IEEJ Transactions on Industry Applications
Vol.137 No.11 pp.815–826 DOI: 10.1541/ieejias.137.815
論 文
可変インピーダンスを考慮した非接触給電システムの
回路解析と特性評価
学生員
山田
潤
∗ 学生員津田
和真
∗非会員
小林
涼太
∗ 正 員金子
裕良
∗Circuit Analysis and Characterization of Contactless Power Transfer System with Variable
Impedance
Jun Yamada∗, Student Member, Kazuma Tsuda∗, Student Member, Ryota Kobayashi∗, Non-member, Yasuyoshi Kaneko∗, Member
(2016年12月20日受付,2017年6月9日再受付)
A contactless power transfer system using a repeater coil (Repeater Coil topology) has been proposed as a method of suppressing overcurrent without power control during misalignment or no-load. By installing a repeater coil between the primary and secondary coils, it is possible to increase the input impedance in the case of misalignment of the secondary coil or no-load condition. In addition, another a contactless power transfer system using primary parallel and secondary series resonance capacitors (PS Capacitor topology) has been proposed. In the PS Capacitor topology, the input impedance can be increased during misalignment of the secondary coil or no-load condition similar to the Repeater Coil topology. In this paper, we evaluated the characteristics of both these topologies. First, we conducted a circuit analysis of the Repeater Coil topology and proposed a design method. In addition, we theoretically clarified the characteristic difference of the two topologies and experimentally evaluated the characteristics.
キーワード:走行中非接触給電,電気自動車,中継コイル,PS方式,効率,フィルタ
Keywords: dynamic contactless power transfer, electric vehicle, repeater coil, PS capacitor topology, efficiency, filter
1. はじめに 環境問題や石油枯渇問題などの背景から,化石燃料の依 存度を軽減するために,家庭や充電スタンドでバッテリー に充電するプラグインハイブリッド自動車(PHV)や電気 自動車(EV)への関心が高まっている。現在,PHVやEV への給電は電気ケーブルを用いるコンダクティブ方式が主 流だが,利便性・保守性などの観点から非接触給電方式(1) (2) が注目されており,研究開発が盛んにおこなわれている(3)。 EVはバッテリー容量の制約により連続航続距離に大き く影響され,既存のガソリン車等と比較し短いという欠点 があるが,非接触給電により駐車中だけではなく走行中も 給電が可能であり,連続航続距離を拡大することができる。 移動型非接触給電の方式はループコイル方式(4),飛び石に 配置する方式(5)が提案されているが,回路方式は一次直列 ∗埼玉大学 〒338-8570 さいたま市桜区下大久保255 Saitama University
255, Shimo-Okubo, Sakura-ku, Saitama 338-8570, Japan
二次直列にコンデンサを配置したSS方式や,一次直列二 次並列に配置したSP方式による検討が主流であり,両回 路方式とも位置ずれや二次コイル不在時にインピーダンス が低下し,過大な電流が流れてしまう。このため,過大な 電流が流れるのを防ぐため,負荷の変動に対しても実効値 が一定となる電流源駆動(定電流駆動)(6)や給電範囲判定(7) による制御等の対策が不可欠である。 制御機構なしで過電流を抑える方法として中継コイルを 用いた可変インピーダンス方式(中継コイル方式,Repeater Coil topology)が提案されている(8)。一次と二次コイルの 中間に中継コイルを設け,中継コイルに共振するようコン デンサを設置することで,位置ずれ時や二次コイル不在時 にインピーダンスを増大させ,過大な電流が流れることを 抑えることができる。走行中給電においては短時間に大き な位置ずれが発生するため,制御機構を必要としない中継 コイル方式は非常に有用である。現在,中継コイルを用い た可変インピーダンス方式で検討されている非接触給電部 (トランス)は,円形(Circular type(9) (10),円形コア片側巻(11) とも呼ばれる)で行われており,ソレノイド型(Solenoid
巻,角形コア両側巻(12), H型(13), Polarized type(14)とも呼ば れる)での検討がなされていない。ソレノイド型,特に磁 極部分を拡張したH型トランスは小型軽量化,長ギャップ 化,左右方向の位置ずれ許容量に優れ,走行中給電におい ては大きなメリットである。また,入出力特性や効率を考 慮した設計方法についても明らかにされていない。 別の回路方式として,一次並列二次直列にコンデンサを 接続したPS方式がある(15)。PS方式も一次コイルと共振す るよう並列にコンデンサを設置することで,二次コイル不 在時にインピーダンスを増加させることができる。さらに, 一次と二次の両コンデンサを含むトランスの等価回路が理 想変圧器と同様の特性(理想変圧器特性(3) (4) (7) (12) (13))として 扱える様なコンデンサパラメータの設計方法も提案されて いる(16)。しかしながら実機を用いた検討はあまり見られず, 位置ずれや二次コイル不在時などの給電特性が不明な点も 多い。 本稿では,H型トランスを用い,中継コイル方式,PS方 式の特性評価を行った。そこで,中継コイル方式の回路解 析を行い,設計方法を提案した。さらに,両方式の給電特 性や二次コイル不在時の特性差異を理論的に明らかにする とともに,給電実験を行い特性の比較を行った。 2. 非接触給電トランスについて 本稿で検討する中継コイルを用いた中継コイル方式と, 一次並列二次直列にコンデンサを配置したPS方式,従来方 式である一次直列二次並列にコンデンサを配置したSP方 式の等価回路をFig. 1に示す。電源電圧VINはf0= 85 kHz の正弦波入力とし,二次側の出力部には整流器を用いず負
(a) Repeater Coil topology
(b) PS Capacitor topology
(c) SP Capacitor topology Fig. 1. Equivalent circuit.
