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BTMU(China) 経済週報 2012 年 2 月 8 日第 96 期 BTMU(China) 経済週報 中国における人件費 労働コストの上昇 ( 続 ) ~ 春節連休前後の労働力移動の観察と考察 2012 年 2 月 8 日第 96 期 メイントピックス 2 中国における人件費 労働コストの上

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BTMU(China)

経済週報

中国における人件費・労働コストの上昇(続)

春節連休前後の労働力移動の観察と考察

2012 年 2 月 8 日 第 96 期

中国における人件費・労働コストの上昇(続)

春節連休前後の労働力移動の観察と考察

メイントピックス 2 中国における人件費・労働コストの上昇(続) 春節連休前後の労働力移動の観察と考察 2 全国情報 8 【マクロ経済】 8 2012 年「中央 1 号文書」公布、農業科学技術をより重要な位置に 8 国務院、小型零細企業の健全な発展を支援する措置を発表 9 1 月の PMI、0.2 ポイント上昇の 50.5 9 湖南省・湖北省の名目 GRP が初めて上海を上回る 増加率は天津・重慶が共にトップ 10 上海、北京、天津で 2011 年 1 人当たり GRP が 8 万元超える 10 温家宝・国務院総理、欧州債務危機への積極的な関与を示唆 11 【金融】 11 2011 年の銀行業金融機関総資産は 111.5 兆元 前年比 18.3%増 11 上海国際金融センター「五ヶ年」建設規画公布=2015 年に取引規模1千兆元に 11 【投資】 12 三一重工、独プツマイスターの株式 90%を 26.54 億元で取得 12 【産業】 13 【不動産】2011 年の不動産向け貸出は 1.26 兆元増 前年比 7,704 億元減 13 【非鉄金属】工業・情報化部、非鉄金属工業「十二五」計画を公布 13 【消費】2012 年春節期間の観光・消費状況 13 【レアメタル】WTO、中国のレアメタル輸出規則は協定違反と認定 14 【石油】中国、原油対外依存度は 2011 年 57%に 2013 年に 60%を超えるか 14 地方情報 14 【北京】2011 年の GRP 伸び率は 8.1% 14 【上海】上海税関が今年の業務方針発表 貿易利便化に向け取り組み強化 15 【連雲港】2011 年の工業企業生産額 付加価値ベース伸び率は江蘇省 2 位 15 【済南】2011 年度の対外貿易は 100 億ドル台に達する 15 【煙台】2012 年度の重点プロジェクトへの投資額が 1 千億元超 15 【青島】Agility グループが青島市に投資 16 【青島】2011 年度新規海外投資額が 5 億ドルに達する 16 【重慶】2012 年の外資利用目標は 110 億ドル、フォーチュン 500 社企業を 20 社誘致 16 【成都】レノボ、西部産業基地を成都で着工に 16 【深圳】最低賃金を 1,500 元に引き上げ、全国トップに 17 【武漢】今年、投資誘致倍増計画を実施=フォーチュン 500 社専用対応機関を設置 17 【上海】商業拠点は人口 1 万人当たり 57.6 店舗、密度は全国トップレベル 17 【浙江】2011 年の輸出入総額は 3,094 億ドル 輸出は上海を抜いて全国トップ 3 に 17 【嘉興】中古車取引が好調 2011 年の取引台数は新車登録台数の 4 割強、前年比+57.3% 18 【安徽】2011 年の輸出額は 300 億ドルを突破 前年比 29.1%増 18 【福建】2015 年までに 15 の 1 千億ドル以上の先進的製造業基地形成へ 18 人民元市場動向 『人民元は小幅反発、一時 6.29 台』 20 中国のマクロ経済指標 21 2011 年全国各地の最低賃金基準状況(単位:元) 21 2011 年 27 省(市・自治区)の給与指導ライン公布状況(単位:%) 22 BTMU の中国調査レポート(2012 年 1 月~2 月) 23

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メイントピックス

中国における人件費・労働コストの上昇(続) 春節連休前後の労働力移動の観察と考察

正月を故郷で迎える人々の帰省と休暇後の生活・就業先への大移動は「春運1」と呼ばれ るが、寄せては返す潮の満ち引きに例えられる人々の流れに近年変化がみられる。歴史 的に早くから発展が進んできた東部沿海地域の各所で「休暇後に職場に戻ってくる従業 員が減ってきた」「採用したいが思うように人が集まらない」という声が数多くあがる ようになり、働き手(多くを占める農村部からの外出労働力「農民工」)不足を意味す る「民工荒」(「荒」は不足の意)、「招工難」(採用難)現象は、とりわけこの季節 の大きな関心を集める。本稿では、春節連休前後の労働力移動の状況、求人側、求職側 双方の思惑や行動、政府の対応を、報道ぶりから整理し、若干の分析を試みることで、 中国における人件費・労働コストの上昇に関する考察を続けてみたい2 一、 各地の状況 以下ではまず連休前後の外出労働力の移動状況を地域別に報道から切り出し整理する。 (広東:省外労働者の戻りのペースは例年並み、企業は操業再開を例年比 2~3 日後退) 広東省各地のモニタリングによると、同省では 1 月 30 日までに省外に帰省した 981 万 人の労働者のうち 3 割弱に相当する 312 万人が省内に戻り、省内の約 6 割の企業で操業 が再開された。今年は操業再開を旧暦 1 月 10 日(初十)以降と例年と比べ 2~3 日後退 させる企業が一部でみられたが、職場復帰率は例年並みで、操業を再開した企業の職場 復帰従業員数は帰省従業員数の約 5 割前後となっている。春節前の調査ならびに企業の フィードバックに基づく「春運」終了時点の従業員の職場復帰率は 9 割前後に届くもの と予測されている。人材資源市場における需給は全体として平穏で、春節後の全省の人 材市場における求人倍率は 1.15~1.18、旧暦 15 日の元宵節後には 1.1 以下に低下する と予測されている。珠江デルタ地区で相対的にタイト、省東部・西部では安定している。 広州:市人的資源市場服務中心が実施した 24.27 万人を雇用する 300 社の企業を対象と したサンプル調査によると、広州市の春節前後の労働力流動状況の各種指標は前年と変 わらずとの結果となった。労働者の 93.28%が休暇後に職場復帰を予定しており、休暇 後の労働力不足は広州市の 800 万余の就業者の約 1.4%に相当する 11 万人前後で、一昨 年と昨年の 15 万人から減少する見通しである。同中心の張宝穎・主任によれば、昨年 末から年初にかけて広州市の求人倍率は 1.34 に達していたが元宵節後は求職者が増加 するとみている。同氏が雇用規模 200~2,000 人の 300 余社の企業で行った調査では 技能レベルに対する要求のない職位では月収 1,800~2,300 元(前年比 20~30%増)、 初級技能レベルでは 2,000~2,500 元(8~11%増)、同中級では 2,600~3,100 元(10 ~13.4%増)、同高級では 3,500~4,000 元(10%増)の求人が主体であり、各技能レ ベル別の賃金の伸び幅は昨年より大きくなっている。 中山:2 月 2 日に広東省人的資源・社会保障庁と中山市が合同で行った就職説明会には 230 社余りが 1 万を超える求人ポストを用意、5,000 人余りが参加した模様である。会 場内では同市の最低賃金基準 1,100 元に対し、ブースに募集要項を掲示する企業の基本 1 2012年は1月8日から2月16日までの40日間 2 前稿は「中国における人件費・労働コストの上昇について 整理と考察」(BTMU(CHINA)経済週報第91号所収

