第1節 研究の経緯 1. 教育をめぐる情勢 (1)総合学習の危機 総合学習の先駆である本校では,26 年間にわたって 工夫や改善を繰り返し,その時点で最善と考えられる 運用方法で「BIWAKO TIME」の実践を積み上げてきた。 「BIWAKO TIME」の学習が求める力とは,その学習過程 の中で,分化された「教科」で習得した基礎・基本と なるものを発展させたり,つなぎ合わせたり,統合し たりして,自らが設定した学習課題の解決に向けて, 豊かな人間性に裏打ちされた思考力・判断力を駆使し て創造的に組み上げていくものである。生徒の「主体 性」を引き出しながら,学習過程そのものの中に大き く指導のウエイトをおいた総合学習だといえる。 この総合学習「BIWAKO TIME」が大きく転換を迫られ ることになったのは,ネットワーク回線の普及やイン ターネット検索エンジンの充実などによって,人を介 さない情報の入手が容易になったことである。調査・ 研究成果を複製と貼付で整えることができるようにな ると,当然のように生徒の関心は,地道な情報収集や 発表内容よりも,発表方法に向けられた。その結果, 発表会の相互評価が「発表の声が大きかった/小さか った」,「話の内容が分かりやすかった/分かりにく かった」という指摘にとどまり,内容についての質問 に及ぶことが乏しくなった。BGMをふんだんに用い たビデオレポートやアニメーション効果を多用したス 本論の要旨 平成 20 年 3 月に告示された新学習指導要領は,重要事項の第一として生徒の言語活動の充実を求めている。 そして,各学校の教育課程編成においては,基礎的・基本的な知識及び技能を確実に習得させ,これらを活用 して,課題を解決するために必要な思考力,判断力,表現力その他の能力をはぐくむことを求めている。 本校では,学校教育目標「郷土を愛し世界へはばたく心豊かな生徒の育成」を具現化するため,教科等や総 合的な学習の研究を一層進めていたが,思考力,判断力,表現力その他の能力をはぐくむには,“情報を理解 し,吟味する”ことについての学習が必要であるという結論に達し,生徒の言語活動を,情報活用能力と結び つけて研究することにした。その背景には,本校が 26 年間にわたって積み上げてきた総合学習「BIWAKO TIME」を教科等とつなぐうえで,必然的に情報リテラシーの育成が必要になってきた経緯がある。 1 年次は,総合的な学習の時間の枠内で,文・理系双方を含む「総合情報学」に基づいて「情報科」を開設 した。「情報科」とは,中学校技術・家庭科,高等学校情報科とはねらいを異にし,「批判的思考力・問題解決能力・ 問題発見能力を育成し,生徒の感性と論理的に考える力を高める」ことを目標として,中学生に必要な情報教育の核 となる内容を各学年 35 時間に整理したものである。 2 年次は,「情報科」の内容を,1 年次における生徒と教師の評価をもとに改訂するとともに,教科等及び総合的な 学習において,「情報科」の学習を相互に生かし,言葉と体験,習得と探究を関連づけようとした。 3 年次の本年は,3 年計画の最終年次にあたり,「情報科」の学習内容を「BIWAKO TIME」と教科等に生 かす実践をさらに積み上げるとともに,その評価を行った。結果,「情報科」は,教科等や総合学習「BIWAKO TIME」に,大きな力となって働くことが明らかとなった。しかしながら,それは自動的に働くものでは なく,「情報科」の内容を意図的に取り入れる授業改善の努力があってこそ,大きな力となるものであ ることが判明した。 3 年間の「情報科」の開設を核とする「情報学に基づく教育課程の開発」により,学習の基底の知識・ 技能として働く〝みかた,考え方〟の内実を明らかにするにつれて,コンピュータ利用教育ではない「情報科」の効 果がいっそう明確となる一方で,「情報科」が総合的な学習の時間の目標に収まらない可能性が出てきた。 キーワード 教育課程,言語活動の充実,学校教育目標,情報教育,教科等,総合的な学習の時間,授業改善
第1章 総論
情報学に基づく教育課程の開発(3 年次)
― 言葉と体験,習得と探究をつなぐ「活用する力」を高める授業 ―ライドショーであれば内容が乏しいものであっても評 価が高くなる傾向がうかがえた。つまり,発表方法に は多大な関心を寄せても,発表内容については吟味せ ず鵜呑みにする傾向が強まったのである。 また,学習を深めていく過程で,新たな問題を発見 することや,批判的なものの見方が不十分で,問題解 決に向かっているとはいえない場面や,他の人の意見 を参考にして考えを深めさせることが困難な場面に直 面し,指導の工夫が求められるようになってきた。 (2)今般の情報教育の限界 従来型の情報の学習では,コンピュータ利用を最終 目的とする限り,教科等の基底の知識・技能としては たらく学習内容となり得ず,変化に対応する力,経験 から学ぶ力,批判的な立場で考える力を高めることが できなかった。また,作品づくりを通して学校生活や 社会生活での情報機器の効果的利用法を身につけさせ る指導によって情報機器を器用に使いこなす生徒がた くさん育ってはいたが,情報の吟味や生産の力はあま りついていなかったと言わざるを得ない。つまり,今 般の情報の学習は,メディアの使いこなし方や倫理的 留意点については学習内容を用意しているが,それ以 外の部分は生徒の気づきに委ねざるを得ないという問 題点を抱えている。 (3)高度情報通信社会の到来 生徒を取り巻く社会は,高度情報通信社会へと移 行しており,社会にはさまざまな情報があふれてい て,そのことを無視して生徒が生き方を考えること 自体が不可能となってきた。例えば,コンピュータ・ ネットワークや携帯通信機器などによる高度情報通 信社会の特徴の1つに,発信・受信者の匿名性があ る。このような社会では,これまで以上に個人のモ ラルが問われてくる。情報技術を暮らしや社会の発 展に生かし,人と協調することをすすめる一方で, 自分を防御する態度を,すべての場面で意識させる ことが中学生にとっても課題となっている。と同時 に,地球環境問題に対処し,科学技術の暴走に対抗 する市民コンセンサスの形成等が求められ,高度情 報通信社会への対応力が一層求められるようになっ ている。 (4)新学習指導要領が求めるもの 新学習指導要領の基軸である中教審答申「幼稚園, 小学校,中学校,高等学校及び特別支援学校の学習指 導要領等の改善について」によると,社会の変化への 対応の観点から教科等を横断して改善すべき事項の1 つめに情報教育があげられている。そして,情報活用 能力を育むことが,知識・技能を活用して行う言語活 動の基盤となるものであると位置づけられている。 新学習指導要領への移行のきっかけとなった国際的 学力調査(PISA,TIMSS)の結果によれば,基礎・基本 の習得については一定の成果が見られたものの,活用 する力・応用する力については課題があるとされてい る。これらの結果は,自発的に学習する意欲や習慣を 身につけさせることを軽視する風潮に警鐘を鳴らすも のである。PISA 調査の概念の土台となっているのは OECD が報告したキー・コンピテンシーである。この一 つめには,「①社会・文化的,技術的ツールを相互的 に活用する能力」があげられている(第1図)。 第1図 キー・コンピテンシーのカテゴリー ①の能力は次の三つをあわせたものであると定義さ れている。 a.言葉,シンボル,テクストを相互作用的に活用す る能力 b.知識や情報を相互作用的に活用する能力 c.技術を相互作用的に活用する能力 以上は情報リテラシーともよばれるものであり,こ れからの教育ではすべての場面で,目前の状況に対し て特定の定式や方法を反復継続的に当てはめることが できる力だけではなく,変化に対応する力,経験から 学ぶ力,批判的な立場で考える力が求められている。 2.学校教育目標と育てたい生徒の姿 本校は,滋賀県南部の大津市琵琶湖畔に近く,住宅 街の中に位置し,落ち着いて学習できる環境にある。 校舎は,それまでの大津市東浦石野町(現・末広町) から,昭和39年4月に大津市膳所昭和町に移転新築 し,現在に至る。生徒の大半が大津市内から通学して おり,バス・電車等を利用する生徒が多い。 生徒数は358名で,各学年3学級編成である。学 年の定員は120名で,附属小学校からの連絡進学者
