや る気の付与,組織の活性化及び人材育成などに資するために実施」される(19)。
表1. 3 各小学校のデータ
県 A県 B県
小学校 C小学校 D小学校 E小学校 F小学校 G小学校 児童数 約300人 約700人 約600人 約500人 約100人 学級数 14学級 23学級 20学級 16学級 6学級 教職員数 約40人 約60人 約50人 約30人 約15人
―216 ―
このように,両県共に組織の活性化や教師の人材育成をねらいとして教員評 価制度が実施されている。なお,私の知る限り,他の都道府県についても,A 県とB県と同様に,組織の活性化や教師の人材育成を教員評価制度のねらい としている。
では,このようなねらいのもとで導入されたA県とB県の教員評価制度 は,どのように教師を評価するよう規定しているのだろうか。次に,その規定 を述べていくことにする。
2 教員評価制度における評価
ここでは,A県とB県の県レベルで制定された評価の規定をみていく。A 県とB県の県レベルで制定された評価には,共通点と相違点がある。共通点 は,年度当初に教師と管理職間で目標面談が行なわれ,教師の目標が設定され ること,そして,最終的に,教師の目標の達成度を参考に評価されるというこ とである。一方,相違点は,目標設定の方法と評価方法に見られる。目標設定 の方法について,A県では数値目標の規定はないが,B県では数値目標の規 定がある。また,評価方法について,A県では絶対評価であるのに対し,B 県では相対評価が実施される。このような,共通点と相違点がみられた。で は,A県とB県それぞれに対して詳細にみていこう。
まず,A県からみていこう。教師は,「自己観察書」に学校目標やグループ 目標を踏まえ,「教科指導」,「教科外指導」,「学校運営」について,1年間の 目標と目標達成のための取組方法を記入する。その後,教師は自己目標を記入 した「自己観察書」を教頭に提出し,提出された教師の自己目標は,教頭や校 長との面談による助言・指導を踏まえて,必要があれば修正や追加を行い,
「自己観察書」に記載される。このように,A県の教師の自己目標は,管理職 との面談を経て決定されることになっている。
そして,1月下旬から2月上旬において,教師は1年間の取組を職務分類
(教科指導・教科外指導・学校運営・共通)の評価項目(能力・実績,共通は 意欲)ごとにABCの3段階で自己評価基準(表2. 1)に基づいて自己評価す
―217 ―
る。そして,教師は3段階の自己評価を記入した「観察指導記録」と自己評価 を記述した「自己観察書」を教頭に提出する。
2月上旬から2月中旬において,教頭は教師の1年間の取組に対して,教育 委員会が示した「評価に当たっての着眼点」と「職務を遂行する上で通常必要 な水準(行動例)」(表2. 2)に照らしながら,評価基準(表2. 3)に基づいて 評価項目別に5段階評価を行う。そして,教頭は5段階評価を記入した「観察 指導記録」と教師に対する記述評価を記入した「自己観察書」を校長へ提出す る。
2月中旬から2月下旬において,校長は教師の1年間の取組に対して,評価
基準(表2. 3)に基づいて評価項目別に5段階絶対評価を行う。さらに,必要
があれば,「特記事項」を記述して評価が完成する。その後,校長は教師の評 価書類を所管教育委員会に提出する。そして,所管教育委員会は,校長が行っ た評価結果に見直す必要があると認めたときは,校長に対して再評価するよう に指摘する。以上のように,校長は教師に対して評価を行うことになってい た。
次にB県をみてみよう。まず,教師は学校目標を踏まえて自己目標を自己 申告書という書類に記入することになる。そのプロセスを具体的にみていく と,教師は漓昨年度の成果と課題を記入する。そして,滷学校目標に対する取 組課題を記入する。澆「学習指導の分野」,「学習指導以外の分野」,「研究・研 修」のそれぞれについて,自己目標を設定する。潺自己目標を達成するための
表2. 1 自己評価基準
A 職務を遂行する上で通常必要な水準を十分満たしている(評価者による評価の A又はSに相当)
B 職務を遂行する上で通常必要な水準をほぼ満たしている(評価者による評価の
Bに相当)
C 職務を遂行する上で通常必要な水準を満たしていない(評価者による評価のC 又はDに相当)
