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ハ ン ガ リー の 企 業 所 得 ・賃 金 規 制 の
推 移:1968-1980
門 脇 延 行
工 は じ め に ・\ンガ リーが1968年 に中 央 計 画 化 と市 場 メ カ ニズ ムの有 機 的 結 合 をそ の基 本 的 特 徴 とす る経 済 改 革 を 実 施 して か ら12年 を 経 過 した 。 そ の間 の 過 程 を私 は つ positiveな もの と して評 価 して い る。 勿 論,問 題 が な い わ け で は な い 。 しか し, 改 革 は中 央 の計 画 指 令 が な くと も,間 接 的 な経 済規 制 に よ って 国 民経 済 計 画 が 匡 実 現 され,全 体 と して の経 済 がworkableで あ る こ とを証 明す る に は十 分 な 成 果 を あげ てい る と考 え て い る。 1975年 頃 に 国 内 外 の 事 情 か ら改革 の続 行が 危 ぶ まれ る時 期 も あ った が,皮 肉 に も中 央controlを 強 化 す る こ とに よ り乗 り切 る こ とに成 功 した 。 オイ ル ・シ ョ ッ ク以 後 の 新 しい 国 際 経 済環 境 に適 応 す べ く,1976年 に はか な り大 巾 な 経 済 規 制 シ ス テ ムの変 更 を お こな い,改 革 は経 済 均 衡 回復 と経 済 成 長 の実 現 を 目 ざ して 新 た な 局 面 へ と突 入 した。 しか しな が ら,国 際 市 場 状 況 は 予 想 した ほ どに は 好 転 せ ず,国 内活 動 に おい て も 経 済 政 策 目的 と 管理(そ の 中 で も 計 画 化 と 経 済 規 制)の 実 践 とが 経 済 発 展 と 均 衡 回復 との 課 題 に 十 分 応 え る こ とが で き な か った 。 む しろ,1978年 に は 経 済状 態 が悪 化 しさ え した 。 交 易 条 件 の 悪 化一 輸 入先 で の原 材 料 市 場 の価 格 高 騰 と輸 出先 で あ る西 側 諸 国 の ス タ グ フ レー シ ョンー の下 で,経 済 均 衡 を回 復 して い くた め に は,ド ル 獲 得 の積 極 的 な選 択 的 な 外 国貿 易 政 策 と,市 場 性 のあ る高 品 質 の生 産 物 生 産 を 1)改 革 の 評 価 につ いて は 拙 稿 「ハ ン ガ リー:新 経 済管 理 シ ス テ ム」(岩 田 昌征 編 『経 済 体 制 論IV現 代 社会 主 義 』 東 洋経 済 新 報 社 1979)を 参 照 され たい 。ハ ンガリーの企業所 得 ・賃金規制の推移=1968-1980 35 保 障 す る生 産構 造 の 近代 化 と能 率 的 な企 業 経 営 が 焦 眉 の課 題 とな って きた 。 こ の 課 題 解 決 に 当 って,1976年 に 続 く大 き な経 済 規 制 シ ス テ ム の修 正 が 余 儀 な く され た の で あ る。 そ の 作 業 が1979年 か ら始 め られ た と考 えて い る。68年 か ら79 ∼80年 に 至 る この 改 革過 程 を 「企 業 所 得 と賃 金 規 制 の推 移 」 を み る こ とに よ っ てfollowし て い こ う と す る の が 本 稿 の 狙 い で あ る 。 皿 企業所 得規制 の推移 ハ ン ガ リー の 「企 業 所 得 規 制 」(vallalati j6vedelemszabalyozas)と い うの は 国 営 企 業 に お け る所 得 形 成 と そ の 国 家 と企 業 へ の 配 分 及 び 企 業 所 得 の 利 用 に 関 す る ル ー ル を 国 家 が 規 制 す る(又 は 影 響 を 及 ぼ す)こ と を 意 味 し て い る。 企 業 所 得 の 形 成 ・配 分 ・利 用 の 規 制 は 企 業 の 物 質 的 関 心 シ ス テ ム と 関 わ る。 所 得 の 主 な 源 泉 は 利 潤 で あ り,利 潤 が 所 得 規 制 と 物 質 的 関 心 シ ス テ ム の 中 心 に 位 置 す る 。 そ こ で わ れ わ れ は ま ず,利 潤 の 形 成 か ら は じ め,次 に そ の 利 潤 が ど の よ う に し て 国 家 と 企 業 間 に 配 分 さ れ る か,つ ま り企 業 の 可 処 分 利 潤 が ど の よ う に し て 形 成 さ れ る か(利 潤 税 の 徴 収),そ し て,可 処 分 利 潤 か ら企 業 は ど の よ う に し て 物 質 的 関 心 フ ォ ン ド(予 備 フ ォ ン ド,発 展 フ ォ ン ド,分 配 フ ォ ン ド)を 形 成 し,利 用 す る か を 順 次 み て い く こ と に し よ う。 (1)利 潤 の 形 成 工 業 生 産 者 価 格 の 構 成 は 第1図 の よ うに,伝 統 的 な 生 産 費 用 部 分(6+の と 社 会 的 純 所 得 部 分(辮)と か らな る 。 そ れ ゆ え,生 産 企 業 の 場 合,利 潤 は 売 上 か ら伝 統 的 な 生 産 コ ス トと,国 や 地 方 評 議 会 に 納 付 され る 各 種 の 税 金 や 使 用 料 を 差 し 引 い た 剰 余 と し て 形 成 さ れ る 。 こ の 場 合,社 会 的 に は 純 所 得 を な す 資 産 使 用 料(eszk6zlek6t6si jarul6k)と 賃 金 賦 課(b6rjaru16k)〔 賃 金 税)illetme・ nyad6)と 社 会 保 険 分 担 金(tarsadalombiztosit6si j6rul6k)〕 とが 企 業 レベ ル で
2) 1976年 企 業所 得 ・賃 金 規 制 に つ い て は,す で に 佐 藤 経 明 氏(「 ハ ン ガ リー新 経 済 メ カ ニ ズ ム(NEM)と 規 制 用 具 シ ス テ ムの 修正 一 企 業 利 潤 ・賃 金 規 制 を 中心 に一 」 『経 済 研 究』 第30巻 第2号)に よ っ てそ の背 景 に まで 及 ん で詳 細 に分 析 され,紹 介 さ れ て い る。 ぜ ひ参 照 され た い。
36 は 生 産 コス トに 算 入 され,利 潤 か ら支 払 わ れ る もの で は な い と こ ろ に ハ ン ガ リー の シ ス テ ムの 特 徴 が あ った 。 資 産 使 用 料 は,有 限 な 資 源 の効 率 的 利 用 を は か るべ く,ユ ー ゴ を除 くソ連 ・東 欧 の どの 国 よ りも早 く導 入 され た(1964年)一 種 の 資 本 コス トで あ り?そ れ は 1975年 まで は 期 首 の 固 定 及 び 流 動 資 産 価 値 の5%(一 率)と 定 め ら れ て い た 。 そ れ に対 して,一 種 の 労 働 コス トで あ る賃 金税 は年 間 賃 金総 額 の8%,社 会 保 険分 担 金 は 17%で あ った。 企 業 に と って は5 %の 資産 使用 料 が 賃 金 賦 課 の合 計 第1図 工業生産者価格構成 工業生産者価格 伝統的原価要素(`+切 社会的純所得(初) 減 価 償 却 材 料 と 燃 料 費 賃 金 そ の 他
療
価 要 素 企 業 利 潤 企 支 業 払 に わ よ れ つ る て 特 ケ 殊 1税 子 ノ{ イ( ・ 例 ケ 1生 ス 産 で 税 ) 資 産 使 用 料 賃 金 賦 課(出 所)Aszocializmus politikai gazdasag・ tana. Kossuth,1973.231.1. 25%よ り も負 担 が 大 き く,相 対 的 に い っ て 「機械 は 高 く,労 働 は 安 く」 つ い た。 企 業 は生 産 増 大 のた め に 機 械 よ り安 くつ く労 働 力 に 頼 る道 を選 ん だ の で あ る。 そ の ことは 平 均 賃 金 水 準 規 制 と関 連 して生 きた 労 働,と りわ け不 熟 練 労働 の機 械 に よ る代 替 を 遅 らせ た ば か りで な く,労 働 力 不足,激 しい 労働 移 動 に も 少 な か らず 影 響 した 。 そ れ ゆ え,労 働 力不 足 が 慢 性 化 しだ した今 日,一 方 で の 労 働 力 節 約 と,他 方 で の 近 代 化投 資 を 促進 す るた め に,1976年1月 に賃 金 賦 課 の ひ き上 げ と資 産 使 用 料 の実 質 的 な ひ き下 げ の措 置 を講 じた 。 つ ま り,賃 金 税 と社 会 保 険 負担 金 を そ れ ぞ れ5%ず つ ひ き上 げ て13%と22%と し,資 産 使 用 料 の 方 は そ の 算定 基礎 を 資 産 の期 首 の粗 価 値 か ら期 末 の純 価 値 へ と変 更 した ので あ る。 しか しな が ら,1980年 の新 しい経 済 規 制 シ ス テ ム で は,こ の資 産 使 用 料 が 廃 止 され,賃 金賦 課 も35%か ら24%へ とひ き下 げ られ る こ とに な った 。 後 者 は, 賃 金税 が廃 止 され る こ とに よ り,社 会 保 険 分 担 金 の名 目で の み 計 算 され,払 込
