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ア メ リカ の外 国 銀 行 規 制 問 題
有 馬 敏 則
工 は じ め に 1950年 代 末期 か ら急 激 に増 加 した ア メ リカ企 業 の多 国 籍 化 に 対 して,ア メ リ カ商業 銀 行 は在 外支 店 の設 置,現 地 子 会 社 の設 立,多 国 籍 銀 行 へ の 出 資,現 地 銀 行 との提 携 や 協 力 関係 を通 じ,活 発 な 動 きを 示 して きた 。 ア メ リカ商 業 銀 行 は,ア メ リカが 基 軸 通 貨 を 発 行 す る特 権,す な わ ち 「国 際 通 貨 発 行特 権 」 を保 持 してい る こ とに よ り,直 接 ・間接 の利 益 を享 受 し て きた 。 す なわ ち ニ ュー ヨー クが 主 要 な国 際 金 融 市 場 で あ る こ とか ら,そ の媒 介 者 と し て取 得 す る手 数 料 や 貸 付 収 益,ま た 莫 大 な 多 国 籍 企 業 の 資金 需 要 を,国 内 や ユ ー ロ ・ダ ラー市 場 に おい て 調 達 し,そ の媒 介者 として受 け取 る報 酬等 であ る。 この よ うに 基 軸 通 貨 国で あ る立 場 を 活 か し,ア メ リカ商 業 銀 行 は1960年 代か ら急速 に 国際 化 をす す め て きた 。 そ して 当 初 ア メ リカ商 業 銀 行 に 立 ち遅 れ た 主 要 工 業 国銀 行 の 国際 化 も,近 年 は 急 進 展 を み せ,さ らに は発 展 途 上 国 の銀 行が 世 界 の主 要 金 融 市 場 に 進 出す る例 も増 加 して い る。 これ まで の世 界 の 銀 行 の 国 際 化 は,① 対 ヨー ロ ッパ進 出(ユ ー ロ市 場 を舞 台 に した 卸 売 銀 行 す な わ ち ユ ー ロ ・バ ンキ ン グ)と,② 対 ア メ リカ進 出(広 大 な ア メ リカ市 場 を 舞 台 に した 卸 売 お よび 小売 銀 行)の 二大 潮 流 に分 け る こ とが で き る。 そ し て ア メ リカ以 外 の 銀 行 国 際 化 の大 きな特 徴 は,② の ア メ リカへ の集 中 に あ る。 ア メ リカに 支 店 や 代理 店 を 置 く外 国銀 行 の数 は,着 実 に 増 加 し,最 近 に な って 加 速 度 的 に 増 え て い る。 と くに ア メ リカが1974年1月 に 三 つ の 資 本 流 出 規 制,(1)対 外 投 融 資 自主 規制 〔連 邦 準備 制 度 理 事 会(FRB)管 轄 〕(2)対外 直 接58 投 資 規 制(商 務 省 管 轄)㈲ 金利 平衡 税(財 務 省管 轄)を 廃 止 し,ア メ リカの 国 際 金 融 市 場 の重 要 性 が 増 大 して か らは,そ の傾 向 が著 しい。 しか しな が ら保 守 的 で 複 雑 な ア メ リカ銀 行 制度 は,外 国銀 行 の進 出で,国 内 銀 行 と外 国 銀 行 との 間 に,各 種 の 矛 盾 を 生 じ,外 国銀 行規 制 に つ い て多 くの議 論 を惹 起 させ る こ と とな った 。 そ こで 本 稿 に お い て は,ア メ リカ銀 行制 度 を概 観 し,ア メ リカに おけ る外 国 銀 行 の 活 動 状 況,外 国 銀 行 の ア メ リカ銀 行 に対 す る優 位 点,不 利 な点,外 国 銀 行 規 制 に つ い て の 問 題 点 と,そ れ に対 す る種 種 の 議 論 を検 討 し,将 来 の展 望 を 試 み る こ とに した い 。 皿 ア メ リカ金 融 制 度 の特 性 ア メ リカ 商業 銀 行 制度 は,ア メ リカ発 展 の歴 史 と,そ の過 程 で は ぐ くまれ た 地 方 分 権 思 想 に支 え られ,種 種 の面 で二 元 的,二 重 的 な性 格 を 持 って い る。 た とえ ば 連邦 法 に基 づ く国 法銀 行 と州 法 に基 づ く州 法 銀 行,連 邦 準 備 制 度 や 預 金 保 険 へ の加 盟 銀 行 と非加 盟 銀 行,単 一 銀 行制 度 と支 店 銀 行 制 度,大 銀 行 と 零 細 銀 行 等 の併 存 の ご と くで あ る。 この 中 で 特 に 重 視 され るの が,二 重 銀行 制 度 と単 一 銀 行 制 度 で あ る。 1 二 重 銀 行 制度(dual banking system) まず 二 重銀 行 制 度,す な わ ち 同種 類 の金 融 機 関 の 中 に,連 邦 法 に基 づ く国 法 銀 行 と州 法 に基 づ く州 法 銀 行 の2つ が 存在 す る制度 の監 督 方 法 を み てみ よ う。 原 則 的 に 国 法 銀 行 は 通 貨 監 督官 〔通 貨監 督 局(OCC)に 属 す る〕,州 法 銀 行 は 州 銀 行 監 督 官 の 規 制 下 に あ るが,連 邦 準 備制 度 が 国 法銀 行 と,州 法 銀 行 のF 、RB加 盟 銀 行 を 監 督 し,連 邦 預 金 保 険 会社(FDIC)が, FRBの 加 盟 銀 行 (法 律 上 当然 に 預 金 保 険 の対 象 とな る)とFRB非 加盟 の州 法銀 行 の うち預 金 保 険 加 入 銀 行 を 監 督 して い る。 ア メ リカ財 務 省 の資 料 に よ る と,第1表 に 示 され て い る よ うに,1974年 末 で (1)高 垣 寅次 郎 監 修 『世 界各 国 の金 融 制度(第10巻)』 大 蔵 財 務 協 会,昭 和50年,136- 169ペ ー ジ参 照 。
ア メ リカの 外 国 銀 行規 制 問 題 59 商 業 銀 行 総 数14,481行 の うち,国 法 銀 行4,710行 で32.5%,'預 金 高 で57%を 占 め て い るo 表1 商 業 銀 行 数(1974年 末) 単位10億 ドル 銀 行 の 種 類 国 法 銀 行 FRB加 盟 州 法 銀 行 FRB非 加盟FDIC 保 険 加 盟 銀 行 FRB非 加盟FDIC 保 険 非 加 盟 銀 行 FDIC保 険非 加 盟 信 託 会 社 合 計 銀行数 4,710 1,072 8,448 179 72 14,481 % 支店数 32.5 7.4 58.4 1.2 0.5 15,788 4,209 8,632 67 9 100.0 28,709 % 55.0 14.7 30.1 0.2 100.0 合 計 図 預金高 20,498 5,281 17,080 246 47.5 431.1 12.2 144.8 40.0 165.8 0.6 6.6 81 0.2 菅 43,190 100.0 748.3 % 58 19 22 1 100 (注) 菅印は0.05未 満 資 料:ア メ リカ財 務 省資 料,『 フ ァイ ナ ンス 』1976年5月,48ペ ー ジ よ り作 成 。 ま た,あ らゆ る 意 味 で 州 銀 行 監 督 官 の 監 督 の み を 受 け る 商 業 銀 行 は,き わ め て 少 数 で あ る 。 こ の よ うな 制 度 下 で,ど の よ うに 事 務 分 担 が 行 わ れ て い る か は 必 ず し も 明 確 で は な い が,occ, FRBとFDIC,州 銀 行 監 督 官 相 互 の 権 限 の 重 複 が 多 く,と き に は 衝 突 す る こ と も あ り,銀 行 活 動 の 規 制 ・監 督 も,よ りい っ そ う複 雑 な も の と な り,一 元 的 で は な い と い え る 。 ア メ リ カ の 各 州 は 強 い 独 立 性 を 持 っ て お り 各 州 の 立 法 部 は,連 邦 立 法 部 と とg も に 銀 行 を 規 制 す る 権 限 を 持 っ て い る 。 し た が っ て 銀 行 は そ の 所 在 地 の 州 で 制 定 さ れ た 銀 行 法 と,連 邦 の 銀 行 法 と の 二 重 の 制 約 を 受 け る こ と に な る 。 こ の よ う な 二 重 銀 行 制 度 の 下 で,州 銀 行 法 に よ り 支 店 設 置 は 原 則 と し て 認 め な い と い う 単 一 銀 行 制 度 が 温 存 さ れ,量 的 拡 大 に 制 約 を 課 さ れ て き た 。 こ れ は ニ ュ ー,ヨ ー ク や カ リ フ ォ ル ニ ア の 少 数 の 大 銀 行 に よ る 独 占 的 金 融 支 配 を,地 方 の 中 小 銀
(2)Board of Governors of the Federal Reserve System and the United States Treasury Department, The Federal Reserve and the Treasury;Answers to Ques- dons from the Commission on Money and Credit,1963, PP.199-206.