荷抵抗RLを接続した簡易等価回路となっている。Fig. 1(a) の中継コイル方式は,一次,中継部,二次にそれぞれ直列 にコンデンサC1,Cr,C2を設置している。Fig. 1(b)のPS 方式は,一次に並列コンデンサC1を,二次に直列コンデン サC2を設置している。Fig. 1(c)のSP方式は,一次に直列 コンデンサC1を,二次に並列コンデンサC2を設置してい る。中継コイル方式では,一次,中継部,二次全てに結合 があるものとする。 3. 中継コイル方式の回路解析 〈3・1〉 二次コイル不在時の入力インピーダンス 二次コイルがない場合,過大な入力電流を抑えるため 入力インピーダンスZINが最大となるよう設計する必要が ある。Fig. 1(a)より回路方程式は以下となる。 VIN = r1+ jω0L1+ 1 jω0C1 IIN+ jω0M1rIr · · · · (1) 0= jω0M1rIIN+ rr+ jω0Lr+ 1 jω0Cr Ir · · · (2) (1)(2)式より,入力インピーダンスZINは(3)式となる。 ZIN = VIN IIN = r1+ jω0 L1+ 1 jω0C1 + (ω0M1r)2 rr+ jω0Lr+ 1/( jω0Cr)· · · (3) ここで,中継コイルのコンデンサ値について,以下の(4) 式が成り立つとき,第4項において,分母の虚数成分が0 となる。分母の巻線抵抗rrは電源周波数 f0において,分 子のリアクタンスω0M1rに比べ十分小さいため,ZINが最 大となる。 Cr= 1 ω2 0Lr · · · (4) 〈3・2〉 入出力特性 二次コイルがある場合の入出力 特性を求める。回路方程式は以下となる。 VIN = jω0L1+ 1 jω0C1 IIN+ jω0M1rIr+ jω0M12I2 · · · (5) 0= jω0M1rIIN+ jω0Lr+ 1 jω0Cr Ir+ jω0Mr2I2 · · · (6) 0= jω0M12IIN+ jω0Mr2Ir+ jω0L2+ 1 jω0C2+R L I2 · · · (7) 巻線抵抗r1,rr,r2は電源周波数 f0においてリアクタン スω0L1,ω0Lr,ω0L2に比べ十分小さいため,抵抗成分を 省略した回路で検討を進める。 入力電流IINと二次コイルの電流I2の関係式は,(4)(6) 式より,(8)式となる。 IIN = − Mr2 M1r I2· · · (8)
(5)(7)(8)式より,入力電圧VINはI2の式に整理できる。 VIN= −Mr2 M1r jω0L1+ 1 jω0C1 −M1r Mr2 jω0L2+ 1 jω0C2 + 2jω0M12− M1r Mr2 RL I2 · · · (9) I2 = −ID,VD= RLIDより,(8)(9)式を整理するとトラン スの入出力特性が得られる。 VIN = M1r Mr2 VD+ Mr2 M1r jω0L1+ 1 jω0C1 +M1r Mr2 jω0L2+ 1 jω0C2 − 2 jω0M12 ID · · · ·(10) IIN= Mr2 M1r ID· · · ·(11) ここで,(12)式が成り立つとき,(10)(11)式が(13)(14)式 となる。(13)式の電圧比は(14)式の電流比の逆数であり, コンデンサを含めたトランスの等価回路は巻数比bの理想 変圧器と等価に扱うことができる。 Mr2 M1r jω0L1+ 1 jω0C1 +M1r Mr2 jω0L2+ 1 jω0C2 −2 jω0M12=0 · · · ·(12) VIN VD = M1r Mr2 = k1r kr2 L1 L2 = b · · · ·(13) IIN ID = Mr2 M1r = kr2 k1r L2 L1 = 1 b · · · ·(14) ZIN= k1r kr2 2 L1 L2 RL · · · ·(15) ここでknmはn次コイルとm次コイルの結合係数を表し ている。 一次と二次コイルが同形状の場合,√L1/L2は一次と二 次の巻数比となる。(13)(14)式の示す通り,中継コイルの インダクタンスLrの影響がないため,入出力特性は中継コ イルの巻数に関わらず一次と二次コイルの巻数比で決定さ れることがわかる。さらに(15)式より,二次コイルが位置 ずれでkr2が低下するとZINが増加することからVIN一定 とした場合IINが低下し,過大な入力電流が流れない。 つまり,位置ずれや二次コイル不在時に入力電力を抑え ることができるため,負荷の変動に対しても実効値が一定 となる電圧源駆動(定電圧駆動)が可能となる。 〈3・3〉 トランス効率,最適負荷 トランス効率を求 める。鉄損を無視し,銅損のみを考慮した場合,トランス 効率は(16)式となる。 η = RLID2 r1IIN2 + rrIr2+ r2I22+ RLI2D · · · (16) (7)(8)式より,IrをI2の式で表すと以下の(17)式となる。 |Ir|= M12 M1r − ω0L2− 1/(ω0C2) ω0Mr2 + j RL ω0Mr2 I2 = M12 M1r− ω0L2−1/(ω0C2) ω0Mr2 2 + RL ω0Mr2 2 |I2| · · · (17) (8)(17)式及びI2= −IDを(16)式に代入する。 η = RL r1 Mr2 M1r 2 + rr⎧⎪⎪⎨⎪⎪⎩ M12 M1r − ω0L2− 1/(ω0C2) ω0Mr2 2 + RL ω0Mr2 2⎫⎪⎪⎬ ⎪⎪⎭ +r2+ RL · · · (18) (18)式には二次のコンデンサC2が含まれている。C2は 効率が最大となるよう決定すればよい(17)。つまり,(19)式 が成り立つときトランス効率ηは最大となり(20)式が得ら れる。 C2= 1 ω2 0 L2− Mr2 M1r M12 = 1 ω2 0L2 1−kr2 k1r k12 · · · · ·(19) η = RL r1 Mr2 M1r 2 + rr RL ωMr2 2 + r2+ RL · · · ·(20) よって,最適負荷RLmax,最大効率ηmaxが求まる。 RL max= ω0Mr2 r1 rr Mr2 M1r 2 +r2 rr · · · ·(21) ηmax= 1 1+ 2rr ω0Mr2 r1 rr Mr2 M1r 2 +r2 rr · · · ·(22) また,(21)(22)式は,kとQi(= ω0L/r) (i = 1, 2, r)を用 いて表すことができ(18),以下の(23)(24)式となる。 RL max= kr2 k1r r2Q2 k2 r2 Qr Q1 + k 2 1r Qr Q2· · · ·(23) ηmax= 1 1+ 2 k1rkr2Qr k2 r2 Qr Q1 + k2 1r Qr Q2 · · · ·(24) 〈3・4〉 コンデンサの決定 中継部と二次のコンデン サは(4)(19)式で導出済みである。残りの一次のコンデン サC1は,(12)式と(19)式から求められる。 C1= 1 ω2 0 L1− M1r Mr2 M12 = 1 ω2 0L1 1−k1r kr2 k12 · · · (25) これで全てのコンデンサを決定した。まとめるとコンデ ンサを決定するには以下の観点から導出することとなる。 •一次のコンデンサは入出力特性から決定。 •中継部のコンデンサは二次コイル不在時にインピーダ ンス最大となるよう決定。(中継コイルのインダクタン スと共振) •二次のコンデンサは効率が最大となるよう決定。 4.
PS
方式の回路解析 Fig. 1(b)より回路方程式は以下の式となる。 VIN = r1+ 1 jω0C1 + jω0 L1 I1+ jω0MI2· · · ·(26)VIN = − 1 jω0C1 IC1· · · ·(27) I1 = IIN+ IC1 · · · ·(28) 0= jω0MI1+ r2+ jω0L2+ 1 jω0C2+R L I2 · · · ·(29) 巻線抵抗r1,r2は電源周波数 f0においてリアクタンス ω0L1,ω0L2に比べ十分小さいため,抵抗成分を省略した 回路で検討を進める。 文献(16)より,PS方式のコンデンサは以下の(30)式で 決定され,(31)∼(33)式の通り入出力特性が得られる。kは 一次コイルと二次コイルの結合係数である。 C1= 1 ω2 0L1 , C2= 1 ω2 0L2 1− k2 · · · ·(30) VIN VD = L1 M = 1 k L1 L2 = bPS · · · ·(31) IIN ID = M L1 = k L2 L1 = 1 bPS · · · ·(32) ZIN= 1 k2 L1 L2 RL · · · ·(33) (31)(32)式より電圧比と電流比は逆数であり,巻数比bPS の理想変圧器と等価に扱うことができる。(33)式より,kが 低下すると入力インピーダンスZINが増加することから,入 力電圧VINを一定とした場合,過大な入力電流が流れず,定 電圧駆動が可能となる。二次コイル不在時の入力インピー ダンスは,(26)∼(28)式とM= 0より以下の(34)式となる。 ZIN= (r1+ jω0L1)/( jω0C1) r1+ jω0L1+ 1/( jω0C1)· · · ·(34) 一次コイルのコンデンサ値は(30)式であるため,(34)式 に代入すると分母の虚数成分が0となり,ZINが最大となる。 また,最適負荷と最大効率は以下の式となる。 RL max= ω0M M L1 2 +r2 r1 · · · ·(35) ηmax= 1 1+ 2r1 ω0M M L1 2 +r2 r1 · · · ·(36) (35)(36)式は,kとQiを用いて表すと(18),以下の(37)(38) 式となる。 RL max= kr2Q2 k2+Q1 Q2 · · · ·(37) ηmax= 1 1+ 2 kQ1 k2+Q1 Q2 · · · ·(38) 5.