ハ ンガ リーの企業所得 ・賃金規制の推移=1968-1980 37 まれ る こ とに な って い る。 (つ い で に 触 れ て お け ば,生 業 企業 と建 設 企 業 の 一 部 が 支 払 って い た 生 産 税 もな くな る。) な ぜ この 措 置 が と られ た か。 この 問 い に正 し く答 え るた め に は本 来 な ら1980 年 規 制 全 体 に わ た る 説 明 を 要 す るが こ こで は 次 の 点 に 注 意 を 喚 起 して お きた い 。 第 一 は,80年 規 制 の最 大 の変 化 で あ る生 産者 価格 形 成 の改 訂 で あ る。 つ ま り,工 業 の 大 部 分 一一一恐 ら く70-75%に 及 ぶ一 に お い て い わ ゆ る 「競 争 価 』格 」( versenyAr)が 採 用 され た こ とで あ る。 そ こ で は生 産 者 は 根 拠 のな い 費 用 を 買 手 に 転 嫁 しえ な くな る。 な ぜ な ら,そ の 価 格 の 基 礎 と して 「輸 出価 格 」 (exportAr)が 採 用 され た か らで あ る。 即 ち,企 業 はそ の生 産 物 を世 界 市 場 で い くらの価 格 で販 売 で きるか とい う こ とに な るか らで あ る。 世 界 市 場 価 格 が 生 産 者 価格 水準 の規 制 者 となれ ぽ,企 業 は ム ダ を省 き,資 源 の有 効 利 用 を は か り 価 格低 下 に努 め な けれ ば な らな くな る。 資 産 使 用 料 の廃 止 は生 産 者 価 格 水 準 の ひ き下 げ に貢 献 す る と考 え られ て い る。 全 体 では 約2%,工 業 生 産 者 価 格 の 場 合,約4%の 引 き下 げ が見 込 まれ て お り,資 産 使 用 料 の廃 止 の 結 果,機 械 の 価 の 格 は賃 金 に対 して30%安 くな るだ ろ う と見 積 られ てい る。 第 二 に,後 述 す る よ うに,企 業 の手 元 に残 る可 処 分 利 潤 を分 配 フ ォン ドに まわ す 時 に 課 せ られ る累 進税 の 負担 が企 業 の 「収益 性 」(jδvedelm『zδs69)に応 じて 変 動 す る こ とに な っ た。 利 潤 額そ の もの で は な くて,投 下 資 産 と賃 金 に 対 す る利 潤 の割 合 に よ って 分配 フ ォ ン ドが増 減 す る とす れ ば,企 業 は個 人 の所 得 を 増 大 させ るた め に も収 益 性 の高 い マ ネ ジ メン トを お こ な う必 要 が 生 じて くる。 従 って,資 産 使用 料 が 廃 止 され て も,効 率的 マ ネ ジ メ ン トへ 向か わ せ る力 が 働 くこ とに な る。 以 上 が 社 会 的 純 所 得 の控 除 の 主 な もの で あ り,な お 残 る所 得 部 分が 生 産 企 業 の粗 利 潤 を形 成 す る。 最 後 に,80年 規 制 は こ の利 潤 形 成 過 程 に か か わ り,企 業 発 展 フ ォ ン ドの財 源 の一 部 分 ともな る 「減 価 償 却 」 に 及 ん で い るの で,そ れ に つ い て 簡単 に紹 介 し て お こ う。 変 化 は二 つ の 方 向 に お い て 生 じた 。 ひ とつ は,い わ ゆ る 優 遇 処 置
38 4) や例 外措 置 の領 域 を狭 め,40%の 国 庫 納 付 義 務 を 一 般 化 した こ と。 (以 前 か ら残 りの60%は 発 展 フ ォソ ドに まわ って い る。)も うひ とつ は,よ り本 質 的 な 性 格 の変 化 で あ っ て,減 価償 却 費 を 赤 字 の 場 合 の 資 金 援 助 の た め に 制 度 的 に 引 当 て ね ば な らな い とす る こ とで あ る。 この こ とは,も し企 業 が 減価 償却 費 を も カバ ー し うるほ どの収 入 を え る こ とが で きな い 場 合 原:則と して 減 価償 却 が な くな る こ とを意 味 す る。 (2)利 潤 税 利 潤 税 シス テ ム は企 業 所 得 規 制 の 中 心 を な し,従 って 勤 労 者 の 物質 的 関 心 の 問題 と深 くか か わ っ て い る。 単 に,国 家 と企 業 との 利 潤 配 分 の み な らず,後 に み る分 配 フ ォン ドの形 成 に 関 連 して 企 業 内 利 潤 分 配 に もか か わ って い る か らで あ る。 利 潤 税 に先 立 っ て,企 業 は まず 最 初 に6%の 「都 市 ・農村 開 発 税」 を所 管地 方 評 議 会 に払 い込 ま なけ れ ば な らな い 。 この 措 置 は1971年 以 来 と られ て お り, 1980年 規 制 に おい て も有 効 で あ るが,た だ 税 率 が6%か ら10%へ とひ ぎ上 げ ら れ た 。 そ の理 由は,資 産 使 用 料,賃 金 税 の 廃 止 に 伴 う地 方 評 議 会 の財 源 減 少 分 を補 充 す るた め で あ る。 残 りの90%の 利 潤 が 利 潤 税 の課 税対 象 とな る。 利 潤 税 シ ス テ ムは68年 か ら80年 まで の 間 に か な り変 化 して きて い る。 まず, 68年 か ら75年 まで は94%の 課 税 前 利 潤 を 一 定 の 公 式 に従 って一 基 本 的 に は投 下 資 産 額 と賃 金 総 額 に 比 例 して一 そ れ ぞ れ 「発 展 フ ォ ン ド利 潤 部 分」 (以 下 Fnyと 略 称)と 「分 配 フ ォ ン ド利潤 部 分」 (Rny)と に 二 分 割 す る こ とを企 業 の に義 務 づ けた 。 つ ま り,物 質 的 な 関 心 フ ォ ン ドの 形 成 に 関 して企 業 に は 自由裁 量 権 は な く,中 央 規制 の 下 に あ った の で あ る。 利 潤 税 は 義 務 的 に 分割 さ れ た 4)'例 外 と しては,例 え ば建 設 資 材 工 業,石 炭 工 業,食 品工 業 で は 減 価 償却 費 の100% が 企 業 の手 元 に 残 され た 。 ・)こ こに い う 「一 定 ・ 公 式 」 とは 鉾 。一曲 と,爵 。 曲 の 式 ・ ・とで あ ・。 (酌:利 潤,5=賃 金 乗数,.B:年 間 賃 金 フ ォ ン ド, E:投 下 固 定 及 び流 動 資 産 価 値)。 詳 し くは 拙 稿 「ハ ン ガ リーの 企 業利 潤 分 配 シス テ ム」 (『彦 根 論 叢』 第169-170 号,1974)を 参 照 され た い。
ハ ンガ リーの企業所得 ・賃 金規制の推移=1968-1980 39 FnyとRnyに 対 して,前 者 に は 「定 率」 (工 業 は60%)で,後 者 に は 「累 進 的 」 に 課 せ られ た 。 Rnyに 対 す る累 進 税 率 は,分 配 フ ォン ドに まわ され るべ き利 潤 の,賃 金 コ ス トに 対 す る割 合 に よ って決 め られ た。68年 か ら70年 まで は0-70%,71年 か ら 75年 まで は40-70%で あ った 。 累 進 利 潤 税 は コス ト ・イ ン フ レを 防 止 し,企 業 間 所 得 格差 を抑 制 す る こ とを そ の狙 い と し て い る。 大 きな変 化 は1976年 に生 じた 。76年 規 制 に お い て,課 税 前 利 潤 のFnyとRny へ の義 務 的 分割 方 式 が廃 止 され,利 潤 を ど の よ うな 割 合 で企 業 の 発展 用 と個人 所 得 の増 大 用 に 配 分 す るか は 一 応 企 業 の 自主 的 決 定 に 委 ね られ る よ うに な っ た 。 