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[文献紹介] 鈴木祥蔵著「解放教育」からの提言

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[文献紹介] 鈴木祥蔵著「解放教育」からの提言

著者 田中 欣和

雑誌名 教育科学セミナリー

巻 17

ページ 28‑28

発行年 1985‑12‑07

URL http://hdl.handle.net/10112/00019519

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文献紹介 鈴 木 祥 蔵 著

「解放教育」からの提言

「『同和』保育と子どもの人権」と同じく著者 が近年雑誌等に書かれたもので編まれているの で、その観点については前者の評とともに見て いただきたい。ここでは、さらに特徴的と思わ れる若千の点にしぼって紹介しておきたい。こ ちらも14編の文が収録されている。

「『融和主義保育』の誤り」と題するものは、

杉尾敏明氏の「『解放保育』論批判」への反批判 として書かれた。杉尾論文は評者から見ると

「国民融合論」派の最悪の側面を代表している と思われるので、ここで論争内容をとくに紹介 はしないが、その反論のなかで著者が早くから 折にふれて語って来た「民主々義」観がわかり やすく示されている。民主主義に次の4つの原 則が含まれていると著者はいう。① 「多数決原 理」少数意見の位置づけを含んで成立する。方 法論上の原則である。② 「給食の民主々義」つ まり平等の原則。小さい子にパンを半分、大き い子に2コということでは必らず差別が発生す る。一応平等に配った上で小さい子が大きい子 にわけるという自由と思いやりが許される。さ らにゆたかになれば給食も各自がほしいだけ食 べるバイキング方式に近づければいい。(その 段階での指導は別の話である)③「一人の民 主々義」一人でも真実を求め、真実に従うとい うことぬきには民主々義は崩壊する。マジョリ ティの立場からする「多数決原理」の一面化つ まり「手の数民主々義」ではなく、マイノリ ティの立場に立って民主々義を発展させられる

明石書店

( 1 9 8 5 .   1 1 )  

のはこの観点あってのことである。④ 「演劇の 民主々義」つまり集団主義。各自が全体の目標 を共有した時、それぞれの役割に応じて個性を 発揮していく。号令の下に「整然」と動くと いった機械的な「集団主義」は著者とは縁遠い ものである。

もう一つとりだしておきたいのは「解放の学 力」をめぐる議論である。部落解放教育運動に おける「学力保障」追求もややもすれば「追い つき、追いこせ」型になって受験学力志向にの みこまれてしまうということはすでに多くの 人々によって指摘されている、著者はまず「学 校概念としての 学力 」批判から説きおこす。

「解放教育における学力の問題」と題する章 に収められたものは、他に、芸術・美術教育に 関するものが 3編、「『融即』と『隔離』」につい て論じたものが1編、さらに補遣として「国分 一太郎さんの遺産を受け継ごう」という文であ る。この章の構成から、著者の最近の「解放の 学力」をめぐる問題関心のありかがうかがわれ るであろう。

現在、解放教育にかかわって来た教育学者の 多くが再び「学校化された学力保障」の点検を 課題としており、 12年は論議が再燃しそう であるだけに、たとえば「集団主義の問題を美 の教育の問題として考えていくときには類的存 在という点から深める」といった著者の発想が 重要となるであろう。

(田中欣和)

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