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慢性期脳卒中片麻痺例に対するCI療法のコンセプトを応用した下肢集中訓練の試み

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(1)

1.はじめに  脳卒中上肢麻痺に対する治療法に

Constraint-Induced

Movement Therapy

CI

療法)がある.

CI

療法は多 くの無作為化比較試験によって効果が実証されてお り[1,2],「脳卒中治療ガイドライン

2015

[3]では推奨 グレード

A

(行うよう強く勧められる)に分類され ている.

CI

療法対象者はまず麻痺手を使用して行 いたい動作や活動を明確化させ,その目標を達成さ せるために必要な数種類の上肢課題を遂行する.上 肢課題には

Shaping

と呼ばれる行動学的手法に基づ いた課題が用いられ,麻痺の重症度に応じて段階的 に難易度が設定される.本療法は「量的な課題指向 型訓練」,「

Transfer package

TP

)」,「非麻痺側上肢 の拘束」の大きく

3

つのコンセプトから構成され る[4].近年,この

CI

療法のコンセプトが下肢麻痺 に対しても応用され始めている[5-8]が,下肢

CI

療法 における有効なプロトコールやその効果については 不明な点が多い.  脳卒中下肢麻痺に関して,「脳卒中治療ガイドラ イン

2015

」[3]では歩行能力改善のために『歩行や歩 行に関連する下肢訓練の量を多くすること』が推奨 グレード

A

に分類されている.課題指向型サーキッ ト訓練は具体的に推奨を受けたアプローチ法の一つ であり,慢性期脳卒中症例における歩行速度・歩行 耐久性・バランス能力・下肢筋力の向上に有効であ ることがメタ解析から示されている[9].この訓練の 特徴は個々のニーズに合った様々な訓練を有意義か つ漸進的な方法で集中的に訓練することができると されている[10]

Taub

[5]は,慢性期脳卒中片麻痺

16

名にトレッドミル歩行,屋外歩行,起立着座, 階段昇降,様々なバランス訓練および支持訓練など から構成される課題を

1

7

時間,

3

週間実施し, 対照群よりも有意な改善効果が得られたと報告して いる.この報告では課題指向型サーキット訓練に長 時間の反復訓練という要素を加え,上肢の

CI

療法 の課題と同様に

Shaping

という手法を用いて段階的 に課題の難易度を漸増させて課題を実施している. これらの量的な課題指向型訓練に

CI

療法の要素で ある

TP

を追加することでさらなる効果が期待でき

経  験

慢性期脳卒中片麻痺例に対する

CI

療法のコンセプトを応用した

下肢集中訓練の試み

小針

友義

1)

・村山

尊司

2)

・松澤

和洋

2)

・井上

晃穂

2)

要 旨:近年,Constraint-Induced Movement Therapy(CI療法)のコンセプトが下肢麻痺に対しても応用

されているが,その治療効果に関する報告は未だ乏しい.本研究の目的は,慢性期脳卒中下肢麻痺症 例に対するCI療法のコンセプトを応用した下肢集中訓練が臨床的アウトカムに及ぼす影響を検証する ことである.左視床出血と診断された40歳代の男性を対象とした.発症から489日後に下肢集中訓練を 開始した.本訓練は 1 日3.5時間を平日 5 日間,3 週間実施された.評価にはFugl-Meyer Assessmentの下 肢項目,10m歩行テスト,Timed Up and GO test(TUG),Berg Balance Scale(BBS),6 分間歩行テスト (6MWT)を使用した.下肢集中訓練実施前後で10m歩行テスト,TUG,BBS,6MWTに向上がみられ た.慢性期脳卒中片麻痺者に対するCI療法のコンセプトを応用した下肢集中訓練は歩行能力やバラン ス能力の向上に影響を及ぼす可能性がある.

Key words:下肢CI療法,課題指向型訓練,Transfer package,脳血管障害,生活期

1)千葉県千葉リハビリテーションセンター 更生園支援部   (〒266-0005 千葉県千葉市緑区誉田町 1 丁目45番 2 )

2)千葉県千葉リハビリテーションセンター リハビリテー ション療法部

(2)

ると予測される.  