そ れ は,い わ ゆ る 「石 油 シ ョ ック」 に よ りハ ン ガ リー は74年,75年 と,大 巾 な貿 易 収 支 の赤 字 にみ まわ れ,悪 化 した 交 易 条 件 の下 で経 済 均 衡 を 回復 して ゆ くた め に は,一 方 で中 央統 制 を 強 化 しつ つ,他 方 で はや は り企 業 の創 意 性, 自立 性 に依 存 す るほ か は な く,そ れ に は画 一 的,硬 直 的 な シ ス テ ムで あ る よ り は勤 労 者 の 自 由裁 量 の 余 地 を残 した シ ス テ ム の方 が 効 果 的 で あ るか らで あ ろ う。しか しな が ら,関 心 フ ォン ドの形 成 と利 用 に つ い て 企 業 が 完 全 なfree hand を 得 た わ け で は な い 。 以下 に お い て順 次 明 らか に な る よ うに,課 税 方 法 や 支払 義 務 の 順 序 指定 を通 して実 質 的 に は依 然 と して中 央 の規 制 下 に お か れ て い る。 そ れ で もな お,利 用 可 能 な関 心 フ ォン ドの最 初 の大 き さが 企 業 の 「外 で」 決 め られ て し ま う とい うこ とが な くな った こ と は,か りに そ れ が 精 神 的 な 効果:しか もた な い と して もや は り無 視 しえ な い。 76年 規 制 は利 潤 税 そ の も のに も変 更 を もた ら した 。新 しい利 潤 税 は 「一 般 的 (定 率)利 潤 税 」 と従 来 の累 進 税 か らな る。 一 般 的 利潤 税 は都 市一・農 村 開 発 税 控 除 後 の94%の 利 潤 に対 して 課 され,そ の 税 率 は78年 まで は36%で あ った 。 こ の税 率 は,75年 まで のFnyへ の60%, Rnyへ の40-70%,平 均 税 率56-58% に比 べ れ ば 相 対 的 に 低 率 で あ った 。 この相 対 的 に低 い利 潤 税 が,補 助 金,免 税 そ の他 の特 恵 措 置 な どと と1もに 企 業 の 手持 ち資 金 を豊 富 に し,1977年 の投 資 過 熱 の一 因 に な った と考 え られ た 。1977年 の社 会 主 義 セ クタ ー の企 業 投 資 は 年 度 計 画 の805億Ftに 対 して実 際 は1017億Ftに も及 び,こ れ は対 前 年 比 で も23%
40 の 増 を 記 録 し た 。 国 家 と 企 業 へ の 利 潤 配 分 比 率 も77年 が49:51,78年 で も51:49 の で あ り,76年 以 前 の約60:40に 比 較 して 企 業 に 残 る利 潤 は 相 対 的 に 増 大 した 。 そ こで,一 方 で は 過 熱 投 資 を 防 ぎ,他 方 では 国家 へ の配 分 を高 め るた め,1979年 か ら一 般 利潤 税 率 を36%か ら40%へ,80年 に は さ らに45%へ とひ き上 げ られ た 。 も うひ とつ の利 潤 税,分 配 フ ォソ ドに まわ る利 潤 へ の累 進 税 は,76年 規 制 で はそ れ が賃 金 コス トの2%ま で は無 税 で あ るが そ れ を 越 え た 場 合 に 第1表 に み る よ うな 率 で課 され た。 た と えば,賃 金 コ ス トの14%以 上 の利 潤 を 分 配 フ ォ ン ドに ま わ す と,実 に800%,従 って1Ftの 分 配 フ ォ ン ドの た め に8Ftの 税 を 負担 しな けれ ぽ な らな くな る。r 第1表 分配 フ ォン ドにまわ る 利潤 に対す る累進税率 利 潤 税 シス テ ム は1980年 規 制 にお いて も 分配 フォン ドの賃金 コス 税 率 (%) トに占め る割 合 (%) 新 た な変 化 が生 じて い る。 新 規 制 下 で も利 潤 の 利用 につ い て は企 業 が これ を 自主 的 に 決 定 し うる点 は不 変 で あ り,分 配 フ ォン ド に まわ る利潤 に は や は り累 進 税 が 課 され る とい うこ と も変 りは な い。 しか し,最 も本 質 的 な変 化 は 累進 税 の か け方 に あ らわ れ て い る。1979年 ま で は賃 金 コス トに対 す る分 0-2 2-4 4-6 6-8 8-10 10-12 12-14 14以 上 O OO OO OO OO OO OO OO 2 3 4 に り ρ0 7 ・ 8 配 フ ォ ソ ドの 割 合 が 累 進 税 率 を 決 め る唯 一 の 基 準 で あ った 。 しか し,80年 規 制 砿 羅 税・負担・企業・ ・収益性・(固定及び繕 産慣 金)・ よ・ても 変 化 す る よ うに な った 。 累 進税 率 は や は り分 配 フ ォソ ドが 賃 金 コス トの 何%で あ るか に依 存 す る。 しか し,よ り能 率 的 な 企 業 は税 の割 引(ad6kedvezm6ny) を 受 け る こ とが で き るの で あ る。 収 益 性 の高 い企 業 は そ うで な い企 業 よ り税 率 表 に決 め られ た 範 囲 内で 無 税 で 形 成 し うる分 配 フ ォ ソ ドが 大 き ≦な る。 い い か え る と,同 一 額 の分 配 フ ォソ ドを よ り低 い税 負担 で 形 成 し うる とい うこ とで あ る。 例 えば 平 均 的 な 企 業 と高 収 益 性 を ほ こ る企業 が賃 金額 の8%に 相 当す る 分 配 フ ォン ドを形 成 した とす る と,後 者 の 税 負 担 は 前 者 に比 して20%以 上 も軽 く 6) jFfgyθZδ,1978. janu義r 25. 7) ハ膨ρ5琴の α4∫48」1978・ 」6nius 8; N6ρ ∫酵面 α`lsag」1979・m糞rcius 24・
ノ・ソ ガ リーの企 業 所 得 ・賃金 規 制 の 推 移:1968-1980 41 8) な る だ ろ う といわ れ て い る。 分 配 フ ォソ ド形 成 を 収 益性 に も リン クさせ た と こ ろ に80年 企 業 所 得 規 制 の最 大 の特 徴 を 見 い 出 す こ とが で き る。L・ ホ ル バ ー ト は80年1月 か ら始 ま った 規 制 は68年 改 革 時 に 考 え られ て い た よ うな役 割 を利 潤 に与 え る こと を可 能 と して お り,企 業 と個 人 の イ ソセ ンチ ィヴを決 定 的 に利 潤 に 結 び つ け て い る,と 高 く評 価 し て い る 。 (3) 予 備 フ ォ ン ドの 形 成 と 利 用 「予 備 フ ォ ン ド」 (tartalekalap)は 自 立 的 な 企 業 マ ネ ジ メ ン トの も っ と も重 要 な 「安 全 弁 」 の ひ と つ で あ る 。68年 改 革 以 前 に は こ の フ ォ ソ ドは 形 成 さ れ な か っ た し,そ の 必 要 も な か っ た 。 赤 字 に な っ て も 国 家 が そ の 損 失 を 肩 代 り し て 10) くれ た 。 ま さ し く国 家 は 「万 能 の保 険会 社 」 だ っ た の で あ る。 68年 改 革 と と もに,企 業 の 自立 性 が 拡 大 され,意 思 決 定 に 対 す る責 任 も増 し,物 的 ・経 済 的 危 険 を も担 わ な け れ ば な らな くな った 。 この危 険 負 担 のた め の措 置 と して 企 業 レベ ル に お い て予 備 フ ォン ドの形 成 を義 務 づ け てい る と こ ろ にハ ン ガ リー の特 徴 が あ る。 予 備 フ ォ ン ドの控 除 率 は1968年 か ら1970年 まで はFnyとRnyの10%,71年 か ら75年 まで は12.5%,76-78年 は一 般 利 潤 税 控 除 後 の利 潤 の15%,そ して79 年 に は25%へ と高 め られ て きた が,80年 か らは再 び15%の 水 準 に も ど る こ と と な った 。 義務 的 な 予備 フ ォ ン ドの 水 準 は1976年 あ る い はそ れ 以 後 の年 度 の一 般 利 潤 税控 除後 の利 潤 の 中 で の最 高 額 に等 しい が,資 産 の 粗 価 値 の2%(1968年 は1.5%)と 賃 金 総 額 の8%と の合 計 額 に 相 当す る額 よ り少 な い 場 合 に は この 11) 後者 が義 務 的 水準 とな る。
8) Filipszky Zoltan:Az 1980.6vi gazdas6gi szabalyoz6k;Avallalati jovedelem・ szabilyozasi rendszerrbl,1>の ∫zabadsag,1979. november 14.
