Y‑G性 格検査 による本学体 育専修生の性格特 性に関す る一考察
中林 忠 輔 ・深 町 明 夫
An Investigation into the Special Personality Characteristics of Physical Education Majors at this University Based on the
Y-G Personality Test
Tadao Nakabayashi • Akio Fukamachi
1、 は じ め に
体 育専 修 は実技 を伴 う教 科 を学 ぶ とい う他 教 科 に は見 られ な い特 徴 を持 った 専修 で あ る.
また,知 育,徳 育,体 育 とい う教 育 の 目標 の 立 場 で 見 て も,身 体 を通 して の教 育 の全 て を 受 け持 つ教 科 で もあ る.そ の よ う な特徴 を持
っ た体 育専 修 生 は,教 育 者 と して の 素養 が 求 め られ る と同時 に,運 動 技 能 に対 して も多 様 な種 目に対 応 で きる こ とが 求 め られ る.現 実 に は,全 て の運 動 種 目 に対 処 で きる こ とが 望 まれ るが,一 方 で,そ の 目的 を遂 行 す るに は, 運 動 部 へ所 属 し,各 自,専 門の 運 動 種 目領 域 を奥 深 く追 求 す る こ とが 必 要 条 件 にな って い る.し たが って,体 育 専 修 生 は,教 育者(指 導 者)と して の側 面 と,ス ポ ー ッ 選手 と して の側 面 を保 持 して い る.
性 格 の 面 か ら見 る と,運 動 部 で の生 活経 験 が 多 くな る に した が って,一 般 学 生 との 間 の 性 格特 性 の差 は木 き くな り,活 動性,支 配 性, 攻 撃性,社 会 的外 交 性 は増 大 し,抑 うつ 性, 神 経 質傾 向 は減少 す る.し か し,思 考 的 内 向 性,気 分 変 易性,客 観 性,協 調 性 な どの特 性 で は変 化 しな い と され て い る.ま た,女 子 選 手 の 厂女 ら しさ欠如 」,「支 配 性大 」 の傾 向が
見 られ る な どや,粗 野,非 熟 慮 的 な どの よ う に反社 会 的 評 価 を受 け る もの もの あ る.
一 方,教 育 の立 場 で見 る と,望 ま しい教 師 の 人格 特 性 と して,12要 素 の 一 つ と して上 位 を占 め て い る こ と,成 功 した教 師 の特 性 を し て,性 格 特 性 が そ の 中 の10%を 占 め てお り明 朗,円 満,反 省 的,温 和,ユ ーモ ア感,あ た た か い 人 間 味,ま じめ,不 平 をい わぬ ,自 制 心 な ど を あ げ て い る.好 か れ る教 師 に関 して も,人 格 や性 格 に 関す る もの が半 数以 上 あ げ れ られ て い る.教 師 の 悩 み で も,自 分 の 性 格 を一 要 素 と して あげ られ て い る.
一 流 選 手 が 必 ず し も一 流 の指 導 者 にな る と は限 らな い との 言 葉 が あ るが ,ス ポー ツ選手 と教 育者 との 問 に,そ れ ぞ れ の性 格 特 性 が存 在 して い る こ と を暗 示 させ て い る と考 え られ る.本 学 の体 育 専 修 生 は体 育学 部 生 と違 い, 教 育 の 道 を強 く志 向 す る学 生 の集 団で あ る と 推 察 され るが,反 面,ス ポ ー ツ活 動 にお い て も大 い に 活 躍 して欲 しい とい う側 面 もあ る.
この 一 見,矛 盾 した学 生 の 行動 が ,性 格 に ど の よ うに 反 映 され て い るか の実 態 を把 握 す る こ とが 本 研 究 の ね らい で あ る.
本 研 究 の 目的 は,体 育 専 修 生 が 教 育 者,ス ポ ー ッ選 手 と して どの よ うな性 格 特 性 を持 っ
て い るか につ い て の実 態 を把握 す るた め に, Y‑G性 格 検 査 を用 い て,教 育 者 と して の特 徴 との比 較,ス ポ ーッ選 手 と して の特 徴 との 比 較(個 人種 目 と集 団 種 目群 に 分類 して,そ れ ぞ れ の 特徴 を一 流 選 手 との 比 較)を 行 い, Y‑G性 格 検 査 の 尺度 レベ ル の考 察,因 子 レ ベ ル で の考 察,プ ロフ ィー ル の判 定 を行 い.