60 行 が 恐 れ た た め で あ る。 州 や 連 邦 の 立 法部 が,き わ め て限 られ た 場 合 を 除 い て, 支 店 銀 行 制 度 を認 めな か った の は,各 州 が 強 い 地 方 分権 の建 前 を と って い たか らで あ る。 2 単 一 銀 行 制 度(unit banking system) 当初,合 衆 国 第1銀 行,第2銀 行,お よび 州 法 銀 行 の 多 くは 支 店銀 行 の 形態 を と って いた 。 しか し銀 行 支 店 の 増 大 と と もに 支 店 制 度 に対 す る反対 が生 じ, 単 一 銀 行 制 度 へ の傾 向が 強 くな った 。 そ の 後,長 い 年 月 を経 る うち に制 限 付 き で支 店 設 置 が 認 め られ る よ うに な って きた 。 しか しな が ら支 店 銀 行制 度 に対 す る反 対 は,依 然 と して強 く,支 店 設 置 に 対 す る州 法 は 各 州 に よ って 大 き く異 な って い る。 いか な る州 に お い て も銀 行 は 州 の 境 界 を 超 え て 支 店 設 置 は で きず, 州外 の皮 店 は禁 止 され て い る。 現 在,州 内 の支 店 設 置 を許 可 して い るの は20州,州 内 の 制 限 地 域 内 で 支 店 設 置 を 許 可 して い るの は17州,支 店 設 置 を ま った く禁 止 して い るの は14州 で あ る。 単一 銀 行制 度 と支 店 銀 行制 度 の いず れ が 望 ま しい か,ア メ リカ銀 行 制 度 の 最 大 の論 争 点 で あ るが,容 易 に結 論 が 見 出せ ない のが 現 状 で あ る。 この よ うに支 店 設 置 に法 律 上 の制 限 が あ る とこ ろが ら,こ の 制 約 を 乗 り超 え る こ とを 主 目的 とす る多数 銀 行 持 株 会 社 の最 近 の急 速 な 発 達 は 注 目に 値 す る。 これ は二 行 以上 の議 決 権 付 き株 式 の25%以 上 を所 有 す るか 支 配 す る,ま た は 他 の方 法 で そ の取 締 役 の過 半 数 を支 配 す る会 社 で,支 店 網 の 代 用 を 果 た す もの で 覧あ る 。銀 行持 株 会 社 は,各 州 の法 律 や 銀 行 取 得 に 関 した 連 邦 準 備 制 度 理 事 会 の 認 可 に した が って,銀 行 が州 の境 界 を超 え る最 も重 要 な 手 段 と して 使 わ れ て い る。 (銀 行持 株 会 社 は,多 数銀 行持 株 会 社 と単 一 銀 行 持 株 会 社 か ら成 る) また 今 まで の 銀 行 に許 され た 範 囲 を超 え て業 務 の多 様 化 を 促 進 す る こ とを 目 的 と した 単 一 銀 行 持株 会社 の発 展 も看 過 す る こ とが で きな い 。 これ は2行 以 上 の 銀 行 株 を 保 有 す るの で は な く,た だ ひ とつ の銀 行 の25%以 上 の株 式 を 持 つ 会 社 で あ る。 そ して 大 銀 行 が主 と して銀 行 業 務 の多 様 化 を,貸 出 の種 類 の 多 様 化 (3)高 垣 寅 次 郎,前 掲 書,149ペ ー ジ 。
アメ リカの外国銀行規 制問題 61 か ら金 融 な らび に金 融 関 連 部 門 のあ らゆ る面 に 拡 大 す るた め に設 立 した もの で あ る。 また 銀 行 持 株 会 社 は 銀 行 業 務 以 外 の業 務 に つ い て は他 州 へ の進 出が 可 能 で あ る。 登 録 銀 行 持 株 会 社 は1970年 か ら71年 にか け て急 増 し,1973年 に は1677 くの 社 に 達 し,預 金 総 額 は 全 商 業 銀 行 預 金額 の3分 の2を 占 め る に いた って い る。 こ の よ うに 多 数 銀 行 持 株 会社,単 一銀 行持 式 会 社 の設 立 が,支 店 設 置 ほ ど厳 し く規 制 され な い の は,一 方 で 伝統 的 な単 一 銀 行 制 度 を保 持 し なが ら,他 方 で 銀 行 の 近 代 化,大 規模 化 に対 処 し よ う と して い るか らで あ ろ う。 皿 ア メ リカに お け る外 国銀 行 活 動 1 進 出 の 要 因 外 国銀 行 の ア メ リカへ の 進 出 理 由 と して次 の よ うな 要 因 が 考 え ら れ る。 第1に 世 界 的 な多 国 籍 企 業 の 出 現 とそ れ に伴 な う銀 行 の国 際 化 を あげ る こ とが で き る。 第2表 に 示 され てい る よ うに,ア メ リカに対 す る直 接 投 資 残 高 は 急 速 に 増 加 し てい る。 この よ うな 状 況 を 背 景 に して,外 国 銀 行 は ア メ リカに 進 出 した 自国 企 業 や 子 会 社 に 追 随 して 進 出 し,一 度 拠 点 作 りに 成 功 す る と,そ の 他 の 取 引 先 に 対 して も対 ア メ リカ投 資 の 相 談 や 貿 易金 融, 内 外 の経 済 ・貿 易 情 報 を 提 供 して 業 務 範 囲 を 拡 大 して きた の で あ る。 第2表 アメ リカの対外直接投資残高 と諸外国 の対米直接投資残 高 単位100万 ドル ㈲ ア メ リカ(B)諸外 国 の の対外直 対米直接 ㈲/(B) 接投資 投資 1950年 11,788 3,391 3.48 55年 19,395 5,076 3.82 60年 31,865 6,910 4.61 61年 34,717 7,392 4.70 62年 37,276 7,612 4.90 63年 40,736 7,944 5.13 64年 44,480 8,363 5.32 65年 49,474 8,797 5.62 66年 54,799 9,054 6.05 67年 59,491 9,923 5.99 68年 64,983 10,815 6.01 69年 71,033 11,818 6.01 70年 78,178 13,270 5.89 71年 86,198 13,655 6.31 72年 94,337 14,263 6.61 73年 107,268 17,748 6.04 74年 118,613 21,746 5.45 資 料:SurveyげCurrent Business各 号 よ り 作 成 。(な お74年 の 数 字 は1975年10月 号 に よ る 。60-73年 は1974年8月 号 に よ る が 1975年10月 号 と は 多 少 数 字 が 異 な る 。)
(4)Board of Govenors of the Federal Reserve System, The Federal Reserve System- PurposesSystem- and Fz`nctions,1974, p. 111.