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給は軒並み 1,800 元となっていた。一般工員の基本給を 2,500 元(昨年比 20%増)に引 き上げた某紡績メーカーの採用担当者は(採用難は)賃金水準や福利厚生に魅力がない のではなく、働き手にとって内陸部に止まる機会と選択が増えたことが理由だとコメン トしていた。 広東省では 2 月 1 日までに省レベルの人的資源・社会保障部門が組織した就職説明会が うち省と市の共同実施 4 会場を含む 85 会場、4,800 余社が参加し、17 万人の求職者が 来場し約 6.5 万人が企業と就業する意向で合意した。 (天津:TEDA など開発区が組織して全国で人材募集活動を展開) 濱海新区では省外からの労働力の再輸入で労働需給は緩和に向かうとみられている。開 発区内の労務仲介サービス会社は求職者で混み合っていたが、仲介会社の責任者は、新 区は生活コストが高く、従業員の実質的な可処分収入は必ずしも多くない。天津の賃金 水準は南方地域と比較して低く、今年の人材流出は増えても減ることはないと分析する。 天津経済技術開発区(TEDA)人的資源社会保障局によると、サムスン、モトローラ、長 城汽車、富士康、鴻富錦等、区内十数社の労働力需要が大きい企業を数組に組織して、 江西省上饶市、山東省徳州市、河北省承徳市で一連の採用活動を展開する。活動に参加 する企業の操業計画に基づく 2012 年の求人需要は 45,000 人を超えており、第 1 四半期 に 16,000 人が必要とされている。活動は上記 3 地で 6 回の説明会を行い、6,500 人を超 える求職者を集める計画。このほか、TEDA は河北省、河南省、陝西省、吉林省等各地で 今月中にも開発区が主催する人材招聘活動を実施する予定。今月下旬には天津市及びそ の他の省市の職業学校でもキャンパスリクルーティングを相次ぎ起動させる。 他方、天津市外来務工3就業服務中心が主催した就職説明会には 100 社近くの企業が 3,700 の求人ポストを用意して参加したが、求職者は 2,800 人に止まった。参加した企 業関係者によると、技術職では勤続期間に連動する賞与や住宅積立金を含む社会保険、 子女の教育費補助まで準備して従業員の引き止めに腐心する企業もあり、引き止めにあ る程度成功していることが窺われ、かかる説明会に参加する求職者の技術水準は総じて 低く企業側の求人条件が合致しないケースが多い。 (江蘇:世界経済の減速で求人数はやや減少 賃金上昇・待遇改善で求職者多い) 江蘇省就業管理中心の郁桂萍・主任によれば、経済成長のスピードが鈍化し、春節後の 省内の新規雇用増は例年を若干下回る見通しだが、農村出身の労働者にとり求職は決し て困難ではない状況だという。1月の省下 13 市の公共就業サービス機関の求人数 37.1 万人に対し求職数は 31.89 万人で、求人倍率は 1.16 だった。 南京:毎年春節連休明け初日に南京市と玄武区が南京鉄道駅前広場で行う、農村出身の 労働者対象の就職斡旋、各種相談活動は、例年と比べ閑散としていた。また南京市内の 人材サービスセンターである安徳門民工市場に来訪する求職者も出足は減少している。 蘇州:蘇州工業園区では昨年の緊張と異なり労働市場は平穏な状況である。その要因と して求職者が多く、企業が賃金引き上げ、福利厚生面での改善などで人材の流出を防い でいることが指摘される。園区人的資源中心の数百のブースで採用活動が行われており、 多くの企業が一般工員に月額賃金総額税前で 2,500~3,500 元、食事、住宅込みといっ た条件である。採用決定後に手当を用意する所もある。求職者が多いが求人も多いため、 3 中国語で「務工」とは技術や技能に対する要求レベルが低い職種に従事する肉体労働者を指して用いられる用語。

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最低賃金 1,140 元を上回るラインがスタートラインになっている模様で、春節前後に離 職しなかった場合の手当、故郷から就業の意向のある同郷者を連れて戻ってきた場合の 手当(ある企業では 500 元)、新たに採用された場合、新生活の準備金としての手当を 支給するところもある。賃金水準は欧米企業が日韓、中資系企業より高いが、欧米企業 は採用が少なく、多くの求人が出ているのは中資、台湾系企業が多いという。 省就業管理中心の王東平・副主任によると、労働市場における求職者は実際の所少なく はなく、従業員と労働契約を締結し彼らを社会保険に加入させる企業の求人活動に困難 は少ない。採用難という多くの企業は労働時間が長く、労働環境に劣り、従業員を社会 保険に加入させず給与支払い遅延や未払いを発生させているという。江蘇省、とりわけ 蘇南地域では、企業間で優秀な人材の確保に努力し時に競いあうなかで、賃金水準や福 利条件が総体として上昇・改善し、流動性に一定の歯止めがかかり、またかかる好条件 から外出労働力の流入も多い様子である。 (安徽:外出労働力の五大出身地の一つで外出労働者が前年比減少) 阜陽:安徽省は例年 1,000 万人を超える外出労働者を送り出し、全国五大外出労働力輸 出省に数えられる。なかでも「農民工」の故郷として全国にその名を知られる阜陽は総 人口約 987 万人に対し半年以上外出する者が約 31.3%、さらにそのほぼ 9 割が省外で生 活をしている(数字は 2008 年)。その阜陽からの外出労働者の減少が観測されている。 2011 年の外出労働者は約 260 万人で前年から 7 万人減少した。今年の春節の帰郷者数と 130 万人前後とやはり減少すると見られている。同地でも近年地元に開発区の整備が進 み、企業進出にともない地元での雇用が増加している。地元政府は帰郷者を地元に引き とめようと、1月 15 日には 10 万の求人ポストを用意する大型就職相談活動を起動させ た。1月 28 日(初六=正月六日)時点で鉄道阜陽駅から出発した旅客数は延べ 15 万 2,094 人で、前年同期比 11.8%減少した。上海、杭州・寧波、広東、北京を目的地とする臨時 を含む各列車のチケットは大量に売れ残った。駅関係者はこれまでにない変化と訝しむ が、地元で起業、就業をする者も増えており、また外地で成功し今では自家用車や飛行 機で帰省する者など近年の「春運」では移動手段にも変化も生じている様子である。 (湖南:進出企業の増加で高級技能人材と大量に不足感) 湖南省では 2 月 1 日から 27 日までの期間、「2012 年産業移転来湘(注:湖南投資)企 業採用招聘会」が省都長沙を皮切りに、株洲、湘潭、衡陽、岳陽、常徳、益陽、郴州、 永州の 9 会場で開催され、25 の世界 500 強企業、160 の外商投資企業を含む 350 余社が 1万人の求人ポストを用意して参加する予定となっている。 長沙:1 日の長沙会場の観察によると、産業移転により湖南に投資した企業に不足して いるのは技術工員と一般工員の様子である。単独では参加企業で最多の 5,000 人を採用 予定の香港系企業(ディスプレイ用ガラス生産・販売)は長沙だけで 2 月中に 19 回の採 用説明会を実施する。当社代表によると一般工員は 18~42 才、住宅込み食事別で、手 取り月額 2,600~3,200 元が採用条件である。その他会場では独系(自動車部品)が 600 人、日系(電子)が 500 人、台湾系(食品)が 50 人、中資系(太陽電池モジュール組 立)が 400 人、中港合資(アパレル)が 200 人といった規模で一般工員の募集を行って おり、月額賃金のレンジは 2,000~3,000 元となっていた。

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二、 マクロ指標からの考察 上記の観察からも窺えるように、これまで労働力を送り出す側だった内陸・周辺省市へ の新たな投資や沿海地域からの産業移転が進み、外出労働者が沿海部に出ることなく就 業する機会が増えている様子である。図表1の通り、直近の中部地域への外商投資は、 ここ数年顕著な伸びを示している。 M ん 内陸・沿海周辺省市への新たな投資、沿海部からの伝統的産業を中心とする産業移転は、 地域間格差是正、沿海地域の産業構造高度化の要請に基づく国の政策的推進の下で展開 してきた。2000 年代の後半には道路や鉄道等インフラの整備・改善が進み、内陸振興の インセンティブが中央・地方レベルで用意された。企業の側でも市場獲得など先行投資 のメリットへの着目や、沿海部で土地取得、労働力確保が難しくなるなど事業活動上の 制約が強まった結果から対応の動きが本格化してきた。 図表 2、3 は年齢構成別及び地域別にみた求人倍率の推移である。 図表2と3:年齢構成別、及び地域別にみた求人倍率の推移 2008 年後半から 2009 年にかけてグローバル危機の影響が中国にも波及して、沿海部の 輸出企業で雇用調整に見舞われた多くの外出労働者が職場を離れた。四半期 GDP 成長率 は 2008 年第 4 四半期にまで落ち込んだ後、2009 年第 2 四半期以降、7.2%、7.9%、9.1% 0.70 0.75 0.80 0.85 0.90 0.95 1.00 1.05 1.10 I Ⅱ Ⅲ Ⅳ I Ⅱ Ⅲ Ⅳ I Ⅱ Ⅲ Ⅳ I Ⅱ Ⅲ Ⅳ 08 09 10 11 東部 中部 西部 ( 年) 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1.0 1.1 ⅠⅡⅢⅣ ⅠⅡⅢⅣ ⅠⅡⅢⅣ ⅠⅡⅢⅣ ⅠⅡⅢⅣ ⅠⅡⅢⅣ ⅠⅡⅢⅣ ⅠⅡⅢⅣ ⅠⅡⅢⅣ ⅠⅡⅢⅣ ⅠⅡⅢⅣ 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 ( 倍) 16-24歳 25-34歳 35‐44歳 45歳以上 0 8 . 9 リ ー マ ン シ ョ ッ ク         1 0 春~労働争議多発 人手不足 (注)山西省の 2011 年は 1~11 月、河南省の 2011 年は推計 (資料)CEIC、各省市政府発表に基づき三菱東京 UFJ 銀行(中国)企画部上海調査チーム作成 図表1:中部地域 6 省に対する外商直接投資(実行額)の推移 16.4 66.3 60.6 46.6 61.5 120.0 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 110 120 130 山西 河南 安徽 江西 湖北 湖南 ( 参考) 上海 ( 億米ド ル) 2000年 2005年 2009年 2010年 2011年 (資料)CEIC より三菱東京 UFJ 銀行(中国)企画部上海調査チーム作成