収 集 した資 料 を分 析 ・検 討 す る こ とに よって, 今 後 の 体 育専 修 生 の指 導 の 際 の 基礎 資料 を得
る こ とで あ る.
2.研 究 の 方 法 (1)対 象
文 教 大 学体 育 専 修 生 昭和57年 度 生 〜 昭和 63年 度 生 男 子152名 女 子114名 計264名 (2)調 査 日時
各 年 度 生 の2年 次10月 (4)調 査 内容
Y‑G性 格 検 査,運 動 経 験(高 校),所 属 運 動 部
表1‑1YG性 格 検 査 男子(152名) 上 段X,下一 段SD
群 57 58 59 60 61 62 63
人 数 22 24 25 31 24 11 15
D 8.5
6.98
▲6.1 5.40
▲5.4 5.49
▲7.7 5.21
▲6.8 4.45
8.8 4.90
10.1 5.44
C 9.2
6.12 7.9 5.41
7.3 5.14
9.7 4.92
8.6 5.18
9.6 3.20
11.1 3.49
1
7.1 6.12
▲4.9 3.63
▲5.2 4.87
7.8 4.52
5.5
..
6.0 4.07
8.3 4.48
N
..
5.85 6.6 4.66
6.9 5.48
7.2 3.98
▲6.4 4.07
8.9 6.12
10.8 4.72
0 6.9
4.21 5.9 3.72
▲5.6 4.37
7.2 4.19
6.5 4.15
7.4 2.91
8.5 4.14
Co
5.7 3.49
6.5 3.73
▲5.6 3.49
6.3 3.22
▲5.5 3.23
6.9 3.53
7.4 2.77
Ag 13.0
3.57 12.4
3.54 12.0
4.49 13.1
4.09 13.0
4.71 11.5
3.33 X13.4
3.79
G 12.5
4.71 13.8
3.66 13.0
4.30 12.1
4.00 12.1
4.13 11.5
4.87 11.9
4.77
R
X14.2 4.38
X13.7 4.30
X13.8 3.25
X13.7 :1
12.8 4.58
X14.7 2.72
X13.4 4.07
T 10.2
4.67 12.2
3.90 11.7
4.81 11.9
4.03 11.6
4.58 10.7
4.10 10.3
2.72
A
11.4 5.91
X13.1 4.06
X13.0 4.26
X12.3 4.03
11.4 4.39
11.6
..
9.9 4.00
S X15.21
4.91 X15.7
3.76 X15.6
3.63 X14.8
4.32 X14.9
4.58 X14.9
3.31 13.1
4.32
一46一
(5)結 果 の 処 理
尺 度 レベ ル ー 因 子 レ ベ ル,平 均,標 準 偏 差, t.検 定,相 関 係 数,プ ロ フ ィ ー ル 判 定 一 パ ー セ ン ト,x2検 定
集 計 は統 計 分 析 入 門(ラ ン テ ク ス)を 用 い た.
(6)研 究 の 進 め 方
① 男 女 別,各 年 度 生 の 尺 度 レベ ル,因 子 レ ベ ル で の 分 析 .
② 男 女 別,各 年 度 生 別 の プ ロ フ ィ ー ル 判 定
の 分 析.
③ 男 女 別 ・個 人 ・集 団 種 目別 の 尺 度 レベ ル, 因 子 レベ ル で の 分 析.
④ 男 女 別 ・個 人 ・集 団 種 目別 の プ ロ フ ィ ー ル 判 定 の 分 析.
(7)研 究 の 限 定
① 個 人 ・集 団 種 目 の 分 類 は,個 人 種 目 に テ ニ ス,バ ト ミ ン ト ン も含 め た.集 団 種 目 は ネ ッ トを 境 に,身 体 接 触 が な い 種 目 を集 団A群,同 一 コ ー ト内 で プ レ ー ヤ ー 表1‑2YG性 格 検 査(女 子114名)
上 段X,下 段SD
群 57 58 59 60 61 62 63
人 数 19 20 15 18 19 12 11
D
▲8.3 4.47
1 4.90
▲8.1 2.75
10.8 4.63
..