がおよそ8~9割を占めている。 生徒の居住する地域は,古くからの伝統を重んじる 地域や商業地,あるいは新興住宅街など幅広くさまざ まである。高学歴の保護者が多く,特に子どもの教育 ならびに教育全般についての関心は高い。 学校教育目標は,「郷土を愛し世界へはばたく心豊 かな生徒の育成」である。地域の社会・人・自然の尊 さについて理解を深め,郷土を愛し,世代や国境,立 場などを越えて,さまざまな人々と協力し合える心豊 かな生徒を育てたい。この目標をさらに具体化したも のが第2図である。 目標 具体的な内容 (1)自他の人 格を尊重し, 連帯協力し合 える人間に ○自尊感情を持てるとともに,他 人にも思いやりの心が持てる。 ○協力して取り組むことの素晴ら しさを知っている。 (2)創造的な 知性と正しい 判断力をもつ 人間に ○知識の暗記だけにとどまらず, 知的探究心を持ち,創造的な考 え方ができる。 ○周囲の状況を正しく的確に判断 し,自分や他人,社会に貢献でき る。 (3)自然と文 化を愛する心 豊かな人間に ○自然を大切にし,積極的に関わ ることができる。 ○文化や芸術についての教養を持 ち,その価値を理解できる。 (4)苦難を克 服し,自ら開 拓しうるたく ましい人間に ○困難な状況に背を向けず,強い 意 志 で 立 ち 向 か う こ と が で き る。 ○ものごとに自主的・主体的に取 り組むことができる。 (5)国際的視 野に立ち,国 と 郷 土 を 築 く人間に ○幅広く国際的な視野から物事を 考えることができる。 ○国と郷土の明るい未来を築くこ とができる。 第2図 学校教育目標の具体 「学習面」「社会面」「行動面」に着目し,第3図 に示す3側面から生徒を育てていくこととで,学校教 育目標を達成したいと考える。 3つの側面 さらに 伸ばしたい 改善を図りたい ■学習面 知的な探究心 を持つことが できる。 ○発展的な学 習への取 り 組み。 ○表現能力の 向上。 ●疑問を持っても のごとを見る。 ●深く調べて,自 分 の も の に す る。 ■社会面 対人関係を豊 かに築くこと ができる。 ○さまざまな 人との触 れ 合い。 ●思いやりの心, 集団の中での人 間関係づくり。 ■行動面 自主的,主体 的に行動でき る。 ○自主的な活 動への取 り 組み。 ● 課 題 を 見 い だ す。 ●セルフモニタリ ングをする。 第3図 生徒を育成する3つの側面 3.本校の「BUIWAKO TIME」と情報教育の変遷 (1) 「BUIWAKO TIME」の変遷 昭和 50 年代に知育偏重,進学一辺倒,輪切りの教育 などが,大きな問題になった。このような状況は,実 は一人一人の生徒の特性を生かしていない点が問題で あること,そして基礎的な学力を定着させ,個々の創 造性を発揮させることが重要であると考え,昭和 57 (1982)年度から3カ年にわたって,文部省の研究開 発学校の指定を受け,教育課程の改善のための研究開 発に取り組み,「基礎的な学力の一層の定着を図り創 造的知性を育てる教育課程の実践研究」という主題の もと研究を始めた。 この研究で,自主的・主体的な学習の仕方を身に付 け,正しい判断力と実践力を培うためには,教科学習 を統合的・総合的に学習する内容が必要であること, そして,教室という学習の場の枠を取り払い,自由度 の高い学習を設定することの重要性を認識した。結果, このねらいを達成する活動を充実し,「教科学習」と の連携を図る目的で,昭和58(1983)年度後期より, 「郷土学習」-びわ湖と私たち-,いわゆる「びわ湖 学習」を開始した。その後「びわ湖学習」は「BIWAKO TIME」と名前を変え,その時点で最善と思われる運用 方法で,現在に至る26 年間にわたって,生徒の探求の 舞台を提供してきた(第4図)。 (2)「メディア学習」のはじまり 「びわこ学習」において,学習成果の記録や発表方 法をさらに充実させるべく,1991(平成 3)年度から「特 設コンピュータ学習」や「メディア講習会」を開設し て,機器操作能力の向上を主なねらいとして,多種の 情報・視聴覚メディアの効果的な活用方法を指導して きた。しかし,単発的に講座を開設するだけでは効果 が薄いことから,各教科が特定の機器操作を重点的に 身につけさせるよう,各教科の授業に意識的に組み込 むように改善した。例えば,美術はカメラ操作,理科 はビデオカメラ操作,国語は OHP 操作,技術はコン ピュータ操作に習熟させるように,役割分担したので ある。これらの「メディア学習」によって,「びわ湖 学習」は力強い推進力を得ることとなった。 (3)「情報生活科」への改編 「メディア学習」が大きく転換を迫られることにな ったのは,1999(平成 11)年 1 月にマルチメディア対応 パソコン 41 台が整備されたことによる。コンピュータ の高機能化や,ネットワークに接続して使用する運用 方法などによって,次のような問題が生じたのである。 ・教師が研修すべき内容の増加
第4図 「BUIWAKO TIME」の変遷 ・コンピュータ操作に長けた生徒の登場 ・インターネットに接続することの光と影 ・機器の維持・管理の難しさ このため,情報を見極めて取捨選択する能力の育成 や,モラル・マナーを重視した指導が求められるよう になった。単なる操作方法を学ぶだけの「メディア学 習」からの脱皮を図り,以下のような能力,態度の育 成にも取り組んだ。 ・情報を見抜く力 ・情報を活用する資質や問題解決能力 ・身近な生活と情報の関わりについての正しい認識 ・情報倫理,マナー 「情報生活科」の目標は,身近な情報に関する知識 の習得や課題解決を通して,情報及び情報技術の進展 が人間や社会に及ぼす影響を正しく理解させ,主体的 に情報を活用し,発信できる能力と態度を養うことで ある(第5図,第6図)。 1 年生 24 時間,2 年生 21 時間,3 年生 21 時間を, 総合的な学習の時間に配当し,学級担任をふくめたチ ームティーチングで行った。 何かの作品を製作することを通して体験的に学ぶこ とができるように,学年別にワークブックを準備した (第7図)。 第5図 情報生活科のねらい 年度 学習の名称 含む領域 内容等 昭和 55 昭和 56 自己を磨く活動として自主的課題研究に取り組み学年の枠 をはずし,必要に応じ助言する学習の開始。 昭和 57 昭和 58 昭和 59 総 合 学 習 を 位置づける 郷土学習 ( び わ湖と私 たち) 総合学習 郷土学習(びわ湖学習) 性教育 生徒会活動 校外学習 道徳 英会話 2 年 人権学習 選択教科 3 年 フリータイム 自主学習の時間の設定。構成員数を限定せず自主的選択 学習の開始。 18 のテーマ別分科会を設定し,異学年縦割りの学際的自 由研究活動へと発展する。文部省の研究開発校の指定を 受けた取り組み。 昭和 60 昭和 61 昭和 62 郷土学習 総合学習 びわ湖学習 性教育 総合活動 校外学習 生徒会活動 に分離する 1 年生を対象に基礎講座の設定。 発表会に向けてのメディア講習会を開く。 深まりのある話し合い活動の展開の指導。 昭和 63 平成元 平成 2 びわ湖学習 平成 3 平成 4 平成 5 環境学習,国際理解学習を展開する。 平成 6 「BIWAKO TIME」 郷土学習 国際理解 環境教育 グローブ計画 びわ湖学習と国際理解学習をドッキングする。1,2 年生郷 土,国際理解学習で 10 分科会の開始。3 年生は環境学習 で外部講師による講話を実施。 平成 7 平成 8 「BIWAKO TIME」・・・・・・「学び方を学ぶ」郷土学習,国際理 解学習,環境学習のそれぞれに 5 分科会を開設する。 平 成 9 ~ 環境・郷土に焦点化を図る 開設する領域・分科会の数を変更しながら現在に至る。 め ざ す 生 徒 像 1年生 2年生 3年生 具 体 的 な 姿 相 手 の 気 持 ちを考えて, 情 報 を 扱 っ たり,情報技 術 を 使 っ た り す る こ と ができる。 他 者 へ の 影 響を考えて, 情 報 を 扱 っ たり,情報技 術 を 使 っ た り す る こ と ができる。 社 会 的 な 責 任を持ち,自 分 や 社 会 の ために,情報 を扱ったり, 情 報 技 術 を 使 っ た り で きる。 情報モラル,マナーを身につけた生徒