SP
方式の回路特性 上記2方式との比較のため,従来から検討されているSP 方式の特性について説明する。Fig. 1(c)に示すSP方式の 回路のコンデンサは,(39)式で決定され(16),(40)∼(42)式 の入出力特性が得られる。 C1= 1 ω2 0L1 1− k2, C2= 1 ω2 0L2 · · · ·(39) VIN VD = M L2 = k L1 L2 = b SP· · · ·(40) IIN ID = L2 M = 1 k L2 L1 = 1 bSP · · · ·(41) ZIN = k2 L1 L2 RL· · · ·(42) (40)(41)式より中継コイル方式やPS方式同様,電圧比と 電流比は逆数であり,巻数比bSPの理想変圧器と等価に扱 うことができる。また,最適負荷と最大効率をkとQiを用 いて表すと(18) (19),以下の (43)(44)式となる。 RL max= r2Q2 k Q2 Q1 + k 2 · · · ·(43) ηmax= 1 1+ 2 kQ2 Q2 Q1 + k 2 · · · ·(44) 6. 中継コイル方式とPS
方式の特性比較 中継コイル方式とPS方式の特性の差異について整理する。 〈6・1〉 入出力特性 第3,4章で導出した2方式に ついてのコンデンサC,入出力特性,入力インピーダンス ZIN,最適負荷RLmax,最大効率ηmaxについてまとめた表を Table 1に示す。参考として第5章で示したSP方式のパラ メータも併せて掲載した。Table 1でわかる通り,全ての方 式には類似性がみられる。入出力特性を見ると,全て理想 変圧器特性を示し,一次と二次の巻数比で特性を決定でき る点である。そのほか,中継コイルの位置によって類似性 に変化がみられる点である。Table 2. Each Voltage and Current of transmitter. (a) Repeater Coil topology (b) PS Capacitor topology
例えば,中継コイルの位置を一次コイルと同位置とする。 一次コイルと中継コイルに同じコイルを使用し(Q1= Qr), かつ密結合(k1r= 1)とした場合,中継コイル方式の特性が PS方式と等しくなる。逆に,中継コイルの位置を二次コイ ルと同位置とする。中継コイルと二次コイルに同じコイル を使用し(Qr = Q2),かつ密結合(kr2= 1)とした場合, 中継コイル方式の特性はSP方式と同じものとして表せる。 PS方式とSP方式の違いは,結合係数kとインピーダン スZINとの関係性である。PS方式はkが小さくなるとZIN が増加するのに対し,SP方式はZINが低下する。このため, 位置ずれ等で結合が小さくなった場合,PS方式では入力電 流は減少するが,SP方式では過大な電流が流れる。本稿で 検討する中継コイル方式では,一次側に中継コイルを設置 するため,PS方式と同様の特性となる。 〈6・2〉 各部の電圧・電流 トランス各部の電圧・電流 をTable 2に示す。中継コイルの電流Irは,(5)式に(8)(25) 式を代入して求めることができ,Vrは,Vr= jω0LrIrより 導出できる。ここでも中継コイル方式とPS方式に類似性が みられ,一次コイルと中継コイルに同じコイル(Q1= Qr) を使用し,かつ密結合(k1r= 1)とした場合,VrはVC1,Ir はIC1に相当する。PS方式のI1は,中継コイル方式の一 次コイルに流れる電流IINと中継コイルに流れる電流Irの 和に等しい。 中継コイル方式のVr,Irは,入力電圧VINに依存してお り,二次コイルとの結合や二次コイルのインダクタンスの 影響を受けない。これは,定電圧駆動(VIN一定)では,二 次コイルの状態に依らず中継コイルのVr,Irが変化しない ことを意味する。PS方式も同様であり,二次コイルの状態 にかかわらずIC1,VC1は変わらない。I1にはIINが加算さ れているため,インピーダンスZINによって変化するが,中 継コイル方式の一次コイルに流れる電流IINも同様に変化 するため,2方式に大きな差異はない。 ただし,巻線の銅損を考慮した場合,差異が出る場合が ある。中継コイル方式はIIN,Irそれぞれの二乗の和となる が,PS方式はIINとIC1のベクトル和の二乗となる。式で 表すと以下の(45)式となる。 I12 =IIN− j 1 ω0L1 VIN 2 = I2 IN+ VIN ω0L1 2 +ω2 0L1 |I IN| |VIN| sin θ = I2 IN+ IC12 + 2 ω0L1 |IIN| |VIN| sin θ · · · (45) つまり,VIN,IINの力率が1の場合,第3項が0となり, 中継コイル方式と同様,二乗の和となるが,力率が低下する と第3項が加算されるため,I1が増加し損失に影響が出る。 〈6・3〉 中継コイルの巻数 中継コイルの巻数は Ta-ble 1より,入出力特性に影響はしないが,中継部に流れる 電流に影響する。 例えば,中継部の巻数をN倍した場合を考える。元の電 圧・電流をVr,Ir,巻数をN倍したときの電圧・電流をVr’, Ir’とする。Lは巻数の二乗,Mは2巻線の巻数の積に比例 するため,Table 2より以下の(46)式が成り立つ。 Vr= Lr× N2 M1r× N VIN= NVr, Ir= 1 jω0M1r× N VIN = 1 NIr · · · (46) つまり,中継部の巻数で中継部の電圧・電流比を変えるこ とができる。中継部では,Lrと共振するようコンデンサを 設置しているため,大きな共振電流Irが流れるが,中継コ イル方式では中継部の巻数変更で電流が抑えられるメリッ トがある。PS方式でも,L1を増加させることで共振電流 IC1の低減は可能であるが,(31)式より入力電圧も増加す るため,電源の制約上,共振電流を大きく低減することは 難しい。 7. トランスの仕様と回路構成 〈7・1〉 トランスの仕様 中継コイル方式とPS方式の 特性を確認するため,2種類のトランスを作製した。鳥瞰図 とトランス寸法をFig. 2に,ギャップ長160 mmで位置ず れのない状態を標準状態とし,そのときのトランス定数を Table 3に示す。