6:27
5.5
・・
▲5.2 3.97
C 8.1
5.02 10.4
4.79
▲7.2 2.66
9.4 3.82
10.7 5.37
7.7 3.54
7.s 4.12
1 7:4
4.21 7.7 3.59
7.2
..
8.6 4.27
8.6 5.43
4.8 3.04
5.5 3.72
N ▲6.5
3.04
7.2 3.71
▲}6.9 3.77
7.2 4.03
10.1 5.41
▲4 .3 3.26
▲4.9 4;09
0 7.5
3:06 7.0 3.76
5.6 2.18
7.3 2.69
7.5 3.73
6.6 2.91
▲5.2 2.48
Co 5.2
3.15 5.7 3.31
4.8 3.:31
6.8 3.39
7.0 3.61
4.8 2.89
5.9 3.91
Ag 10.8
4.39 X13.2
4.51 9.8 4.84
11.1 3.57
11.2 4.79
9.4 3.32
10.5 ,,
G 13.9
2.81 14.5
3.99 13.5
3.36 12.4
3.34 X14.5
3.36 13.6
3.96 X14 .9
3.73
R
X14.4 3.00
X15.0 4.34
X12.4 4.63
X13.8 3.99
X13.7 3.87
X14.7 2.50
X15.1 3.81
T
X12.4 3.64
X11.4 4.46
X11.1 4.47
X11.2 4.05
X10.7 4.99
X12.2 5.01
X13.9 4.50
A
X13.8 2.82
X13.1 4.56
10.4 4.96
X12.2 4.03
X12.9 4.52
X12.8 5.36
X13.7 4.73
S X16.0
2.73 X17.2
2.39 13.3
4.71 X15.8
3.58 X15.5
3.73 X16.6
3.12 X16.1
2.70
が混 在 す る種 目 を集 団B群 と分 類 した.
② 高 校 か ら大 学 へ の種 目変 更 者 につ い て は現 在 の種 目 と した.ま た,非 所 属 者 に つ い て は高 校 で の種 目を採 用 した.
③ ス ポ ー ツ集 団 と して の対 象 は57,58, 61,62,63年 度 生 で 男 子96名,女 子81名
につ い て調 査 した.
3.結 果 と吟 味
1男 女 別 ・各 年 度 生 別 の 尺 度 レベ ル,因 子 レ ベ ル
表1‑1,2は 尺 度 レベ ル で の 実 態 の 結 果 で あ る.▲ は5段 階 の 標 準 点 か ら見 て,各 尺 度 の 標 準 段 階 か ら逸 脱 す る 程 度 で あ る.情 緒 安 定(D,C,1,N)で は,男 子25%,女 子 61.9%が 逸 脱 し て い る.社 会 的 適 応(o, Co,Ag)で は,男 子23.8%,女 子9.5%が 逸 脱 し て い る.内 省 的(尺,T)で は,男 子 42.9%,女 子100%が 逸 脱 し て い る.主 導 権
(A,S)で は,男 子64.3%,女 子85.7%が 逸 脱 し て い る.
2男 女 別,各 年 度 別 の プ ロ フ ィ ー ル 判 定 表2は 男 子,女 子 の プ ロ フ ィ ー ル 型 を 示 し
た も の で あ る.男 女 共,D型(安 定 適 応 積 極 型),A型(平 均 型),B型(不 安 定 不 適 応 積 極 型),C型(安 定 消 極 型),E型(不 安 定 不 適 応 消 極 型)の 順 でD型 が 半 数 で あ っ た.情 緒 安 定 性 は 男 子74.4%,女 子 で73.7%,積 極 性 は 男 子85.6%,女 子 で92.2%で あ っ た.E 型 は 男 子3.9%,女 子 で1.8%で あ っ た.
