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白山・山村住居の初源的住空間 : 住空間の史的展開過程に関する研究(その2)

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Kobe Shoin Women’s University Repository

Title

白山・山村住居の初源的住空間

―住空間の史的展開過程に関する研究(その2)―

Primeval Living Space of Haku-mountains' Huts

Author(s)

島村 昇(Noboru Shimamura)

Citation

生活科学論叢(Review of Living Science)

No.20:1-54

Issue Date

1988

Resource Type

Bulletin Paper / 紀要論文

Resource Version

URL

Right

(2)

白 山 ・山 村 住 居 の初 源 的 住 空 間

住 空 間 の 史 的 展 開 過 程 に 関 す る 研 究(そ の2) 島 村 昇 目 次 序 1.ネ ブ キ ゴヤ(1)の初 源 的住 空 間3.ネ ブ キ ゴヤ の 規 模 分 布 1.1モ ヤ 主 体 空 間3.1床 面 積 規模 の 分 布 状 況 1.2サ シ カ ケ付 加 空 間3,2張 間長 さ と床 面 積 相 関 1.3全 住 空 間 の 構 成3.3張 間長 さ と棟 高相 関 1.4空 間 格 位 の 設 定3.4行 間長 さ と床 面 積 相 関 1.5住 空 間 の規 模 ・容 量3.5張 間長 さ と行 間長 さ相 関 1.6住 空 間 の 装 置 類3.6細 長 比 と床 面 積 相 関 2.ネ ブ キ ゴヤ ② の初 源 的 住 空 間4.ネ ブ キか ら柱 建 て へ の 移 行 2.1モ ヤ 主 体 空 間4.1ナ バ イ架 構 の 特 殊 性 2.2サ シ カケ 付 加 空 間4.2ナ バ イ ゴ ヤ(改 造 前)の 住 空 間 構 成 2.3ツ ケ タ シ拡 充 空 間4.3住 空 間 の規 模 ・床 面 積 配 分 2.4全 住 空 間 の 構 成4.4ナ バ イ ゴヤ(改 造 後)の 住 空 間 構 成 2.5住 空 間 の 規 模 ・容 量4 .5垂 直 面 の導 入 2.6住 空 間 の 装 置 類4 .6ネ ブ キ の構:造的 推 移 結 謝 辞 序 前 章 で は 白 山 ・山村 住 居(ネ ブ キ ゴ ヤ)の 古 代 的 性 格 につ い て み た。 ① 建 築 形 態 、②架構 方式、 ③ 平 面 形 式 、④ 空 間呼 称 の 各 側 面 か らの 考 察 結 果 は 、ネ ブ キ ゴヤ の 古 代 的 性 格 を如 実 に 示 して い た が 、本 章 で は そ の よ うな古 代 的 性 格 を もつ ネ ブ キ ゴ ヤ が 住 空 間 と して どの よ うな 内容 を もち 、 また それ が住 空 間 の発 展 過 程 の 流 れ の 中 で どの よ う な位 置 を 占め る の か を検 討 した い。 後 にみ る柱 建 て 住 居 に先 行 す るネ ブ キ ゴヤ 住 空 間 の 考 察 は 、そ の後 の 発 展 過 程 の い わ ば ス ター -1一

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テ ィ ン グ ・ポ イ ン トを明 確 に す る こ とで あ り、 ま た住 空 間 の 発 生 に か か わ る 問題 点 と も関連 し て くるで あ ろ う。ネ ブ キ ゴヤ の よ うに初 源 的 な住 空 間 を もつ 住 居 は 、現 存 す る もの と して は稀 有 な 存在 と い い うる もの で あ り、住 空 間 の 発 展 過 程 を追 跡 す る に 当 っ て は 、看 過 す る こ との で き な い 存在 で あ る。 事 例 と して は、前 章 に 例 示 した ネ ブ キ ゴヤ(1)お よ び ネ ブ キ ゴヤ ② の 他 、 そ の発 展 型 とみ な さ れ るナ バ イ ゴヤ を考 察 対 象 とす る。 ま た 、本 論 は石 川 県 下 ・白 山麓 を対 象 地 域 と して い るが 、 あ き らか に 同種 の住 居 と認 め られ る場 合 は 、 隣 接 県 域 を も対 象 に含 め て 論 を進 め る。 1.ネ ブ キ ゴ ヤ ① の 初 源 的 住 空 間 ネ ブ キ ゴヤ(1)(図2-1)は 、 す で に前 章 に お い て 図1-14に 例 示 し た もの で あ るが 、 こ こ で は その 住 空 間構 成 につ い て 詳 論 す る た め再 掲 す る。 この ネ ブ キ ゴヤ(1)の住 空 間 は、大 き く分 けて2つ の 部分 か らな っ て い る。1つ は 小 判 型 平 面 を もつ モヤ 部 分 で あ り、 他 は モ ヤ の 前 面 につ く られ たサ シ カ ケ部 分 で あ る。 した が っ て 、 モヤ(母 屋)部 分 とサ シ カ ケ(差 掛 け)部 分 を合 せ て オ モヤ(主 屋)を 構 成 す る。 この 場 合 、 オ モヤ は 付 属 屋 に対 す る主屋 の 意 で あ る。 当 地 の 住 居 は 、 一 般 に付 属 屋 と して ク ラ(蔵 、 倉)、 コヤ(小 屋)、 ホ ホ シ ゴヤ(穗 干 し小 屋 〉、 セ ン ジ ヤ(雪 隠)等 を付 属 す るの で 、 これ らに 対 す る 生 活 の場 と して の オ モヤ を区 別 して お く必 要 が あ る。 以 下 、 ネ ブ キ ゴヤ ① の 住 空 間構 成 につ い て検 討 を進 め る。 1.1モ ヤ 主 体 空 間 こ の ネ ブ キ ゴヤ(1)の空 間的 主体 は 、い う まで も な くモ ヤ 部 分 で あ る。モ ヤ 部 分 は 食 寝 等 の 生 活 の 主 要 な 部分 が お こな わ れ る空 間 で あ り、い わ ゆ る起 居 の スペ ー ス で あ る。一 見 に して あ き らか な よ うに 、 こ の住 空 間 の特 色 は 単 室 の 土 座 と され て い る こ とで あ る。 この あ た りに 、す で に住 空 間 の初 源 的 性 格 が み て とれ るの で あ るが 、単 室 とい っ て も住 空 間 が 無 秩 序 に 混 然 と使 用 さ れ て い る の で は な い。 す な わ ち 、住 空 間 内部 に は一 定 の 空 間 的 機 能 分 化 が み られ る の で あ る。 そ れ を象 徴 的 に 示 して い るの が ジ ロの 位 置 で あ る。 ジ ロ の位 置 は モ ヤ の 中心 か らみ る と、前 方 左 寄 りに偏 心 して い る こ とが わ か る。 前 方 に偏 心 して い るの は、 後 方 に広 い ス ペ ー ス(主 と して 就 寝 の た め)を と る た め で あ り、 左 方 に偏 心 して い る の は 、 炊 事 の 便 を計 っ て ジ ロ を調 理 台 ・コ メ ビ ツ 等 に接 近 させ る た め で あ る 。 ジ ロ と調 理 台 ・食 器棚 等 との 間 の スペ ー ス を 、 当地 で は 一 般 に タ ナ マ エ(棚 前)と よぶ 。 こ の 空 間 呼 称 は 平 野 部 の農 家 に お い て も同様 で あ る。 ジ ロの 偏 心 状 況 か らみ て も、す で に こ の初 源 的 な住 空 間 の 内部 は、 前 方 に食 事 の 空 間 、後 方 に 就 寝 の 空 間 が 機 能 分 化 し て い る こ とが わ か り、 い わ ゆ る 食 寝 分 離 の初 徴 が み とめ られ る の で あ

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図2-1ネ ブキ ゴヤ(1)の住 空 間構 成 N

向゜ 學

髄=, 1益 ジロ 部 。 Ψ 図 分 :. 戸 サ

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サシカケ部分 モ ヤ 部 分 資料)図1-14に 同 じ。 筆者 作 図。 る。食 と寝 は 住 生 活 の もっ と も基 礎 的 な部 分 で あ り、そ れ ゆ え この 単 室 住 居 に お い て も間 仕 切 に よ る空 間 隔 離(室 分 化)こ そ な さ れ て い ない が 、 機 能 的 な 空 間分 化 は充 分 に認 め られ る の で あ る。 こ の 間 の状 況 を い ま少 し詳 し くみ て み よ う。 まず 食事 の 空 間 につ い て で あ る 。 食 事 空 間 は 、狭 義 に は 食 事 をす る場 所 を指 す が 、そ れ に先 だ っ て調 理 等 の 作 業 が あ り、後 に は 食 器 の 洗 浄 ・収 納 等 の 作 業 が 必要 で あ る 。 食 事 空 間(Dと 記 号 化 す る。 以 下 、 同様)は 、 これ ら の 一 連 の作 業 の 流 れ の 中で と ら え る必 要 が あ ろ う。図2-2は 、食 事 に 関 す る一 連 の 流 れ を図 示 した もの で あ る。 今 日の住 宅 にお い て は、 こ れ らの 諸 作 業 が ほ ぼ 台所(Kと 記 号 化 す る。 以下 、 同様)で 完 結 す る よ うに 計 画 さ れ て い るが 、す くな く と もネ ブ キ ゴ ヤ(1)にお い て は、 その よ うな 完 結 性 は なか っ た 。図 に示 した全7工 程 の うち、1∼3の 工 程 は モヤ の外 で お こ な わ れ る こ とが 多 か っ た。1.食 品 貯 蔵 は ク ラ、2.準 備 は ニ ワ(戸 外 の オ ー プ ン ・ス ペ ー ス)、3,水 洗 は 戸外 の ミン ジ ヤ(水 屋 、 共 同 水 洗 場)や ミン ジヤ ブ ネ(水 屋 舟 、 戸 外 の水 溜)で お こ な わ れ た 。 こ れ らは す べ て モヤ の外 に _R_

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図2-2食 事 関 連 作 業 の 流 れ K⊥(水まわ り台所)Kz(火 まわ り台所) /一 一一 \/一 一 一一 一一 一一 一一 一 \