第6図 情報生活科で育てる力 第7図 情報生活科の単元 第2節 研究主題と新しい情報教育 1.はじめに 本校で 26 年間続けている総合学習「BIWAKO TIME」の 学習を円滑に進めるため特設したキャリーメディアに 端を発する「情報生活科」の中で,情報機器を使いこ なす発表等に一定の成果を上げる一方で,発表方法に は多大な関心を寄せても,発表内容を吟味せず情報を 鵜呑みにしてしまうという欠点が浮き彫りにされた。 このような“情報の吟味や生産の力を持たない”とい う障壁は,新学習指導要領の第一に掲げられている教 科等における言語活動の充実が,今後直面すると予想 される課題と同じものではないかと考え,第 1 節で示 した研究の経緯を踏まえ,3 年前に研究に着手した。 情報教育を単にコンピュータ利用と考えず,学習活 動そのものを情報の観点から捉えなおし,情報の本質を 探究し,活用を実行し,内容を吟味する力を育てることを 軸に,「情報生活科」を閉じ,代わって「情報科」を開設 し,体系的に学習する時間を開設することとした。 2. 研究主題 (1)題目 情報学に基づいた教育課程の開発 ~新教科「情報科」の創設~(1年次) ~言葉と体験,習得と探究をつなぐ「活用する力」 を高めるために~(2年次) ~言葉と体験,習得と探究をつなぐ「活用する力」 を高める授業~(3年次:本年度) (2)研究主題設定の理由 言葉と体験,習得と活用をつなぐ「活用する力」 を高めるために,情報活用能力を高め,情報リテラ シーを育むことが必要であると考えた。「知る」という ことの実体化である情報の本質を系統的に学ばせること は,総合学習で見受けられた問題点の解決にもなる。 そこで,日々技術革新する情報機器利用の基礎的ス キルは何か,小学校・中学校・高等学校と繰り返して活 用される基礎的スキルは何かを研究して,「不易の部 分」と「流行の部分」の適度なバランスをとりながら,情報 教育を捉えなおす必要があるのではないかと考え,情 報教育のコアとなる「情報科」を文系理系両方にまたが る最新の学問である「総合情報学」に基づいて設計し, 総合的な学習の時間と教科等をつなぐ教育課程の開発 を行うこととした。 (3)研究仮説 ○新教科を通して「情報の本質を探究する・情報の活 用を実行する・情報の内容を吟味する」の視点を明確 にした学習を深めることによって,社会に生きる力 の育成を図ることができるであろう。 ○情報機器を有効に利用し,情報そのものの見方を 生かすことによって,生徒の感性を磨き,論理的に 考える力を高めることができるであろう。 育てたい 四つの力 1年生 2年生 3年生 情 報 を 読 み 解 く能力 身近な情報に目を向け,その 確かさについて考えること ができる。 身近な情報に目を向け,その 確かさについて客観的・分析 的に考えることができる。 身近な情報に批判的な目を 向け,その確かさや社会的背 景について読み解くことが できる。 人 と の コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 能力 自分の立場を理解して,情報 伝達方法を活用し,他者と関 わることができる。 他者の立場を理解して,情報 伝達方法を活用し,自分を生 かすことができる。 自分と社会のあり方につい て考えて,情報伝達方法を活 用し,自分を生かすことがで きる。 情報機器・手段 を 主 体 的 に 使 いこなす能力 情報機器・手段の特性を知 り,使うことができる。 情報機器・手段の特性を理解 し,使い分けることができ る。 情報機器・手段の特性を生か し,使いこなすことができ る。 情 報 を 効 果 的 に 発 信 す る 能 力 情報を吟味して,正しく発信 することができる。 発信する情報の内容をより 効果的な方法で発信するこ とができる。 発信する情報の内容を高め ながら,誤解のないように発 信することができる。 1年生 ・情報生活科に入門! ・情報のモラルとルール「ネット社会を上手に歩 こう」 ・写真レポート「紹介!附属中の○○」 ・上手に情報に出会おう ・プレゼンテーションの方法 ・発表の方法「意外なわたし紹介」 2年生 ・データを活用しよう「附中の○○は・・・」 ・BGMで演出しよう「紹介!附中生の一日」 3年生 ・情報のモラルとルール「高度情報通信社会にく らすわたしたち」「私の愛するまちをつくろう」 ・3年間の学習をWeb にまとめよう「自分のあゆ みをWeb ページで発信しよう」
(4)研究の概要 新学習指導要領においても重視されている,知識基 盤社会で必要な「活用する力」を高めるために,文・ 理系双方を含む「総合情報学」に基づいて「情報科」 を構築する。また,教科等及び総合的な学習において, 「情報科」の学習を生かし,言葉と体験,習得と探究 を関連づけようとする教育課程の研究開発を行う。 教科等の学習は内容中心であり,内容を理解させれ ば必要な力を身につけさせることができるとされてい るが,学習とはつねに情報を扱うものであり,情報は, 人間により知覚,認知,認識され,思考によって整理・ 補充されて,体系的な「知識」として記憶されること から見れば,情報学に基づけば,生徒の感性を磨き, 論理的に考える力を高めることが可能であるといえ る。本研究は,情報学を基盤として,教科等と総合的 な学習の内容をつなぎ,その充実を図るものである。 (5)研究計画 本年度は研究の最終年次にあたる。学校教育目標の 実現のため,自分・相手・社会という 3 つの立場に立 ち,自らの責任を十分自覚した上で,情報を獲得し, 判断して行動できる生徒の育成を目指し,社会の変化 に伴って国家・社会の形成者として新たに必要とされ る知識・技能と,情報の本質の理解,扱い方の定着を 図る。教科等および総合的な学習の時間において,「情 報科」で学ぶ内容と関連させて,情報機器を有効に利 用したり,情報そのものの見方を利用したりして,生 徒の感性を磨き,論理的に考える力を高め,教育課程 全体で生きる力の育成を目指す(第8図)。 1 年 次 ○情報学について専門家から学ぶとともに,「情 報科」の単元開発を行う。 ・「情報を科学する・情報を活用する・情報を 吟味する」の柱を明確にして,情報機器を有効 に利用したり,情報そのものの見方を利用した りする新教科の内容を整理する。 2 年 次 ○開発した情報科の評価を行い,その一般性・ 普遍性を検証する。 ・各単元において,目指す学習効果が得られた かを,検証する。 3 年 次 ○情報科の内容を,教科等,総合的な学習の時 間に生かす。それぞれの関連性を重視したカリ キュラムづくりを進めつつ,授業研究を行う。 ・教科等・総合的な学習の時間への波及効果に ついて検証する。 第8図 3 年間の研究計画 (6)研究組織 各単元の授業内容の整理,相談ができるようチー ムティーチングを組む。 全教員が情報交流する場 と研究授業による指導法の改善の場を設定する。 (7)評価計画 ○1年次 全教員が「情報科」の授業研究を行う。授業者の 知見,生徒アンケート,参観者の知見から内容を吟 味する。 専門家を研究会に招聘して,いわゆる情報学と の接続の関係を調査する。 生徒のポートフォリオ評価等を通じて,生徒の定 着度を調査し,発達段階に即しているか等について 内容を検討する。 ○2年次 生徒や教師のアンケート等により,従来の情報 生活科と比較して,教育効果を検証する。 専門家を招聘し,授業研究会を通じて「情報科」 の内容と学習指導法の改善を行う。 ○3年次 2 年間のノウハウを生かし,「情報科」と必修教科 等,総合的な学習の時間の関連性を生徒アンケート 等によって明らかにする。 「情報科」を生かした教科等および総合的な学習 の時間についての授業研究を行う。 カリキュラム全体への「情報科」の波及効果を調 査する。 以上の計画を第9図に示す。 第9図 3 年間の研究計画 3.新しい情報教育 (1)「コンピュータ利用教育」との決別 高等学校の「情報科」は,「コンピュータや情報通 信ネットワークなどの活用を通して,情報を適切に収 集・処理・発信するための基礎的な知識と技能を 習得させるとともに,情報を主体的に活用しよう とする態度を育てる」,「コンピュータにおける
