• 検索結果がありません。

2. 科学技術イノベーション政策のデータ

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "2. 科学技術イノベーション政策のデータ"

Copied!
4
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

50

2018 Vol.4 No.4 http://doi.org/10.15108/stih.00159

(2018.12.20 公開)

1. データ・情報基盤の構築

科学技術・学術政策研究所(NISTEP)は、文部科 学省の「科学技術イノベーション政策における『政 策のための科学』」(SciREX)推進事業の一環として、

エビデンスに基づく科学技術イノベーション政策の 基礎となるデータ・情報基盤の構築と活用を推進し ている。

本シリーズの第 1 回、第 2 回で説明してきた企業 名辞書、大学・公的機関名辞書は、企業や大学・公的 機関のデータを分析する際に有用なもので、NISTEP は継続的に整備をしている。今回の第 3 回では、ま ず、政策の分析をするための基礎的なエビデンスとし て2つのデータについて紹介する。すなわち、政府の 科学技術政策に関する長期計画である科学技術基本 計画などのテキストを集めた①基本政策系列データ ベース、及び、実施された施策のデータとして、文部 科学省の科学技術白書から抽出した②重要施策デー タベースについて述べる。次に、政策形成に資する データとして NISTEP が実施・蓄積してきた調査の データ、すなわち、将来展望に関する③デルファイ 調査と、産学官の研究者や有識者の意識を調査した

④ NISTEP 定点調査の検索システムを紹介する。最

後に、Web 上でデータを収集する助けとなる⑤国内 外の関連データのリンク集について述べる。図表 1 には、今回、紹介している政策研究のためのデータ・

情報基盤とともに、NISTEP データ・情報基盤の公開 Web サイト1)の項目を示している。

2. 科学技術イノベーション政策のデータ

2-1 基本政策系列データベース

政府の科学技術政策は、内閣府の総合科学技術・イ ノベーション会議が司令塔となり「科学技術基本計 画」を 5 年ごとに答申して閣議決定される。この計画 に沿って、科学技術イノベーション総合戦略が毎年定 められている。これらは内閣府から公開されている。

科学技術に関する長期計画については、科学技術基 本計画(1996 年)が策定される前から、内閣総理大 臣の諮問機関として総理府に設置の科学技術会議に おいて、諮問第1号「10 年後を目標とする科学技術振 興の総合的基本方針について」に対する答申(1960 年)などの形で示されてきた。これら科学技術基本 計画以前の科学技術政策に関する長期計画について も、全文テキストデータを収集した。これらを合わ せ NISTEP 基本政策系列データベースとして公開し  「客観的根拠(エビデンス)に基づく政策のためのデータ・情報基盤」シリーズの最終回である第 3 回 として、本稿では、「政策研究のための NISTEP データ・情報基盤」について紹介する。まず、政府の科学 技術政策の基本的な方向性等を示すデータとして、長期的な方針・計画と、実施された施策に関するデー タを紹介する。次に、政策を形成する際に役に立つツールとして、NISTEP で実施・蓄積してきた将来の 技術予測に関する調査と、研究者や有識者への意識調査等のデータ検索システム等を紹介し、最後に政策 研究のためのデータ・情報基盤の今後の方向性について述べる。

キーワード:政策のための科学,科学技術基本計画,科学技術白書,デルファイ調査,定点調査  概  要

レポート

客観的根拠(エビデンス)に基づく政策のための データ・情報基盤(第三回)

~政策研究のための NISTEP データ・情報基盤~

第 2 研究グループ 客員研究官 岸本 晃彦、総括主任研究官 富澤 宏之

(2)

STI Horizon 2018 Vol.4 No.4

51

客観的根拠(エビデンス)に基づく政策のためのデータ・情報基盤(第三回) ~政策研究のための NISTEP データ・情報基盤~

開した。重要施策の抽出基準は、

①対象分野で影響力の大きい計 画の策定・改正、②法令や制度 の制定・改正、③国の機関の設 立・大きな部局の新設、④研究 のパッケージとしての事業、⑤ 個別研究課題の中でも、ある施 策群の中で先駆けとなる意義を 持つもの、などとした。

また、基本政策系列と同様に 基本政策、重点研究開発の推 進、科学技術システム改革など に大きく分類し、更に細かく整 理・分類して検索できるように している(図表 3)。