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(食事) 属 す る。 す で に この 点 だ け をみ て もKが 戸 内(モ ヤ 内)だ け で な く、 戸 外 で もお こ なわ れ て い る こ とが わ か る。 と くに炊 事 に不 可 欠 な水 の 使 用 は戸 外 に属 す る こ とで あ った 。 した が っ て 、ネ ブ キ ゴヤ(1)の場 合 のKは 、戸 外 と戸 内 の2つ の領 域 に ま た が るの で 、工 程1∼3の 部 分 を水 まわ り 台所(K1)と し、 戸 内 の 火 ま わ り台 所(K2)と 区別 す る必 要 が 生 じて くる。 K2は 工 程4.調 理 、5.加熱 、6.配膳 の部 分 で あ るが 、4.調 理 は ジ ロ に近 い調 理 台 、5.加 熱 は ジ ロ 、 6.配 膳 は ジ ロ の 周 辺(タ ナ マ エ)で お こ な わ れ る。 こ の4∼6の 工 程 が 先 に述 べ た ジ ロの左 寄 り 偏 心(調 理 台 に近 づ く)の 原 因 な の で あ り、 そ こ に タ ナ マ エ と称 す る空 間呼 称 が 発 生 す る原 因 で も あ る。い ず れ に して も、K2の 主 役 は ジ ロで あ り、火 を必 要 とす る調 理 は すべ て ジ ロ に よ っ て お こ な わ れ た 。 し た が っ て 、 ジ ロ を中 心 とす る台 所(K)を 火 まわ り台 所(K2)と し、 先 の 水 ま わ り台 所(K1)と 合 わせ て 台 所(K)と な る。 さ い ご に 食事 は 、 い うま で もな くジ ロ を 囲 ん で お こな われ る の で 、 こ の部 分 が 食 事 空 間(D) とな る。 さ ら に ジ ロ を囲 む 空 間 は 食 事 だ け で な く、家 族 の 会 話 ・団 らん ・休 息 等 の 居 間(Lと 記 号 化 す る。 以 下 、 同 様)的 要 素 も もち 、 さ らに来 客 を接 待 す る接 客 空 間(Rと 記 号 化 す る。 以 下 、 同様)と しての 役 割 を も果 す 。 ま た、 ジ ロの ま わ りは夜 なべ 仕 事 や 雪 深 い冬 季 の 家 内労 働 の 場 と して も活 用 さ れ る 作 業 空 間(Eと 記 号 化 す る。 以 下 、 同 様)で もあ った 。 自給 自足 的 な 山 中 で の 生 活 は 、 生 活 用 品 の 自家 製 作 を も必 要 と し たか ら、 ジ ロ 周辺 の 作 業 は不 可 避 な行 為 で あ っ た 。 以上 に よ っ て 、ジ ロ を 囲 む 空 間 はK2、D、L、R、E等 の機 能 を もつ 多機 能 な空 間 とい え よ う。 そ して 、 こ の ジ ロ を 囲 む 空 間 は 、単 室 住 空 間 の 前 半 部 を 占め るの で あ り、残 る後 半 部 が 先 に もふ れ た就 寝 の た め の 空 間(Bと 記 号 化 す る。 以 下 、 同 様)と な る の で あ る。 こ の事 例 で は モヤ 内部 の ユ カ はす べ て 土 座 で あ るの で 、前 半 部 と後 半 部 の 区切 りが 明 確 で は な い が 、次 に例 示 す る ネ ブ キ ゴヤ ② に お い て は、 後 半 部 が板 床 に さ れ 、前 半 部 の 土 座 と明確 に 区別 され るの で あ る。 こ の場 合 の板 床 は あ き らか に就 寝 の た め に 設 け られ た もの で あ る が 、この 事 例 で は 後 半 部 のB機 能 が い

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図2-3ジ ロの 偏 心 状 況 とモ ヤ 主 体 空 間 の 機 能 分 化 l I後 半 部

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△ 、㌔,ノ っ そ う明瞭 に と ら え られ るの で あ る。 以 上 、 ジ ロ の偏 心 状 況 か らネ ブ キ ゴ ヤ の モ ヤ 住 空 間 は 単 室 で あ る が 、そ の 空 間 内 には い くつ か の機 能 を もち 、 その 機 能 を よ り合 理 的 に 実 現 す るた め に大 き くは 前 半 部(K, 、D、L、R、E) と後 半 部(B)の2つ の部 分 に機 能 分 化 して い る こ とが わ か る。 出入 口 に 近 い前 半 部 は 戸 外 との 関係 も あ り、か な り動 的 な性 格 を もつ 空 間 で あ るが 、 これ に対 して 後 半 部 は 出 入 口か ら隔 っ た静 的 な性 格 を もつ 空 間 で あ り、 就 寝 時 の心 理 的 安 定 性 な ど に も好 ま しい 場 で あ る とい え る(図2-3)。 1。2サ シ カ ケ 付 加 空 間 サ シ カ ケ部 分 は、仮 設 的 な 架 構 をモ ヤ部 分 に付 加 し、モヤ 住 空 間 の機 能 を補 強 す る もの で あ る。 永 久 デ ツ ク リゴヤ で は 、 この サ シ カケ 部 分 は モ ヤ と 同様 常 設 的 な架 構 と な っ て くるが 、季 節的デ ツ ク リゴ ヤ で は 、冬 季 に は取 払 わ れ る こ とす ら あ り、 この 場 合 は 全 く仮 設 的 な もの で あ る。この よ う にネ ブ キ ゴヤ の サ シ カ ケ部 分 は モ ヤ 部 分 に 比 べ る と仮 設 的 ・暫 定 的 な空 間 なの で あ る。 さて 、 ネ ブ キ ゴヤ(1)のサ シ カ ケ 部分 は、 ① 便 所 部 分(Wと 記号 化 す る。 以 下 、同様)と 、② ゲ ン カ ン部 分(Gと 記 号 化 す る。 以 下 、 同 様)の2つ の部 分 か らな って い る が、 第1章 で述 べ た よ うに(図1-15)、 ① 便 所 部 分 は も と も と独 立 した1棟 で あ っ た 可 能 性 が つ よ い。当 地 で は一 般 に 便 所 は セ ン ジ ヤ(雪 隠)と よ ば れ モ ヤ とは別 棟 に な っ て い る。 しか し この 事 例 で は 改 造 の結 果 で あ ろ うが 、 便 所 は ゲ ン カ ソ と 同 じ屋 根 の 下 に連 続化 され て い る。 も と も と別 棟 で あ る は ず の便 所 が ゲ ンカ ン と連 続 的 に改 造 され る の は 、 降 雨 ・降 雪 時 に こ れ ら を避 け て屋 根 下 を通 うこ とが で きる か らで あ る。つ ま りこの 場 合 の ゲ ン カ ン は、モヤ と便所 をつ な ぐ渡 り廊 下 の 役 割 を果 す こ と に な る 。今 日の 住 宅 の よ う に 、便 所 が モ ヤ の 中 に と り入 れ られ て は い な いが 、 ま っ た く別 棟 で もな く、半 戸 外 的 な 扱 い に な って い る こ の 事 例 は 、便所の モヤへ の 一5一

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空 間 内化 に 際 す る一 階梯 を示 す もの と い え る。ま た これ は モヤ と便 所 の 空 間連 結 とい うこ と もで きる。 ゲ ンカ ン部 分 は側 面2ケ 処 に 出 入 口 とな る 開 口部 が 開 か れ て い て 、こ こ か らモ ヤ の 入 口 とな る 大 戸 まで の ドマ がGに 相 当す る と こ ろで あ るが 、この 部 分 も屋 根 と壁 に よ っ て 囲 ま れ た サ シ カ ケ の 中 に あ る。後 の 例 に は数 多 くみ られ る とこ ろ で あ るが 、モ ヤ の 前 面 に ピサ シ と壁 に よ って 囲 ま れ た 空 間 をつ く り、そ こ をゲ ン カ ン と よん で い る、 こ の事 例 にみ られ るサ シ カケ の 中 の ゲ ン カ ン は 、 その 先 行 例 とい え る もの で あ り、 ゲ ン カ ンの 発 生 当初 の 姿 を示 す もの と い え よ う。 これ は 当 地 が 豪 雪 地 域 で あ り、モ ヤ 出 入 口の 大 戸 、 ひ い て は モ ヤ 住 空 間 を深 い 積 雪 や 吹 雪 か ら保 護 す る た め の 防 雪 的 緩 衝 空 間 を必 要 とす るか らで あ る。 出入 口 まわ りの 雪 囲 い とい っ て も よい 。 ま た、 ゲ ン カ ン は 農 具 ・除 雪具 ・防 雪具 等 の置 場 と もな り、 出 入 口 周辺 の 収 納 空 間 と して の役 割 も もっ て い る。 今 日の住 宅 にお い て も、 ゲ ン カ ンや ゲ ン カ ン ・ポー チ に下 足 箱 ・傘 立 ・自転 車 等 を置 き、 出入 口周 辺 に物 置 ス ペ ー スが 必 要 で あ る が 、ネブ キ ゴヤ に お いて も物 品 の 種 類 こ そ 異 って も出入 口周 辺 の 収 納 室 間 の 必 要 性 は 変 る と こ ろが な い。 い ま ひ とつ 重 要 な こ とは 、ゲ ン カ ン が ドマ で あ り、こ こ が 下 足 と上 足 の 転 換 点 に な っ て い る こ とで あ る。 モヤ の 内 部 は土 座 と い っ て も立 派 な上 足 ス ペ ー ス で あ り、入 口 の 大 戸 か ら中 は 上 足 で 使 用 さ れ る。わ が 国 の 伝 統 的 な 生 活 様 式 で あ る戸 内 の 上 足化 は こ こ に も認 め られ る とこ ろで あ る。 1.3全 住 空 間 の 構 成 以 上 、モ ヤ 主体 空 間 とサ シ カ ケ付 加 空 間 の そ れ ぞれ の 内容 につ い て み て き た が 、 こ こで は そ れ ら を全 体 と して ま とめ て み る(図2-4)。 図2-4ネ プ キ ゴヤ(1)の全 住 空 間構 成 日 後半部モヤ モヤ部分 (オエ) K2DLモ ヤ RE前 半部 ノコも