資料出所:A県教育委員会(2005)『教職員人事評価システムハンドブック』より 作成。
―218 ―
表2. 2 評価に当たっての着眼点及び職務を遂行する上で通常必要な水準(行動例)
職務分類 評価 項目
評価に当たって
の着眼点 職務を遂行する上で通常必要な水準(行動例)
教科指導 能力 知識・技術・技 能,情報収集・
活用力,企画・
計 画 力 , 判 断 力,説明・調整
・教科・科目に関する専門的知識・技能を活用し,
生徒の特性に応じて分かりやすく指導できる。・生 徒の実態に応じて,教科指導の目標を達成するため の計画的な指導ができる。・学習に関する生徒の課 題を把握し,課題解決に向けた指導ができる。
実績 業務実績,業務 改善
・生徒の実態に応じて教材や指導方法を工夫し,生 徒の学習への興味・関心を高めた。・指導計画に基 づいて指導を実施し,教科指導の目標を達成した。
・指導の過程で生じた課題や反省に基づいて指導方 法を工夫・改善した。
教科外指導 能力 知識・技術・技 能,情報収集・
活用力,企画・
計 画 力 , 判 断 力,説明・調整
・特別活動の意義を踏まえ,生徒理解に基づいて計 画的な指導ができる。・必要な情報収集や,研究・
研修の成果をもとに,効果的な特別活動を立案し,
実施できる。・指導に関して必要な状況把握や情報 収集を行い,家庭や関係機関と適切に対応できる。
実績 業務実績,業務 改善
・学校目標を踏まえた計画的な指導により,生徒の 個性を伸ばし,自主性や実践的な態度を育成した。
・学校行事,生徒会活動等の教科外指導における学 校目標の達成に向け,自らの役割を果たした。・活 動内容や指導方法を工夫し,生徒の能力や特性を発 揮させた。
学校運営 能力 知識・技術・技 能,情報収集・
活用力,企画・
計 画 力 , 判 断 力,説明・調整
・学校運営上の課題や自らの役割を理解し,学校目 標や生徒の実態に応じた企画・計画ができる。・管 理職や同僚と連携を図りながら,必要な職務処理が できる。・家庭・地域・関係機関等と必要な連絡調 整を行いながら校務を処理できる。
実績 業務実績,業務 改善,正確性・
迅速性,効率性
・広報活動や保護者会等を通じて,家庭や地域の理 解や協力が得られた。・分掌した校務や学校運営上 の課題に取組むなど,学校目標の達成に向け,自ら の役割を果たした。・職員間での相互理解や,必要 な情報収集,共有化を図り,学校運営に生かした。
共通 意欲 責任感,連携・
協力姿勢,積極 性
・教育公務員としての基本的な職責や義務(法令遵 守や秘密の保持)を自覚して仕事に取り組んでい る。・困難な課題や状況の変化に直面しても,担当 する職務を最後までやり遂げようと努力している。
・組織の一員としての自覚を持ち,職務の円滑な遂 行のため,他の職員や管理職との意思疎通を図り,
連携・協力している。・担当する職務の目的を認識 し,課題意識を持って前向きに取り組んでいる。
資料出所:A県教育委員会(2005)『教職員人事評価システムハンドブック』より作 成。
―219 ―
具体的な取組方法を記入する。なお,自己目標は数値化することやスケジュー ル目標とすることが求められる。潸教師は自己申告書を教頭に提出する。澁教 頭は教師の自己申告書を確認し,校長へ提出する。澀校長は教師の自己申告書 の内容を確認し,指導・助言を記入する。潯教師の自己申告書をもとに,教師 と校長や教頭による面談が行われ,その面談を通じて教師の自己目標の修正や 追加が行われる。潛教師の自己目標は面談を通して決定されることになる。濳 教師は自己目標が決定すると,目標達成に向けて実践へと向かう。このよう に,目標を設定するということについては,A県と同様であるが,目標の目 標は数値化やスケジュール化はA県とは異なる。
次に評価については,教師の自己目標に対して教頭による1次評定と校長に よる2次評定が行われる。まず,教頭による1次評定についてみていこう。
教頭は,教師の評価項目(漓学習指導,滷生徒指導,澆学級経営・その他
(表2. 4))の評価要素(漓能力,滷実績,澆意欲(表2. 5))ごとに,評価基
準(5:非常に優秀,4:優秀,3:標準,2:やや劣る,1:劣っている(表2.
