糖尿病治療の目標
糖尿病治療の目標は,糖尿病症状を除くことはもとより,糖尿病に特徴的な合併症,
糖尿病に併発しやすい合併症の発症,増悪を防ぎ,健康人と同様な日常生活の質
(QOL)を保ち,健康人と変わらない寿命を全うすることにある.
血糖コントロールの目標
血糖コントロールは可能な限り正常に近づけるべきである.治療開始後早期に良好な 血糖コントロールを達成し,その状態を維持することができれば,長期予後の改善が 期待できる.細小血管症を抑制するためには空腹時血糖値およびHbA1c値の是正が重 要であり,大血管症を抑制するためにはさらに食後高血糖の是正も必要である1, 2).
血糖コントロールの急激な是正あるいは厳格すぎる血糖コントロールは,ときに重篤 な低血糖,細小血管症の増悪,突然死などを起こしうるので,血糖コントロールの目 標は患者の病態に応じて個別に設定すべきである3).
治療戦略
治療戦略は,糖尿病の病型,病態,年齢,代謝障害や合併症の程度により異なる.
インスリン依存状態ではインスリン治療を行う.インスリン非依存状態においても,
妊娠時,全身管理が必要な外科手術,重篤な感染症の際にはインスリンで治療する.
また,経口血糖降下薬によっても目標の血糖コントロールが得られない場合はインス リン治療を行う.
インスリン非依存状態においては,十分な食事療法,運動療法を 2〜3 ヵ月間行っても 良好な血糖コントロールが得られない場合,経口血糖降下薬により治療する.代謝障 害の程度によっては最初からインスリンや経口血糖降下薬などの薬物療法を,食事療 法,運動療法に加えて開始する.
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2 2
3 3
グレード A コンセンサス
グレード A
グレード A
グレード A コンセンサス
グレード A コンセンサス
グレード A コンセンサス
科学的根拠に基づく糖尿病診療ガイドライン 2013
糖尿病治療の目標と指針
2
診 病 尿 糖 く づ 基 に 拠 根 的 学
科 診療ガイドライン2013
ステートメント テ ー ト メ
ス メ ン ト
慢性合併症の予防,進展抑制
糖尿病の慢性合併症の予防,進展抑制のためには,単に血糖コントロールのみでなく,
肥満を解消し,血圧や脂質代謝のコントロールを目指す.また,禁煙を守る.
継続的治療・教育の重要性
慢性疾患である糖尿病において,合併症の発症,増悪を防ぐには,継続的治療は必須で あり,チーム医療による患者教育は糖尿病治療の根幹をなすものである.
糖尿病治療の目標
糖尿病はインスリン作用の不足による慢性の高血糖状態を主徴とする代謝疾患群である.
インスリン作用不足による代謝障害の程度が軽度であればほとんど症状は気づかれない.
そのため長期間放置されることがある.しかし,血糖値が著しく高くなる代謝状態では口 渇,多飲,多尿,体重減少がみられ,さらには急性合併症として意識障害や昏睡に陥り,
効果的な治療が行われなければ死に至ることもある.代謝障害が軽度でも長く続けば特徴 的な慢性合併症(すなわち網膜症,腎症,神経障害)を発症するリスクが高い.さらに,糖 尿病では全身の動脈硬化症が促進され,これが心筋梗塞,脳梗塞,下肢の閉塞性動脈硬化 症の原因となる.また,細菌感染に対する抵抗力の低下をもたらす.
糖尿病治療の目標は,これら糖尿病に特徴的な急性合併症と慢性合併症,および糖尿病 に併発しやすい合併症の発症,増悪を防ぎ,健康者と同様な日常生活の質(QOL)を保ち,
健康者と変わらない寿命を全うすることである.
HbA1c の表記に関して
本書ではHbA1c値に関し,基本的に米国などにおける基準に基づくHbA1c(NGSP)と の整合性を図るため,従来からのJDS(日本糖尿病学会)標準検体に依拠したHbA1c値に ついては,換算式「NGSP値(%)=JDS値(%)×1.02+0.25%」に基づいて換算し,HbA1c
(NGSP)と記しているa, b).ただし,過去の経緯の解説等においてJDS値を記載する必要があ る場合には,HbA1c(JDS)と記し,HbA1c(NGSP)を併記している.なお,日本糖尿病学 会では 2013 年 4 月 1 日以降,日常臨床などではNGSP値単独表記とし,同様に特定検診 でも保険者・受診者への結果報告のいずれもNGSP値のみで行うことを推進している.ま た,2014 年 4 月 1 日をもってわが国において使用されるHbA1cの表記はすべてNGSP値 のみとし,日常臨床などにおいてもJDS値の併記を行わないこととしている(詳しくは
「HbA1c表記の運用に関して」(6 頁)参照).