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・ ・:騨(ド マ) ・ ㍑1

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ネ ブ キ ゴヤ(1)の全 住 空 間 の構 成 は 、サ シカ ケ 部 分 とモ ヤ 部 分 か らな り、 この2つ の 部 分 は 縦 列 す る1列 型(タ テ1列 型)の 構 成 を と っ て い る。 この タ テ1列 の 空 間 構 成 は 、 モ ヤ の サ ス 構 造 に よ る とこ ろが 大 で あ る が 、結 果 と して 間 口 よ り奥 行 の長 い タテ 型 の住 空 間 に な る。 こ の タテ 型 の 住 空 間構 成 は、 後 に み る妻 入 りタ テ屋 造 りの ス ター テ ン グ ・ポ イ ン トと して 明 記 され ね ば な らな い とこ ろ で あ る(タ テ1列 型 の 構 成)。 次 に モ ヤ に対 してサ シ カ ケの 仮 設 的 性 格 が 挙 げ られ る。サ シ カ ケ は モ ヤ に対 して い わ ば 事 後 的 に付 加 され た 空 間 で あ り、 と くにGは モ ヤ の 緩 衝 的 空 間 と して設 け られ た付 加 空 間 で あ る。こ れ を延 長 した形 でWを サ シ カ ケ部 分 に 組 込 み 空 間 連 結 を お こ な って い る 。す なわ ち 、 この 初 源 的 な 住 居 に お いて す ら住 空 間 の 動 的 な 発 展 過 程 が うか が え る の で あ る。空 間付 加 は 住 空 間 の 拡 大 、空 間連 結 は 住 空 間 の一 棟 化(機 能 内 化)へ の 階 梯 を 一段 階 お し進 め た も の とい え る(空 間 付 加 と空 間連 結)。 次 に サ シ カ ケ部 分 の ドマ(下 足 ス ペ ー ス)、 モ ヤ 部 分 の 土 座(上 足 ス ペ ー ス)の 区 別 が 注 目 され る 。 一 般 に わが 国 の 民 家 で は ドマ とオ エ(床 張 り部 分)が あ るが 、 い ま の場 合 、サ シ カ ケ部 分 が ドマ に 当 り、 モ ヤ 部 分 が オ エ に相 当 す る。 した が って この ネ ブ キ ゴヤ の 場合 、 モ ヤ で あ る オ エ が 主 体 空 間 で あ り、サ シ カケ で あ る ドマ が付 加 空 間 とい う こ と に な る。 この 関 係 を発 展 過 程 か らみ る と、ま ず オ エ と して の モ ヤ が 成 立 し、事 後 的 に ドマ と して のサ シ カケ が 付 加 さ れ た こ とに な る。 オ エ(モ ヤ)と ドマ(サ シ カケ)の 成 立 上 の前 後 関 係 は 、住 空 間 の 発 展 過 程 を考 え る場 合 、 ひ じ ょ う に重 要 な事 柄 で あ る とお も う(モ ヤ 主 体 空 間 ・オエ とサ シ カケ 付 加 空 間 ・ドマ の 結 合)。 これ に関 連 して 、 オ エ(モ ヤ)と ドマ(サ シ カケ)の 位 置 関 係 をみ る と、 い う まで も な く ドマ が 前 面 に きて い る。 こ れ は オ エ(モ ヤ)の 出 入 口 と関 連 す る必 然 的 な結 果 で あ るが 、 この 前 後 関 係 も注 意 して お か ね ば な ら な い。それ は後 に み る 当 地 の 平 野 部 農 家 が や は り前 面 ドマ 型 とな り、 この サ シ カ ケ(ド マ)の 系 統 を ひ い て い る か らで あ る(サ シ カ ケ ・ドマ の前 面 配 置)。 サ シ カ ケ部 分 お よび モ ヤ 部 分 の 空 間 機 能 に つ い て は す で に み た よ うに、サ シ カ ケ部 分 に お い て は 、G、W、 モヤ 部 分 に お い て は 、K2、D、L、R、E、Bで あ り、Kエ は 戸 外 に属 し まだ機 能 内 化(空 間 内 化)さ れ て い な い 。 お も う に、 時代 を遡 及 す れ ばK2も 戸 外 に属 して い た で あ ろ う。 そ れ だ け 戸外 が 住 生 活 に ウ エ イ トを も って い た こ と に な る(戸 内 の 空 間 的 機 能 分 化 とK1の 空 間 的 未 内化)。 1.4空 間格 位 の設 定 ネ ブ キ ゴヤ(1)の住 空 間 内部 は、単 室 で あ り一 体 的 な 空 間 で あ った が 、 そ こ に い くつ か の機 能 が あ り、 そ れ らは 空 間 的 に分 化 す る微 候 を示 して い た 。 こ の よ うな機 能分 化(空 間分 化)の きざ し と同 時 に 空 間格 位(上 座 ・下 座 の序 列)に 対 す る観 念 も生 じて い た 。 空 間機 能 が 実 用 的 な空 間 利 用 の 側 面 を表 現 して い る とす れ ば 、 この 空 聞 格 位 は精 心 的 ・観 念 的 な空 間 認 識 の 側 面 を表 徴 す る ・_7_

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もの で あ る。 空 間格 位 は、 い わ ゆ る上 座 と下 座(な い しは左 座 と右 座)な ど と して 今 日ま で 伝 承 され て きた 空 間(場 所)の 上 位 と下 位 に 関 す る空 間 観 念 で あ り、 多室 な 住 居 に お い て は 出 入 口 か ら もっ と も 奥 ま った 場 所 を最 高 位 と考 え座 敷(と きに は 上 座 敷)を 配 置 す る こ とが お こ な わ れ て きた 。 こ の ネ ブ キ ゴヤ は単 室 で あ るか ら、室 の格 位 は つ け よ うが な いが 、す くな く と もモ ヤ 住 空 間 内部 に は そ の 萌芽 的 状 況 が み とめ られ るの で あ る。 そ れ を端 的 に示 す の が ジ ロ の ま わ りの 着 座 順 位 で あ る。その 着 座 順 位 は 図2-5に 示 す とお り で あ るが 、上 位 の もの か ら符 番 して い る。この 場 合 まず 着 目 しな け れ ば な らな い こ とは 、クチ(口 、 出 入 口の 方)と オ ク(奥)の 関 係 で 、 オ クの 方 を上 位 、 ク チ の方 を下 位 とす る タ テ 方 向 軸 線 の格 位 設 定 で あ る。 この タ テ軸 線 を基 準 と して 、 も っ と もオ クの 座 ① が最 上 位 の ヨ コザ(横 座 、 家 長 の座)と され 、 反 対 に も っ と も クチ の 座 で あ る④ は最 下 位 の シ モ ジ ロ(下 代 、 子 女 ・使 用 人 の 座) と され る。② と③ の位 置 は タ テ軸 線 の 上 で は対 等 の 位 置 に あ り甲 乙つ けが た い が 、形 式 的 に は ヨ コザ か らみ て左 座 が 右 座 よ り上 位 とさ れ る。す な わ ち図 に お い て は 、③ が ② よ り上 位 と され 、 こ こ に ヨ コ軸 線 上 の 格 位 設 定 もみ とめ られ る こ とに な る。 しか しい ま の 場 合 、 ジ ロの 偏 心 状 況 の と こ ろで 述 べ た よ うに、調 理 台 や 食 器 棚 の 置 か れ て い る タ ナ マ エ 側 の 座 を カ カ ジ ロ(嗅 代 、 主 婦 の座)と し、 ① ヨ コザ につ ぐ上 位 の 座 とす る。 主婦 は 家 図2-5ジ ロ着 座 順 位 と住 空 間 の 格位 (」挫)(上 位)

↑1

ヨコザ(横 座) ①

潔 ②[コ]③

下qノ

(下座)(下 位) 資 料)前 出 『尾 口村 史 ・第2巻 ・資 料 篇2』(p.p.621∼624)に よ り筆 者 作 図 。 注)資 料 に よ る と 、 ジ ロの 座 の 呼 称 は 、 カ カ ジ ロ で は 他 に タナ マ エ(棚 前)、 ケ ジ モ ト(食 事 元)な ど が あ り、 オ ノ コ ジ ロは オ トコ ジ ロ(男 代)、 ム コ ジ ロ(婿 代)な ど が あ り、 シ モ ジ ロ は シ モ ザ(下 座)、 ウ ラ ジ ロ(裏 代)な どが あ る 。

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長 と と もに労 働 し、 なお か つ家 事 ・家 計 を司 る重 要 な役 割 を担 う者 と して 家 長 につ ぐ座 を与 え ら れ て い た。 した が って 、 い まの 場合 は先 の 左 座 ・右 座 の 形 式 的 な ヨ コ軸 線 か らす る格 位 決 定 とは 相 反 す る こ とに な る。 こ の よ うに 、形 式 的 な格 位 決 定 と実 質 的 な格 位 決 定 とは 、 時 に よ り一 致 す る場 合 も あ り、 また 相 反 す る場 合 もあ り う る。前 者 の場 合 は問 題 が ない が 、後 者 の場 合 は実 質 的 な格 位 決 定 が 優 先 せ ざ る を え な い 。主 婦 は必 ず タ ナ マ エ の 方 に 着座 しな け れ ば な らな い か ら で あ る。お そ ら く、左 座 ・ 右 座 の 形 式 的 な 格 位 決 定 は 実 質 的 な格 位 決 定 よ り後 に 当地 に 移 入 さ れ た 空 間 観 念 で あ ろ う と推 測 され る。 い ず れ に して も、 山深 い 山 村 の きび しい 自足 的 な 生 活 条 件 の も とで は 、主 婦 が 家 長 に つ ぐ座 に あ っ た こ とは 注 目 に値 す る こ とで あ る。 家 族 関 係 に お け る古 代 的 性 格 とい え よ うか 。 以 上 の よ うに 、結 局 ② カ カ ジ ロが 左 座 に くるか 右 座 に くるか は 、タ ナ マ エ が い ず れ に 設 け られ るか に よ る。 それ につ れ て ③ オ ノ コ ジ ロの 位 置 も 自か ら決 定 され る。 この 場 合 、 タナ マ エ が左 右 い ず れ に 設 け られ るか が 問題 で あ る が 、後 の よ り発 展 した 段 階 、す な わ ち ミン ジヤ が モ ヤ に 空 間 内化 され た段 階 で はK、(水 まわ り台所)の 側 に ジ ロが 偏 心 し、 そ の結 果 タ ナ マ エ もK、側 に くる。 そ して そ のK、 は 山 の 谷 水 を導 水 す る よ うな 場 合 は 、す な わ ちヤ マ ガ ワ に くるの で 、そ の結 果 タナ マ エ もヤ マ ガ ワ に く る こ とに な る(図2-6)。 図2-6K、 と タ ナ マ エ の 位 置 関 係 ヤ ガ マ ワ タ 客

妄 図 ジ゜

△ しか し、単 室 住 居 で あ る ネ プ キ ゴヤ の場 合 、K、 は 戸 外 に所 属 しK、 と内部 の タナ マ エ は い ち お う空 間 的 に 遮 断 され て し まい 、直 接 的 な 関 係 を失 って し ま うの で 、図 の よ う な位 置 関係 は 必 ず し も成 立 し な い。事 実 、 ネ ブ キ ゴ ヤ(1)では左 側 に あ る タナ マ エ が 、次 に み るネ ブ キ ゴヤ② で は右 側 に くる 。こ の よ うに タナ マ エ の位 置 が 時 に よ っ て 左右 に 異 動 す る の は 、 ヨ コ軸 線 上 の 空 間 格 位 が 先 の 左 座 ・右 座 な ど に よ っ て決 定 され る もの で は な く、 よ り実質 的 な 生 活 上 の 利 便 性 に よ っ て位 一9-一

