• 検索結果がありません。

原子力発電所向け国際ガイドライン火災防護編 国際原子力プールフォーラムを代表して 2015 年に発行第 5 版 はじめにこのガイドラインは 国際原子力保険プールを代表する火災防護等の専門家から構成される作業部会において作成された 保険者にとって 原子力発電所の安全を最高度のレベルに確保 維持すること

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "原子力発電所向け国際ガイドライン火災防護編 国際原子力プールフォーラムを代表して 2015 年に発行第 5 版 はじめにこのガイドラインは 国際原子力保険プールを代表する火災防護等の専門家から構成される作業部会において作成された 保険者にとって 原子力発電所の安全を最高度のレベルに確保 維持すること"

Copied!
55
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

原子力発電所向け国際ガイドライン

(火災防護 編)

国際原子力プールフォーラムを代表して出版

2015 年発行 第 5 版

(2)

2

2015 年 3 月

原子力発電所向け国際ガイドライン火災防護編

国際原子力プールフォーラムを代表して 2015 年に発行 第 5 版 はじめに このガイドラインは、国際原子力保険プールを代表する火災防護等の専門家から構成される作業部会に おいて作成された。保険者にとって、原子力発電所の安全を最高度のレベルに確保・維持することは重要で あることから、内容について、国際原子力プールフォーラムの代表組織であるゼネラル・パーパス・コミッ ティー(GPC)傘下のエンジニアリング・サブ・コミッティ-(ESC)の承認を得ている。

(3)

6

2015 年 3 月 原子力発電所における火災防護に関する国際ガイドラインの使用に関する免責事項 国際原子力プールフォーラムのメンバーは、本ガイドラインに含まれるいかなる情報に関し、その正確 性、完全性または十分適用性について、なんら表明いかなる主張、約束または保証をするものではない。 国際原子力プールフォーラムのメンバーは、本ガイドラインを公表、使用または参照した結果、直接間 接を問わず発生したいかなる身体個人的傷害、財産物への損害、その他のあらゆる性質の損害でいかなる性 質のもので、直接間接を問わず本ガイドラインの出版、使用または依存の結果発生したものはに対して責任 を持たない。 本ガイドラインの全ての利用者は、本書の使用にあたり、いかなる場合でも自己の判断または適切な専 門家の助言により、行動を決定する必要がある。 全部あるいは部分的な複製は出典を明記することにより許可される。

(4)

7

2015 年 3 月

目 次

第 1 章 ― 火災防護プログラム ... 12 1-1 組織とマネジメント ... 12 1-2 運営管理者 ... 13 1-3* 火災ハザード解析(FHA) ... 15 1-3.1 目的 ... 15 1-3.2 範囲 ... 15 1-3.3 結果の適用 ... 16 1-3.4 火災ハザード解析の維持 ... 16 1-4 火災防護計画 ... 16 1-5 品質保証 ... 16 第 2 章 ― プラント設計全般 ... 17 2.1 概要 ... 17 2-2 建物構造物 ... 17 2-3 建物の火災荷重 ... 17 2-4 プラント区域及び機器の分離 ... 18 2-5 火災障壁の開口の防護 ... 19 2-5.1 共通 ... 19 2-5.2 ドア開口 ... 19 2-5.3 ケーブルと電線管の貫通部 ... 20 2-5.4 配管貫通部 ... 20 2-5.5 換気空調系のダクト ... 20 2-5.6 継手 ... 20 2-6 排煙設備 ... 20 2-7 非常用照明 ... 21 2-7.1 非常用一般照明 ... 21 2-7.2 高輝度放電照明 ... 21 2-8 堰と排水 ... 21 第 3 章 火災防護システム及び機器 ... 22 3-1* 全般 ... 22 3-2 火災感知及び報知システム ... 22 3-3 消火システム ... 23 3-3.1 全般 ... 23 3-3.2 水系システム ... 23 3-3.3 ガス系システム ... 23 3-4 給水 ... 24 3-5 弁の管理 ... 25 3-6 主消火配管、消火栓及びスタンドパイプ ... 25 3-7 消火器 ... 26 4 章 ― 発電所内消防隊 ... 27

(5)

8

2015 年 3 月 4-1 組織 ... 27 4-2 訓練及びドリル ... 27 4-3 通信 ... 28 4-4 外部緊急時組織との連絡 ... 28 4-5 発電所内消防隊の装備 ... 29 5 章 ― 原子力リスク特有の考慮事項 ... 29 5-1 原子力リスク特有の考慮事項 ... 29 5-2 原子炉安全に関する配慮 ... 30 5-2.1 火災解析 ... 30 5-2.2 安全停止システム及び機器 ... 30 5-3 放射線及び放射能汚染への考慮事項 ... 31 5-3.1 放射能汚染 ... 31 5-3.2 消火活動に対する制限 ... 31 6 章 ―特定施設の火災防護ガイドライン ... 31 6-1 原子炉格納施設 ... 31 6-2 タービン建屋 ... 32 6-2.1 全般 ... 32 6-2.2* 油配管 ... 33 6-2.3 無孔質断熱材 ... 33 6-2.4 タービン及び発電機の軸受及び油配管 ... 33 6-2.5 軸駆動発電機励磁機 ... 34 6-2.6* タービン発電機システム下部 ... 34 6-2.7* 油貯蔵タンク、予備貯油槽及び浄化装置 ... 34 6-2.8* 油の封じ込め ... 35 6.2-9* 補助タービン、大型ポンプ及びモータ ... 35 6-2.10* 水素システム ... 35 6-2.11* 水素密封油システム ... 35 6-2.12 流体制御システム ... 36 6-2.13*排煙及び換気システム ... 36 6-3 電気機器 ... 36 6-3.1 全般 ... 36 6.3.2 特定機器 ... 36 6.3.2.1* 油浸変圧器 ... 36 6-3.2.2 ポリ塩化ビフェニル(PCB) ... 37 6-3.2.3* 乾式変圧器 ... 37 6-3.2.4 スイッチギア ... 37 6-3.2.5 電力ケーブル ... 37 6-3.2.6* 制御盤及びリレー ... 38 6-3.2.7* バッテリー室 ... 38 6-3.2.8 コンピュータ及び通信室 ... 38 6-3.3 避雷 ... 39 6-3.3.1 設計原則 ... 39

(6)

9

2015 年 3 月 6-3.3.2 避雷システムの保守 ... 39 6-3.4* 電気機器の保守 ... 39 6-3.5 電気機器に関する消火 ... 39 6-4* 制御建屋 ... 40 6-5 集中電気ケーブル ... 40 6-5.1 火災ハザード ... 40 6-5.2* 火災防護 ... 40 6-6 その他の区画 ... 41 6-6.1 非常用エンジン駆動電源装置 ... 41 6-6.1.1 火災ハザード ... 41 6-6.1.2* 火災防護 ... 41 6-6.2 保管庫 ... 42 6-6.2.1 火災ハザード ... 42 6-6.2.2* 保管配置 ... 42 6-6.2.3* 火災防護 ... 42 6-6.3 事務建屋 ... 42 6-6.4 新燃料保管区域 ... 43 6-6.5 水冷却塔 ... 43 6-6.5.1 火災ハザード ... 43 6-6.5.2 火災予防 ... 43 6-6.5.3 火災防護 ... 43 6-6.6 補助ボイラー ... 43 6-6.7 訓練用シミュレーター ... 43 6-6.8 天井クレーン及びガントリークレーン ... 43 6.6-9 試験施設 ... 44 7 章-新設プラント ... 44 7.1 全般 ... 44 8 章-廃止措置及び停止プラント ... 45 8-1 全般 ... 45 9 章-火災防護システムの検査・試験及び保守 ... 45 9-1 全般 ... 45 定義と略語 ... 47 付録 A ― 解説 ... 50 付録 B ― タービン発電機油火災に関する一般的な背景 ... 55 付録 C ― 原子力発電所の火災防護に関する刊行物 ... 57