特性の差異を確認するため,2方式は同形 状とした。トランスはH型トランスを基本形状として比較 した。トランスのコアにはフェライト,巻線にはリッツ線, トランス背面には電磁遮蔽用アルミ板を使用した。Fig. 2(c) に示す通り,中継コイル方式は中継コイルを一次コイル上 に巻いた形状となっている。二次コイルは2方式共に同形 状のコイルを使用した。一次と二次の巻数は共に4T,14T とし,中継コイルの巻数は28Tとした。コンデンサ,負荷 抵抗RLはTable 3のトランス定数を基に決定した。また, 比較として,SP方式の定数も併せて掲載した。SP方式の トランス定数はPS方式の一次と二次を逆転させた定数と なっている。 〈7・2〉 入力インピーダンス 中継コイル方式とPS方 式の2方式の入力インピーダンスをFig. 3に示す。基本周 波数付近では2方式は同程度である。しかし,高調波領域 では異なっており,さらに2方式共に基本波と比べて低次 高調波のインピーダンスは低い。このため,方形波電源で 駆動すると高調波電流の影響により効率が低下するほか, 基本波における特性の比較が難しい。よって,本稿ではイ ンバータ電源の後にフィルタを接続し,疑似的な正弦波を 出力する電源を用いて実験を行った。フィルタを用いるこ とによりシステム全体の効率低下が懸念されるが,入力電
(a) Bird’s-eye view (b) Secondary
(c) Primary (Repeater Coil topology) (d) Primary (PS Capacitor topology) Fig. 2. Bird’s-eye view and Transformer dimensions.
Table 3. Transformer Parameters.
源の高調波成分が低減できるため,基本波での給電が可能 となるほか,高調波の漏洩電磁界が低減できるメリットが
Fig. 3. Input impedance.
ある(20)。走行中給電では大電力の給電が想定されるため, 漏洩電磁界の低減対策は必須である。今後は大容量の正弦 波インバータが開発され,高調波の低減対策が不要となる ことも考えられるが,当面はフィルタ等を用い,疑似的な 正弦波電源としたシステムで検討する必要がある。 〈7・3〉 回路構成 2方式の回路構成をFig. 4に示す。 電源は f0= 85 kHzのフルブリッジ方形波インバータを用 い,二次側の整流器は全波整流回路を用いる。基本波での 特性を比較するため,トランスの前にバンドパスとなるLC 直列フィルタを使用した。フィルタの定数をTable 4に示 す。負荷抵抗RLは,トランス効率が最大となるよう設定
(a) Repeater Coil topology
(b) PS Capacitor topology Fig. 4. Circuit structure.
Table 4. LC Filter Parameters.
(a) Without winding partition
(b) With winding partition
Fig. 5. Divided winding circuit and Voltage vector figure.
した。 〈7・4〉 中継コイルの高電圧対策 中継部の巻数は一 次コイルの7倍であるためVrも7倍となる。コンデンサ Crの耐圧不足や巻線間の絶縁破壊を防ぐため,巻線とコン デンサを4分割した。巻線とコンデンサの分割数に応じて 電圧が抑えることができる(21)。 2 分割した場合を例として説明する。Fig. 5に巻線分割
した回路とベクトル図を示す。Fig. 5(a)は分割前,Fig. 5(b)
は分割後の回路とベクトル図である。中継コイルの巻数を 半分に分け,Crの2倍の容量にしたコンデンサを2つ用い て,巻線と交互に接続する。リアクタンスの和は変わらず0 なので,分割数に関わらずVABは銅損のみとなる。分割し ない場合,巻線のリアクタンスがそのままVrに影響する。 巻数を分割する場合,2分割した巻数の間にあるコンデン サの電圧ベクトルがコイルと逆向きとなるため,コイル部 の電圧Vrを大幅に低減させることができる。
Table 5. Experimental and Theoretical values at stan-dard position.
(a) Repeater Coil topology (b) PS Capacitor topology
(a) Repeater Coil topology (b) PS Capacitor topology Fig. 6. Input waveform at standard position. Table 6. Experimental values without 2nd coil. (a) Repeater Coil topology (b) PS Capacitor topology
(a) Repeater Coil topology (b) PS Capacitor topology Fig. 7. Input waveform without 2nd coil.
8. 給電実験 作製したFig. 2のトランスを使用して中継コイル方式, PS方式の給電実験を行った。標準状態で3.0 kW給電とな るようVINを決定した。 〈8・1〉 標準状態時の特性 標準状態での給電実験を行 い,理論値との比較と2方式の給電特性差異を確認した。標 準状態時の実験値と理論値をTable 5に,入力波形をFig. 6 に示す。Table 5の電圧・電流は実効値である。 Table 5より,2方式は理論値とよく一致しており,入出 力特性はほぼ同程度である。また,Fig. 6より,入力電圧・ 電流波形は共に正弦波であり,力率はほぼ1である。よっ て理論式の妥当性が確認できた。 2方式の特性差異について比較する。共振電流を比較す ると,PS方式のIC1は66.3 Aと大きな電流が流れているの に対し,中継コイル方式のIrは9.9 Aと約1/7である。これ
(a) PL (b) ZIN (c) Efficiency
Fig. 8. PL, ZINand Efficiency at misalignment.