62 これ は ア メ リカ銀 行 の急 速 な国 際 化 へ の対 抗 措 置 で もあ った 。 第2に 投 資,介 入,決 済通 貨 と して使 わ れ る ドルを 自国 通 貨 とす る ア メ リカ 金 融 市場 に拠 点 を持 つ こ とは,親 銀 行 に と って ドル の 運 用 ・調 達 を 図 るた め に も必 要 で あ った。 また い くつ か の外 国 銀 行 は,世 界 中 の 金 融 情 勢 の 変化 に応 じ 資金 源 を移 動 させ,こ の よ うな操 作 か ら利 益 を あ げ る能 力 を獲 得す る場 と し て,ニ ュー ヨー ク金 融 市 場 を考 え て い る よ うで あ る。 第3にGNP世 界 一 を背 景 と した ア メ リカ企 業 や 大衆 へ の金 融 サ ー ビス を提 供 し よ う とし て,卸 売 のみ な らず 小 売 業 務 に 進 出 した こ とが あ げ られ る。 外 国 銀 行 は親 銀 行 あ るい は 支 店 と取 引 関 係 の あ る ア メ リカ企 業 の銀 行 業 務 の一 部 を 分 担 し よ うと した 。 また 外 国 貿 易 に 携 わ って い るア メ リカ企 業 だけ でな く,あ らゆ る種 類 の 企 業 と取 引 関 係 を 持 と うと試 み た。 そ して従 来 は卸 売 業 務 が 主 た る活 動 で あ った が,預 金 業 務,地 場 企 業 取 引,消 費者 ロー ン とい った 小 売 業 務 に も進 出 した の で あ る。 第4に 高 度 な 発 展 を 遂 げ た ニ ュー ヨー ク証 券 市 場 へ の参 加 も外 国 銀 行 め ア メ リカ進 出 を 助 長 した。 外 国銀 行,と くに ヨー ロ ッパ 系 の銀 行 は 自国 内 で 証 券 の ブ ロー カ ー,デ ィー ラー業 務 を兼 営 してお り,ア メ リカ証 券 市 場 に 拠 点 を 置 く こ とに よ って,次 の よ うな メ リッ トを持 つ 。 す な わ ち,市 場 に 精 通 し,本 支店 の情 報源 とな る こ とに よ り,顧 客 に 対 す る投 資 助 言 者 と して 充 分 な サ ー ビス を 提 供 す る こ とが で きる。 また ア メ リカ機 関 投 資 家 と取 引 関 係 を 深 め る こ とに よ り,本 支 店 顧 客 の 中長 期 債 をは め こむ こ とが で き る。 最 近 まで に 外 国 銀行 は ニ ュー ヨー クに ブ ロー カ ーや デ ィー ラ ー と して 約21の 証 券 会社 を設 立 し,大 部 分 は ア メ リカ証 券 取 引所 の会 員 とな って お り,2行 以 上 の 外 国 銀行 の 合弁 形 態 が 多 くな って い る。 そ の一 方 で 商 業 銀 行 業 務 を 営 ん で お り,銀 行業 務 と証 券 業 務 の兼 営 を グ ラス ・ス テ ィー ガル 法 の 下 で 禁 止 され て い る ア メ リカ銀 行 よ り有 利 な立 場 に 立 っ てい る。 以 上 の よ うな 各 種 の 要 因 に よ り最 近,多 くの 外 国 銀行 が急 速 に ア メ リカ金 融 市 場 に進 出す る よ うに な った の で あ る。
ア メ リカの外 国銀 行 規 制 問題 63 2 外 国 銀 行 の 進 出 形 態 外 国 銀 行 の 進 出 状 況 は 第3表 の よ うに,1975年9月 末 現 在 で,エ ー ジ ェ ソ シ 第3表 アメ リカ にお け る外 国銀 行 数(1975年9月 末 現在) 外 銀 州 エ ー ジ ェン シ 一 支 店 現地法人 投資会社 合 計 ニ ュ ー ヨ ー ク 16 1 3 0 20 カ リフ ォ ル ニ ア 15 0 6 0 21 日 本 イ リ ノ イ 0 2 1 0 3 そ の 他 0 3 0 0 3 合 計 31 6 10 0 47 ニ ュ ー ヨ ー ク 5 0 5 0 10 カ リ フ ォル ニ ア 6 0 3 0 9 カ ナ ダ イ リ ノ イ 0 0 0 0 0 そ の 他 0 6 0 0 6 合 計 11 6 8 0 25 ニ ュ ー ヨ ー ク 2 4 2 1 9 カ リ フ ォル ニ ア 3 0 3 0 6 英 国 イ リ.ノ イ 0 4 0 0 4 そ の 他 0 3 0 0 3 合 計 5 111 5 1 22 ニ ュ ー ヨ ー ク 3 14 4 3 24 カ リ フ ォ ル ニ ア 10 0 1 0 11 ヨ ー ロ ツ ノミ イ リ ノ イ 0 11 1 0 12 . そ の 他 0 0 0 0 0 合 計 13 25 6 3 47 ニ ュ ー ヨ ー ク 10 11 2 0 23 カ リ フ ォ ル ニ ア 9 0 2 0 11 そ の 他 イ リ ノ イ 0 4 0 0 4 そ の 他 1 1 0 0 2 合 計 20 16 4 0 40 ニ ュ ー ヨ ー ク 36 30 16 4 86 カ リ フ ォ ル ニ ア 43 0 15 0 58 外 銀 計 イ リ ノ イ 0 21 2 0 23 そ の 他 1 13 0 0 14 合 計 80 64 33 4 181 資 料:FRB資 料,『 プ ア イ ナ ン ス 』1976年5月,51ペ ー ジ 。
64 -80 ,支 店64,現 地 法 人33と な っ て い る。 「エ ー ジ ェ γ シ ー 」 は ニ ュ ー ヨ ー ク,カ リ フ ォ ル 』・ア 両 州 で 認 可 さ れ,貸 出 限 度 額 規 制,地 域 的 ・場 所 的 規 制,支 払 準 備 率 規 制 も な い 。 し か し 州 内 の 預 金 受 入 れ,信 託 業 務 を 行 う こ と は で き な い 。 だ が 外 国 預 金 受 入 れ,顧 客 の 個 個 の 取 引 か ら 発 生 し た ク レ ジ ッ ト ・バ ラ ン ス の 受 入 れ は 可 能 で あ る 。 こ の よ うに 卸 売 業 務 だ け が エ ー ジ ェ ン シ ー に 認 め られ て い る 。 し か し,ニ ュ ー ヨ ー ク で は 支 店 と エ ー ジ ェ ン シ ー を と も に 設 置 す る こ と は 禁 止 さ れ て い る 。 ま た カ リ フ ォ ル ニ ア で 外 国 銀 行 が 国 内 業 務,国 際 業 務 の 両 方 を 行 うた め に は,エ ー ジ ェ ン シ ー で は 許 可 さ れ ず,子 会 社 の 設 立 が 必 要 と さ れ る 。 つ ぎ に 「支 店 」 は ニ ュ ー ヨ ー ク,オ レ ゴ ン,ワ シ ン トン,マ サ チ ュ ー セ ッ ツ,イ リ ノ イ 等 で 認 め られ て:お り,ア メ リ カ 国 内 銀 行 と 同 様 に 卸 売,小 売 の 両 面 で 預 金 ・貸 付 業 務 が 可 能 で あ る 。 し か しFDICに よ る預 金 の 付 保 は な い 。 外 国 銀 行 は 支 店 を 通 じ,預 金 受 入 れ,貸 付,送 金,外 国 為 替 の 売 買 ・集 中,信 用 状 発 行,賦 払 債 務 の 購 入 等 等 フ ル ・サ ー ビ ス の 銀 行 業 務 を 供 与 す る こ とが で き る の で あ る 。 し か し 一 般 的 に ア メ リ カ 国 内 銀 行,信 託 銀 行 と 同 じ規 制 を 受 け る こ と に な る 。 こ こ で 注 意 し て お か ね ぽ な ら な い の は,第3表 で は カ リ フ ォル ニ ア で,一 応 「支 店 」 と 定 義 さ れ て い る こ と で あ る 。 