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グレード A コンセンサス
グレード A コンセンサス
解 説 説
解
血糖コントロールの目標ならびに評価
多くの疫学的解析から,血糖コントロールが良好なほど,細小血管症あるいは大血管症 の発症・進展のリスクが減少することは明らかである.どの程度まで血糖コントロールを 改善すれば合併症の発症が抑制できるかについての明確な基準はないが,わが国からは HbA1c(JDS)6.5%[HbA1c(NGSP)6.9%]未満であれば細小血管症の発症・進展はほぼ抑制 できるというエビデンスが報告されている4).しかし,大血管症については,食後の血糖値 だけが高い耐糖能異常の段階から発症・進展のリスクが高い2).したがって,血糖コント ロールの理想的な目標は,1 日を通じて高血糖,低血糖なく空腹時および食後高血糖が是 正され,その結果血糖値の平均的指標を表すHbA1c(過去 1,2 ヵ月間の平均血糖値を反映 する)が正常化することである.糖尿病の診断後早期の血糖コントロールが,長期間の合併 症発症や死亡に関連する(legacy effect:遺産効果)ので,治療は遅滞なく行うことが重要で
ある5, 6).特に,糖尿病治療の放置や中断は患者の長期予後に悪影響がある.また,血糖コン
トロールの急激な是正あるいは厳格すぎる血糖コントロールにより,細小血管症や死亡率 が増加するとの報告もある3).
血糖コントロールの目標は,年齢,罹病期間,合併症の状態,低血糖のリスクならびに サポート体制などを考慮して,個別に設定すべきである.
上記の点を前提として,合併症予防の観点からHbA1c(NGSP)の目標値を 7.0%未満と する.Kumamoto StudyにおいてHbA1c(JDS)6.5%[HbA1c(NGSP)6.9%]未満であれば 細小血管合併症の出現する可能性が少ないことが報告4)されている.Kumamoto Studyが 少数例での検討であることや諸外国における目標値も考慮してc),HbA1c(NGSP)7.0%未 満とする.対応する血糖値としては,空腹時血糖値 130mg/dL未満,食後 2 時間血糖値 180mg/dL未満をおおよその目安とする.これらはKumamoto Studyの結果に加え,伊藤 ら7),本田ら8)によるHbA1cと空腹時血糖値との関係から決定した.
HbA1c(NGSP)7.0%に加え,HbA1c(NGSP)6.0%ならびに 8.0%という数値も日常診療 において血糖コントロールの目安として意識すべき数値となる.HbA1c(NGSP)6.0%とい う数値は血糖値の正常化を目指すという観点からは目標とすべき数値であり,適切な食事 療法や運動療法だけであるいは薬物療法に際しても低血糖などの副作用なくこの数値を達 成できれば理想的な血糖コントロールといえる.罹病期間の短い,心血管系に異常のない 若年者においては目標となる数値である.実際,糖尿病罹病歴の短い患者を対象とした UKPDS(United Kingdom Prospective Diabetes Study)では,HbA1c(NGSP)6.0%程度ま では,細小血管症・大血管症ともに発症リスクが低下している1).
一方,HbA1c(NGSP)8.0%は低血糖その他の理由で治療の強化が難しい場合においても 最低限達成が望ましい目標値であり,この数値以上であれば治療法を変更するなど工夫を 要する血糖コントロール状態である.HbA1cと細小血管症出現との関係には連続性が認め られ,閾値はないが,たとえばDCCTにおいてもHbA1c(NGSP)8.0%を超えると網膜症 のリスク増加の傾きが大きくなること9),UKDPSの従来療法群ではそのHbA1c(NGSP)
の中央値が 7.9%で,この群において有意に細小血管合併症の発症が多かったこと10)から,
HbA1c(NGSP)8.0%をひとつの区切りとした.
また,以上の評価は主に細小血管症に対するリスクの観点からのものである.75g OGTT 2 時間血糖値が心血管疾患における,血圧,脂質とは独立した危険因子であることが
3
3
されたい(「12.糖尿病大血管症」参照).
