サイリスタ特性の基礎
松田順一 群馬大学
令和元年度 集積回路設計技術・次世代集積回路工学特論 公開講座 第
385
回 群馬大学アナログ集積回路研究会令和元年6月18日(火) 14:20-17:30
概要1
(1)サイリスタの概要
・サイリスタの種類と用途、サイリスタの回路記号
(2)サイリスタ(
Thyristor
)・構造と動作
・ブロッキング特性
逆方向ブロッキング特性、順方向ブロッキング特性、カソード短絡
・オン状態の特性
オン状態の動作、ゲートトリガー電流、保持電流
・スイッチング特性
ターンオン時間、ゲート設計、増幅ゲート設計、
dV/dt
耐性、ターンオフ過程(3)光トリガサイリスタ
・構造とターンオンメカニズム、ゲート領域設計、光誘起電流密度、増幅ゲート設計
(4)サイリスタの保護
・順方向ブレークダウン保護、
dV/dt
ターンオン保護概要2
(5)GTO(
Gate Turn‐Off Thyristor
)・構造と動作
・ターンオフ解析
ターンオフ条件(1次元解析)、蓄積時間、アノード電圧上昇時間、アノード電流下降時間
・スイッチング損失
・最大ターンオフ電流
・セル設計とレイアウト
(6)Triac(
Triode AC Switch
)・構造と動作
・ゲートトリガモード1、ゲートトリガモード2
・
dV/dt
耐性(7)サイリスタ終端領域の電界緩和
・ベベル終端(正ベベルと負ベベル)
(8)サイリスタ用ウエハと不純物ドーピング
サイリスタの概要
■ サイリスタ(
Thyristor
):SCR (Silicon Controlled Rectifier)
・AC パワー回路に使用(順方向と逆方向の高電圧ブロッキングが可能 )
・AC 電圧源の最初の半サイクル期間内で位相制御を行い、負荷への電力供給を行う
・比較的に小さなゲート制御電流でオン(一旦オンすると、ゲート駆動電流無しでもオン状態を保つ。)
・
AC
回路の中で、逆バイアスになると自動的にオフ・高パワーレベルで使用(例えばブロッキング電圧
: 8kV
、オン電流: 5kA
)、高電圧直流(HVDC)送電用・光トリガサイリスタを直列に接続して非常に高い電圧の送電(
100 kV
以上)に使用■ GTO(
Gate Turn-Off Thyristor
)■Triac(
Triode AC Switch
)(双方向サイリスタ)・DC パワー回路に使用
・大きな逆ゲート駆動電流印加により、
DC
パワー回路の電流をターンオフ・高速鉄道輸送用に使われる電車のモータ駆動
→ IGBT
に置き換った・AC パワー回路に使用(順方向と逆方向の高電圧ブロッキングが可能 )
・AC 電圧源の両半サイクルにおける位相制御により、負荷(家電製品)へ電力供給を行う
・負荷へ電力供給する Triac の動作効率は、サイリスタに比べて良い
・ターンオン期間に発生する EMI により Triacは使われなくなり、IGBT に置き換わった
(1)サイリスタの概要
サイリスタの回路記号
サイリスタ Triac
K:カソード A:アノード
K
T1
K K
K
K K
A
G
A A
A
A A
G G
G G
G G
G
T1
T2 T2
G:ゲート
サイリスタの構造
Distance (Linear scale)
Doping Concentration (Log scale)
アノード 端子(A)
カソード 端子(K)
ゲート端子(G)
P
+P
N
+N
-N-ドリフト(ベース)
J
1J
3J
2N
Dx
JKN
ASN
KSN
BSx
JAx
JBカソード アノード
P-ベース