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置 決 定 が な され て い る もの と考 え られ る。 ③ オ ノ コ ジ ロ(男 子 代 、 長 男 ・男老 人 ・客 な どの 座)は 、② カ カ ジ ロ に 次 ぐ順 位 の 座 で 、 そ の 名 称 か ら も わ か る よ うに主 と して 男 子 の座 で あ る。こ の オ ノ コ ジ ロ は 先 の カ カ ジ ロの 位 置 が決 ま る と、必 然 的 に そ の 向 い 側 の 位 置 に くる。以 上 に よ っ て① ヨ コザ 、② カ カ ジ ロ 、③ オ ノ コジ ロ、 ④ シモ ジ ロ と呼 ば れ る ジ ロの ま わ りの4ケ 処 の 座 の順 位 が 決 定 さ れ る が 、も っ と も格 位 の 高 い ヨ コザ は、 ボ ンサ マ(坊 様)に は ゆ ず る こ とが あ っ て も、 み だ りに家 長 以 外 の 者 は着 座 す る こ とが で きなか っ た 。 ま た、 カ カ ジ ロや オ ノ コ ジ ロ に 複 数 の 者 が着 座 す る場 合 は タテ 軸 線 上 の 空 間 格 位 に よ っ て序 列 が 決 定 され る。 シ モ ジ ロに お い て は 原 則 的 に、男 子 の 場 合 は オ ノ コ ジ ロの 方 か ら、 女 子 の:場合 は カ カ ジ ロの 方 か ら序 列 が 決 定 され る。 以 上 の よ うな ジ ロ の ま わ りの 着 座 順 位 は 、単 室 の住 空 間 内 に お い て もつ よ く意 識 され て お り、 こ れ をた ん に格 式 的 慣 習 と して 片 づ け る こ とは で きな い 。な ぜ な ら、 この 着 座 順位 に は 空 間 認 識 の 基 底 が 投 影 され て い る か らで あ る。 第1章 に お い て も述 べ た とこ ろで あ るが 、 当地 で は 出 入 口 近 くを クチ(口 〉、 その 反対 側 を オ ク(奥)と よ ぴ 、 タ テ軸 線 の 空 間 意 識 が 明瞭 に 現 われ て い る。 この 例 に み られ る よ うな サ ス構 造 の 単 室 住 居 で は 、出 入 口が1ケ 処 に 限 定 さ れ 、か つ そ こか ら奥 に 長 い(奥 深 い)タ テ 長 の住 空 間 が 形 成 され 、 さ し当 って ク チ とオ ク が対 照 的 な 空 間 の 質 的差 異 と して 認識 され た で あ ろ う こ とは 容 易 に 想像 され る と こ ろで あ る。 ク チ の 空 間的 流 動 性 ・不 安 定 性 とオ クの 空 間 的静 止 性 ・安 定 性 が 対 照 的 な もの と して 意 識 され た。 こ う した 空 間 の 質 的 差 異 が 空 間 の格 位 決 定 に少 なか らず 影 響 を 与 えた 。 こ こ に住 空 間 内 の 空 間格 位 が ク チ か らオ クへ 向 って 高 位 とな り、や が て最 奥 部 に ブ ツ ダ ンが 置 か れ る こ とに な る。次 に例 示 す るネ ブ キ ゴヤ ② に は そ の 例 が み られ る し、 さ ら に次 に 例 示 す る ナ バ イ ゴヤ で は最 奥 部 に ブ ツ マ が 増 築 され る こ と に な る。以 上 は モ ヤ に つ い て の 話 で あ る が 、 さ ら にサ シ カ ケ部 分 の ドマ 空 間 を も視 野 に入 れ て考 え る と、上 足 スペ ー ス で あ る モヤ 内 部 の オエ は 、 下 足 スペ ー ス で あ るサ シ カ ケ部 分 の ドマ よ り上 位 で あ り、オ エ と ドマ の 上 下 関係 も現 わ れ ざ る を え な レ㌔ この 関 係 は 、 後 に み る妻 入 り タテ 屋 造 り農 家 の 前 面 ドマ(ニ ワ)か ら奥 の ザ シ キ に 至 る 空 間 の 高位 化(空 間 序 列)へ と発 展 して い くの で あ る。 1.5住 空 間 の 規 模 ・容 量 以 上 は ネ ブ キ ゴヤ(1)の住 空 間構 成 の さ れ 方 や 空 間機 能 、空 間 認 識 等 の い わば 質 的 側 面 につ い て み て き た の で あ っ た が 、こ こ で は ネ ブ キ ゴヤ(1)の住 空 間 規 模 や 容 量 に 関 す る い わ ば 量 的 側 面 につ い て 検 討 して お き た い 。 まず 住 空 間 の 規 模 に つ い て で あ る が 、 平 面 の形 が不 整 形 な の で 規 模 計 測 は0.5間 の メ ッ シ ュ 法 に よ る(図2-7)。 ま た、 寸 法 単 位 は柱 間(サ ス 間)間 数 、 面 積 単 位 は畳(1間 ×1間=1坪= 2畳)と す る(以 下 、 同様)。

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図2-7ネ ブ キ ゴヤ(1)の住 空 間 規 模 B・BSEC, .羅 欝 鎌 モヤ後半部16-・畳 一 臣IL'メ.黙 ・1'_モ ヤ34.0畳_ 9・ 謀(オ エ)〔17 ,0坪) .二.・_モ ヤ 前 半 部 、7、5畳_一(64・2%) (W)(18.9%) 1-1國 立 脚 不 能 範 囲(13・4畳) 3,5間 ま ず 最 初 に 間 口 、奥 行 に つ い て み る と 、間 口3.5間 は サ ス 組 の 幅 と し て は こ の 程 度 の 寸 法 に 制 約 さ れ る で あ ろ う。 こ れ に つ い て は 本 章 、第3節 で 詳 論 す る 。次 に 奥 行 は モ ヤ 部 分5.0間 、 サ シ カ ケ 部 分4.0間 で 合 せ て9.0間 と な る 。 し た が っ て 、 細 長 比(奥 行 ÷ 間 口)は 、 モ ヤ 部 分 で は1.43、 全 体 と し て は2.57と な り、 間 口 に 比 べ て 奥 行 の 長 い 形 状 と な る 。 い わ ゆ る タ テ 屋 造 り の 形 が 数 値 的 に も よ く現 わ れ て い る 。 床 面 積 は モ ヤ 前 半 部 が17.5畳 、 後 半 部 が16.5畳 で 合 せ て34.0畳 と な る 。 前 半 部(K,、D、L、 R、E)と 後 半 部(B)は ほ ぼ 等 し い値 を と り、 モ ヤ 住 空 間 を 折 半 し て い る こ と が わ か る 。 次 に モ ヤ 住 空 間 の 床 面 積34,0畳 と い う規 模 は 、1室 の 広 さ と し て は か な り大 き く み え る が 、 断 面3角 形 の こ の サ ス 構 造 の 住 空 間 で は 、 室 の 周 辺 部 で は 屋 根 が 低 く な り立 脚 行 動 が 不 可 能 で あ る 。 し た が っ て 、34.0畳 が す べ て 行 動 範 囲 に な る わ け で は な い 。 立 脚 行 動 に 必 要 な 高 さ を6尺(1.8m)と す る と 、 室 周 辺 の3尺(1.Om)幅 の 部 分 は 差 引 い て 考 え ね ば な ら な い 。 こ の 部 分 の 面 積13,4畳 分 を差 引 く と、 モ ヤ の 立 脚 可 動 床 面 積 は20.6畳 と な る 。 こ れ は モ ヤ 全 床 面 積 の60.6%に 当 る。 す な わ ち 約6割 が 立 脚 可 能 な 床 面 と い う こ と に な る 。 室 周 辺 の 立 脚 不 能 の 床 面 は 、 し か しデ ッ ド ・ス ペ ー ス とす る こ と は で き な い 。 物 置 ス ペ ー ス と し て は 充 分 使 用 で き る し 、 ま た 跣 坐 行 動 は 可 能 で あ る か ら で あ る 。 し た が っ て 、 こ の 事 例 の よ う な ネ ブ キ ゴ ヤ の 規 模 は 、 全 床 面 積 と立 脚 可 動 床 面 積 の 両 者 を 考 慮 す る 必 要 が あ ろ う(図2-8)。 ち な み に 、立 脚 不 能 範 囲 を物 置 ス ペ ー ス と考 え 、そ の 空 間 容 量 を 求 め て お く と 、724.5立 方 尺 と な り 、 今 日 の 住 宅 に み ら れ る 押 入(間 口1間 、 奥 行0,5間 、 高 さ8尺 、 容 量144立 方 尺)約5箇 分 に 相 当 す る 。 実 際 に は 、 こ の ス ペ ー ス が す べ て 物 置 に 使 わ れ る こ と は な い が 、 屋 内 の 潜 在 的 収 納 能 一11一