TP

は訓練によって得られた機能を日常生活に移 行できるように行動変容を促す手法であり,毎日の 日記によるセルフモニタリングの促進,日常生活で 麻痺側上肢を使用する同意,問題解決方法の提案, セラピストによるフィードバック,自主練習から構 成されている[11]

TP

の長期効果として

TP

を使用し

CI

療法群は

TP

を使用しなかった

CI

療法群よりも

6

か月後の上肢機能と麻痺側上肢の使用頻度が有意 に改善すると報告されている[12]

Mark

[6]は,多 発性硬化症

4

例に対して身体機能障害に関連した集 中訓練,代償運動の抑制,

Shaping

課題による段階 的な難易度調整,

TP

など大きく

4

つの要素から構 成される下肢

CI

療法を実施し,

6

分間歩行距離の延 長および

ADL

activities of daily living

)における立 位動作の質的改善が認められたと報告している.本 報告は多発性硬化症例を対象にしており,慢性期脳 卒中片麻痺者に対しても同様の効果が得られるかは 明らかではない.  上肢の

CI

療法では非麻痺側上肢の拘束を行う場 合が多いが,近年では拘束の有無による治療効果 の違いはないという報告が増えてきている[13,14]

Krawczyk

ら[15]は自発的な麻痺側上肢の使用はスリ ングなどで拘束する場合と同等の上肢機能の改善と 麻痺側上肢の使用頻度の向上が得られると報告して いる.拘束はあくまでも麻痺側上肢を積極的に使用 することが目的であり,非麻痺側上肢の使用を抑え ることができれば拘束は必要ないと解釈できる.ま た,上肢の

CI

療法でも両側上肢の使用が必要な課 題は非麻痺側上肢を拘束せずに実施されている[16] 竹林ら[16]は健側上肢を優先的に使用しなければ実 生活における運動学習を進めるためにも,両手によ る課題も必要だとしている.下肢

CI

療法の過去の 報告においては

Marklund

ら[7]

Kallio

[8]は非麻痺 側の下肢全体を覆う装具を使用して拘束している. しかし,

Silva

ら[17]は非麻痺側下肢の足部に重錘を 使用して抑制する群と抑制をしない群に分けて下肢

CI

療法を

2

週間実施したが,抑制の有無による治 療効果の違いはなかったと報告している.  本研究では,慢性期脳卒中患者の下肢麻痺に対し て「非麻痺側下肢の拘束」は行わずに,「量的な課 題指向型訓練」,「

TP

」の大きく

2

つの要素から構 成された下肢集中訓練を実施し,その介入が臨床的 アウトカムに及ぼす影響を検証したので報告する. 2.症  例 2.1.プロフィールと診断名  左視床出血と診断された

40

歳代の男性

1

名を対象 とした.   2.2.現 病 歴

X

Y

月に左視床出血を発症した.発症後第

13

病 日に回復期病院へ転院し,第

179

病日に自宅退院し た.退院後は週

2

回の通所リハビリテーションを利 用していた.第

310

病日に当センターの障害者支援 施設に入所し,週

2

3

回程度理学療法を受けた. 発症から第

489

病日に障害者支援施設にて下肢集中 訓練を開始した.   2.3.下肢集中訓練前の神経学的所見

 運動麻痺は

Brunnstrom Recovery Stage

で右上肢Ⅲ, 右手指Ⅳ,右下肢Ⅲであった.腱反射は右膝蓋腱で のみ軽度亢進,病的反射は陰性であった.麻痺側下 肢の表在覚と関節位置覚が中等度鈍麻であった.   2.4.下肢集中訓練前の神経心理学的所見  運動性の失語症が認められたが,日常生活でのコ ミュニケーションに支障はなく,指示理解は良好で あった.観念運動失行,観念失行は認められなかっ た.認知機能は改訂長谷川式簡易知能評価スケール にて

