RANKL 処理 RAW264.7 細胞の NFATc1 発現に 対する Palmatine 抑制効果
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Palmatine ʼ s Suppression on NFATc1 for RANKL treated RAW264.7 Cells
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金木 清美 石川慎太郎 張 夢 小林 善之 樋口 毅史 金田 祥明 池本 英志 砂川 正隆 久光 正
ABSTRACT
Objectives Isoquinoline alkaloid palmatine isolated from plants, such as Coptidis rhizoma, has long been known as a natural yellow pigment. Previously, we have reported that palmatine inhibited bone loss in an osteoporosis model, and mentioned the effect of palmatine for apopto- sis︱induction and resorption︱depression on osteoclast. However, there is no concrete evidence about an effect of palmatine for differentiation of osteoclast.
Methods This study investigated whether the effect of palmatine could reflect osteoclast acti- vation via Nuclear factor of activated T︱cells, cytoplasmic 1(NFATc1), the genetic transcrip- tion factor on osteoclast differentiation, or not.
Results Palmatine decreased receptor activator of nuclear factor kappa︱B ligand(RANKL)︱
induced bone resorption in RAW264.7cells like osteoclast cell. The mRNA expression and pro- tein of NFATc1 in RANKL︱treated RAW264.7cells were inhibited by palmatine treatment.
Conclusions These results demonstrated that palmatine inhibited RANKL︱mediated osteo- clast differentiation in RAW264.7cells in a dose︱dependent manner. In conclusion, palmatine may have therapeutic potential in preventing bone loss.
(Jpn Pharmacol Ther 2016;44:997 1004)
KEY WORDS RAW264.7 cell,Differentiation of osteoclast,Bone resorption,Nuclear factor of activated T︱cells,cytoplasmic 1(NFATc1),Receptor activator of nuclear factor kappa︱B ligand(RANKL),Palmatine
昭和大学医学部 生理学講座生体制御学部門
Kiyomi Kaneki, Shintaro Ishikawa, Meng Zhang, Yoshiyuki Kobayashi, Takeshi Higuchi, Yasuaki Kanada, Hideshi Ikemoto, Masataka Suna- gawa, and Tadashi Hisamitsu: Department of Physiology, School of Medicine, Showa University
はじめに
骨はリン酸カルシウムの一種であるヒドロキシア パタイトとⅠ型コラーゲンを主成分とした組織であ る。骨内部では破骨細胞による骨吸収と骨芽細胞に よる骨形成がつねに繰り返されている。この骨代謝 は「骨リモデリング」とよばれ,骨の強度の維持や 血清カルシウム濃度の調節における重要な役割を果 たしている。しかしこの骨代謝のバランスが崩れ,