6))によって5〜1の評定を絶対評価で行う。また,絶対評価の際に教頭は,
職種別水準や行動例(表2. 7)や自己申告による目標の進捗状況等も参考にす ることとなっている。そして最後に,教頭は教師の顕著な実績や特徴的な事項 を記述する。1次評定は以上のようなプロセスを経て,教師の評価項目の評価 要素ごとに5段階絶対評価が行われる。
表2. 3 5段階評価基準
S 職務を遂行する上で通常必要な水準を大幅に上回っている A 職務を遂行する上で通常必要な水準を上回っている B 職務を遂行する上で通常必要な水準をほぼ満たしている
C 職務を遂行する上で通常必要な水準を満たしておらず,努力が必要 D 職務を遂行する上で通常必要な水準を満たしておらず,かなりの努力が必要 資料出所:A県教育委員会(2005)『教職員人事評価システムハンドブック』より
作成。
―220 ―
表2. 4 評価項目
学習指導 ・強化に関する知識・技能を有し,指導方法の工夫改善を行い,児童 生徒の学力の定着・向上を図ること。
・児童生徒の実態に応じた計画を立て,特性に応じて適切に,きめ細 かな指導を行うこと。
生徒指導等 ・生徒指導等に関する知識・技能を有し,児童生徒が自主的に判断行 動し積極的に自己を生かしていく態度や能力を育成すること。
・教師と児童生徒との信頼関係および児童生徒の好ましい人間関係を 育て,児童生徒理解を深めること。
学級経営 ・学級経営等の充実を図り,児童生徒が自分の力を発揮できる集団づ くりを行うこと。
・学校運営上分担された仕事を適正に処理すること。
・部活動指導を計画的に行うこと。
資料出所:B県教育委員会(2003)『人事評価ハンドブック』より作成。
表2. 5 評価要素
評価要素 着眼点 定義
能力 知識・技能 ・仕事を遂行するために必要な知識と相手に理解をさ せる表現力等の技能を有している。
分析力・理解力 ・状況を的確に分析,理解している。
・相手方の言わんとすることを把握し,的確に処理し ている。
判断力 ・発生した問題に対して適切な対応を決めている。
企画力・計画力 ・目的を達成するための手段・方法を考え,具体化し ている。
折衝力・調整力 ・自らの意思,考えを相手に理解,納得させている。
・異なる意見をまとめて,一つの考えに整理してい る。
指導力・統制力 ・目標に向けて全員が努力する体制を確立している。
・部下や後輩の育成又は適切な助言をしている。
実績 達成度(質)
正確さ
・職務の内容が,充実している。(優れている。)
・要求される仕様や上司からの指示に対して正確に処 理した。
達成度(量)
迅速さ
・一定期間に決められた業務をこなした。
・仕事の進め方が合理的で,手際がよく処理が早い。
―221 ―
意欲 規律性 ・決められたルールや上司の指示をきちんと守る,又 は,守ろうとする姿勢,言動である。
責任感 ・自分に課された任務を遂行しようとする姿勢,言動 である。
・職務や役割に強い自覚があり,それが行動に現れて いる。
積極性 ・改善や自己啓発などに取り組みことによって現状を 良くしていこうとする態度,姿勢,行動である。新し い業務に挑戦する意欲がある。
協調性 ・組織の一員として周囲を支援し,あるいは連携して 成果を上げようとしている。
資料出所:B県教育委員会(2003)『人事評価ハンドブック』より作成。
表2. 6 評価基準
評定(ランク) 評定基準
5(非常に優秀) ・該当職種の期待レベルを上回る非常に高い能力水準である。
・目標(期待)を大幅に上回る,きわめてよい達成度であった。
・他の模範となる姿勢行動であり,周りに好影響を及ぼした。
4(優秀) ・該当職種の期待水準を十分に満たす能力水準である。
・目標(期待)を上回る達成度であった。
・十分に満足のいく姿勢行動であった。
3(標準) ・該当職種の期待水準に近い,妥当な能力水準である。
・目標(期待)どおりの達成度であった。
・ほぼ期待レベルの姿勢行動であり,特に問題はない。
2(やや劣る) ・当該職種を担うには,もう少し能力向上が必要である。
・やや目標(期待)を下回った達成度であった。
・もう少し努力を要する姿勢行動であった。
1(劣っている) ・当該職種を担うには,かなりな能力向上が必要である。
・目標(期待)を大幅に下回った達成度であった。
・姿勢・行動にかなりな改善を要する。
資料出所:B県教育委員会(2003)『人事評価ハンドブック』より作成。
―222 ―
校長による2次評定は,教頭による1次評定と同様の方法をとって行われて いる。このように1次評定と2次評定を実施した後,B県では総合評価を行う こととなっている。次に,総合評価の方法についてみていこう。
教師に対する総合評価は,校長が5段階絶対総合評価と5段階相対総合評価 の順に行うことになっている。まず,5段階絶対総合評価は,評価要素である
「能力」,「実績」,「意欲」に対して,教頭と校長の各評価(5〜1)に,4を乗 じて合計する。その後,合計を2で除した換算点について,SABCDに該当す るものに決定する。このように5段階絶対総合評価は決定され,その後,5段 階相対評価が行われる(20)。