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とV字回復と遂げていく。海外輸出市場の復調により、第 3 四半期以降、輸出も増加に 転じていったが、沿海部では工場労働者の戻りが遅く、受注をこなすために残業が増加 する等、労働者の負担が強まった。2010 年の春先から秋頃まで連鎖的に続く労働争議の 頻発の伏線が引かれていたこの時期、求人倍率は東部地域で人手不足を示す1を上回り、 年齢別では 2011 年以降、大学卒業から実務経験 3 年程度の 25 歳から 34 歳のレンジで 同様に 1 以上となっている。再び地域別では、東部で 2011 年第 2 四半期以降、景気減 速とペースを一にしながら低下しているのに対し、中部地域は上昇する傾向にある。 三、 外出労働者の就労志向の変化 「相対的に賃金水準は低いが物価も同様に低く、消費の誘惑も青天井の大都会と比較す ればそれなりだ。その気になれば月に一度でも週末にでも故郷に帰れる。近年内陸・沿 海周辺省市の都市でも再開発が進み、街並みも洗練され、流通が改善して物質的な豊か さも沿海部とさほど遜色がない。インターネットや高性能携帯電話の普及で最新な流行 や情報に遅れを取ることもない」―出身地に近い地域に新たな就職口が増え始めて以降、 現実的な選択として内陸・沿海周辺地域に職を求める若者が増え始め、逆に彼らを歴史 的に受け入れてきた地域では人集めが難しくなり始めている。 「八○后」(1980 年代生まれの世代)「九○后」と呼ばれる若者の気質や行動様式も就 業志向や就業地の選択に影響を及ぼしているとの指摘もある。都会に憧れて出てきたが、 生活コストは高く消費の誘惑も多い。気がつけば手元は心許なく、故郷の期待を裏切っ たのではと恐れ郷帰したくてもできない―このような若者を指す「恐帰族」と呼ばれる 言葉も生まれた。給料日に郵便局に故郷に送金する工員が列をなす、そのような伝統的 なイメージと逆に、今では故郷から仕送りをもらいながら沿海部で働く若者もいるとい う。 それまでの世代と比べた行動様式や外見に、採用する側も従来の常識にとらわれない対 応が必要な場面も出てこよう。だが前出の王東平・江蘇省就業管理中心副主任は、「八 ○后」以降の外出労働力は、より体面や安定を重視する傾向があり、それ以前の世代の ように職場を頻繁に変え、農繁期や春節に故郷との間を忙しく行き来しては職探しを繰 り返すことを避けるようになっている、と述べている。意外と安定志向が強いというこ とであろうか。これまでの観察でみてきたように、企業は従業員を繋ぎ止める各種の努 力をしている。地場企業の経営者の一部には、春節後に従業員が戻ってくるのを座して 待つのでなく、休暇中に従業員の故郷や自身の内陸部の出身地に赴き、採用活動を行う 者もある。また地元に多くの企業をかかえる政府も、「今年全国に人的資源供給基地を 建設し、企業の採用難の問題の解決に乗り出す。また従業員アパートの建設や優秀外来 労働者表彰制度などで働く者の帰属感を醸成する試みも続けていく(濱海新区)」「企 業に変わって従業員の公共賃貸住宅を解決し保障性住宅システムに組み込んで行くよ う努力(湖南省商務庁の謝建輝・庁長)」している。 四、産業高度化と立地調整 求める人材像とエリアに変化 需給ギャップは続くか 中国では生産年齢人口が 2015 年にもピークを迎え、今後緩やかな減少に向かう見通し であるが、今後短・中期労働力需給の状況は、かかる人口構造の長期変動の影響よりも 産業の高度化や立地の調整にともない、高まる労働者の質的要求と分布構造の変化に十 分な供給が続いていくかという点にかかっていると思われる。上述した湖南省長沙の就

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職説明会で、ある企業の採用担当者は、想定より求職者の待遇条件面の期待値が高く、 ミスマッチにより会場内で採用決定に至るケースは多くないと語ったという。「求職者 の意向と企業が求める専門性が不合理なことがミスマッチの主因で大卒生の多くが就 職できない。一方で技術職の求人は非常に多い(湖南省人的資源・社会保障庁の彭崇谷・ 庁長)」。就労地を選択できる外出労働力は依然豊富に存在し、就労地を変化させつつ あるが、高度技能人材も含め、産業移転が急ピッチで進む地域では人材の供給が不足気 味に推移する状況が今後しばらくは続くのではないか。 差し迫った問題ではあるが、目先に追われるだけでない、人材育成の方針なり方向性、 将来を見据えての学校教育や職業訓練への資源の投入、社会サービスの基盤整備と民生 の改善によって、過度な流動が必要とされない安定した雇用環境の構築を国として進め ることが重要であり必要となろう。同時に、企業にも安定した経営事業環境の提供に応 じた協力とコスト負担が求められていくことが予想される。 企画部上海調査チーム 藤原 孝之

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全国情報

【マクロ経済】

2012 年「中央 1 号文書」公布、農業科学技術をより重要な位置に 2 月 1 日、国務院は 2012 年の中央第 1 号文書「農業科学技術革新の推進加速により農産 品の供給保障能力を持続的に増強することに関する若干意見」(以下は「意見」と略) を公布した。「意見」は、2003 年以来「三農」関連の 9 つ目の「中央 1 号文書」となり、 農業の持続的かつ安定的な発展を実現し、農産品の供給を長期的に保障するため、科学 技術が根本的なポイントであると農業科学技術の重要性を強調している。「意見」の内 訳について、①財政と業務の投入拡大、②農業科学技術の革新、③農業技術の展開と農 業社会化サービスの推進、④科学技術教育の強化による農業人材の育成、⑤農業設備の 改善、⑥市場流通効率の向上、の 6 部分から言及した。 参考:過去 10 年の中央 1 号文書 年度 中央1号文書名 主要内容 2003年 『中国共産党中央国務院の農村部費用 税収の改革試行パイロットの全面推進 に関する意見』 ①農村部における税収、費用徴収の減免、②農村部の減税体 制の確立、③農民負担の公平化、④農業関連費用徴収の管理 強化、⑤農村部債務解消方法の模索 2004年 『中国共産党中央国務院の農民収入増加促進に関する若干の政策の意見』 ①食糧生産地域における食糧産業の発展を支援し、穀物を栽 培する農民の増収を促進、②農業構造の調整を継続促進、③ 農村の二次産業と三次産業を発展、④出稼ぎ労働者の就職環 境を改善、⑤農産物の販路を開拓、⑥農村のインフラ建設を 強化、⑦農村改革を促進、⑧貧困者扶助事業を強化、⑨農民 増収の促進事業を促進 2005年 『中国共産党中央国務院の農村事業の 強化、農業総合生産能力の向上に関す る若干の政策意見』 ①農村事業発展の促進策を改善、②耕地保護制度を厳守、③ 農地の水利・エコ建設を強化、④農業の科学技術を加速、⑤農 村のインフラ建設を強化、⑥農業・農村の経済構造調整を加 速、⑦農村の資金調達メカニズムを健全化、⑧農村の労働者 の素質向上に注力、⑨党の農村事業の指導を強化 2006年 『中国共産党中央国務院の社会主義新農村建設促進に関する若干の意見』 ①都市・農村の統一発展を促進、②現代化農業建設を促進、③ 農民の持続増収を促進、④農村のインフラ建設を強化、⑤農 村社会事業の発展を加速、⑥農村改革を促進、⑦農村の民主 政治建設を強化、⑧党の農村事業の指導を強化 2007年 『中国共産党中央国務院の現代的農業 を積極的に発展させ、社会主義新農村 建設を着実に促進することに関する若 干の意見』 ①「三農」向け財政支出を増加、②農村のインフラ建設を強 化、③農村の科学技術革新を促進、④現代農業の産業メカニ ズムを健全化、⑤農村物流産業の発展を加速、⑥農村の労働 者の素質向上に注力、⑦農村の総合改革を促進、⑧党の農村 事業の指導を強化 2008年 『中国共産党中央国務院の農業インフ ラ整備を適切に増強し、農業の発展と 農民の増収をさらに促すことに関する 若干の意見』 ①農業の基礎建設を強化、②主要農産物の供給を確保、③農 村のインフラ建設を強化、④農業科学技術とサービスメカニ ズムを強化、⑤農村基本公共サービス水準を向上、⑥農村の 総合改革を促進、⑦農村の基層行政組織建設を促進⑧党の 「三農」事業の指導を強化 2009年 『中国共産党中央国務院2009年の農業 の安定的な発展と農民の増収を促進す ることに関する若干の意見』 ①農業の支援・保護を強化、②農業の安定的な発展を促進、③ 現代農業のサービスメカニズムを強化、④農村の基本経営制 度を健全化、⑤都市・農村の統一発展を促進 2010年 『中国共産党中央国務院の都市・農村部 の統一発展、農業・農村発展基盤の強化 に関する若干の意見』 ①「強農恵農」政策を強化、②現代農業の設備水準を向上、 ③農村民生を改善、④都市・農村の改革を促進、⑤基層行政組 織の建設を強化 2011年 『中国共産党中央国務院の水利改革発 展の加速に関する決定』 ①農地水利建設の強化、②水利インフラ建設の全面加速、③ 水利への投入拡大体制を構築、④最も厳格な水資源管理制度 を執行、⑤水利発展体制の革新、⑥水利業務への指導を強化 2012年 『中国共産党中央国務院の農業科学技 術革新の推進加速により農産品の供給 保障能力を持続に増強する若干意見』 ①財政と業務の投入拡大、②農業科学技術の革新、③農業技 術の展開と農業社会化サービスの推進、④科学技術教育の強 化により農業人材の育成、⑤農業設備の改善、⑥市場流通効 率の向上 北京調査課まとめ、国務院公表に基づき上海調査チームにて整理 (2 月 1 日「新華網」)