以上とは別に,妊娠(妊娠前から分娩までの間)に際しては厳格な血糖コントロールが必 要であることを銘記されたい(「16.妊婦の糖代謝異常」参照).
糖尿病治療の指針
インスリン依存状態(多くの 1 型糖尿病はこの状態にある.2 型糖尿病でも代謝障害の著 しいときはこの状態にある)では,直ちにインスリン治療を開始する.また,インスリン非 依存状態でも,重篤な感染症,全身管理が必要な外科手術時,肝・腎などの合併症の程度 によっては,インスリンで治療する.糖尿病患者の妊娠時や妊娠糖尿病においてはインス リン治療により前項に述べた目標を目指すべきである.その他のインスリン非依存状態に おいては,代謝障害がより高度であれば(随時血糖値 250〜300mg/dL程度またはそれ以 上),最初から経口血糖降下薬やインスリンによる薬物療法を食事療法,運動療法に加えて 開始する.代謝障害が中等度以下の場合(随時血糖値 250〜300mg/dL程度またはそれ以 下),まず,患者の病態を十分に解析して,適切な食事療法と運動療法を行う.この場合,
生活習慣改善に向けて患者教育を十分に行い,患者の治療への意識を高めることが大切で ある.治療を 2〜3 ヵ月間程度続けても,なお,目標の血糖値を達成できない場合には,経 口血糖降下薬またはインスリン製剤などを用いる(図 1).最近ではインスリン製剤や注射 器材の進歩により,インスリン療法は,従来より患者に受け入れられやすくなってきてい る.薬物療法では投与量は少量から始め,徐々に増量する.体重の減量や生活習慣の改善 により,代謝状態が改善し,薬物の投与量の減少〜中止が可能になることがある(経口血糖 降下薬の使用に関しては「5.血糖降下薬による治療」参照,インスリン療法に関しては
「6.インスリンによる治療」参照).
血糖コントロールのための目標値は症例により異なり必ずしも一律にはできないが,一 般には低血糖を頻繁に起こすことなく,HbA1c(NGSP)7.0%未満を,青壮年者ではできる だけHbA1c(NGSP)6.0%未満を目標とすべきである.高齢の糖尿病患者では,年齢と罹病 期間,合併症の状態を勘案し,血糖コントロールの目標値を多少緩める場合も少なくない.
その場合でも,なるべくHbA1c(NGSP)8.0%未満を目標とするd).一般的には,HbA1c
(NGSP)8.0%以上が続いていれば,治療の変更を考慮することが必要である.治療変更後 は約 2〜3 ヵ月経過を観察し,改善がなければ再度変更する.このようにして血糖コント ロールの目標を達成する.なお,ACCORD trial 3)あるいはADVANCE trial 12)の結果を考 慮すると,現時点では,心血管障害の既往を有する場合には,特に低血糖を避け徐々に血 糖を低下させることが重要である(12.「糖尿病大血管症」参照).
肥満した糖尿病患者では体重のコントロールは重要である.なかでも内臓脂肪の蓄積は,
血圧,脂質代謝,血糖のコントロールに悪影響を及ぼし,心血管疾患発症の危険因子とさ れている(「24.メタボリックシンドローム」参照).まず,肥満の原因を生活環境,食習 慣,運動の習慣,精神的要因などの面から分析し,是正できるものを見出して減量に対す る動機付けを行う.体重のコントロールの目標はBMI(body mass index=体重(kg)÷[身 長(m)]2)22 とすべきである.2 型糖尿病患者でBMIが 23 以上のものは蛋白尿が出現す る率が高いe).また,糖尿病患者における心血管疾患発症の危険因子の閾値はBMI23 であ ると報告されている13).実際には減量のための治療の継続は困難なことも多く,一応の目
4
4
標として減量前体重の約 5%前後の減量を目安としつつ,徐々に行う.たとえ目標を達成 できなくても,1kgでも 2kgでも減量すると糖尿病に関与する代謝の改善を認めることが 多い.また,最近では肥満を伴う糖尿病に各種の外科手術が試みられ良好な成績が報告さ
れている14, 15)(「13.肥満を伴う糖尿病」参照).