破骨細胞による骨吸収が亢進すると骨損失を招き,
骨粗鬆症,関節リウマチ,歯周炎などに伴う骨破壊 が発生する1~3)。
単球╱マクロファージ系細胞の融合から生じる多 核巨細胞である破骨細胞は石灰化した骨を再吸収で きる唯一の細胞である4,5)。破骨細胞の成熟および分 化は骨芽細胞╱ストローマ細胞上で発現されるmac- rophage colony︱stimulating factor(M︱CSF),receptor activator of nuclear factor kappa︱B ligand(RANKL),
osteoprotegerin(OPG)などがおもな調節因子であ る5~7)。腫瘍壊死因子(tumor nercrosis factor: TNF) スーパーファミリーに属するRANKLは,破骨細胞 の 前 駆 細 胞 に 発 現 す るNF︱κF活 性 化 受 容 体
(RANK)に結合すると,RANKの細胞内ドメイン にTNF receptor︱associated factor(TRAF)︱6などの アダプター分子が会合し,各種の分裂促進因子活性 化タンパク質キナーゼ(MKK,ERK,JNK,p38な ど)が活性化され,最終的にc︱Fosやnuclear factor of activated T cell c1(NFATc1),PU.1などの転写因 子の発現が調節されることによって破骨細胞分化が 進行する1,5)。とくに破骨細胞分化初期にRANKシ グナルによってNFATc1の発現レベルが劇的に上昇 し,破骨細胞の前駆細胞にNFATc1を強制的に発現
させるとRANKLの刺激なしで破骨細胞分化が誘導
されることなどの事実からNFATc1は破骨細胞分化 に必須な転写因子であると考えられている1,8~10)。
Palmatineは黄連(Coptis Rhizoma)や黄柏(Phel- lodendri Cortex)などの植物から単離されるプロト ベルベリン系のアルカロイドである11,12)。Palmatine の逆転写酵素活性に対する阻害作用は炎症あるいは 腫瘍に対して有効であるとの報告がある4,13~15)。ま
たpalmatineに近い構造をもつイソキノリン・アル
カロイドは骨粗鬆症モデルにおいて骨損失を阻害す
ると報告されている16)。われわれは以前,palmatine が骨粗鬆症モデルにおいて骨量の減少を抑制するこ と11),また破骨細胞のアポトーシスを誘導する可能 性について報告した17)。しかしながらpalmatineの 破骨細胞分化に対する効果について本質的な証拠は な い。 そ こ で 本 研 究 で は,RANKL処 理 さ れ た
RAW264.7細胞を用いて,破骨細胞マスター転写因
子であるNFATc1に対するpalmatineの影響を検討 した。
Ⅰ 材料と方法
1 細胞の培養
本実験で使用したRAW264.7細胞は,大日本住友 製薬㈱(大阪)から購入した。細胞株に10%牛胎児 血清(Fetal bovine serum; Flow Laboratories,North Ride,Australia)を含むD︱MEM(SIGMA JAPAN, 東京)培地を用い,37℃,5%CO2条件で培養し,実 験に用いた。なお,すべての測定はtriplicateにて 行った。
2 培養細胞への薬物投与
Palmatine(Palmatine Chloride,10605︱02︱4;和光 純薬工業㈱(大阪))はPBSで溶解後に培地に溶解 され終濃度が1,5,10,40および100μMになる ように調整された18,19)。またRAW264.7細胞の分化 を誘導する目的で50 ng╱mLのRANKL(recombinant mouse RANKL,462︱TEC︱010; R & D systems,Inc.
Minneapolis,MN,USA)とともに培地に添加され た5)。
3 細胞生存率の測定
細 胞 生 存 率 は,Cell Counting Kit︱8(CCK︱8;
Dojindo,熊本)を使用して測定された20)。細胞は,
96︱well︱plateに5⊠103╱wellの割合で播種され,24 時間後にpalmatineおよびRANKLを含んだ調整培 地に置換された。24時間後あるいは5日後,細胞は 3回PBSで洗浄,10%CCK︱8試薬含有培地に置換 し,さらに1時間37℃で静置,450 nmの吸光度を 測定した。細胞生存率は得られた吸光度から以下の 公式に従って算出された。
細胞生存率(%)=[OD(experimental sample)-OD
(blank)]╱[OD(control)-OD
(blank)]⊠100%
4 骨吸収活性の測定
RAW264.7細胞は,骨吸収活性評価用プレート