カ リ フ ォ ル ニ ア の 外 国 銀 行 支 店 は 連 邦 預 金 保 険 制 度(FDIS)に 加 盟 で き な い た め,国 内 預 金 受 入 れ は 不 可 能 で あ る 。 し た が っ て 「オ ペ レ ー テ ィ ン グ ・エ ー ジ ェ ン シ ー 」 と称 さ れ る こ と が あ る。 た だ し1969年 の 州 法 に 基 づ き,支 店 は 州 銀 行 局 が 許 可 す る と海 くの 外 か らの 預 金 が 可 能 とな った 。 「現 地 法 人」 は ニ ュ ー ヨー ク,カ リフ ォル ニア,イ リノイ の3州 に お い て州 法 に 基 づ き認 可 され て い る。 連 邦 法 で認 可 され る こ と も可 能 だ が,そ の場 合, 銀 行 の 取 締 役 は す べ て ア メ リカ市 民 で なけ れ ば な らな い こ と,余 分 の費 用 が か か る連 邦 準 備制 度 に 必ず 加盟 しな けれ ば な らな い こ と等 のた めに 規 制 が 緩 和 さ れ て い る州 法銀 行 を選 好 して きた。 現 地 法 人 は全 部 あ る い は一 部 所 有 の州 法 銀 (5)三 菱 銀 行 『調 査 』1974年,10月 号,3-6ペ ー ジ 。
ア メリカの外国銀行規制問題 65 行,ま た は 信 託 会 社 を 設 立 す るか取 得 す る こ とに よ り,ア メ リカ の銀 行 市 場 に 浸 透 して い くこ とが で き る。 そ して ア メ リカ の銀 行や 信 託 会 社 と 同 じ業 務 を営 む こ とが で き る と と もに,同 じ規 制 を受 け る の で あ る。 また 「投 資 会社 」 は ニ ュー ヨー ク州銀 行 法 第12条 で認 可 され た 金 融 機 関 で, 短 中 期 貸 出,ア クセ プタ ンス発 行,送 金,外 国為 替 等 の銀 行 業 務 が 可 能 だ が, ニ ュー ヨー ク州 内 の預 金 を受 入 れ る こ とは で きな い 。 した が って 預 金 を 受 入 れ な い の で 銀 行 とは考 え られ ず,貸 出規 制,支 店 設 置 規 制,取 緒 役 の 国 籍 規 制 も な く,証 券業 務 の取 扱 いを 認 可 され て お り,外 国 銀 行 に 誤 券 業 務 を 可 能 と させ る子 会社 で あ る とい え るだ ろ う。 さ らに 外 国 銀 行 が ア メ リカに 進 出す る,も っ と も一 般 的 な形 態 と して 「駐 在 員 事 務 所 」 が あ る。これ は 単 に販 売,情 報 の窓 口 とな る も ので,銀 行業 務 は行 わ くの ず,カ リフ ォル ニ アを 除 い た 大 部 分 の 州 で は,設 立 や 活 動 を 規 制 して い な い 。 以 上 の よ うな種 種 の 外 国 銀 行 の 進 出形態 が あ るが,外 国 銀行 は営 業 目的 に よ って,そ の営 業 形 態 を 選択 す る。 た とえ ば卸 売 業 務 に主 力 を注 ご う とす る な ら ば,エ ー ジ ェ ン シー と投 資 会 社 の組 み 合せ とな り,小 売 業 務 を 目的 とす れ ば, 支 店 あ るい は 州 法 銀 行 の子 会社 の形 態 を と り・FDICr.加 入 しなけ れ ば な ら な い だ ろ う。 最 近 の外 国銀 行 は小 売 業 務 に進 出す る ケ ー スが 月 立 ち は じめ て い る。 3 外 国銀 行 の資 産 ・負 債 状 況 FRBに よれ ぽFRBが 外 国 銀 行 に 対 す る資 料 を 収 集 しは じめ た1972年11月 と1975年9月 を 比 べ て み る と,そ の 数 は104店 か ら181店 へ総 資産 は240億 ドル か ら560億:ドルに,貸 出や 証 券 保 有 等 の金 融 資 産 は180億 ドルか ら410億:ドル に, 商 ・工 業 向け 貸 出 しは110億 ドル か ら230億 ドル へ と急 増 し てい る。 ま たFRBが 毎 週報 告 を受 け て い る大 銀 行 と外 国銀 行 の商 工 業 向け 貸 出比 率 は1975年9月 現 在 で20%に 達 して お り,そ の4分 の3は ア メ リカ企 業 向 け 貸 出 (6)ニ ュー ヨー ク州 銀 行 法 の解 説 を して い るも の に,佐 野勝 次 「ア メ リカの外 国銀 行 規 制 に つ い て」 『商 学 研 究』 第21巻4号,1976年4月 が あ る。
66 し とな って い る。 外 国 銀 行 の 資産 は ア メ リカ商 業 銀 行 の総 資 産 の6.5%に 達 し て お り,貸 出額 の9%を 占め て い る。 そ して ア メ リカに 進 出 して い る外 国 銀行 はみ な大 規 模 な銀 行 の支 店 で あ る。 在 米 外 国 銀 行 の5分 の3に あ た る47行 は1世 界 の100大 銀 行 に ラン ク され てい る。 他 方 ア メ リカの 銀 行 は,預 金 高 に よる世 界100大 銀 行 の うち に18行 が 含 ま れ て い るの み で あ る。 資 金 運用 につ い て は,外 国銀 行 は ア メ リカ の銀 行 に比 べ 資 産 に 対 す る貸 付 金 の 比 率 が大 き く,有 価 証 券投 資 の比 率 は小 さい 。 形 態 的 に は 現 地 法 人 は ア メ リ カ の銀 行 と 同 じ よ うな 資 産構 成 と な っ てお り,運 用 方 法 も だ い た い 同 じで あ る。 ま た支 店 や エ ー ジ ェ ンシ ーは 本 店 な ど関 連 金 融 機 関 へ の 貸 付 金 の 比 率 が 高 「く親 銀 行 の ドル調 達 の機 能 を果 た して い る とい え るだ ろ う。 負債 面 で は,預 金 の 占 め る比 率 は 現 地 法 人70%強,支 店55%,エ ー ジ ェ ン シ ー はCD発 行 な ど ア メ リカ国 内 の 預 金 獲得 が で きな い の で17%と ,ア メ リカの 銀 行 の86%強 に 比 べ て大 き く異 な って い る。 した が って 外 国 銀 行 は預 金獲 得 に お け る劣 勢 を,イ ン タ ー ・バ ン ク ロー γ(フ ェデ ラル ・フ ァ ン ド)や ユ ー ロ市 場 か らの借 入 れ に よ っ て い る。 と くに エ ー ジ ェ ン シ ーで は 負債 の 約半 分 を 本店 な どに 依 存 して い る。 この よ うにみ て くる と支 店 や エ ー ジ ェ ン シ ーは ドル の 運用 や 調 達,自 国企 業 へ の融 資 とい った 親 銀 行 の出 先 機 関 的 性 格 が 強 く,現 地 法 人 は ア メ リカ銀 行 と 同 じ よ うな 行 動 様 式 を と り地 元 志 向 性 が 強 い とい え る遷 ろ う。 4`外 国 銀 行 の優 位 点 と不 利 益 外 国銀 行 に対 す る規 制 内 容 は 各 州 に よ って 異 な って お り,外 国 銀 行 の進 出 を .(7>武 藤 敏 郎 「米 国 に お け る 金 融 制 度 改 革 の 動 き 」 『フ ァ イ ナ ン ス 』 第12巻2号,1976年 5月,44-55ペ ー ジ。 (8) 「米 下 院 銀 行 委 ル イ ス 報 告 」 『金 融 財 政 事 情 』1976年2月9日,33ペ ー ジ 。 (9)、 小 豆 沢 英 夫 「米 国 の 外 銀 規 制 の ゆ く え と 日本 」 『週 刊 ・東 洋 経 済 』1974年7月,54 -55ペ ー ジ 。