(a) Repeater Coil topology (b) PS Capacitor topology Fig. 9. Each Voltage and Current by misalignment.
は,中継部の巻数がPS方式の7倍であるためであり,設計 通り電流が抑えられていることが確認できる。また,中継 部のVrはVINの7倍で1,400 Vを超える値となるが,巻線 を4分割しているため約7/4倍の360 V程度となっている。 〈8・2〉 二次コイル不在時の特性 二次コイル不在時 の給電実験を行い,2方式の給電特性差異を確認した。実
験結果をTable 6に,入力波形をFig. 7に示す。Table 6の 電圧・電流は実効値である。両方式ともインピーダンスが 増加し,IINが大きく低減できることが確認できた。また, 消費電力も抑えられており,入力電力PINは100 W程度で ある。これは,一次側コイルの銅損とフェライトの鉄損で ある。共振電流を確認すると,中継コイル方式のIr,PS方 式のIC1ともに二次コイルの有無に関わらず変動が見られ ない。Table 2で示した通りほぼ一定である。PS方式のI1 が標準状態時より0.3 A増加しているが,これは力率が低 下したためである。また,両方式の電流波形は共に三角波 となったが,原因については次章で述べる。 〈8・3〉 位置ずれ特性 x方向への位置ずれ特性を確認 した。標準状態からx= 250 mmまで50 mm間隔で給電を 行った。参考として,SP方式の結果も併せて比較した。定 電圧駆動(VIN一定)では位置ずれ時に過大な電流が流れ てしまうため,定電流駆動(IIN一定)とした。Fig. 8に位 置ずれ時の出力電力PL とインピーダンスZIN,効率ηを 示す。 Fig. 8(a)より,出力電力は2方式とも同等の特性であり, 位置ずれと共に出力が抑えられている。Fig. 8(b)に示す通 り,位置ずれの拡大に伴いインピーダンスが増加している ためである。250 mmの位置ずれで中継コイル方式のイン ピーダンスは13.2Ωから39.5Ωへ,PS方式は15.7Ωか ら44.6Ωへ約3倍増加している。 効率は,2方式とも200 mmの位置ずれでも90%付近の 高い効率を維持しているが,どの位置においても中継コイ ル方式の効率は1%以上高い。PS方式の一次コイルには約 70 Aの電流が流れるため損失が大きい。並列数を増やし, 巻線抵抗を低減することでPS方式も中継コイル方式と同 程度まで効率を高めることができる。 参考として定電流駆動でSP方式の給電も行ったが,PL は中継コイル,PS方式の定電圧駆動と同程度の特性が得ら れた。インピーダンスは,位置ずれと共に低下するため,定 電圧では駆動できない。250 mmの位置ずれで8.8Ωから 3.1Ωと約1/3となり,中継コイル方式,PS方式の逆数で ある。 2方式の各部の電圧・電流をFig. 9に示す。Fig. 9の電 圧・電流は実効値である。インピーダンスに差異は見られ るが,入力のVIN,IIN,出力のVD,IDは2方式共に特性は ほぼ同等である。一次側の特性を見ると,中継コイル方式 の電圧VIN,Vr,電流Irは,どの状態でも一定であり,IINの みが変化する。これはPS方式の特性も同様である。I1は, Table 2(b)よりIINが含まれているが変動が見られない。こ れは位置ずれでVINとIINの基本波の位相がずれ力率が低 下したことが原因と考えられる。
9. 二次コイル不在時の電流値 前章の二次コイル不在時の給電実験において,入力電流が 三角波となった原因について説明する。Table 3の定数を用 いて二次コイル不在時のインピーダンスを求めると,(3)(34) 式より,中継コイル方式は1132.4Ω,PS方式は1345.4Ω となり,Table 6に示す実験値112.9Ω,122.3Ωから大き くかい離している。二次コイルの有無による定数の比較を したところ,差異がみられた。Table 7に示す。二次コイル 不在時のインピーダンスは,インダクタンスの変化により 低下していることが確認できる。これは,二次コイルの有 無により一次コイルがつくる磁路が変化したためと考えら れる。二次コイルがある場合,Fig. 3より,共振周波数付近 ではインピーダンスの変動は小さく,インダクタンスの変 動による影響を受けにくい。しかし,二次コイルがない場 合,Fig. 10より共振周波数付近でインピーダンスは大きく 変動する。このため,入力電流IINに大きく影響を与える。 よって,二次コイル不在時の入力電流IINはインダクタン スの変化を考慮して導出する必要がある。 〈9・1〉 基本波による影響(中継コイル方式) 最初に 中継コイル方式の解析を進める。インバータ出力電圧は方 形波であるため,以下の(47)式で表すことができ,基本波 成分は(48)式となる。VINVはインバータ電圧の波高値で ある。また,(47)式は交流の方形波であるため,波高値と 実効値は同値となる。 vINV(t)= 4VINV π ejω0t+1 3e j3ω0t+1 5e j5ω0t+ . . . · · · ·(47)
Table 7. Comparison of parameters with and without 2nd coil.