g) Horvath Laszl6;Ahat6konysゑg szolgゑlataban..〈 形♪5zαうα454&1979. szeptember 23. 10) Kornai Janos:Ahi6ny血jraterme16se. Kδ29α24α569∫82θ ηzJθ,1978.9. sz.(門 脇 延 行 ・深 谷 志 寿 共 訳 「社 会 主 義 経 済 に お け る 『不 足 』 の 再 生 産 」 『季 刊 現 代 経 済 』 日 本 経 済 新 聞 社,1979年 冬 季 号)129頁 。 11)予 備 フ ォ ソ ドの 義 務 的 水 準 の 上 限 の 再 検 討 が お こ な わ れ て お り,従 来 よ り低 く な る と 予 想 さ れ る9
42 予 備 フォ ン ドの利 用 は1♀78年 まで は,① 赤 字 の補 填,② 関 心 フ ォン ドの 前 年 度 水 準 まで の補 充,③ 企 業 フ ォ ン ド不 足 の補 填,④ ダ イ ナ ミッ クに 発 展 して い る一15%以 上 の テ ン ポで 売 上 を 伸 ば して い る一 企 業 に対 す る流 動 フ ォン ド 「へ の資 金 供 給 ,と な って い る。79年 に は② の用 途 へ の利 用 は一 時 的 に 禁 止 され た が,80年 に は 再 び 復 活 した 。 上 記 の 目的 に予 備 フ ォン ドを利 用 した 時,通 常 5年 間 に返 納 せ ね ば な らな い 。(但 し,② に つ い て は2年 間 。) 76年 に は新 しい 予 備 フ ォン ドを しで 「分 離 予 備 フ ォン ド」(elko16nsitett tar・ ・talekalap)が 導 入 され た。 この フ ォ ン ドは 関 心 フ ォ ン ドの 一 層 の 補 充 の た め に,毎 年 の義 務 的 水 準 の 他 に 自己 の判 断 で形 成 し う るフ オソ ドで あ っ て,そ の 利 用 に つ い て は 制 限 は な く,返 納 義 務 もな い。 80年 規 制 に お い て,価 格 シス テ ムに お け る国 際価 格 と国 内価 格 の直 接 的 連 結 の強 化 が は か られ て い る以 上,将 来 価 格変 動 が か な り頻 繁 に お こる と予 想 せ ね ば な らず,そ の よ うな 状 況 に 企業 が ダ イ ナ ミッ クに適 応 して い くため に は 予 備 フ ォン ドの果 す 役 割 は これ まで に な:く大 きな もの とな っ て くる。 義 務 的 予 備 フ ォン ド,分 離 予 備 フ ォン ドと並 ん で第 三 の エ レ メン トと して 「価 格 差 予 備 フ ォ ソ ド」(ark且10nbδzeti tartal6kalap)が 一 般 的 な もの とし て導 入 され た 所 似 で あ る。 これ は 外 国 貿 易 価 格 と国 内 価 格 との間 の関 係 を規 制 す る形 態 であ って,国 外 価 格 変 動 の 国 内 へ の 影 響 を 小 さ くした り,又 は な くした り,国 外 価 格 の動 向 の 国 内 へ の 更 な る転 嫁 を 計 画 的 に規 制 す る こ とをそ の役 目と して い る。 こ の よ うに,予 備 フ ォ ン ドの 形 成 と利 用 は これ ま で よ りも よ り柔 軟 な も の とな って き た 。 (4) 発 展 フ ォン ドの 形 成 と利 用 関 心 フ ォン ドの 中 で, 「発 展 フ ォ ン ド」(fejlesztesi alap)の 形 成 と利 用 に つ い て の規 制 は 比 較 的 簡 単 で あ る。(2)で 述 べ た よ うに,1968年 か ら1975年 まで は,定 率(工 業60%)の 利 潤 税 を 支 払 った 残 りのFny部 分 は そ の ま ま 「純 発 展 フ ォン ド」 を 形 成 した 。企 業 の 固有 の発 展 フ ォソ ドの財 源 とな る も のに 利 潤 以 外 に,60%の 減 価 償 却 費,固 定 資産 の売 却 益 利 潤税 の留 保 可 能 部 分 な どが あ る。 この フ ォン ドは 旧 設 備 の 更 新,生 産 能 力 の拡 大,近 代 化 投 資,そ して部
ハンガ リーの企業所得 ・賃 金規制の推移:1968-1980 43 分 的 に流 動 資 産 の拡 大 に も用 い られ る。 そ の後,企 業 の発 展 活 動 を 重 要 視 させ 促進 させ る た めに,1976年1月 か ら一 般 利 潤 税 控 除 後 の 残 りの 利 潤 を 発 展 フ ォソ ドに利 用 して も,分 配 フ ォ ン ドの 場 合 とは 違 って,課 税 され る こ とは な い。 この点 は1980年 規 制 に おい て も変 る こ とは な い 。76年 規 制 の 今 ひ とつ 重 要 な変 更 は 企 業 可 処 分 利 潤 利 用 に お い て発 展 フ ォ ソ ドの利 用 を 分配 フ ォソ ドのそ れ に優 先 させ てい る こ とで あ る。 そ れ は 次 の順 序 で お こなわ ね ば な らな い 。 (1)国,銀 行及 びそ の他 の企 業(又 は 機 関)に 対 す る債 務返 済履 行 (2)流 動 フ ォン ドの補 填 (3)投 資信 用 享 受 に 必 要 な一 通 常30%の 一 自己 財 源 (4)企 業 の そ の 他 の 発 展 向 け 支 払 。 こ の うち80年 規 制 で は(勃の 「流 動 フ ォソ ドの補 填 」 が(1)の中 の 「他 の 企業 に 対 す る債 務返 済」 に先 立 っ て お こなわ れ る よ うに な った 。 発 展 フ ォ ソ ドの形 成 に対 して は課 税 され な い が,建 設税 は この フ ォソ ドか ら 支払 わ ね ば な らな い。 これ は国 営 企 業 の 決 定 に 属 す る投 資 の建 設 ・組 立 て費 用 に対 す る10%の 課 税 で あ り,投 資 コ ス トで は な く,一 種 の生 産 税 タイ プ の税 と ・いわ れ て い る。そ の課税 目的は建設需要を抑 制 し,企 業投 資財源 と国民経済投 資 の可 能 性 との 計 画 的 な 調 和 を は か る こ とに あ る。 (5) 分 配 フ ォン ドの 形成 と 利 用 「分 配 フ ォ ン ド」 (r6szesed6si alap)カ ミ企 業 の 物 質 的 関 心 シス テ ム の もっ と も重 要 な エ レ メ ン トで あ る。 なぜ な ら,そ れ が 企 業 勤 労 者 の 個 人 所 得 増大 に直 接 的 に貢 献 す るか らで あ る。 こ の フ ォソ ドの 主 た る財 源 は利 潤 で あ り,フ ォソ ドの大 き さは利 潤 の大 き さに 依 存 し てい る。 す で に これ ま で の と ころ で 明 らか に した よ うに,1976年 規 制 で は 一 般 利 潤税 の支 払,予 備 フ ォン ド控 除,そ して 発 展 フ ォン ド用 の 義 務 履 行 の 後 に,相 応 の累 進 税 を払 込 ん で な お企 業 の手 元 に 残 る 利 潤 か ら 分配 フ ォン ドが 形 成 され る。 分配 フ ォソ ドの 財 源 と な る もの に は,こ の 利 潤 の 他 に 企業 報賞 と もい うべ き性 格 の利 得 が あ る。 12)た とえば,そ の年度に もっとも秀れた成績をあげて 「優秀企業」 として表彰 され た
44 次 に,そ の 言 葉 の 固 有 の 意 味 で の 利 潤 分配 で あ る分 配 フ ォン ドの利 用 の問 題 に 移 ろ う。 企 業 の 手 元 に 残 った 利 潤 が そ の ま ま 分 配 フ ォ ソ ドに な る の で は な い 。 分 配 フ ォン ドの 利 用 に つ い て もそ の順 序 が 決 め られ て い る。 い わ ゆ る分 配 に先 立 って なお 負 担 しな けれ ば な らな い もの が あ る。 そ れ は まず 第 一 に賃 金 水 準 を上 昇 さ せ る場 合,そ の上 昇 部 分 に 対 して も相 応 の 支 払 い一 一 種 の 税一 が 課 され そ れ が 分配 フ ォ ン ドか ら支 払 われ る の で あ る。 つ ま り,賃 金 規 制 シ ス テ ムの 規 定 す る と ころ に 従 いb6rfejleszt6si befizet6s(英 訳, levy on wage in-crement)と い う 「賃 上 げ税 」 と も 呼 ぶ べ き も の を 支 払 わ ね ば な らな い の で あ る。 こ の税 は 企 業所 得 規 制 と密接 に 関 連 して い るが,相 対 的 に独 立 して い る賃 金 規 制 の中 で 取 り扱 わ 航 る問 題 な の で節 を 改 め て と りあ げ よ う。 次 に は,賃 上 げ 税 支 払 い 後,(6)の 項 で と りあ げ る 「福 祉 ・文 化 フ ォン ド」 が 不 足 して おれ ば そ の 不 足 分 を や は りこの 分 配 フ ォ ソ ドか ら補 わ な けれ ば な らな い。 