(7)

10 2015 年 3 月 第5版への序文 原子力発電所における火災防護に関する国際ガイドラインの初版は、1974 年に多くの国の原子力保険プ ールからの専門家が参加する国際的な作業部会によって発行された。そして、初版ガイドラインは原子力発 電所の火災防護の専門家に多大な刺激を与え、多くの国で規制を展開する上で、また原子力発電所の火災防 護を進める上で、モデル及び方針書として供された。 1983 年の第2版、1997 年の第3版では、それぞれ、失敗経験から得られた教訓、サイトにおける技術的 な調査の中で保険プールのエンジニアにより得られた知識から、数多くの重要な事項が追加された。また、 例えば、有効な消火剤であるハロンの段階的廃止、変圧器や遮断器に使われる PCB(ポリ塩化ビフェニル)の 処理の変更、火災防護機器の定期点検に必要な新しい知識などを解説している。 第4版では、新しい技術や 1997 年以来の保険プールのサイト調査経験が織り込まれている。第3版以降 に導入された火災リスク評価のパフォーマンスベース評価手法が適用された。また、サイト調査の経験か ら、第3版の規定項目の多くは比較的古いプラントに適用が困難であることが判明した。今回の第5版で は、認証された技術が適切に使用され、実施されれば、パフォーマンスベース評価手法によって火災リスク に関する課題に対する許容可能な解決策を提示できると認めている。第3版の仕様規定的な推奨事項の多く は、パフォーマンスベース評価手法の使用が可能なように、第5版では削除された。 第5版では、第4版と同様、国の規制機関では十分には配慮されていないが、事業者や保険プールにと って重要であることが何度も確認されたトピックスや課題を盛り込んでいる。一般に原子力規制機関は、火 災を原子力安全への影響の観点からのみ考慮する。保険プールが保険を引き受けてきた経験から、大きな火 災は、原子力発電所の常用系エリアで起こり、ほとんどのケースで原子力安全を損なわないが、原子力発電 所事業者の財務状態に大きな経済的影響を与えうることが判っている。財産の損害は多大なコストを発生さ せる可能性があり、その結果必要となる 1 年あるいはもっと長期に亘る運転停止は発電収入にも極めて莫大 な損害をもたらす。 過去の一連のガイドラインと同様に、今回の改訂版に含まれる推奨事項は、軽水炉、重水炉、ガス炉を 備えた発電所を対象としたものである。高速増殖炉における液体ナトリウムの使用には特に対応はしていな いが、ガイドラインに含まれる推奨事項の多くは、高速増殖炉にも適用されうるであろう。 今日の保険プールのエンジニアは、保険が掛けられた稼働中の原子炉や、保険が掛けられていないか、 または、保険は掛けられているがプールに再保険が手配されていない地域で稼働中の原子炉についての技術 評価を、非常に多く依頼されている。第4版は、サイト調査のための基本文書及び保険プールのエンジニア が原子力プラントを評価する際に使う推奨事項を最新化し、火災防護における保険プールの立ち位置を説明 するための簡明で有用な仕組みを提供することに焦点が当てられた。保険プールは、それぞれのプラント特 有のアプローチを考慮しながら、ガイドラインに記述するベストプラクティスに照らして各プラントを評価 することを意図している。 原子力発電所の火災防護に関する国際ガイドラインの第5版では、世界中の原子力発電業界の現況を反 映するとともに、原子力保険のリスク評価とサイト調査のための火災の予防と防護の最新の標準に基づくガ イダンスを提供することを意図している。本ガイドラインを適用することにより、現在保険が掛けられてい るプラントや原子力保険に入ろうとしているプラントの双方の火災防護に改善をもたらすであろう。

(8)

11 2015 年 3 月

付録A:本文の“*”が付された箇所について、定量的な情報を含む詳細な説明情報を補足。 付録B:タービン発電機関連設備の火災リスクを記述。

(9)

12 2015 年 3 月

第 1 章 ― 火災防護プログラム

1-1 組織とマネジメント

1-1.1 全ての原子力発電所では火災防護プログラムを作らなければならない。火災防護プログラムは、文 書化した火災防護計画に基づかなければならない。火災防護計画では火災防護プログラムに関する経営陣の 方針と目標が文書化されなければならない。火災防護プログラムを形作る全ての方針、プログラム及び手順 が火災防護計画の中で記載されなければならない。火災防護計画の全ての事項を実行する責任が明確になっ ていなければならない。 1-1.2 火災防護プログラムには次の目標が含まれていなければならない。 1. 発火と延焼を防止すること、 2. 早期に検知、監視及び消火すること、 3. 火災の際に、安全に原子炉停止を可能とする原子炉安全に重要な構築物、システム及び機器を十 分に防護すること、 4. 火災が許容できない放射能放出に至らないことの合理的な保証をすること、 5. 火災が許容できない経済的な影響を生じないことの合理的な保証を提供すること 1-1.3 火災防護に必要な組織的な責任と情報伝達網について、体制表やそれぞれの担当部署の責任に関す る機能説明図によって定めなければならない。以下の事項が定義されなければならない。 1. 発電所の火災防護プログラムの構築、実施、有効性の評価に対する全体的な責任を有する管理部署。 2. 発電所の火災防護プログラムの実施と有効性の定期的な評価に直接的な責任を持つ部署。評価の結果 と改善に対する助言は上述の管理部署に対し、正式に、かつ定期的に報告されなければならない。 3. 火災防護プログラムの日常的な実行に直接的に責任を持つ管理部署(火災防護プログラムマネージャ ー)。 4. 第三者検査、監査及び是正処置のフォローアップにより火災防護に関する品質保証に責任を持つ部 署。 5. 発電所内消防隊。 1-1.4 以下に対する責任の明確化が必要。 1. 以下の目的のための定期的な検査の実施。 ・可燃物の一時的な保管状況や発火源の特定、 ・現場の日常的な整理整頓の実施状況の評価、 ・全ての火災防護系統・機器(静的、動的双方)の有効性とそれらの準備ができていることの保証、 ・火災防護プログラムにおける特定された欠陥是正の迅速かつ効果的な実施の確認、 2. 発電所所員への火災防護の訓練の実施。 3. 消火系統や機器の設計、選択及び修正。 4. 火災防護機器の検査と機能試験。 5. 火災防護機器の検査、試験結果の評価。 6. 火災消火訓練が目的に適合している程度の評価の提供。

(10)

13 2015 年 3 月 7. 火災安全の視点から火気使用作業を含む現場作業計画のレビュー。 8. 発電所の火災防護プログラムを実行する適切な手順や実行に関する訓練請負業者。 9. 火災防護設備の欠点の管理。 1-1.5 組織内の主要部署に対する最低限の要件を明確にしなければならない。 1. 火災防護プログラムマネージャーは火災防護エンジニアであるかスタッフが火災防護エンジニアであ ること。 2. 消防隊員は、4-2 節で規定する消火訓練を十分に受けたものであること。 3. 火災防護システムや機器のメンテナンス、試験、検査に責任を持つ従業員は訓練や経験によってそれ らの作業に適格であることが認定されていること。 4. 消防隊員の訓練に責任を持つものは、訓練や経験によってその作業に適格であることが認定されてい ること。

