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学 位 論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨 氏 名 菊 池 真 司

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Academic year: 2021

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((別紙様式第7号)

学 位 論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨

氏 名 菊 池 真 司

審 査 委 員

主 査 辻本 壽 ◯ 副 査 富田 因則 ◯ 副 査 執行 正義 ◯ 副 査 中田 昇 ◯ 副 査 細木 高志 ◯

題 目

GENETIC STUDIES ON REPRODUCTIVE BARRIERS AND CHROMOSOME DYNAMICS IN TORENIA INTERSPECIFIC HYBRIDIZATION

(トレニア種間交雑における受精障壁と染色体動態の遺伝学的研究)

審査結果の要旨(2,000字以内)

本論文は、花卉園芸植物であり、かつ受精のモデル植物でもあるトレニア(ナツスミレ)と他 のゴマノハグサ科植物を用い、種属間交雑時に見られる受精障壁について遺伝的に解析し、さら にこの研究で育成した種間雑種において見られる異種由来ゲノムの挙動を細胞遺伝学的に調査し たものである。

この論文ではまず、トレニア染色体の詳細な研究のため、異種間染色体を識別する DNA マーカ ーのクローニングを試みた。その結果、トレニアの2種(Torenia fournieriおよびT. baillonii) から種特異的反復配列が得られ、蛍光in situ hybridization (FISH)の結果、これらは各々の種 の動原体に局在することがわかった。さらに、DNA 配列から、これらは共に縦列型反復配列であ り、同一起源から進化したことが分かった。一方で、両種の雑種を育成し、この雑種において各々 の染色体を識別し、これが期待される染色体数を有することを証明した。なお、この研究の過程 で、細胞を押しつぶさずに観察する方法(ホールマウント FISH 法)を開発し、デコンボリューシ ョン顕微鏡により動原体の立体的な配置を観察した。

上記研究と同時に、トレニアに様々なゴマノハグサ科植物(キンギョソウ、ミムラス等)を交 配して、花粉管伸長、卵細胞への誘導、胚発生を調査した。その結果、花粉管伸長においては、

シロイヌナズナの自殖の時に働くと考えられる5つのステージ(つまり遺伝子)が、トレニアの 種属間交雑においても見られ、それぞれのステージにおける両親種の遺伝子産物のミスマッチに より、正常な受精が起こらないことを見出した。この研究ではまた、上の研究で用いた T.

fournieriとT. bailloniiの雑種を得、さらに花粉管ガイダンスの進化についても議論した。

(2)

次に、T. fournieriとT. bailonii雑種における両親種染色体の挙動について調査した。その ため、まずこれらの種のゲノムサイズを調査した。その結果、両種とも、シロイヌナズナに匹敵 する小型ゲノムをもつことが分かった。上の研究で得た種特異的反復配列、リボソーム RNA 遺伝 子等を用いて、詳細な核型決定を行なったところ、両種は異なるゲノム基本数(T. fournieriは n=9、T. baillonii は n=8)をもち、雑種は期待通り、n=17 であることが分かった。ゲノム基本 数が異なるにもかかわらず、減数分裂での染色体は高い頻度で対合し、多くの細胞が 8 個の二価 染色体と1個の一価染色体を示した。減数分裂染色体への FISH の結果、異種染色体が対合し一価

染色体はT. fournieriの過剰染色体であることが分かった。

さらに、この論文では、雑種の細胞の核において異種動原体が異なる位置を占めていることを 報告している。受精卵や様々な組織の細胞を調査した結果、この異種動原体の核内配置の分離は 分裂細胞のみに見られる現象であることを明らかにした。また、分裂を停止している細胞は動原 体が融合し、同種染色体が異種染色体より高率で融合することを見出した。さらに、減数分裂の レプトテン期で、全動原体が一時的にきわめて強く集合していることも見出し、これが相同染色 体識別に関係した現象であることを議論している。

本論文は、植物育種の大きな課題である種属間交雑の研究から始まり、雑種における異種染色 体の挙動の研究に発展している。種属間雑種では、雑種崩壊と呼ばれる様々な異常現象が出現す るが、ここで見出された、異種ゲノムの核内での不親和がひとつの原因となっている可能性があ る。

以上のように、本論文での研究は、オリジナリティーの高いものであり、安定した種属間雑種 育成のために貴重な基礎的知見を与えるものとして、学位論文として十分な価値を有するものと 判定した。

参照

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