情報の表し方や処理の仕組み,情報社会を支える 情報技術の役割や影響を理解させ,問題解決にお いてコンピュータを効果的に活用するための科 学的な考え方や方法を習得させる」,「情報のデ ィジタル化や情報通信ネットワークの特性を理 解させ,表現やコミュニケーションにおいてコン ピュータなどを効果的に活用する能力を養うと ともに,情報化の進展が社会に及ぼす影響を理解 させ,情報社会に参加する上での望ましい態度を 育てる」ことを目標としている。 しかし,コンピュータ利用を目的とする限り, 教科等および総合的な学習の時間の基底の知 識・技能としてはたらく学習内容とはなり得な い。このことは,高等学校の「情報科」のみなら ず,プログラミングの基礎を学習する中学校の技 術・家庭科やオフィスソフトの使用法を教えるた めの今般の情報教育にもあてはまる。 したがって,変化に対応する力,経験から学ぶ 力,批判的な立場で考える力を高めさせるために は,「批判的思考力・問題解決能力・問題発見能 力を育成し,生徒の感性と論理的に考える力を高 める」ことを目標として,新たな情報教育の枠組 みを構築する必要がある。 一方で,情報教育では,高度情報通信社会への 移行に伴って国家・社会の形成者として新たに必 要とされる知識・技能と,情報の本質の理解,扱 い方の定着を図ることも重要であり,そのための 情報モラルの育成は,高等学校の「情報科」,中 学校の技術・家庭科との関連に留意して,すべて の場面で意識させる必要がある。 (2)「活用する力」を高めるために 「活用する力」を高めるために,「調べ学習」が「丸 写し学習」にならないよう,複数情報源の比較検討法 や,調査データの読み取り方など,正確な思考を各教 科で充分に働かせるための判断の根底となる部分を体 系づけるために必要な知識・技術を提示する。立派な 作品の制作を最終目標とせず,作品づくりを演習とし て位置づけることで,情報との関わり方について,生 徒の気づきに委ねず,目的意識を持たせながら感得さ せるようにする。したがって,新しい情報教育では, 情報機器の構造や操作についての学習も扱うが,主眼 には置かない。この点において既設の技術・家庭科や 高等学校も「情報科」,あるいは本校の「情報生活科」 とは目的も内容も異にする。 いわゆる「PISA ショック」を背景にして改訂された 新学習指導要領は,活用する力の育成を強調し,各教 科における言語活動の充実を求めているが,本校の立 場から言えば,全てまさに本研究の対象となるものと いえる。なぜなら本研究は,活用する力の内実を明ら かにすることとほぼ同じことであって,言語活動の充 実が今後生み出すと予想される課題を先取りしてその 答えをも求めるからである。 第3節 情報学に基づいた教育課程 1.新しい情報教育「情報科」 (1)「情報科」の概要 全教科の基底の知識・技能として働く情報に関する 内容をまとめ,「批判的思考力・問題解決能力・問題発 見能力を育成し,生徒の感性と論理的に考える力を高 める」ことを目標として中学生に必要な情報教育のコア となる内容を整理したものである。 (2)「情報科」のカリキュラム 「情報を科学する」・「情報を活用する」・「情報を吟味 する」という 3 つの視点で「情報科」を設計した。その中 間にある<B 本質を知って活用・D 内容を吟味して活 用・F 本質を知って内容を吟味>の 3 つの間を設定し て,あわせて 6 つの視点を設けた。中学校 3 年間でこの 6 つの視点をベースに捉え,向かい合う 2 組をペアにし て,各学年に 35 時間を配当し,第10 図のように単元を 構成した。 第10図 情報科の単元 学年・内容 単元 1 年 生 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 人とのコミュニケーション メディアによるコミュニケーシ ョン 情 報 の 活 用 アイデアを練ろうⅠ 分析しよう 発表しよう 2 年 生 デ ー タ と 情報 データ量と情報量 データの質とデジタルデータ 情 報 の 処 理 アイデアを練ろうⅡ データを処理しよう マルチメディアで表現しよう 3 年 生 思 考 と 創 造 論理的に読み聞きしよう 論理的に表現しよう 情報社会 情報の本質 情報と経済・犯罪 これからの情報社会
(3)「情報科」の特徴 「情報科」は,高等学校で学ぶ情報科の前倒しで はなく,中学生として必要な情報教育の内容である。 情報(文字・絵など)を理性と感性の両面からと らえ,批判的に吟味し,自分の考えを生み出し発信 していく生徒を育てることを目指して,教科横断的 に情報の出し入れに関する知識や思考法を,本校教 員が 1 単元ずつ分担して開発した。 社会の変化に伴って国家・社会の形成者として新た に必要とされる知識・技能を加え,情報の本質の理解, 扱い方の定着を図る内容であり,情報モラルは全領域 で学習することとした。 「情報科」の学習内容の詳細と,教科等および総合的 な学習の時間への波及効果の検証は,〝第3章 第1 節〟に示す。 2.「各教科」の研究 各教科の研究主題は,教科の特性によって異なって いる。したがって,第2節で示す各教科の研究主題は, 「情報科」と関連を図ることについてのみ,設定されてい るわけではない(第 11 図)。 第 11 図 各教科の研究構造図 言い換えれば,第 12 図の「わかる」の部分について, それぞれの教科が目前の生徒に対して必要な研究内 容を決めているのである。第 12 図において,「情報科」 の内容は,「わかる」の部分を支援するものである。 第 12 図 言葉と体験をつなぐ構造図 (1)「各教科」の大学との共同研究 各教科は,積極的に滋賀大学教員と共同し,大学と の共同研究を推進し,実証研究を行っている。本年度 の大学との共同研究テーマは第 13 図の通りである。 国語 社会 数学 理科 音楽 美術 保健体育 技術 家庭 英語 明日からの実践に生きる教材の工夫 ~学び合い高め合う国語学習づくりのた めに~ 市民的資質の育成を目指した社会科学習 数学的活動を生かした授業設計 科学的思考力を高める理科学習 自ら高めていこうとする姿が見られるた めに 美術科指導の「考えるヒント」 -題材・形態・方法の工夫- 新学習指導要領から見たこれからの保健 体育を考える 技術リテラシーを高めるカリキュラム開発と授 業実践 行事食から学ぶおもてなしの心 実践的コミュニケーション能力の基礎を育て る授業の実践 第 13 図 各教科の共同研究テーマ (2)生徒観察を中心とした授業研究 習得・活用・探究は一連のものではなく順序や構造が ないものであるが,授業者は,それらをどのように整理し てどのように「活用する力」を向上させようとしたのかを研 究授業を含めて実践で示した。参観者は,生徒観察に 基づいて,授業の各場面や個々の生徒に焦点を当て, シンキングツールを活用して,生徒の学びを向上させる 手立てを探る。そのために生徒観察の 5 つの視点を設 けた。この視点に基づいて,生徒観察と授業後の生徒 のアンケートを実施するようにした。生徒観察の 5 つの 視点は,第 14 図の通りである。 学ぶことが明らかになっているか ・実態にあっているか。 ・ひとりひとりの課題になっているか。 ・積極的に取り組んでいるか。 ・学習方法がわかりやすいか。 ・メディアなどの活用が効果を発揮したか。 ・流れがよく理解されているか。 ・定着が図られているか。 考えられる材料,時間があるか。 ・考える手段,材料,方法を理解しているか。 ・活動が喚起されているか。 ・解決のための十分な時間があるか。 ・先に教師に話されてしまっていないか。 ・手持ちぶさたになっていないか。
