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フェイズと省略:極小主義に基づく省略構造の分析

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Academic year: 2021

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九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

フェイズと省略:極小主義に基づく省略構造の分析

髙木, 留美

http://hdl.handle.net/2324/2235995

出版情報:Kyushu University, 2018, 博士(文学), 課程博士 バージョン:

権利関係:Public access to the fulltext file is restricted for unavoidable reason (3)

(2)

(様式6-2)

氏 名 髙木 留美

論 文 名 Phase and Ellipsis: A Minimalistic Analysis of Silent Structures

(フェイズと省略:極小主義に基づく省略構造の分析)

論文調査委員

主 査 九州大学 教授 西岡 宣明 副 査 九州大学 教授 大橋 浩 副 査 九州大学 講師 太田 真理 副 査 九州大学 名誉教授 稲田 俊明

論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨

生成文法理論は、ミニマリストプログラム(MP)のフェイズ理論により大きく進展した。フェ イズ理論はChomsky (2000)以降、様々な提案がなされ、現在も活発な研究が行われているが、

Chomsky (2007, 2008)の素性継承理論が、大きな影響力をもつ。本論文は、素性継承理論を最新の

フェイズ理論に組み入れることにより省略現象の認可条件を考察し、その文法的特徴に原理的な説 明を与えたものである。本論文での分析は、省略領域が常に主要部の補部に対して行われるという 統語的特徴への根本的説明を提示し、長年省略構文の研究において未決の問題であり中心的関心事 であった主要部移動と省略の相互的関係に関しても実証的に原理的な説明を提示した。(本論文は省 略現象が音韻的削除により派生するという想定に立脚しているため以下では、「省略」ではなく「削 除」という用語を用いる。)

第1章では、削除位置はフェイズ主要部の補部に対してのみ行うことが可能だという近年の提案 に対し、動詞句削除に基づき、現行理論では、非フェイズ主要部の補部の削除の例もあることを示 した。また、分析の対象とする構文の統語的特徴、および関連する諸現象についても述べた。第2 章では、省略現象の統一的研究として現在でも影響力のある4つの先行研究を概観し理論的、経験 的問題を指摘した。第3章では、本論文の基礎を成す理論的想定として、Chomsky (2007, 2008) の素性継承理論、およびChomsky (2013, 2015)のラベリング理論とMerchant (2001)の提案するE 素性を導入した。第4章では、E素性の素性継承の選択性を提案し、フェイズ主要部の補部の削除 だけではなく、非主要部の補部の削除も捉えることができると主張した。また、削除の認可条件と して、焦点と指定部-主要部間の素性照合、または主要部間での統語的選択が必要であることを論じ た。第5章では、本分析が他の様々な削除現象を適切に捉えることができることを実証し、第6章

でChomsky (2015)の分析を援用し、一見非フェイズ主要部の補部の削除と思える例もフェイズ主

要部の補部の削除であるということを導き、更に、本論文の帰結として、日本語では一致がないた め、TP指定部とTの間の照合でTの補部が削除されることはないことと、フェイズ主要部ではな いとされていた弱フェイズのフェイズ性についても説明した。第6章で議論を総括し、省略現象が MPの枠組みにおいて統一的に捉えることができるということを実証し、これにより本論文が削除 現象の観点から生成文法理論の発展に貢献するものであると論じた。

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本論文の最大の特徴と利点は、最先端の理論的分析を注意深く吟味した上で、理論的側面と経験 的側面の両方から最適のモデルを提案し、英語省略構文の分析を通じて、その妥当性を実証的に示 した点にある。その論考は、従来の研究の問題点を克服し、省略現象に潜むメカニズムを明らかに したものであり、今後のフェイズ理論研究の方向性を示したのみならず、従来のアプローチではう まく説明できなかった現象そのものに対する理解を深めた重要な分析として、生成文法における理 論研究に大きな貢献をするものと評価できる。

以上のことから、本調査委員会は、本論文の提出者が博士(文学)の学位を授与されるに相応し いと認めるものである。

参照

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