29/30

点であった(逆唱で減点). 2.5.下肢集中訓練前の ADL・動作所見

Functional Independence Measure

110/126

点で

ADL

自立レベルであった.床からの立ち座りは見 守りにて可能であった.歩行は

3

動作揃え型で

4

点 杖と継手付きプラスチック短下肢装具を使用して屋 内歩行は自立していた.   2.6.MRI 画像所見

 図

1

に第

482

病日の

T1WI

T1-weighted image

)を 示す.左視床に病巣(出血痕)を認めた.   3.介  入 3.1.研究デザイン  フォローアップ付き

AB

型シングルケースデザイ ンを用いた(図

2

).コントロール期(

A

:通常訓 練)とフォローアップ期には歩行練習,階段昇降な どの日常生活動作練習を

1

50

分,週

2

3

回実施

(3)

した.介入期(

B

:課題指向型訓練+

TP

)には後述 する下肢集中訓練を実施した.コントロール期間 は

1

週間,介入期間は

3

週間とし,

1

カ月後をフォ ローアップとした. 3.2.CI療法のコンセプトを応用した下肢集中訓練  本研究における下肢集中訓練は,「量的な課題指 向型訓練」,と「

TP

」の大きく

2

つの要素から構成 され,「非麻痺側下肢の拘束」は含めなかった.非 麻痺側下肢を拘束しない代わりに,生活場面で車い すを使用せずに歩行するように促し,麻痺側下肢の 使用や麻痺側への荷重を意識することを推奨した.  この

CI

療法のコンセプトを応用した下肢集中訓 練を

1

3.5

時間,平日

5

日間,

3

週間実施した.実 施内容は

TP

30

分,課題指向型訓練を

3

時間実施 した.

TP

は先行研究[10]を参考に,

1

麻痺側下肢の 使用に関する同意,

2

)日常生活における立位・歩 行場面でのセルフモニタリングの促進の

2

つの要素 から構成した.麻痺側下肢の使用に関する同意の内 容は麻痺側下肢を積極的に意識して使用すること, 日常生活でなるべく車椅子を使用しないこと,麻痺 側下肢を使用する動作で達成したい目標を決めるこ と,目標として挙げた活動は日常生活で積極的に行 うこととした.また,日常生活における立位・歩行 場面でのセルフモニタリングを促進するために毎日 麻痺側下肢に関する内容や感想を日記に記録するこ とを約束した.麻痺側下肢に関する内容は生活目標 と歩行目標を対象者の同意を得て設定し,下肢集中 訓練実施中は毎日目標に挑戦し,挑戦した結果や気 づいたことを記録してもらった.達成できなかった 場合は理由などを対象者と一緒に考えてフィード バックした.達成されるまで目標は継続し,達成さ れた場合は別の目標を設定した.  課題は聴取した目標から,目標を達成するために 必要だと考えられる課題を作成した(表

1

).また, 療法士による歩行観察から歩行能力改善に必要だと 考えられる課題も実施した.目標は,

1

)杖なしで 歩けるようになる,

2

)杖を使用して

1

1

段で階 段昇降できるようになる,

3

)屋外を速く歩けるよ うになる,

4

)砂利道や舗装の悪い道を安全に歩け るようになる,

5

)屋外を

600

m以上安全に歩けるよ うになる,

6

)手すりを使用せずに立ち上がる,

7

) 安全に障害物を跨ぐことができるようになる,

8

) 立位で頭上の物を取れるようになる,

9

)立位で食 器が洗えるようになる,の

9

項目となった.本症例 の歩行では,麻痺側初期接地期での足底接地によ り,麻痺側荷重応答期から立脚中期にかけての下腿 の前方への動きが乏しく,麻痺側立脚終期での股関 節伸展がみられないという特徴がみられた.そのた め,前後への重心移動やまたぎ動作などで麻痺側下 腿が前方に移動する動きを促した.そして,部分免 荷式トレッドミルで非麻痺側下肢を大きく振り出す ように声掛けし,麻痺側立脚後期での股関節伸展を 促した.課題は事前に写真と文章で内容や注意点を 書面にて提示し,どの課題がどの目標のためにある のか説明を行った.課題は身体機能に合わせて難易 度を設定し,訓練初期は達成感を優先して難易度を 図 2:研究デザイン  フォローアップ付きAB型シングルケースデザイ ンにより,CI療法のコンセプトを応用した下肢集中 訓練(課題指向型訓練+Transfer package)の効果を 検証した. 図 1:発症18ヶ月後のMRI T1 強調画像  左視床(矢印)に病巣(出血痕)を認めた.