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図2-6ネ ブ キ ゴヤ ① の 住 空 間 容 量 5.2尺 6.o 工.0 立脚 朝囲 6.0尺 0.60 、6-35尺12835尺 3.5間(21尺) 力 と して 押 入5箇 分 は見 逃 す こ とが で きな い 。 い ま ひ とつ 収 納 ス ペ ー ス と して 見 逃 す こ との で きな いの は ア マ 空 間 で あ る。ネ ブ キ ゴヤ ① で は どの程 度 ア マ が と られ て い た か 不 分 明 で あ るが 、 モ ヤ の 上部 全 面 をア マ に利 用 した とす る と、そ の 床 面 積 は17.6畳 に な り、高 さ を6尺 とす る と アマ の 空 間容 量 は1339.2立 方 尺 とな る。 この 空 間 容 量 は、 先 の押 入 箇 数 に 換 算 す る と、約9箇 分 に相 当す る。 ア マ は燃 料 や 食 料 、 屋 根 葺 き材(カ ヤ)等 の 保 存 場 所 、 家 財 ・道具 類 の保 管 場 所 と して 重 要 な役 割 を もつ 収 納 ス ペ ー ス で あ り、 柱 建 て の 住 居 に発 展 す る とア マ は2階 部 分 に と られ 、 一 段 と床 面 積 ・容 量 を増 す こ とに な る。 以 上 は モヤ 部 分 に つ い て の 検 討 で あ っ た が 、サ シ カ ケ部 分 につ い て み る と、 こ の 部 分 の 床 面 積 はW部 分10.0畳 、G部 分9.0畳 とな り、合 せ て19.0畳 で あ る。モ ヤ が オ エ で あ るの に 対 して 、サ シ カ ケ は ドマ で あ る の で 、こ の19.0畳 は ドマ の 床 面積 を示 す こ と に も な り、オ エ の34.0畳 と共 に住 空 間 規 模 を決 定 す る大 きな フ ア ク ター とな って い る 。後 にみ る柱 建 て 住 居 の ドマ とオエ の面 積 構 成 比 率 等 を考 察 す る際 の ス ター テ ィ ン グ ・ポ イ ン トと し て もこ れ らの 数 値 は 重 要 で あ る。 表2-1に 以 上 の 諸数 値 を整 理 し て お く。 1.6住 空 間 の装 置 類 住 空 間 が 生 活 の 場 と して 機 能 す る た め に は 、 前項 で み た空 間 規 模 ・容 量 の 一 定 量 が必 要 され る が 、 そ の 他 各 種 の装 置 類 が付 加 さ れ ね ば な らな い 。今 日の 住 宅 に お い て は 、エ ネ ル ギ ー 系 統 、情 報 系 統 等 の 設 備 が 高 度 に発 展 して い る が 、ネ ブ キ ゴヤ(1)の よ うな初 源 的 な住 空 間 に お いて も未 発 達 とは い え 当地 の また 当 時 の 生 活 様 式 に 即 応 した装 置 類 が付 加 さ れ 、住 生 活 の 遂 行 に 寄 与 して い た。住 空 間 の 発 展 過 程 を考 え る場 合 、 そ う した装 置 類 も み て お く必 要 が あ ろ う。以 下 、遂 条 的 に それ ら をみ て お く。

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表2-1ネ ブ キ ゴ ヤ(1)の住 空 間 規 模 ・容 量

空 間 部 分

空間機能

㌦ ヂ

門間P騙

細長比

アマ(モヤ上部をすべてアマとして)・7・633・2麓

鍋 鈷 疋 駅 雛 鶴

注)1.()内 は立 脚不能 範 囲の床 面積 を示 す(内 数)。 2,細 長 比 は 「奥行 ÷間 口」 を示す 。 (1)ユ カ 原 資 料 の 説 明 に あ る よ う に、この 住 居 のユ カ は モ ミヌ カ を敷 きつ め そ の上 に ム シ ロ を敷 い た もの で あ る。土 の上 に一 種 の 断 熱 材 、 ク ッ シ ョン 材 を敷 きつ め た もの で あ り、 も ち ろ ん上 足 で 使 用 す るオ エ で あ る。一 般 に農 家 は ドマ とオ エ か らな るが 、ネ プ キ ゴ ヤ(1)のモ ヤ の ユ カ は す べ て オ エ で あ り ドマ が な い 。 い わ ゆ る土 座 で あ る。 ドマ は サ シ カ ケ部 分 につ くられ 、 モ ヤ に付 加 され た形 を と る。 ② ジ ロ 火 ど こ ろ と して の ジ ロ は、 煮 炊 ・採 暖 ・乾 燥 ・照 明 ・燥 煙 等 の 機 能 を も っ て お り、 生 活 上 不 可 欠 の装 置 で あ る。 それ ゆ え ジ ロ は住 空 間 の 中 心 的 存 在 と して 位 置 づ け られ て い た。 (3)ピ ア マ ジ ロ の上 に 吊 られ た 棚 が ピア マ(火 天)で あ る。 ジ ロの 火 を利 用 して 乾 燥 させ る物 を乗せ た り、 吊 り下 げ た りす る棚 で あ る。 (4)ケ ム ダ シ ケム ダ シ(煙 出 し)は 、 妻 面(出 入 口側)棟 下 に 開 け られ た小 開 口部 で 、 ジ ロ の 煙 の 排 煙 一13一

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装 置 で あ る。 (5)シ ョウ ジ 図2-1を み る と、 平 面 後 方右 手 に シ ョウ ジ(障 子)の は め られ て い るの が わ か る。 幅 半 間程 度 の 開 口部 で あ る か ら、シ ョウ ジ1枚 が 籏 め殺 し に な っ て い る もの とお も え るが 、ネ ブ キ の よ うに開 口部 の な い構 造 で は 貴 重 な採 光 装 置 とい え る。もち ろ ん これ は改 造 に よ る もの で あ ろ う。 (6)オ オ ド オ オ ド(大 戸)は 出 入 口 に設 け られ た板 戸 で あ る。 図2-1の 平 面 図 か ら判 断 す る と、 右 へ 引 く幅5尺 程 度 の 片 引 き板 戸 で あ る。 ⑦ セ ン ジ ヤ 当 地 で は便 所 を セ ン ジヤ(雪 隠 の 転 詑)と よん で い る。 ネ ブ キ ゴ ヤ(1)ではサ シ カケ の 突 端 部 にセ ン ジ ヤ が あ り、大 便 用 と小 便 用 の2つ の 大 きな タ メ オ ケ(溜 桶)が 地 中 に埋 め られ 、 上 に ア ユ ミイ タ(歩 み 板)を 渡 して い る。 当地 の焼 畑 農 耕 で は 人 肥 を必 要 と しな いが 、 菜 園 の た め の肥 料 と した の で あ ろ う。 (8)ア マ ア マ(天)は 屋 根 裏 の 収 納 空 間 で あ るが 、 図1-14の 断 面 図 を み る と、 梁 の 上 に何 か物 を 置 い て い る。 ア マ の 広 さは わか らな い が 、 屋 根 裏 空 間 の利 用 が あ き らか で あ る。 ⑨ フ ロ ダナ 図2-1の 平 面 図 をみ る と、 ジ ロ の 左側 に コ メ ビツ が あ り、そ れ と並 ん で 調 理 台 か棚 か が 置 か れ て い る。 当地 で は 食 器 、 調 理 器 具 等 を収 納 す る棚 をフ ロ ダ ナ(風 呂棚)ま た は た ん に フ ロ(風 呂)と よ ん で い る。 そ の た め 棚 の 前 の スペ ー ス を タナ マ エ と よぷ の で あ る が 、 調 理 関 係 の 装 置類 と して こ の フ ロ ダ ナ を挙 げ て お か ね ば な らな い。棚 を フ ロ と よぶ 呼 称 法 も古 式 を と どめ て い るが 、浴 室 と ま ぎ らわ しい の で 、 本 論 で は フ ロ ダ ナ に統 一 す る(以 下 、 同 様)。 以 上 に列 挙 した 生 活 装 置 類 は 、 い わ ば 必要 最 少 限 度 の もの で あ る が 、それ だ け に こ の住 居 の 初 源 的 性 格 が うか が え る。 2.ネ ブ キ ゴ ヤ(2)の 初 源 的 住 空 間 ネ ブ キ ゴ ヤ(1)につ い で 同 種 の ネ ブ キ ゴヤ(2)につ い て み る。ネ ブ キ ゴヤ(2)は、図2-9に 示 す と お りで あ る が 、こ れ も第1章 に お い て 図1-16と して 例 示 した もの で あ る。 こ こ で は そ の 住 空 間 構 成 内 容 を よ り詳 細 に み る ため 再 掲 し た。以 下 、先 の ネ ブ キ ゴヤ(1)でお こ な っ た と同様 の 手 順 で 検 討 を進 め る。

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図2-9ネ ブ キ ゴヤ ② の 住 空 間 構 成 ツ 払 冑 多 圭!撃 託 分 拒問 飯 入 寝 れ モ 間 土 ヤ

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キ シ ジロ ペ ワモ ロ タ ラン   慣 ナ タナ  

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\1--21尺 資料)図1-16に 同 じ。筆 者作 図。 2.1モ ヤ 主 体 空 間 ネ ブ キ ゴ ヤ② の 住 空 間 は 大 き く分 け る と、① モ ヤ 部 分 、② サ シカ ケ 部 分 、③ ツ ケ タ シ部 分 の3 つ の 部分 に な る。 まず 最 初 に モヤ 部 分 か らみ て い くが 、モ ヤ が こ の 住 居 の 主 体 を な して い る こ と は 、先 例 と同 様 で あ る。 た だ この事 例 で は 、 モ ヤ の 前 半 部 は ム シ ロ敷 きの 土 座 で あ る が 、後半部 が板 間 に な っ て い る。先 の ネ ブ キ ゴヤ(1)では 、モ ヤ の ユ カは 全 面 ム シ ロ敷 きの 土 座 で あ っ たが こ の例 で は 後 半 部 に板 床 が つ く られ 、板 床 の 発 生 過 程 が 跡づ け られ る。 先 例 で み た よ う に モヤ の 内 部 は、 前 半 部 がK2、D、L、R、Eの 機 能 を受 け もち、後 半 部 がB 機 能 を受 け もつ 。 これ につ い て は 、 この ネ ブ キ ゴヤ ② に お い て も同様 で あ り、前 半 部 と後 半 部 の 機 能 分 化 が み とめ られ る。そ れ は先 例 と 同 じ くジ ロの 偏 心 状 況 を み れ ば あ き らか なの で あ るが 、 この 例 で は 前 半 部 、 後 半 部 そ れ ぞれ の機 能 に対 応 して ユ カ の分 化(土 座 と板 床 の 分 化)が 生 じて い る。す な わ ち 、前 半 部 は 古 来 の 土 座 を継 承 して い る が 、後半部 は新 しいユ カ形式で ある板 床 に な り、 そ れ は 主 と してB機 能 を受 け もつ場 所 で あ る。 土座 で の就 寝 は湿 気 ・冷 気 ・虫 害 等 の 生 理 的 ・衛 生 的 の 面 で 問 題 が あ り、地面 か ち揚 げ られ た 空 隙 の あ る床 面 を必 要 と した 。そ の た め 、 こ の住 居 で は転 ば し根 太 の低 床 で は あ るが 板 床 と され て い る。 こ の段 階 で は 、 ま だ 束 立 て の揚 床 に は至 って い な い が 、土座 に比べれ ば一 段階進展 した ユ カ 形 式 と評 価 す る こ とが で き る。 この 事 実 は 、ユ カの発 生過 程 を考 える場合 に示 唆 を与 え るも 一15一