Fig. 10. Input impedance without 2nd coil.
vIN,1(t)= 4VINV π e jω0t · · · ·(48) (47)(48) 式の虚数成分をインバータ出力電圧vINV(t), vIN,1(t) の瞬時値とする。インピーダンスは(3) 式である が,中継部のインピーダンスが大きいため,一次の成分は 無視でき,(49)式と近似できる。 ZIN,1≈ (ω0M1r)2 rr+ jω0Lr+ 1/( jω0Cr)· · · (49) (48)(49)式より,入力電流iIN,1は(50)式となる。 iIN,1(t)= vIN,1(t) ZIN,1 = 4VINV π rr (ω0M1r)2 ejω0t +ω0Lr− 1/(ω0Cr) (ω0M1r)2 ej(ω0t+π/2) · · · (50) 二次コイル不在時のインダクタンスをLr’,M1r’とする。 さらに,(4)式よりCrを消去すると(50)式は,以下(51)式 に整理できる。ΔLrは設計値Lrの変化量である。 iIN,1(t)= 4VINV π ⎧⎪⎪ ⎪⎨ ⎪⎪⎪⎩ rr ω0M1r 2e jω0t+ ΔLr ω0M21r ej(ω0t+π/2) ⎫⎪⎪ ⎪⎬ ⎪⎪⎪⎭ · · · ·(51) ΔLr= Lr− Lr· · · ·(52) 〈9・2〉 基本波による影響(PS方式) PS方式も中継 コイル方式と同様,インダクタンスの変化でインピーダン スが低下しているため,同様に解析を進める。 インピーダンスは(34)式であるが,分子の巻線抵抗r1は リアクタンスω0L1に比べ十分に小さい。分子のr1を省略 すると以下の(53)式となる。 ZIN,1≈ L1/C1 r1+ jω0L1+ 1/( jω0C1)· · · (53) (48)(53)式より,入力電流iIN,1は(54)式となる。 iIN,1(t)= vIN,1(t) ZIN,1 =4VINV π r1 L1/C1 ejω0t+ω0L1−1/(ω0C1) L1/C1 ej(ω0t+π/2) · · · (54) 二次コイル不在時のインダクタンスをL1’とする。さら に,(30)式よりC1を消去すると(54)式は,以下(55)式と なる。ΔL1は設計値L1の変化量である。 iIN,1(t)= 4VINV π ⎧⎪⎪ ⎨ ⎪⎪⎩ r1 ω2 0L1L1 ejω0t+ ΔL1 ω0L1L1 ej(ω0t+π/2)⎫⎪⎪⎬ ⎪⎪⎭ · · · ·(55) ΔL1= L1− L1 · · · ·(56) 〈9・3〉 高調波による影響 入力電圧VINは,方形波 にLCフィルタを追加した疑似的な正弦波であるため,実 際には高調波成分が残る。二次コイル不在の場合は入力電 流IINの基本波成分が小さく,高調波の影響を受けやすい。
(a) Repeater Coil topology (b) PS Capacitor topology Fig. 11. Input impedance without 2nd coil with LC filter.
このため,入力電流IINには高調波による影響を考慮する 必要がある。 インバータ出力電圧の高調波成分は(57)式となる。 vIN,2n−1(t)= 4VINV π · 1 (2n− 1)e j(2n−1)ω0t· · · ·(57) (n= 2, 3, 4, . . .) vIN,2n−1は2n− 1次高調波の電圧である。二次コイル不 在時のトランスにLCフィルタを加えたインピーダンス特 性をFig. 11に示す。Fig. 10より,二次コイル不在時のイ ンピーダンス特性を比較すると,Fig. 3と同様に基本周波数 付近では2方式は同程度であるが,高調波領域では異なる。 しかし,Fig. 11より,LCフィルタを加えたインピーダン ス特性を比較すると,高調波領域ではフィルタのLfが支配 的な領域であることがわかる。つまり,高調波については Lfのみ考慮すればよい。よって,インピーダンスは(58)式 として表せる。 ZIN,2n−1= j(2n − 1)ω0Lf · · · ·(58) (n= 2, 3, 4, . . .) ZIN,2n−1 は2n − 1次高調波のインピーダンスである。 (57)(58)式より,入力電流iIN,2n−1は以下の(59)式となる。 iIN,2n−1(t)= vIN,2n−1(t) ZIN,2n−1 = −4VINV π · 1 ω0Lf(2n− 1)2 ej{(2n−1)ω0t+π/2} · · · (59) 〈9・4〉 二次コイル不在時の電流波形と実効値 イン バータ出力電圧VINVは方形波であるため,入力電流IINは, 基本波成分と高調波成分の和として扱う。つまり,中継コ イル方式は(51)(59)式の和となり,PS方式は(55)(59)式 の和となる。整理すると以下の(60)(61)(62)式となる。 iIN(t)= iIN,1(t)+ ∞ n=2 iIN,2n−1(t) =4VINV π ⎡ ⎢⎢⎢⎢⎢ ⎣Aejω0t+ Bej(ω0t+π/2) +C∞ n=2 1 (2n− 1)2e j{(2n−1)ω0t+π/2} ⎤ ⎥⎥⎥⎥⎥ ⎦· · · (60) (中継コイル方式) A= rr (ω0M1r)2 , B = ΔLr ω0M21r , C = ω−1 0Lf· · · (61) (PS方式) A= r1 ω2 0L1L1 , B = ΔL1 ω0L1L1, C = −1 ω0Lf· · · (62) (60)式のA,B,C値は回路方式で異なり,中継コイル 方式は(61)式,PS方式では(62)式が適用される。 