アメ リカの外国銀行規 制問題 67 認 め て い な い 州 が 約40と 圧 到 的 に 多 い 。 しか し,こ う した 各 州 の規 制 の相 違 が ロゆ 外 国 銀 行 に ア メ リカの 銀 行 が 持 た な い 優 位 点 を い くつか もた ら して い る。 第1の 有 利 性 は複 数 の 州 に お い て フ ル ・バ ン キ ン グ業 務 を 行 うこ とが で き る こ とで あ る。 州 法 は ア メ リカ銀 行 の州 外へ の支 店 設 置 を 禁 止 して い る。 これ に よ り州 法銀 行 のみ な らず 国法 銀 行 も 同銀 行 法 に よ り,こ の 州 法 の 規定 が適 用 さ れ る た め 州外 へ の支 店 設 置 が 不 可 能 に な る。 しか し外 国 銀 行 は 州 法 に 外 国 銀 行 に関 す る規 定 が ない た め に,州 当 局 が 認 め る限 り,複 数 の州 に お い て営 業 が可 能 で あ る。 第2に 外 国 銀 行 は,銀 行業 務 の ほ か に子 会 社 を通 じて証 券 の 引受 け や 販 売 業 務 を 営 む こ とが で き る。証 券業 務 に 関 して は,ア メ リカ銀 行 は グ ラス ・ス テ ィ ー ガル 法 に よ り取扱 い が禁 止 され て い る。 また 銀 行 持 株 会 社 も銀 行 持 株 会 社 法 に よ り,そ の 子 会社 の業 務 が銀 行 業 や 関 連 業 務 に限 定 され て い るた め に 証 券 業 務 へ の進 出 は不 可 能 とな る。 しか し外 国 銀 行 に つ い ては,こ の 規 定 が な く,す で に考 察 した よ うに ヨー ロ ッパ 系 銀 行 を 中 心 に,か な り進 出 して い る。 第3に 外 国 銀 行 は ア メ リカの 企 業 や 外 国 企 業 の在 米 子 会社 の株 を保 有 す る こ とが で き る。 しか し ア メ リカ銀 行 や,ア メ リカの 銀 行持 株 会 社 は企 業 の株 式 の 保 有 を 禁 止 され て い る。 第4に 外 国銀 行 は1970年 の銀 行 持 株 会 社 法 に よる銀 行 関 連 業 務 に 関 す る規 制 を 受 け な い。 したが って外 国 銀 行 の本 国 の法 律 が 許 す 限 り,銀 行 業 務 以 外 の非 銀 行 業 務 を 行 うこ とが で き る。 第5に 外 国銀 行 の支 店 や エ ー ジ ェ ンシ ー は連 邦 準 備制 度 に加 盟 して いな いた め に,準 備 預 金 制 度 の規 制 を受 け な い。 また ユ ー ロ市 場 か ら資 金 取 入 れ を した 場 合 も準備 の積 立 て等 コス ト増 大 につ なが う規 制 を うけ な い 。 これ に 対 して ア メ リカ銀 行 は,同 じコ・一 ロ市 場 か らの 資 金 取 入 れ に 対 して 準 備 預 金 を積 む義 務 を 課 せ られ て きた 。 した が って ア メ リカ で活 動 す る外 国銀 行 は 準 備 預 金 の義 務 ゆの を 免 が れ て い るの で,理 事 会 の 金 融 政策 の有 効 性 を妨 げ て い る とい われ る。 ⑩ 「米 下 院 銀 行 委 ル イ ス 報 告 」,前 掲 論 文,33-34ペ ー ジ 。 (1D三 菱 銀 行 『調 査 』1974年,4月 号,45ペ ー ジ。
68 第6にocc, FRB, FDICMよ る検 査 の対 象 外 とな る こ とで あ る。 つ ぎ に外 国銀 行 の ア メ リカに お け る不利 益 な 面 を 考 察 し よ う。 第1に 外 国銀 行 はFDICに 加 盟 で きな い た め預 金 保 険 の対 象 外 とな り,ア メ リカで 預 金 と くに 少 額 預 金 者 を ひ きつ け る うえ で は非 常 に不 利 に な る。 第2に エ ッジ法 子 会 社 の設 立 が 事実 上不 可 能 で あ る。 これ は取 締 役 が 全 員 ア メ リカ市 民 で な け れ ば な らな い と され て い るた め で あ る。 第3に 国 法 銀 行 法 上,取 締 役 は すべ て ア メ リ'力市 民 で なけ れ ば な らな い と規 定 され て お り,外 国 銀 行 は 国 法銀 行 設 立が 事 実 上 不 可 能 で あ る。 この よ うに各 州 に よ る個別 の外 国銀 行 規 制 は,外 国銀 行 と ア メ リカの 銀 行 と の 間 に 種 種 の ア ンバ ラ ンス を生 じ させ てい る こ とや,前 述 した よ うに 外 国 銀 行 が ア メ リカ国 内 で 急 成 長 した こ とに よ り,外 国銀 行 規 制 問 題 が 大 き く ク ロ ー ズ ・ア ップ され て きた。 IV 外 国銀 行 規 制 法 案 1 外 国 銀行 規 制 の変 遷 まず1967年 に 最初 の外 国銀 行 規 制 法 案 が 立 案 され た が,時;期 尚 早 で4法 案 が 議 会 に提 出 され た もの の公 聴 会 が 開 か れ る こ と もな く廃 案 とな った 。 実 際 に 具 体 的 な 運動 とし て 出 て き た の は,1973年4月 の カ リフ ォル ニ ア議 会 に お け る外 国 銀行 規 制 法案 と,1973年11月 の連 邦 下 院 議 会 に お け るバ ッ トマ ン,ゲ ン ト, リー ス各 法 案 の提 出 で あ った 。 しか し これ らの 諸 法 案 も廃 案 とな った 。 また 外 国 貿易 銀行 家協 会 も1973年 末,外 国 銀 行 に 対 す る連 邦 段 階 で の 統 一 政 策 を 要 求 した。 そ の後FRBは1974年3月 「外 国 銀 行 規 制 法 草 案 」 を 発 表 し,内 外 の 意 見 を聴 取 した 後 に,1974年12月 「1974年外 国 銀 行 法 案 」 を 提 出 した 。 しか し審 議 未 了 で廃 案 と な り,FRBは1975年3月 再 び 「1975年外 国 銀 行 法 案」 と して 提 出,下 院 で は この 連 銀 案,ル イ ス報 告 も併 せ,「1976年 金 融 制 度 改 革 法 案」 と して3月 ま で審 議 し て きた 。 しか し予 想 外 の 反 対 を 受 け,全 般 的 な 金融 制度 改 革 法 案 は3分 割 され,4月 に 「国 際 銀 行 法 案 」 と して 提 出 され た。 そ して1976 年5月20日,下 院 銀 行 委 員 会 で 可 決 され た が,現 状 を 若 干 改革 す るに と ど ま つ