一人ひとりが適切に支援され評価されているか。 ・生徒を教師と生徒相互に受容しているか。 ・適切な助言,励ましを受けられているか。 ・試行錯誤が受容されているか。 ・多様な方法,個別に評価してもらえているか。 ・わずかな変容に気づいてもらえているか。 ・思考を促す仕掛けが効果を発揮しているか。 ・生徒相互の他者評価を意識しているか。 ・自己評価を意識しているか。 生徒の思いが実現されているか。 ・準備が活動するのに十分であるか。 ・個々の活動,グループの活動に工夫がみられるか。 ・結果を急がされていないか。 ・活動から結果が導かれているか。 ・感動や満足感を共有できているか。 情報科の授業が生かされているか。 ・情報の視点が授業に波及効果を及ぼしているか。 第14図 研究授業における生徒観察の視点 したがって,研究授業に実施した生徒質問紙の内容は 第15図のようにした。 4段階評価 1.課題を明確にして授業に取り組めましたか。 2.授業に集中して取り組めましたか。 3.他の人の意見を参考にして考えを深めることができ ましたか。 4.充実感や達成感を持つことができましたか。 5.情報科で学んだことを活用して取り組めましたか。 自由記述内容 ・今日新しく学んだことは何ですか。 ・学んだことをどんな場面で生かせそうですか。 ・今日の授業をもとに,今後,何を学びたいですか。 ・情報科で学んだことをどのような場面で生かすこと ができましたか。 第15図 研究授業後に実施する生徒質問紙 以上を活用した授業研究会の持ち方は,以下の通り にした。本年度は,研究会での話し合いを活性化させ るために,少人数のグループ協議を重視した。 ① 各自,W チャート(第 16 図)に,生徒観察を記 録する。 第 16 図 シンキングツール「W チャート」 ② 生徒アンケートの結果と授業者の振り返りを記録 する。 ③ どのように改善すればよいかをグループで協議 する。 ④ 全体会でグループの協議の結果を交流する。 ⑤ 共同研究者からの助言など。 本年度は,一部の教科で共同研究者の滋賀大学教員 を招聘して研究会を実施することができた。専門的な 知見からの助言が得られ,新たな研究の方向性が示さ れた。 以上の各教科における研究成果は,〝第2章 第 1節~第9節〟に示す。 3. 学び方を学ぶ総合学習「BIWAKO TIME」 (1) 「BIWAKO TIME」の概要 各教科における学びは,教科のねらいを達成させる ため,「学習課題」が発問として示され,生徒がそれに応 えようとするものである。一方,生徒自身の「問い」から 発し,各教科の学びを横断的に統合して使いこなす学 びがある。応える学びではなく,主体的な学びを創造す る場として,総合学習「BIWAKO TIME」がある(第 17 図)。 第 17 図 応える学びと主体的な学び 「BIWAKO TIME」は,郷土を学習フィールドとした「学 び方」を学ぶ調査研究型の総合学習であり,先人が残 した美しい水や空気などを大切に守り育て,郷土に息
づく文化とともに次の世代に引き継いでいくために,「自 然」・「人」・「社会」との関わり方を探り,生徒自身がどう 生きればよいかを考えていく時間である。目標は次の3 つである。 ○郷土の姿や社会の姿を追究する中で,確かな「学び 方」を身に付ける。 ○郷土の「自然」・「人」・「社会」の現状を正しく認識し, 私たちの現在,未来の生活をよりよく創造していく態度 を身につける。 ○学年の枠を越えた学習グループでの活動を通じて, 仲間との協力・連帯の姿勢を育てる。 (2) 「BIWAKO TIME」の特色 ・異学年合同のグループ編成と学年別目標の設定 ・夏休みを挟んだ長期間の学習 ・サテライト<ものづくり,渉外,実験,図書,コンピュー タ>の活用 ・さまざまな発表の機会と形態<中間発表,領域別発 表,まとめの集会> ・領域別グループ編制 (3) 「BIWAKO TIME」の「情報科」との関連 調査研究過程において,「何を研究していくのか」, 「どのような方向性で研究を進めるのか」を多面的に考 えさせ,調査研究で得られた情報を比較・検討させた り,信頼性を吟味させたりする場を重視した。 シンキングツールを活用させたり,毎回の活動後に行 う振り返りシートを活用させたりして,生徒同士の練り合 いを活性化させた。 「BIWAKO TIME」の研究と学習効果の検証は〝第3 章 第2節〟に示す。 4.「国際学習・共生社会への参加」 人としてどう生きるのか,よりよく生きていくのかを中学 生が学ぶことは大変重要である。そのため,「共生社会 に生きる」をキーワードに,人としてよりよい生き方を学 ぶ学習を展開する。様々な境遇や自分とは違う立場に ある人たちと将来にわたって新しい人間関係を築き,円 滑な関係を保っていくには,より多くの人々と行動を共 にし,互いを認め合い,多様な価値観に触れ,世代を 超えた交流が必要不可欠となる。本校は韓国にある韓 国教員大学校附設美湖中学校との姉妹校提携を結ん でおり,学校間の交流をはじめ,日本と韓国との文化交 流や異文化理解を進めている。そこで,「国際理解学 習」と「職場体験学習」を2本柱に据え,実際の共生社会 に積極的に関わり,共生社会をよりよく生きる力を養う学 習の場とする。目標は次の3つである。 ○多くの人と関わり,互いを認め合う。 ○異文化交流や実社会における多様な価値観や考え 方を理解する。 ○積極的に共生社会に参画していく態度を養う。 内容は,以下の通りである。 →1年生・・・国際理解Ⅰ<飛鳥校外学習>・国際 交流Ⅰ<韓国を知ろう> →2年生・・・国際理解Ⅱ →3年生・・・職場体験学習<共生社会への参加> 国際感覚豊かな生徒,共生社会で自己実現できる生 徒,よりよい共生社会の創造に携われる生徒を育成す るために,道徳・特別活動との一層の連携を行い,内容 の精選と統合を行っている。本年度は,新型インフルエ ンザの流行の影響で,韓国教員大学校附設美湖中学 校との学校間の交流ができなかったのが残念である。 以上の詳細は,〝第3章 第3節〟に示す。 5.エネルギー環境教育「科学技術科」 (1) 「科学技術科」の概要 さまざまな学習体系の中に散在していたエネルギー と環境の関わりについての学習内容を一つの目標の元 に束ねることによって,より大きな体系で指導を展開す る。広い視野をもって考えるべきエネルギーに関する問 題について,理科と技術分野が領域を主張するのでは なく歩み寄り,校内のエネルギー環境教育を束ねる役 割を担う。 (2) 「科学技術科」のカリキュラム 2 年生では,エネルギーに関する基礎的な内容とし, 3 年生では,経済,政治,科学・技術等の様々な観点か ら理解を深めるとともに,環境保全や経済発展との関わ りについての内容とした。科学技術科を総合的な学習 の時間に位置づけて, 2 年生に 7 時間,3 年生に 18 時 間を設定し,すべての生徒を対象に理科と技術のチー ムティーチングを行った。 2 年生の学習内容 身近な発明品を例に,エントロピーと効率を考えるさ まざまな実験を行い,どちらを選択するかという意志決 定の難しさを理解する。 3 年生の学習内容 エネルギーに係る多くの問題が多岐にわたる課題を 含んでおり,単純に解決できない複雑なものであること を理解する。 (3) 「科学技術科」の特徴 実験による科学的基礎的事項の理解と,技術的なシ