1-2 運営管理

発電所全体の火災ハザードを最小にするための運営管理方法が確立されなければならない。運営管理の 内容は火災時原子炉安全停止解析(FSSA1)により制約を受けるため、FSSAの結果を考慮する必要が ある。 1-2.1 発電所の検査 1. 運営管理の実効性を確認するために現場巡視(ウォークスルー)検査が行われなければならない。 2. 検査の頻度は、運営管理が有効であることを裏付けるのに十分なものでなければならない。 3. 現場巡視(ウォークスルー)検査の結果は、文書化され、欠点は迅速に是正されなければならない。 4. 検査頻度は、検査の中で明らかになった実績に基づきレビューされ修正されなければならない。 5. 検査に専任の人材がいなければならない。 1-2.2 プラントの管理手順で、可燃物の貯蔵、使用、取扱の際の必要条件を特定しなければならない。 1. 引火性物質、可燃性物質の許容最大貯蔵量は火災ハザード解析(1-3 節参照)により火災区域毎に決定 しなければならない。 2. 水素や他の引火性気体の貯蔵、運搬、使用に係る手順を定めなければならない。 3. 引火性及び可燃性液体の貯蔵、運搬、使用に係る手順を定めなければならない。 4. 酸化性の液体や気体の貯蔵、運搬、使用に係る手順を定めなければならない。 5. 不燃性あるいは認可された不燃性シートのみを使用しなければならない。ハロゲン化プラスチックの 使用は最小限にしなければならない。 6. 木材の使用は最小限にしなければならない。金属性の構造材が推奨される。木を使用する場合は、認 可された加圧含浸による不燃性の木材でなければならない。 1 FSSA: Fire Safe Shutdown Analysis

(11)

14 2015 年 3 月 7. 全ての仮設の内装構築物は、不燃性か準不燃性物質で作らなければならず、火災ハザード解析により 不要と判断されない限り火災検知/消火システムにより防護されなければならない。 8. もしも可燃物の制限値を一時的にでも超過する場合は、補償措置を取らなければならない。 9. 火災防護目標の観点から、熱遮蔽材の健全性を保証するために検査の手順を定めておかなければなら ない。 10. 仮置きエリアや一時貯蔵施設を管理する明文化された手順が必要である。 1-2.3 日常的な整理整頓は火災リスクを最小限にするため高水準に維持しなければならない。集積された 可燃性廃棄物は作業の終了時あるいはシフトの終了時の早いほうの時期に発電所から取り除かなければなら ない。 1-2.4 プラント運営管理手順は、発火源の管理に対応してなければならない。 1-2.4.1* 溶接や切断手順は明示されなければならない。切断、溶接、研磨、その他の潜在的な発火源とな る作業を始める前には、火災防護マネージャーあるいは他の防護専門者から文書で許可を得なければならな い。許可は以下の条件をクリアするまでは出してはならない。 1. 火気使用作業エリアの検査が終っている。 2. 最小限、10m(33ft)以内の可燃物は移動されているか安全カバーが掛けてある。 3. 雰囲気が可燃性気体の影響が無いことが確認されている。 4. 亀裂や床開口部が閉鎖あるいはカバーされている。 5. 作業期間中及び作業後にも訓練された火災監視人(適切な器具を用いた)が指名されている。 1-2.5 喫煙は、建屋外の設備が整った指定場所でのみ許可されるべきである。 1-2.6 仮設の配線は最小にすること。使用中、その健全性は定期的に監視しなければならない。もし仮設 配線が必要な場合は、できるだけ早く、仮設配線を本設化しなければなければならない。 1-2.7 可搬型電気機器の使用についてプラント管理手順を定めなければならない。機器は定期的に検査し なければならない。可搬型の機器は保護レベルが十分であることを確認するために試験が必要である。 1-2.8 本設か仮設かによらず、認定された加熱用機器だけを使わなければならない。可搬型ヒーターは、 転倒した場合にヒーターを切るための仕掛けを持たせなければならない。 1-2.9 裸火あるいは火炎を伴う煙を漏えい試験に使ってはならない。 1-2.10 火災防護システムや機能及び火災リスクに直接的な影響を与える他のプラントシステム(例えば、 換気空調システム、緊急連絡システム、避難や進入路、障壁のような静的システム)の機能障害に対処する 文書化した手順を制定しておかなければならない。この手順には、障害が起ったシステムの特定、通知(例 えば、運転員、所内消防隊、外部機関)及び補償対策(限られた発電所内活動を含め)を含まなければならな い。 1. 火災防護システムの故障期間は可能な限り短くなるよう管理されなければならない。 2. 故障復旧後には、所定の機能の検証のため、適切な検査が行われなければならない。

(12)

15 2015 年 3 月 1-2.11 火災防護システムは長期間待機状態にあるが、火災の際には、所定のとおりの機能が発揮されるこ とが期待される。火災防護システムの性能と信頼性は、これらシステムの検査、試験及びメンテナンスによ って決まる。静的システムを含む火災防護システムの全てについての検査、試験及びメンテナンスが確実に 実施されるためのプログラムを用意しなければならない。 1. 試験と検査は、認定された標準、製造メーカーの推奨及び文書化されたプラント手順に従って実施さ れなければならない。試験と検査の結果は文書化されなければならない。試験と検査の頻度を低減す るためにパフォーマンスベース評価手法を使用する場合には、変更する頻度を決めるために実施した 解析は明文化されなければならない。パフォーマンスベース評価手法の結果により性能が低下してい ることが示された場合には、プログラムは認定済みの標準や製造メーカーが推奨する時間枠に戻さな ければならない。 2. 検査及び試験手順は、システムの経年劣化に対応しなければなければならない。消火ポンプや配管の 試験は、流量や圧力が設計要求と合致していることを示すために実施しなければならない。スプリン クラーシステムでは、異物やピンホール、ストレーナーの閉塞の存在を検査しなければならない。他 の消火及び検知システムは性能と老朽度に基づいて評価しなければならない。静的システムについて は、経年劣化による損傷の兆候を検査すべきである。 3. 試験や検査の中で検出された欠陥のフォローアップと是正は、迅速に実施され、かつ文書化されなけ ればならない。

1-3

*

火災ハザード解析(FHA

2

1-3.1 目的 火災ハザード解析は、潜在的な火災の危険性、および、その危険性を軽減するための火災防護システムとそ の機能を評価するために行う。 1-3.2 範囲 FHAは、火災防護レベルが、1-1.2 に記載の目標に十分に合致していることを示すためにプラントの全て の関係するエリアを対象としなければならない。FHAは、認定された火災防護エンジニアと原子炉エンジ ニアにより実施されなければならない。また、次の事項を含む。 1. 建物の構造や配置、火災区域、火災区画内の電気ケーブルを含む機器類の評価 2. 火災区域、火災区画毎に内包される仮設の最大可燃物量を含む可燃物量 3. 火災区域、火災区画毎に設置される火災防護検知機器の記述、これには検知システムと手動及び自動 の消火システムを含む 4. 火災区域、火災区画のいずれかにおける単一火災であっても、原子炉安全停止機能を損なうことはな いこと、および、放射性物質の環境に対する無制限の放出が生じないことを保証する解析。この解析 は以下のことを考慮して認定された技術を使用しなければならない。 1. 現実的かつ保守的な設計基準の火災から発生する火災の拡大と熱の放出 2. 機器の部品における火災の影響 3. ランダムに発生する機器の故障や人的エラーの影響 4. 消火システムが作動した場合に原子炉安全停止機能に及ぼす悪影響 5. 使用済み燃料貯蔵エリアや放射性物質の貯蔵エリアの解析 2 FHA: Fire Hazard Assessment

(13)

16 2015 年 3 月

1-3.3 結果の適用

FHAの結果、1-1.2 節に記載の目標が達成できない場合には、火災リスクを許容される水準(合理的に実

行可能な低水準:As Low As Reasonably Possible :ALARP)に下げるために、改造、対応行動及び抑 制措置が直ちに執られねばならない。 1-3.4 火災ハザード解析の維持 1-3.4.1* 火災ハザード解析が完了し、結果のフォローに関する責任が明確化された後は、一連の火災防護 対策の有効性を確実にすることが重要である。 1. プラントの改造提案の際にはFHAへの影響を評価しなければならない。 2. 仮置きも含めた可燃物や引火物によって解析結果が無効になるレベルまで達しないような運営管理が 必要である。 3. FHAは、毎年見直されなければならない。