そ の後 には じめ て固 有 の 分 配 フ ォ シ ドの利 用 が始 ま るの で あ る。 分 配 フ ォソ ドは (1)直 接 的 な 物 質 的 刺 激 に 用 い られ る 部 分 一 プ レ ミア,ボ ーナ ス(juta- ス(juta- lom),年 度 末利 潤 分 配,技 術 革 新 賞 金 (2)決 った 目的 を も った給 付 と して用 い られ る部 分一 奨 学 金,返 済 不 要 の 住 宅建 設補 助,法 規 で定 め られ た そ の 他 の 目的 等 とに 分 け られ る。 分 配 フ ォ ン ドは75年 まで は この 他 に,福 祉 ・文 化,ス ポ ー ツ ・レ ク リェー シ ョン等 の た め に も用 い られ た が,76年 以 降 そ れ らは 固 有 の 「福 祉 ・文 化 フ ォ ン ド」 か ら まか なわ れ る よ うに な り,ソ 連 な ど と同 様 に な っ た 。 分 配 フ ォ ソ ドの利 用 の 一般 原則,様 々 な給 付 に役 立 て られ る部 分 の割 合,そ の 中 で もそ れ ぞ れ の 内 訳 あ るい は 規模 は企 業 団 体 協 約 の中 に 定 め てお か ね ぽ な らな い こ とに な って い る。一 般 的 に い って,プ レ ミア と ボ ー ナ ス は個 別 の 課 題 企 業 は平 均1人 当 り50Ftを 得 る し,五 カ年 計 画 に 傑 出 した 業 績 を 収 め た企 業 は 「赤 旗章 」 と と もに平 均1人 当 り100Ftを 得 る。 これ らは ともに 分 配 フ ォ ン ドの財 源 と 琵 な る,
ハンガ リーの企業所得 ・賃金規制の推移:1968-1980 45 解 決(目 的 プ レ ミア)あ る い は年 度 課題 の完 遂(年 度 プ レ ミア)を 刺 激 す るた め に 用 い られ,年 度 末 利 潤 分 配 は 勤 労者 個 々人 の 賃金 総 額 一 高 級 管 理 職 は 基 本 給一 と勤 続年 数 に も とづ い て決 め られ る。 76年 規 制 で は直 接 的 な物 質 的 刺 激 に役 立 て られ る分 配 フ ォン ド部 分 は 当 該 年 度 の 賃 金 コス トの20%(そ れ 以 前 は25%)を 越 え ては な らな い と され た 。 しか し,他 方 で は,最 低6日 間 の賃 金 に相 当す る分 配 フ ォン ドの 形 成 を,先 に み た 国 家 ・銀 行 ・そ の 他 の 企 業 に対 す る債 務返 済 義 務 の履 行 に先 立 って保 障 した 。 しか し,後 者 の 最 低 保 障 分 配 フ ォ ン ドの形 成 は1980年 か らはな くな る こ とに な った 。 これ は,す で に1979年 規 制 か らみ られ る傾 向 で あ るが 一 例 えば1.5% の 「年 間 最低 保障 賃上 げ」 の廃 止(53頁 参 照)一,所 得 増 大 ・賃 金 上 昇 を こ れ ま で以 上 に よ りハ ー ドに 企業 の業 績 ・成 果 に リン クさせ,そ の こ とに よ って 企 業 活 動 の 能 率 向 上 を 刺 激せ ん とす る動 き の現 わ れ とい え よ う。 企 業 内 の狭 義 の利 潤 分配 とい うこ とで 思 い 出 され るの は1968年 改 革 時 に導 入 され,わ ず か2年 間 の 運命 で廃 止 され た シス テ ム で あ る。 そ れ は企 業 構 成 員 を 第1,第 五,及 び 第 皿 の 三 つ の カテ ゴ リー に分 け,黒 字 の場 合 第 工カテ ゴ リー (企 業 長,企 業 次長,大 き な部 局 の長,工 場 長 な どが 属 す る)に は年 間 平均 給 与 の 最高80%,第 皿 カ テ ゴ リー(中 間 管 理 者)に は50%,そ して 第 皿 カテ ゴ リ ー(一 般 の労 働 者 と職 員)に は15%を 保 障 す る利 潤 分 配 シ ステ ムで あ った。 逆 に,赤 字 の場 合 に は,第 五 カ テ ゴ リーは 賃 金 を100%保 障 され るが,第1と 第 ∬ カ テ ゴ リー はペ ナ ル テ ィーを こ うむ り,そ れ ぞ れ 基 本 給 の75%と85%し か保 障 され な い。 この シ ス テ ムは 以 前 に 指 摘 した こ'ともあ る よ うに,差 別 的 な イ ン セ ン チ ィ ヴと危 険 負 担 の原 則 を と り入 れ た 本 質 的 に 管理 者 志 向 的 な,テ ク ノ ク きう ラテ ィ ッ クな 性 格 の強 い制 度 で あ った 。 そ の た め 一般 の労 働者 や職 員 に不 満 が 多 く,ブ ダペ ス トや ジ ュール の よ うな 大 きな工 業 都 市 で ス トライ キ ま で お こっ た と聞 く。(ス トライ キ 権 は な い 。)労 働 規 律 の弛 緩,故 意 の生 産 量 制 限,質 り の悪 い作 業 な どの 生 産 現 場 で のnegativeな 反 応 も,彼 らの 不 満 と無 関 係 で は 13) 前 掲 拙 稿 145頁 。
46 な か った で あ ろ う。 そ こで,70年 に は早 くも こ の シ ステ ムを 廃 止 して,そ れ に か わ って す べ て の勤 労者 に年 平 均 基 本 給 の25%を 最 高 限 度 とす る利 潤 分配 を 認 め る こ とに な った。 (但 し,赤 字 の場 合 の賃 金 保 障 制 度 は 今 日で も存 在 して い る。) 企 業 内 利 潤 分 配 に 関 す る76年 規 制 の なか で 興 味深 い もの に,管 理 職,と り ユの わ け ト ッ プ ・マ ネ ジ メ ン トの イ ン セ ン テ ィ ブ ・シ ス テ ム が あ る 。 彼 ら の 個 人 所 得 ぽ 一 般 勤 労 者 と 同 様,(1)固 定 部 分(基 本 給),(2)変 動 部 分(プ レ ミ ア,ボ ー ナ ス),(3)年 度 末 利 潤 分 配,(4)そ の 他 の 個 別 法 規 に よ る 部 分,か ら な る。 こ の うち,(1)と ㈲(4)に つ い て は 変 化 は な い 。 又,赤 字 の 場 合,先 述 の よ うに,基 本 給 の75%し か 保 障 さ れ な い ル ー ル も 不 変 で あ る 。 ト ッ プ ・マ ネ ジ メ ン トの イ ソ セ ソ テ ィ ヴ ・シ ス テ ム の 新 規 制 は(2)の 変 動 部 分 に か か わ る 。 そ の 第 一 は,年 度 プ レ ミ ア ム を 通 常 は 企 業 の 収 益 性 に リ ン ク さ せ,そ の 限 度 を30%と し た こ と,第 二 は,ボ ー ナ ス を 彼 ら の 活 動 の,長 期 的 視 点 か ら の 包 括 的 な 評 価 に も とづ い て 決 定 し,そ の 額 を 企 業 カ テ ゴ リ ー(A,B,そ の 他)に 応 じ て そ れ ぞ れ20%, 15%,10%と し た こ と で あ る 。 ト ッ プ ・マ ネ ジ メ ン トの 活 動 評 価 の 中 心 を,年 度 利 潤 に 一 般 に 関 係 し な い か 又 は 直 接 に 関 係 し な い よ うな,企 業 の 長 期 的 発 展,技 術 進 歩,市 場 活 動 な ど に お い た こ と は,マ ネ ジ メ ン トの 質 の 向 上 に 向 け て 注 目 に 値 す る 措 置 で あ る と い え よ う。 最 後 に,分 配 フ ォ ソ ドの 刺 激 効 果 を み る い くつ か の 数 字 を み て お こ う。1975 年 度 の 部 門 別 の1人 当 り分 配 フ ォ ン ドは 第2表 の 通 りで あ る。 こ の 年 の 社 会 主 i義セ ク タ ー の 平 均 所 得 が 月 額3068Ftで あ る か ら,ほ ぼ1ヵ 月 分 の 給 料 に しか 相 当 し な い 。 そ の 前 年 の74年 も 分 配 フ ォ ン ドは1人 当 り28-29日 分 の 給 料 で あ Incentives in Hungarian Economy, Industrial and Labor Relation∫Review, Vol. 24,No.4, pp.541-542.
15) こ の 項 はGad60tt6:Kδzgazdas義gi szabalyoz6 rendszerUnk 1976-ban. Kossuth, 1976.(平 泉 公 雄 訳 「1976年 の ハ ン ガ リー の 経 済 規 制 シ ス テ ム 」 ア ジ ア 経 済 研 究 所 昭 52年)57-60頁 に よ っ て い る 。
16) 管 理 職 の 所 得 の 変 動 部 分(プ レ ミア,ボ ー ナ ス)の 財 源 は 一 般 勤 労 者 の 場 合 の 財 源 (分 配 フ ァ ン ド)と は 異 な り,賃 金 コ ス トと み な され る 点 に 注 意 を 要 す る 。