(Bone Resorption Assay kit 24; PG research,東京)に 5⊠104╱wellになるように播種され,24時間後に palmatineおよびRANKL含有培地に置換された。5 日間培養後,培養上清100μLが96 wellプレートに 移され,50μLの骨吸収試薬を添加後,蛍光強度測 定 プ レ ー ト リ ー ダ ー(Twinkle LB970; Berthold Japan,東京)を用いてexcitation: 485 nm,emission:
535 nmで測定された。さらに骨吸収活性評価用プ
レートの骨吸収像は,5%次亜塩素酸ナトリウムで 処理後,光学顕微鏡(BX53,DP21;オリンパス社,
東京)によって撮影された。
5 NFATc1の測定
NFATc1 発 現 はNuclear Factor Of Activated T︱ Cells,Cytoplasmic 1,ELISA Kit(SEL941MU;
Cloud︱Clone Corp., Houston,TX,USA)を用いて 測定された。RAW264.7細胞は,24 wellプレートに 5⊠104╱wellになるように播種され,37℃,5%CO2
の環境下で培養された。24時間後にパルマチンおよ
びRANKL含有培地に置換された。24時間培養後,
細胞を回収して,付属のマニュアルに従って細胞質 分画のライセートを作製し,ELISAの測定に用い た。なおNFATc1の測定限界は63 pg╱mLであった。
6 NFATc1 mRNAの発現
RAW264.7細胞は1⊠104╱wellとなるように24 wellプレートに播種され,24時間後にpalmatineお
よびRANKL含有培地に置換し,さらに24時間培
養した。細胞におけるNFATc1の遺伝子発現につい てreal︱time RT︱PCRによる相対的定量法により解 析を行った21)。total RNAの抽出とcDNA合成には TaqMan® Gene Expression Cells︱to︱CTTM Kit
(Applied Biosystems,CA,USA)を使用した。細 胞をLysis Solution(P╱N4383583)で溶解してtotal RNAを抽出後,逆転写酵素(RTEnzyme Mix; P╱ N438358)と混合し,T100 Thermal Cycler(Bio︱Rad Co., Hercules,CA,USA)を用いてcDNAを合成し
た22,23)。PCRプライマーにはTaqMan Gene Expres-
sion Assayを 使 用 し, タ ー ゲ ッ ト 遺 伝 子 と し て NFATc1(Assay ID: Mm00479445_m1; Applied Bio- sysytem,CA,USA)を,内在性コントロールには 18S ribosomal RNA(Assay ID: Mm03928990_g1;
Applied Biosysytem,CA,USA)を選択した。ABI- PRISM 7900HT Fast Real︱Time PCR System
(Applied Biosysytem,CA,USA)を用いて,95℃ で10分間留置した後,95℃で15分および60℃で1 分を1サイクルとして40サイクルの増幅反応を行 い22,23),ABI PRISM 7900HT Sequence︱Detection System(SDS)sofyware 2.3(Applied Biosystem, CA,USA)を用いて解析し22,23),相対定量値(rela- tive quantification: RQ値)を求めた24)。
7 統計学的解析
各測定項目の値は,平均値±標準偏差(mean± SD)で示した。得られた値の有意差検定は一元配置 の分散分析(ANOVA)ならびにpost hoc︱testとし てScheffe testを用い,統計的有意水準は1%,5%未 満とした。
Ⅱ 結 果
1 骨吸収活性に対するpalmatineの影響
骨吸収活性評価プレートにRAW264.7細胞を5⊠ 104╱wellで播種し,24時間後にRANKL 50 ng╱mL およびpalmatineを含む培地に置換した。5日間の培 養後,5%次亜塩素酸ナトリウムで処理してカルシ ウム固層化プレートに形成された骨吸収窩(pit)を 光学顕微鏡にて観察した。その結果,RANKL添加 群はcontrol群にくらべてpitが多く形成された。ま たpalmatine濃度依存性にpitの数が減少し,吸収窩 は小さくなった(図1)。また当該プレートの培養上 清中に溶出した蛍光標識リン酸カルシウム量を測定 したところ,pitの結果と同様にRANKLで有意に増 大する蛍光強度がpalmatine濃度依存性に有意な減 少を認めた(図2)。
2 細胞の生存率に対するpalmatineの影響