アノードP+: ウエハ裏面からP型不純物拡散により形成 カソードN+: ウエハ表面からN型不純物拡散により形成 P-ベース:ウエハ表面からP型不純物拡散により形成
J
1: P
+アノードとN-
ドリフトの接合J
2: P-
ベースとN-
ドリフトの接合⇒順方向と逆方向で高耐圧達成
⇒エッジターミネーションで正と負のベベルを使用可能
(耐圧低下抑制)
傾斜型接合の形成
⇒
P
型不純物(Ga, Al
:B
より大きな拡散係数)⇒
Ga: P
+アノード形成(∵高い個体の溶解度)⇒
Al: P-
ベース形成(∵低い個体の溶解度)(
P-
ベースとN-
ドリフトの接合で負ベベル形成)傾斜型接合
構造と動作
(2)サイリスタ(
Thyristor
)サイリスタの出力特性
オン状態
順方向
ブロッキング状態
逆方向ブロッキング状態
BV
RBV
F■ アノードに負バイアス印加
■ アノードに正バイアス印加
⇒
J
1とJ
3:
逆バイアス、J
2:
順バイアス⇒逆バイアスは主に
J
1に掛かる⇒逆ブロッキング電圧は
N-
ドリフト領域の 厚みとドーピング濃度から決まる(オープンベーストランジスタブレークダウン電圧)
⇒
J
1とJ
3:
順バイアス、J
2:
逆バイアス⇒順バイアスは主に
N-
ドリフト領域に掛かる ゲートにトリガー信号が入った場合の トランジション
サイリスタの等価回路
P
+P
N
+N
-J
1J
3J
2P N
- KG
A
K
G
A
PNP トランジスタ
NPN トランジスタ
I
KI
GI
KI
GI
AI
Aゲート電流
I
Gを印加(トリガー電流)■ サイリスタの動作(オフ
→
オン)PNP
NPN
J
3を順方向バイアス(
N
+カソードからP
ベースへ電子が注入)→ NPN
トランジスタのベース電流が流れる→ NPN
トランジスタがオン→ PNP
トランジスタのベース電流が流れる→ PNP
トランジスタがオン正帰還(安定したオン状態:
I
Gは不要)オン状態の電流はオン電圧(アノードとカソード間の電圧)
と共に指数関数的に増大(PiNダイオードの特性に類似)
■ サイリスタの動作(オン
→
オフ)アノードに逆バイアス(負電圧)を印加
一旦サイリスタがオフ状態になるとアノードに 正電圧を印加してもオンしない。
ターンオフ期間に
PiN
ダイオードと同様にサイリスタの位相制御
-15 -10 -5 0 5 10 15
-150 -100 -50 0 50 100 150
0 2 4 6 8 10 12 14 16 18
Anode Current (A)
Anode Voltage (V)
Time (ms)
100 V-rms, f = 60 Hz,
抵抗負荷 アノード電圧アノード電流
ゲートトリガー
■ サイリスタは、AC 電圧源の最初の半サイクル期間内で 位相制御を行い、負荷への電力供給を行う
■ 二番目の半サイクルの初めに、逆回復過程がある
■ その後、サイリスタは電流を流さないで、
逆アノードバイアスを支持できる 逆回復
過程
サイリスタによる
AC
電源の位相制御の例逆方向ブロッキング特性
P
+P
N
+N
-J
1J
3J
2W
NK A
I
KI
A空乏 領域
E(y)
E(y) W
DW
Dy
y
■ アノードに負電圧印加
J
1とJ
3逆バイアス、J
2順バイアスほとんどの逆バイアスはJ1に掛かる
(
J
3は比較的低電圧をサポート(<50V
))E
mE
mα
PNPI
KI
LW
N= W
DW
N> W
D(2)
W
N= W
Dの場合のブレークダウン電圧BV
RT(1)
W
N> W