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国務院、小型零細企業の健全な発展を支援する措置を発表 2 月 1 日、温家宝総理主宰の国務院常務会議において、小型零細企業の健全な発展を一 層支援することを討議、取り決めた。会議では、小型零細企業は新規雇用を促す主要チ ャネルであり、起業家成長の主要プラットフォームならびに科学技術革新の重要な力で もあること、また、小型零細企業の健全な発展を支援することは国内経済がグローバル 金融危機による影響を克服し、安定かつ比較的速い発展を維持するうえで重要な戦略的 意義をもつこと、一方で、足元では小型零細企業の経営圧力が増し、コスト上昇および 融資難などの問題が非常に突出してきたため、支援に一層注力するべきことが指摘され た。かかる認識に基づき、国務院常務会議は昨年 10 月 12 日に決定した財政・税制・金 融面での支援(過去記事参照)を着実に実行することを求めたほか、新たに以下の主要 措置を決定した。①財政・税務支援政策を整備し、中小企業向け資金規模を拡大する。 中央財政より中小企業の発展のため 150 億元のファンドを設立。増値税改革の試行を進 め、構造的な減税政策を整備する。②融資難の緩和に努め、商業銀行の小型零細企業融 資向けの金融債を発行すること、小型金融機関の発展に急ぎ、当該企業の上場融資を支 援すること。③技術改善、設備水準およびイノベーション能力の向上に急ぎ、中央財政 による資金拡大、企業の R&D 費用を所得税控除対象とする政策を整備する。④サービス と管理を強化し、4,000 の中小企業向け公共サービスプラットフォームを設立・整備す る。 (2 月 1 日「新華網」) 1 月の PMI、0.2 ポイント上昇の 50.5 2012 年 1 月の中国製造業購買経理指数(PMI)は前月比 0.2 ポイント上昇の 50.5 となっ た。指数の内訳を見ると、生産指数、新規受注指数、購入価格指数、原材料在庫指数が 上昇、その他は下落した。購入価格指数と原材料在庫指数はそれぞれ 1 ポイント以上上 昇し、受注残、完成品在庫、輸入の各指数はそれぞれ 2 ポイント以上下落した。また、 調査対象となる 20 産業を見ると、タバコ製造業、飲料製造業、農産品・副食品加工と 食品製造業などの 9 産業は 50 を上回り、木材加工と家具製造業、鉄金属製錬と成型加 工工業など 11 産業は 50 以下となった。地区別では、中部、西部は 50 を上回ったが、 東部は 50 以下。張立群・特約分析師は、1 月の PMI 指数は、昨年 12 月に引き続き小幅 で回復し、中国経済の減速が一巡した兆候が窺える。新規受注指数、原材料在庫指数の 上昇は工業企業の生産準備状況の回復を示しているが、新規輸出受注指数の下落から見 ると、外需水準はなお低迷している。昨年 12 月の投資、輸出伸び率などの推移による と、今後経済の成長鈍化傾向が続くが、安定に向かう兆候は次第に明らかになっている と分析している。発表に先立つ 1 月 31 日、中国物流と購買聯合会、国家統計局サービ ス業調査センターは、PMI 統計の健全化に向けて、サンプル企業数を 820 社から 3000 社に拡大し、対象産業の拡大および地区別指数の細分化を推進することを公表している。 (1 月 31 日、2 月 1 日付「中国物流・購買聯合会ウェブサイト」)

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湖南省・湖北省の名目 GRP が初めて上海を上回る 増加率は天津・重慶が共にトップ これまでに海南および雲南を除く 29 省・市が経済指標の速報値を公表した。実質成長 率では天津(名目 GRP:11,190.99 億元)と重慶(同:10,011.13 億元)が 16.4%と全国 でトップとなった。中西部の省市の成長率が相対的に高く、重慶のほか四川省も 15%の 高成長となり、また湖南省(名目 GRP19,635.19 億元、実質成長率 12.8%)・湖北省(同: 19,594.19 億元、13.8%)の名目 GRP がともに上海(同:19,195.69 億元、同:8.2%)を抜き、 湖北省の伸び率が中部首位となった。一方、東部の北京、上海、浙江の成長率は全国平 均を下回った。上海の名目 GRP で数十年ぶりにトップ 10 から外れた。沿海部地域では 天然資源や土地が非常に限られ、外向型の経済発展によって発展が促されてきたが、中 西部の多くの省は資源・土地に恵まれ、近年では沿海部からの産業移転が絶えず加速し、 金融危機以降は国内の内需拡大に対する投資も同地域で増加している。中西部地域の高 い成長には 2 つのパターンがあり、ひとつはエネルギー資源が密集している地域(陜西、 内モンゴル、貴州など)で、エネルギー需要が特に大きい工業化の段階で政府による投 資規模が比較的大きくなっている。もうひとつは、人的資源、資源、市場としての優位 性をもつ地域(四川、重慶、湖北、湖南など)で、これらの地域には製造業の産業移転 が引き続き拡大している。 (1 月 30 日付「第一財経日報」ほか) 2.2 0.7 5.30 4.8 3.9 3.18 2.40 1.92 1.8 1.60 1.10 1.10 1.0 2.70 1.96 1.80 1.50 1.201.10 2.00 1.40 1.201.201.0 0.56 0.5 0.21 0.06 0.16 0.00 1.00 2.00 3.00 4.00 5.00 6.00 7.00 8.00 広 東 江 蘇 山 東 浙 江 河 北 上 海 福 建 北 京 天 津 海 南 遼 寧 黒 龍 江 吉 林 河 南 湖 南 湖 北 安 徽 江 西 山 西 四 川 内 蒙 古 広 西 陝 西 重 慶 新 疆 貴 州 甘 粛 寧 夏 青 海 西 蔵 雲 南 東部 東北部 中部 西部 0.0 2.0 4.0 6.0 8.0 10.0 12.0 14.0 16.0 18.0 2011年名目 (兆元)( 左目盛) 2011年実質成長率( %) ( 右目盛) 2012年目標( %) ( 右目盛) 兆元 図表:2011 年の省市別名目 GDP、実質成長率と 2012 年成長目標 % (資料)各省市公表に基づき企画部上海調査チーム作成 上海、北京、天津で 2011 年 1 人当たり GRP が 8 万元超える 2011 年に直轄市である上海、天津、北京では 1 人当たり GRP が 8 万元(米ドル換算で約 12,600 ドル)を突破し、それぞれ、82,560 元、8 万元以上、81,584 元となった。省市 別 1 人あたり GRP の 4 位(江蘇省)から 10 位(山東省)は内蒙古を除いて江蘇省、浙江 省、広東省、遼寧省、福建省および山東省とすべて沿海部の省となり、それぞれ 7,000 ドルを突破した。11 位の吉林省から最下位の貴州省をみると、最下位の 4 省以外は相互 の差が非常に小さく、特に金融危機以降に沿海部から中西部への産業移転が加速するな か、減速する沿海部と加速が続く中西部の差が縮小しつつあることが窺われる。12 位に 上昇した重慶(1 人当たり GRP:34,705 元)や内蒙古(同:56,700 元)、陜西省などの加 速の勢いが特に注目される。丁長発・アモイ大学経済学系副教授は、多くの国・地域に おいて高所得水準が実現された後、産業構造の合理的調整、高い実質所得の対 GDP 比、 住宅等民生問題の解決などが実現されてきた。トップ 3 の直轄市について、産業構造の みならず、所得分配においても先進国・地域とは一定の差がある、と指摘している。 (2 月 3 日付「第一財経日報」)

