2019.05.14 1-4 数学 B 第1章 数と式の計算 §2 いろいろな数と式 §2.2 実数 【授業目標】数直線上の点である、自然数 N、整数 Z、有理数 Q、実数 R について、意味(定義)を理解する 数直線と、数値の絶対値の関係を理解し、符号に応じた場合分けをして表すことができる 有限小数、循環小数は、分数の形で表すことができる。分数を約分して既約にした場合、「互いに素である p, q を用いて、p/q (分子と分母が逆のパターンもあり)と書くことができる。」 ← 有理数の定義 (例)0.001 = 1/1000、0.32 = 32/100 = 8/25 (例)0.11111… ≡ 0.1. = 1/9、0.101010… ≡ 0.1.0 .= 10/99、0.603603603… ≡ 0.6.03. = 603/999 = 67/111 1.2345345345… ≡ 1.23.45. = 1.2 + 0.03.45. = 1.2 + 345/999÷10 = 1.2 + 345/9990 = 1.2 + 23/666 0.99999… ≡ 0.9. = 9/9 = 1 (0.9. は 1 と等しい。1 に対する表記の違いだけで全く差はない。) 差の概念のために負の数が必要となり、自然数が整数に拡張されたように、商の概念のために有理数が必要と なった。ある数を「整数の商の(分数の)形で書くことができる」ということは、その数を「少数で表すと、 有限小数または循環小数であること」と同値であることから、有理数と無理数の区別がつけられるように。 和 積 差 商 (分母≠0) 自然数 N 同士の N N Z Q 整数 Z 同士の Z Z Z Q 有理数 Q 同士の※ Q Q Q Q 実数 R 同士の R R R R ※ 無理数同士の和や差が整数(したがって、有理数でもある)になることもある。例 √2 と 1-√2 同様に無理数同士の積が整数(√2 と√2 など)になることもある。無理数の場合もある(√2 と√3) 数直線上に、無理数(√2)の点がある。作図例 → 右図 実数は、有理数と無理数を合わせたもので、数直線上のすべての点に対応した値 をもつ(完備性) ← 実数の定義的なもの (まあ、試験範囲外なんですがね) 完備性:穴がないこと。数直線上の点をとったときに、その値が有理数ではないこ とはあるが、必ず実数の値をもつ。 実数は完備だが、有理数は完備ではない。たとえば右図のように作図して、数直線 上にとることにできる √2 は有理数ではないので、有理数には穴がある。 似た言葉に「稠密(ちゅうみつ)性」がある。「どれだけ狭い幅の区間を取ってきてもその間に要素が存在す る」という意味で、有理数も稠密である(が、完備ではない)。一方、整数は稠密ではない。コンピュータで 扱うことにできる数値(たとえば、50 ビットの場合、少数点以下 15 桁まで)も、不連続で、稠密ではない。 ちょっと先取り 複素数は、i2 = -1 として、複素平面内のすべての点に対応した値をもつ。 複素数 = a + bi または、r(cos + i sin ) の形式で示される。ただし、r2 = a2 + b2 直線上の点 P と、原点 O の距離 OP … 絶対値 |x| = x(x ≧ 0 のとき)、|x| = -x(x < 0 のとき) |x| = √(x2) ちょっと先取り 複素数に拡張した場合も、同じ定義 → 複素平面内の点 P と原点 O の距離 OP |a + bi| = √(a2 + b2) (直角三角形の斜辺の長さを、三平方の定理より求める) |r(cos + i sin )| = r (極形式では、複素平面内、動径 r の円周上の点)
問6 |x-1| + |x-2| の値を求める。 指定された値ごとに、代入して符号を考えても良いが、一般的に表現してグラフで表してみる。 注意: 絶対値を 1 回求めるごとに、| | 内の符号に応じた場合分けが必須。 {x : x ≦ 1} のとき、|x-1| = -(x-1) {x : 1 < x} のとき、|x-1| = +(x-1) {x : x ≦ 2} のとき、|x-2| = -(x-2) {x : 2 < x} のとき、|x-2| = +(x-2) なので、 {x : x ≦ 1} のとき、 |x-1| + |x-2| = -(x-1) + -(x-2) = -2x + 3 {x : 1 < x ≦ 2} のとき、|x-1| + |x-2| = +(x-1) + -(x-2) = + 1 {x : 2 < x} のとき、 |x-1| + |x-2| = +(x-1) + +(x-2) = +2x - 3 絶対値についての四則演算 教科書 p24, p31
(I) |-a| = |a|
= a (a ≧ 0 のとき) -a (a < 0 のとき)
|b-a| = |a-b| … (I) の派生
(II) |a×b| = |a|×|b| , |a÷b| = |a|÷|b| (b≠0)