重要施策を分野、キーワード で検索できるほか、重要施策の 推移を一見して把握できるよう に項目を段階状(Step 状)に表 示する機能も備えている。

3. デルファイ調査検索

政策は将来に向けた方針や 方策を示すものであり、政策 立案に将来展望は不可欠であ る。NISTEP では、科学技術の 将来を予測した「デルファイ調 査」の蓄積がある。デルファイ 調査は、今後 30 年間で実現が 期待される科学技術等の実現時 期や重要性などについて、数千 名の専門家の予測をまとめたも のである。調査は 1971 年から 2015 年まで 5 年ごとに 10 回 にわたって実施されている。将 来実現が見込まれる技術等として示された予測課題

(トピック)の総数は 9000 件以上に上り、世界的に みても、最も大規模な予測調査のひとつである。

調査結果は、従来、報告書の形で公開してきたが、

検索可能なデータベースとして電子化し、「デルファ イ調査検索」のシステムを構築した。これを SciREX のデータ・情報基盤構築の一環として位置づけ、デー タ・情報基盤のホームページに公開している1)。デル ファイ調査検索では、予測の課題、実現予測時期、重 要度、などを記載しているが、調査項目は、調査回に よって若干異なっている。そこで全ての項目につい ての記載はその回だけの表(各回の調査結果の検索・

ている(図表 2)。これらの計画は、基本政策、重点 分野、システム改革、といった軸で分類され、異な る形式、年代についても同じ軸で比較できる。

2-2 重要施策データベース

文部科学省から発行される科学技術白書は、科学技 術に関して実施された施策が網羅されており、上記の 長期計画とほぼ同時期(昭和 33(1958)年)に旧科 学技術庁において始まり、継続的に発行されている。

この科学技術白書の中で、政策形成に重要と思わ れる事項を抽出し、重要施策としてデータベースを 構築し、SciREX 関連公開データ1)のひとつとして公

図表 3 科学技術白書から抽出した重要施策データベース 図表1 SciREX 関連公開データの全体像

㻝㻥㻢㻜 㻝㻥㻣㻝 㻝㻥㻣㻣 㻝㻥㻤㻠 㻝㻥㻤㻡 㻝㻥㻥㻞 㻝㻥㻥㻢 㻞㻜㻜㻝 㻞㻜㻜㻢 㻞㻜㻝㻝 㻞㻜㻝㻟 㻞㻜㻝㻠 㻞㻜㻝㻡 㻞㻜㻝㻢 㻞㻜㻝㻢 㻞㻜㻝㻣 㻞㻜㻝㻤