・・ソガ リーの 企 業所 得 ・賃 金 規制 の推 移:1968-1980 47 17) つ た 。 年 度 末 利 潤 分 配 に 限 っ て み る と,1978年 の 場 合,分 配 フ ォ ン ド104億Ft の 中 の48億Ft(約46%)で あ 第2表 部 門別1人 当 り分配 フ ォソ ド(1975年) り,1人 当 りに な お す と12日 18) 分 の賃 金 に しか な らな い 。 た だ しか し,こ の 年 の1人 当 り の 賃 上 げ 率 が8.4%も の 高 率 で あ った こ とを 忘 れ て は な ら な い 。 そ の 賃 上 げ に 必 要 な税 (次 節 参 照)の 支 払 い も分配 フ ォ ン ドか ら負担 さ れ る。 加 え て,年 度 途 中 に 支給 され る ⇔ 業 葉 菜 業 葉
群
信
商
工 段 通 錦 品 轍 内 熟 工 食 建 農 運 国 粗 生 産(売 上)に 対す る利 潤(%) 14.3 5.0 15.5 11.2 11.9 28,0※ 1人 当 り分 配 フ オ ン ド (Ft) 3,020 2,210 3,090 3,280 2,930 3,350 ※ 商 業 マ ー ジ ン(出 所)Stark Antal:AvAallalati tervezes rend・ szere. Kossuth,1978.131.1. プ レ ミ ア,ボ ー ナ ス 等 を 差 し 引 くが ゆ え に,年 度 末 利 潤 分 配 は そ れ ほ ど大 き く は な ら な い の で あ る。 以 上,(1)∼ ㈲ ま で に と り あ げ た 「主 要 な 税 金,使 用 料 等 の 控 除 率 の 推 移 」 を わ か りや す くま と め た の が 第3表 で あ る 。 第3表 主 要 な 税 金 ・ 資産使用料 5 (粗価 値) 5 (純 価 値) 賃 金 賦 課 賃金税 8 13
【
榛除霜
一
7 1一
2 2 24 年 度. 1968 ∼1970 1971 ∼1975 1976 1978 1979 1980∼ 使用料等の控除率 の推移 (%) 都 市 ・農 村 開 発 税 6一
10 備 ド 率冨
予 フ 控 10 12.5 15 25 15 利 潤 税 発 展 フ ォ ン ド部 分ト
60 (工 業) 分 配 フ ォ ソ ド部 分 0-40 (累 進) 40-70 (累 進) 36 (定率) 40 45 (6) 福 祉 ・文 化 フ ォ ン ドの 形 成 と 利 用 「福 祉 ・文 化 フ ォ ン ド」(j61eti一蕊kulturalis alap)は ソ連 な ど の 社 会 ・文 化 17) 1>6ρ5τ αうα4∫68∼ 1975.marcius 29. 18) N⑳ ∫潔 うσ4∫4&1979.marcius 24.48 フ ォン ドに相 当す る も ので,ハ ン ガ リーで は68年 か ら75年 まで は分 配 フ ォン ド の 中 に含 め られ て いた が,76年 に そ れ か ら独 立 して形 成 さ れ る こ とに な った 。 ・一部 は人 員 に 比 例 して 決 め られ た 総 額 に お い て(例 え ば:,1976年 は年 間1人 当 り750Ft。1977年 以後 は 毎 年 年 度 計 画 の 中 に 規 庫 され る。 順 次 引 き上 げ られ 1980年 に は1人900Ftと な って い る。),一 部 は特 定 目的 の施 策 に必 要 な実 額 に お い て(例 えば,児 童 施 設 運 営 費用)利 潤税 課税 前 の利 潤 か ら形 成 され,と く に後 者 は費 用 と して 計 上 され る。1980年 規 制 に お い て も,こ の フ ォン ドの形 成 と利 用 につ い ては 本 質 的 な変 化 は な い 。 皿 賃金規制の推移 「賃 金 規 制 」(b6rszabalyozas)と い うの は 広 義 に は 賃 金 制度 に 関 わ るす べ て の規 制 を含 む が,通 常 狭 義 の 意 味 に お ∼・て,つ ま り経 済規 制手 段 の ひ とつ と し て企 業 に おけ る賃 金 水 準 又 は 賃 金 総 額 の 増 大 の条 件 と可 能 性 を規 定 す る諸 要 素 の全 体 とし て理 解 され て い る。 1968年 か ら1970ま で は そ の 殆 ん どの 企 業 が い わ ゆ る 「平 均 賃 金 水準 規 制 」 を うけ て い た。 平 均 賃 金 水 準 規 制 の登 場 は1957年 に まで さか の ぼ る。 しか し,そ の 当時 の規 制 は中 央 が 企 業 の平 均 賃 金 水 準 を 一 般 的 に絶 対 的 に 規定 す る とい う も の で あ った 。 賃 金 水 準 の高 さは 企 業 成 果 とは 無 関 係 に 中 央 に よ って直 接 に決 20) 定 され て いた ので あ る。68年 改 革 に よ って 賃 金 規 制 に も間 接 的 な方 法,経 済 的 な方 法 が 用 い られ る よ うに な った 。 つ ま り,賃 金 水 準 をrigidに 直 接 に で は な く,そ の変 動 を 企 業 マ ネ ジ メ ン トの 成 果 と結 び つ け る こ とを通 して 間接 的 に規 制 す る ので あ る。 68年 に 導 入 され た 平 均 賃 金 水 準規 制 は基 準 年 度 一 通 常 前 年 度 一 の平 均 賃 金 水 準 を 越 え る当 該 年 度 の 増 加 分 に 対 し100%の 税 金 を課 した。1970年 に は部 分 的 な修 正 を ほ ど こ し,対 前年 比4%ま で の 賃上 げ に はそ の税 負担 を軽 くし て 70%と す る こ とに した 。(4%以 上 の上 昇 部 分 につ い ては100%。)70年 規 制 は
19) K6zgazdasagi kislexikon. Kossuth,1977。68。1.
・・ン ガ リーの企 業 所 得 ・賃 金 規 制 の 推 移:1968-1980 49 又,人 員 削 減 に 成 功 し た 場 合 に そ の 節 約 分 の30%は 非 課 税 と し,そ れ を 分 配 フ ォ ソ ドに 算 入 す る こ と を 認 め た 。 つ ま り,70年 規 制 は 平 均 賃 金 水 準 上 昇 に 対 す る ユラ 物 質 的 サ ン ク シ ョンを 弱 め,人 員増 加 に は強 め た の で あ る。 これ は改 革 の最 初 の二 年 間 の経 験 か らみ て 平 均 質 金 水 準 規 制 が生 きた労 働 の合 理 的 利 用 の 組 織 化 ヨの に な ん の前 進 を も もた らさな か った こ とが わ か った か らで あ る。 そ れ で も企 業 の賃 上 げ 志 向 は 強 く,そ れ を 一 種 の 生 産性 指 標 に リン クさせ る措 置 が1971年 に の と られ た 。 そ れ が 先 に 触 れ た 「賃 上 げ税 」 の導 入 で あ った 。 この 「賃 上 げ税 」 の 特 徴 は,平 均 賃金 水 準 の上 昇部 分 に 対 し て1人 当 り企 業 粗所得(荊 蟹 賃 金)噸 ・ ・応 ・・課税す る と・う・ あ・… 税・分・・ フ ォ ン ドか ら実 額 控 除 され る。 この シス テ ム の下 では,当 該 年 度 の1人 当 り企 業 粗 所 得 の対 前年 度比 増加 分一 これ を 「賃 上 げ 指 標 」(b6rfejleszt6si mutat6) と呼 ぶ一 が1%増 す 毎 に0.3%ま で の平 均 賃 金 上 昇 が 認 め られ るが,そ の 上 昇 分 に対 す る課 税 は50%,指 標 の許 す 範 囲 を 越 え る上 昇 分 に は0.5%増 す 毎 に う 15(}一400%の 高 率 累 進 税 が課 され た 。 以 上 の よ うに,1968年 か ら1975年 まで の 賃 金 規 制 は 人 員節 約 や 能率 向上 を刺 ロ 激 す る部 分 的 手 直 しを 伴 い な が らも,基 本 的 に は 「平均 賃金 水準 」 規 制 と して 特 徴 づ け られ る。 この 平 均 賃 金 水 準 規 制 の 問題 点 は 早 くか ら認 識 され て い た。 こ の規 制 が 各 部 門 の特 殊 性 を 全 く考 慮 しな い で 画 一 的,機 械 的 に賃 金 水 準 向上 を 利 潤 の増 大 に 結 び つ け て い た の で,企 業 自身 の努 力 に よ っ て して も利 潤 の あ が りに くい 部 門(例 え ば 石 炭 産 業,電 力産 業)の 企 業 は極 め て不 利 な立 場 に お か れ て い た し,又,あ くまで も平 均 賃 金水 準 を規 制 の対 象 とし て いた ので,人
21)Cf. Robinson, W.1,, The Pattern of Reform in Hungany, Praegar,1973. pp.149 -151.
22) Cf. Gad6,0. ed,, Reform of the Economic Mechanism in Hungary:Development 1968-1971,Akad6miai Klad6,1972, p.91.