Dの場合のブレークダウン電圧BV
PP𝐵𝑉
𝑃𝑃= 5.34 × 10
13𝑁
𝐷𝐵𝑉
𝑃𝑃(V) 𝑁
𝐷(cm
−3)
E
m→ E
c(臨界電界)の場合(アバランシェブレークダウン)(N
D)
リーチスルー
但し、この場合、
E
m< E
cJ
1からの空乏領域がJ
2 に到達するとJ
2から空乏領域に 正孔が注入しブレークダウンに至る(リーチスルーによるブレークダウン)
𝐵𝑉
𝑅𝑇= 𝑞𝑁
𝐷2𝜀
𝑠𝑊
𝑁2𝑙
ブロッキング特性
逆方向ブロッキング時の実際のブレークダウン電圧
𝐼
𝐴= 𝛼
𝑃𝑁𝑃𝐼
𝐾+ 𝐼
𝐿= 𝐼
𝐾𝐼
𝐴= 𝐼
𝐿1 − 𝛼
𝑃𝑁𝑃𝛼
𝑃𝑁𝑃= 𝛾
𝐸𝛼
𝑇 𝑃𝑁𝑃𝑀 = 1 𝛼
𝑇= 1
cosh Τ 𝑙 𝐿
𝑝𝑙 = 𝑊
𝑁− 2𝜀
𝑠𝑉
𝐴𝑞𝑁
𝐷𝑀 = 1
1 − 𝑉
𝐴Τ 𝐵𝑉
𝑃𝑃,𝐴 𝑛γE(≒1): J2における正孔の注入効率
αPNP: PNPトランジスタのベース接地電流利得
αT: ベース輸送ファクター(1) M: キャリア増倍係数
LP: N-ドリフト領域の正孔の拡散長
■ オープン・ベース・トランジスタ・ブレークダウン電圧
・電流の関係式(ブロッキング状態)
・ブレークダウンの条件(
I
A= ∞)
VA: アノードへ印加された逆バイアス
εs: 半導体の誘電率 q: 電子の電荷の大きさ n: P+/N接合の場合6
N-ドリフト領域に 広がる空乏層幅
IL: 空乏領域内でキャリア発生によるリーク電流
ブレークダウン条件を満たすVAがブレークダウン電圧 BVPP,A: J1接合のアバランシェブレークダウン電圧
N - ドリフト領域のドーピング濃度と幅の最適化
0 100 200 300 400 500
2E+13 3E+13 4E+13 5E+13 6E+13 7E+13
Drift Region Width (μm)
Drift Region Doping Concentration (cm-3)
0 1000 2000 3000 4000
200 250 300 350 400 450 500
Open-Base Breakdown Voltage (V)
Drift Region Width (μm)
逆方向ブロッキング電圧とドリフト領域幅の関係 ドリフト領域幅とドーピング濃度との関係 5×1013cm-3
7×1013cm-3 3×1013cm-3
最小値
逆方向ブロッキング電圧: 2000 V 逆方向ブロッキング電圧: 2000 V
(ライフタイムτ = 10 μsとして計算)
αT増大
に起因 M増大
に起因
最適設計
→
ドリフト領域幅が最小になる箇所(ドリフト領域幅
287μm
、ドーピング濃度4.6
×10
13cm
-3)(注)逆方向ブロッキング電圧は温度依存性あり
温度上昇
→α
T増大(∵少数キャリアライフタイム増大)、M低下(∵インパクトイオン化低減)(一般に主モード)
→
逆ブロッキング電圧上昇N
D順方向ブロッキング特性
P
+P
N
+N
-J
1J
3J
2W
NK A
I
KI
A空乏領域
E(y)
E(y) W
DNy
E
mE
mα
PNPI
AI
LP-ベース リーチスルー
α
NPNI
KW
P■ アノードに正電圧印加
P-ベース濃度 が低い場合
J
1とJ
3順バイアス、J
2逆バイアスほとんどの逆バイアスは
J
2に掛かる(2)
N-
ドリフト領域がリーチスルーした 場合のブレークダウン電圧BV
RT,N(1)
P-
ベース領域がリーチスルーした 場合のブレークダウン電圧BV
RT,P𝐵𝑉
𝑅𝑇,𝑃= 𝑞 2𝜀
𝑠𝑁
𝐴𝑃𝑁
𝐴𝑃+ 𝑁