表2. 7 職種別水準
評価項目 評価要素 職務に必要とされる水準(例示)
学習指導 能力 教科・科目に関する専門的知識・技能を活用し,指導方法の 工夫・改善を行い児童生徒にわかりやすく指導できる。
実績 指導計画に基づいて指導を実施し,教科指導の目標を達成し た。
意欲 児童生徒の実態に応じて教材や指導方法の工夫・改善を図ろ うとした。
生徒指導等 能力 生徒指導・進路指導に関する専門的知識・技能を活用し,児 童生徒の実態に応じた計画を立案し実施できる。
実績 計画的な指導により,児童生徒が自己を生かしていく態度や 主体的な進路選択・決定能力を育成した。
意欲 児童生徒理解を深め,指導に関して必要な状況把握や情報収 集を行い,指導方法の工夫・改善を図った。
学級経営
・ その他
能力 学級等における児童生徒の実態を踏まえた計画的な指導がで きる。学校運営上の課題や自らの役割を理解し企画・計画が できる。
実績 学級経営や分掌した校務についての課題に取り組み,課題解 決に貢献した。関係機関や家庭,地域との連絡・協力等を適 切に行った。
意欲 組織の一員としての自覚を持ち,学級経営や分掌した校務に ついて教職員間の連携・協力を図ろうとした。
資料出所:B県教育委員会(2003)『人事評価ハンドブック』より作成。
―223 ―
教師に対する校長による5段階相対総合評価は,各校種や各職種の人数割合
によりSABCDの5段階で評価する。そして,相対評価の割合は,Sが10%
以内,Aが10%〜30% 以内,Bが約50%,Cが約20%,Dが0〜5% と定め
られている(21)。これはA県と異なる。A県は絶対評価を実施しているからで ある。
このように,5段階相対総合評価を校長が決定し,その後,校長は教師の取 組に対して,総合所見や適性を記述する。なお,校長は教師の性格や身体状況 についても記述することになっており,総合所見についても記入することとな っている。評定票の提出に関して,県立学校の場合は教職員課長へ提出する。
一方,市町村立学校の場合は,市町村教育委員会へ提出し,市町村教育委員会 は,所轄の教育事務所に提出することになっている。
以上がA県とB県の県レベルで制定された評価の規定である。県レベルの 制度には,共通点と相違点がみられた。次に,この評価がどのように活用され るのかを確認しておこう。
3 評価結果の活用−開示と反映−
ここでは,評価結果をどのように活用されるのかをみていく。特に,評価結 果の活用を確認するにあたり,評価結果の開示の有無と処遇への反映という観 点でみてみたい。
まず,評価結果の開示という観点でA県とB県をみてみよう。両県をみて みると,A県については,評価結果の開示が行われている。一方,B県につ いては,評価結果の開示は行われてはいない。では,A県については,教師 の評価結果がどのように開示されるのか(22)。
まず,評価結果の開示の意図は,教師の人材育成や学校の活性化にあるとさ れる。そのために,評価結果の理由や説明を面談で行うことになっている。ま た,評価結果の開示の際の面談は,原則として教師全員に対して行われる。原 則としてというのは,大規模な学校等で時間的な制約が生じ,全教師に実施で きない場合には,面談希望者や校長が必要であると認める教師について実施さ
―224 ―
れることになっているからである。
A県では評価結果を教師に対して開示していた。つまり,教師は自身の評 価結果を知ることができる。したがって,自身の評価に納得できない教師も出 てくる可能性がありうる。そこで,A県では,評価結果を知った教師が評価 結果に納得できず,校長が説明を行っても不満が残るような場合に備えて,評 価結果に対する苦情処理機関を設置している。
このようにA県の制度では評価結果の開示,苦情処理機関の設置がみられ る。一方,B県の制度では,評価結果の開示,苦情処理機関の設置がみられな い。このような違いが両県にあった。では,次に評価結果の反映を確認してお こう。評価結果は,何に反映されるというのであろうか。
評価結果の反映をみてみると,A県とB県ともに共通している点と異なる 点があった。まず,共通している点については,評価結果を給与へ反映させる ことについては検討中であること,人事配置,研修については評価結果を反映 させていることであった。一方,両県で異なる点については,A県が管理職 による指導・助言,管理職登用というのに対し,B県は表彰制度,指導力不足 等教育対応システムへの反映であった。
このように,両県共に評価結果を給与へ反映させることは検討中としながら も,人材配置や研修等については反映させていることがわかる。ただし,評価 結果を反映させるといった場合,評価結果をどの程度参考にし,反映させてい るのかについては明らかではない。
4 まとめ
以上,A県とB県の県レベルで制定された制度の把握を試みた。以下,わ かったことと注意すべきことを述べたい。
第1に,教員評価制度の導入のねらいは,両県とも組織の活性化と教師の人 材育成にあった。