1-4 火災防護計画

1-4.1 火災によって安全停止機能を脅かされる恐れがある、又は、許容値を超える放射能放出や経済的影 響を生じる可能性がある全てのエリアに対して、詳細な火災防護計画を策定する必要がある。 1. 計画には、火災区画の配置、火災ハザード、安全に関係する機器及び火災防護設備の詳細が含まれな ければならない。計画を適切なものにするために、破損、故障の情報が盛り込まれねばならない。 2. 計画には以下の事項に関する方策が含まれていなければならない。 1. 火災感知器への対応 2. 緊急時対応チームに関連する通知(例えば、所内消防隊、発電所外の消防機関) 3. 運転とセキュリティー担当者の調整 4. 消火技術 5. 潜在的な放射能ハザードへの対応 6. 他の潜在的なハザード(例えば、電気的、化学的な) 1-4.2 火災防護計画は、中央制御室(MCR3)と所内消防隊において使えなければならない。 1-4.3 計画はレビューされ、状況に変更が生じた場合は改訂しなければならない。全面的なレビューは定 期的に行われなければならない。

1-5 品質保証

1-5.1 品質保証(QA)プログラムには、火災防護プログラムに関する以下の側面の要件を含む。 1. 設計と調達管理 2. 指示、手順及び図面 3. 購入した材料、機器及び役務の管理 4. 検査 5. 試験とその管理 6. 検査、試験及び運転状態の管理 3 Main Control Room

(14)

17 2015 年 3 月 7. 不適合事項 8. 是正処置 9. 記録 10. 監査 11. 訓練 1-5.2 火災防護設備及び原子炉安全停止機能に適用される設計、調達、指示、手順、図面、検査や試験を 含むQA基準の運営管理や遂行に係る適合性管理に対応する手順を文書化しておかなければならない。特 に、以下に対する管理を定めなければならない。 1. 基本設計図書は管理文書として最新の状態に維持されていなければならない。 2. プラントの設計、運転、メンテナンスに影響を及ぼす変更について、火災防護に関する文書やプロセ スに与える影響の検証が必要である。

第 2 章 ―プラント設計全般

2.1 概要

2-1.1 延焼を防ぎ、消火を助けるために構造的な火災防護対策が規定されなければならない。これらには火 災防護をサポートするための以下に関する要件が含まれていなければならない。 1. 建物の材料や構造物 2. 火災区域や火災区画の構成 3. 排煙あるいは煙制御設備 4. 避難や進入ルート 2-1.2 原子力発電所の建物配置を計画する際には、消火に対する要件と建物の空間的な火災の分離を考慮 しなければならない。緊急対応者の進入路と展開エリアを用意しなければならない。建物への進入点は緊急 対応者が速やかに認識できるものでなければならない。 2-1.3 空の消火配管を備えた建物にあっては、消火水の差し込み口と使用可能な圧力を表示板に明記して いなければならない。

2-2 建物構造物

1. 一般に、建物構造物は不燃性でなければならない。 2. 鉄骨材(例えばタービン建屋)は耐火性を増すために防護されなければならない。防護されていない部 位は、FHAにより問題が無いことを証明しなければならない。 3. 現実的な範囲で、全ての建物の天井構造物が火災で崩落するリスクを減らすように設計しなければな らない。 4. 天井構造物は建物内の火災の際に燃焼物にならないように設計、敷設されなければならない。外部カ バーへの延焼を制限しなければならない。天井構造物はFHAで評価すべきである。

2-3 建物の火災荷重

1. プラスチックの使用量と使用範囲はそれぞれの火災区域におけるFHAで指定された範囲及び制限量 を超えてはならない。特に、これは高圧の電気、電子機器や制御装置の設置されているエリア(例え ばコンピューター室や制御室)に適用される。

(15)

18 2015 年 3 月 2. 床の仕上げ材は不燃性でなければならない。もし、これが無理なら、延焼性が低い難着火性の材料で なければならない。表面の可燃性を試験し、国の、あるいは国際基準に適合し、FHAで評価されな ければならない。 3. 上げ床、吊天井、それらの荷重支持部材は、不燃性材料でなければならない。上げ床や吊天井の火災 荷重は出来るだけ低く抑えなければならない。 4. 建物の断熱材やカバーは、留め金やファスナーも含め不燃性でなければならない。 5. 間仕切り、建具、家具等は、できる限り不燃性でなければならない。 6. 換気空調設備のダクトやドレン配管は不燃性でなければならない。大型の換気フィルターシステムは FHAで評価しなければならない。 7.ケーブル敷設は実際の敷設に先立ち詳細な火災防護計画を立てなければならない(6-5 節参照)。 8. 壁、天井、床の仕上げ材の火災荷重はできるだけ小さくしなければならない。 9. 原子燃料や放射性廃棄物を内包する建物の火災荷重はできるだけ小さくしなければならない。 10. 断熱材、放射線遮蔽材、換気空調ダクト材料、防音材は不燃性であるか、国あるいは国際基準で認 定されたものでなければならない。

2-4 プラントエリア及び機器の分離

2-4.1* プラントは火災区域や火災区画に分割しなければならない。火災の延焼リスクだけでなく、腐食性 ガス、煙、放射能汚染から生じる派生的な影響を軽減するためである。耐火性は、健全性、断熱性及び火災 荷重の種類とその大きさに関係する。 2-4.2 次の建物は独立した火災区域でなければならない。 1. 原子炉建屋 2. タービン建屋 3. 電気設備建屋 4. 補助システム建屋 5. 放射性廃棄物建屋 2-4.3 加えて、以下のエリアは評価された火災障壁で分離されなければならない。 1. 複数ユニットからなる発電所の中央制御室とタービン発電機のユニット間 2. 原子炉建屋内の原子炉格納容器(原子炉格納容器が分離されている場合) 3. タービン発電機設備の油調整室(例えば、冷却器、フィルター、弁、ポンプ) 4. タービン発電機設備の貯油槽及び補助設備 5. 非常用ディーゼル発電機室 6. 燃料タンク及び貯蔵庫 7. 緊急時対策所(ECA4及び関連施設 もし、分離に関する要求条件が完全には適合しない場合は、実情を評価した上で、固定式自動消火システム のような代替設備を用意しなければならない。 4 Emergency Control Area

(16)

19 2015 年 3 月 2-4.4 建物及び 2-4.2 及び 2-4.3 で記述したエリアは、より小さな火災区域あるいは火災区画に分割しな ければならない。その場合、運営上の要請に考慮しながらも、原子炉安全のための冗長性に適合しなければ ならない。 2-4.5 以下の部屋は、評価された火災障壁で囲まれた個々の火災区域を形成しなければならない。 1. 中央制御室とその分室 2. コンピュータ室 3. 電気開閉器室 4. ケーブル処理室及び床室 5. 補助電源供給設備 6. バッテリー室(非常用電源供給設備) 7. ボイラー室 8. 消火ポンプ室 2-4.6 冗長性(多重性)を要求される安全停止機能、それに必要な給電、制御及び計測ケーブルは可能な ら火災障壁で分離されなければならない。火災障壁が困難な場合には、冗長性機能はFHAに従い異なる火 災区画に設置しなければならない。 2-4.7 火災区域や火災区画を横断する、ケーブル、配管、換気空調系のダクトやシャフトは火災区域や火 災区画間の火災や煙の拡大を防止する設計でなければならない。 2-4.8 ケーブルや配管のトンネルから構成される火災区域は、火災障壁によって 50m(165ft)以下の長さに 細分化しなければならない。 2-4.9 貯蔵所、工作室、ポンプ室、取水口、事務棟及び食堂のような建物は発電エリアから離しておかな ければならない。