𝐷𝑁
𝐷𝑊
𝑃2𝐵𝑉
𝑅𝑇,𝑁= 𝑞𝑁
𝐷2𝜀
𝑠𝑊
𝑁2(N
D)
(N
AP)
𝑙
順方向ブロッキング時の実際のブレークダウン電圧
𝐼
𝐴= 𝛼
𝑁𝑃𝑁𝐼
𝐾+ 𝛼
𝑃𝑁𝑃𝐼
𝐴+ 𝐼
𝐿= 𝐼
𝐾𝐼
𝐴= 𝐼
𝐿1 − 𝛼
𝑁𝑃𝑁− 𝛼
𝑃𝑁𝑃𝛼
𝑁𝑃𝑁+ 𝛼
𝑃𝑁𝑃= 𝛾
𝐸𝛼
𝑇 𝑁𝑃𝑁+ 𝛾
𝐸𝛼
𝑇 𝑃𝑁𝑃𝑀 = 1 𝛼
𝑇= 1
cosh Τ 𝑙 𝐿
𝑝𝑙 = 𝑊
𝑁− 2𝜀
𝑠𝑉
𝐴𝑞𝑁
𝐷𝑀 = 1
1 − 𝑉
𝐴Τ 𝐵𝑉
𝑃𝑃,𝐵 𝑛■ オープン・ベース・トランジスタ・ブレークダウン電圧
・電流の関係式(ブロッキング状態)
・ブレークダウンの条件(
I
A= ∞)
N-ドリフト領域に 広がる空乏層幅
αNPN: NPNトランジスタのベース接地電流利得
順方向ブロッキング電圧<逆方向ブロッキング電圧
BVPP,B: J2接合のアバランシェブレークダウン電圧 n: P+/N接合の場合6
ブレークダウン条件を満たすVAがブレークダウン電圧
V
A が増大すると→ PNP
トランジスタ: α
Tが大きくなる。 γE≒1
→ NPN
トランジスタ: γ
EとαTはV
A依存性ほとんどなしN - ドリフト領域のドーピング濃度と幅の最適化
0 1000 2000 3000 4000
200 250 300 350 400 450 500 550 600
Open-Base Breakdowm Voltage (V)
Drift Region Width (μm)
0 100 200 300 400 500 600
2E+13 3E+13 4E+13 5E+13 6E+13 7E+13
Drift Region Width (μm)
Drift Region Doping Concentration (cm-3)
順方向ブロッキング電圧とドリフト領域幅の関係 5×1013cm-3
7×1013cm-3
3×1013cm-3
順方向ブロッキング電圧: 2000 V
(ライフタイムτ = 10 μs, NPNトランジスタのαNPN = 0.65 として計算)
最小値
順方向ブロッキング電圧: 2000 V
PNPトランジスタの
αT増大に起因 M増大 に起因
最適設計
→
ドリフト領域幅が最小になる箇所(ドリフト領域幅
435μm
、ドーピング濃度5.5
×10
13cm
-3)(注)順方向ブロッキング電圧は温度依存性あり
温度上昇
→α
増大(∵少数キャリアライフタイム増大)、N
Dカソード短絡構造 (順方向ブロッキング時のリーク電流)
P-
ベース領域N
+N
+N
+W
KSR
BSN-
ドリフト領域 ゲート カソードアノード
P
+アノードJ
2I
Lカソード短絡
■ カソード短絡
→
順方向ブロッキング時のリーク電流I
L により発生するP-
ベース抵抗R
BS の 電圧降下を低減→ N
+カソードからの電子注入を抑制→
順方向ブロッキング時のNPN
トランジスタの利得低下に有効(耐圧低下の抑制)
カソード短絡構造の等価回路
P-
ベース領域R
BSN-
ドリフト領域 カソードN
+I
ESI
EI
CI
Sカソード短絡
R
BSI
ESI
EI
CI
SE B
C
NPN J
2A
点(E)
(B)
(C)
NPNトランジスタの利得(カソード短絡構造)
■ エミッタ電流
I
E𝐼
𝐸= 𝐼
𝑂𝑒
𝑞𝑉𝐵𝐸Τ𝑘𝑇− 1
I
O:
飽和電流q:
電子の電荷の大きさD
n:
電子の拡散係数n
p0: P-
ベース領域の平衡状態の電子密度L
n: P-
ベース領域の電子の拡散長A:
エミッタ-
ベース接合面積V
BE: A
点のエミッタ-