ステム開発による生活に密着した問題点について考え る授業のスタイルを心掛け,システムの運用について経 済的な視点からの分析等,意志決定に必要な要素をふ やした事例に関するモデル実験や作業を通して総合的 に考える難しさを理解するように単元を構成する。 エネルギー環境の学習を楽しく分かりやすくするた めに,意外性のある観察や実験,生徒の疑問を引き出 す支援の工夫,それらに伴って課題の明確化・用語の 整理が必要であると考え,さまざまな学習場面におい て,心理的な葛藤を起こさせるように,学習内容の矛盾 を明確化して,生徒が活発に意見を述べ,互いに意見 をぶつけ合い,エネルギーに関する認識を広げられる ように授業を設計する。 他所への訪問や専門家への指導依頼などはほとんど 行わず,派手な実践ではないが着実に効果をあげる実 践を目標とする。 (4) 「科学技術科」の「情報科」との関連 「科学技術科」は,多面的な見方をさせるために, 教師同士が一つの課題について相反する立場に立ち, 生徒の短絡的な考え方を混乱させるような授業展開を 行う。このことにより,とりあえず省エネという言葉を使っ ておけば納得させることができるような結論ではなく,エ ネルギーを取り巻く様々な課題を深く考えさせる機会と している。生徒は,さまざまな情報をもとに,最良の判断 を行うために,情報の信憑性や有効性を吟味する。 「科学技術科」の研究の詳細は,〝第3章 第4 節〟に示す。 6.「選択教科」 本校では,教科間選択教科である「2年選択」を実 施し,第3学年では,さらに発展的な選択履修を目指 して,より専門的な内容を学習する「3年選択」と, 個別の課題を追究する「卒業研究」を実施している。 「3年選択」は,一日をすべて選択学習に当てる集 中活動日を設け,校外活動を実施できるようにしてい る。 選択教科では,「高まりたい,より深く学びたいと いう意欲を充足できる課題への取り組み」,「自分の 可能性を発見する場」,「さまざまな学習スタイルと の出会い」を重視している。 以上の詳細は,〝第3章 第5節〟に示す。 7.情報学に基づいた教育課程の成果と課題 「情報科」の学習内容の波及効果は,本紀要のそれ ぞれ,〝第2章 第3章〟で示され,その各論におい て,「情報学に基づく教育課程の開発」の成果と課題 が検証されている。 それらによると,概して,新しい学問“情報学”を 取り入れたことにより,以前には見られなかった授業 が実践されたことが大きな成果といえる。 例えば,総合学習「BIWAKO TIME」では,生徒用 ワークブックに,シンキングツールのページを設け, 「情報科」で学習する「イメージマップ」,「樹形図」, 「ベン図」などを,生徒が問題解決の場に利用できる ようにしたことにより,情報をさまざまなメディアか ら集めて比較したり,情報の信憑性を検討したりする ような情報の価値にこだわる学習の広がりが認められ た。また,各教科の授業においても,シンキングツー ルを利用したり,情報の見方や考え方を生かした展開 がなされたりして,生徒が活発に学びを高めあう姿が 認められた。 このように,「情報科」の学習内容は,教科等や 総合的な学習の時間に,大きな力となって働くこと が明らかになったことが成果であり,一方で,それ は勝手に伝播する力ではなく,「情報科」の学習内 容を取り入れようとする指導と教員の努力がなけ れば,大きな力とはなりえないことが認められたこ とが課題といえる。 いずれにしても,各教科がそれぞれの教科の研究主 題を設定し,滋賀大学の教員と連携しながら授業づく りに取り組む教員の風土と,生徒が教科等で学んだ知 識や技能などを試すことができる探究の舞台として の総合学習「BIWAKO TIME」があったからこそ,コ ンピュータなどの情報機器利用指導だけを目的とし ない新たな情報教育の枠組みが必要とされたのであ る。言い換えれば,目の前の生徒と向き合い,確かな 生徒理解の上に立つ授業づくりをすすめることが, 「情報学に基づく教育課程の開発」の原動力となった といえる。今後,本校の情報教育は,この方向性を大 きく変えることなく進めていくことになる。 しかしながら,情報学に基づいた教育課程の開発が 進むにつれて,「情報科」の目標が総合的な学習の目 標に収まらず,新たな枠組みで構築されなければなら ない必要性が生じてきた。研究の最終年次に,新たな 研究の展望が開けたことも,この 3 年間の大きな成果 である。 (澤田一彦)
第4 節 研究に関わる資料 1.研究構想図 <研究主題> 情報学に基づいた教育課程の開発(3年次) ~言葉と体験,習得と探究をつなぐ「活用する力」を高める授業~ 学校教育の 今日的課題 研究成果の蓄積 生徒の実態 <研究領域> 領域 内容 重点 教科等の学習 各教科の基本的な学習内容の確かな定着を図る。 学びたい,理解したい意欲を喚起する授業づくり。 生徒の特性等に応じた発展的な選択教科。 学び合い高め合う授業。 知的な探究のある授業。 情報の視点の導入。 『BIWAKO TIME』 郷土を学習フィールドとした,学び方を学ぶ調査研究型の総合学 習。 教師間の連携を深めた 指導の充実。 学習効果の検証。 『国際学習 共生社会への参加』 人間の生き方に関わって,よりよい生き方を学ぶ。 さまざまな立場の人や思いに触れ,価値観や視野を広げる。 道徳・特活と連携した学 習内容の見直し。 学習資料の整理。 『情報科』 高度情報通信社会に対処し,「体験」と「言葉」を結びつける国 際化時代に必要な熟考・評価の力を情報リテラシーの視点から育 成する。 実践と学習効果の検証。 情報モラルを育成する 単元の重視。 『科学技術科』 エネルギーと社会,環境のかかわりを多面的に学習する。 理科と技術のTT。 系統的な単元の開発。 <研究の目的> ●豊かな学力を身につけさせるため,情報学に基づいた教育課程を開発する。 【本校の考える豊かな学力】 ①知識・技能の量 ··· 学んだ力,学習到達度,学校知 ②思考・判断・表現力など ··· 学ぶ力,学び方,機能的学力,方法知 ③学習意欲 ··· 学ぼうとする力 ④学んだことを活用する力 ··· 集団で高め合う力,問題解決場面で生かす力 【総合的な学習の時間】 以下のような4つの総合学習を展開する。 ・高度情報通信社会に生きる力の育成を図り,情報そのものの見方を活用させることによって,生徒 の感性を磨き,論理的に考える力を高める学習。→『情報科』 ・郷土を学習フィールドとして学び方を学ぶ調査研究型の学習。→『BIWAKO TIME』 ・人としてよりよい生き方を考察する学習。→『国際学習・共生社会への参加』 ・多面的にエネルギー環境問題を考える学習 。→『科学技術科』 【教科等】 『情報科』の学習内容を生かしつつ,大学との共同研究を深める。 <学校教育目標> 郷土を愛し世界へはばたく心豊かな生徒の育成 (1)自他の人格を尊重し,連帯協力し合える人間に (2)創造的な知性と正しい判断力をもつ人間に (3)自然と文化を愛する心豊かな人間に (4)苦難を克服し,自ら開拓しうるたくましい人間に (5)国際的視野に立ち,国と郷土を築く人間に 学校教育の 今日的課題 研究成果の蓄積 生徒の実態
2.選択・総合の特色を生かす二学期5期制によるカリキュラム 本校は二学期制を導入し,5年目を迎えた。二学期制は,さらに前期を3期,後期を2期に区切って二学期5期制としている。 各期の目標や特徴を明確化して各学習や行事を効果的に実施するとともに,各期の成果や課題を段階的に次の学習に生かしてい けるように工夫している。 第1期(4,5月) 第2期(6,7月) 第3期(8~10月) 第4期(11,12月) 第5期(1~3月) 「始めよう」 「挑戦しよう」 「挑戦しよう」 「深めよう」 「広げよう」 ・1年間の見通しを持 ち,始めよう。 ・自分の力を発揮しよ う。 ・力を合わせて挑戦しよう。 ・自分の考えを深めよ う。 ・視野を広げ,展望を持とう。 1 年 2 年 2年選択 3 年 3年選択 S (含:6 時間まとめどり) 卒業研究 1 年 「BIWAKO TIME」を始めよう 基礎+「BIWAKO TIME」 2 年 「BIWAKO TIME」 3 年 「BIWAKO TIME」 1 年 コミュニケーション 情報の本質 2 年 情報の処理・活用 データと情報 3 年 思考と創造 情報社会 2 年 システムとエントロピー 3 年 環境とエネルギー 新しいエネルギー 「近江八力」 1 年 共に生きる (国際交流Ⅰ) 2 年 共に生きる (国際理解) 共に生きる (国際理解) 共に生きる (国際交流Ⅱ) 3 年 自己を見つめる (高等学校を考える) 自己を見つめる (職場体験学習) 主 な 行 事 新入生オリエンテーション 卒業生実習 中体連春季大会 体育祭 3回生実習 中体連夏季大会 大学訪問学習(1年) 3回生実習 中体連秋季大会 文化祭 合唱集会 修学旅行(2年) 本校入試 高校入試 卒業式 選択学習 「BIWAKO TIME」 「情報科」 教科等の学習 「科学技術」 「国際理解・共生社会への参加」