和・差についての関係 … 「三角不等式」と呼ばれるもの。 |z + w| ≦ |z| + |w| … z と w が、同じ向きの組み合わせなら、等号で右辺が最大値。 |z + w| ≧ |z| - |w| … z と w が、逆の向きの組み合わせなら、等号で右辺が最小値。 実数の場合、z, w が同符号の場合、異符号の場合に、場合分けして示す。 複素数の場合、複素平面での幾何学意味を考えればわかりやすい。 代数的には、z = a1 + b1i、w = a2 + b2i とする。また、k = (a12 + a22 + b12 + b22) とする。 左辺 = √{(a1+a2)2 + (b1+b2)2} 左辺2 = (a 1+a2)2 + (b1+b2)2 = a12 + 2a1a2 + a22 + b12 + 2b1b2 + b22 (左辺2-k)/2 = (a 1a2 + b1b2) … ① 上式右辺 = √(a12 + b12) + √(a22 + b22) 右辺2 = (a 12 + b12) + 2√{(a12 + b12)(a22 + b22)} + (a22 + b22) (右辺2-k)/2} = √{(a 12 + b12)(a22 + b22)} … ② ※ コーシー・シュワルツの不等式について 二次方程式 (a1x + a2)2 + (b1x + b2)2 = 0 について考えると、左辺の二乗和は負にならないから、 重解をもつか、または解を持たない。従って、この二次方程式の判別式 D について、D ≦ 0 である。 左辺を展開して (a12 + b12)x2 + 2(a1a2 +b1b2)x + (a22 + b22) = 0 なので、その判別式を D として、 D/4 = (a1a2 +b1b2)2 - (a12 + b12)(a22 + b22) ≦ 0 となる。 従って、(a1a2 +b1b2)2 ≦ (a12+a22)(b12+b22) である。
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前回お話しをした「√2 が有理数ではない」ことの証明 出典:「高校数学の美しい物語」より https://mathtrain.jp/sqrt2irrational 出典先には 4 つの証明が載せられていましたが、代表的な 2 つを解説しておきましょう。 (試験の範囲外になると思います。) 1) 背理法 (仮定)√2 が有理数である。 (仮定と同値な関係)√2 = p/q と置くことのできる、互いに素である p, q が存在する。 (仮定から導く結論)√2 = p/q の両辺を二乗して、分母を払うと、2q2 = p2 である。 ここで、左辺は 2 の倍数であるから、右辺も 2 の倍数である。 p2 が 2 の倍数であるためには、p も 2 の倍数でなくてはならない。つまり p2 は 4 の倍数である。 従って、q2 も 2 の倍数であることになるから、q も 2 の倍数で無くてはならない。 p も q もともに 2 の倍数であることになったが、これは p, q が互いに素であるという前提に矛盾する。 仮定から導く結論が、はじめの仮定自身に矛盾するということは、その仮定が誤りであったことを示す。 従って、√2 は有理数ではない。 2) 方程式の有理数解の定理を用いる方法 (二次方程式の有理数解の定理)2 次方程式 ax2 + bx + c = 0 (ただし、a, b, c は整数)の有理数解を、既 約分数である p/q (ただし、p, q は整数)とおくと、q は a の約数であり、かつ、q は c の約数である。 (定理の説明)2 次方程式 ax2 + bx + c = 0 の有理数解を、既約分数である p/q と置けるということは、与 式左辺が (qx - p)(rx - s) と因数分解できるということである。従って、a = qr、c = ps の関係にある。よ って、q は a の約数であり、かつ、q は c の約数である。 (定理の証明)2 次方程式 ax2 + bx + c = 0 に x = p/q を代入すると、a(p/q)2 + b(p/q) + c = 0 となる。 さらに、右辺および左辺に q2 を掛けると、ap2 + bpq + cq2 = 0 となる。左辺第 2 項以降が q の倍数なの で、第 1 項も q の倍数である(式変形すると、ap2 = -q(bp + cq) なので、ap2 も q の倍数でなくてはならな い)。いま、p と q は互いに素であったので、ap2 も q の倍数であるためには、a が q の倍数でなくてはなら ない。同様に左辺の第三項を除くすべての項が p の倍数なので、cq2 も p の倍数。従って、c が p の倍数。 この定理の適用。解として x = ±√2 をもつような、方程式 x2 - 2 = 0 について考える。 仮定として「この方程式が有理数解 p/q をもつ」ならば、この時、p は 2 の約数、すなわち 1 または 2 の み、q は 1 の約数で 1 のみだから、p/q = 1 または 2 でなくてはならない。ところが、x = 1 も x = 2 もこ の方程式の解ではない。従って、仮定「この方程式が有理数解 p/q をもつ」は誤りである。【本日の宿題】
教科書 問6
および派生として、y1 = |x-1|、y2 = |x-2|、y3 = y1 + y2 のグラフを書いてみること。