3男 女 別,個 人 ・集 団 種 目 別 の 尺 度 レベ ル ・因 子 レ ベ ル
表3‑1,2は 尺 度 レベ ル で の 実 態 の 結 果 で あ る 。 ▲ は5段 階 の 標 準 点 か ら見 て,各 尺 度 の 標 準 段 階 か ら 逸 脱 す る 程 度 で あ る.男 子 の 結 果.情 緒 安 定(D,C,1,N)で は 個 人 が 20%,集 団Aが75%逸 脱 して い る 。 社 会 的 適 応(0,Co,Ag)で は 各 群 と も33.3%逸 脱 し て い る.内 省 的 で は 各 群 と も100%逸 脱 し て
い る.主 導 権(A,J)で は 個 人,集 団Bが 50%,集 団Aは100%逸 脱 し て い る 。 女 子 の
結 果.情 緒 安 定 で は各 群 と も20%逸 脱 して い る.社 会 的 適 応 で は 逸 脱 し て い る 尺 度 は 見 ら れ な い.内 省 的 で は 個 人 ・集 団Aが100%, 集 団Bが66.7%逸 脱 して い る 。 主 導 権 で は 各 群 と も100%逸 脱 して い る.
表2YG性 格 検 査 プ ロ フ ィ ール判 定
上段人数,下 段%
男 子 女 子
群 57 58 59 60 61 62 63 計 57 58 59 60 61 62 63 計 人数 22 24 25 31 24 11 15 152 19 20 15 18 19 12 11 114
A型 0 2 4 4 3 4 3 20 13.2
2 4 4 4 1 2 1 18
15.8
B型 6 4 4 9 3 1 6 33
21.7
6 6 2 5 6 1 2 28
24.6
C型 2 1 5 4 3 0 1 16 10.5
1 2 3 0 0 0 1 7
6.1
D型 12 17 10 14 14 6 4 77 50.7
10 8 6 9 10 9 7 59
51.8
E型 2 0 2 0 1 0 1 6 3.9
0 0 0 0 2 0 0 2
1.8
一48一
表3‑1Y‑G性 格 検 査者 種 目別 男 子
上段X,下 段SD
群 個 人 集 団A 集団B
人 数 32 21 43
D ▲6.8
5.29
▲6.1 4.09
9.3 6.20
C 7.8
4.98 8.0 5.52
10..1 4.52
1 6.3
..
▲4。9 3.68
6.8 4.78
N 8.2
4.94
▲5.0 3.77
8:9 5.40
O 6.0
3.86 6.3 3.81
7.8 3..96
Co ▲5.8
2.71
▲5.7 3.20
6.9 3.87
Ag 11.8
3.79 12.9
4.40 X13.5
3.51
G 11.6
4.35 13.1
4.29 12.8
4.33
R X13.2
4.34 X14.1
4.38 X13.;
4.02
T X10 .9
4.19 X12.8
2.96 X10.5
4.41
A 11.7
5.22 X12.6
4.51 11.1
4.22
s X15.0
,・
X16.0 3.97
X14.3 3.98
表3‑2Y‑G性 格 検 査 者 種 目別 女 子
上段X,下 段SD
群 個 人 集 団A 集団B
人 数 38 22 21
D
▲7.0 4.55
▲8.3
.,
▲7。5 5.46
C 8.9
4.83 9.7 4.58
9.1 5.18
1
7。1 3:81
7.1 4.48
7.1 5.10
N 6.7
4.19 8.5 4..87
6.3
;,
0 6.7
3.34 7.1 3.34
7.1 3.46
Co 5.2
2.10 5.6 3.33
7.0 4.27
Ag 11.4
4.07 10.3
4.15 11.9
5.42
G X14.8
3.19 14.0
3.79 13.5
3.68
R X13.8
3.21 X13.9
3.89 X16.4
3.37
T X11.2
4.57 X13.5
3.28 X11.6
5.27
A X13.5
3.87 X13:6
4.69 X12.5
4.68
s X16.8
2.69 X15.7
3.15 X15.9
3.19
男子 ・女 子 共 に各 尺 度 の 粗 点 をそ れ ぞ れの 群 間 で の関係 を見 た もの が 表4で あ る.そ の 結 果,全 て の群 問 に有 意 な 関係 が見 られ た.
平 均 値 と標 準 偏 差 か らx±1/2SDを 算 出 し, そ の値 が逸 脱 して い る尺度 は,男 子17尺 度 中
2尺 度 で11.8%で あ る 。女 子17尺 度 中8尺 度 で47.1%で あ る.