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温家宝・国務院総理、欧州債務危機への積極的な関与を示唆 2 月 2 日、温家宝・国務院総理は中国を訪問中のメルケル・ドイツ首相と会談し、中国 は戦略的・全局的見地から欧州債務問題を高度に重視しており、ユーロの安定維持を支 持している。欧州経済とユーロの安定に確信を抱いており、欧州の世界で重要な一極を 占める地位は不変であることを堅く信じていると述べた。また、問題解決に向けて IMF など国際金融機関が重要な機能を果たすことを中国は支持するとしながら、欧州金融安 定ファシリティ(EFSF)や欧州安定メカニズム(ESM)などのルートを通じて欧州債務 危機に積極的に関与することも検討中であると述べた。また中欧間の経済活動について、 ①貿易保護主義への反対、②相互の投資拡大、③ハイテクや新興産業領域での提携推進 の意向を表明した。なお双方は今年下半期に第 2 回となる両国の政府間会合を行うこと に合意した。 (2 月 3 日付「新京報」)

【金融】

2011 年の銀行業金融機関総資産は 111.5 兆元 前年比 18.3%増 銀監会が公表した「2011 年銀行業・金融機関資産負債状況表(域内)」によると、昨年 12 月末時点の銀行業・金融機関の総資産は前年比 18.3%増の 111.5 兆元、総負債は 104.3 兆元(前年比+18.0%)となった。詳細は下表ご参照。 大手商業銀行 株式制商業銀行 地方商業銀行 その他金融機関 52 18.3 9.98 31.2 前年比 13.4% 23.3% 27.1% 21.6% 銀行業・金融機 関に占める比率 46.6% 16.4% 9.0% 28.0% 48.7 17.2 9.3 29.1 前年比 13.1% 22.8% 26.5% 21.3% 銀行業・金融機 関に占める比率 46.6% 16.5% 8.9% 27.9% 総資産 総負債 単位:兆元 (1 月 30 日「中国経済網」) 上海国際金融センター「五ヶ年」建設規画公布=2015 年に取引規模1千兆元に このほど、国家発展改革委員会は、「『第 12 次五ヶ年』期における上海国際金融セン ター建設規画」を公布した。同「規画」では 2015 年までに上海の金融市場(為替市場 は含まず)規模を 1,000 兆元に到達させるとの目標が設定されており、保険取引市場の 構築および株式市場国際ボードの推進等も言及された。指標的な目標として、2015 年ま でに、①上海金融市場(為替市場含まず)の取引額を 1,000 兆元、②上海金融市場によ る直接融資額が同市の社会融資規模に占める比率を 22%、③上海金融市場における資産 管理規模を 30 兆元、④上海の金融関連産業従事者を 32 万人、とすることなどを掲げた。 また。方星海・上海金融サービス弁公室主任によると、今後上海は①人民元建てクロス ボーダー投資・融資センター、②人民元商品基準価格形成センター、③大口商品プライ シングセンター、④金融情報サービスセンター、⑤人民元商品革新センター、⑥人民元 資産管理センター、⑦港運貿易金融サービスセンター、⑧人民元建てクロスボーダー決 済・清算センターという 8 つのセンター形成および国際金融人材の集積地を目指すとい う。「規画」で言及された今後の措置について以下にまとめた。

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「第 12 次五ヶ年」期間上海国際金融センターの規画措置 項目 措置  基礎性金融商品の発展を加速させ、金融派生商品を穏健に発展  市場組織体制、プライシング体制、金融市場運営体制の健全化を推進 金融市場の範囲と専 門性の開拓 金融機関体系の構築  金融機関本部および機能性金融機関の集積発展を促進  外資金融機関による地域本部もしくはグローバル本部の設立を奨励  新興金融業務に従事する機関の発展の規範化を推進、新型機関の発展ニーズ に応じた管理体制を模索  上海の金融機関による市場化改革、M&Aを奨励  グローバル人民元支払・清算ネットワークの構築  銀行カード機関によるグローバルネットワークの構築を奨励し、国際的な銀 行カードブランドを育成  清算機関の設立と発展を奨励 金融基礎施設・体制の 現代化 金融市場の革新  財産と資産管理業務、港運金融、貿易融資、消費金融など11方面に対し任務 と措置を設定  秩序ある金融市場の対外開放を推進  金融サービス業の対外開放を積極的に推進し、中資と外資金融機関間の戦略 提携を支持  人民元建てクロスボーダー貿易・投資の決済業務の発展加速  香港、台湾、世界の主要な国際金融センターとの交流・提携を強化 人民元建てクロスボ ーダー投資・融資セン ターの構築 国際競争力の向上  金融関連の法律環境の健全化を推進、中国の実情と国際慣例をともにカバー した金融法規と制度の制定・推進  金融税制の改革パイロット地域を志向  信用システムの構築を加速、全国的な信用サービスセンターを志向  人材の集積に有利な環境の構築 (1 月 31 日付「上海証券報」、国家発展改革委員会ウェブサイト)

【投資】

三一重工、独プツマイスターの株式 90%を 26.54 億元で取得 1 月 30 日、中国建機大手である三一重工は、ドイツの傘下会社経由で 3.24 億ユーロを 出資し、ドイツ建機大手プツマイスターの株式 90%を取得することを明らかにした。同 日の業績発表では主力製品の販売堅調および市場シェアの拡大などにより、同社の 2011 年の純利益は 2010 年の 56.15 億元から 50%~60%の増加となる見通しが公表した。1958 年にドイツで設立されたプツマイスター社は、コンクリートポンプ分野で世界トップシ ェアを占めている。2010 年末時点で同社の総資産規模は 4.91 億ユーロで、純利益は 150 万ユーロだった。2011 年通年の売上高は 5.6 億ユーロで、純利益は 600 万ユーロと見込 まれている。 (1 月 30 日付「和訊網」)

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【産業】

【不動産】2011 年の不動産向け貸出は 1.26 兆元増 前年比 7,704 億元減 人民銀行が 1 月 30 日に公表した「2011 年金融機関貸出先統計報告」によると、昨年の 不動産向け貸出増加ペースは総体的に減速し、通年で前年同期比▲7,704 億元の累計 1.26 兆元増となった。2011 年 12 月末時点の金融機関の人民元不動産貸出残高は累計 10.73 兆元、前年比伸び率は 13.5 ポイントの下落の 13.9%となった。 他方で、保障性住宅ディベロッパー向け貸出は通年で累計 1,751 億元増(貸出残高は 3,499 億元)となり、不動産ディベロッパー向け貸出全体に占める割合は、初めて 5 割 以上となった。中原地産研究(大手不動産仲介である「中原集団」傘下のリサーチ会社) の張大偉・総監は、貸出限度額の減少は、昨年の不動産市場マクロコントロールの最も 顕著な効果であり、2012 年もその影響が引き続き拡大すると分析、今後 6~12 ヶ月の間 に不動産価格はさらに 10~20%の下落が予測されるという。特に一線都市における政策 執行の強度や価格下落のプロセスが全国に与える影響は非常に大きい。 (1 月 31 日付「新京報」) 【非鉄金属】工業・情報化部、非鉄金属工業「十二五」計画を公布 工業・情報化部はこのほど「非鉄金属工業『第 12 次五ヶ年』規画」(以下は「規画」と 略)を公布した。同「規画」は「第 12 次五ヶ年」期間の非鉄金属工業の年平均成長目 標を 10%と設定、同工業の構造調整および産業のモデル転換・グレートアップを一層推 進し、鉱産資源と精密加工・新素材プロジェクトに注力するとした。また今期の非鉄金 属の需要は一定の成長を維持するものの、「第 11 次五ヶ年」期間に比較すると鈍化が 明らかとなり、10 種の非鉄金属生産量は 4,600 万トン、年平均 8%増(精練銅:650 万 トン、同 7.3%増、電解アルミ:2,400 万トン、同 8.8%増、鉛:550 万トン、同 5.2% 増、亜鉛:720 万トン、同 6.9%増)となる見通しを示した。一方、落後生産能力の淘 汰、単位付加価値額・製品当たりのエネルギー効率では拘束性指標が設定されたほか、 業界集中度の更なる向上については、2015 年のトップ 10 社の精錬能力で銅は 90%、鉛 と亜鉛で 60%と設定、企業の生産・経営管理の情報化水準の大幅な向上も言及された。 (1 月 31 日付「上海証券報」) 【消費】2012 年春節期間の観光・消費状況 ■ 観光 全国休日弁公室の公表によると、2012 年春節連休期間の全国の観光客数は延べ 1.76 億 人(前年比 14%増)、観光売上収入は 1,014 億元(同 23.6%増)となった。うち、外 泊観光客は 4,180 万人、日帰り観光客は 1.34 億人。モニタリング対象の北京、天津、 承徳、秦皇島、瀋陽、大連、長春、吉林、ハルピン、上海、南京、無錫、蘇州、杭州、 寧波、黄山、アモイ、南昌、瑞金、青島、洛陽、武漢、長沙、張家界、韶山、広州、深 圳、桂林、海口、三亜、重慶、成都、広安、貴陽、遜義、昆明、西安、延安、銀川など 39 の重点観光都市の観光客は延べ 6,659 万人、うち、外泊観光客は延べ 1,154 万人、日 帰り観光客は 5,505 万人。同 39 都市の 174 社の商業企業による売上収入は 94.4 億元(同 17.2%増)、172 社の外食企業による売上収入は 5.5 億元(同 13.3%増)となった。 ■ 消費 商務部の公表によると、2012 年春節連休期間の全国の重点小売・外食企業による売上高 は 4,700 億元で、前年比 16.2%増となった。内訳を見ると、服装、ジュエリー、食品の

