砲丸投におけるリバース動作がパフォーマンスに及ぼす影響
教科・領域教育専攻 生活・健康系(保健体育)
白川恭久
1 .緒言
砲丸投げや、投てき種目においてファール をしないために、前後に開脚している足の位 置を入れ替える「リノミース動作jとし1う動作が ある。例え遠くに投てきを行えたとしても、
ファールをすると失格となり言改表にならない。
投てき全種目においてファールをしないこと は、最も重要なことの一つである。
これまでの指導においては投出局面までが 重要視され、リノミース動作はファールをしな いための制動動作として考えられてきた。陸 上競
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支指導教本(1998)は、リノ〈ース動作は「投 j鄭の成功を決定付けるファール防止の静止動 作である。突き出し後、タイミングよくファ ールしないようにリバース動作することがポ イントである。 Jと記されている。しかし、指 導教本中に砲丸投の練習項目においてリノミー ス動作に関する項目が記載されていなし10 新 堀ら(2006)は、「リノミース動作を考慮した投て きの特徴として①搬す角度が小さくなる。② 利得距離(右投げの場合リリース時の左つま 先から右手先までの水平線上の距離)が増大 する。③上下方向への身体速度のピークがリリース寄りになる。 Jまた、「リバース動作有 無においてリパース動作有りでは、体感のね じり戻しがスムーズに行われ、砲丸に漸増的
指 導 教 員 松 井 敦 典
に力を与えられるようになり、突き出し動作 を助長する働きがある。 Jことを示唆している。
これまで、グライド動作や投出動作の初速 などに関する砲丸投の研究は数多くされてい るが、リバース動作に着目した研究は数少な しL リバース動作の有無による投出局面時の 投射速度や右肘角などを比較検討し、競技に おけるリバース動作の有効性について考えるo
H方 法 (1)実験対象
被験者:鳴門教育大学陸上競技部所属の 9名(男6名・女3名)
右利き右投げの選手
ω
試技方法リパース動作無し、リバース動作有り、フ ァールの3試技を、スタンディング投法によ
り、 2投ずつ行ったO
ω
撮影方法ノ¥イスピードデジタルピテ、オカメラを、サ ークルから投てき方向に向かつて右側の前方 ム後方に三脚を用いて設置し、投てき全体 が画面に収まるように撮影した。
(4)分析方法
撮 影 を し た 映 像 を 、 Frame DIAS N ver.1.23(DHK社鵠に取り込んだ。砲丸の中 心と各身体部分の21ポイントと砲丸の 1点
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の計22ポイントをデジタイズし、3次元DLT 法により砲丸投動作中における各身体部分と 砲丸中心の3次元座標を算出した。
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θ 分析項目
記録、投出局面における(以下同じ)リリース ポイント、棚橋、投射速度、投射角度、上 肢の捻転角度、体幹の傾き角度、右肘角度、
右膝角度、肩角度、腰角度、重心変位、重心 速度、重心高、準備局面から投出局面の聞に おける(以下同じ)最高重心高、最低重心高 (ゆ統計学的処理
相関検定と分散分析、重回帰分析を統計学的 に検討した。
皿.結果・考察
・投射速度と言首謀は高い相関があり、分散分 析の結果、リバース動作有りはリバース動 作無しより有意に大きかった(図.1)口リパ ース動作をすることにより投射速度を増す ことが考えら、リバース動作は投射速度に 影響を与えることが考えられる。
・体幹の傾き角度と記録の相関は高い負の 相関があり、分散分析の結果、リパース動 作無しがリバース動作有りより有意に大き かったO リバース動作を行うことによって 体幹の搬す方向への前傾姿勢を修正できる 可能性があることが示唆される。
・重心変イ立と記録の相関をみた結果、負の相 関が認められ、重心速度と記録の相関をみ た結果、低い正の相関が認められたが、分 散分析の結果、リバース動作有りとリバー ス動作無しの間に有意な差は認められなか ったO スタンデイング投法で、あったため、
水平成分が小さいことが理由として考えら れ、スタンディング投法のリパース動作は、
投てき方向への重心速度に影響を与えにく
いことが示唆される。
・肩角度、腰角度、右肘角度、右膝角度は記 録との相関がなく、分散分析においてもリ ノミース動作有りとリパース動作無しの間に 有意な差が認められなかったO リバース動 作はこれらに影響を与えにくいことが示唆
される。
14 ヨド
12
揖発古事支10 (m!s)
8
6
方 ー ル リJト ス 動f惰1.) リJ← ス 動f骨 札 投てきσ芳罫員
図1 3種類の投機における投射速度の比較 N.結語
リバース動作の有効性を以下に示したD 1) 記録が向上する。
2) 投射速度が増す。
3) 投射角が大きくなる。
4) 投出局面で重心高が高くなる。
5) 準備局面から投出局面までの最高重 心高が高くなる。
6) 記録に最も影響を与える要因は、投 射速度であり、次に右肘角度で、あっ た。
7) 投射速度に最も影響を与える要因は、
腰角度であり、次に上肢の捻転角度、
最低重心高で、あった。
8) 腰が回転し、下半身が使えるように なる可能性がある0
9) 体幹の傾きが垂直に近づき、初心者 に見られやすい体幹の投てき方向へ の前傾を修正する可能性がある。
10)地面反力を得る前に右足を地面から 離してしまう可能性がある。
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