第2に,県レベルの評価は共通点と相違点があった。共通点は,評価は年度 当初に設定した教師の自己目標を参考にするということであった。相違点は2
―225 ―
つあった。1つは,B県が数値的・スケジュール的な目標であるのに対して,
A県はその規定がない。2つに,A県が絶対評価であるのに対して,B県は相 対評価であった。
第3に,評価結果の開示はA県では実施されているが,B県では実施され ていない。また,A県では苦情処理機構も設置していた。
第4に,評価結果の反映をみてみると,両県とも研修と人事配置への反映は 共通してみられた。反映の違いは,A県が管理職の登用にも反映され,B県 では表彰制度や指導力不足等教育対応システムへ反映することである。なお,
両県とも給与への反映は検討中であった。
以上,わかったことをまとめた。ここで注意しておくべきことがある。ここ で把握したことは,あくまで県レベルの制度であって,現場レベルの制度では ないということである。県レベルの制度を検討したところで,現に存在する現 場レベルの制度は見えてこない。ゆえに,現場レベルの制度の特徴や問題も見 えてはこない。
そこで,次に現場レベル=学校現場で展開している制度の把握を試みる。よ り具体的にいえば,校長が教師をどのように評価しているのかを明らかにす る。なぜなら,前にみたように,評価結果は研修,人事配置,管理職登用,表 彰制度,指導力不足教員対策等に活用することとされており,さらに給与への 反映も検討されているにも関わらず,どのように評価が行われているのかが明 らかでないからである。この点が曖昧であれば制度の検討はままならない。ま た,教師に対して教員評価に対する意識調査がいくつか行われているが,その 際,教師は自身がどのように評価されているのかわからないままで回答してい るのではないか,という疑問もある。したがって,現場レベルにおいて,校長 が教師をどのように評価しているのかということは,明らかせねばならないこ とである。そこで,次章では,現場レベルでのその展開を明らかにしていこ う。
―226 ―
蠱 学校現場レベルの教員評価制度
さて,前章において,学校現場の校長が個々の教師をどのように評価してい るのかを明らかにしなければならないと述べた。そこで,本章ではA県の3 つの小学校とB県の2つの小学校の事例をもとに評価の展開の把握を通し て,制度の特徴と問題点を明らかにする。以下の叙述では,まず評価の対象を 明らかにし,その後に実際の評価を明らかにしていく。その上で,個々の教師 の仕事と評価の関係に触れ,明らかとなった問題点を示すことにしたい。
1 評価対象
まず,各小学校の評価対象についてみてみよう。各小学校の評価対象は表3.
1のようである。C, D, F, G小学校では,教師の目標と目標外の1年間を通じ たはたらきぶりが評価対象となるけれど,E小学校のみは,能力と実績の評価 は教師の設定した目標のみが評価対象となり,意欲の評価は目標と目標外のは たきぶりが評価対象となる。
C小学校においては,「目標だけではなくて,自分の目標外の職務遂行状況 やその結果も評価対象となる(23)」。D小学校についても,「目標に対してどこ まで」達成したのかということと,目標外の「年間のその人の様子も含めて」
評価が行なわれる(24)。F小学校についても,「勤務評定はもう年間の取組全体 を評価対象とする。自己申告(教師の目標;引用者)だけでは見えない(25)」と
表3. 1 各小学校の評価対象
県 A県 B県
学校 C小学校 D小学校 E小学校 F小学校 G小学校 能力 目標と目標外 目標と目標外 目標 目標と目標外 目標と目標外
実績 目標
意欲 目標と目標外
―227 ―
し,G小学校も「総合評価」としている(26)。
このようにC, D, F, G小学校では,教師の設定した目標と目標外の働きぶ りが評価の対象となっていた。ところが,E小学校についてはやや異なる。
E小学校では,「意欲は目標についても見るけど,それ以外の学校全体の運 営組織でどうなのかということも見ている」が,能力や実績については,教師 の自己目標に対して評価を行なう(27)。つまり,能力と実績の評価は教師の設定 した目標のみが評価対象となり,意欲の評価は目標と目標外の働きぶりが評価 対象となる。
ここから,次の点を指摘しておきたい。各小学校間で評価対象に幅が生じて いるということである。どうして評価対象に幅が生じるのかはわからない。E 小学校が特殊であるのかもしれない。また,各学校の方針によるのかもしれな い。とはいうものの,被評価者である教師にとってみれば,学校を異動するた びに評価対象に幅があれば困惑するのではないか。
2 実際の評価
次に,校長は実際にどのように教師を評価しているのであろうか。各小学校 の実際の評価は表3. 2に示した。
評価の際,本事例の各小学校において,校長は教師の目標に対する達成度と 年間を通じた教師の仕事のプロセスとを加味した評価を行っている。そのプロ セスで評価される事柄は,「がんばり」「一生懸命さ」「努力」「協調性」であっ た。
表3. 2 各小学校の評価方法
県 A県 B県
小学校 C小学校 D小学校 E小学校 F小学校 G小学校