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の で あ り、 ま た板 床 の 設 置 に よ って モ ヤ 内部 の 前 半 部 と後 半 部 の 空 間分 化 が い っ そ う明 確 化 さ れ 、 食寝 分 離 等 の 生 活行 為 の 分 化 も よ り鮮 明 な もの とな る。 B機 能 に関連 して 、モ ヤ の 中央 部 左 寄 りにハ コ状 の 寝 間 が と られ て い る こ とに も注 目 した い。 この 寝 間 につ いて は 、 原 資 料(本 論 、 図1-16の 説 明 文)に 次 の よ うに述 べ られ て い る。 図面 の 寝 間 と書 い て あ る処 は仕 切 の 着 い た 室 で は 無 く、低 い 高 さ二 尺 位 の 箱 の や う な囲 ひの ネ ドコ に な っ て 、其 処 に 赤 ン坊 が 寝 て ゐ た が 恐 ら く老 人 夫 婦 と、若 夫 婦 の 寝 間 は 別 れ て ゐ る の で は な いか と思 ふ 。 こ の 説 明 文 に よ る と、老 夫 婦 と若 夫婦 の 就 寝 分 離 が お こ な わ れ て い る よ うで あ る。 いず れ がハ コ状 寝 間 で 就 寝 した の か は 明記 され て い な い が 、戸 主権 を もつ 家 長 夫 婦 が 板 間 で就 寝 し、他 が こ のハ コ状 寝 間 で就 寝 し た と考 え られ る。第4節 に お い て事 例 とす るナ バ イ ゴヤ で は 出 入 口近 くに 3畳 大 の トシ ヨ リベ ヤ が と られ て い る の をみ る と、戸 主権 を ゆず っ た隠 居 老 人 の 寝 間 は こ の位 置 に くる こ とが わ か る。 い ず れ に して も、 こ こ に老 若2組 の 夫 婦 の就 寝 分 離 が み とめ ら れ 、そ れ は い まだ 間 仕 切 に よ る 完 全 な空 間隔 離(室 分 化)に は至 って い な い もの の 、 高 さ2尺(約60cm)の 低 い板 で 囲 う、 い わ ば半 空 間 隔 離 とで も い うべ き状 態 を示 して い る。 こ こ に就 寝 の 空 間 隔 離 へ の 萌 芽 的状 況 、す な わ ち 室分 化 へ の き ざ し を読 み と る こ とが で き る。 (補論) モ ヤ 内部 の 空 間 的 機 能 分 化 を象 徴 して い る ジ ロ の 偏 心 状 況 に つ い て は 、先 例 に お い て も指 摘 し た とこ ろ で あ る が 、 この 事 例 に も同 様 の状 況 が み られ るの で 、 こ の 間 の 事 情 に つ い て い ます こ し 具 体 的 に み て お き た い。 ジ ロの 偏 心 状 況 は、 タ テ軸 方 向 につ い て は 前 方 へ の 偏 心 、 ヨ コ軸 方 向 につ い て は左 右 いず れ か へ の 偏 心 で あ る。先 例 で は 左 寄 りの 偏 心 で あ っ たが 、 この 事 例 で右 寄 りの 偏 心 とな っ て い る。左 右 いず れ に偏 心 す る か に つ い て は 前 節 で ふ れ た とこ ろ で あ る。 さ て、 まず タ テ軸 方 向 の 偏 心 状 況 につ い て み る と、先 例 に お い て もこ の事 例 に お い て も、 ジ ロ の 中心 は 前 方1.5間 、後 方3.5間 の位 置 に あ る(図2-1、 図2-9)。 つ ま リタ テ軸 方 向 に お け る 住 空 間 の 中 心 か らみ る と、1.0間 前 方 へ 偏 心 して い る こ と に な る。す な わ ち、この 場 合 の 偏 心 率 は 20%と い う こ と に な る。 次 に ヨ コ軸 方 向 に つ い て は 、図2-9に タナ マ エ 部 分 の 寸 法 が6.5尺 と記 録 され て い る の で 、こ の 寸 法 に よ りジ ロ の 大 きさ を3尺 角 と して 偏 心 状 況 を求 め る と図2-10の よ うに な る。 図2-10に よ る と、 ジ ロの ヨ コ軸 方 向 へ の 偏 心 は 寸 法 に して2.25尺 、偏 心 率 は11%で あ る。 そ の 結 果 、 タナ マ エ部 分 とそ の 反 対 側(オ ノ コ ジ ロ側)の 寸 法 は 、 そ れ ぞれ8.25尺 、12.75尺 とな り、

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図2-10ジ ロ の ヨ コ 軸 方 向 の 偏 心 状 況 12.75尺8.25尺 (61%){39%) 10.5尺2.258.25尺 (50%)lI%`ま9舜 占}

1騨]虹

1 110尺3.56.5尺 (52%)2、 尺`13%}(31%) (100%) 両 者 の 空 間 配 分 は2対3と な る 。 こ の2対3の 空 間 配 分 比 は 後 に み る 平 野 部 農 家 の ヒ ロ マ に お け る ジ ロ の 位 置 と も 関 連 し て く る 。 こ の ヒ ロ マ に お け る と ジ ロ の 偏 心 状 況 も 同 様 で あ り、一種 の 法 則 性 が み ら れ る 。 以 上 の タ テ 軸 方 向 、 ヨ コ 軸 方 向 に お け る ジ ロ の 偏 心 状 況 を ま と め る と 図2-11 の よ う に な る 。 図2-11ジ ロ の 偏 心 状 況 12.75尺8.25尺 (60%)(40%) 璽8 1ジ ゜ 踵 § 圃Oo l-e 2.2サ シ カ ケ付 加 空 間 こ の事 例 に お い て も、先 例 と 同様 モ ヤ の 前 面 に サ シ カ ケ の ドマ が付 加 され て い る。 この サ シ カ ケ部 分 は お よ そ3つ の 機 能 を もっ て い る。 す なわ ち① 小 便 所 、②水 まわ り台所(K、)、 ③ゲ ンカ ン(G)の3つ で あ る 。 先 例 の サ シ カ ケ部 分 は① 便 所(W) 、② ゲ ン カ ン(G)の2機 能 でK、 は み られ な か っ た の 紙 こ の事 例 で は も と も と戸 外 に あ るべ きK、 が サ シ カケ 部 分 に機 能 内化 さ れ. -17-一

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た こ とに な る。 それ はサ シ カケ 入 口 に カ ケ イ(懸 樋)で 導 水 さ れ た シ ン ジ ャ ブ ネ(水 屋 舟 、 水 舟) が 置 か れ て い る こ とに よ って わ か る。 以 下 、 各 機 能 に つ い て み る。 ま ず① 小 便 所(W2と 記 号 化 す る。 以下 、 同 様)で あ るが 、 先 例 で は大 便 所(W、 と記 号 化 す る 。 以 下 、 同様)と 小 便 所 が1ケ 処 に ま とめ て あ り、 これ を合 せ てWと して お い た が 、 こ の事 例 で は サ シ カ ケ部 分 に はW2の み でW1が な い 。W、は別 棟 と しオ モ ヤ の 近 くに あ る は ず で あ る。当 地 で は W(W、 、W2)を セ ン ジヤ と よび 、 本 来 オ モ ヤ と別 棟 で あ っ たが 、 こ の 事 例 に み られ る よ うに モ ヤ との接 近 性 を え る た め 、 す くな く と もW2だ け で もサ シ カ ケ部 分 に 配 置 し よ う と し た もの で あ る。 そ の 場 合 このW2を シ ョ ンベ ン ジヤ(小 便 所)と よ ん で い る。 一・方 も との 別 棟 に残 っ たW、 は や は りセ ン ジヤ で あ る。い ず れ に して も、こ の ネ ブ キ ゴヤ(2)ではWの う ちW2が サ シ カ ケ 部 分 に機 能 内化 され 、 使 用 上 の 便 宜 が計 られ て い る こ とは確 か で あ る。 次 に② 水 ま わ り台所(K、)も サ シ カケ 部 分 に機 能 内化 さ れ て い る 。 これ もW、 と同 様 モヤ との 接 近 性 を え る ため の処 置 で あ るが 、後 に み る前 面 ドマ にナ ガ シ を配 置 す る当 地 の 住 居 形 式 につ な が っ て い く もの で あ る。 次 に ゲ ン カ ン(G)に つ い て は、 先 例 に お い て述 べ て い るの で 、 こ こ で は繰 返 さ な い が、 モ ヤ 出入 口 の 前 に約10畳 大 の ドマ ・スペ ー ス を とっ て い る。 もち ろん こ の ゲ ン カ ン部分 の ドマ ・スペ ー ス はK、 やW2と モ ヤ を連 続 す る空 間連 結 の 役 割 を も果 して い る こ とは 先 の ネ ブ ツ キ ゴヤ(1)の場 合 と同様 で あ る。 以 上 の よ うに 、 この ネ ブ キ ゴヤ(2>のサ シ カケ 付 加 空 間 で はK、 、W2が 機 能 内 化 さ れ 、 モ ヤ の 前 面 ドマ 部 分 に組 込 まれ て お り、先 例 のW連 結 型 よ り一 歩 進 ん だ 形 態 を示 して い る。 そ して 、 この K、やW2の 前 面 ドマ 部 分 へ の 配 置 は、 白 山 山 中 の 山村 住 居 の み な らず 広 く加 賀 平 野 に普 及 す る平 野部 農 家 の 住 居 形 式 へ とつ な が っ て い く、 い わ ば祖 型 を な して い る の で あ る。 2.3ツ ケ タ シ拡 充 空 間 モ ヤ 背 後 に ピサ シ で張 り出 した部 分 が ツ ケ タ シで あ り、機 能 は ブ ツ マ(仏 間 、Pと 記 号 化 す る。 以 下 、 同様)で あ る。 こ の ツ ケ タ シ は1.5畳 程 度 の小 面 積 の もの で あ るが 、 そ の 意 味 は け っ して小 さ い も の で は な い。真 宗 の 盛 ん な 当 地 で は ブ ツ ダ ン(仏 檀)の 設 置 か らさ らに 進 ん で は ブ ツ マ(P) の 増 設 が お こ な わ れ る 。 しか し、 ブ ツマ の 設 置 は階 層 的 ・経 済 的制 約 に よ り住 居 建 設 当 初 に お こ な わ れ た の で は な く、遂 次 時 宜 を え て 増 築 して い く とい う過 程 を た ど る。 この 事 例 に み る ブ ツ マ の ツ ケ タ シは そ の過 程 を物 語 る重 要 な例 証 と い え る もの で あ る。 他 の 事 例 で は 住 居 の 最 奥 部 に ブ ツ ダ ン を安 置 す る もの が み られ るが 、これ はPに 関 す る 第1段 階 で あ る。 ブ ツ ダ ンが 住 空 間 の 最 奥 部 に置 か れ る こ とに つ いて は 、先 に 述 べ た住 空 間 の クチ と オ クの 空 間格 位 とつ よ く関 係 して い る もの と考 え られ る。 ク チ とオ クの 空 間的 対 比 に つ い て は、先 に ふ れ た よ うに行 為 的 に は流 動 性 と静 止 性 、心理 的 に は不 安 定 性 と安 定 性 な ど が挙 げ られ るが 、 そ の 他 、 明 と暗 、不 浄 と浄 な どの 空 間 認 識(一 種 の住 意 識)も み とめ られ る とこ ろで あ る。 こ の