RAW264.7細胞を96 wellプレートに5⊠103╱well で播種し,24時間後にRANKL 50 ng╱mLおよび palmatineを含む培地に置換した。24時間あるいは 5日間の培養後,Cell Counting Kit︱8(CCK︱8)を用 いて細胞生存率を測定した。24時間培養では,40 μM以上のpalmatine濃度で生存率が有意に減少し た(図3A)。また5日間培養では,control群にくら べてRANKL添加群(0μM)で有意に増加するのに 対して,10μM以上のpalmatineの添加で細胞生存
率は有意に減少した(図3B)。
3 転写因子NFATc1に対するpalmatineの影響 RAW264.7細胞を24 wellプレートに5×104/well で播種し,24時間後にRANKL 50 ng/mLおよび palmatineを含む培地に置換した。24時間の培養後,
培養細胞を回収して市販のELISAキットにて細胞 内のNFATc1濃度を測定した。その結果,control群 にくらべてRANKL添加群(0μM)で有意に増加す るのに対して,10μM以上のpalmatineの添加で NFATc1量は有意に減少した(図4)。
4 転写因子NFATc1のmRNAに対するpalmatineの 影響
RAW264.7細胞を24 wellプレートに1×104/well で播種し,24時間後にRANKL 50 ng/mLおよび palmatineを含む培地に置換した。24時間の培養後,
Real time RT PCRによるNFATc1 mRNAを測定し た。 そ の 結 果,RQ値 はcontrol群 に く ら べ て RANKL添加群(0μM)で有意に増加するのに対し て,1μM以上のpalmatineの添加でNFATc1 mRNA 発現は有意に減少した(図5)。
図 2 骨吸収活性評価プレートを用いた蛍光標識リン 酸カルシウムの観察
RAW264.7細胞に対してRANKL(50 ng/mL)および palmatine(0, 1, 10, 40, 100 μM)を投与後,5日間培養 した骨吸収活性評価プレートの培養上清中に溶出した 蛍光標識リン酸カルシウム量をELISA法で測定した。
**P<0.01,†P<0.05 vs. control
図 1 骨吸収活性評価プレートにおける骨吸収窩の観察
RAW264.7細胞に対してRANKL(50 ng/mL)およびpalmatine(0, 1, 10, 40, 100μM)を投与後,5日間培養した骨 吸収活性評価プレートの吸収像。
○印が吸収窩を,barは500μmを示す。
Control(0μM) 0μM 1μM
10μM 40μM 100μM
Ⅲ 考 察
骨組織は骨リモデリングとよばれる骨芽細胞と破 骨細胞との微妙なバランスによって維持され,骨格 の形成だけでなく,筋や神経を含めた多くの生体機 能の調節に寄与する体内カルシウムの貯蔵庫として の 役 割 を も ち, さ ま ざ ま な 生 体 機 能 に 関 与 す る6,25〜29)。骨組織の代表的な疾患である骨粗鬆症 は,悪性腫瘍や脳血管障害,虚血性心疾患のように 疾患自体が生命をおびやかす病気ではないが,二次
的に起こる骨折による疼痛や日常生活動作の制限に よる介護などQOLを著しく低下させる30,31)ととも に社会的経済負担の大きい疾患の一つである32)。閉 経後の骨粗鬆症は,破骨細胞による骨吸収がおもな 要因である高回転型骨粗鬆症として知られ,破骨細 胞や骨芽細胞の分化および機能にかかわる分子機構 の解明および骨代謝を調節しうる物質の探索は高齢 社会を迎える国々において解決すべき必須の課題で ある。われわれはこれまでにpalmatineが閉経後骨 粗鬆症の進行を抑制する候補物質になりうること,
図 3 細胞の生存率に対するpalmatineの影響
RAW264.7細胞に対してRANKL(50 ng/mL)およびpalmatine(0, 1, 10, 40, 100μM)を添加して24時間(A) あるいは5日間培養(B)した後の細胞生存率をCell Counting Kit 8により測定し,以下の式で算出した。
(式)細胞生存率(%)=[OD(experimental sample)OD(blank)]/[OD(control)OD(blank)]×100%
**P<0.01,†P<0.05 vs. control
図 5 転写因子NFATc1のmRNAに対するpalmatine の影響
RANKL(50 ng/mL)およびpalmatine(0, 1, 10, 40, 100 μM)を投与後,24時間培養したRAW264.7細胞におけ
るNFATc1 mRNAの発現を観察した。
**P<0.01,†P<0.05 vs. control 図 4 転写因子NFATc1に対するpalmatineの影響
RANKL(50 ng/mL)およびpalmatine(0, 1, 10, 40, 100 μM)を投与後,24時間培養したRAW264.7細胞におけ