3.教育研究のあゆみ 年度 研究主題 研究概要 昭24 新教育の構想と実際(Ⅰ) 本校のカリキュラムとガイダンス 昭25 新教育の構想と実際(Ⅱ) 学習形態と基礎学力の問題 昭26 新教育の構想と実際(Ⅲ) 特別活動,道徳教育の位置づけと実際 昭27 国語科,社会科,英語科教育上の諸問題 昭28 新教育の構想と実際(Ⅳ) 中学校の男女共学に関する2,3の問題 昭29 数学科教育上の諸問題,理科教育上の諸問題 指導内容の改定試案,実験と観察 昭30 家庭科教育上の諸問題,体育科教育上の諸問 題 共学における家庭科のあり方,新しい体育の学習指導法 昭31 新教育の構想と実際(Ⅴ) 郷土研究「湖のくに」編集出版 昭32 読みと書の指導,文型指導の理論と実際 各教科指導の深化 昭33 社会科と道徳指導,技術科への移行措置,図 形指導の実際 各教科指導の深化 昭34 新学習指導要領の問題点とその対策(Ⅰ) 国語,社会,保健体育,技術,家庭,英語 昭35 新学習指導要領の問題点とその対策(Ⅱ) 数学,理科,音楽,美術,道徳,特別教育活動,学校教育等 昭36 特設「道徳」における内面化の方法 道徳資料集の編集 昭37 内面化に効果のある道徳の指導方法 問いかけと話し合いのさせ方 昭38 教科指導の問題点と合理化 校内の研究授業を主とした教育内容の充実 昭39 教科指導の近代的開拓と合理化 「中学校教科指導の近代的開拓と合理化」と題して公刊 昭40 放送教材の特質を生かした学習指導 教科の本質に迫るための放送教材の利用 昭41 教材内容の精選と指導方法の改善 教科の精選の角度を定め,それによって日常の具体的な学習 を通して指導の改善をはかる 昭42 自主性を伸ばす学習指導 生徒の精神の自由で自然な発想をはばむものは何か,それを 除去する学習指導のあり方 昭43 自主性を伸ばす学習指導 学習に対する最も多くの責任を感じさせる指導 昭44 生徒理解 自由な許容的な共感的な人間関係による生徒理解 昭45 共感的な人間関係による生徒理解 学習指導,問題を持つ生徒,集団場面における受容的なあり 方を追求 昭46 生徒理解を基盤にした授業改善の試み 地震計授業分析法,生徒の思考過程,教育工学的な場におけ る生徒理解など多方面からのアプローチを試みた 昭47 生徒理解を基盤にした授業改善の試み (その2) 主体学習を援助する(学習計画,場面設定,資料提示,教育機 器の利用) 昭48 生徒理解を基盤にした授業改善の試み (その3)一人ひとりが生きる学習 スローラーナーが生きるために,生きている一人ひとりの姿 の追求,生きる学習の追求 昭49 生徒理解を基盤にした授業改善の試み (その4) 導入場面の設定,学習成立の要因と学習を阻害するもの,二 つの学習の流れ(直列と並列),課題を見つけ,方法を考え, 解決する。 昭50 生徒理解を基盤にした授業改善の試み (その5)-生き生きと,力を合わせて,学習 目標に到達する- 内容的なせめ方-助言-方向を明確に与える営み,話し合い を活発にする,教師の指導意図をはっきり出す営み,形式的 なせめ方-場面設定をする 昭51 生徒理解を基盤にした授業改善の試み (その6)-生き生きと,力を合わせて,学習 目標に到達する- 学習の場の力点-よくわかる発表ができる,よい考え方でよ く考える,素直に表現する 昭52 学習の成立を求めて(その1) 新教育課程の展開,基礎的基本的事項の精選とゆとり,でき ない子供の要因分析をふまえた指導案の作成と実践 昭53 学習の成立を求めて(その2) 新教育課程の展開,基礎的基本的事項の精選と重点化,学習 の成立しにくい生徒に応じた指導の実際化 昭54 学習の成立を求めて(その3) 学習の成立しにくい生徒に応じた指導の実際化 昭55 学習の成立を求めて-新学習指導要領をふま えた教科指導のあり方- 学習の成立しにくい生徒へのてだてとその実際化,新教育課 程をふまえた学習計画表の作成と授業実践,新教育課程展開 の課題(学校裁量の時間,選択教科の運営) 昭56 創造的知性の育成をめざして 個人テーマをもとに,教科指導の深化をはかる 昭57 創造的知性の育成をめざして(2年次,研究開 発1年次),教育課程基準改善のための教育研 究開発 各教科において,基礎的な学力の一層の定着を図り,創造的 知性を育てる学習指導のあり方を実践的に研究,教育課程の 基準改善のための教育研究開発について文部省指定を受ける
年度 研究主題 研究概要 昭58 基礎的な学力の一層の定着を図り,創造的知 性を育てる教育課程の実践研究(研究開発2 年次) 教科学習と総合学習の教材と教授学習過程の実践研究に望ま しい教育課程の構築をめざす 昭59 基礎的な学力の一層の定着を図り,創造的知 性を育てる教育課程の実践研究(研究開発3 年次) びわ湖学習を中核とする自主的・主体的学習の総合学習と創 造性を培う教科学習の両分野の実践研究を深める 昭60 創造的知性の育成をめざして 教科学習と総合学習の相互関連性における実践研究の深化 昭61 一人ひとりに総合学習を育成するカリキュラムの実践 昭62 昭63 一人ひとりの生徒に自己学習力を育成するた めに基礎的な学力の一層の充実を図ると共 に,生徒の特性等に応じる選択履修を可能に する教育課程の研究開発(研開~平4) 生徒の特性等に応じる教科間選択履修とコンピュータ教育に 関する教育課程の開発の研究・試行・まとめ 平元 平2 平3 個を生かし,一人ひとりに自己学習力を育成 する教育課程及び学習指導の研究(~平5) 「選択履修」及び「コンピュータ映像メディアを活用した教 育方法」を中心とした実践研究 平4 平5 文部省指定「教育方法等改善研究」(~平6) 平6 個性を伸ばす複合的カリキュラムの開発-自 己学習力の育成をめざして- 「教科等の学習」「選択学習」「総合学習・総合活動」の3 本柱,「総合学習」を「HT」「BT」で編成,「合科的講座選 択学習」「卒業研究」の試行 平7 平8 平9 豊かな個性と自己教育力を育む総合的カリキ ュラムの開発-生徒の独創性を生かす「教科 等の学習」「選択学習」「総合学習」の実践 - 21世紀の教育のあり方を見通し,「教科等の学習」「選択学 習」「総合学習」の内容と相互関連を明らかにすることによ って有機的に機能する総合的カリキュラムの開発と指導方法 の実践的研究を進める 平10 平11 平12 創造的で心豊かな生徒を育成する教育課程の 開発,「今を生きる」教育の充実と創造(研究 開発四校園~平14) 「情報生活科」の試行,「選択基礎」「合科的講座選択学習」 「集中選択」「卒業研究」の再編と試行,幼稚園・小学校・ 中学校・養護学校が連携して,発達段階に応じた学びの姿を 明らかにし,各学校園間の接続と共生を重視した一体的な教 育課程の研究開発 平13 次世代ITを活用した未来型教育研究開発(文 科省指定~平15) 光ファイバー等の高速回線でのインターネット接続による教 育方法の開発 平14 平15 豊かな学力をはぐくむ「必修」・「選択」・ 「総合」の一体的カリキュラムの開発-環 境・情報・人間のつながりを求めて- ○「豊かな学力」の捉え直し ○必修・選択・総合の関連を図るカリキュラムの編成 ○大学・公立中との連携を深める「教科の明日を語る会」の 創始 ○教員相互の公開授業による授業研究会の推進 平16 豊かな学力をはぐくむ教育課程の開発-環 境・情報・人間からのアプローチ-,国立教 育政策研究所指定「選択教科の開設・運用に 関する研究」 ○3年間を見通した選択教科の学習の再編 ○二学期5期制の運用の開始 ○大学との共同研究としての「教科の明日を語る会」実施 ○全教科の公開授業による授業研究会の推進 平17 豊かな学力をはぐくむ教育課程の開発-環 境・情報・人間からのアプローチ- ○3年間の教育課程の見直し ○総合学習「BIWAKO TIME」の学習効果検証 ○全教科の公開授業による必修教科の授業改善 平18 豊かな学力をはぐくむ教育課程の開発 -教科等および総合学習「BIWAKO TIME」が育 む生きる力- ○互いに学び合い高め合う教科等の授業実践 ○総合学習「BIWAKO TIME」の学習効果の検証 ○情報学にもとづく新教科の開発 ○大学との共同研究の発表 平19 情報学に基づいた教育課程の開発 ―新教科「情報科」の創造― ○互いに学び合い高め合う教科等の授業実践 ○情報学にもとづく新教科「情報科」の開設 ○HTにおけるICTの活用 平20 情報学に基づいた教育課程の開発 ―言葉と体験,習得と探究をつなぐ「活用す る力」を高めるために― ○情報学にもとづく「情報科」の内容の整理 ○BIWAKO TIME,HUMAN TIMEの内容の充実 ○大学連携,情報学を取り入れた教科の充実 平21 情報学に基づいた教育課程の開発 ―言葉と体験,習得と探究をつなぐ「活用す る力」を高める授業― ○「情報科」を核とした教育課程の整理 ○「情報科」の学習効果の検証 ○情報学を取り入れた教科等と総合学習の実践研究