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売上規模はそれぞれ対前年比で 18.7%、16.4%、16.2%伸びた。地域別では、北京、吉 林、青島、大連、広西、河北、陝西の小売売上規模は前年比でそれぞれ 15.5%、17.9%、 18.1%、14.2%、24.6%、24%、22.3%増加し、遼寧、甘粛、新彊では 2 割の成長率と なった。飲食業では、天津、陝西、遼寧、山東、安徽の重点統計対象外食企業の売上高 は同 30.2%、23%、18.3%、18.1%、16.4%増加した。春節連休期間の物価について、 野菜、羊肉、豚肉、牛肉の卸売価格はそれぞれ前週比 3.7%、0.6%、0.5%、0.4%上昇 したが、鳥肉、卵、小麦粉の価格はそれぞれ同 0.1%、0.1%、0.2%下落した。 (1 月 29 日「全国休日弁公室」、1 月 28 日「商務部弁公庁」) 【レアメタル】WTO、中国のレアメタル輸出規則は協定違反と認定 1 月 30 日、世界貿易機関(WTO)上級委員会は最終報告を公表し、中国側のレアメタル 輸出規制は協定違反と認定した。同日、中国政府は遺憾の声明を発表した。世界貿易機 関は、2009 年 12 月 21 日に米国、EU、メキシコの提訴により、中国が鋼鉄、アルミ、化 学工業製品に使われるボーキサイト、コークス、マグネシウム、亜鉛など 9 種類の輸出 を限度額、関税など手段で制限したことに対し調査を開始し、2011 年 7 月 5 日に中国側 の協定違反と調査結果を公表した。中国はその結果に対し世界貿易機関上級員会に上訴 したが、今回の最終報告も一審の結果を支持したものとなった。 (2 月 1 日付「経済参考報」) 【石油】中国、原油対外依存度は 2011 年 57%に 2013 年に 60%を超えるか 1 月 29 日に関税総署が公表した 2011 年税関主要統計データによると、昨年の国内にお ける原油輸入は 2.54 億トン、前年比+6%となった。専門家は昨年の原油依存度は 57% 前後に達すると見ており、毎年 3 ポイントのペースで上昇する依存度が短期的に改善す ることは難しく、2013 年には 60%以上になる可能性を示唆した。1993 年から原油純輸 入国に転じた中国は、当時 6%の依存度が 2009 年に初めて警戒ラインである 50%に超 え、51.3%に達した。工業情報化部が昨年 8 月に公開した最新データによると、5 月ま での原油対外依存度は初めてアメリカを超え、55.2%に達していた。 (1 月 30 日付「北京商報」)

地方情報

【北京】2011 年の GRP 伸び率は 8.1% 北京市統計局等が 1 月 19 日に公表した統計によると、北京市の 2011 年の GRP(域内総 生産)総額は 16,000.4 億元、前年比の実質伸び率は 8.1%となった。2011 年末まで、 北京市の常住人口は 2,018 万 6,000 人となっており、常住人口で計算する北京市 2011 年の 1 人当たり GRP は 80,394 元(12,447 米ドルに相当)となった。項目別にみると、 固定資産投資は前年比 13.3%増の 5,910.6 億元、社会消費財小売売上高は同 10.8%増 の 6,900.3 億元で、輸出入は同 29.1%増の 3,894.9 億ドルとなった。輸出入のうち、輸 入は前年比 34.2%増の 3,304.7 億ドルで、輸出は同 6.5%増の 590.3 億米ドルとなった。 規模以上鉱工業の付加価値ベース生産高は前年比 7.3%増で、収益は同 4.8%増となっ た。また、自動車や住宅購入制限の影響を受け、2011 年の自動車販売台数や家屋の成約 面積は大幅に減少した。うち、自動車の販売台数は前年比 44.3%減の 79 万 7,000 台で、 このうちの新車販売台数は同 56.3%減の 40 万台、中古車は同 23%減の 39 万 8,000 台 となった。商品建物の成約面積は前年比 12.2%減の 1,440 万平米で、うち、商品住宅の

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成約面積は 13.9%減の 1,035 万平米となった。一方、2011 年通年の消費者物価指数は 前年比 5.6%の上昇となったが、12 月単月の上昇幅は 4.4%と 4 ヵ月連続の低下となっ た。都市住民の 1 人当たり可処分所得は 3 万 2,903 元で、前年比実質伸び率は 13.2%と なった。農村住民の 1 人当たり純収入は同 13.6%増の 1 万 4,736 元となった。 (1 月 19 日 北京市統計局ウェブサイト) 【上海】上海税関が今年の業務方針発表 貿易利便化に向け取り組み強化 上海税関 2012 年工作会議が 2 月 1 日に行われ、今年の業務方針として、①関税、輸出 製品の国内販売など一連のマクロ調整策と貿易便利化の徹底、②通関効率の向上、③民 生発展に係わる産業プロジェクトへの支援、④対外貿易情勢とマクロ管理政策の研究、 ⑤徴税規則の研究、⑥通関統計手段の豊富化、⑦洋山保税区の国際貿易中継業務の推進、 ⑧保税先物取引と融資リース業務の試行、⑨浦東空港総合保税区の空輸サービスプラッ トフォームの構築、⑩外高橋保税区の「国家輸出入貿易促進革新モデル区」と「国家対 外文化貿易基地」プロジェクトの推進、⑪張江国家自主革新モデル区建設支援、が打ち 出された。会議に出席した韓正・市長は、上海の「四つのセンター」建設ならびに貿易 利便化レベルの更なる向上に税関の支援継続を希望すると発言した。2011 年に上海税関 を経由した貨物輸出入額は対前年比 18.6%増の 8,123.1 億ドルと最高記録を更新して いる。 (2 月 2 日付「解放日報」) 【連雲港】2011 年の工業企業生産額 付加価値ベース伸び率は江蘇省 2 位 2011 年江蘇省連雲港市の規模以上工業企業生産額は史上最高の 2,619.6 億元(前年比 43.7%増)、規模以上工業企業生産額(付加価値ベース)は 534.8 億元(同 19.4%増) となった。付加価値ベースの伸び率は江蘇省第 2 位(省平均は 14.8%増)。2011 年に 同市が重点的に監督・モニタリングしていた 100 プロジェクトの生産額は 435.5 億元と 工業生産額伸び率に 23.9 ポイントを貢献。2011 年に生産額が1億元台を超えた企業は 367 社(うち 97 社は 2011 年に新規設立)で、これら企業による生産額は 2,200 億元(前 年比 50.7%増)に達した。うち 10 億元台を超えた企業は 50 社(同 23 社)だった。 (1 月 31 日付「江蘇経済報」) 【済南】2011 年度の対外貿易は 100 億ドル台に達する 済南市商務局によれば、済南市の対外貿易は金融危機の影響から完全に脱し、2011 年度 の貿易総額は 100 億ドル台に達し、昨年より 40.4%の大幅増加となった。輸出額は前年 比 49.1%増の 60.48 億ドルで、山東省で第五位であった。うち、中資企業の輸出額は前 年比 59.4%増の 43.66 億ドル、済南市全体に占める割合は 72.19%であった。なお、同 市 2011 年度の電子機器製品の輸出額は前年比 66.2%増の 42.01 億ドルとなり、ハイテ ク製品の輸出額は全年比 26.2%増の 5.5 億ドルとなった。 (1 月 20 日付「大衆日報」) 【煙台】2012 年度の重点プロジェクトへの投資額が 1 千億元超 1 月 16 日に開催された煙台市経済工作会議によれば、2012 年同市では 190 件に上る重 点プロジェクトに着手し、計画投資額は 1,100 億元に達する見込みで、伝統産業の高度 化と高新技術の産業化に注力する。重点プロジェクトは電子情報、食品加工、金加工及 び化学工業など煙台市の伝統産業と、新エネ、省エネ・エコ、新材料、先端設備製造、