血 圧 の コ ン ト ロ ー ル に 関 し て は , 目 標 血 圧 は 130/80mmHg 未 満( 家 庭 血 圧 治療
治療の開始(初診)
治療の継続 ●食事療法,運動療法,生活習慣改善に向けて患者教育
治療
●食事療法,運動療法,生活習慣改善に向けて患者教育
●経口血糖降下薬療法
●インスリン療法
●GLP-1受容体作動薬療法
治療
●食事療法,運動療法,生活習慣改善に向けて患者教育
●経口血糖降下薬の増量または併用療法
●インスリンへの変更または経口血糖降下薬とインスリンとの 併用療法
●GLP-1受容体作動薬療法への変更または経口血糖降下薬と GLP-1受容体作動薬との併用療法
治療
●食事療法,運動療法,生活習慣改善に向けて患者教育
●強化インスリン療法 血糖コントロール目標
の達成 血糖コントロール目標 の不達成
治療の継続
血糖コントロール目標
の達成 血糖コントロール目標 の不達成
治療の継続
血糖コントロール目標 血糖コントロール目標 の不達成
の達成 療 治
) 診 初
( 始 開 の 療
続
療
法 療
療
動 運 法 療 事 食
● 治
療 動 運
, 法 療 事 食
●
継の療治
治 治
血 成 達 のトロール目 ン
コ 糖 血
育
)
教 者 患 て け 向 に 善 改 慣 習 活 生 法 療
教 者 患 て け 向 に 善 改 慣 習 活 生
, 法
診 初
( 始 開 の 療
標
目 血 成
達 不
のトロール目標 ン
コ 糖 血
育 教
作
療
運
, 法 療 事 食
● 治
体 容 受 1 - P L G
●インスリン療法
●経口血糖降下薬
●食事療法,運動
●
続継の療治
血 成 達 のトロール ン コ 糖 血
法
者 患 て け 向 に 善 改 慣 習 活 生
, 法 療 動 運
療 薬 動 作
法 療
薬療法,生活習慣改善に向けて患者教
標 目
ル 血 成
達 不
のトロール目標 ン
コ 糖 血
育
育 教 者 教
体
療 治
容 受 1 - P L
GLP-1受容体 G
●併イ用ン療ス法リンへ
●経口血糖降下
●
続継の療治
血 成 達 のトロ ン コ 糖 血
体体作作動動薬薬と療の法併へ用の療変法更または経口血 ン イ と 薬 下 降 糖 血 口 経 は た ま 更 変 の
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血 成
達 不
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コ 糖 成ール目標 血 ロ
血糖降下薬と
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標
化 強
●食事
●
法 療 ン リ ス ン イ
化療法,運動療法,生活習慣改善に向 事
育 教 者 患 て け 向
図 1 2 型糖尿病;インスリン非依存状態の治療
急性代謝失調を認めない(随時血糖値 250〜300mg/dL 程度またはそれ以下で尿ケトン体陰性)場合の 治療方針を示す.血糖コントロール目標は HbA1c(NGSP)7.0%未満とするが,患者の病態や年齢などを 考慮して個々に設定する.詳細については「3.食事療法」「4.運動療法」「5.血糖降下薬による治 療」「6.インスリンによる治療」参照.
常血圧を維持することが重要である.特に糖尿病腎症がある場合には,十分な降圧を図る べきである.血圧のコントロールにおいても食塩摂取制限も含めて生活習慣の改善を指導 することが基本的に重要である.高血圧の薬物治療については,今日では作用機序の異な る降圧薬が多数市販されているので,それらの特性を吟味して使用すべきである(「14.糖 尿病に合併した高血圧」参照).
糖尿病患者にみられる脂質異常症は心血管障害の危険因子である.脂質異常症に対して 治療を進めなければならない.血清脂質の目標値は冠動脈疾患を有しない場合には,LDL コレステロール(LDL-C)120mg/dL未満,冠動脈疾患を有する患者ではLDL-C 100mg/dL 未満である.また,トリグリセライドは 150mg/dL未満,HDLコレステロール(HDL-C)
は 40mg/dL以上を目標とする(表 1).まず食事療法,運動療法の実行が基本的に重要で あるが,薬物療法が必要な場合には,高LDLコレステロール血症に対してはHMG-CoA 還元酵素阻害薬を,また,高トリグリセライド血症に対してはフィブラート系薬剤を考慮 する(「15.糖尿病に合併した脂質異常症」参照).
糖尿病患者では動脈硬化が進みやすいことから禁煙とすべきである.アルコールの摂取 は血糖や血清脂質のコントロールを乱しがちであることから,少ないほどよいが,肝疾患 や合併症など問題のある症例では禁酒とする(「3.食事療法」参照).表 2に糖尿病治療の 基本をあげる.