るNFATc1の発現を観察した。
*P<0.05,†P<0.05 vs. control
また破骨細胞の機能を抑制する可能性について報告
した11,17)。しかしながら破骨細胞における細胞内伝
達シグナルについての検討については行っていな い。そこで本研究では,破骨細胞様細胞である RAW264.7細胞におけるRANKL誘導性分化機構に 着目して,破骨細胞分化に対するpalmatineの影響 を解明することを目的とした。
第一の検討では,RANKL誘導性破骨細胞による 骨吸収活性を観察した。骨吸収窩の画像からcontrol 群に対してRANKLを添加すると多くの骨吸収の痕 跡が認められ,今回のRANKL濃度(50 ng╱mL)が 至適に破骨細胞の分化・成熟を促していることを示 している。それに対してpalmatineを投与すると濃 度依存的に骨吸収窩が減少し,破骨細胞による骨吸 収能が低下していることが推察された(図1)。また 骨吸収能を示す培養上清中の蛍光標識リン酸カルシ ウム量の検討においても骨吸収窩の結果と同様に RANKLで有意に増大する蛍光強度がpalmatine濃 度依存性に有意に減少したことは(図2),骨吸収窩 の結果を客観的に支持し,palmatineが破骨細胞の 分化・成熟に直接影響することを示唆する。さらに RAW264.7細胞のpalmatineに対する細胞生存率に ついて検討したところ,5日間培養後の生存率は10 μM以上のpalmatine濃度で有意に減少しており,蛍 光標識リン酸カルシウム量の検討の結果と一致し た。これらの結果は先行研究であるIshikawaらの
palmatineが破骨細胞様細胞の初期にアポトーシス
を誘導する17)という見解を支持している。
第二の検討では,RANKL誘導性破骨細胞による 細胞内伝達シグナルを観察した。まずpalmatineの 24時間刺激での細胞生存率を観察した結果,40μM 以上で有意な生存率の減少を認めた。次に破骨細胞 分化のマスター転写因子であるNFATc16,33,34)がpal- matineに 依 存 す る か 検 討 し た と こ ろ,10μMの
palmatine添加で有意に減少することが判明した。
さらにNFATc1 mRNAについては1μMで発現量が 有意に減少していた。これらの結果は,palmatineが 転写因子であるNFATc1の遺伝子発現を抑制して破 骨細胞の分化および成熟が制御されたことを示唆し ている。
破骨細胞は,骨基質の脱灰およびタンパク質の分 解を行う唯一の細胞である35~37)。生体での破骨細
胞分化調節因子としてはM︱CSFとRANKLに加え TNF︱αなど多種の生理活性物質が重要な役割を果 たしている25,27)。われわれの検討では閉経後モデル 動 物 にpalmatineを 投 与 す る と 骨 芽 細 胞 由 来 の RANKL分泌26)を制御することが判明しており11), 骨芽細胞や骨細胞を介した骨免疫学的な作用と破骨 細胞への直接的作用をあわせもつ骨吸収抑制物質で ある可能性が示唆された。
結 論
Palmatineは用量依存的に破骨細胞分化調節因子
であるRANKLの分泌を制御し,破骨細胞の分化お
よび成熟を抑制することから骨損失の予防に関与し ている可能性が推察される。
抄 録
目的 palmatineは黄連などの生薬から分離される
イソキノリン・アルカロイドである。われわれはこ
れまでにpalmatineが骨粗鬆症モデルにおいて破骨
細胞を減少させること,またRAW264.7細胞を用い て破骨細胞化の初期のアポトーシスを誘導する可能 性を報告した。しかしながら,破骨細胞分化あるい は骨吸収において,palmatineがどのように関与し ているか詳細は不明である。そこで本研究では
RAW264.7細胞を用いて,破骨細胞分化および骨吸
収に関わるNFATc1発現に着目してpalmatineの影 響を検討した。
方法 破骨細胞様細胞であるRAW264.7細胞に RANKL(50 ng╱mL)およびPalmatine(0,1,5, 10,40,100μM)を添加し,骨吸収活性,細胞の生 存率,転写因子NFATc1発現,NFATc1 mRNA発現 について検討した。
結果 RAW264.7細胞にRANKLを添加すると骨吸 収,細胞増加,NFATc1発現,NFATc1 mRNA発現 のいずれにおいても有意に増加した。しかしpalma- tineを添加群では濃度依存的にそれらのパラメー ターの有意な減少が認められた。
考察 Palmatineは破骨細胞の転写因子NFAIc1を抑 制し,破骨細胞の分化および成熟を制御することが 推察された。
【利益相反】 本研究に関し開示すべき利益相反はない。
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