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学位論文内容の要旨

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Academic year: 2021

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博 士 ( 医 学 ) 青 山 英 史

     学  'ttL 論 文 題 名

Magnetic resonance imaging system for three‑dimensional    conformal radiotherapy and its impact on gross tumor     volume delineation of central nervous system tumors

(3 次元原体放射線治療用磁気共鳴画像システムと そ の中枢神経系腫瘍標的体積輪郭抽出への寄与)

学位論文内容の要旨

「目的」三次元放射線治療は、線量を3次元的な病巣領域に集中させることで正常組織ー の照射を抑え腫瘍制御率を高めることを目的としている。その為、病巣進展範囲を決定す る正確さが低いと辺縁からの腫瘍再発率を高める危険性をはらんでおり、非常に正確な標 的体 積の 把握が前提となる。従来の治療計画にはComputed tomography(CT)画像が用い られてきたが、その中枢神経系腫瘍の描出能には限界があり、より描出能の高いMagnetic resonance imaging (MRI)の導入が待たれてきた。しかしMR画像特有の歪みやMR画像単独 では放射線線量が計算できないという未 解決の問題があった。我々はこれらのMR画像利 用上の問題点を克服し、MRIを標的体積決定に用いることができるシステムを開発した。

本研究では同システムが、中枢神経系腫瘍標的体積の輪郭抽出を可能とし、その精度向上 ヘ寄与する事を明らかにする。

「対 象と 方法 」MR画像 は013テス ラ永 久磁 石型MRイ メ ージ ング装置(AIRIS2,Hitachi Medico,Chiba, Japan)にて撮像した。歪み補正はk‐空間情報を適正化することで行った。こ れは一定間隔の格子状構造からなるファントムを撮像し、このk‐空間情報の基本周波数を 一定化するフアルター処理をした後に逆フーリエ変換することで歪みの少ない画像を作成 し、補正前後の画像から画素数のずれをもとにして、患者の画像の歪み補正をするもので ある 。MR画像におけるX線吸収 密度情報の欠落は治療計画用に撮像されたCT画像と三次 元重ね合わせで座標を一致させることで克服した。歪みの評価は、補正用ファントムで得 られ た歪 み補 正前 後の 画 像を 、格 子状 のグ リッ 卜を 表示 可能 な画像用ソフト(Adobe"

Photoshop 5.0,U.S.A.)に表示し、ファントム画像とグリットの交点で画素数のずれを測 定することで行った。歪みに与える因子の検討はfield of view (FOV)サイズ(200mm,250mm, 300mm。350mm)と撮 像条 件(Tl強調 像:TR 400秒 ,TEll秒 、T2強調像:TR 4200秒、TE 120秒 )に 関し て評 価し た。MRI情 報が標的体積輪郭抽出に及ばす影響の検討は、41名 の実 際に 治療 され た患 者 の画 像上(CT単独 、MRIとCT両情 報) 上でそれぞれ4名の放射 線治療医が肉眼的腫瘍体積(Gross tumor volume,GTV)を輪郭抽出し (それぞれCT‑GTV,

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MRJCT‑GTV)、 そ の 情 報 を 基 に 観 察 者 間 で の 体 積 変 動 、CT―MRl間 で の 体 積 変 動 の2項 目に 関 し て 評 価 し た 。 対 象 患 者 は 部 位 毎 に 選 別 し 、 小 脳 脳 幹 部8名 、 小 脳 橋 角 部8名 、 ト ルコ 鞍8名 、 頭 蓋 底8名 、 大 脳9名 が 含 ま れ る 。 こ れ ら の 組 織 型 別 内訳 は以 下の 通り で ある (転 移 性 脳 腫 瘍8名 、 聴 神 経 鞘 腫8名 、 星 細 胞 腫8名 、 下 垂 体 腺 腫4名 、 頭 蓋 咽 頭 腫4名 、 転 移 性 骨 腫 瘍2名 、 頭 蓋 咽 頭 腫3名 、 髄 膜 腫1名 、 上 咽 頭 癌2名 ) 。 観 察 者 間 体 積 変 動 の 評価 に は 患 者 毎 に 算出 した4名 の医 師間 での 変 動係 数( 標準 偏差 / 平均 値) をも ちい た 。CT‑GTV とMR/CT‑GTV問 の 観 察 者 間 体 積 変 動 差 の 検 定 に はt検 定 を 用 い 、 有 意 水 準 は0.05と し た。