2-5 火災障壁の開口の防護

2-5.1 共通 1. 火災区域における火災障壁の開口部に特別な防護対策を必要とする。防火ドア、防火ダンパー、貫通 部シール等の耐火等級は火災障壁のそれと一致していなければならない。 2. 追加的な配慮(例:放射線防護、機械的強度、セキュリティー)により、これらの開口部の耐火性が 低減する場合は、耐火性の低減を補うための火災防護対策が必要である。 3. 防火ドア、防火ダンパー、シール等は、認証されている基準や製造メーカーの推奨に従って検査や試 験を行わなければならない。 2-5.2 ドア開口部 1. 火災障壁の全てのドアは認定された防火ドアでなければならない。 2. それぞれの防火ドアは識別され表示しなければならない。 3. 防火ドアは、常時「閉」でなければならない。「開」状態の維持が必要な場合は、開保持機構を設け FHAの要求に応じて自動的に閉にさせるか、緩和措置されたプラントの手順書に従ってドアは操作 不要であることを表示しておかなければならない。

(17)

20 2015 年 3 月 2-5.3 ケーブルと電線管の貫通部 1. ケーブルと電線管の貫通部による火災障壁の開口部は、火災障壁と同等の耐火性能を有する装置でシ ールをしなければならない。貫通部とシールは、健全性と断熱性の両方を満足し、国の基準あるいは 国際基準に合格していなければならない。 2. 追設ケーブルあるいは電線管によって火災障壁の耐火性が低減してはならない。 3. ケーブルトレイは、ケーブル貫通部の耐火性を低減させてはならない。 4. 全てのケーブルや電線管貫通部は、識別し表示しなければならない。 2-5.4 配管貫通部 1. 配管用の火災障壁の開口部は、火災障壁と同等の耐火等級を有する手段でシールしなければならな い。その際、配管の動きも考慮すべきである。 2. 追設配管によって火災障壁の耐火性が低減してはならない。 3. 全ての配管貫通部は識別し表示しなければならない。 2-5.5 換気空調系のダクト 1. 他の火災区域を横切るような換気空調系や排煙のダクトは回避すべきである。換気空調系の火災障壁 における開口部には認定された防火ダンパーを設けなければならない。 2. 溶融金属の留め金だけで作動する防火ダンパーの自動閉鎖は、一つの火災区域から他の火災区域への 煙の拡散を防止するには遅すぎる。このため、煙感知器連動の防火ダンパーが使用されなければなら ない。煙感知器は煙の拡散をできるだけ早く防止できるように設置されなければならない。 3. 全ての防火ダンパーは識別し表示しなければならない。 4. 防火ダンパーは定期的な試験が可能なように設計しなければならない。 2-5.6 継手 1.耐震継手を含め継手は、不燃性材料で製作・設置すべきである。耐火性等級は火災障壁のそれと整合 性を持たすべきである。 2.継手への充填材は、継手のどのような動きに対してもその機能を維持できるように挿入すべきであ る。

2-6 排煙設備

1. それぞれの火災区域から排煙するための設備を設けなければならない。排煙は以下により実施しなけ ればならない。 1. 固定の排煙機器の設置 2. 消防隊が操作する仮設の排煙機器 2. プラントの換気空調系のフィルターは煙、熱、腐食性ガスから保護されなければならない。影響を受 けていないエリアへの煙の移動は適切に設置されたダンパーで防止しなければならない。 3. 排煙設備を通して煙や高温ガスが他の火災区域や火災区画に拡散するのを防止しなければならない。 4. 排煙設備は予想される温度や圧力に耐えるように設計し、設置されなければならない。

(18)

21 2015 年 3 月 5. 排煙設備は気流が放射能汚染度の低いエリアから高いエリアに流れることを保証しなければならな い。 6. 運転員の操作が必要な排煙設備やダンパー制御装置は火災の間もアクセス可能でなければならない。 遠隔操作可能な排煙設備は消防隊のアクセス口に隣接して設け、その機能と操作方法が明示されてい なければならない。全ての遠隔制御装置と駆動部の接続ケーブルは耐火シャフトに収納するか、ある いは適切に保護されなければならない。電動の遠隔制御装置の場合、第二の給電設備が用意されなけ ればならない。

2-7 非常用照明

2-7.1 非常用一般照明 非常用照明設備は救援・避難路の通常照明設備に加えて設置しなければならない。必要なら照明は国内ある いは国際基準に適合していなければならない。さらに、 1. 運転員が緊急原子炉停止可能なように、必要な期間、十分な明るさでなければならない。 2. 通常照明が停止した場合、自動的に点灯しなければならない。 3. 定期的に、かつ製造メーカーの推奨に従い、検査し、試験し、メンテナンスしなければならない。 2-7.2 高輝度放電照明 高輝度放電(HID)照明は、タービンホールや倉庫のような多くの場所で見られる。作動すると、光源は 1300℃(2372°F)、6 バール(87psi)(これはメタルハライドランプの場合で、他の場合では 3.5 バール (51psi))に達する。それぞれのランプは、製造メーカーの仕様により垂直あるいは水平で使用されるように 設計される。もしランプが異なる姿勢で使用されると故障や爆発のリスクが増大する恐れがある。以下の推 奨がなされている。 1. ランプは、常に製造メーカーの要求仕様に適合した姿勢に据え付けなければならない。そして可燃性 の物品だけでなく、可燃性構造物からも分離されていなければならない。 2. ランプは、製造メーカーの取扱説明書に従って、検査し、試験し、メンテナンスしなければならな い。

2-8 堰と排水

1. 多量の可燃性液体が存在するエリアでは、漏えいや流出量を制限する対策がなされなければならな い。 2. 可燃性液体を保有するタンクの周囲には、タンクの内容物量に、想定される消火用の泡あるいは水の 量を加算した量を保持可能な不燃性の堰が設置されなければならない。 3. 漏えいや配管破断による油の拡散を防ぐため、可能なら、加圧油配管は、連続同心の鋼製ガードによ って二重管にするか、コンクリートトレンチ内に収納しなければならない。 4. スプリンクラーを設置した全ての建物の床は、適切な排水設備に液体を流せるように勾配を付けるべ きである。 5. タンクや配管からの漏えいや溢れた可燃性液体を安全に除くために、外部の容器への適切な排出設備 を設けなければならない。収集された液体は放出前に放射線量を計測しなければならない。

(19)

22 2015 年 3 月

第 3 章 火災防護システム及び機器

3-1* 全般

1. 全ての火災区域には、独立した火災感知器と警報器を設けなければならない。火災防護の基本とし て、発電所には火災警報システムに接続された自動の固定式消火設備が設けられていなければならな い。ホースや消火栓や可搬型消火器の完全なシステムが、手動消火活動のために発電所の全てのエリ アに設置されなければならない。 2. 発電所内の火災防護システムや機器は、規制や認定された基準に従って設けなければならない。 3. 消火用の薬剤の選定は以下に基づかなければならない。 1. 火災の性質 2. 放出された薬剤の機器への影響、例えば、再使用可否、水による損傷、過剰加圧、熱衝撃、清掃 等 3. 人体への有害性 4. 自動消火システムは、しばしば、運転のための電気信号が必要である。消火システムを起動させる電 気回路は火災の間、使用可能なように設計しなければならない。消火システムの運転に必要な回路は 消火システムで防護するエリア以外を通るように配置するか、適切な保護がなされていなければなら ない。

