Oracle CASB Cloud Service による Oracle Cloud Applications の保護
Oracle Cloud への安全な移行
ORACLE WHITE PAPER | 2018年2月
SECURING ORACLE CLOUD APPLICATIONS WITH ORACLE CASB CLOUD SERVICE
免責事項
ここで述べられている内容は、当社の一般的な製品の方向性に関する概要を説明するものです。また、
情報提供を唯一の目的とするものであり、いかなる契約にも組み込むことはできません。さらに、マテ リアルやコード、機能を提供することを確約するものではないため、購買判断を行う際の決定材料には しないでください。オラクル製品に関して記載されている特長や機能の開発、リリースおよび時期につ いては、あくまで当社の裁量に委ねられるものとします。
概要
この数年間、企業はアプリケーションやインフラにクラウドを積極的に導入することで、大きな変革を果たしてきま した。しかし、依然として解消されていない問題の 1 つに、セキュリティ上の懸念があります。特に心配されるのが、
多くのエンタープライズ組織のバックボーンを形成している、センシティブ・アプリケーションです。具体的には、
エンタープライズ・リソース・プランニング (ERP) 、ヒューマン・キャピタル・マネジメント (HCM) 、およびカスタ マ・エクスペリエンス (CX) のアプリケーションです。これらのアプリケーションに格納されているデータは機微情報 であり、多くの場合は、厳格な管理とコンプライアンス要件の対象となります。データの機微性が高いという性質上、
これらのアプリケーションは攻撃や悪用のターゲットになる傾向があります。このホワイトペーパーでは、 ERP Cloud 、 HCM Cloud 、 Customer Experience Cloud などの Oracle Cloud アプリに格納された機微なデータを保護するために、
Oracle Cloud Access Security Broker (CASB) Cloud Service がどのように役立つのかを説明します。
ERP や HCM などのエンタープライズ・アプリケーションでセキュリティが重要となる理由
かつて、ERPやHCMなどのアプリケーションは、ほとんど組織の内部だけで運用されていました。しかし、クラウドへの移行が進 むにつれ、内部と外部の境界がきわめてあいまいになってきています。McKinseyが発表した最近のレポートによると、企業ではビ ジネスをエコシステムとして捉える考え方が広がっており、外部のエコシステム・パートナーに内部アプリケーションを公開した り、外部のITスタッフを社内に常駐させたりするケースが増えています。また、コストと効率性の両方の理由から、これらのアプ リケーションをクラウドで実行する動きはさらに進んでいます。クラウドに移行されたデータは、攻撃者にとって格好のターゲッ トとなり、攻撃を受けやすくなります。実際、セキュリティ上の理由から、これらのアプリケーションのクラウド移行に二の足を 踏んでいる組織も多く存在します。North Bridge Venture Partnersの年次調査「North Bridge Ventures’ Future of Cloud
Computing」によると、クラウド導入の最大の阻害要因はセキュリティであるとされています。
ERPソリューションによるデジタル化は、これまでになかった様々なメリットを企業に提供し、バリューの達成を促進してくれま す。これにより企業では、予測精度を改善し、かつてなくスムーズに需要を見積もることが可能になりました。注文の履行もス ピード化され、非効率なプロセスも簡単に特定して改善できるようになりました。また、クラウドベースのERPソリューションで は、オンプレミスのERPソリューションが抱えていた初期コストの課題も解消されました。しかし、クラウドの特性である共有型 のセキュリティ・モデルにより、データを保護する責任はSaaSプロバイダーではなく、企業側が負うようになりました。これらの アプリケーションでは、きわめて重要なビジネス・データや財務データが処理されます。そしてそれらのデータは、作成から保存 まで、すべて安全に処理される必要があります。
同様に、HCMアプリケーションでは、従業員や委託業者に関する個人情報が保持されます。これらのデータはその性質上、攻撃に 対して脆弱です。また、HCMデータの変更は下流のアプリケーションにも伝播されます。たとえば、HCMアプリケーションで従業 員のロールが変更された場合、その変更は他のアプリケーションにプッシュされるため、それらのアプリケーションで権限が変更 される可能性があります。それらを意図的または悪意を持って設定すれば、ユーザーに過剰な権限が付与され、悪用が可能になる 可能性もあります。
同様の状況は、顧客の情報が格納されるクラウド・アプリケーション(CRMアプリケーションなど)でも起こりえます。特に上場企 業では、四半期収益などのデータを保護し、監視する必要があります。