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バイオ技術などの戦略的新興産業で、更に自動車、船舶、ワイン、原子力発電、特種化 学繊維産業にも拡大する。うち、大口プロジェクトとしては、万華工業パーク(2012 年度投資額 82 億元)や、張裕ワイン工業パーク(2012 年度投資額 15 億元)の情報技術 向上、GM 東岳 35 万台エンジン増産プロジェクトなどがある。 (1 月 21 日付「大衆日報」) 【青島】Agility グループが青島市に投資 世界物流企業トップ 10 である Agility グループは、青島市経済開発区に大中華地域管 理運営センターを新設する。当該管理運営センターは人的資源、物流管理設備システム、 及び物流管理コンサルタントを提供する。Agility グループは世界 100 カ国に 500 余の 支社を持つ総合物流企業で、年商は 60 億ドル。当管理運営センターの設立は、青島市 の物流業の発展及び国際化を後押しすることが期待される。 (1 月 17 日付「青島日報」) 【青島】2011 年度新規海外投資額が 5 億ドルに達する 青島市商務局によれば、青島市は昨年度 92 件の海外投資プロジェクトを認可し、総投 資額は 5.07 億ドルに達し、海外投資による技術、設備、原材料、部品などの関連輸出 額は 10.45 億ドルに上った。統計によれば、青島市の 2011 年度の新規海外請負工事件 数は 33 件、契約額は 5.9 億ドルで、前年比 0.08%減少したものの、既存請負工事の売 上高は前年比 30.76%増の 12.85 億元となった。また、海外労務派遣の契約額は前年比 13.9%増の 8,711 万ドルになった。 (1 月 19 日付「青島日報」) 【重慶】2012 年の外資利用目標は 110 億ドル、フォーチュン 500 社企業を 20 社誘致 重慶市対外経済貿易委員会によると、2011 年当市の実行ベース外資利用額は 100 億ドル 台を越えた。2012 年は同 110 億ドルを目指すという。昨年、重慶に進出したフォーチュ ン 500 社企業数は計 200 社を超え、中西部第 1 位となった。今年もフォーチュン 500 社 企業の誘致を重点的に推進し、新たに 20 社を誘致することが見込まれており、多くに 日本、韓国企業の可能性が高い。伝統的な工業、不動産産業以外に、今年、金融、物流、 旅行、文化などの新興産業にも誘致する力も注ぐ。また、今年からは中国西部多国籍会 社の本部集積区の建設が始まる。関係者によると、初のプロジェクトは当市の北碚に拠 点して、今年着工し、二年内に竣工と見られる。一方、グローバル企業を誘致するため、 第 14 回「渝洽会」(地方級)は「中国西部国際投資即輸入消費品貿易会」(国家級) に昇格させた。 (2 月 2 日付「重慶市政府ウェブサイト」) 【成都】レノボ、西部産業基地を成都で着工に 1 月 29 日、中国 PC 大手レノボは、成都で式典を開き、レノボ(西部)産業基地の着工 を明らかにした。同産業基地は、2010 年 10 月 29 日にレノボグループと成都市政府が締 結した協議に基づき、初期で計 1 億ドルを投じる生産、研究開発、セール運営を一括す る産業基地となる。基地の生産センターは計 200 ムーの敷地面積、年間 1,000 万台の PC 生産能力を持ち、2012 年 4 月に稼動する予定。関係者によると、同産業基地を通し、南 アジアおよびヨーロッパ向けのビジネスルートを開拓すると考えられる。 (1 月 29 日付「成都晩報」)

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【深圳】最低賃金を 1,500 元に引き上げ、全国トップに 2 月 1 日、深圳市は最低賃金の新標準の適用を開始した。新標準に基づく最低賃金は月 給1,320 元から 1,500 元(伸び率 13.6%)、時給が 11.7 元から 13.3 元(伸び率 13.7%) への引き上げとなる。調整後の深圳市の最低月給標準は全国トップ。専門家は、最低賃 金の引き上げは労働力誘致および企業における自動化の促進に有利だが、その調整幅は 労使の交渉により決められるべきであると指摘している。 (2 月 2 日付「南方日報」) 【武漢】今年、投資誘致倍増計画を実施=フォーチュン 500 社専用対応機関を設置 2011 年の武漢市の国内投資誘致額は 720 億元、実行ベース外資利用額は 37 億ドル、フ ォーチュン 500 社の入居数は 84 社となり、中部地域をリードしている。市商務局は今 年「大武漢、大商機」をテーマに、投資融資規模の前年比倍増計画を実施する。具体的 には、①中央企業―武漢提携発展フォーラム、民営企業上位 500 社武漢投資フォーラム などの投資誘致イベントを開催、②3 つの国家級開発区と新城区における 50 億元以上の 工業プロジェクト、市街中心部に 20 億元以上の現代サービス業プロジェクトを誘致す る目標を設定、③ハイエンド投資誘致人材を 20 名募集、④フォーチュン 500 社を専門 に対応する機関を設置するなどの措置が計画に盛り込まれている。 (1 月 25 日付「湖北日報」) 【上海】商業拠点は人口 1 万人当たり 57.6 店舗、密度は全国トップレベル 上海市商務委員会の公表によると、上海市の商業法人数は昨年 12 万社を超え、商業拠 点数は 40 万店舗(1 万人当たり 57.6 店舗に相当)を超える規模となり、商業密度は全 国をリードしている。2011 年、上海市の小売売上高は総額 6,344.47 億元(前年比 14.9% 増)、区・県別では浦東新区が 1 位を維持した。2010 年の当市常住人口 2,301.9 万人で 計算すると、昨年の全市範囲で一人当たり小売売上高は 2.8 万元を突破、うち、黄浦区、 静安区は同それぞれ 9.48 万元、9.16 万元となった。また、上海チェーン経営協会によ ると、昨年、同協会の会員企業傘下の市内 1.39 万店舗の小売売上高は 1,282.52 億元(前 年比 6.5%増)、当市の規模以上企業による消費品売上高の 26%を占めた。このうち、 チェーンスーパーは同 4.3%増の 666.04 億元、その他コンビニ、ディスカウントストア ー、大型スーパーマーケット、標準スーパーにおける売上高伸び率はそれぞれ 9.2%、 6.9%、5%、0.6%となった。 (1 月 31 日付「東方網」) 【浙江】2011 年の輸出入総額は 3,094 億ドル 輸出は上海を抜いて全国トップ 3 に 杭州税関の統計によると、2011 年の浙江省の輸出入総額は 3,094 億ドル(前年比+22%、 全国平均比+0.5 ポイント)で全国第 5 位となった。このうち、輸出は 2,163.6 億ドル(前 年比+19.9%)と初めて上海を抜き全国第 3 位となった。輸入は 930.4 億ドル(同+27.3%) で全国 6 位だった。 1)貿易相手国・地域別にみると、両者で全体の 35.4%を占める EU と米国向けの輸出入 額は 669.7 億ドル(同+16.1%)と 426.7 億ドル(同+16.7%)となり、このうち、輸出 は 557.7 億ドル(同+15.4%)と 349.2 億ドル(同+14.7%)、輸入はそれぞれ、112 億 ドル(同+19.3%)と 77.5 億ドル(同+26.8%)となった。また、三者で全体の 20.9% を占めるアセアン、日本、韓国向け輸出入額は、254.1 億ドル(同+42.1%)、252.1 億 ドル(同+22.6%)と 141.7 億ドル(同+30.1%)、輸出はそれぞれ、147.5 億ドル(同