アメ リカの外国銀行規制問題 69 て い る。 この 法 案 が 正 式 に成 立 す るに は上 ・下 院 の 調整 手 続 きを経 る必 要 が あ るが,上 院 銀 行 委 員 会 が 可 決 す るか否 か は疑 問 で あ る。 とこ.ろで 外 国 銀 行 規 制 に対 して 発 表 され た意 見 は,つ ぎの3つ に要 約 され る で あ ろ う。 第1は 外 国銀 行 活 動 に対 し て連 邦 の規 制 を 強 化,拡 大 し よ うとす る もの で, バ ッ トマ ン,リ ー ス,デ ソ ト案 が 代 表 的 な もの で あ る。 す な わ ち 複数 の 州 に お け る銀 行 活 動 の禁 止,支 店 設 置,証 券 業 務 の 禁 止,銀 行 持 株 会 社 の禁 止 を 骨 子 と し,多 数 の中 小 銀 行 の意 見 を 代 弁 す る もの で あ る。 第2は 外 国 銀 行 を 連 邦法 の 統 制 下 に お き,ア メ リカ 国 内銀 行 と平 等 に規 制 し,平 等 な条 件 で競 争 させ,ま た 連 邦 準 備 制 度 の 金 融政 策 に従 わ せ よ う とす る も ので あ り,FRBの 提 案 した もの で あ った。 (こ れ は 後 に再 考 す る) 第3は ア メ リカで 活 動 して い る全 銀 行 の 規 制 を 自 由化 し,結 果 的 に外 国 銀 行 が 受 け てい る競 争 上 の利 点 を 取 り除 き,ア メ リカ国 内 銀 行 と同 一 化 して競 争 さ せ よ う'とす る も ので あ る。 こ の中 に は,1971年 の 「・・ン ト委 員 会 報告 」 の 提 案 の うち,① 銀 行 業 務 の拡 大,② 金 利 規 制 の 撤 廃,③ 銀 行 持 株 会 社 法 の 拡大 的解 釈,④ 銀 行 と証 券 の兼 業 を 禁 止 して い る グ ラス ・ス テ ィー ガル法 を改 正 して, 銀 行 の投 資 会 社 業 務 を認 め る⑤ 州 全 域 へ の 支 店 設 置 自由 化 等 を採 用す べ きで あ る と主 張す る も の も含 まれ る。 これ は 大 銀 行 に 特 に 支 持 者 が 多 い 。 2 外 国銀 行 規 制 法 案 1976年5月20日,下 院 銀 行 委 員 会 で 可 決 され た 外 国 銀 行規 制 法 案 の主 要 な点 はつ ぎ の よ うな も の で あ る。 ○ 通 貨 監 督 官 に外 国銀 行 の支 店 お よび エ ー ジ ェン シ ー設 立 の 許可 権 限 を与 え る。 ○`外 国銀 行 が本 拠 州(home state)以 外 で支 店 を運 営 す る こ とを 禁 止 す る6
(12)F.A. Lees,"Which Route for Foreign Bank Regulation?", The Bankers Ma-g42fπ θ, Vol.157 Aug.1974.
70 ただ しゴ1976年5月1日 以 前 に 設 置 した もの に つ い て は 恒 久 的 に既 得権 を認 め るo O 連 邦預 金保 険会 社 に保 証 金 を積 む こ とを 条 件 に 外 国 銀 行 支 店 に 国 内 の 預 金 受 入 れ業 務 を認 め る。 Ol連 邦 準 備制 度 理 事会 に対 し,外 国銀 行 の支 店,エ ー ジ ェ ン シ藁 に,連 邦 準 備 制 度 加 盟 銀 行 に対 す る の と 同様 の準 備 率,金 利 規 制 を課 す 権 限 を 与 え る。 た だ し,資 産 規模10億 ドル 以下 の外 国銀 行 につ い て は準 備 率 の適 用 を 免 除 す る。 ○ 外 国 銀 行 は1985年12月31日 を も って 非 銀 行 業 務 を 打 ち 切 らね ば な らな い。一た だ し,証 券 引受 業 務 は 同 日以 降 も継 続 を認 め る。 この 法 案 は 当初 のFRBの 趣 旨 よ ワ も,か な り後 退 した も の で あ る。 しか し FRBに 対 し,外 国銀 行 の支 店,エ ー ジ ェン シ ーに 加 盟 銀 行 と 同様 の準 備 率, 金 利 規 制 を課 す権 限 が 付与 され た こと は注 目で き る。FRBは 非 加 盟 銀 行 が 存 在 す るた め に,そ の金 融政 策 が金 融 や銀 行界 全 体 の債 務 に 与 え る影 響 を 予 測 す る こ とが 困 難 に な って きて いた 。 そ し て非 加 盟 銀 行 の 中で 重 要 な 比 重 を 持 つ 外 国 銀 行 は,国 際 的 な資 金 移 動 の担 い手 で あ り,海 外 資 金 に 対 す る依 存度 が 高 く そ の 債 務 額 の変 動 は激 しか った 。 外 国銀 行 は,こ の よ うに 金 融 市 場 で重 要 な 存 在 で あ るに もか か わ らず,ア メ リカ の大 銀 行 に適 用 され る預 金 準 備 率 規 制 を 受 け て い な か った。 前 述 した よ うに これ が 費用 面 で ア メ リカ銀 行 よ りも外 国 銀 行 しの を有 利 に させ,市 場 機 能 を阻 害 す る要 因 とな った と主 張 され て きた ので あ る。 また 外 国 銀 行 の 活動 は 国 内金 融 ・国際 金 融 政 策 の遂 行 上,非 常 に 重 要 で あ る に もか か わ らず,外 国 銀行 と中央 銀 行 当局 と の関 係 は 制 度 化 され るに 至 って い な か った 。連 邦 段 階 の規 制 が充 分 で な い外 国 銀 行 は,全 米 的 見 地 を 無 視 した 地 域 的 利 害 中 心 の州 規 制 の悪 影 響 を受 け る こ とが 懸 念 され て い た ので あ る。 法 案 の 条 文 に よ る と外 国銀 行 は,連 邦 の規 制 機 関 に よる監 督 を 受 け る こ とに な るは ず で あ り,・あ らゆ る実 際 上 の 目的 につ い ては,連 邦 準 備 制 度 に 加 盟 す る州 法 銀 Oの しか しな が ら,1973年6月FRBは 大 口CDの 増 加 分 に対 す る準 備 率 引 上 の際,外 国銀 行 に も遵 守す る よ うに要 請 す る と と もに基 準 時 点 以 後 の ユ ー ロ ・ダ ラー純 借 入 れ に対 して も同率 の準 備 率 を遵 守 す る よ うに要 請 し,外 国 銀行 も これ に 従 っ た。
ア メリカの外国銀行規制問題 71 行 と して 取 扱 わ れ るで あ ろ う。 しか し連 邦 準 備 制 度 の加 盟 銀 行 とな る こ とは 禁 お 止 され るで あ ろ う。 と こ ろでFDICに 加 入す る こ とに よ り,預 金獲 得 は前 よ りは容 易 に な るで あ ろ うが,そ の た め に特 別 な補 償 預 金 をす る こ とを 要 求 され る。 また 外 国 銀 行 は,新 しい法 案 が 銀行 活動 を一 つ の 州だ け に 限 定 す る こ とに 不 満 を 持 つ だ ろ う。 しか しな カミら,1976年5月1日 現 在,二 つ 以上 の州 に まだ が って 営 業 して い る支 店 の継 続 を認 め た 条項 は,こ の よ うな規 制 に よる潜 在 的 衝 撃 を か な り和 らげ るで あ ろ う。 と こ ろで,1985年12月 まで は,非 銀 行業 務 を認 め た とい う もの の,ア メ リカ と取 引 す る大 規 模 非 銀 行企 業 の大 株 主 で あ る ドイ ツ銀 行 や フ ラン ス銀 行 に とっ て は,`ア メ リカで の 営 業 を事 実上,禁 止 さ れ るに等 しい で あ ろ う。 究 極 的 に,こ の 法 案 は 外 国 銀 行 に よ る複 数 の 州 に おけ る銀 行 営 業 の拡 張 を 禁 止 し,最 後 に は 外 国 銀 行 の ア メ リカに お け る証 券販 売 を差 し止 め よ う とし てい る。 この 法 案 を 無 条 件 で 支 持 した の は,30州 以 上 の商 業銀 行 グ ル ー プで あ る外 国 貿 易 銀 行 家 協 会 で あ った 。