(4)

落とした課題から開始し,段階的に漸増させた.基 本的に難易度を上げる際や転倒リスクが高い課題, 部分免荷トレッドミル歩行は近位監視で行い,それ 以外の課題は遠位監視にて自主トレーニングとして 実施した.使用する物品などは予め準備しておき, いつでも使用できる状態とした.   3.3.評価項目  評価は下肢麻痺の程度の評価として

Fugl-Meyer

Assessment

FMA

)の下肢項目,歩行能力の評価 として

10

m歩行テスト,バランス能力の評価とし て

Timed Up and GO test

TUG

)および

Berg Balance

Scale

BBS

),歩行持久性の評価として

6

分間歩行 テスト(

6MWT

)をそれぞれ使用した.

10

m歩行テ ストでは,

10

mの直線路と直線路の前後に

3

mの予 備路を設けた計

16

mの直線路を用いた.歩行速度は 快適歩行速度とした.目視にて歩数を記録し,ス トライドとケイデンスを算出した.

TUG

では背も たれのある椅子を使用し,

3

m先のコーンの回り方 は左右どちらも実施し,速い方の計測値を記録し た.

BBS

において,タンデム立位では後脚を麻痺 側下肢,片脚立位では支持脚を麻痺側下肢とした.

6MWT

では,

30

mの直線路を使用した.評価は介 入前,

A

期終了後,

B

期終了後,下肢集中訓練終了 から

1

か月後の合計

4

回実施された. 4.結  果  下肢集中訓練は途中で離脱することなく実施さ れた.結果を表

2

に示す.

A

期における評価結果の 変化量は全ての項目においてわずかであった.一 方,下肢集中訓練実施前後においてより大きな変化 がみられ,

10

m歩行テストでは

0.43m/s

から

0.55m/s

TUG

では

33.2

秒から

23.5

秒,

BBS

では

39

点から

42

点,

6MWT

では

121

mから

155

mへの向上が認められた. ただし

FMA

の下肢項目には変化がみられなかった. 下肢集中訓練実施中の日記において,初期には自ら の身体を客観的に振り返ることができずにコメント が曖昧であったが,後半は歩行中に気づいたことを 自ら記録に残していく様子がみられた.下肢集中訓 練終了後には「早く歩けるようになった」,「自分の 身体がよくわかるようになった」などの発言があっ た.歩行は

2

動作前型での歩容になり,

4

点杖から

1

本杖に切り替えることができた.また,生活場面 での変化としてエレベーターを使用せずに生活する ことが可能になった. 5.考  察  下肢集中訓練実施前後において

10

m歩行テス ト,

TUG

BBS

6MWT

の向上がみられた.特に

6MWT

Tang

ら[18]が報告した臨床的に有意な最小 差(

minimal clinically important difference

) の

34.4

m 表 1:実施課題と内容・難易度調整 課   題 内容・難易度調整 時間 (分) 立ち上がり 徐々に座面の高さを低く 10 前後左右の体重移動,回旋 バランスを崩さない範囲で実施 10 片脚立位 支持物を手すり,4 点杖,1 本杖,支持なしへ 20 リーチ動作 徐々に高く,距離を離していく 20  棚から物を取る  下衣の洗濯ばさみを取る  下衣の上げ下げ 踏み台へのステップ 踏み台を徐々に高く,ステップ動作を早くしていく 60 またぎ動作 揃え型から前型へ切り替え,側方・後方も実施 タンデム歩行前後 つま先と踵を離す状態からつぎ足へ 杖なし歩行 杖なしから 1−3 ㎏の重錘を持ちながら歩行する スラローム歩行 歩行速度を上げ,コーン間隔を狭く,杖なしで行う 階段昇降 手すり使用を 1 本杖へ,2 足 1 段を 1 足 1 段へ 部分免荷トレッドミル歩行 歩行速度を上げ,免荷量を下げる 60 屋外歩行 歩幅と歩行速度を意識し,不整地を歩行する

(5)

と同等な改善が得られており,臨床的意義のある変 化が認められたと考えられる.また,

TUG

[19]にお いて最小可検変化量(

minimal detectable change

)を 上回る改善が得られた.これらの改善が得られた要 因として

FMA

の下肢項目に変化が認められなかっ たことから,残された身体機能を効率よく使用でき るようになった可能性が考えられる.