ま た 影 響 を 与 え る 因 子 と し て 、 部 位、 組 織型 (転 移性 脳腫 瘍 、星 細胞 腫) でも 同 様の 比較 を 行 な っ た 。CT‑GTV、MR/CT‑GTV問 の 体 積 変 動 評 価 に はCTーGTVをX軸 、MR/CT‑GTV をY軸 と し た 直 線 回 帰 を 行 い 、 そ の 回 帰 係 数 を 用 い て 解 析 し た。 また 前述 の因 子 毎で も同 様の手法 で評価した。

「 結 果 」 歪 み 補 正 前 の 画 像 で は 中 心か ら 半径12.5cm, では 平 均で0.8mm、12.6cm‑17.5cmで は4.9mmで あ り 有 意 に 後 者 が 大 き い 傾 向が 認め られ た (pく0.0001)。 中心 から 半 径17.5cm の 範 囲 で の 歪 み 補 正 前 後 の 比 較 で は 、 補 正 前 は 平 均 でl.lmm、 補 正 後0.3mmで あ り 有 意に 歪 み が 減 少 し た (pく0.0001) 。GTV体 積 の観 察者 間変 動は 全 体で みる とCT‑GTVが23.3%、

CT/MR‑GTVが16.4% で あ り 有 意 にMR画 像 を 導 入 す る こ と で 減 少 し た (p―0.005)。MRIに より観察 者間の変動が少なくなる因子として、小脳脳幹部(p二〓ニ0.008)、小脳橋角部(p=0.038) の 病 変 で あ る こ と 、 組 織 型 別 で は 星 細 胞 腫(p=0.043)で あ る こ と 、 が わ か っ た 。CT‑GTV とM R/CT‑GTVの 体 積 の 相 関 性 を 見 る と 、 全 体 で は 回 帰 係 数=1.005で あ る が 、 小 脳 脳 幹部

( 回 帰 係 数0.894)、 ト ル コ 鞍 ( 同1.116)で10%以 上の 体積 変 動を 認め た。 すな わ ち後 頭蓋 窩 病 変 で はMR/CT‑GTVはCT‑GTVよ り も 小 さ い 傾 向 、 ト ル コ 鞍 病 変 で は 逆 の 傾 向 が 見 ら れた。

「 考 察 」MR画 像 の 辺 縁 部 で の 歪 み は 今 回 の シ ス テ ム の 補 正 で 減 少 し た 。 半 径17cmの 範囲 内 で はImm以 下 と な り 、 頭 蓋 内 腫 瘍 の 高 精 度 放 射 線 治 療 計 画 に用 いる こと が可 能 であ るこ と が 示 さ れ た 。 中 枢 神 経 系 腫 瘍 の 同定 に は、 頭蓋 底や 後頭 蓋 窩な どの 骨の アー チ ファ クト が 強 い 部 位 や 、 浸 潤 性 の 強 い 星 細 胞腫 な どで の有 用性 が示 唆 され てき たが 、測 定 者間 の違 い を 含 め て 定 量 的 評 価 し た 報 告 は なく 、 部位 ・組 織別 の系 統 的な 評価 がな かっ た 。本 研究 は 、 観 察 者 間 変 動 がMRIの 導 入 で 有 意 に 減 少 す る こ と を ま ず 明ら かに した 。そ の 上で 、小 脳 橋 角 部 や 小 脳 脳 幹 部 な ど の 後 頭 蓋 窩 病 変 や 星 細 胞 腫 で は 、MRI情報 は治 療精 度 を高 める た め に は 不 可 欠 で あ る こ と が 示 さ れ た 。 一 方 で 、 ト ル コ 鞍 病 変 に お い てMR/CT‑GTVが CT‑GTVよ り も 大 き く 輪 郭 抽 出 さ れ て い る 傾 向 が 示 さ れ た 。 こ れ はMR画 像 に お け る 骨 情報 の 少 な さ に 起 因 す る も の と 考 え ら れ、CTによ る骨 情報 も合 わ せて 用い るこ との 大 切さ も示 唆された 。

「 結 論 」3次 元 原 体 放 射 線 治 療 計 画 に お い て 、 歪 み 補 正 を 行 っ たMRI情 報 をCT画 像 情 報 に 加 え る こ と は 、 中 枢 神 経 系 腫 瘍 の照 射 標的 体積 決定 にお け る観 察者 間の 差を 減 少さ せ、

治療精度 向上に貢献することが明ら かにされた。

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学 位 論 文 審 査 の要 旨

     学  fi 論文題名

Magnetic resonance imaging system for three‑dimensional    conformal radiotherapy and its impact on gross tumor     volume delineation of central nervous system tumors