➨䠍ྕ ➨䠑ྕ ➨䠒ྕ ➨㻝㻝ྕ ➨䠍䠎ྕ ➨䠍䠔ྕ ➨㻝 ᮇ ➨㻞 ᮇ ➨㻟ᮇ ➨㻠 ᮇ 㻞㻜㻝㻠 㻞㻜㻝㻡 ➨㻡 ᮇ 㻞㻜㻝㻢 㻞㻜㻝㻣

⛉Ꮫᢏ

⾡ᇶᮏ ィ⏬

⤫ྜ䜲䝜 䝧䞊䝅䝵 䞁ᡓ␎

⛉Ꮫᢏ⾡఍㆟⟅⏦ ⛉Ꮫᢏ⾡ᇶᮏィ⏬ ⛉Ꮫᢏ⾡䜲䝜䝧䞊䝅䝵䞁⥲

ྜᡓ␎

⛉Ꮫᢏ⾡䜲䝜䝧䞊 䝅䝵䞁⥲ྜᡓ␎

図表 2 基本政策系列データベースで扱っている計画等

㻺㼛㻚 ᅛ᭷㻵㻰 ኱ศ㢮 ୰ศ㢮 ᑠศ㢮 ༊ศ ฟ඾ 㛤ጞ

᫬ᮇ

஦ᴗ

୺య ᪋⟇ྡ ㄝ᫂ ᥖ㍕㻛

㛤ጞ ᫬ᮇ

㻠㻥 㻷㼃㻜㻢㻝㻡 㻞㔜Ⅼ◊

✲㛤Ⓨ䛾 ᥎㐍

㻞㻚㻞 䝷䜲䝣 䝃䜲䜶䞁

䝷䜲䝣䝃䜲 䜶䞁䝇ศ㔝

඲య䛻㛵䛩 䜛ᡓ␎

ᡓ␎䞉ィ

㗕␴㻠㻤⸜

䇰䘥㚠㻝㻙 㻠㻙㻠

㻿㻠㻣㻚㻣 ⥲⌮ᗓ

䝷䜲䝣䝃䜲䜶䞁䝇 䛾᣺⯆᪉⟇䛾኱

᫛࿴㻠㻣ᖺ㻣᭶䚸⛉Ꮫᢏ

⾡఍㆟䛻䝷䜲䝣䝃䜲䜶 䞁䝇᠓ㄯ఍䛜タ䛡䜙䜜䚸 㻥᭶䛻ྠ኱⥘䛜ྲྀ䜚䜎

䛸䜑䜙䜜䛯䚹

㛤ጞ 㻝㻥㻣㻞

㻞㻜㻜䝨䞊䝆㽢㻡㻢෉䡚㻝୓䝨䞊䝆

33 37 39 40 41 42

䞉䞉䞉䞉

28 29 30

㻣㻜Ꮠ㽢㻞㻢㻜㻜௳㻛㻝㻢㻜㻜䠄Ꮠ㻛䝨䞊䝆䠅䡚㻝㻜㻜䝨䞊䝆

/

䠍䠌䠌䛻จ⦰

⛉Ꮫᢏ⾡ⓑ᭩

㔜せ᪋⟇䝕䞊䝍䝧䞊䝇

hp://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/html/kagaku.htm

hp://www.nistep.go.jp/research/scisip/database-of-sandt-and-innovaon-policy

㔜せ᪋⟇䜢ᢳฟ䛧䝕䞊䝍䝧䞊䝇໬

৆ੁଢ଼஢भञीभॹشॱ؞ੲਾ੦ೕ

ఐ৾ૼ୒ॖঀঋش३ঙথ৆ੁभ஄ਛपથ৷ऩଢ଼஢؞ীෲभञी

भॹشॱ؞ੲਾ॑ତ૟खਁ৫खऽघ؛

历 প৾؞ਁ৓ਃঢ়੡ോછطঢ়৴ॹشॱ 历 ੫঵੡ോછطঢ়৴ॹشॱ

历 ఐ৾ૼ୒ॖঀঋش३ঙথ৆ੁभॹشॱ 历 1,67(3৒ਡ৹ਪਫ਼ด

历 ॹঝই॓ॖ৹ਪਫ਼ด

৹ਪଢ଼஢ऊै੭ैोञॹشॱभਁ৫

历 ଢ଼஢৫৅؞ॖঀसش३ঙথ؞েਓਙق5',3ك

ॹشॱঋش५

历 َఐ৾ૼ୒पৌघॊবড়ਔ௙भ૗৲पঢ়घॊ৹ਪُ

ॖথॱشॿॵॺ৹ਪभ଻௠ॹشॱभਁ৫ 历 3(67,উট४ख़ॡॺ৹ਪॹشॱ

ব੠ভ৮ಉभৱમ

25&,'पঢ়घॊ७঑ॼشق৫ಈك 1,67(32(&'়৊७঑ॼشِইছ५ढ़ॸॕ؞ঐॽগ॔ঝ

ّق৫ಈك

೗૒ୖஙఊവ঻भय़কজ॔པ඼पঢ়घॊ३থএ४क़঒

ق৫ಈك

ॹشॱ੦ೕभଡണपঢ়घॊব੠ভ৮ق৫ಈك

ॹشॱ਀ંॶشঝ

历 ఐ৾ૼ୒੐ఏ+70/ග

历 ఐ৾૛ધभુ෩ঢ়બप੦तऎ૚ব৑भঢ়બ

ব৔ਗभॹشॱ؞ੲਾ੦ೕ

قਗ৖জথॡૐك

(3)

52

表示)として出力している。一方、どの回にも共通に 記載されている項目については全ての年を通じて閲 覧できる形式を採った(全調査結果からの一括検索・

表示)。デルファイ調査検索では、実施した全ての調 査結果をキーワード等によって検索できる(図表 4)。

また、各課題の近さについて、類似性の高い課題を集 めて表示できる機能も備えている。

4. NISTEP 定点調査検索

「科 学 技 術 の 状 況 に 係 る 総 合 意 識 調 査( 以 下、

NISTEP 定点調査)」 は、第 3 期科学技術基本計画の 開始時(2006 年度)以降実施しており、基礎研究 の多様性など通常の研究開発統計

からは把握しにくい、日本の科学技 術やイノベーションの状況につい て、産学官の研究者や有識者への 意識調査から明らかにすることを 目的としている。NISTEP 定点調査 の結果は、審議会資料等にも度々 引用され、広く認知されているも のである。「NISTEP 定点調査検索」

は、第 4 期科学技術基本計画中の 5 年間に実施した調査の結果を表示 検索できる機能を持つものとして、

SciREX のデータ・情報基盤構築の 一環として作成し、Web 上で公開 している1)