ここで,VINVを基準に導出した(60)式から,VINを基準 に置き換える。Fig. 6及びFig. 7よりフィルタを介したト ランスの入力電圧VINは正弦波となっており,インバータ 電源の方形波電圧VINVの基本波とほぼ等しい。よって,イ ンバータ電源電圧の基本波成分を表す(48)式から(63)式 を得る。(63)式より入力電圧の実効値VINを基準に置き換 えたのち,複素形式から瞬時値に直すと(64)式となる。ま た,実効値は(65)式と表すことができる。 4VINV π = √ 2VIN · · · ·(63) iIN(t)= √ 2VIN ⎧⎪⎪ ⎨ ⎪⎪⎩Asinω0t+ B cos ω0t +C∞ n=2 1 (2n− 1)2cos (2n− 1) ω0t ⎫⎪⎪ ⎬ ⎪⎪⎭ ···(64) IIN = VIN A2+ B2+ π4 96− 1 C2· · · ·(65) (64)(65)式の各項について整理すると,第一項(A)は基 本波の抵抗成分,第二項(B)はLの変化による成分,第三 項(C)は高調波+フィルタ成分となる。例えば,正弦波入 力,かつLの変化がない(ΔL = 0)場合は力率が1となる が,方形波入力やΔL 0であれば,cos成分が加算される ため,力率が低下する。ΔLの大きさは(65)式よりIINの 大きさに影響するため,Lの変動を考慮した設計をする必 要がある。
(a) Repeater Coil topology (Exp) (b) Repeater Coil topology (Theory)
(c) PS Capacitor topology (Exp) (d) PS Capacitor topology (Theory) Fig. 12. Input waveform without 2nd coil by experiment and theory.
Table 8. VINV, VIN, IIN and ZIN without 2nd coil by
ex-periment and theory.
(a) Repeater Coil topology
(b) PS Capacitor topology 〈9・5〉 電流値の確認 理論式の妥当性を確認するため, 二次コイル不在時の実験値と比較した。電流波形をFig. 12 に入力電圧・電流,インピーダンスをTable 8に示す。 Ta-ble 8の電圧・電流は実効値である。Fig. 12の理論波形は第 15次高調波まで加算した。2方式とも波形はほぼ同形状で あり,三角波となっている。インピーダンスの差異は見ら れるが,実効値も理論値とほぼ同等であり,理論式の妥当 性が確認できた。 ここで,ΔL = 0とした場合,IINの波形は三角波から崩 れ,実効値が低下している。中継コイル方式は0.49 A,PS 方式は0.53 Aまで減少した。ΔLの影響でIINが悪化し三 角波となっているといえる。Table 7よりLの変動は2方式 とも約−2.6%であるが,IINは3倍以上増加している。ΔL の変動が電流値に大きく影響していることが確認できた。 10. ま と め 従来の走行中非接触給電システムで検討されている回路 方式では,位置ずれや二次コイル不在時にインピーダンス が低下し,過大な電流が流れてしまう問題がある。制御機 構なしで過電流を抑え,トランスの入力電圧を一定とした 駆動が可能となる中継コイル方式が提案されている。現在, 中継コイル方式の入出力特性や効率を考慮した設計方法に ついては明らかにされていない。本稿では位置ずれに強い H型トランスを用いて中継コイル方式の回路解析を行い, 特性評価を行った。 また,別の回路方式として,PS方式がある。PS方式も 位置ずれや二次コイル不在時での過電流を抑えることがで き,かつトランスの入力電圧を一定とした駆動が可能な方 式である。PS方式との比較を行い,特性の差異を明らかに した。 中継コイル方式の回路解析では,二次コイル不在の場合 にインピーダンスが最大となるような設計方法,給電時に おいては高効率であり,理想変圧器特性が得られる設計方 法を示した。2方式の理論式を比較すると,特性に類似性が みられ,中継コイルを一次コイルと密結合となるよう設計 することでPS方式と同様の特性が得られることが分かっ た。入出力特性は共に一次と二次コイルの巻数比で決定で き,中継部の巻数に依存していないことが分かった。中継 コイル方式のみの特徴として,中継部の巻数を変更するこ とにより,電圧・電流比を変えることができるため,中継 部の共振電流を抑えられることが分かった。 また,給電実験から2方式の特性差異を確認した。標準 状態,位置ずれ特性では,インピーダンスの違いがみられ るが,近い特性を示し,理論式の妥当性が確認できた。二 次コイル不在時での給電特性では2方式は同等の特性を示 し,電流波形は三角波となった。三角波となった原因は,イ ンダクタンスの変化と入力の高調波による影響であり,理 論的な観点から明らかにした。 今後,走行中非接触給電システムの検討を進めていく上 で,回路方式の特性を考慮した設計方法を検討していく。 また,安全性の観点から無効電流が抑えられるようインダ クタンスの変化を考慮したトランスの設計を行っていく。 なお,本研究はJSPS科研費JP16K06208の助成を受け たものである。 文 献
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