△A
リ ミテ ィ ブ な 形 態 が ズ キマ ル ゴヤ に み られ た放 射 状 サ ス 構 造体(S、)で あ った 。 こ の よ うなサ ス 構 造 体 の特 色 は、 垂 直 な柱 の な い 自立 的 な構 造体 で あ る とい う こ とで あ っ た 。
‑51一
S2は サ ス に梁 を渡 しア マ を設 け た もの で あ る。 この 場 合 も アマ は 柱 に よ っ て 支 え られ るの で は な く、サ ス に よっ て支 え られ る。 ま た 、 この 場 合 の 梁 は サ ス を 固 め る役 割 を も担 い 、当 地 で は クツ ワ ギ と よば れ る。S3は アマ の荷 重 が 増 大 す る につ れ て 、これ を受 け る た め に柱 を建 て た もの で あ る。 しか し、 この 場 合 で も屋 根 荷 重 は サ ス が 受 け も って お り、 い わ ば サ ス 構 造 体 の 中 に別 の 柱 梁 構 造体 が つ くられ て い る とい う こ とに な る。
② タル キ構 造
以 上 の サ ス構 造 とは 別 に タ ル キ構 造 の 系 列 を考 え る。タ ル キ構 造 はT1に 示 す よ うに 、セ ンダ チ と よば れ る棟 持 柱 の 上 に ム ナ ギ を乗 せ 、 これ に タ ル キ を平 行 に 建 て か け る とい う架 構 方 式 で あ る。サ ス と タル キ は屋 根 面 を構 成 す る斜 材 と い う観 点 か らは 類 似 して い る が 、構 法 的 に は 相 違 し て い る。 第1章 、 図1‑11「 サ ス構 造 とタ ル キ構 造 」に お い て 両 者 を区 別 し、 サ ス 構 造 を在 地 系 、
タル キ構 造 を渡 来 系 と して位 置 づ け た の で あ っ た 。T2で は 棟 持 柱 だ けで な くコマ タ と よば れ る 短 柱 を建 て 、 その 上 に タテ ケ タ が乗 る。 こ の タテ ケ タ は タ ル キ と ヨ コケ タ(梁)を 受 け る。
こ の構 法 は タル キ を タテ ケ タや ム ナ ギ に建 て か け る手 法 で あ り、結 局 は 柱 梁 構 造 で あ る。こ れ はサ ス構 造 とは基 本 的 に異 る構 法 とい わ ざ る を え な い 。つ ま り本 論 の 対 象 地 域 に お い て は 、サ ス 構 造 が 主 流 を 占め るが 、 いつ の 時 代 か らか タル キ構 造(柱 梁 構 造)も 移 入 さ れ 、 並 存 して きた と
い え るで あ ろ う。
(3)ナ バ イ構 造
本 節 に お い て対 象 と した ナ バ イ構 造 は 、1階 部 分 は 柱 梁 構 造 に な り、 ナ バ イ(控 え柱)が こ れ を補 強 し、 そ の 上 にサ ス組 が 乗 る とい う手 法 で あ る。外 観 上 は ネ ブ キで あ る が 、架 構 方 式 か らは サ ス 構 造 と柱 梁 構 造 の複 合 で あ る。い わ ば サ ス 構 造 か ら柱 梁 構 造 へ の 移 行 過 程 に現 れ た特 殊 な構 造 で あ る とい え る。
図2‑30に 示 し たサ ス 構 造 と タ ル キ構 造 の2系 列 が こ の複 合 形 式 に 移 行 す る に は か な りの 飛 躍 を必 要 とす る が 、 そ れ を促 進 した 要 因 と して は 、 まず 第1にS3やT2に み られ るア マ荷 重 を支 持 す る柱 ・桁 ・梁 の 内部 構 造 の確 立 が 前 提 され る。 す なわ ち、 ア マ 荷 重 を受 け る柱 ・桁 ・梁 が 充 分 に発 達 した段 階 で 、 これ が ア マ荷 重 の み な らず屋 根 荷 重 を受 け る こ とに な る。第2に 前 項 で 述 べ た垂 直 面 開 口部 の 要 請 が挙 げ られ る。以 上 の 構 造 的発 達 を基 盤 と して 室 内環 境 的 要 求 が ネ ブ キ を柱 建 て へ と進 展 させ る大 き な要 因 と な っ た 。
結