つ ま り外 国 銀行 が ア メ リカに おい て,あ ま りに も早 く 成 長 しす ぎ る とい う,多 数 の 中 小 ア メ リカ銀 行 の恐 怖 が表 明 され た の であ る。 とれ に 対 して,ニ ュー ヨー ク,オ レ ゴ ン,マ サ チ ュー セ ッ ツ州 銀 行 当局 は, 国 際 銀 行 施 設 の 開 発 を 希 望 す る ア メ リカ'の都 市 に と って,と くに差 別 的 な措 置 に な る と反 対 した 。 す な わ ち,外 国 銀 行 の2州 以 上 に ま たが る営 業 を禁 止 す る と,今 日大 部 分 の 外 国 銀 行 が 営業 して い る ニ ュー ヨー ク,シ カ ゴ,サ ン フ?ン シ ス コに 外 国 銀 行 は 集 中 し,ナ メ リカの そ の他 の金 融市 場 は,銀 行 業 の国 際 化 か ら受 け る競 争 の 増 加,サ ー ビス の 改 善等 の利 点 を 奪 わ れ る こ とにな る とい う も ので あ る。 もち ろん 外 国 銀 行 が 反 対 を 表 明 した の は い うまで もな い こ とで あ る。 そ の他 に ア メ リカの 地 方 証 券 取 引 業 界 も反対 して い る。 α5) Jour・nalげCommerce. July.1, 1976. ⑯ Journal cゾCommerce. Sept.1,1976.
7ゴ ・、ま たFRBと 財 務 省 は基 本 的 には 賛 成 しな が らも,下 院 の 可 決 した 法 案 に い くつ か の修 正 を加 え て上 院 に提 出 し,こ の法 案 の審 議 が 行 わ れ て い る。' V 国際的互恵主義 と外国銀行規制 1 外 国銀 行 進 出 に よiる利 益 と不 利 益 外 国銀 行 の進 出 に よ り,ア メ リカ 自身 も有 形,無 形 の利 益 を 受 け る こ とが で き る。 第1に ア メ リカ に お け る外 国銀 行 の存 在 は ニ ュー ヨー ク金 融 市 場 を 国 際 的 な もの にす る と とも に,ア メ リカ各 地 の金 融 市 場 に 種 種 の面 で 深 さ と広 が りを も た らす 。 第2に ア メ リカ市 民 も ア メ リカ の銀 行 にな い サ ー ビスを 受 け られ るな ど,ア メ リカ銀 行業 界 の競 争 を促 進 す る こ とに な る。 第3に ア メ リカ系 多 国籍 企 業 に対 し て,国 際 的 な金 融 サ ー ビスを 利 用 で き る 機 会 を拡 大 す る こと に な る。 第4に ア メ リカ の貿 易拡 大 に寄 与 した り,海 外 か らア メ リカへ の投 資 を 促 進 させ る等,ア メ リカ と海 外 と の経 済 的 な結 合 を強 化 す る の に役 立 っ てい る。 この よ うに銀 行 の対 外 進 出 は,お 互 い に利 益 の大 き い も ので あ る。 そ して ア メ リカ数 州 の法 改 正 も,外 国銀 行 の ア メ リカ で の急 成 長 に 貢 献 した 。 す なわ ち 長 い 間,エ ー ジ ェン シ ー のみ を 認 め てい た の を,支 店 設 置 認 可 に 踏 み 切 った 1962年 の ニ ュー ヨー ク州 法 改 正 な どは,そ の 代 表 的 な 例 で あ る。 ニ ュー ヨー クで は金 融 市 場 が 発 達 し,外 国銀 行 は卸 売 業 務 に 主 眼 をお い て い るた め に地 方 銀 行 と あ ま り競 合 して い な い 。 しか し外 国 銀 行 が 小 売 業 務 に 主 力 を お い て い る カ リフ ォル ニ ア で は,地 元 の 中 小 銀 行 の 反 感 は 根 強 い も のが あ る。 一 般 に外 国銀 行 は小 売 市 場 に参 入 す る場 合,① 当座 預 金 の最 低 残 高 め 撤 廃 や,き わ め て少 額 の残 高 で の許 容,② 非 常 に 低 利 の ナ ー ト ・ロー ン提 供,③ 営 業 時 間 の 延長 とい っ た新 設 銀 行 や 小 銀 行 の使 う方 法 を用 い て,地 元 の中 小 銀 行 の地 盤 を 侵食 して き た。 0 小 豆 沢 英夫,前 掲 書,53ペ ー ジ。
アメ リカの外国銀行規 制問題 73 この よ うな地 元 中小 銀 行 の 外 国 銀 行 へ の 反 発 が,外 国 銀 行 規 制 の原 動 力 とい え るだ ろ う。 また 前 述 した ア メ リカに おけ る外 国 銀 行 の 優 位 性 に 対 す るア メ リ カ銀 行 の反 発 と,金 融 政 策 や 国 際 収 支 政 策 に 大 きな 影 響 を与 え る よ うに な った 外 国銀 行 に 対 して 連 邦 レベ ル で も議 論 され は じめ,FRBの 外 国 銀行 規 制 法 案 とな っ て あ らわ れ て きた の で あ る。 2 国際 的 互 恵 主 義 ヨー ロ ッパ の主 張 す る 「互 恵 主 義(Recipr㏄ity)」 とは,外 国 銀 行 は 本 国 が相 手 国 の銀 行 に 許 可 し てい る業 務 を 許 可 され るべ きで あ る とい う考 え方 で あ る。 ヨー ロ ッパ の 銀 行 はFRBの 外 国 銀 行規 制 法 案 に対 して,互 恵 主義 の原 則 に よ り反 論 して きた 。 す な わ ち,ア メ リカ銀 行 が ヨ ー ロ ッパ で 自由 な 幅 広 い海 外 活 動 を 行 って い るの に,ア メ リカが 在 米 外 国 銀 行 に 規 制 を 加 え るの は不 公 平 で あ る と批 判 して きた ので あ る。 また ア メ リカ国 内 で も大 銀 行 や ニ ュ ー ヨ ー ク連 邦 金融 当局,州 銀 行 当局 も, 互 恵 主 義 に 基 づ く海 外 の報 復 を 警 戒 して 外 国 銀 行 規 制 法 案 に 反 対 を表 明 した。 また 州 銀 行 当 局 は,FRB案 はFRBの 権 限 の 強 化 に な る と懸 念 して い る よ う で あ る。 この よ うな 非 難 に 対 し,ミ ッチ ェルFRB副 議 長 は 「相 互 非 差 別 主義(Mutual Nondiscrimination)」 とい う互 恵 主 義 原 則 を 用 い 反 論 して い る。 す な わ ち 外 国 銀 行 は 受 入 国 の 銀 行 と 同 じ 扱 い を うけ るべ きで あ る とい う 互 恵 主義 原則 で あ る。 よ うす るに 外 国 銀 行 は ア メ リカの 国 内 銀 行 が 許 可 され て い るの と同p銀 行 業 務 を 行 い,か つ 同 様 に 規 制 を 受 け るべ きで,外 国 銀 行 の母 国 で 許可 され て い る も の で も許 可 され るべ きで は な く,他 方,海 外 の ア メ リカ 銀 行 はそ の 国 の 国 内 銀 行 が 受 け て い る権 利 を 与 え られ,同 じ規 制 を 受 け るべ きで あ る とい う もの が で あ る 。
⑬ F.R. Edwards,``Regulation of Foreign Banking in the United States=Intern- ationalStates=Intern- ReciprocityStates=Intern- and Federal-States Conflicts,"Research PapeろNo。64, Graduate School of Bus量nes, Columbia Univ.