実際の評価
漓目標の達成度
+
滷年間を通じた仕事ぶり(「頑張り」「一生懸命さ」「努力」「協調性」
―228 ―
C小学校では,「目標の達成度とは別の評価がある。一生懸命頑張っている かどうか(28)」である。D小学校でも,「日々の積み重ねは一生懸命やってい て,絶えず努力されている方もいる(29)」ので,年間を通した働きぶりを総合し て評価を行なっている。E小学校についても,意欲の評価について,「『これは 自分の担当ではないからしなくていい』というのでは……みんなが納得するは ずがないし,それは学校が乱れる1番のもと(30)」として年間を通じた姿勢をみ ている。F小学校についても,「どれだけ目標に近づいたかということと,子 どもの質によって,目標に近づけるということもある。たとえば,評価の高い 先生が大変厳しい学年や学級をもつ。……そうしたときに,(目標である;引 用者)85点という数字がそこで出ますか。……出ないでしょ。……落ち着い た学級を持ったところは,85点は当たり前に出る。しんどい学級を持った者 はものすごく努力している。でも,それに到達しないときに,その先生の評価 が下るのかといえば下らない(31)」としている。また,「評価は,協調性がなく て独りよがりにやっている場合は,マイナス評価になる。……自分のクラスを 良くしたけど,隣のクラスは良くしなかった。それはペケ(×)(32)」となる。
G小学校においても,「(目標の達成が;引用者)できなかったかできたかと いう評価はしたくない。『先生なりに頑張っているな』というのも汲み取りた い。……(目標の達成が:引用者)できたからマル,できてないからダメとい うことは一概に言えないところがある(33)」としている。
このように,各学校の校長は,個々の教師に対して設定した目標と年間を通 じた仕事ぶりとを加味した評価をしている。たとえば,設定した目標が十分に 達成されなかったとしても,年間を通じた仕事ぶり−「頑張り」「努力」「一生 懸命さ」「協調性」−が評価されているので,単純に評価が低くなるということ にはならない。
以上,現場レベルでの実際の評価を述べた。A県とB県は同様に,目標の 達成度と普段の仕事ぶりである「頑張り」「努力」「一生懸命さ」「協調性」を 加味した評価がなされていた。私はこの事実を強調しておきたい。なぜか。
教員評価制度は協働性を低下させる弊害があると言われていたが,実際は協
―229 ―
働性を大切にした評価がなされていたからである。藤田氏は,教員評価制度に 対して「同僚性・協働性・共同性の基盤を分解し,そのレベルの低下を引き起 こす危険性が極めて大きい」との弊害を指摘されていた。しかし,A県とB 県の事例からは,氏の指摘する「学校づくりも教育実践も,同僚間の相互信頼 と協力を前提にして,協働して取り組むべき共同の営み」との認識に立って評 価がなされていた。だから,同僚間の協力し,協働して取り組むことを軽視す る教師は評価されない。これが現場で教師達になされていた評価である。
注意すべきは,私はここで,教員評価制度は協働性を低下させるものではな いと言いたいのではない,ということである。なぜなら,校長が協働性を大切 に評価していたとしても,評価を受ける教師が共に協力して仕事をしようとす る意識が低下してしまえば,協働性の低下となるからである。私はあくまで校 長が行う評価を探ったのであって,協働性が低下しているか否かを探ったので はない。協働性が低下しているか否かを明らかにするためには,被評価者であ る教師に視点を当てねばならないだろう。それは,今後の課題であり,現時点 において,論じることはできない。
私が言いたいことは,現場レベルの評価を認識して議論をしなければならな い,というとこである。現場レベルの評価の実態がわからないのに,制度構築 中である教員評価制度についての議論ができないからである。さらに,事実を 押さえずして制度に対する効果や弊害のみを論じることは,現場の教師たちに 誤解を与えかねない。それで困るのは,教師自身でもあるし,評価者である校 長でもある。もっとも困るのは,子どもたちであろう。だから,現場では,目 標の達成度と普段の仕事ぶりである「頑張り」「努力」「一生懸命さ」「協調性」
を加味した評価がなされているということを強調したのである。
3 普段の仕事ぶりと評価の関係
では,教員評価制度は協調性の低下の弊害があるとの指摘とは裏腹に,実は 年間を通じた仕事ぶりが加味され,普段の「頑張り」,「努力」,そして「協調 性」が評価されていたのはなぜなのか。
―230 ―
キーとなりうるのは,個々の教師からの「納得」である。校長が教師を評価 する際,目標の達成度が高いか低いかのみで評価してしまうと教師からの納得 が得られないのである。当初設定していた目標以外の仕事も教師は行っている し,クラスの状況によって目標の達成度もことなってこよう。にもかかわら ず,純粋に目標の達成度が高いか低いかのみで評価をしてしまうと教師からの 反発は免れない。それは,教師にとっても,校長にとっても,学校にとっても 好ましくない。何よりも,子どもに対して好ましくはない。だから,個々の教 師からの納得を得られるように,評価は,教師の目標と年間を通じた仕事ぶり を加味した評価が行なわれているのである。