表5‑1,2は 各 尺 度 を各 群 間 で の差 の検 定 を した結 果 で あ る.男 子 の 結 果.Dで は集
団Aと 集 団Bの 問 に,Cで は個 人 と集 団Bの 間 に,Nで は個 人 と集 団A,集 団Aと 集 団B の 間 に,Tで は集 団Aと 集 団Bの 間 に有意 な 差 が 見 られ る。女 子 の結 果.尺 度 で は個 人 と 集 団B,集 団Aと 集 団Bの 間 に,Tで は個 人 と集 団Aの 問 に見 られ る.男 子4尺 度,女 子 2尺 度 と男 子 には情 緒 安 定 で,女 子 は 内省 的 で 差 が 見 られ る.男 子 で は集 団Aと 集 団Bの 問 にN尺 度 で 顕著 な差 が 見 られ,女 子 で は個
一49一
表4各 群の関係
P>0.01(r>.708)
男 子 女 子
個 人 集団A 集団B 個 人 集団A 集団B
個 人
\
..961 .943 .956 .940 .950集団A
\
.922 .956 .933 .966集団B
\
.908 .866 .918個 人
\
.963 .956集団A
\
.922集団B
\
表5‑1 各 尺 度 の 各 群 と の 差 の 検 定 男 子
**P<0 .01,*P<0.05
群 個 一 集A 個 一集B 集A一 集B
D 0.54 .. *‑2 .46
C 一 〇.13 *‑2 .06 一1 ..51
1 1.19 一 〇.44 一1 .75
N *2 .67 1 **‑3 .35
0 0.28 一1 .98 一1 .46
Co 0.12 一1 .45 一1 .31
Ag 一 〇.94 一1 .98 一 〇.55
G 一1 .24 一1 .18 o.as
R 一 〇.73 一 〇.51 0.35
T 一1 .93 0.40 *2 .46
A 一 〇.67 0.53 1.28
S 一 〇.82 o.s7 1.61
Lf 53 73 62
人 と集 団A,Bの 間 にR尺 度 で 顕 著 な 差 が 見 ら れ る.
4.男 女 別,個 人 ・集 団 種 目 別 の プ ロ フ ィ ー ル 判 定
表6は 各 群 の プ ロ フ ィ ー ル 型 と 各 群 の 関 係 を 示 し た も の で あ る.男 子 の 結 果 。D型(安 定 適 応 積 極 型)12.5%,B型(不 安 定 不 適 応 積 極 型)20.8%,A型(平 均 型),C型(安 定 消 極 型)7.3%,E型(不 安 定 不 適 応 消 極 型)4.2%で あ る.女 子 の 結 果.D型54.3%,
B型25.9%,A型12.3%,C型4.9%,E型
3.5%で あ る.男 子,女 子 共 に 同 じ傾 向 を 示 し て い る.
表5‑2各 項 目の 各 群 との 差 の検 定 女 子
**P<0 .01,*P<0.05
群 個 一集A 個 一集B 集A一 集B
D 一 〇.90 一 〇.36 0.46
C 一 〇.64 一 〇.15 0.40
1 0 0 0
N 一1 .45 0.32 1.49
0 一 〇.45 一 〇.43 0
Co 一 〇.48 一1 .75 一1.20
Ag 1.00 一 〇.37 一1
.08
G 0.83 一1 .36 0.44
R 一 〇.10 ** ‑2 .89 **‑2 .26
T * ‑2 .26 一 〇.29 1.40
A 11: 0.83 0.77
S 1.37 1.20 一 〇.21
Lf 58 57 41
一50一
表6各 群 の プ ロ フ ィ ー ル と各 群 と の 関 係
**P<0.01,*P<0.05(r>.878,..959)
男 子 女 子
群 個人 集団A 集団B 計 個人 集団A 集団B 計
人数 32 21 43 96 38 22 21 81
A型 4
12.5
1 4.8
7 16.3
12 12.5
4 10.5
2 9.1
4 19.0
10 12.3
B型 5
15.6
2 9.5
13 30.2
20 20.8
11 28.9
7 31.8
3 14.3
21 25.9
C型 4
12.5
1 4.8
2 4.7
7 7.3
2 5.3
2 9.1
0 0
4 4.9
D型 18
56.3
16 76.2
19 44.2
53 55.2
20 52.6
11 50.0
13 61.9
44 54..3
E型 1
3.1
1 4.8
2 4.7
4 4.2
1 3.6
0 0
1 4.8
2 2.5
個 人
\
** .981 :.. * .929 * .981 * .956集 団A .‑823 * .900 .853 * .957
集 団B * .982 * .970 * .889
佃 人
\
* .990 * .915集 団A
\
.855集団B
\
群 問 との 関 係 にお い て,男 子 と集 団B,集 団Aと 集 団Bと の 問 に異 な る傾 向 が 見 られ る.