3-2 火災感知及び報知システム

1. 火災報知システムは認可されなければならない。取り付けは規制や基準に従って行わなければならな い。 2. 発電ブロックの火災報知システムの表示パネルは中央制御室に設置しなければならない。冗長性のた めの表示パネルは、警備員室や消防隊詰所のような、常時監視している場所に設置するべきである。 3. 報知回路接続エリアの主制御や遠隔制御の通報パネルは電気的に監視されなければならない。全ての 火災報知システムは、最低限2つの信頼性の高い独立した電源から給電されていなければならない。 4. 全ての火災報知信号は記録しなければならない。 5. 火災報知機器と固定式消火システムを起動するための機器は、 1. 信頼性の高い電源に接続されていなければならない。 2. 防護すべきエリアの外部に配置しなければならない。 6. 手動の火災報知箱は、FHAの要請に基づき設置しなければならない。 7. 固定式消火システムのための手動起動装置には、その用途が明記されなければならない。手動起動装 置の回路は防護すべきエリアの外部に配置しなければならない。 8. 中央制御室、通信室、コンピュータ室のような価値の高いまたは重要なエリアの現状の検知システム の評価を行わなければならない。評価には、現状のシステムの設計が要求される性能目標に何処まで 合致しているかの説明も含めなければならない。要求される性能目標とのいかなる差異にも対処しな ければならない。 9. 嵩上げされた床の下部エリアや吊天井の上部エリアは、感知器の設置にあたって、単独の火災区域と して扱わなければならない。

(20)

23 2015 年 3 月 3-3 消火システム 3-3.1 全般 大きな火災荷重を有するエリアはFHAの要求に従い、固定式の消火システムにより防護されなければなら ない。また、原子力安全の観点、手動消火のアクセス制限、財産価値の高い機器への影響を踏まえ、より小 さな火災荷重のエリアでも必要に応じて固定式の消火システムによる防護が必要となる。 1. 以下の消火システムが一般に使用される。 1. 乾式、放水式、湿式のスプリンクラーシステム 2. 水噴霧システム 3. ガス系消火システム 4. 泡消火システム 5. 不活性化システム 6. エアロゾルシステム 2. 一般的に、手動より自動起動システムが選ばれる。しかし、特殊なプラント事情によっては後者が要 求されることもある。 3. 特定のプラントエリアにおける適用例が 5 章及び 6 章で説明されている。 4. 全ての消火システム及び機器は適切に設計し、設置し、メンテナンスしなければならない。国内ある いは国際規格が適用されなければならない。 5. システムの起動時には、中央制御室に視覚的、音響的な警報を発報しなくてはならない。 6. 自動操作システムの試験方法が備えられていなければならない。水系システムについては、必要な圧 力、流量を保証するための試験方法も備えられていなければならない。 7. システムの操作手順が各操作位置に表示されていなければならない。 8. 配置図と操作手順書は原子力発電所に常備し、すぐに利用できなければならない。システムの守備範 囲や場所を示す一覧表や図面が表示されなければならない。検査、試験及びメンテナンスの手順書が 利用できなければならない。 3-3.2 水系システム 1. 消火強化剤や不凍液等を含んだ水を使っているシステムの場合は、製造メーカーが指定する定期的な 検査や試験を行い、それらの有効性が維持されていることを保証しなければならない。消火強化剤は

AHJ(Authority Having Jurisdiction:管轄当局)である消防局から承認を得ていなければなら

ない。承認にあたっては、吸入毒性を含め、それに晒された人に対する予測される健康への悪影響を 考慮するべきである。 2. 予備品や操作及びメンテナンス手順が製造メーカーから推奨として提供されなければならない。 3-3.3 ガス系システム 1. ガス系システムには、二酸化炭素を含む不活性ガスシステム及びクリーンエージェントシステムを含 んでいる。 2. 全てのシステムは放出前に防護エリアからの退避が可能なように設計しなければならない。従業員が 定常的に作業していたり立ち入ったりする空間に消火剤を放出することを、自動的に音響や視覚で警 告するための手段が備わっていなければならない。警報はその空間から退避する間は継続させておか なければならない。また、警報は消火剤放出の少なくとも 20 秒以上前に発報する必要がある。

(21)

24 2015 年 3 月 3. 消火剤容器が防護対象空間内に設置されている場合は、消火剤容器は、その空間全体に均一に配置す るべきである。 4. 消火剤の保持時間は、最低 15 分でなければならない。 5. 消火剤の放出により、防護空間に著しい加圧または減圧が生じるかもしれない。生じた圧力を許容値 内に保持するための手段を講じなければならない。

3-4 給水

3-4.1 消火水の供給は、手動ホース流量の最大要求値を満た し、どの消火システムの最大設計要求値でも最低 2 時間の供給 が可能なよう設計しなければならない。手動ホースの最小限必 要な流量は 2,000ℓ/分(528 USgpm)でなくてはならない。 ベストプラクティスは、5,000 ℓ /分(1,321 USgpm)以上であ る。また、最低 1,200 ㎥(317,006 USgpm)の消火水が利用可能 でなければならない。消火水供給量は、サービス外にある主消 火配管の最小要求流量でこの設計要求値を給水することができ るようにすべきである。 新しい水スプリンクラーシステムのより強力なユニットに対する基準は、一般的に 10,000~15,000 ℓ /分 (2,642~3,963 USgpm)で、タービン建屋または変圧器の消火水に対応するものである。 3-4.2* 2 つの独立した、信頼性の高い消火水供給設備が用意されなければならない。水タンクが複数設置 される場合は、主消火配管にどちらからでも、あるいは同時に給水できるように相互に接続するべきであ る。但し、一つのタンク、あるいは配管の損傷が両方の漏えいの原因になってはならない。 3-4.2.1* 水タンク以外から水の供給を行っても良いが、軟体生物、生物の付着物及び火災防護システムに 対する潜在的な障害物が除去されていなければならない。 3-4.3* 消火ポンプのシステム圧力、または流量要求に適合するため、最大容量のポンプの故障あるいは外 部電源喪失を想定しても 100%定格流量が得られるように十分な数の消火ポンプを設置しなければならな い。 3-4.4 主消火配管に個々のポンプを接続する際には、隔離弁で分離しなければならない。それぞれのポン プ、駆動部、制御装置は、必要な火災障壁により他の消火ポンプと分離しなければならない。ディーゼル駆 動消火ポンプの燃料は、消火ポンプを火災に晒さないよう保管され供給されなければならない。 3-4.5 消火システムの圧力を維持するために主消火ポンプの独立性を確保する方策を講じなければならな い。 3-4.6 可能なら以下の監視信号が中央制御室、あるいは 3-2 節に従って常時監視が行われている他の場所 で受信されなければならない。 1. ポンプの運転状況 2. 電源喪失 3. 自動起動のエンジンの故障

(22)

25 2015 年 3 月 4. モータの逆相 5. モータの欠相 6. タンク水位低下 7. ポンプ制御パネルの「オフ」ポジション 8. ポンプ室あるいは水タンクの温度低下 9. エンジン燃料タンク液位低下 3-4.7* 消火ポンプは自動起動し、火災防護上の運転要求に合致しなければならない。主消火ポンプは中央 制御室と現場盤の両方で起動が可能で、停止操作は火災の間の不用意な停止を防止するために現場盤でのみ 操作可能でなければならない。 3-4.8 最大出力での試験が可能な固定設備を設けなければならない。ポンプは年 1 回、試験しなければな らない。全ての付加的な試験要求は、国や製造メーカーの提案に沿って実施しなければならない。 3-4.9* 消火配管は定期的に流量試験を実施しなければならない。

3-5 弁の管理

3-5.1 全ての消火水供給設備及びシステム制御弁に対する定期的な検査計画がなければならない。 3-5.2 それらの弁は以下の方法の一つで管理されなければならない。 1. 中央制御室、あるいは常時監視が行われている他の場所における音響及び視覚信号による電気的な管 理。 2. 施錠管理される弁の開錠は許可された者のみが可能とする管理。 3. 弁の封印。この方法は資産所有者の管理下でフェンスのある囲いの中に弁を置く場合のみ実行可能で ある。