D小学校の事例がわかりやすい。教頭は教師の仕事ぶりについて次のよう に語る。「学級には困難な子どもがいます,学級に十分適応して,ある程度勉 強もできる子どももいます。だから,よくできる子どもがいるから,その先生 が全部OKかというと,それがすべてじゃない。逆に言うと,困難な子ども がクラスに多いから,その先生の指導が不十分かというと,そうではないで す。子どもたちには色々な特性や能力があるからです。その困難な子どもたち に対して,どれだけ良さを伸ばせられるか,学級に適応させられるかというと ころに苦労されている先生方がいるわけです(34)」。
このように,日々の仕事ぶりを加味せずに,目標達成の程度のみで評価をし て教師からの納得は得られない。あるいは,教師からの反発も予想される。何 より目標達成の程度のみで評価をしてしまえば,課題のある子どもを少しでも 良くしようとする教師が少なくなるかもしれない。だが,この懸念は教頭も認 識している。
教頭は次のように語った。「『子どもたちに基礎・基本の能力を身につけさせ て,多くの子どもたちに発展的な学習をしていく』というように先生が目標を 設定したとしても,クラスの子どもたちのなかに,多動性の子どもたちが何人 かいると,その子に関わる時間というのはすごく多くなるわけです。そうする と,その目標は十分達成できないということが起こってくるわけです。そうす ると,その先生は目標を達成できなかったから,段階評価はSABCDとなって
―231 ―
いますけれども,じゃあ,Cなのか。もし,そうすれば,先生方は,『じゃ あ,うちのクラスはいい子しか見たくないよ』となってしまいます(35)」。
ここでは,普段の仕事ぶりが評価されなければ,納得が得られず,その結 果,目標外の仕事の放棄という懸念がなされている。だから,目標の達成度の みの評価ではなく,年間を通じた仕事ぶりも加味されるのである。ここから,
評価の根拠とは,個々の教師からの「納得」であるといえる。
では,教師に対する校長の評価の根拠は個々の教師からの「納得」であると いうことを踏まえれば,次の2つの事象は何を意味するのか。
1つは,目標達成の検証が容易なように数値目標を設定するB県と数値目 標を設定しないA県という県レベルの制度の違いは,現場レベルでは反映さ れず,目標の達成度と普段の仕事ぶりを加味した同様の評価であったというこ とである。前述したように,教師は設定した目標以外の仕事もしているし,ク ラスの状況によって,目標の達成度は変化する。にもかかわらず,数値目標の 達成度のみで評価をすれば,個々の教師からの納得を得られず,反発は必至だ からである。つまり,数値目標とは評価の参考にはなりえても,評価の納得が 担保されるわけではないのである。したがって,A県とB県の県レベルの制 度が異なっていたとしても,両県の小学校における実際の評価方法は同様であ り,すなわち,自己目標に対する達成度だけではなく,年間を通じた仕事ぶり も評価されるのである。
2つに,E小学校での1年間を通じた働きぶりを周囲の評価と一致させよう とする評価である。評価は「みんなから『いいね』と言われ,本人も『満足し てやった』という充実感があるのならAです。……自分の仕事がみんなから 文句言われていたらそれはAにはならない(36)」。つまり,普段の働きぶりのな かで,「誰がみてもよくやってくれる人」,「よくやってくれる人」,「改善を要 する人」という現に職場に存在するインフォーマルな評価が蓄積され,そのイ ンフォーマルな評価に近い評価を行なおうとしていた。石田氏は評価の説得力 について民間部門の例であるが次のように述べている。「(能力主義時代の;引 用者)『評価』は『職務遂行能力』を評価する『能力考課』が軸であった。そ
―232 ―
の基準は,『職能要件』や『職能等級基準』の規定によるというよりは,職場 の序列,相対評価が究極的な基準であった。それは長期わたる日常的な仕事振 りからにじみ出る秩序によるわけであるから,実は説得力は高かった」(37)。し たがって,E小学校の評価は,すでに現場に存在している職場内の評価を表現 するものであるために,評価に対する説得力が高くなると思われる。
4 3つの問題
以上,学校現場において,校長が教師をどのように評価しているのか,そし て,その評価の根拠は何であったのかということを述べた。各事例において,
校長は教師の目標の達成度と普段の仕事ぶりである「頑張り」「努力」「一生懸 命さ」「協調性」を加味して評価を行っていた。そして,校長の評価の根拠 は,個々の教師からの納得であった。このようにいうと,現場レベルにおい て,評価制度は円滑に展開しているように思われる。しかしながら,いくつか の問題点も抱えている。ここではその問題点について言及しておきたい。主要 な問題点は3点あげることができる。