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よ うに して 、ま ず は プ ツ ダ ン が住 空 間 の 最 奥 部 に 設 置 さ れ 、そ の 次 の 段 階 と して は ツ ケ タ シ に よ る住 空 間 の拡 充 に よ っ て 小 さ い なが らプ ツマ をつ くる。こ れ は 一種 の 住 空 間 の 機 能 増 加 で あ る。 後 に み る こ と に な る が 、こ の事 例 の よ うに ツ ケ タ シ に よ る ブ ツ マ を設 け た場 合 、 こ れ をブ ツ ダ ン ダ シ(仏 檀 出 し)と よぴ 、 主 体 とな る モヤ に ブ ツマ が 拡 充 空 間 と して処 理 さ れ て い った過 程 が 空 間 呼 称 と して も残 さ れ て い る。こ の ブ ツ ダ ンダ シは加 賀 平 野 か ら能 登 半 島の 農 家 ま で 広 くみ と め られ る と こ ろで あ る が 、 これ は平 面 よ りも屋 根 の 掛 け 方 をみ る と判 然 とす る。ネ ブ キ ゴヤ ② の ツ ケ タ シ部 分(図2-9)は そ の先 駆 的 な姿 を示 す もの と評 価 され る 。 2.4全 住 空 間 の 構 成 以 上 、① モ ヤ 部 分 、② サ シ カ ケ部 分 、③ ツ ケ タ シ部 分 の3つ の 部 分 につ い て み て きた が 、 こ こ で は 全 体 と して こ れ ら を ま とめ て お く。先 例 と した ネ プ キ ゴヤ(1)と重 な る と こ ろ も あ る の で 、そ れ を もふ ま え て以 下 遂 条 的 に述 べ る。 (Dタ テ1列 型 の構 成 先 例 と同 じ く前 面 か らサ シ カ ケ部 分 、モ ヤ部 分 とタ テ1列 型 の構 成 を と り、 この タ テ 軸 上 に ツ ケ タ シ部 分 が つ く。 タテ1列 型構 成 につ い て は、先 例 とま っ た く同 様 で あ る。 た お 全 住 空 間 の構 成 を先 例 に な ら って 図 示 す る と、 図2-12の よ うで あ る。 ② 空 間付 加 と空 間 連 結 図2-12ネ ブキ ゴヤ(2)の全 住 空 間 構 成 Pツ ケタシけエ) モヤ 自 1後 半部 (板床) B2モ ヤ部分(オ エ) モヤ

K・DLRE欝

先 例 と同 じ く、サ シ カ ケ部 分 の モヤ 部 分 へ の 空 間 付 加 が み られ る。また 、G部 分 がK、 やW2 とモ ヤ 部 分 を空 間 的 に連 結 して い る の も 同様 で あ る。 ⑧ サ シ カ ケ 部 分 へ の 機 能 内 化 一19一

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本 来 戸 外 に属 す るK1やW2が サ シ カ ケ ・ ドマ 部 分 へ 機 能 内化 され 、 後 にみ る前 面 ドマ 型 住 居 の 萌 芽 的状 況 を示 して い る。 こ れ は先 例 にみ られ な か っ た と こ ろ で あ る。 (4)モ ヤ 主 体 空 間 ・オ エ とサ シ カ ケ付 加 空 間 ・ ドマ の結 合 モ ヤ 主 体 空 間 は上 足 スペ ー ス と して の オ エ で あ り、サ シ カ ケ付 加 空 間 は下 足 ス ペ ー ス と し て の ドマ で あ る。す な わ ち 、 ドマ が オ エ に付 加 され た形 で結 合 し て い るの も先 例 と同様 で あ る。 (5)ユ カ の分 化 こ の事 例 で は モ ヤ 内部 が前 半 部 の 土 座 と後 半 部 の 板 床 に分 化 して い る。先 例 がす べ て 土座 で あ っ た の に比 べ て 、一 段 階 発 展 した状 況 を示 して い る。サ シ カ ケ 部 分 の ドマ を も視 野 に入 れ る と、 こ こ に ドマ → 土 座 → 板 床 の 分 化 ・発 展 の 過 程 が 跡づ け られ る。 ⑥ サ シ カケ ・ ドマ の 前 面 配 置 サ シ カケ ・ドマ 部 分 が モ ヤ ・オエ 部 分 の 前 に来 る前 面 ドマ 配 置 の 住 空 間 構 成 手 法 も先 例 と 同 じで あ る。 (7)戸 内 の 空 間 的機 能 分 化 サ シ カ ケ ・ドマ 部 分 はK1、W2、G、 モ ヤ ・オ エ部 分 は前 半 部 ・土 座 部 分 がK2、D、L、 R、E、 後 半 部 ・板 床 部 分 がB(B、 、B2)と 空 間 的 に機 能 分 化 して い る。 (8)室 分 化(空 間 隔 離)へ の 胎 動 モ ヤ 前 半 部 の 土 座 部 分 と後 半 部 の板 床 部 分 の分 化 、 板 床 部 分 のB1機 能(主 寝 所)とB2機 能(ハ コ状 寝 間 で あ る副 寝 所)の 分 化 は 室 分 化(空 間隔 離)へ の 胎 動 を示 して い る。 これ は 住 生 活 の面 か らみ る と、 食 寝 分 離 や就 寝 分 離 へ の 方 向性 を示 す もの で もあ る 。 (9)住 空 間 の拡 充(拡 充 空 間 の 出現) モ ヤ 主 体 空 間 の 背 後 にブ ツ マ(P)が ツ ケ タ シ と して 拡 充 され 、 住 空 間 の 機 能 追加 が お こ な われ て い る。 (1① 空 間 の格 位 設 定 Pが 最 奥 部 に と ら え て い る こ とが象 徴 的 に示 す よ う に 、住 空 間 の格 位 は前 面 の ドマ か ら土 座 、板 床 そ して 最 奥 のPへ と高位 化 す る。 こ れ は ジ ロ の まわ りの着 座 序 列 に もみ られ た と こ ろ で あ るが 、 住 空 間 の と くに タ テ軸 線 に そ う クチ か らオ クへ の 格 位 意 識 が 顕 著 で あ る。 2.5住 空 間 の 規 模 ・容 量 先 例 と同 じ くこ こで は ネ ブ キ ゴヤ ② の 住 空 間 規模 ・容 量 に つ い て の 量 的 側 面 につ いて 検 討 す る。この ネ プ キ ゴヤ ② も隅 丸 の小 判 平 面 を も って い るの で 、先 例 と同 じ く0.5間 の メ ッ シュ 法 に よ り規 模 計 測 をお こ な う(図2-13)。 まず モ ヤ の 間 口3.5間 、 奥 行5.0問 は 先 例 と全 く同等 で あ る。 こ の 種 の ネ プ キ ゴヤ の 間 口 ・奥 行

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図2-13ネ ブ キ ゴ ヤ ② の 住 空 間 規 模 冨 ・ ツケタシ1、5畳 ツケタシL5畳 ぎ(P)(2.8%)(0.75坪)一 一 門 一(2 、8%)

寮:一一 慧

幸ト騰}… 騰

L一

3.5間 寸 法 は3.5間 ×5.0間 程 度 が 標 準 的 寸 法 で あ っ た よ うで あ る。 こ れ につ い て は 、次 節 で さ らに検 討 す る。 サ シ カ ケ は 間 口2.5間 、奥 行3.5問 で 、先 例 の 間 口3.0間 、奥 行4.0間 とほ ぼ 同 等 で あ り、 モ ヤ 前 面 に付 加 され る ドマ床 面 積 も この 程 度 が標 準 的 に要 求 され た もの とみ られ る。 なお 、 この 例 で は 先 例 に み られ な か った ツ ケ タ シが モ ヤ 背 後 に拡 充 さ れ て い るが 、それ も含 め た全 体 と して の 間 口 は3.0間 、奥 行 は9.0間 で 、 この 値 も先 例 とほ ぼ 同 等 で あ る。 した が っ て 、全 住 空 間 の 細 長 比 も先 例 と きわ め て 近 く3.00と な る 。こ の よ う な 同一 性 は モ ヤ とサ シ カ ケ に よ る ネ ブ キ ゴヤ が 一 定 の 定 型 化 ・標 準 化 に達 して い た こ とを示 す もの で あ る とお もえ る。 次 に 床 面 積 に つ い て み る と、 まず モ ヤ 部 分 の 床 面 積 は34.5畳 で 先 例 の34.0畳 とほ とん ど等 し い 。 ま た 、 こ の事 例 で は土 座 部 分 と板 床 部 分 が 明確 に分 れ て い るの で、 そ れ ぞ れ の 床 面 積 が あ き らか に な り、土 座 部 分 が19.0畳 、板 床 部 分 が15.5畳 とな る。土 座 部 分 が や や 広 い が 、両 者 は近 い 値 を示 して い る。 また 、土 座 部 分 は ジ ロ を核 と した 生 活 の 中 心 な場 で あ る こ とに つ い て は、先 に もふ れ た とお りで あ るが 、 この 中 心 的 な場 に19.0畳 の 面 積 が 与 え られ て い る こ とは 、後 に農 家 の ヒ ロマ 規 模 を考 え る場 合 に も参 考 に な る とこ ろ で あ る。た だ し、こ の 土 座 部 分 は 両 側 の 屋 根 の 傾 斜 を考 慮 して 、先 例 と同 じ よ うに 立 脚 可 動 床 面 積 を求 め る,と、12.3畳 とな る 。同 様 に板 床 部 分 に つ い て も立 脚 可 動 床 面積 を求 め る と、9.5畳 とな る。した が っ て 、こ の ネ ブ キ ゴ ヤ ② の 場 合 の モ ヤ の 床 面 積 は34.5畳 、立 脚 可 動 床 面 積 は21.8畳 と な る。な お 、オ エ の 床 面 積 は これ に ツ ケ タ シの1.5 畳 が つ け加 わ る。 次 に サ シ カ ケ部 分 、す な わ ち ドマ の 床 面 積 は17.5畳 で 、内 訳 はG部 分9.5畳 、K、部 分6.0畳 、W2 部分2.0畳 で あ る。 こ れ らの 諸 数 値 は こ の種 の 住 居 に お け る ドマ の 要 求 量 を示 す もの と して 考 え 一21一