ベース接合を横切る順方向バイアス
k:
ボルツマン定数T:
絶対温度α
NPN: NPN
トランジスタのベース接地電流利得α
NPN,S:
エミッタ短絡状態におけるNPN
トランジスタのベース接地電流利得
𝐼
𝑂= 𝑞𝐷
𝑛𝑛
𝑝0𝐿
𝑛𝐴
■ エミッタ端子(カソード)に流れる全電流
I
ES𝐼
𝐸𝑆= 𝐼
𝐸+ 𝐼
𝑆= 𝐼
𝑂𝑒
𝑞𝑉𝐵𝐸Τ𝑘𝑇− 1 + 𝑉
𝐵𝐸𝑅
𝐵𝑆■ ベース接地電流利得(エミッタ短絡状態)
𝛼
𝑁𝑃𝑁,𝑆= 𝐼
𝐶𝐼
𝐸𝑆= 𝛼
𝑁𝑃𝑁𝑒
𝑞𝑉𝐵𝐸Τ𝑘𝑇− 1
𝑒
𝑞𝑉𝐵𝐸Τ𝑘𝑇− 1 + 𝑉
𝐵𝐸Τ 𝐼
𝑂𝑅
𝐵𝑆𝛼
𝑁𝑃𝑁= 𝐼
𝐶0 0.2 0.4 0.6 0.8 1
1E-03 1E-02 1E-01 1E+00 1E+01 1E+02
Current Gain αNPN,S
Current IES(A)
0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6
0 0.2 0.4 0.6 0.8 1
Current (A)
Emitter-Base Potential (V)
NPNトランジスタの電流成分と利得(カソード短絡構造の効果)
I
ESI
EI
Sα
NPN各電流(
I
ES, I
E, I
S)のV
BE依存性 電流利得α
NPN,SのI
ES依存性V
BE< 0.6V
:I
ESはI
Sで決まる→
全てのコレクタ電流はP-
ベース領域を流れるV > 0.7V
:I
はI
で決まるI
ES小→ α
NPN,Sは非常に小さい→
順方向ブロッキング耐性向上に寄与オン開始リーク電流(カソード短絡)(1)
P-
ベース領域R
BSN-
ドリフト領域N
+I
B(x)
カソード短絡
J
2W
KS/2
P
+アノードx dx
A B
J
LJ
LJ
LJ
LJ
LJ
3■
P-
ベース領域内の小セグメントdx
内に集められる電流dI
B𝑑𝐼
𝐵= 𝐽
𝐿𝑍𝑑𝑥 Z:
左図デバイスの垂直方向の幅■
P-
ベース内のx
を流れる電流I
B(x) 𝐼
𝐵𝑥 = න
0 𝑥
𝐽
𝐿𝑍𝑑𝑥 = 𝐽
𝐿𝑍𝑥
■
P-
ベース領域内の厚さdx
の抵抗𝑑𝑅
𝐵𝑆= 𝜌
𝑆𝐵𝑍 𝑑𝑥 ρ
SB: N
+下P-
ベース領域のシート抵抗■
P-
ベース領域の電圧降下(A-B
間)𝑑𝑉
𝐵𝑥 = 𝐼
𝐵𝑥 𝑑𝑅
𝐵𝑆= 𝐽
𝐿𝜌
𝑆𝐵𝑥𝑑𝑥
■ 上記小セグメントの電圧降下
dV
B(x)
𝑊𝐾𝑆Τ2
𝑊
𝐾𝑆2N
+カソードの中心(順方向ブロッキング時に 均一なリーク電流発生を仮定)
オン開始リーク電流(カソード短絡)(2)
𝐽
𝐿,𝑚𝑎𝑥= 8𝑉
𝑏𝑖𝜌
𝑆𝐵𝑊
𝐾𝑆2𝐼
𝐿,𝑚𝑎𝑥= 𝐽
𝐿,𝑚𝑎𝑥𝑍 𝑊
𝐾𝑆2 = 4𝑉
𝑏𝑖𝑍 𝜌
𝑆𝐵𝑊
𝐾𝑆V
bi(
~0.8V):
ビルトイン電位(N
+カソードとP-
ベース間)■ サイリスタがオンを開始するリーク電流密度
■ サイリスタがオンを開始するリーク電流
◇温度を上昇させても順方向ブロッキング耐圧を高く保持する場合
→
低いρ
SB を使用→N
+カソード長W
KS を短くするカソード短絡の表面形状
カソード短絡
カソードメタル
デッドゾーン
D
d
D
Zカソード短絡の正方形配列
■ リーク電流により
P-
ベース領域内に発生する最大順方向バイアス(カソード短絡が正方形配列の場合)
𝑉
𝐵,𝑚𝑎𝑥= 𝐽
𝐿𝜌
𝑆𝐵𝐴
𝑆𝐴
𝑆= 1
16 𝑑
2+ 𝐷
22ln 𝐷
𝑑 − 1
■ デッドゾーン: サイリスタとして正帰還動作(
Regenerative action
)が 機能しない領域■ カソード短絡によって