糖尿病は複雑な慢性疾患であり,急性の,また慢性の合併症は患者のQOLを低下させ,
予後を悪化させる.それらの予防,治療のためには患者自身による自己管理によって生活 習慣を適正に保つよう努力することが求められる.また,薬物療法を行っている場合には,
これを適切に行うことが重要である.これらの目標のためには可能であればチーム医療を 立ち上げることが望ましく,糖尿病患者はその医療チームのもとで自己管理を徹底して治 療を継続すべきである.この医療チームには,糖尿病に関する十分な知識を有し,糖尿病 患者に対する教育的,心理的配慮にたけた糖尿病療養指導士や看護師,管理栄養士,薬剤
表 1 血糖以外のコントロールの目標値
BMI 22
血圧 130/80mmHg(家庭血圧では 125/75mmHg 未満)
血清脂質 LDL コレステロール トリグリセライド HDL コレステロール non HDL コレステロール
冠動脈疾患(−):120mg/dL 未満 冠動脈疾患(+):100mg/dL 未満 150mg/dL 未満
40mg/dL 以上
冠動脈疾患(−):150mg/dL 未満 冠動脈疾患(+):130mg/dL 未満
表 2 糖尿病治療の基本
1.食事療法と運動療法を励行し,血糖値をコントロールする.また,肥満を解消する.
2.必要があれば,経口血糖降下薬やインスリン療法を行う.
3.血圧や脂質代謝の管理を行う.
4.治療の目標は,急性・慢性の合併症の予防,合併症の治療とその進展抑制である.
師,臨床検査技師,理学療法士の参加が期待され,それとともに,必要に応じ眼科医,腎 臓内科医,循環器科医,神経内科医,産科医,歯科医など,他分野の専門家や,他の職種 にある者の協力が求められる.この包括的チームを主治医が主導する.平成 18 年の医療法 改正に伴い,都道府県は平成 20 年度 4 月を目処に糖尿病に関する医療計画を策定し,糖尿 病の医療連携体制を構築することが義務付けられた.また平成 18 年度には各都道府県にお ける糖尿病対策推進会議(医師会,糖尿病学会,糖尿病協会などが糖尿病の発症予防,標準 的な治療の普及などを目指して共同して設立した会議)も設立・整備された.これらを有効 に利用し,糖尿病のチーム医療を地域におけるレベルで実現することが重要である.初期,
安定期の糖尿病治療を担う小規模の医療機関の場合,主治医は糖尿病に精通する看護師と ともに患者教育の実施を企画し,眼科医など他分野の専門家と緊密な連携を保持して最善 の糖尿病医療を目指すべきであり,血糖コントロールの悪化,合併症の進行,急性代謝失 調発症時などには専門治療を担う医療機関との連携が欠かせない(「22.糖尿病の療養指導・
患者教育」参照).すべての糖尿病患者が糖尿病発症時に,また,治療の経過中に,糖尿病 に関する知識を広く学んでいくことは,糖尿病治療の基本をなすものである.また,よい 治療成果を得るには家族の協力も大切である.
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レベル❶+ベル❶+ レベル❶+ レ
レベル❷ベル❷ レベル❷ レ
レベル❷ベル❷ レベル❷ レ
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レベル❹ベル❹ レベル❹ レ
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文 献 献
文
10)United Kingdom Prospective Diabetes Study(UKPDS)Group:Intensive blood-glucose con- trol with sulphonylureas or insulin compared with conventional treatment and risk of compli- cations in patients with type 2diabetes(UKPDS 33). Lancet 352:837-853, 1998
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【参考にした資料】
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レベル❶+ベル❶+ レベル❶+ レ
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レベル❶ベル❶ レベル❶ レ レベル❷ベル❷
レベル❷ レ
レベル❷ベル❷ レベル❷ レ
1)Stratton IM et al(UKPDS 35), 2000
コホート研究 2)Tominaga M et al, 1999
コホート研究
3)Gerstein HC et al
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6)Nathan DM et al
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7)Ito C et al, 2000 横断研究 8)Yamamoto-Honda R et al,
2008
横断研究
9) DCCT Research Group, 1996
コホート研究
10)UKPDS 33, 1998 RCT 11)Balkau B et al, 2004
コホート研究
12)Patel A et al
(ADVANCE), 2008 レベル❶+ベルRCT❶+ レベル❶+ レ レベル❶+ベル❶+ レベル❶+ レ レベル❶+ベル❶+ レベル❶+ レ
レベル❷ベル❷ レベル❷ レ
レベル❷ベル❷ レベル❷ レ
レベル❷ベル❷ レベル❷ レ
レベル❷ベル❷ レベル❷ レ
レベル❷ベル❷ レベル❷ レ レベル❹ベル❹ レベル❹ レ
レベル❹ベル❹ レベル❹ レ レベル❷ベル❷ レベル❷ レ
レベル❷ベル❷ レベル❷ レ
他章(「5.血糖降下薬による治療(インスリンを除く)」)参照
1996 年末まで追跡し,初回 OGTT の型別に動脈硬化性疾 患死亡率を比較
IGT は動脈硬化性疾患死亡率が 正常型に比して有意に高かった が,IFG ではそのようなことは なかった
論文コード 対 象 方 法 結 果
アブストラクトテーブル ブ ス ト ラ ア ラ ク ト テ ー ブ ル
1990〜1992 年に OGTT で 検診した舟形町住民(2,651 人)
他章(「5.血糖降下薬による治療(インスリンを除く)」,「12.糖尿病大血管症」)参照
他章(「6.インスリンによる治療」,「7.糖尿病網膜症の治療」,「8.糖尿病腎症の治療」,「9.
