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愛知県天白川に遡上するアユ

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Academic year: 2021

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(1)

なごやの生物多様性 6:89-90(2019)

記録

愛知県天白川に遡上するアユ

間野 静雄

(1)(2)

  鵜飼 普

(1)

(1) 矢田・庄内川をきれいにする会 〒 463-0080 愛知県名古屋市守山区川西一丁目 1304

(2) 川の研究室 〒 461-0031 愛知県名古屋市東区明倫町 2-41-1302

Amphidromous ayu Plecoglossus altivelis altivelis in the Tenpaku River, Aichi Prefecture, Japan

Shizuo AINO(1)(2)  Futoshi UKAI(1)

(1) Voluntary Group Yada-Shonaigawaokireinisurukai, 1-1304 Kawanisi, Moriyama-ku, Nagoya, Aichi 463-0080, Japan

(2) Kawanokenkyusitsu, 2-41-1302 Meirin-cho, Higashi-ku, Nagoya, Aichi 461-0031, Japan Correspondence:

Shizuo AINO E-mail: [email protected]

序文

アユ Plecoglossus altivelis altivelis は一般的に,春に なると海から河川を遡上して定住し,夏は川で付着藻類 を食べて成長する.秋には河川中下流で産卵し,一生を 終えるが,孵化した仔魚は直ちに海に流下し,冬は海域 で動物プランクトンを食べて過ごす.本種は名古屋市に お い て 絶 滅 危 惧 Ⅱ 類 に 指 定 さ れ て お り( 名 古 屋 市,

2015),名古屋市内の各河川における遡上,生息状況を 調査し,本種の再生産の場となる河川環境を改善するこ とが急務である.伊勢湾奥部の名古屋港に流入する河川

では,庄内川水系や山崎川においてアユの生息が報告さ れているが(矢田・庄内川をきれいにする会,2017;山 崎川グリーンマップ,2017),それ以外の河川ではほと んど報告が見られない.本研究では天白川に遡上するア ユについて報告する.

材料および方法

天白川は愛知県日進市の三ヶ峯上池から名古屋市内を 流れ,名古屋港に流入する河川延長約 21.5 km の二級河 川である(図 1a).2018 年 4 月 18 日に著者らが同河川に

図 1.(a)天白川の位置,(b)調査地点.矢印は水流の方向を示す.右下の写真は落差工 1 と 2 の遠景.

― 89 ― ISSN 2188-2541

(2)

設置されている河川横断構造物を目視調査したところ,

河口から約 10.5 km 上流の新島田橋の下流にある落差工

(以下,落差工 1)まではアユの遡上を大きく阻害しそ うな構造物は見られなかった.そこで,同落差工の直下 流を St. 1,さらに上流の植田川合流点にある落差工(以 下,落差工 2)直下流を St. 2 とし(図 1b),各定点で目 合 26 節と 21 節の投網を 3 ~ 5 回投げてアユを採捕した.

調査は 2018 年 4 月 26 日,5 月 22 日,6 月 28 日の 3 回実施 した.採捕した個体は冷蔵して持ち帰り,冷凍保存後解 凍して標準体長(以下,体長)を測定した.体長測定後 は 10%ホルマリンで保存した.

結果

各調査日に各定点で採捕した個体の体長範囲,平均値 を表1に示す.St. 2では4月にアユが採捕されなかったが,

それ以外は両定点でアユが採捕され,合計 18 個体のア ユを採捕した.

考察

今回調査を行った 4 月~ 6 月はアユが河川を遡上する 時期であり,天白川に遡上するアユがいることが確認で きた.St. 2 でもアユが確認できたことから,落差工 1 を 越えて遡上する個体がいるのは間違いない.しかし,落 差工 1 には魚道が設置されていない.また,落差は約 0.5

m と低いものの,堰堤から流れ落ちる水流は堤体から剥 離し,堰堤直下は水深の極浅いコンクリートの水叩きに なっているため,アユは遡上しにくいと思われる.また,

遡上早期の 4 月に St. 2 ではアユが確認できなかったこと からも,落差工 1 でアユの遡上が停滞していることが考 えられる.さらに,落差工 2 についても魚道が設置され ていない.本落差工の堰堤は上流方向へ湾曲した形に なっており,落差は 2 段になっている.堰堤中央の湾曲 部最上流端では下段の落差が 0.45 m,上段は 0.5 m であ るが,下段と上段の間は水深の極浅いコンクリートの水 叩きになっていることに加え,水流は堤体から剥離して 流れ落ち,アユが極めて通過しにくい構造になっている.

魚道の設置や落差工の改修により遡上阻害を解消し,本 種がより上流へ移動できるような河川整備が必要と思わ れる.

謝辞

記録をまとめるにあたり,矢田・庄内川をきれいにす る会の本守眞人氏には貴重なご意見いただいた.また,

魚類の採捕は愛知県特別採捕許可を得て行った.

引 用 文 献

名古屋市環境局環境企画部環境活動推進課(編).2015.

レッドデータブックなごや 2015 動物編.名古屋市環 境局環境企画部環境活動推進課,名古屋.504 pp.

矢田・庄内川をきれいにする会.2017.平成 28 年度河川 基金助成事業「人と生物にやさしい河川整備」を基軸 とした庄内川水系再生活動報告.矢田・庄内川をきれ いにする会,名古屋.14 pp.

山崎川グリーンマップ.2017.山崎川生きもの図鑑.山崎 川グリーンマップ,名古屋.25 pp.

表 1.各調査日に各定点で採捕した個体数,体長範囲,平均値

採捕日

(2018 年)

St. 1   St. 2 採捕数

体長範囲

(平均値)

(cm)

  採捕数

体長範囲

(平均値)

(cm)

4 月 26 日 2 8.4-8.9(8.7) 0 5 月 22 日 9 5.2-6.4(5.7) 2 9.0-10.6(9.8)

6 月 28 日 1 10.7 4 7.4-12.2(9.3)

合計 12   6

― 90 ―

間野ほか(2019) 愛知県天白川に遡上するアユ

参照

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