N
+カソードが実質的に消失する部分の割合𝐹
𝑆= 𝜋 4
𝐷
𝑍𝐷
2
カソード短絡を近づけて配列すると、伝導に寄与する領域
(N+エミッタ領域)が狭くなるため、オン電圧が上昇する
0 0.2 0.4 0.6 0.8 1
0 200 400 600 800 1000
Maximum Base Voltage VB,max(V)
Space D (μm)
カソード短絡スペース D と V B,max との関係
d (μm) 10
25 50
J
L= 1 A/cm
2ρ
SB= 500 Ω/
□例えば、
d = 25 μm
、V
B,max< 0.5 V
にする場合→ D < 550 μm
にする(リーク電流でオンしない条件)(
D = 550 μm
で、D
Z= 100 μm
の場合、F
S= 0.026
(2.6
%))順方向伝導特性
V
ASI
Fv
AV
FI
Hi
Aオン状態
ゲートトリガー による遷移
順方向ブロッキング状態
V
AS:
アノード供給電圧I
H:
保持(ホールド)電流■ 順方向ブロッキング状態からのオン開始
(1)
ゲートトリガー電流印加(2) NPN
トランジスタの電流利得上昇(3) NPN
とPNP
トランジスタの合成利得が再生アクション(
Regenerative action
) の保持を達成(4)
オン状態(i
A がI
H 以上)(順方向伝導特性は
PiN
ダイオードと類似:ドリフト領域に伝導度変調発生)
(5) i
AがI
H 以下になるとオフi
A:
アノード電流v
A:
アノード電圧オン状態の特性
ゲートトリガー後のサイリスタ内部の動作
ゲートトリガー後のサイリスタ内部の動作(正帰還動作
(Regenerative action)
のメカニズム)(1)少数キャリアの注入が順方向バイアスの掛かっている
J
1(P
+アノードとN-
ベース(ドリフト))接合とJ
3(N
+カソードとP-
ベース)接合で発生(2)
P
+アノード領域からN-
ベース領域へ注入する正孔が、N-
ベース領域を拡散し、J
2(N-
ベースとP-
ベース)接合に集められる(3)集められた正孔が
P-
ベース領域に入ると、NPN
トランジスタのベース電流になる(4)そのベース電流により、
N
+カソード領域からP-
ベース領域へ電子の注入が促進される(5)その電子は
P-
ベース領域を拡散し、J
2に集められる(6)集められた電子が
N-
ベース領域に入ると、PNP
トランジスタのベース電流になる(7)そのベース電流により、
P
+アノード領域からN-
ベース領域へ正孔の注入が促進されるゲートトリガー後、サイリスタがオン状態に入ると、外部からのゲート駆動電流が無くても、
上記(2)から(7)までの正帰還の動作(
Regenerative action
)により、アノード電流が維持されるオン状態のキャリア分布
P
+N-
ドリフトP N
+J
1J
2J
3K A
W
NW
P2d
N
DN
ABn p
n=p p n
n
0P+p
0N+キャリア密度(対数)
オン状態
■
J
1, J
2, J
3の各接合は順方向バイアス(
N-
ドリフト領域とP-
ベース領域で伝導度変調)■
AK
間の正味の電圧降下→
(J
1とJ
3を横切る電圧降下)ー(J
2を横切る電圧降下)■キャリア分布は
PiN
ダイオードと類似𝑛 𝑥 = 𝑝 𝑥 = 𝜏
𝐻𝐿𝐽
𝐴2𝑞𝐿
𝑎cosh Τ 𝑥 𝐿
𝑎sinh 𝑑 𝐿 Τ
𝑎− sinh Τ 𝑥 𝐿
𝑎2cosh Τ 𝑥 𝐿
𝑎𝑑 = 𝑊
𝑁+ 𝑊
𝑃2
L
a:
両極性拡散長τ
HL:
高レベルライフタイムJ
A:
アノード電流密度最小のオン電圧降下は、
L
a= d
の場合に起こる典型的なオン電圧降下
→
約1 V at J
A= 100 A/cm
20 x
ゲートトリガー電流(1)(線形ゲート形状)
P
+P
N
+N
-J
1J
3J
2K
α
PNPI
A AI
Lα
NPNI
KI
KI
A空乏領域
I
G𝐼
𝐴= 𝛼
𝑃𝑁𝑃𝐼
𝐴+ 𝛼
𝑁𝑃𝑁𝐼
𝐾+ 𝐼
𝐿𝐼
𝐾= 𝐼
𝐴+ 𝐼
𝐺𝐼
𝐴= 𝛼
𝑁𝑃𝑁𝐼
𝐺+ 𝐼
𝐿1 − 𝛼
𝑃𝑁𝑃− 𝛼
𝑁𝑃𝑁カソード短絡がある場合のゲートトリガー電流
P-
ベース領域N
+N
+N
+W
KSR
BGN-
ドリフト領域ゲート カソード
アノード
P
+アノードJ
2W
KG𝛼
𝑃𝑁𝑃+ 𝛼
𝑁𝑃𝑁= 1 → 𝐼
𝐴= ∞
𝐼
𝐺𝑅
𝐵𝐺= 𝐼
𝐺𝜌
𝑆𝐵𝑊
𝐾𝐺𝑍 I
Gゲート電流 IG による電圧降下IGRBG がビルトイン 電位 Vbiを超えると、サイリスタはターンオンする
𝐼
𝐺𝑇= 𝑉
𝑏𝑖𝑍 𝜌 𝑊
I
GR
BG>V
biになると電子注入発生G
ゲートトリガー電流(2)(円形ゲート形状)
r
K1r
K2P-
ベース領域N
+N
+N
+R
BGN-
ドリフト領域 ゲートカソード
I
Gカソード
ゲート
r dr
■ セグメント
dr
内の抵抗dR
BG𝑑𝑅
𝐵𝐺= 𝜌
𝑃𝐵𝑊
𝑃𝑑𝑟
2𝜋𝑟 = 𝜌
𝑆𝐵2𝜋
𝑑𝑟 𝑟
ρ
PB: P-
ベースの抵抗率W
p: N
+下のP-
ベースの厚み■
P-
ベース領域の抵抗𝑅
𝐵𝐺= න
𝑟𝐾1
𝑟𝐾2
𝜌
𝑆𝐵2𝜋
𝑑𝑟
𝑟 = 𝜌
𝑆𝐵2𝜋 ln 𝑟
𝐾2𝑟
𝐾1■ ゲートトリガー電流
I
GT𝐼
𝐺𝑇= 2𝜋𝑉
𝑏𝑖𝜌
𝑆𝐵ln 𝑟
𝐾2Τ 𝑟
𝐾1Ex. I
GT= 30 mA
at ρ
SB= 500 Ω/
□, r
K1= 0.3 cm, r
K2= 0.42 cm, V
bi= 0.8 V
(大面積サイリスタの典型的な値)
カソード短絡
保持電流
P-
ベース領域R
BSN-
ドリフト領域N
+I
B(x)
カソード短絡
J
2W
KS/2
P
+アノードdx x
A B
J
KN
+カソードの中心J
KJ
KJ
KJ
3J
K:
カソード電流密度■ カソードの中心から
x
の位置のベース電流𝐼
𝐵(𝑥) = 1 − 𝛼
𝑁𝑃𝑁𝐽
𝐾𝑍𝑥
■
x
の位置におけるdx
を横切る電圧降下𝑑𝑉
𝐵𝑥 = 𝐼
𝐵𝑥 𝜌
𝑆𝐵𝑍 𝑑𝑥 = 1 − 𝛼
𝑁𝑃𝑁𝐽
𝐾𝜌
𝑆𝐵𝑥𝑑𝑥
■
A
点の電圧𝑉
𝐵𝐴 = න
0
Τ 𝑊𝐾𝑆 2
1 − 𝛼
𝑁𝑃𝑁𝐽
𝐾𝜌
𝑆𝐵𝑥𝑑𝑥 = 1 − 𝛼
𝑁𝑃𝑁𝐽
𝐾𝜌
𝑆𝐵𝑊
𝐾𝑆28
■ 保持電流(正帰還)が消失する条件
V
B(A) < V
bi■ 保持電流密度
J
H𝐽
𝐻= 8𝑉
𝑏𝑖1 − 𝛼
𝑁𝑃𝑁𝜌
𝑆𝐵𝑊
𝐾𝑆2J : 温度上昇に伴い低下(∵V が低下し、ρ が上昇するため)
(小さい
J
Hは好ましい)スイッチング特性
■ スイッチオン
→
ゲート駆動電流■ ターンオン時に遅れが発生
→
正帰還のアクション(Regenerative action
)に時間が掛かる(最初の正帰還はゲート端子周辺で発生)
→
ゲート端子周辺からの電流がサイリスタ全体へ広がるのに時間が掛かる■ ターンオフ時に遅れが発生
→
オンのサイリスタ内の過剰キャリアを掃き出すのに時間が掛かるスイッチング特性
ターンオン時間(1)
■
N
+カソード領域からP-
ベース領域へ注入された電子の拡散によるP-
ベース通過時間(NPN
トランジスタのベース)𝑡
𝑡,𝑁𝑃𝑁= 𝑊
𝑃22𝐷
𝑛W