第1に,制度の運用上の問題である。具体的にいうと,目標設定,日々の仕 事に対する話し合い,評価という一連の過程をいかに「納得」で特徴づけるこ とができるかという問題である。事実,評価は,目標の達成度と日々の仕事ぶ りに対して行なわれているので,目標設定,日々の仕事ぶり,評価のいずれか に個々の教師からの「納得」が著しく欠けておれば,制度は安定的に運用する ことはできない。たとえば,もし,教師本人の納得いかない目標設定や納得の いかない仕事ぶりをさせられていれば,評価はその目標と仕事ぶりが評価され るので,必然的に評価に対しても納得できない。そこで,完全とは言わないま でも一応の合意がなされた目標設定や仕事ぶりならば,評価に対する納得も得 られやすいだろう。したがって,目標設定から評価までをいかに「納得」で特 徴づけられるか,という運用上の問題が存在している。
第2に,両県とも実際の評価とフォーマット(38)との間に生じている若干の乖 離という問題がある。両県の現場レベルの評価では,県の示しているフォーマ
―233 ―
ットにある事柄が参考にされつつも,教師の「頑張り」,「努力」,「一生懸命 さ」,「協調性」が評価されていた。しかしながら,校長の言葉からは,県の示 しているフォーマットの項目がほとんど聞かれない。たとえば,A県につい ては,情報収集・活用力,企画・計画力,説明・調整力等である。B県につい ても,企画・計画力,分析力,正確さ,迅速さ,生徒指導の分析・理解力等で ある。これらを参考に評価がなされているのかもしれないが,聞こえてくるの は,「頑張り」,「努力」,「一生懸命さ」,「協調性」であった。したがって,両 県において,実際の評価とフォーマットとの間に若干の乖離が生じているので はないだろうか。
もし,現場の評価とフォーマットとの間に若干の乖離が生じているとすれ ば,なぜにそうした事態が生じるのだろうか。これは,現場で重視されている 教師の仕事内容と県が示した評価のフォーマットとが食い違っていることに起 因すると思われる。おそらく,日々の仕事でさほど重視されない項目によって 評価が行なわれれば,個々の教師からの反発を招くことは必至だろう。現場を 離れた制度である感は否めない。これが意味することは,現場レベルに即した 評価制度の設計ができていないということであり,評価制度を論じる前に教師 の仕事を認識する必要があるということである。そして,すでに存在するイン フォーマルな職場の同僚をみる視点へと近づけることが重要であるように思わ れる。
第3に,A県とB県それぞれについて評価分布の問題が挙げられる。この 問題は両県で異なる。まず,B県からみてみよう。B県では相対評価が行われ ているので,教師を細かく序列化しなければならない。細かな序列化は不可能 といえるけれど,序列化して評価しなくてはならない。「よくやっている教師」
の中から,「改善を要する教師」を選ばなければならない。事実,相対評価を 行ない分布通りに評価をつけなければならないことについて,B県のG小学 校の校長は「難しいですよ。本当に頭が痛い(39)」と語っている。このようにB 県の相対評価は再考すべき問題であるといえる。
一方,A県は,絶対評価なので,「誰がみてもよくやっている人」,「よくや
―234 ―
っている人」,「改善を要する人」に対して素直な評価が可能である。それゆ え,学校職場にもともとあるインフォーマルな評価をそのまま表現することが できる。しかし,絶対評価であるために,全教師に対してA評価がつけられ る可能性もはらんでいる。A県では評価結果の開示が行われ,校長には開示 に対するプレッシャーがあるだろう。そのプレッシャーを回避する1つの方法 は,全教師に対してA評価をつけることである。これがA県の絶対評価の課 題である。
このように,A県とB県ともに評価分布の問題が残っている。つまり,現 在の評価分布は,現に存在するインフォーマルな評価が表現されない可能性が あるということである。もし,インフォーマルな評価が表現できなければ,多 くの人々が納得する評価は難しい。この問題を改善するためにも,インフォー マルな評価と整合的な分布の検討が必要とされる。
以上,目標設定,日々の仕事に対する話し合い,評価という一連の過程をい かに「納得」で特徴づけることができるかという問題,現場の評価とフォーマ ットとの間に生じている若干の乖離という問題,そして,評価分布の問題とい う3つの問題を取り上げた。そこで,次章では,本論のまとめと結論を述べる ことにしたい。
蠶 秩序と評価の整合性
本研究の目的は,校長は教師をどのように評価しているのかに焦点を当て,
A県とB県における学校現場で展開されている教員評価制度の特徴と問題点 を明らかにすることであった。ここでは,学校現場にみられた教員評価制度の 特徴と問題点の要点を述べ,そのうえで,学校現場で展開される教員評価制度 とはいかなるものであったのかを統一的に把握してみたい。
学校現場で展開されている教員評価制度の特徴は,校長が教師の目標の達成 度と普段の仕事ぶりである「頑張り」「努力」「一生懸命さ」「協調性」を加味 した評価を行っていたということである。そして,校長の評価の根拠は,個々
―235 ―