本 章 で は 、 ま ず ネ ブ キ ゴヤ(1)、② を事 例 と して初 源 的 な住 空 間 の 容 相 を考 察 した 。 ネ ブ キ ゴヤ (1)は、土 座 の 単 室 住 居 で 現 存 す る住 居 の 中 で は も っ と もプ リミテ ィブ な 形 態 を と どめ る もの で あ るが 、 ジ ロの偏 心 状 況 か ら内部 は 前 半 部 が 火 まわ り台所(K2)、 食 事(D) 、 団 らん ・休 息(L)、 接 客(R)、 作 業(E)の 機 能 を もち 、後 半 部 が 就 寝(B)機 能 を もっ て 空 間 の 機 能 分 化 が お こ な わ れ て い る こ とが わ か っ た。 ま た 、 モヤ 前 面 の サ シ カ ケ は ゲ ン カ ン(G) 、便所(W)を 備 え る ドマ でモヤ を主 体 空 間 とす る と、 この サ シ カ ケ は 付 加 空 間 と い え る もの で あ っ た 。 そ して 、水 まわ り台所 (K、)は まだ 戸外 に あ り空 間 内化 され て い な い。
次 の ネ ブ キ ゴヤ② は 、以 上 の 住 空 間 を一 歩 進 展 させ た容 相 を呈 して お り、モヤ 内部Bが 板床 に な りユ カの 発 生 過 程 が 跡 づ け られ た。 また 、背 後 に ツ ケ タ シ と して 小 さ な ブ ツマ が付 加 さ れ 、増 築 過 程 の 初 期 的 状 況 を示 して い た 。い まひ とつ 板 床 部 分 の 一 角 にハ コ状 寝 所 が つ く られ て お り、
Bの 空 間 隔 離 へ の き ざ しも認 め られ た 。モ ヤ 前 面 のサ シ カケ 部 分 が ドマ で あ る こ とは 先 例 と同 じ で あ る が 、K、 が 組 込 まれ て お り後 に み る前 面 ドマ 型住 居 の 原 型 が ほ ぼ 整 って い た 。
以 上 の よ う に、 ネ ブ キ ゴヤ(1)、② は タ テ1列 型(サ シカ ケ ・ドマ+モ ヤ ・オ エ) 、妻 入 りの 当地 に お け る タ テ屋 造 りの発 生 的 状 況 が 明 瞭 に み て とれ た。次 に、五 箇 山の ネ ブ キ ゴヤ を事 例 と して 、 この 種 の 住 居 の 規 模 分 布 をみ た が 、平 均 的 に は 張 間3間2尺 、 行 間5.0間(モ ヤ 床 面 積 約16.5坪) で 、 白 山 の ネ ブ キ ゴヤq)、 ② も この 規 模 で あ り標 準 的 な もの で あ る こ とが わ か っ た 。 しか し、小 さ い ネ ブ キ ゴヤ で は張 間2.5間 、行 間3.0間(モ ヤ 床 面積 約7,5坪)、 大 き い もの で は 張 間4 .0間、行 間8.0間(モ ヤ 床 面積 約32.0坪)も あ り、 こ れ は 山村 社 会 の 階 層 分 化 に よ る もの とお もえ るが 、規 模 拡 大 に 当 っ て は 張 間 、行 間 を同 時 に拡 大 す る① 張 間 ・行 間 拡 大 型 の他 に、 行 間 よ り張 間 を拡 大 す る② 張 間 拡 大 型 が あ り、 これ は建 物 高 さ の 増 大 、す な わ ち屋 根 裏 の ア マ 空 間 の 増 大 を 目指 す も の と考 え られ る。 い ま ひ とつ に は、 張 間 よ り行 間 を拡 大 す る③ 行 間拡 大 型 が あ るが 、これの極端
な例 は後 にみ る 白山 の 柱 建 て住 居 が 好 例 と な ろ う。
最 後 に事 例 と した ナ バ イ ゴ ヤ は 、 まず 架 構 方 式 か ら、ネ ブ キ が 柱 建 て へ 移 行 す る過 渡 的状 況 を よ く示 す もの で あ っ た 。 ナ バ イ(控 え柱)は 旧来 の サ ス構 造 を継 承 す る もの で あ る が 、軸組 は柱 梁 構 造 に な って お り、小 屋 組 は完 全 な サ ス構 造 とい う複 合 的 な形 態 を示 す もの で あ っ た 。 した が って 、こ の ナ バ イ ゴヤ はネ ブ キ ゴヤ と比 べ る と架 構 方 式 の面 で も一 歩 進 展 して い る とい わ ざ る を えな い。 一 方 、 住 空 間 の 面 で は 前面 ドマ ・オ ミヤ ・ザ シ キ ・ブ ツマ の 一 列 多段 構 成 が 明確 に な り、
こ こに 前 面 ドマ 型 タ テ屋 造 り妻 入 りの 住 居 形 態 が確 立 され て い る こ とが み て とれ た 。
な お 、以上 の 諸 事 例 を通 じて 出 入 口 に近 い ク チ とそ の 反 対 の オ ク の 間 に タ テ軸 方 向 の 空 間格 位 が 意 識 され て お り、 クチ の方 を下 位 、 オ ク を上 位 とす る こ とは ジ ロ の座 位 に よ く示 され て い る と こ ろ で あ っ た。 これ は、 モ ヤ の 内部 の こ とで あ るが 、サ シカケ ・ドマ部分 をも含 めて考 える と、
ドマ か ら最 奥 の ブ ツ÷ に 向 って 、下 位 か ら上 位 の 空 間 格 位 が 設 定 さ れ て い る とい え る。 これ に伴
一53一