p: P-
ベースの厚みD
n:
電子の拡散係数■
P-
ベースとN-
ベース接合(J
2)に電子が到達すると、P
+アノード領域からN-
ベース領域へ正孔が即座に注入される(∵
N-
ベース領域の電荷中性保持のため)■
P
+アノード領域からN-
ベース領域へ注入された正孔の拡散によるN-
ベース通過時間(PNP
トランジスタのベース)𝑡
𝑡,𝑃𝑁𝑃= 𝑊
𝑁− 𝑊
𝐷𝑁 22𝐷
𝑝W
N: N-
ベースの厚みW
DN: N-
ベース領域内の空乏層幅D
p:
正孔の拡散係数典型的な
t
t,NPNは50 ns
典型的な
t
t,PNPは50 μsat W
N= 350 μm
上記 は、アノード電圧 が空乏層にのみ掛かると仮定し、正孔が ベースの中性領域を拡散する場合の値
ターンオン時間(2)
・
N-
ベース領域の電界(伝導度変調あり)E
NB𝐸
𝑁𝐵= 𝑉
𝐴𝑊
𝑁V
A:
アノード電圧・
N-
ベース領域の正孔のドリフト速度𝑣
𝑃= 𝜇
𝑃𝐸
𝑁𝐵= 𝜇
𝑃𝑉
𝐴𝑊
𝑁・正孔の
N-
ベース通過時間𝑡
𝑡,𝑃𝑁𝑃= 𝑊
𝑁𝑣
𝑃= 𝑊
𝑁2𝜇
𝑃𝑉
𝐴 典型的なt
t,PNPは 5 nsat W
N= 350 μm, μ
p= 493 cm
2/V/s, V
A= 500 V
■ 伝導度変調がある場合の正孔の
N-
ベース通過時間(空乏領域は維持されず、V
A はN-
ベース領域全体に掛かる)(
P
+アノード領域からN-
ベース領域へ過剰な正孔の注入とN
+カソード領域からP-
ベース領域へ過剰な電子の注入がある場合)ドリフト速度による電子の通過時間は、拡散によるものより非常に短い
ターンオン時間(3)
・ターンオン期間に
N-
ベース領域内に蓄積される電子電荷密度Q
SNの時間変化𝑑𝑄
𝑆𝑁𝑑𝑡 = 𝛼
𝑁𝑃𝑁𝐽
𝐾(𝑡)
J
K:
カソード電流密度∵電子は
N
+カソード(NPN
トランジスタのエミッタ)から供給される・ターンオン期間に
P-
ベース領域内に蓄積される正孔電荷密度Q
SPの時間変化J
A:
アノード電流密度𝑑𝑄
𝑆𝑃𝑑𝑡 = 𝛼
𝑃𝑁𝑃𝐽
𝐴𝑡 + 𝐽
𝐺 ∵正孔はP
+アノード(PNP
トランジスタのエミッタ)から供給されるJ
G:
ゲート駆動電流密度・
NPN
トランジスタのコレクタ電流密度とQ
SPとの関係𝐽
𝐶,𝑁𝑃𝑁= 𝛼
𝑁𝑃𝑁𝐽
𝐾𝑡 = 𝑄
𝑆𝑃𝑡
𝑡,𝑁𝑃𝑁t
t,NPN:
正孔がNPN
トランジスタのベースを通過する時間・
PNP
トランジスタのコレクタ電流密度とQ
SNとの関係t
t,PNP:
電子がPNP
トランジスタのベースを通過する時間𝐽
𝐶,𝑃𝑁𝑃= 𝛼
𝑃𝑁𝑃𝐽
𝐴𝑡 = 𝑄
𝑆𝑁𝑡
𝑡,𝑃𝑁𝑃(1)
(4)
(3)
(2)
ターンオン時間(4)
・
(1)
と(3)
式から以下の関係を得る𝑑𝑄
𝑆𝑁𝑑𝑡 = 𝑄
𝑆𝑃𝑡
𝑡,𝑁𝑃𝑁(5)
・
(5)
式の微分をとると以下になる𝑑
2𝑄
𝑆𝑁𝑑𝑡
2= 1 𝑡
𝑡,𝑁𝑃𝑁𝑑𝑄
𝑆𝑃𝑑𝑡 (6)
・
(6)
式に(2)
と(4)
式を使うと以下の微分方程式になる𝑑
2𝑄
𝑆𝑁𝑑𝑡
2− 𝑄
𝑆𝑁𝑡
𝑡,𝑁𝑃𝑁𝑡
𝑡,𝑃𝑁𝑃= 𝐽
𝐺𝑡
𝑡,𝑁𝑃𝑁(7)
・
(7)
式を解くと以下を得る𝑄
𝑆𝑁𝑡 = 𝐽
𝐺𝑡
𝑡,𝑃𝑁𝑃𝑒
𝑡Τ 𝑡𝑡,𝑁𝑃𝑁𝑡𝑡,𝑃𝑁𝑃− 1 (8)
・
(8)
式を(4)
式に代入するとアノード電流密度は以下になる𝐽
𝐴𝑡 = 𝐽
𝐺𝛼
𝑃𝑁𝑃𝑒
𝑡Τ 𝑡𝑡,𝑁𝑃𝑁𝑡𝑡,𝑃𝑁𝑃− 1
アノード電流は正帰還までの遅れ時間の後、
指数関数的に増大する
(9)
■ アノード電流密度のライズタイム
t
Rは以下になる(