糖尿病神経障害の治療」,「22.糖尿病の療養指導・患者教育」)参照
他章(「5.血糖降下薬による治療(インスリンを除く)」,「8.糖尿病腎症の治療」,「12.糖尿 病大血管症」)参照
他章(「6.インスリンによる治療」,「12.糖尿病大血管症」)参照
他章(「1.糖尿病診断の指針」)参照
HbA1c(JDS)<6.5%[HbA1c
(NGSP)6.9%]に相当する空 腹時および朝食後 1,2,3 時 間血糖値は そ れ ぞ れ 132,
174,170,143mg/dL であっ た
HbA1c と網膜症リスクとの関 係には連続性が認められ閾値は な い が ,HbA1c( NGSP)
8.0%を超えると網膜症リスク 増加の傾きが大きくなる 空腹時および朝食後 1,2,3
時間血糖値と HbA1c の相関 を解析
平均 6.5 年間の追跡期間中の HbA1c と網膜症リスクの関連 を分析[RCT の疫学的解析]
日本人糖尿病通院患者(4,120 人)
1 型糖尿病の米国人(1,441 人)
OGTT を受けたヨーロッパ人
(男性 16,506 人,女性 8,907 人)
他章(「5.血糖降下薬による治療(インスリンを除く)」,「6.インスリンによる治療」,「7.糖尿 病網膜症の治療」,「8.糖尿病腎症の治療」,「9.糖尿病神経障害の治療」,「12.糖尿病大血管 症」)参照
OGTT の型別に 10 年間の追 跡期間中の心血管疾患死リスク を分析
IFG±IGT では男女とも心血管 疾患死リスクの有意な上昇を認 めた(ハザード比約 1.2〜1.7 倍)
他章(「5.血糖降下薬による治療(インスリンを除く)」,「8.糖尿病腎症の治療」)参照
13)清原 裕, 2000 コホート研究
14)Schauer PR et al, 2012 RCT
15)Mingrone G et al, 2012 レベル❶ベルRCT❶ レベル❶ レ レベル❶ベル❶ レベル❶ レ レベル❷ベル❷ レベル❷ レ
1988 年に 75g OGTT を受け た 40〜 79 歳 の 久 山 町 住 民
(2,424 人.糖尿病患者は男性 15%,女性 10%)
肥満を伴うコントロール不良糖 尿病患者(150 人)
肥満を伴う糖尿病患者(60 人)
8 年間追跡し,心血管病発症 と,その危険因子の関係を検討
薬物療法と減量術併用の比較
薬物療法と減量術の比較
糖尿病者での危険因子およびそ の 閾 値 は 空 腹 時 血 糖 120 mg/dL 以上,HbA1c(JDS)
5.5%[ HbA1c( NGSP)5.9
%]以上,総コレステロール 220mg/dL 以上,BMI 23 以 上,収縮期血圧 130mmHg 以 上であった
12 ヵ月後の HbA1c(NGSP)<
6.0%達成率は薬物療法群,胃 バイパス術群,袖状胃切除群で それぞれ 12,42,37%であっ た
2 年後の糖尿病寛解率は,薬物 療法群,胃バイパス術群,胆膵 管迂回術群でそれぞれ 0,75,
95%であった
論文コード 対 象 方 法 結 果