23) 1965-1970年 の 名 目 賃 金 上 昇 率 は 平 均4.5%で1961-1966年 ρ 平 均2.3%の ほ ぼ2倍 で あ っ た 。Cf. Magyar statisztikai zsebkonyv・KSH,1979・153・1・
24) こ の 税 の 分 配 フ ォ ン ドに と っ て の 負 担 は 賃 金 コ ス トの お よ そ3%に 相 当 し た と い う 。Gad6,0.邦 訳 45頁 。
50 員 が増 え て も平 均 値 が低 下 す れ ば 賃 上 げ の 可 能 性 が 高 ま るが ゆ え に,.本 来 労働 力 節 約 が 求 め られ る部 門(例 えば 建 設 産 業)で さ え も計 画 通 りに 人 員 削 減 が す す まな か った。 そ こで党 中央 委 員 会 は1972年11月 の総 会 で 石 炭 と電 力 産 業 で は 平 均 賃 金 水 準規 制 か ら中 央 賃金 規 制 に移 行 させ る こ と,又,賃 金 総 額 規 制 の可 能 性 に つ い て実 験 す る こ とを勧 告 した 。 画 一 的 な平 均 賃 金 水 準 規 制 は 部 門 の特 殊 性 や 経 済 事 情 を十 分 考 慮 を払 わ な か った の で企 業 間賃 金 格 差 の縮 小 や 労 働 力 節 約 課 題 に は 必 ず し もfitし な か った の で あ る。 この 間 の事 情 を0・ ガ.ドーは 次 の よ うに 要 約 して い る。 「各 部 門 の 諸条 件 と経 済 的状 況 の相 違,個 々 の分 野 に 対 す る 国民 経 済 的 要 求 の 差 異,さ らに は 各 部 門 の経 営 上 の特 殊 性等 を よ り ょ く考 慮 す るに は 国 民 経 済 の 中 に 複 数 の 賃 金 規 制 形態 を 同 時 に機 能 させ る こ とが ア 良 い の で はな い か とお もわ れ るに い た った 。」 か く して,1976年 に は次 の4つ の 差 別 的,選 択 的 な 賃 金 規 制 の 形態 が採 用 さ おの れ た 。 そ れ は以 下 の通 りで あ る。 (1)企 業 の業 績 に リン ク した 賃 金 水 準 規 制(相 対 的 賃 金 水 準 規 制) (2)企 業 の業 績 に リン ク した 賃 金 総 額 規 制(相 対 的 賃 金 総 額 規 制) (3)中 央(絶 対 的)賃 金 水 準 規 制 (4)中 央(絶 対 的)賃 金総 額 規制 (1)の 「業 績 に リン ク した賃 金 水準 規 制 」 は71年 に導 入 され た 「平 均 賃 金 水 準 規 制 」 と本 質 的 に 同 一 の もの で あ る。 つ ま り,平 均 賃 金 水 準 上 昇 が 例 の 「賃 上 げ 指 標」 (49頁 参 照)の 動 向 に依 存 して い る。76年 規 制 で は賃 上 げ 指 標 が 前 年 比 で1%増 す 毎 に0.25%の 賃 上 げが 認 め られ る。75年 ま で は こ の指 標 に よ っ て 許 容 され た 賃 上 げ 分 に つ い て も賃 上 げ税 を分 配 フ ォ ン ドか ら払 い込 まね ば な ら な か った が,76年 規 制 では 無 条 件 に 保 障 され た い わゆ る 「年 間保 障 賃 上 げ 」 26)N6p5驚 面 認54g}1973. februar 2.冷 凍 工 業,缶 詰 工 業,製 糖 工 業 な ど で は 賃 金 総 額 規 制 が 実 験 的 に 導 入 さ れ た 。 27)Gad6,0.邦 訳43頁 。
28) こ の 項 はGado,0.邦 訳 44-52頁 とIparvallalatok penziigyei I. V直11alati j6ve. delemszab烈yoz6s a gyakorlatban.1977.116-122.1.に よ っ て い る 。
ハンガ リーの企業所得 ・賃金 規制の推移:1968-1980 51 (1976年 の場 合1.5%。 そ の 後 は 毎 年 次 国 民経 済 計 画 の 中 に定 め られ る)と 指 標 に よ っ て許 容 され た 賃 上 げ 率 と の合 計 が6%以 下 で あ れ ば,賃 上げ 税 を 支 払 う義 務 は な く,6%以 上 で あ る場 合 に そ の 超 過 部 分 に対 して定 率150%の 税 金 を支 払 え ば足 りる。 しか し,指 標 が 許 す 範 囲 を 越 え た 賃 上 げ の場 合 に は,そ れ が6%以 内 で あ っ て も 累進 的 な 賃 上 げ 税(150-600%)を 支 払 う義 務 が 生 じ る。 逆 に,企 業 の実 際 の賃 金 水 準 上 昇 が,保 障 賃 上 げ と指 標 に よ って許 容 され た 賃 上 げ率 との合 計 に達 しな い 場 合 に は,企 業 は 差 額 の 総額 を 「賃金 予 備 」 と して 留 保す る こ とが で き,次 年 度 にお い て 無 税 で 利 用 で き る よ うに した。 た と え 次年 度 の賃 上 げ 率 が6%を 越 え てい て もで あ る。 この 平均 賃金 水準 規 制 は機 械 工 業 の大 部 分,化 学 工 業 の 全 部 門,軽 工 業 部 門 の 半 分,国 内商 業 と外 国貿 易 部 門 の大 部 分 な どに お い て 適 用 され て い る。 次 に,(2)の 「企 業 の業 績 に リン ク した 賃 金 総 額 規 制 」 の 形 態 は 企業 の 賃 金総 額 の変 動 を 「生 産指 標」(termelesi mutatb)セ こよ って 規 制 す る もの で あ る。 生 産 指 標 は通 常 「付 加 価値 」 で表 示 され る。 企 業 の利 用 可 能 な 賃 金 総 額 は 付加 価 値 指 標 が 前年 度 に 比 べ て1%増 す毎 に0.4%増 加 させ る こ とが で き るが,逆 に1%減 少 すれ ば 賃 金 もつ.3%減 少す る。 こ の付 加 価 値 指 標 で 定 め られ た 賃 金 総 額 を 越 え た賃 金利 用 に対 して は累 進 的 な賃 上 げ 税(150-300%)を 支払 わ ね ば な らな い 。 な お,こ の形 態 に おい て も,1978年 まで は(1)と 同様 に 無 条 件 の r年 間 保 障 賃 上 げ」(1.5%)が 認 め られ て いた 。 賃 金 総 額 規制 は も と も と労 働 力 の 合理 的 管 理 をは か る こ とを 狙 って 導 入 され た 規 制 で あ る。 人 員 を 削 減す れ ば企 業 に と っ て利 用 可 能 な 賃 金 総 額 が 増 え,従 って1人 当 り平 均 賃 金 水 準 も向 上す るか らで あ る。 賃 金 総 額 規 制 を受 け て い る 企 業 は 付 加 価 値 指 標 を 高 め る こ とに よるば か りで な く,人 員 の削 減 に よ って も 賃 金 総 額 を 大 き くす る こ とが で き る。76年 規 制 は2%の 人 員 削 減 な ら,賃 金 総 額 も2%の 増 大 を 認 め た 。 この点 に お い て,総 額 規 制 の方 が 賃 金 水 準 規 制 よ り も有 利 とな る。 総 額 規 制 下 の 賃 金 水 準 は 人 員 削 減 に よ って も 上 昇 させ うる以 上,そ れ に つ い て も別 のcheck一 「平 均 賃 金 ブ レー キ」 と呼 ば れ る一 が 必 要 と な っ て くる。 こ の平 均 賃 金 ブ レ ーキ は(1)と同様 に76年 は6%(そ れ 以 前 は
52 5%)に 設定 され た。6%を 越 え る場 合,企 業 に はや は り分 配 フ ォン ドの 負 担 に お い て 累 進税(100-300%)の 支 払 い義 務 が 生 じ る。 この よ うに,賃 金総 額 規制 は二 重 で あ る。 企 業 の利 用 可 能 な賃 金 総 額 を 付 加 価 値 指 標 に 依 存 させ て 規 制 す る と同 時 に,平 均 賃 金 水 準 を も規 制 して い る。 な お,こ の 規 制 は機 械工 業 の 一部,建 設 業,建 設 資 材 工 業,食 品 工 業 の大 部 分, 軽 工 業 部 門 の 約 半 分 な どに お い て適 用 され て い る。 (3)の 「中 央(絶 対 的)賃 金 水 準 規 制 」 と(4)の 「中 央(絶 対 的)賃 金 総 額 規 制」 は と もに年 度 国 民 経 済 計画 の 中 に お い て企 業 の年 間 利 用 可 能 な 賃 金 増 加 を 規定 す る形態 で あ る が,た だ,(4)は(2)と 同様 に人 員 削 減 に よ って も賃 上 げ の 可 能 性 が 生 じ る。 いず れ も賃 上 げ を企 業 の業 績 に リン クさせ る こ とを 経 済 的 諸 条 件 が 許 さな い物 質 的生 産 部 門 とそ の他 の部 門 に適 用 され る。 例 えば ㈲ は 石 炭 産 業,電 力産 業,製 パ ン ・菓 子 ・乳 業 な どで,(4)は 設 計 ・投 資企 業,研 究 機 関 な どで 適 用 され て い る。 な お,以 上4つ の雇 用 者 比 率 でみ た 賃 金 規 制 形 態 の 適用 状 況 は 第4表 の通 り で あ る。 第4表 社会主義 セクタ ーの雇用者比率か らみた賃金規制形態分布 (%) 相対的賃金水準規制 相対的賃金総額規制 中央 賃 金 水 準 規 制 中央 賃 金 総 額 規 制 合 計 1968 3 7 9 100 1971 2 9 3 ρ0 8 100 1973 5 2 7 6 , 7 1 100 1976 4 5 1 0 3 3 2 1 100 1977 Q ソ 0 1 0 2 4 2 1 ▲ 100 1978 ﹁ O P O r O r D -﹁ 0 1 1 100 出典;Kδ28㍑4α∫4g∫8解魏」θ,1978.2. sz.178.1. こ の よ うに,76年 の 賃 金 規 制 は,第 一 に そ の 性 格 に お い て 選 択 的 で あ る こ と,第 二 に 年 間 保 障 賃 上 げ の導 入 や 中央 賃金 規 制 り採 用 に み られ る よ うに,賃 上 げ の利 潤 増 大 に 対 す る 関係 を 以 前 の 緊 密 な も のか らか な り ル ー ズ に した こ と,第 三 に 年 平 均 賃 上 げ の 可 能 性 を6%に 定 め,そ れ 以上 の賃 上 げ に は累 進 課 税 を 適 用 す る こ とに よ り企 業 間 賃金 格差 の縮 小 を狙 って い る こ とをそ の特 徴 と
ハ ンガ リーの企業所得 ・賃金規制の推移=1968-1980 53 して い る。 76年 か ら導 入 され た 賃金 規 制 も能 率的 な労 働 と合 理 的 な 労 働 力 管 理 の 刺 激 に お い て十 分満 足 の ゆ くもの で は なか った 。 又 低 成 長 時 代 に 入 った 現 段 階 に お い て 国 民所 得 の増 大 の枠 内 に 国 内利 用,と りわ け 国 民 消 費 の 伸 び を 抑 え て い く上 で賃 金上 昇 に対 す る適 切 な コン トロール ゐミ重 要 とな って くる。 賃 金 規 制 は この 二 つ の課 題,つ ま り,生 きた 労 働 力 の合 理 的 利 用 を 伴 うマ ネ ジ メ ン トの 能 率 向 上 の刺 激 と,計 画 的 な所 得 水 準 とそ の比 率 の 形 成 とを解 決 す る こ とを迫 られ て い る の で あ る。1976年 規 制 の 経験 の 評 価(肯 定 的 か 批 判 的 か)に 端 を発 す る 1977年 か らは じ ま った 賃 金 規 制 に 関 す る論 争 もほ か な らぬ この課 題 を め ぐった の も ので あ る。 能 率 的 な 企 業 経 営 へ の 経 済刺 激 と所 得 格差 を抑 え,総 購 買 力 を計 画 的 に コ ン トロール す る こ とが 同 時 的 に 「解 決 で きな い ジ レン マ」 な ので あ ろ うか?と 。 こ こで は 論 争 そ の もの に は これ 以上 立 ち 入 らな い で,1979年 か らは じ ま った そ の 実 際 的 な 対 応 策 を 追 って お こ う。 1979年 の賃 金 規 制 は 賃 金 上 昇 を 年度 計画 の枠 内 に抑 え,同 時 に そ れ を 企 業 成 30) 果 に よ りょ く結 び つ け る こ とを狙 っ て次 の よ うな一 連 の修 正 を施 した 。 まず, 賃 金 総 額 規 制 と賃 金 水 準規 制 の適 用 を うけ て いた 企 業 に 保 障 され て い た 「保 障 賃 上 げ」(1.5%)を 廃 止 し,'賃 上 げ の可 能 性 は付 加 価 値 指 標 と賃 上 げ 指 標 の 上 昇 及 び 人 員 削減 に よる ほか は な い よ うに した 。 中 央 賃 金 規 制 下 の 企業 に対 して も,こ れ まで の無 税 の賃 上 げ 可 能 性 を4.5%か ら4%へ と ひ き下 げ た 。
29) こ の 論 争 はSzilard Csaba=Azωb6r-6s jδvedelemszabalyoz6k elsδtapasztal.