3-6 主消火配管、消火栓及びスタンドパイプ

3-6.1* 埋設の主消火配管はあらゆる予想される要求条件に合致するように設計されなければならない。消 火配管が凍結の恐れがある場合には、配管及び弁の凍結防止のための特別な防護が必要となる。配管の型式 や水質は設計で考慮されなければならない。腐食、付着物、堆積物に配慮しなければならない。検査やフラ ッシングの手段が設けられていなければならない。 3-6.2 消火水供給を広範囲で停止することなく、主消火配管のメンテナンスや補修を実施できるように、 系統を隔離するための承認された目視可能な隔離弁は設置されなければならない。屋外の消火水弁及び消火 栓に機能障害が生じないよう適切な除雪手段を設けなくてはならない。 3-6.3 主消火配管のメンテナンスや補修の際に自動あるいは手動の消火システムへの水の供給を妨げない ように屋外の消火栓を隔離可能な弁を設置しなければならない。 3-6.4 複数ユニットを有する原子力発電所では、ユニット間の相互接続が可能なら主消火配管を共有して も良い。個々のユニットの消火配管の独立性を維持できるように隔離弁を設けなければならない。その場 合、共通の水供給設備を使用しても良い。ユニット間が長い距離(2km(1.2mile)以上)離れている複数ユニッ トの発電所では個別の主消火配管が採用されなければならない。

(23)

26 2015 年 3 月 3-6.5 屋外の手動ホース設備は、発電所内のどの地点へもホースを使って消火水を供給できるように設置 しなければならない。個別のゲート弁を備えた消火栓は主消火配管の約 75m(246ft)毎に設置しなければな らない。消火栓は、建物の入口(消火活動の起点となる入口を含む)や消防車等が駐車可能な場所の近くに配 置しなければならない。それぞれの消火栓には、ホース、コンビネーションノズルやその他の附属品を備え たホース収納箱を設置しなければならない。ホースカートあるいは運搬車のようなホースや付属品を運ぶ可 搬手段をホース収納箱の代りに用いても良い。この可搬手段は3個のホース収納箱と同等でなければならな い。 3-6.6 全ての消火栓、ホース及びスタンドパイプは、所外の消防機関(公設消防)で使用されているものと 互換性がなければならない。 3-6.7 単一の機器故障により主及び予備の消火システムの機能が損なわれないよう、スプリンクラーシス テムや手動ホース用スタンドパイプはプラントの水配管、あるいは、それぞれの末端から給水されるヘッダ ーに接続口を持っていなければならない。それぞれのスプリンクラーシステムやスタンドパイプは OS&Y(ア ウトサイドスクリュー・アンド・ヨーク(外ねじタイプで弁の開閉状況が分かる))のゲート弁か他のシャ ットオフ弁及び流量警報器を備えていなければならない。 3-6.8 ホース接続口とスタンドパイプシステムは、全ての主要な建物に設置されていなければならない。 3-6.9 プラントの停止に必要な機器が設置されているエリアで想定される手動消火に必要なスタンドパイプ システムやホース接続口への消火水の供給を、設計基準地震時にも保証できるように設計しなければならな い。 3-6.10 それぞれのエリアに設置されるホースノズルの適正形式はFHAの推奨に基づかなければならな い。スプレーや直接噴流によって機械的な損傷が生じる可能性が有るエリアには、それらを使用してはなら ない。高圧衝撃の危険がある場所では固定式の噴霧式ノズルを設置しなければならない。全てのノズルは閉 止機能を備えていなければならない。 3-6.11 稼働中のユニットと建設中のユニットには別々の消火水供給システムを設けなければならない。

3-7 消火器

3-7.1 消火器は、認定された基準に従って配置し、 検査し、メンテナンスし、試験しなければならな い。消火器は識別され表示されなければならない。 3-7.2 目立つ表示により、それぞれの可搬型及び車 輪付き消火器の位置を明示しなければならない。 3-7.3 例えばタービンホールのように大きな火災荷 重を有するエリアには、さらに効果的な可搬型消火 器が推奨される。それらには、50kg(110 lb)以上の 乾燥粉末ユニット、可搬型泡放出機器及び放水銃が考えられる。

(24)

27 2015 年 3 月

4 章 ― 発電所内消防隊

4-1 組織

1.いつでも出動できる最小限 5 名の隊員(資格を有する消防士)の発電所内消防隊が組織されていなけれ ばならない。 2. 消防隊のリーダー及び少なくとも他の 2 名の消防隊員は、発電所の安全関連システムについて、発電 所の停止能力に対する火災の影響を予測できる十分な知識を持っているべきである。(原子力リスク に対する特有の検討に関しては 5 章を参照。) 3. 発電所内消防隊員は以下のようであるべきである: 1. 他に任命された業務がない専属の消防士、もしくは、 2. 他の業務兼務の発電所運転員で火災防護業務に対する訓練がされており、警報発報時には直ぐに 呼出しに応じることが可能な職員、もしくは、 3. 専属消防士及びパートタイム消防士(例:発電所員)の組合せ。 4. 消防隊には火災警報が鳴ったら直ぐに通知すべきである。

4-2 訓練とドリル

1. 消防隊員は任期中を通して予測し得る業務 及び任務を全て遂行することが物理的に可 能であるべきである。年 1 回の医療健診に 加え、彼らが以下のことができることを実 証するための定期的なチェックを受けるべ きである: 1. 予測された困難な活動を遂行すること 及び 2. 適切な個人防護装置を使用し運用でき ること。 2. 新しい消防隊員には、認定された基準に合 致した防火に関する基礎の強化訓練及び演習を課すべきである。また、全ての消防士は、熟練度を維 持できるように定期的な再訓練を受けるべきである。訓練プログラムには、標準的な火災事故対応に 加え、火災時に遭遇するかもしれない放射能事故災害への対応も含めるべきである。 3. 消防隊の訓練プログラムは文書化し、最新のものにすべきである。発電所内消防隊個人の記録には以 下の項目を示すべきである: 1. 訓練種目及び実地訓練の詳細の確認 2. 受けた初期訓練 3. 受けた再教育訓練 4. 特殊訓練 5. ドリル出席記録 及び 6. 必要に応じた、指揮命令及び管理訓練 4. 訓練に加え、ドリル(反復演習)は消防隊の必須能力を試験し、維持し、強化するのに必須である。 基本的なドリルによって以下が可能となる;

(25)

28 2015 年 3 月 1. 消防隊のチームとしてのパフォーマンスを向上させること、 2. 装備を常に適切にすること、 3. 事前消火計画の有効性を確認すること、及び 4. 消防隊の他のグループ、例えば発電所内緊急時対応チーム及び外部緊急対応組織との共同訓練の 実施。 5. それぞれの当直チームは、いろいろなプラント区域において定期的にドリルを実施すべきである。ド リルシナリオを計画し、その中ではプラントのFHA/FSSAにより特定された区域で、プラント 運転にとって不可欠なものや重要な火災災害を特定し強調すべきである。 6. ドリルは確立されたパフォーマンス基準に対する消防隊員全員の熟練度を評価するのに使用すべきで ある。ドリル期間中は、十分なモニター数により、消防隊チーム及び個々の隊員を評価すべきであ る。 7. ドリル完了記録は以下の項目を記述し残すべきである; 1. ドリルシナリオ 2. 消防隊員の対応、及び 3. 任命された職務を遂行する消防隊の能力 8. それぞれのドリル後に、ドリルの目的を達成したか否かを判定するために反省/評価会を行うべきで ある。学んだ教訓は消防隊の訓練プログラム、もしくは、必要なら当該事前計画を改良するのに用い るべきである。 職員は全員、火災を発見した場合、どのように警報を鳴らすか、及び可能ならどのように可搬式消火器で 消火するかをも含めた基本的な火災安全訓練を受けるべきである。

