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乳幼児期のロ腔機能の発達〜食育の視点から〜 井上 美津子

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Academic year: 2021

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シンポジウム2

子どもの咀噌・食べ物

S2−2

乳幼児期のロ腔機能の発達〜食育の視点から〜

井上 美津子

昭和大学歯学部小児成育歯科学講座

 小児にとって口の機能(口の働き)は、日々の生活においても、また心身の成長や発達の面でも重 要なものである。歯や口を使って、おいしく食べて、楽しく話し、泣いたり笑ったり感情を表現して いくことは、小児のこころと身体の健全な成長・発達を促す。なかでも「食べる」ことは、身体の成長 や生命活動の維持に必要な栄養を摂取することばかりでなく、食事の場で一緒に食べる人達とコミュ ニケーションを交わし「おいしさ」を分かち合って精神的な満足を得るなど、こころの発達を促すと いう面でも大切なものである。昨今の 食育推進 の流れのなかでも、子どもの食育ではこのようなと ころが再認識され、「共食の場を確保する」ことや「楽しく食べて、豊かな人間性を育てる」ことが 強調されている。また、平成28年度から始まる第3次食育推進基本計画の歯科からの目標には「ゆっ

くりよく噛んで食べる国民を増やす」ことがあげられており、小児期の口腔機能の獲得時期から

「ゆっくりよく噛む咀噌習慣」を育成することが望まれている。

 出生直後には反射でお乳を吸うことしかできなかった赤ちゃんが、生後半年もすると離乳食を食べ 始める。乳児期前半は哺乳が中心の時期であるが、この時期の指しゃぶりや玩具しゃぶりなどの口遊 びは、哺乳の反射を減退させ、口の随意的な動きを促す行為でもあり、離乳の準備となる大切なもの と考えられる。そして、「口唇で食べ物を取り込み、舌と口蓋の前方部で食べ物の形状を感知し、その 大きさや硬さに応じて歯を使って噛み、唾液と混ぜ合わせて飲み込みやすくしてから嚥下する」とい

う一連の「咀噌」の動きは、乳児期後半の離乳の過程において基本的な動きが学習され、乳歯が生え

揃う3歳頃までにほぼ獲得される。乳歯の萌出状態と咀囑機能の発達とは関連が深く、乳切歯の萌出

により口唇と舌の動きが分離されることで、口唇閉鎖や舌での押しつぶしが上手になり、乳臼歯の萌 出により食べ物の噛みつぶしが可能になる。乳幼児期は、歯や口の発育に応じてこのような食べる機 能が獲得される時期なので、上手な「噛み方、飲み方、味わい方」が覚えられるようにサポートを行

うことが重要と考えられる。

 一方、以前は小児の発育とともに自然に獲得されると考えられていた食べる機能や食行動が、近年 の研究から出生後に学習され獲得されるものであることがわかってきた。そして、小児の発育過程で 全身や口腔の成長・発達とともに学習・獲得される食べる機能や食行動は、子どもの生活環境との関 連も高く、少子化や核家族化の進んだ最近の社会状況のなかでは、うまく獲得できなかったり、獲得 されていても日常生活でうまく発揮できない子ども達も現れてきている。このような子ども達には機 能面と環境面の両面からの支援が必要になる。

 本シンポジウムでは、乳幼児期の食べる機能と食行動の発達を中心にみていきながら、必要な支援 についても述べたい。

78  The 63rd Annual Meeting ofthe」apanese Society of⊂hild Health Presented by Medical*Online

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