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+34%)、133.5 億ドル(同+26.5%)、54.5 億ドル(同+20.1%)、輸入は 118.6 億ド ル(同+18.5%)、106.6 億ドル(同+55%)、87.2 億ドル(同+37.2%)、アセアンは 初めて日本を抜いて同省第 3 の貿易相手国・地域となった。 2)品目別では、原材料や資源の輸入増加ペースが比較的速く、鉄鉱石、廃棄金属、プ ラスチック原料など 20 種類が輸入全体の 55.1%を占め、513.1 億ドル(同+35.7%)と なった。輸出では、機械・電子製品(924.3 億ドル(同+16.4%))、ハイテク製品(155.2 億ドル(同+5.4%))で鈍化したものの、紡績紡糸・織物製品(311.1 億ドル(同+25.1%))、 靴類や農産品の伸びが加速した。 (1 月 31 日付「浙江日報」ほか) 【嘉興】中古車取引が好調 2011 年の取引台数は新車登録台数の 4 割強、前年比+57.3% 嘉興市では 2011 年の中古車取引市場における取引台数が 34,568 台、取引額は 18.22 億 元で前年比+57.27%の伸びとなった。嘉興市中古車取引市場の徐副経理によれば、中古 市場はこれまではトラック、バン、セダンがほぼ同じ割合を占めていたが、最近ではセ ダンのシェアが伸び続けており、昨年は全体の 5 割以上の 18,000 台に上ったという。 米、独、スイス、日本の中古車売上台数は新車売上台数のそれぞれ 3.5 倍、2 倍、2 倍、 1.4 倍、世界の中古車ビジネスはブランド販売店、大型スーパー、チェーン店、中古車 専門店、中古車オークションなど様々な形態で展開されている。嘉興市の昨年の新車登 録台数は 78,237 万台(前年比+22.45%)、多くの家庭では1台目から 2 台目、3 台目へ の買い替え需要が増えており、中古車市場のポテンシャルの大きさが窺える。 (2 月 3 日付「嘉興日報」) 【安徽】2011 年の輸出額は 300 億ドルを突破 前年比 29.1%増 合肥税関によると、安徽省の 2011 年の輸出入総額は 313.4 億ドル(前年比+29.1%)、 輸出額と輸入額はそれぞれ 170.8 億ドル(同+37.6%)と 142.5 億ドル(同+20.2%)と なった。同省では全体の 6 割を占める新興市場との貿易が加速しており、通年の輸出入 額は 196.9 億ドル(同+35.2%)に上った。品目別では、銅鉱石、鉄鉱石、ゴム、瀝青 炭、鉛・亜鉛鉱石の 5 種類の資源の輸出が目立ち、66.1 億ドル(同+26%)となった。 輸出品目の構成には調整も窺え、従来のコモディティ商品の輸出が引き続き好調に推移 したことに加え、ハイテク製品などの新興産業の輸出も増加傾向が強まっている。たと えば、機械・電気は 74.3 億ドル(同+53.5%)、ハイテク産業関連は 292.3 億ドル(同 +41.6%)であった。安徽省発展・改革委員会によれば、同委員会が昨年批准した外商 直接投資プロジェクトは 231 件、契約ベースで 72.5 億ドル、実行ベースでは 42.6 億ド ルに達した。このうち、皖江都市ベルト産業移転受入示範区における外商直接投資プロ ジェクトは 173 件、投資総額は 56.2 億ドル(実行ベース 56.2 億ドル)と全体の 7 割以 上を占め、同示範区の優位性が外資誘致の主力となっている。 (1 月 29 日「新華網」) 【福建】2015 年までに 15 の 1 千億ドル以上の先進的製造業基地形成へ これまでに工業・情報化部は福建省、広東省、浙江省が対象地域となる「海峡西岸経済 区先進製造業発展規画(2011~2015 年)」を公布、今後 3 省が連携して科学技術革新・ 技術進歩を強化し、情報化・工業化の一層の融合を促進し、省エネ・排出減と生産能力 の淘汰落後を進め、重点的主要企業の発展を支援し産業集積及び優良化などを主要任務

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とすることを明確にした。全国で比較的競争力のある先進的な製造基地の形成を 5 年内 に基本的に完了し、国内経済・社会発展の新たな成長の柱となることを目指す。具体的 には以下の目標が掲げられている。  2015 年までに海峡西岸経済区における一規模以上の製造業の付加価値額を年平均 15%で増加させ、工業付加価値率と労働生産性において全国平均を上回ること  工業企業の付加価値額に占める R&D 経費を 3.6%前後に引き上げ、企業の特許取得 件数を安定的に引き上げ。重点分野と新興産業の技術水準面でのブレイクスルー  規模以上工業付加価値に占める戦略的新興産業付加価値を 30%に引き上げ、15 の 1 千億元以上規模の先進製造業基地形成、生産性サービス業の発展を顕著に引き上げ  単位工業付加価値あたりエネルギー消費量、水利用量、工業二酸化硫黄、化学的酸 素要求量、工業アンモニア性窒素と窒素酸化物排出量の低下幅の目標を全国平均と し、工業固体廃棄物総合利用率を 75%以上に引き上げ  重点的主要企業の情報技術を国際的な先進国水準に引き上げ、大型・中型企業の資 源規画(ERP)普及率を 80%以上とする  台湾からの実行ベース投資額の年平均成長率を 15%とし、10 以上の両岸先進的製 造業協力パイロット区を建設 (2 月 3 日付「福建日報」)

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人民元市場動向 『人民元は小幅反発、一時 6.29 台』

人民元為替・資金市場

1:人民元中間値とドルインデックス

QCNY=CFXS, Q=USD 2011-10-17 - 2012-2-10 (BEI) 价 格 .1234 6.3 6.31 6.32 6.33 6.34 6.35 6.36 6.37 6.38 6.39 价 格 .123 81.5 81 80.5 80 79.5 79 78.5 78 77.5 77 76.5 76 75.5 75 17 24 31 07 14 21 28 05 12 19 26 04 09 16 30 06 十 一 月 2011 十 二 月 2012 一 月 十 月 2011 2011 ——— 人民元ドル中間値(右側)——ドル index 時間線(左側) 出所:ロイター 表1:為替市場変動幅 一週間の変動幅 日付 1/30 1/31 2/1 2/2 2/3 USDCNY 基準値 6.3056 6.3115 6.3103 6.3075 6.3102 USDCNY 始値 6.3120 6.3298 6.3110 6.3063 6.3055 USDCNY 高値 6.3371 6.3320 6.3110 6.3063 6.3079 USDCNY 安値 6.3115 6.3074 6.3023 6.2980 6.3021 USDCNY 終値 6.3310 6.3085 6.3067 6.3018 6.3028 USD index* 78.836 79.131 79.284 78.874 78.978 * 前日の NYK 終値 図2:O/N Shibor と 7 日間債券レポ利回り 日 QCN7DRP=CFXS, QSHICNYOND= 2011-10-17 - 2012-2-9 (BEI) 价 格 CNY .1234 7.5 7 6.5 6 5.5 5 4.5 4 3.5 3 17 24 31 07 14 21 28 05 12 19 26 04 09 16 30 06 十 月 11 11 十 一 月 11 十 二 月 12 一 月 春節長期連休明け最初の取引となった先週の人民 元は、週初こそ弱含んだもののその後反発、2日には 一時6.29台まで上昇し、そのまま元の高値圏で越週 した。 春節入り直前に、6.34近辺まで急落した人民元 は、春節明け初日の取引となった30日の基準値が 6.3056と、年初4日以来となる6.30台の元高水準に設 定された。然し乍ら、同日の日中取引では月末に伴 う国内輸入企業と思しき元売り圧力が強く、一時元 安方向の日中値幅制限(=基準値+0.5%)に達する 等、元売りが優勢な展開となった。 月末要因の剥落もあり週央にかけてはじりじりと 元高に推移、基準値こそ週を通じて6.31前後で膠着 感を強めたものの、2日の日中取引では6.2980まで元 が上昇、先月5日以来約1ヶ月振りに6.30を突破し、 週間終値は6.3028とそのまま元の高値圏で越週し た。 中国物流購買連合会が1日発表した1月のPMI(製造 業購買担当者景況指数)は50.5となり、前月12月の 50.3から0.2ポイント改善すると共に、50を下回るこ とを見込んでいた市場予想も上回った。春節要因の 織り込み加減により解釈が分かれる側面はあるが、 新規輸出受注や雇用指数が悪化した一方、新規受注 や生産関連指数が上昇するなど、底堅い国内需要を 背景とした生産活動の堅調さを窺わせるもの、とい った解釈が為されている。 先月31日に開催された国務院全体会議では、3月5 日から開催される全人代の冒頭で発表される政府活 動報告の原案が纏められたとの報道が為されてい る。経済政策については引続き、従来からの適時適 度に微調整を行う方針を踏襲するとし、不動産価格 については合理的な水準に達するまで抑制的な方針 で臨む旨が示されており、換言すれば住宅価格に対 する警戒感は緩めていないというスタンスが窺え る。 先週の資金市場では、短期金利は総じて落ち着い た動きとなった。春節前に実施したリバースレポオ ペの償還期限到来に合わせ、人民銀行は公開市場操 作で、ほぼ償還額に見合う3510億元の大規模な資金 供給オペを実施した。 (環球金融市場部市場営業課)

— 7 日間債券レポ利回り — Over Night Shibor 金利 出所

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