4-3 通信

1. 非常時および災害時には、発電所内通信システムを通して、非常事態のそれぞれのタイプを識別可能 な信号及び音により、その状況を優先的に発信すべきである。 2. 火災の場合、通信システムは火災警報及び避難通報に加え、消防隊に指示を与えることにも利用でき るようにすべきである。通信機器には、非常時の機能性を確実にするために、無停電電源もしくはバ ッテリーを備えなければならない。 3. 火災の場合、運転員は、プラントを安全停止状態に移行させることを要求されるかもしれないので、 消防隊員及び運転員に対しては、可搬式無線通信システムが利用できるようにすべきである。可搬式 無線送受信周波数が、発電所内の電気制御機器の運転に影響を与えないこと、プラント安全警備員が 使用する通信チャンネルに迷惑を及ぼさないことを、定期的試験により確認する必要がある。 4. 無線中継器を設置する場合には、火災損害の影響を考えるべきである。火災によって発生した無線中 継器の故障が安全停止を達成するのに必要な他の通信システム故障を誘発しないように、無線中継器 を配置すべきである。

4-4 外部緊急対応組織との連絡

1. 発電所内消防隊は、自力で発電所内の安全関連施設を防護できるようにすべきである。但し、全体 の火災防護プログラムでは、外部消防隊の消火能力を補助的かつバックアップ的の目的で用いるよう 構成すべきである。 2. 外部消防隊は、放射性及び災害性物質を伴う火災の消火に当たって、関連する災害の教育及び訓練 を受けるべきである。外部消防隊は発電所内火災ドリルを視察し、助言し、ドリル及びドリル後の反 省/評価会に参加すべきである。

(26)

29 2015 年 3 月 3. 発電所内火災防護管理については、定期的に外部の緊急対応組織と会合を持つべきである。発電所内 消防隊と外部組織のインターフェースは計画されるべきである。もしドリル後の反省/評価会で改善 もしくは修正が要求された場合には、それぞれの責任と義務を定義し、改訂すべきである。 4. 発電所内消防隊は発電所内火災にのみ対応すべきである。ただし、シフト外の者が発電所の必要最小 限を超える場合には発電所外の消火支援に当てても良い。 5. 発電所のマネジメントは、事故時の指揮及び管理を確実に維持できるように、全ての必要かつ適切な 手順を定めるべきである。そして以下の問題に対処すべきである: 1. 通信構成、特に、多くの管理レベルが関係するピラミッド型決定プロセスである場合や、警報発 信や外部組織への連絡前に第一報の調査を進める通信構成; 2. 緊急時の召集システム及び多重システムの検査、試験及び保守; 3. 外部消防機関との会合及び彼らに情報及び助言を提供すること; 4. 警備体制が適切であり、安全な場所へのの避難を妨げたり/制限したりしないこと、もしくは外 部消防機関が、消火活動や発電所消防隊の支援を行うために建物内に入る必要がある場合それを 制限しないこと。

4-5 発電所内消防隊の装備

1. 発電所内消防隊には、彼らが任命された職務を遂行できるような装備が支給されるべきである。消防 隊にとって最小限の装備には、防火外套、長靴、グローブ、ヘルメット、非常用通信機器、可搬式照 明及び可搬式ベンチレーション装置を含めるべきである。全ての装備は消防用に承認されたものであ るべきである。 2. 正圧全面マスクを用いた空気ボンベ付呼吸器を提供すべきである。空気ボンベの予備及び再充填は発 電所内で利用可能にすべきである。 3. 発電所外の可搬型消火装置が直ぐには利用できない場合に備え、発電所内可搬型消火装置が複数必要 になろう。発電所の必要性に応じた、消火用ポンプ、水タンク、ホース及びその他の装備を備えた消 防車を配備すべきである。十分な人数の消防隊員が配備された消防車を運転でき、また操作できるよ うにすべきであり、かつシフト編成はそれに踏まえて構成すべきである。

5 章 ― 原子力リスク特有の考慮事項

5-1 原子力リスク特有の考慮事項

1.原子力安全関連の火災防護の目標は 1-1.2.に示した 通り。 2. これらの目標を満たすには、原子力安全にとって重 要な各種構造物・システム及び機器を適切に設計 し、建設すべきである。火災リスクを緩和する必要 がある場合には、火災防護システムによりこれらを 防護すべきである。

(27)

30 2015 年 3 月

5-2 原子炉安全に関する配慮

5-2.1 火災解析 1. 火災防護の目標を確実に満たすためには、FHAを実施すべきである。 2. FHAの中で原子力安全に関係する部分は、安全停止を達成するのに必要な全ての構造物・システム 及び機器に関する火災影響についてのFSSAを組み込むべきである。 3. FSSAには、その機器の火災が引き起こす損傷もしくは誤操作が原子炉の安全停止を妨げうる重要 な機器を包括的に含めるべきである。火災が引き起こす故障には、必要な安全停止回路の一部をなす 単一火災区画もしくは火災区域内の開回路、短絡及び地絡を含む電気回路及び関連回路への故障を含 めるべきである。 4. FSSAは予想される全ての運転モードを解析すべきである。 5. 停止期間中は、多くの火災防護システムが有効でないかもしれない(例:火災障壁が不完全、消火シ ステムが停止中)。安全停止に関連する機器が保守点検中だったり、原子炉が通常状態でないことに により有効とできないかもしれない(例:原子炉開放中、原子炉水位低下)。原子炉停止期間解析を実 施する時には、これらの通常と異なる状態を検討しておくべきである。 6. 地震起因の火災が、消火システムの誤起動を誘発したり、消火能力を毀損したり、非安全系での火災 が安全系に与える影響について、地震と火災相互作用の独立した解析を実施すべきである。それに従 って、必要な改善(手順や装置等)を行うべきである。 7. 火災と火災起因の内部溢水(消火用水や配管破損)の相互作用の影響について、解析を実施すべきであ る。 8. 不活性な 1 次格納容器区域を除いて、火災により、システムもしくは機器が動作不能もしくは誤作動 し得ると仮定すべきである。 9. 安全停止要件が、ある特定区域で達成されない場合には、この区域に対するより詳細な解析を実施す べきである。解析により、更なる火災防護システムを設置すべきとの結論や、火災障壁の設置や空間 的分離によりこれ以上の対策は不要であるとの結論が得られるだろう。 10. FHA及びFSSAを、発電所に特有な火災の確率論的安全評価に対応できるよう改良、発展させ るべきである。 11. プラントの火災防護に対するテロ行為の影響を検討すべきである。 5-2.2 安全停止システム及び機器 1. 火災区域によって安全停止機能を完全に分離することが出来ない場合には、安全停止を達成する能力 が損なわれないことを、FHAで評価されている認知されたモデリング技法を用いて実証すべきであ る。 2. 原子力安全に関連する全ての区域に、中央制御室内に警報盤を有する火災検知システムを設置すべき である(3-2 節参照)。 3. 中央制御室内で計測器と制御器の分離がどうしてもできない場合がある。中央制御室内で火災が発 生した場合の安全停止及び残留熱除去を確保するために、緊急時対策所(緊急時対策所5)を設置すべ きである。そこから原子炉停止操作ができる緊急時対策所は、中央制御室から完全に分離する必要が あり、保護されたアクセスルートを持つ別建物に設置することが望ましい。 5 ECA:Emergency Control Area

参照

関連したドキュメント

防災安全グループ 防災安全グループ 防護管理グループ 防護管理グループ 原子力防災グループ 原子力防災グループ 技術グループ 技術グループ

原子力損害賠償紛争審査会が決定する「東京電力株式会社福島第一、第二原子力発電所事故による原子力損害

原子力損害賠償紛争審査会が決定する「東京電力株式会社福島第一、第二原子力発電所事故による原子力損害

原子力損害賠償紛争審査会が決定する「東京電力株式会社福島第一、第二原子力発電所事故による原子力損害

当社は福島第一原子力発電所の設置の許可を得るために、 1966 年 7

柏崎刈羽原子力発電所において、原子力規制庁により実施された平成27年度第2回

東京電力(株)福島第一原子力発電所(以下「福島第一原子力発電所」と いう。)については、 「東京電力(株)福島第一原子力発電所

東北地方太平洋沖地震により被災した福島第一原子力発電所の事故等に関する原子力損害に