74 ,'ヨ』 ロ ッーバ の主 張 す る互 恵 主 義 が 「進 出 国 中 心 」 で あ った の に対 して,FR Bの 主 張 は 「受 入 国 中 心 」 の 互 恵 主i義で あ る。 た しか に 「進 出 自 中 心 」 の 互 恵 主 義 を 採 る場 合,ナ メ1リカ で は 異 な った規 制 下 に 置 か れ た 外 国 銀 行 が 多数 併 存 す る ことに な り,か な りの経 済 的,政 治 的 混 乱 が 生 じる可 能 性 が 強 い 。 一 国 の金 融 政 策,銀 行 政 策 の 根 本 に は,金 融 政 策 の 有 効 性 確 保,信 用 秩 序 の 維 持 と い う大 前 提 が あ る。 外 国 銀 行 規 制 が,こ の 前 提 を 支 え るた め に不 可 欠 で あ る とす る な らば,'「 受 λ 薗 中 心 」 の 相 互 非 差 別 主 義 が 説 得 力 を 持 って く る。 しか し50の 州 法 と3の 連 邦 法 か ら銀 行 法 体 系 が 成 立 して い る ア メ リカで,ア メ リカ の銀 行 と外 国銀 行が 平 等 な 取 扱 い を 受 け る こ とが で き るか ど うか 疑 問 が 生 じて く る。・ と ころ で外 国 銀 行 とア メ リカ国 内銀 行 間 に,規 制 上 の 不 公 平 が あ る場 合,こ の解 消 策 と して の相 互 非 差 別 主 義 の適 用 に あた って は,つ ぎの よ うな方 法 が 望 ま しい。 た とえば2州 以上 の支 店 設 置 につ い て は;ア メ リカ銀 行 な み の 州 外 設 置 規 制 を 外 国銀 行 に あ て は め る の で は な く,ア メ リカ銀 行 に 外 国 銀 行 な み の 営 業 を認 め るべ きで あ ろ う。 事 実,前 述 した ハ ン ト報 告 の州 全 域 へ の支 店 設 置 自 由 化 の 提 案,合 意 を 得 る まで に は至 らなか った もの の ニ ュー ヨー ク,カ リフ ォ ル ニア 両 州 の支 店 相 互 乗 り入 れ 法 案 の提 出等 は,支 店 設 置 の 自由化 の方 向 を 示 して い る とい え るの で は ない だ ろ うか 。 また 州 段 階 で は あ るが,ニ ュー ヨー ク州 に お い て1976年1月1日 以 降 廃 止 さ れ た 支 店 設 置地 域 規 制 は 意義 深 い もの が あ る。1934年 以来 ニ ュー ヨー ク州 は9 の 銀 行 地 域 に 分 け られ,銀 行 は そ の地 域 内 に しか 支 店 設 置 が 認 あ られ なか っ た 。 しか し1976年1月 以 降 は ニ ュ ー ヨ ー ク州 内 で あ れ ば,ど こへ で も支 店 設 置 が で き る よ うに な った の で あ る。 支店 網 の展 開 が地 域 的 に制 約 され て い る ア メ リカの 銀 行 に,こ の 措 置 は大 きな 転 機 を与 え る と も考 え られ,州 外 に支 店 を設 置 す る動 きを 力 づ け る も『の とな るだ ろ う。 ⑲ この 問題 は,佐 野勝 次,前 掲 論文,12∼14ペ ー ジで も考 察 され て い る。
アメ リカの外 国銀行規制問題 75 外 国 銀 行 の 本 国 が,よ り自由 な規 制 を して い る場 合 は,受 入 国 は 自国 の規 制 を 少 しで も,そ ち らに 近づ け る努 力 が必 要 だ ろ う。 この よ うに し て各 国 と も 自 国 の 経 済 事 情 が 許 す 限 り,規 制 の廃 止 をす す め,国 際 的 な金 融 の 自 由化 を 進 め る必 要 が あ るだ ろ う。 と ころ で ア メ リカ の 場 合 は,自 国 通 貨 ドル が 基 軸通 貨 と して 使 用 され て お り,ま た ニ ュー ヨー ク金 融 市 場 が ユ ー ロ市 場 と と もに 国 際 金融 の 一大 拠 点 で も あ る。 そ こで単 に 自国 の立 場 か らのみ で な く,全 世 界 的 な見 地 か ら,極 端 な 保 守的,保 護 主 義 者 の手 に陥 る危 険 性 の高 い意 見 や 非難 を排 除 し,客 観 的 で冷 静 な態 度 で 外 国 銀 行 規 制 問題 を取 扱 う必 要 が あ る とい え るだ ろ う。 〔参 考 文 献 〕
(1) New York State Banking Department, Bra"ch Banking, Bank Me㎎ers and the Public Inter「enレ 1964.
(2) The President's Commission on Financial Structure and Regulation, Report, 1971.
(3) R.A. Young, Instrument∫of Monetary Policy in tゐe Un'ted States-The Role of Federal Reserve System, IMF,1973.
(4) Federal Reserve Board, Federal Reserve Bulletin, Janu.1975。
(5) 」.Severiens, Foreign Bank Regulation in the USA, The Banker. Janu.1975. (6)石 川 博 友 編 『ア メ リ カ の 産 業 と企 業(世 界 の 企 業 シ リ ー ズ2)』 筑 摩 書 房,1975年 。. (7) 高 木 仁 「支 店 銀 行 制 度 の 歴 史 的 展 開 一1954年 ま で の 米 国 の 経 験 」 『明大 商 学 論 集 』 第57巻3号,1975年1月 。 (8)内 田 輝 紀 「欧 米 諸 国 の 大 口信 用 規 制 一 ア メ リ カ ・西 ドイ ツ の 実 態 を 中 心 に 」 『フ ァ イ ナ ン ス 』1975年1月 。 (9)千 田 純 一 「最 近 の ア メ リ カ 金 融 制 度 の 展 開 一 ニ ュ ー ヨ ー ク 州 を 中 心 と し て 」 『経 済 科 学 』 第23巻2号,1975年12月 。