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て お か ね ば な ら な い 。こ の サ シ カ ケ 部 分17.5畳 に 先 の モ ヤ 部 分34.5畳 、ツ ケ タ シ 部 分1.5畳 を加 え た 全 床 面 積 は53.5畳(26.75坪)と な り 、 先 例 の53.0畳(26,5坪)と ほ と ん ど 同 等 の 値 で あ る 。 先 例 と こ の 事 例 か ら 判 断 し て 、 こ の 種 の サ シ カ ケ つ き ネ ブ キ ゴ ヤ の 住 空 間 規 模 は 、 お よ そ 次 の よ う な 数 値 を と り 、 こ れ が 標 準 的 な もの で あ っ た と考 え ら れ る 。

鞭 羅)]π

諦 翻 舞〉

(立 脚 可 動 床 面 積10畳)全 床 面 積52畳(26坪) サ シ カ ケ部 分(ド マ)18畳 また 、 この 例 で は モ ヤ の 奥 部 にハ シ ゴ(梯 子)が 記 入 され て お り(図1-16)、 これ が屋 根 裏 の ア マへ 上 る ため の もの で あ る こ と は あ き らか で あ るが 、2階(ア マ)の 平 面 図 が な い の で 正 確 な 床 面 積 は わか らな い が 、先 例 で お こ な っ た と 同様 に モ ヤ の 上 部 す べ て に ア マ が あ る と して 、 そ の 床 面 積 は約18畳 、容 量 に して1,340立 方 尺 、現 代 の 押 入約9.3箇 分 で あ る。 先例 と 同様 に 、 以 上 の諸 数 値 を表2-2に 整 理 して お く。 2.6住 空 間 の 装 置 類 先 例 の とこ ろ で お こ な っ た と同様 ネ ブ キ ゴヤ ② につ い て も住 空 間 の 装 置 類 に つ い て 、以 下 に 列 挙 す る。 (1)ユ カ こ の 例 の ユ カ は 、先 例 と異 な り、板 床 が つ くられ て い る こ とで あ る。板 床 は 転 ば し根 太 の 低 床 で あ るが 、 お そ ら く従 前 は ネ ブ キ ゴ ヤ(1)と同様 全 面 土 座 で あ っ た ろ う。板 床 の発 生 を示 唆 す る もの で あ る。先 に もふ れ た よ う に、 この 事 例 で は サ シ カ ケ 部 分 の ドマ 、 モヤ 前半 部 の 土 座 、後 半 部 の 板 床 とい う3種 類 の ユ カ が そ ろ っ て い る。 こ の 住 居 で は 、 この3種 類 の ユ カ が 同 時 的 に存 在 して い る が 、土 座 → 低 床 の 発 展 は あ き らか で あ り、 そ れ が就 寝 と密 接 に関 連 して い る こ とは 見 逃 せ な い 。 また 、 ドマ は モ ヤ の 前 の ニ ワ(庭)に 屋 根 をサ シカ ケ た もの で 、 本 来 は 戸 外 空 間 に属 した もの を住 空 間 内 に組 込 ん だ もの で あ り、さ らに発 展 した段 階 にお い て は ドマ は モ ヤ の 内部 前 面 に 組 込 まれ る。農 家 の ドマ を ニ ワ とよぶ 遠 因 が こ こ に あ る。 さ らに 長 い歴 史 的 ス パ ン で み る と、 ニ ワ → ドマ → 土 座 → 低 床 → 揚 床 の 発 展 が展 望 され る 。 ② ジ ロ この 例 の ジ ロ は 、前 方 へ の偏 心 は先 例 と 同 じで あ るが 、 ヨ コ軸 方 向 で は右 方 へ 偏 心 して い

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表2-2ネ ブ キ ゴ ヤ ② の 住 空 間 規 模 ・容 量

空 間 部 分

空間機能

桟げ

縮 質

細長比

サ シカケ 毒まわ胎 雰K・6・

…2

(ド マ)便 所 部 分W、2.03.72・53・51・40 アマ(モ ヤ上部をすべてアマ として)・8・ ・33・6醗 鑑 蕨9鵜 窪欝 量 注)1.()内 は立 脚不 能範 囲の 床面積 を示す(内 数)。 2.細 長 比 は 「奥行 ÷間 口」 を示す 。 る とこ ろ が 異 る。 ジ ロの 機 能 につ い て は 先 例 と全 く同様 で あ る。 な お 、 ジ ロ の偏 心 状 況 に つ い て は、 図2-11に 示 した よ う に、 タ テ軸 方 向 に は3対7、 ヨ コ軸 方 向 に は4対6の 比率 と な る。 (3)ピ ア マ 先 例 に 同 じ。 (4>ケ ム ダ シ ケ ム ダ シ につ い て も先 例 と同 様 で あ る が 、この 事 例 で は 図1ヨ6を み る とわ か る よ うに、 モ ヤ 背後 に も棟 下 に小 開 口部 が あ る よ うで あ る。 しか し、 こ れ は ケ ム ダ シで は な くア マ へ の 採 光 マ ドで あ ろ う。 一一23一

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(5)シ ヨ ウ ジ 図2-9を み る と、 先 例 と全 く同 じ位 置 に 「明 り障 子 」の 記 入 が あ り、 同様 の 採 光 をお こ な っ て い る こ とが わか る。 (6)マ ド ・テ ンマ ド 同 じ く図2-9に は 「マ ド」 の記 入 が あ り、 そ の位 置 か らみ て タナ マ エ あ た りへ の 採光 で あ る こ とが わ か る。 また 、 図1-16を み る と屋 根 面 に2ケ 所 の マ ドが切 られ 、 テ ンマ ド(天 窓)が 設 け られ て い る。 これ は天 候 に よ っ て 開 閉 の で き る形 式 の テ ンマ ドで あ ろ う。 上 方 か らの 採 光 装 置 で あ る。閉 鎮 的 な ネ ブ キ構 造 に い か に採 光 を え るか の工 夫 が しの ば れ る とこ ろ で あ る。 (7)オ オ ド こ の事 例 の 出 入 口 に も先 例 と 同 じよ うに オ オ ドが つ い て い る。や は り右 へ 引 く片 引 きの板 戸 で 、 フ ロ ダ ナ の 後 に 引 き込 まれ る 。 サ イ ズ も先 例 と 同様 とお も え る。 ⑧ シ ヨ ンベ ン ジヤ 当 地 で は便 所 の こ と を、 セ ッチ ン、 セ ン ジ ヤ 、 セ ンチ ヤ 、 セ ン チ な ど とよ ぶ 。 い ず れ もセ ッチ ン(雪 隠)に 由 来 す る呼 称 で あ るが 、 この セ ッチ ン は 当地 で は 本 来 大 便 所 と小 便 所 を合 せ た便 所 を意 味 し、モ ヤ と別 棟 に な って い た 。そ の う ちセ ッチ ンの 小 便 所 が モ ヤ の 方 へ 移 動 し、 こ れ を シ ョ ンベ ン ジヤ(小 便 所)と 呼 称 した 。 本 来 の セ ッチ ン に は 大 便 所 の み が 残 る こ とに な る。 こ の 住 居 例 は、 サ シ カ ケ部 分 の 先 端 に シ ョンベ ン ジヤ が 設 け られ 、セ ッチ ン が 別 棟 に な って い る例 で あ る 。 シ ョ ンベ ン ジヤ の 例 は 後 に も多 くみ られ る と こ ろ で あ る。 ⑩ フ ロ ダナ 先 例 に 同 じ。 (11)ミ ン ジヤ ブ ネ この 事 例 で は、 サ シ カケ の 出 入 口部 分 に カケ イ で導 水 し ミン ジヤ ブ ネ(水 屋 舟)に 水 を溜 め て い る。 水 ま わ り台 所(K1)を サ シ カ ケ の ドマ 部 分 に もっ て きた例 で あ り、 導 水 の で きな い場 合 は 共 同 の ミン ジヤ(水 屋)な ど を利 用 した 。 ⑫ ア マ 図2-9の 平 面 図 を み る と、モ ヤ の 奥 部 に コ シ ゴ階 段 が 画 か れ て い る。こ れ は ア マ へ 上 る た め の もの で あ る こ とは あ き らか で あ り、広 さは わ か らな い が 、ア マ の 存 在 は確 実 で あ る。 (13)ハ コブ ツ ダ ン モ ヤ 背 後 に ツ ケ タ シ と さ れ た ブ ツマ に は ハ コブ ツ ダ ン(箱 仏檀)が 安 置 され る 。

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3.ネ プ キ ゴ ヤ の 規 模 分 布 前2節 に お い て 、 ネ ブ キ ゴ ヤ の 住 空 間 構 成 や そ の 規 模 ・容 量 、 装 置 類 等 に つ い て み て き た が 、 そ の 際 事 例 と し た ネ ブ キ ゴ ヤ(1)、 ② は 規 模 的 に は ほ と ん ど 同 じ大 き さ の も の で あ っ た 。 お そ ら く こ の 程 度 の 規 模 の も の が ネ ブ キ ゴヤ の 標 準 的 規 模 と 考 え ら れ る が 、こ こ で は こ の 初 源 的 な 住 空 間 が ど の 程 度 の 規 模 分 布 を も ち 、 ま た そ の 住 空 間 規 模 が ど の よ う な 要 素 に よ っ て 決 定 さ れ て い る の か な ど に つ い て 検 討 し た い 。 資 料 は 表2-3に 示 し て い る よ う に 、 五 箇 山 山 中 の ネ ブ キ ゴ ヤ の 記 録 文 書 に よ る が 、 こ こ に み え る ネ ブ キ ゴ ヤ は 今 日 「合 掌 造 り」 と し て 有 名 な 住 居 建 築(柱 建 て1階 部 分 の 上 に 大 き な サ ス 構 造 体 を の せ た も の)の 先 行 的 形 態 を も つ 山 村 住 居 で あ り、 や は り 断 面 が3角 形 の 屋 根 だ け の 構 造 表2-3ネ ブ キ ゴ ヤ の 規 模(張 間X行 間) 平 均3.23.35.15.217.557.81.58 資 料)「 家 屋 取 調 綴 帳 」(明 治22年 ・1889、上 平 村 役 場 蔵)、 小 坂 谷 福 治 『奥 五 ケ 山 の 村 』(昭 和54年 、 自家 出 版 、P.127)に よ る 。 注)1.床 面 積(坪)は1部 、 筆 者 が 修 正 し て い る。 2.Nα及 び 間 、 ㎡ 換 算 は 筆 者 に よ る。 3.平 均 及 び 細 長 比(行 間 ÷ 張 間)は 筆 者 算 出 。 4.床 面 積 のm2換 算 は 、現 行 の1坪=3.3m・ に よ っ て い る が 、 よ り正 確 に は サ ス 間 寸 法 等 よ り補 正 す る 必 要 が あ ろ う。 -25一

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