表7は 因子 レベ ルで 各 群 と比較 した結 果 で あ る。情 緒 因 子 で は安 定 で 男子 集 団Aと 集 団 Bの 問 に,不 安 定 で男 子 個 人 と集 団B ,集 団 Aと 集 団Bの 間 に顕 著 な差 が 見 られ る.適 応 因子 で は,男 子 集 団Bと 集 団Aの 間 に,女 子 個 人 と集 団B,集 団Aと 集 団Bの 問 に顕 著 な 差 が 見 られ る.向 性 で は顕著 な差 は見 られ な
い.
4.考 察
体 育 専 修 生 男 子 にお い て は,抑 うつ は な く, 協 調 性 が あ り,の ん きで,支 配 性 が あ り,社
会 的外 向 の傾 向 を示 して い る と考 え られ る.
女 子 に お い て は,抑 うつ は な く,神 経 質 で な く,活 動 性 が あ り,の ん きで,思 考 的外 向 で, 支 配性 が あ り,社 会 的外 向 の傾 向 を示 して い
る と考 え られ る.
教 育 者 の側 面 か ら見 る と男子,女 子 共 に支 配性 が高 い とい う こ と は社 会 的指 導 性,リ ー ダー シ ップ の あ る性 質 と社 会 的外 向 が 高 い と い う社 会 的 接 触 を好 む傾 向 が見 られ,正 の 要 素 と して 考 え られ る。対 して,男 子,女 子 共 に見 られ るの ん き さの性 質 は,活 発 で あ る と 同時 に,衝 動 的 な性 質 の傾 向 もあ り,全 て 正 の要 素 と はいえ な い と考 え られ る.女 子 に お い て思 考 的外 向 の傾 向 が見 られ た こ と は,教
表7情 緒,適 応,向 性 か ら見 た 各 群 の 比較 単位%
情 緒 安 定 平 均 不安定
ma .. 12.5 18.7
mb 81.0 4.8 14.3
me 48.9 16.3 34.9
fa 53.9 10.5 31.5
fb 59.1 9.1 31.8
fc 61.9 19.0 19.1
適 応 適 応 平 均 不適応
ma 56.3 25.0 18.7
mb 76.2 9.6 14.3
me 44.2 21.0 34.9
fa 52.6 15.8 31.5
fb 50.0 18.2 31.8
fc 61.9 19.0 19.1
向 性 外 向 平 均 内 向
ma 72.9 12.5 15.6
mb 85.7 4.8 9.6
me 74.4 16.3 9.4
fa 81.5 10.5 7.9
fb .. 9.1 9.1
fc 76.2 19.0 4.8
情 ・安**mb‑mc
情 ・不 ma‐mc
適 ・適**mb‑mc fa‐fc fb‐fc
m一 男 子,f一 女 子,a一 個 人,b一 集 団A,c一 集 団B
x2**p<0.01,*p<0.05,df‐1xz>6.63>3.80
育 者 に とっ て大 切 な熟 慮 す る反対 の傾 向 なの で負 の要 素 に な る と考 え られ る.ま た,一 般 学 生 に比 べ 本 調 査 で もG尺 度 が 高得 点 の傾 向
に な って い る.
体 育専 修 生 と して一 般 的 に考 え られ て い る, 活 動 的 で和 を大 切 にす る特 徴 で,男 子 に お い
て 活動 的 な傾 向 は平均 で,女 子 にお いて 協 調 性 の傾 向 は平 均 で,主 観 と客 観 に差 が 見 られ る.