4.平成21年度の研究経過 回 日 曜 内容・その他 1 4/13 月 研究方針,授業研究方法について 研究計画<情報科・BT・道徳と人権教育の内容,選択教科> 2 4/22 水 情報科について,科学技術科について,教科の明日を語る会について 科研費研究(水谷 哲郎,舟橋 秀晃,保木 康宏)の紹介,BTの準備 3 5/13 水 講話 白井重樹先生(滋賀大学教育学部 「附属中に期待すること」) 大学訪問学習について,授業研究の指導案について 研究紀要・教科の明日を語る会の一次案内の発送 職員研修 5/27 水 特別支援教育 講師 松村 齋先生(滋賀大附属特別支援学校) 4 6/3 水 授業研究会 1年理科 澤田 一彦 3年理科 保木 康宏 指導助言 東田 充弘先生(滋賀大学教育学部) の情報交流① BT 5 6/22 月 授業研究会 1年技術・家庭 河野 卓也(技術分野) 1年技術・家庭 菊谷 愛(家庭分野) 指導助言 堀越 昌子先生(滋賀大学教育学部) の情報交流② BT 6 6/29 月 授業研究会 2年数学 北村 俊 3年数学 池田 宏 教科の明日を語る会について,公開授業研究会の二次案内等発送作業 大学との共同研究の位置づけ,10年経験者研修選択研修の位置づけ,研修会 教科の明日 7/30 国語 舟橋 秀晃・北村 拓也,大田 勝司(滋賀大学教育学部) を語る会 8/11 数学 池田 宏,北村 俊,高澤 茂樹(滋賀大学教育学部) 8/21 保健体育 馬淵 哲,三浦 幹夫(滋賀大学教育学部) 家庭分野 菊谷 愛,矢野 由起(滋賀大学教育学部) 夏季集中 8/6 木 次年度以降の研究の方向性,OBとの対話,研究に関わる研修 研究会 講師 宮田 仁先生(滋賀大学教育学部 「情報教育と教育の動向」) 7 8/28 金 研究紀要の項立てについて,教科の明日を語る会の準備 教科の明日 8/31 月 大学との共同研究の位置づけ,10年経験者研修選択研修の位置づけ, を語る会 公開授業/研修会 3年社会 水谷 哲郎,岸本 実(滋賀大学教育学部)/上田 真也 1年理科 澤田 一彦,東田 充弘(滋賀大学教育学部)/保木 康宏 1年音楽 松井弥寿雄,杉江 淑子(滋賀大学教育学部) 3年美術 馬淵 哲,世ノ一善生(滋賀大学教育学部) 1年技術分野 河野 卓也,木島 温夫・松原 伸一(滋賀大学教育学部) 木 1年生対象 午前:各研究室訪問 大学訪問 9/3 学習 午後:講演 堀越 昌子先生(滋賀大学教育学部)「鮒寿司の謎」 8 9/9 水 授業研究会 3年国語 舟橋 秀晃 2年国語 北村 拓也 指導助言 牧戸 章先生(滋賀大学教育学部) の情報交流③ BT 9 9/29 火 公開授業研究会,講師 山田奨治先生(国際日本文化センター 「情報のみかた」) 情報科 アイデアを練ろうⅠ 1年情報の活用 澤田 一彦・上田 真也 情報科 アイデアを練ろうⅡ 2年情報の処理 水谷 哲郎・増田とよ子 情報科 論理的に表現しよう 3年思考と創造 北村 俊・河野 卓也 職員研修 11/9 月 人権教育ワークショップ 講師 藤井藤太郎先生(財:滋賀県人権センター) 大学との共同研究のまとめについて 10 11/16 月 授業研究会 1年社会 上田 真也「NIE教育」 指導助言 岸本 実先生(滋賀大学教育学部) 公開授業研究会の成果と課題 11 12/2 水 授業研究会 3年生保健体育 森山 進・嶽山由佳里 授業研究会12/21 2年英語 増田とよ子 次年度以降のカリキュラム構想① 大学訪問の成果と課題, 月 海外派遣報告 河野 卓也 12 1/25 の見直し① 情報科のテキスト改訂① 次年度以降のカリキュラム構想②,BT , 13 2/17 水 次年度以降のカリキュラム構想③ 情報科のテキスト改訂②,BTの見直し② 14 3/3 水 次年度以降のカリキュラム確認 ,10年経験者研修の報告 上田 真也 教科の明日を語る会の成果と課題 15 3/23 火 講話 三宮真智子先生(大阪大学 「メタ認知機能を生かしたと授業づくり」)
5.平成21年度 教科の明日を語る会のプログラム ■日程:各教科による ■会場:滋賀大学教育学部附属中学校 ■主催:滋賀大学教育学部附属中学校 ■共催:滋賀大学教育学部 ■後援:滋賀県教育委員会 日程 教科 タイトル 内容 担当者 会場 7/30 (木) 1 133::3300 ~ ~ 1 166::3300 国語 明日からの実践に 生きる教材の工夫 ~学び合い高め合 う国語学習づくり のために~ 「生徒指導上の課題を乗り越え生徒 たちが交流し合える教材」「明日まねし たくなる教材」をめざして開発中の教材 と実践例を紹介する。「国語の授業」を 理論面からも明らかにする。 舟橋 秀晃 北村 拓也 (附属中) 白石 牧恵 (豊日中) 大田 勝司 (滋賀大) 滋 滋賀賀大大学学 教 教育育学学部部 第4講義室 8/11 (火) 9 9::3300 ~ ~ 1 122::3300 数学 数学的活動を生か した授業設計 授業実践の紹介や,一つの題材でどのよ うな授業づくりができるかを検討し,交流 する。 池田 宏 北村 俊 (附属中) 高澤 茂樹 神 直人 (滋賀大) 附 附属属中中学学校校 会議室 保健 体育 新学習指導要領か ら見たこれからの 保健体育を考える 必修「武道」の授業を紹介する。日頃の 授業について交流する。 三浦 幹夫 (滋賀大) 森山 進 嶽山由佳里 (附属中) 附 附属属中中学学校校 多目的室 8/21(金) 9 9::3300 ~ ~ 1 122::3300 家庭 分野 行事食から学ぶお もてなしの心 おせち料理,桃の節句,春の桜餅など のおもてなし料理の調理をプロの方か ら学びつつ,テーブルコーディネイトを 行う。 矢野 由起 (滋賀大) 菊谷 愛 (附属中) 附 附属属中中学学校校 家庭科教室 日程等 教科 テーマ 内容 担当者 8/31 (月) 1 133::3300 ~ ~ 1 166::3300 会 会場場 附 附属属中中 社会 市民的資質 の育成を目 指した社会科学習 授業公開と授業研究会,実践例の交流を行う。 水谷 哲郎 上田 真也 (附属中) 岸本 実 (滋賀大) 授 業 国民主権と日本の 政治(3年) 政治への国民参加について,キー・コンピテ ンシーの概念を取り入れた授業を公開する。 水谷 哲郎 理科 科学的思考 力を高める 理科学習 授業の公開と,具体的な教材やその活用事例を 紹介する。生徒の意欲を高める理科の授業づくり を検討し,交流する。 澤田 一彦 保木 康宏 (附属中) 東田 充弘 (滋賀大) 授 業 身近な物理現象 -力のはたらき- (1年) 物体に力をはたらかせたときの結果をディ スカッションと実験を通して明らかにしてい く。 澤田 一彦 音楽 自ら高めて いこうとす る姿が見られるために 授業実践を通して,生徒の自ら高めていこう とする姿を求めていけるよう交流する。 松井弥寿雄 (附属中) 杉江 淑子 (滋賀大) 授 業 ドナドナ(1年) 曲の背景を受けとめて,歌声に載せる。 松井弥寿雄 美術 美術科指導の「考えるヒ ント」-題材・形態・方 法の工夫- デザイン教育(鑑賞と表現)の実践など, 実践や指導上の悩みを交流する。 馬淵 哲 (附属中) 世ノ一善生 (滋賀大) 授 業 デザイン鑑賞 「機能と美」(3年) 中世,近代,現代の工芸やデザインについて, シンキングツールを活用しながら,機能美につ いて読み解いていく。 馬淵 哲 技術 分野 技術リテラ シーを高め るカリキュ ラム開発と 授業実践 生徒の技術的なリテラシーを高めるための新し いカリキュラムに基づく授業の公開と,新しい題 材についての情報を交換する。 河野 卓也 (附属中) 木島 温夫 松原 伸一 (滋賀大) 授 生物育成の技術を 技術を正しく評価する能力と態度の育成の