Taub

[5]は慢性 期脳卒中患者の約

90

%に共同運動パターンがあり, これは機能が自然回復していく前の脳損傷初期に学 習されたパターンが持続している可能性があると指 摘している.この現象は学習された不使用ではな く,学習された誤用であると述べている.下肢集中 訓練で段階付けされた課題を長期間反復して実施し たことにより,学習された誤用が軽減し,より適切 な身体の使い方を学習した可能性が考えられる.  

Wevers

ら[10]の課題指向型サーキット訓練のメタ アナリシスでは歩行距離と歩行速度,

TUG

に有意 な改善がみられ,

BBS

では有意な変化がみられな かったと報告している.本研究も

BBS

の向上はみ られたが変化はわずかであり,先行研究と類似した 結果であった.  脳卒中の歩行速度を規定する要因はストライドと ケイデンスであるとされている[20].近藤ら[21]は脳 卒中片麻痺者の歩行速度が

1.0m/s

未満の場合はスト ライドが歩行速度を規定する要因であると報告して いる.本症例の歩行速度は

1.0m/s

未満であり,各時 期における変化ではストライドが入所時から下肢集 中訓練終了

1

カ月後まで右肩上がりで増加してい た.このことからも経時的な快適歩行速度の向上に ストライドの増大が寄与していることが考えられ る.しかし,ケイデンスは入所時から

A

期終了まで 変化がなく,

B

期でのみ向上がみられた.高尾ら[22] は慢性期脳卒中片麻痺者に対して体重免荷トレッド ミル歩行練習を週

3

回,

4

週間実施し,即時的にス トライドのみが増大し,経時的にケイデンスが向上 したと報告している.

B

期のみ向上がみられている ことから,下肢集中訓練の課題として部分免荷式ト レッドミルを継続して実施していたことがケイデン スの向上に寄与した可能性が考えられる.これらの ことから,下肢集中訓練後の快適歩行速度の向上は ケイデンスとストライドの増加によるものと考えら れる.  下肢集中訓練終了後

1

カ月時点においても評価測 定値が維持および向上していた.本症例は下肢集中 訓練終了後も自主的に課題を継続し,日常生活では 車椅子を使用しなくなった.このような下肢活動量 の増大が

1

カ月後の治療効果の持続と向上に影響し た可能性が考えられる.また,日記や終了後のコメ ントから対象者自身も歩行速度の向上や歩容の変化 を実感しており,歩行に対する自己効力感の向上も 活動量の増大に影響した可能性が考えられる.  

CI

療法の最も重要な目標は治療効果を実生活に 汎化させることであるが,本研究では日常生活場面 での歩行量や歩行や立位に関連する動作の質に関し ては評価できていない.今後は日常生活への汎化や 活動量にどのように影響するのか調べる必要があ る.また,一症例のみの検討であるため,今回の結 果を一般化することはできない.効果を検証するた めに症例数を蓄積し,対照群を設けて比較検討する 必要がある. 6.結  論  慢性期脳卒中片麻痺者に対する

CI

療法のコンセ プトを応用した下肢集中訓練は歩行能力やバランス 能力の向上に影響を及ぼす可能性がある.   7.倫理的配慮  本研究は千葉県千葉リハビリテーションセンター 表 2:各時期における評価結果 入所時 介入前 A期終了 B期終了 1 か月後 FMA(点) 21 21 21 21 23 BBS(点) − 37 39 42 41 TUG(秒) 40.8 33.9 33.2 23.5 22.5 10m快適歩行速度(m/s) 0.30 0.39 0.43 0.55 0.59 ケイデンス(steps/min) 76.4 75.5 76.9 90.0 89.3 ストライド(㎝) 47.6 62.5 66.7 74.1 80.0 6MWT(m) − 106 121 155 168 −: 未実施     

(6)

倫理審査委員会にて承認を得て遂行された.本研究 を実施するにあたり,本症例に対して研究の目的お よび内容を書面で説明し,同意を得た.

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