プ ロ フ ィー ルの 判 定 で は,男 子,女 子 共 に 情 緒 安定,社 会 適 応,外 向性 のD型 が半 数 を 占 め て い る.ま た,男 子,女 子 共 に情 緒 不 安
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定,社 会 不 適 応,外 向性 のB型 も20数 パ ー セ ン トを 占 め て い る.教 育 者 に と って 必要 な情 緒 の安 定,社 会 へ の適 応 で ない タイ プ の学 生 がY‑G性 格 検 査 の一 つ の 客観 性 を持 っ た検 査 で多 数 表 れ た こ とは,今 後 の 学生 指 導 に一 つ の指 針 を与 えて くれ る結 果 に な っ た.
次 に,ス ポ ー ッマ ン と して の性 格 特 性 か ら の 特 徴 を列 挙 して み る と,男 子 の結 果.各 群 共 に 同 じよ う な傾 向 を示 して い る.そ の 中で,
D尺 度 の 集 団Aと 集 団Bの 問 に差 が見 られ, 集 団Bが 抑 うつ性 の強 い 傾 向 が 見 られ る.C 尺 度 の個 人 と集 団Bの 問 に差 が 見 られ,集 団
Bに 気 分 の 変化 が あ る性格 を見 られ る.N尺 度 の集 団Aと 個 人,集 団Bの 問 に差 が 見 られ
る.集 団Aは 神 経 質 で ない傾 向 が見 られ る.
集 団Aが,ス ポ ー ツマ ンの特 徴 を よ く表 した 群 で,次 に個 人,集 団Bの 順 で あ る.各 群 共 に各 尺 度 お い て分 散 が 大 き く,異 な っ た性 質 が 相 殺 され て,平 均 型 に よっ て い る傾 向 が 見
られ る.
女 子 の結 果.各 群 共 に同 じよ うな傾 向 を示 して い る.R尺 度 の 集 団B,個 人 と集 団Aの 間 に顕 著 な差 が 見 られ,集 団Bに の ん き さの 性 質 が 強 い傾 向が 見 られ る.T尺 度 の個 人 と 集 団Aの 問 に差 が 見 られ,個 人 に思 考 的外 向 が が少 な い傾 向が 見 られ る.各 群 共 にス ポ ー ツ マ ンの特 徴 をや や 表 して い る.
男子 と女 子 の比 較 で,そ れぞ れ群 の特 徴 を 表 して い る のが,男 子 で は情 緒 的 な面 で,女 子 にお い て は内 省 的 な 面 と異 な って い た.
プ ロ フ ィール の 判 定 か ら見 る と,男 子 は個 人 がAD型,集 団AがD'型,集 団BがA'型 で あ った.女 子 各 群 共 にAD型 で あ った.型 の 分布 で は男 子 で は個 人 と集 団Aが 似 て お り, 女 子 で は個 人 と集 団A,Bが 似 た傾 向 が見 ら れ た.集 団Aと 集 団Bの 問 に は,男 女 共 に似 た傾 向 は見 られ な い.男 子 で は集 団Bに,女 子 で は個 人 と集 団AにB型 を示 す 学 生 が見 ら れ た.し か し,女 子 の場 合 に はAB型 が顕 著 に多 か った.
因子 レベ ルで 見 る と,情 緒 が不 安 定 な群 は 男子 集 団B,女 子 個 人,女 子 集 団Aに 多 く見 られ た.社 会 不 適 応 の 群 は男 子 集 団B,女 子 個 人,女 子 集 団Aで あ っ た.逆 に情 緒 安 定, 社 会適 応 して い る群 は男 子 個 人 で あ っ た.向 性 で は各 群 と も外 向性 を示 して い た.