( 3 次 元 原 体 放 射 線 治 療 用磁 気共 鳴画 像シ ステ ムと そ の 中 枢 神 経 系 腫 瘍 標的 体 積 輪 郭 抽 出 へ の 寄 与 )

   本研究の目的は、歪み補正を加えうるMR 画像の 3 次元原体放射線治療へ導入の適 正を評価すること、中枢神経系腫瘍標的体積輪郭抽出への寄与に関して定量的に評価 することである。

  MR 画像はO .3 テスラ永久磁石型MR イメージング装置にて撮像され、歪みはk 一空 間情報を適正化することで補正された。歪みの評価は、格子状ファントムで得られた 歪み補正前後の画像を、画像ソフト上のグリットの交点での画素数のずれを測定する ことで行った。歪みに与える因子として撮像範囲、撮像条件、画像中心からの距離を 歪み補正前の画像で評価し、歪み補正前後の比較は平均歪み量を統計的に比較した。

MRI 情報が標的体積輪郭抽出に及ぼす影響の検討は、41 病巣の肉眼的腫瘍体 GT り を4 名 の 放 射 線 治 療 医 が CT 単 独、 MRI と CT 両 情 報 を 用 い た 場合 (MRICT) でそ れ ぞれを 独立 に輪 郭抽 出し、その情報を基に観察者間でのばらっき、CT とMR/CT の GTV の比較に関して評価した。観察者間でのばらっきの評価には患者毎に算出した4 名の 医 師 間 で 変 動 係 数 く 標 準 偏 差坪 均値 X100) を算 出し CT 単 独時 、MRI とCT 両 情報を用いた場合をt 検定にて比較した。影響を与える因子として、部位、細織型(転 移陸脳 腫瘍 、星 細胞 腫) での 検討 も行 った 。 CT とMR/CT のGTV の比較は、CT での GTV を X 軸 、 MR/CT で の GTV を Y 軸と し た 直 線 回 帰 を 行 い 、 そ の 回帰 係数 を用 い て解析した。

   歪みに与える因子として撮像範囲、撮像条件が与える影響は小さく、おもに画像中 心からの距離の影響が大きいことが証明された。また歪み補正前は平均歪み量l.lmm であったが、補正後の歪みは有意に減少し、平均で 0.3mm となり、3 次元原体照射治

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信 男

喜 和

崎 坂

岩 宮

授 授

教 教

査 査

主 副

(4)

療計画に用いることは適正であると判断された。観察者間でのぱらっきはCT 単独で は変動係数23 %、 MR/CT では16 %であり有意に、後者でぱらっきが小さく、治療精 度に貢献することが定量的に示された。因子解析の結果、小脳脳幹部、聴神経鞘腫、

星細 胞腫で、 貢献度が 高いことが 示された 。CT とMRJCT のGTV の比較でf ま変動係 数は 1.005 であり違 いは非常 に小さいこ とが証明 された。しかし小脳脳幹部では MR/CT で の GTV がCT 単独 時に比較し て10 %を超 える範囲 で小さい 傾向、ト ルコ鞍 病変では逆の傾向が示唆された。後者については、複数の観察者が周囲の正常骨を GTV に 含 め た 結 果 と 推 測 さ れ 、 ( 汀 で の 骨 晴 報 の 重 要 陸 も 示 唆 さ れ た 。    口頭 発表に際 し、玉木 教授よりMR 画像の歪みの原因、歪み補正法、CT 画像とMR 画像の重ね合わせ法、処理時間ついて、宮坂教授から照射標的体積のぱらっき、頭尾 方向の歪み、自動的に標的体積を設定する方法の開発の可能性について、細川教授か らMR 単独での標的体積について、岩崎教授から機器の違いによる歪みへの影響、星 細胞腫での照射標的体瞶の設定に関する質問がなされた。申請者は現システムの限界 点と今後の可能性を中心に概ね妥当な回答を行った。

   これまでもMR 画像の放射線治療計画への導入に関する研究はなされてきたが、こ れらは定位放射線照射におけるものであり、本研究により定位照射の対象とならない よ う な疾患 でもMR 画像を 用いた治 療計画を 可能とし た。また 過去の研 究はCT と MR のGTV の大小を単純に比較するものであったが、本研究は観察者間でのばらっき がMR 画像導入により有意に減少することをはじめて明らかにした点で本研究は評価 され、学位論文に値するものと判断した。

   審査員一同は、これらの成果を高く評価し、大学院課程における研鑚や取得単位な

ども併せ申請者が博士(医学)の学位を受けるのに十分な資格を有するものと判定し

た。

参照

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