上記のシナリオからわかるように、ERP、HCM、CXなどのクリティカル・アプリケーションのセキュリティを確保することはき わめて重要です。しかも、これらのアプリケーションで実行されるトランザクションの膨大さを考えると、セキュリティの制御や 監視を人の手だけで行うのは、明らかに不十分です。
クラウド・セキュリティ・アクセス・ブローカー (CASB) が提供する機能
ERPやHCMのエンタープライズ・アプリケーションをクラウドベースに移行する際には、セキュリティやコンプライアンス上の課 題について、以下の点を確認するようにしましょう。
表1: クラウド・アプリケーションのセキュリティ・ニーズを評価するための重要な確認事項
1 すべてのクラウド・アプリケーションについて、監視機能と可視性を確保できていますか。
2 クラウド・アプリケーション内やクラウド・アプリケーション間での権限の昇格を検出できま すか。
3 クラウド・アプリケーション内でユーザーのロールが変更された際に、そのことを通知する機 能は必要ですか。
4 クラウド・アプリケーションでの職務分掌(SOD)の違反を検知する機能は必要ですか。
5 アクセス・ポリシーに違反する方法でアプリケーションがアクセスされた場合に、そのことを 通知する機能は必要ですか。
6 クラウドベース・アプリケーション内での異常な行動パターンを通知する機能は必要ですか。
オラクルのCASB Cloud Serviceのようなクラウド・アクセス・セキュリティ・ブローカー(CASB)を使用すれば、上記のニーズに 効果的に対応することができます。
CASBソリューションの多くは上記のセキュリティ・シナリオにある程度対応していますが、適切なセキュリティを確保するうえ で重要となるのは、クラウド・アプリケーションや、そのロール定義、およびデータ・モデルに関する知識です。たとえば、
Oracle ERP CloudやOracle HCM CloudなどのOracle Cloudアプリケーションで考えてみてください。これらのアプリケーションを 保護するためにデプロイされたCASBでは、それらのクラウド・アプリ内のデータ・モデルに関するナレッジが重要なだけでなく、
セキュリティを維持するための適切なID管理サービスと連携できることも不可欠です。これにより、異常なアクティビティに対処 することが可能になります。また、もう1つの大きな課題として、これらのCloudアプリケーションでのアクティビティを監視し、
それぞれの関連性を分析するための一元的なインタフェースも必要となります。これは、各アプリケーションでのユーザー行動か らセキュリティ・リスクを排除する必要がある場合には、さらに重要なものとなります。CASBサービスでは、各種のクラウド・
アプリケーションをカバーした一元的なインタフェースを提供できることが非常に重要となるのです。特に、上記のOracle SaaS アプリケーションを使用する場合にはきわめて重要です。Oracle CASB Serviceでは、Oracle SaaSアプリケーションに対して統合 型のアプローチがとられているので、下記の図1のように一元的なインタフェースが提供されます。
図1: Oracle SaaSアプリケーションを含むすべてのクラウド・アプリケーションを監視するための一元的なインタフェース
典型的な保護シナリオ
ここからは、Oracle ERP CloudやOracle HCM CloudなどのOracle Cloudアプリケーションを保護するために、CASBソリューショ ンがどのように役立つのかを、3つのシナリオで見ていきましょう。
シナリオ
1:ユーザーのアクセス行動の監視
: ユーザーが、ポリシーで許可されていない場所またはタイムゾーンからOracleHCM Cloudアプリケーションにアクセスしようとした場合
このシナリオでは、特定のビジネス・ユニットや事業部のすべてのHRビジネス・パートナーが、1つの地理的位置(たとえば、サン フランシスコ)に存在しているものとします。すべてのHRビジネス・パートナーが同じ場所からログインするようにするために、
情報セキュリティ・チームはCASBでポリシーを設定して、サンフランシスコ以外の場所からログインが行われた場合にアラート が送信されるようにしました。ユーザーが東海岸からログインすると、CASBサービスはその不正なユーザー・アクセスを検知し、
セキュリティ・チームにその情報を通知します。下記の「図2: HCMソリューションへの異常なログイン」はその様子を示したも のです。
図2: HCMソリューションへの異常なログイン
シナリオ
2:ロールの監視
: ユーザーがOracle HCMアプリケーションにログインし、別のユーザーのロール/職務を昇格させようとし た場合このシナリオでは、特定のユーザーの権限に影響を与えるロール変更を監視します。たとえば、あるユーザーが買掛管理スペシャ リスト・ロールを所有しているとします。このロールには、受取人を作成する権限が割り当てられているものとします。HCM