5.ま と め
今 回 の調 査 の対 象 で あ る学 生 は 過去 ・現 在 実 際 に授 業,部 活 動 を通 して 指 導 した学 生 で あ り,大 多 数 の学 生 は部 活 動 を熱心 に行 い, 教 職 につ い て い る者 達 で あ る.主 観 的 に は彼
らの性 格 を把 握 して い た訳 で あ る が,Y‑G 性 格 検 査 とい う客 観 的 な検 査 を通 して,改 め て彼 らの性 格 特 性 を考 えて い った 時,主 観 的 な と らえか た と客 観 的 な と らえ方 に相 違 が 見 られ,指 導 の際 の留 意 点 に した い と考 え て い る.一 つ は性 格 特 性 の多 様化 が あ る と考 え い た が,情 緒 不 安 定,社 会 不 適応 の教 育 者 と し て は負 の要 素 を もって い る者 が か な りの割 合 で 出現 した こ とで あ る.ま た,内 省 的 な面 で 教 育 者 と して は熟 慮 を必 要 とす る の に,大 多 数 の者 が 平 均 で しか ない こ とは考 慮 す る必 要 が あ る と考 え られ る.の ん きさ の性 質 が 見 ら れ た こ と も,活 発 で あ る反 面,衝 動 的 な性 質 と考 え る と注 意 を払 う必 要 が あ る と考 え られ る.
一 方,ス ポ ー ツマ ンの性 格 特 性 と して 見 た 時,B型 の 出 現 頻 度 に男 女 共各 群 問 に差 が 見 られ,文 献 に よ るス ポ ー ツ マ ンタ イ プ は男 子 集 団B(野 球,バ レ ーボ ー ル)群 一 つ で あ っ た.男 子 集 団B(サ ッカ ー,ラ ク ビ ー,バ ス ケ ッ トボ ール 等)群 を除 い た群 はや や ス ポ ー ツマ ン タ イ プで あ った.女 子 集 団B(バ ス ケ ッ トボ ール,ハ ン ドボ ー ル)群 は プ ロ フ ィー ル判 定 で はAD型 で あ った が,D型 タ イ プの 者 が 多 い 群 で 他 の 群 と異 な っ て い る.
Y‑G性 格 検 査 で はD型 人 間が 最 も理 想 的 な人 格 の 持 ち 主 で,情 緒 的 に も安 定 し,社 会 適 応 も よ く,活 動 的 で対 人 関係 も う ま く行 く
タ イ プで あ り,学 校 で も問 題 性 は少 な い と手 引 で 述 べ られ て い る.ま た,同 じ環境 に 置 か れ て い て も,人 格 が 異 な っ てい れ ば,行 動 は 同 じに な らな い し,同 一 人 物 で あ って も,置 か れ た環 境 に変 化 が あ る と異 な った行 動 を と
る.過 去 の研 究結 果 で も,対 象 が 異 な る と一 見 して逆 の 結 果 を示 して い る場 合 もあ る.性 格 は運 動 で 特 定 の ス ポ ー ツ を長 く続 けて い る
とス ポ ー ッ生 活 が 環境 的要 因 と して 働 い て, そ の ス ポ ー ツ に適 した性 格 が形 成 され て い く, 逆 にそ の よ う な性格 で あ った か ら,そ の 種 目 を選択 す る等 の考 え方 が あ り,今 回 の調 査 の 結 果 の よ うに性 格 特 性 に は一定 した法 則 はあ ま り見 られ な い多 様 化 され た実 態 に な っ た と 考 え られ る.今 後 の課 題 と して は,よ り多 く の 客 観 的 検査 を行 い,そ れ ぞ れ の検 査 の 関係
を見 定 め た 上 で,性 格 の 特 徴 を把 握 して い き たい と思 い ます.
引 用 文 献
1)小 林 晃 夫:ス ポ ー ツマ ンの性 格(性 格 か らみ た運 動 技 能 上達 へ の道,杏 林 書 院,1986.
2)花 田敬 一他 著:ス ポ ー ツ マ ン的 性 格,不 昧堂, 1972.
3)日 本 ス ポ ー ッ心 理 学 編:ス ポ ー ッ心 理 学Q&
A,不 昧 堂,1984.
4)松 田岩 男:現 代 ス ポ ー ツ マ心 理 学,大 修館, 1976.
5)松 田岩 男:運 動 心 理 学 入 門,大 修 館,1976.
6)体 育 心 理 学 実験 指 導研 究 会 編:体 育 心 理 学 実 験 実 習 概 説,1981.
7)教 師養 成 研 究 会,教 育 心 理 部 会 編:教 育 心 理 学,学 芸 図書,1965.
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