研究者や研究環境などの状況に ついて、有識者や研究者からの回答 の機関属性別(図表 5)、個人属性別 の集計、あるいは時系列の表示がで きる。また、自由記述のキーワード 検索もできる。自由記述は文字数で 250 万字(文庫分約 25 冊分)を超 える研究者や有識者の生の声であ る。なお、第 5 期科学技術基本計画 中の NISTEP 定点調査の自由記述 についても、エクセル形式で公開し ている。

5. データ・情報基盤リンク集

政策研究を進めていくときに、既 存のデータとしてどのようなもの が、どこにあるのかを知ることはか なり困難である。そこで、日本も含 めた主要な国・地域の科学技術に

関するデータ・情報基盤として、どの国・地域のどの 機関から、どのような名前のデータベースとして、ど のサイトからどのような経路を経て入手できるかを 調査し、リンク集として提供している1)(図表 6)。

このリンク集に収録した件数は、110 件である。地 域別で示すと、日本 42 件、海外 68 件で、海外の内 訳は、世界 12 件、欧州 6 件、英国 7 件、オランダ 3 件、ドイツ 11 件、フランス 5 件、米国 22 件、中 国 2 件である。同じデータをカテゴリー別でも調べ ることができる。カテゴリーとしては、インプット

(人材、研究資金)、アウトプット(科学知識、知的財 産)、アウトカム(イノベーション、企業・産業)を 設定している。

図表 4 デルファイ調査検索の表示例

図表 5 NISTEP 定点調査検索の表示例

(4)

STI Horizon 2018 Vol.4 No.4

53

客観的根拠(エビデンス)に基づく政策のためのデータ・情報基盤(第三回) ~政策研究のための NISTEP データ・情報基盤~

1) SciREX 関連公開データ

http://www.nistep.go.jp/research/scisip/data-and-information-infrastructure 2) 科学技術関係予算の集計に向けた行政事業レビューシートの分類について

http://www8.cao.go.jp/cstp/budget/2018shukei.html 参考文献

6. 政策研究のためのデータ・情報基盤の今 後の方向性について

6-1 内閣府の行政事業レビューシートに基づく科 学技術予算の公開について

「政策立案の過程で必要となる信頼性のあるエビデ ンス」は 2018 年 6 月 15 日に閣議決定された「統合 イノベーション戦略」の中で、知の源泉という重要な ものに位置づけられており、内閣府では「エビデンス システム」の構築が進められ、「科学技術関係予算の集 計に向けた行政事業レビューシートの分類について」

が 2018 年 5 月に公開されている2)。ここには、科学 技術関係予算として集計された年間 1100 件以上に 及ぶ予算を含めた事業レベルのデータが初めて提供 されている。これは、政府の科学技術関係の政策研究 を進める上で極めて貴重な情報である。公開が継続 され、政策研究に有効に活用されることが望まれる。

NISTEP としても政策研究の観点から本データを活用 したデータ整備を実施していきたい。

6-2 NISTEP でデータ・情報基盤を構築、公開する 意義について

NISTEP では、政策の研究・分析のためのデータ・

情報基盤の構築を目指している。前回までに紹介した ように、名寄せに必要な辞書を、共通基盤として整理、

公開してきた。また、NISTEP オリジナルのデータとし て、デルファイ調査、定点調査、の調査データを継続 的に収集・蓄積してきた。さらに、文部科学省の科学 技術白書を利用しやすいような形に整理し、世界中の 関連するサイトを調査したリンク集を作成し、公開し てきた。これらは、継続的に実施することに意義があ り、NISTEP はその重要性を踏まえて改良しつつ、今 後とも継続していきたいと考えている。

図表 6 データ・情報基盤リンク集の表示例

参照

関連したドキュメント

Ⅳ.政策科学の基礎とフィールドワークの方法

 2017 年 4 月、科学技術・学術政策研究所所長に着任しました加藤重治 です。STI Horizon 誌 2017

3.科学技術イノベーション政策における政策データの利用を通じた新たな政策形成と政策研究の あり方に関するワークショップ(2014 年 3 月 5

米国における「科学政策の科学」の動 向 続いて、米国における昨今の「科学政策の科学 (Science of Science Policy)」の取組の動向を

積 システムを図る 施策、 助成機関や支援センタ 一などの基盤整備、 産官学・ユーザー や 地方政府との 連携や国際連携 (

ネットはアメリカの軍用システムとして開発されたものを民間開放したものですから、そこに

による科学技術政策年次フォーラ ムが開催された 1) 。本フォーラム は、米国における科学技術予算の

2001 年に科学技術政策研究所で実施した「科学技術に関する意識調査 NISTEP REPORT No.72. ( 2001 年