CloudアプリケーションにアクセスできるHRビジネス・パートナーがこのユーザーのロールを買掛管理マネージャーに変更した場
合、そのユーザーには支払を承認する権限が付与されます。その結果、ユーザーの権限が自動的に昇格されます。同様に、昇格さ れた権限はHCMシステムからERPシステムにも伝播されます。ご想像のとおり、結果としてユーザーは、権限の範囲を広げ、その 権限を次々と増やしていくことが可能になります。そしてこれは、認可されていないデータの持ち出しにつながる可能性がありま す。また、監査の観点から言えば、権限が昇格されたことで、職務分掌(SOD)の規制要件に違反する可能性も出てきます。
図3: クラウド・アプリケーション間での権限昇格の影響
上記の「図3: クラウド・アプリケーション間での権限昇格の影響」が示すように、Oracle CASBでは、特定のアプリケーション内 でのこのようなロール変更を監視し、情報セキュリティ・チームと監査チームにアラートを送信して、その潜在的リスクを緩和す ることができます。ご想像のとおり、Oracle CASBがなければ、情報セキュリティ・チームがERP Cloudで変更のソースを特定し、
原因となったHCM Cloudアプリケーション内の変更までさかのぼって追跡することは困難となります。つまり、潜在的リスクを特 定するのに長い時間を要することになります。
シナリオ
3:ユーザー行動の監視
: 特定のアクティビティ(ビジネス・ユニットの給与変更など)を通常は1日に約5回実行するHR ユーザーが、突然、同じアクティビティを1日に約10回も実行した場合クラウド上の各種エンタープライズ・アプリケーション内では、多数のトランザクションが記録されます。たとえば、ERP Cloud では、組織で実行されるすべてのトランザクションが記録されます。これらすべてのトランザクションに目を通し、通常のトラン ザクションと異常なトランザクションを見分けることは、人力で行うとなればきわめて困難です。また、各従業員やエンティティ の行動は、複数の要因によって様々に異なります。たとえば、操作するユーザーの地理的所在地によっても違ってきますし、同じ グループや事業部内でも、ユーザーのビジネス・ロールによって行動は違ってきます。潜在的なリスクを特定するには、機械学習 ベースのアプローチが不可欠です。クラウド・アプリを監視するCASBサービスでは、複数のクラウド・アプリケーションにわ たってユーザーやエンティティの行動を監視し、リスクにつながる行動を検知できることが非常に重要となるのです。このシナリ オでは、CASBサービスによって検知されるユーザー行動の例を示します。
図4: ユーザー・アクションの行動分析
この例では、特定の事業部を管理しているHRビジネス・パートナーが、その事業部の様々な従業員について、平常時には約5件の 給与変更を行っています。この行動はCASBサービスの機械学習アルゴリズムによって観察され、そのユーザーのベースラインと して記録されます。行動がそのレベルであるかぎり、そのユーザーのアクションはリスクではないと判断されます。行動のレベル がベースラインを逸脱した場合は、潜在的リスクと見なされ、情報セキュリティ・チームにリスク・アラートが送信されます。た とえば、ある日そのユーザーによる変更の件数が10件を超えた場合は、直ちにアラートが送信されます。上記の「図4: ユーザー・
アクションの行動分析」は、その様子を示したものです。
結論
ERP Cloud や HCM Cloud などの Oracle SaaS アプリケーションには、たくさんのクリティカル・データが格納されて います。それらのデータは機微性が高いため、管理体制を十分に整備して、データを安全に保管することがきわめて 重要です。 Oracle CASB Cloud Service は、 Oracle SaaS アプリケーションを保護することができます。 Oracle SaaS アプリケーションを保護するために Oracle CASB Cloud Service で利用できる主な機能としては、次のようなものがあ ります。
1. すべてのクラウド・アプリケーションをカバーできる一元的なインタフェース。
2. マルチクラウドのIaaS、PaaS、Oracle SaaS、およびその他のSaaSアプリケーション(Office 365、Salesforceなど)を含め、
種類の異なるあらゆるクラウド資産をサポートできます。
3. 高度なUEBA (User and Entity Behavior Analytics)機能。
4. ロールの変更やユーザー・アクセス行動の変化に対応できる、アプリケーション認識型のCASBです。
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ホワイトペーパー Oracle CASB Cloud ServiceによるOracle Cloud Applicationsの保護 2018年2月
著者: Suresh Sridharan 協力著者: Subbu Iyer