atalr61. Kδ2gα24α34g∫&蹴 」θ,1977.3. sz.が76年 規 制 の 欠 陥 を 指 摘,そ れ に 対 す る Kerterz Istvdan=Mikent ertekeljiik a ber-es jovedelemszabalyozek elso tapasztal- atait P Kδ28㍑24α ∫kgi Szemle,1977.9. sz.とNyikos Laszlo:Av盃11alatok 6rdek・
elts6ge az 6rv6nyes szab61yoz6rendszer tOkr6ben. Kδ29αz4α549'82θ η2Z9,1977.9. sz.
の 背 定 的 反 論 を も っ て は じ ま り,K伽 解24α54g∫ ε2伽Zθ 誌 上 だ け で も 同 誌 編 集 委 員 会 の 一 応 の 「論 争 終 結 宣 言 」(1979.11.SZ.)ま で12人 の 論 者 の 延 べ15の 論 文 に お い て 展
開 さ れ た 。M〃 漉 威g露52θ 厩 θ, P翫 蛎gyf 8Z伽Zθ 誌 上 で も 同 種 の 論 争 が 展 開 さ れ た 。 30) 1979年 規 制 に つ い て はBanki Pal=Ab6rszab盃1yoz5s m6dsit査sa. Ffgyθ あ,1978.
54 又,賃 金 予 備 の 利 用 に つ い て も,規 制 に も とづ い た賃 上 げ 可 能 性 が3%以 下 で あ る企 業 だ け に,し か も3%を 越 え な い範 囲 で しか 認 あ な い こ とに した 。3 %以 上 の 賃 上 げ の た め に 賃 金 予備 を利 用 す れ ば どの規 制 形 態 の下 で も課 税 され る。 他 方,相 対 的 な 賃 金 水 準 規 制 下 の企 業 に は賃 上げ 指 標1%増 す 毎 に可 能 とな る賃 金 を0.25%か ら4%へ とひ き上 げ た 。保 障 賃 上 げ の廃 止 と も関連 し て,そ うし ない と総 額 規 制 下 の 企業 よ り不 利 に な るか らで あ る。 又,賃 金 総 額 規 制 は,6-8%の 間 の平 均 賃 金 水 準 上 昇 の税 負担 を半 分 に軽 減 させ た。 79年 賃 金 規 制 の 変 化 の中 で,最 後 に 注 目 した い の は,従 来 一定 の条 件Q下 で 賃 上 げ の 可 能性 が 消 費 者 価 格 水 準 の 上 昇 よ りも 小 さ い こ とを 理 由 に いわ ゆ る 「賃 金 特 恵 」(b6rpreferencia)を 得 て き た 企 業 が 少 な くな か っ た が,国 家 選 好 と し て の こ の 個 別 介 入 の 領 域 を 狭 め た こ と で あ る 。 そ れ に よ っ て,賃 金 規 制 シ ス テ ム の 修 正 か ら生 じ る,こ れ ま で に 比 較 し て 小 さ くな る 賃 上 げ の 可 能 性 を,企 業 は 国 家 の 援 助 に よ っ.てで は な く 自 己 の 努 力,労 働 生 産 性 の 向 上,収 益 性 の 上 昇 に よ っ て う め 合 わ せ な け れ ぽ な ら な くな る で あ ろ う。 ・ 31) 次 に1980年 の賃 金 規 制 は1976年 以 降 の 規 制 と本 質 的 な 差 は な い 。 先 の4つ の 規 制 形 態 が続 い て採 用 され,企 業 の業 績 に 結 び つ い た 賃 金 総 額 規 制 が や は り支 配 的 な形 態 の位 置 を 占 め てい る。 新 しい 点 が あ る とす れ ば,企 業 所 得 規 制 の 場 合 と同様 に,賃 金 上昇 の可 能 性 を よ り一 般 的 に,こ れ まで 以 上 に よp徹 底 して 経 済 成 果 の 改善 に結 び つ け て い る点 で あ ろ う。 こ こで は 業 績 に 結 び つ い た 賃 金 総額 規 制 を 中心 に み て い こ う。 80年 の 賃 金総 額 現制 に お い て も,企 業 活 動 の能 率 の動 きを 示 し,利 用 可 能 な 賃 金 総 額 を も規定 す る付加 価値 指 標 が基 準 と して用 い られ,対 前 年 比1%増 す 毎 に 利 用 可 能 な賃 金 は 従 来 の0.4%か ら0.3%に 引 き下 げ られ た 。 た だ,こ の 場 合,付 加 価 値 指 標 の構 成 項 目の 中 か ら廃 止 され た 資 産 使 用 料,賃 金 税,加 え て
31) 1980年 規 制 に つ い て はFilipszky Zoltan:Az 1980・6vi gazdas6gi szalalyoz6k a v611alati j6vedelemszal〕alyozasi rerdszerr61・N6P52α うα454&1979・november 14・ に
ハンガ リーの企業所得 ・賃金規 制の推移:1968-1980 55 銀 行 コス トが取 り除か れ る ので,実 質 的 に は0,1%の 減 とは な らない 。 先 の0.3 %の 税 率 は平 均 賃 金 水 準 規 制 に つ い て も同 一 で あ る。 指 標 が減 少 す れ ば1%減 ず る ご とに0.3%減 少 す る。(但 し減 少 の場 合 の規 制 は1981年 か ら実 施 。)こ の 指 標 の許 容す る 以 上 の賃 金 総 額 の増 加 分 に は これ まで と同 様 の 賃 上 げ税 支払 義 務 が や は り生 じ る。「 能 率 向 上,従 って 賃 上 げ 指 標 の 上 昇 に よ って 利 用 可 能 とな った 賃 金 総 額 分 を 乳 人 員 の 増 加 に あ て な い で平 均 賃 金 水 準 上 昇 に振 り向け た とす る と,人 員 不 変 と仮 定 して,・無 税 で 高 め う るそ の 上限 は従 来 の6%か ら9%へ と ひ き上 げ ら れ,こ こ・で も業績 の よい企 業 に と って は賃 上 げ 税 免 除 に よ る賃 上 げ 可 能 性 が 高 ま る こ ろ こ とに な る。 従 って,企 業 間 格 差 の 拡 大 が 予 想 され てい る。 そ れ ど か,む しろ 業 績 に 応 じた 格差 を 能 率 向 上へ の バ ネ にせ ん と し て い る。9%以 上 の賃 上 げ に は 勿 論 税 負 担 義 務 が 生 じ る。 しか し,こ の場 合 も80年 規 制 は 以前 の 累 進 税 率 に か え て 一 律150%と して い る。 この点 は賃 金 水 準 規 制 の場 合 に お い て も同一 で あ る。 総 額 規 制 の特 徴 の ひ とつ は,先 に み た よ うに指 標 の 上 昇 以 外 に 人 員 削減 に よ っ て も賃 金 総 額 を増 や し うる点 に あ る。 しか し節 約 賃 金 の利 用 は 無 制限 で は な い 。人 員節 約か らの節 約 賃 金 を 「無 税 で」 賃 金 上 昇 に 利 用 で き るの は一 先 の 9%の 枠 内 で一3%ま でで しか ない こ とに な った 。 いず れ に して も,付 加 価値 指 標 の上 昇 か,人 員 削 減 か,あ るい は そ の 両 方 に よ って 賃 金 水 準 を上 昇 させ うる。 しか し,一 般 的 な規 制 に 従 って2%以 上 の 賃 上 げ しか実 現 で きな い か,又 は全 くそ の資 格 の な い企 業 で も最 高2%ま で の 賃 32) 上 げ が 認 め られ る。 以 上 の よ うに,79年,80年 の 賃 金 規 制 は,1976-1978年 の平 均 名 目賃 金 上 昇 が,同 時 期 の国 民 所 得 平 均 上 昇 率4.9%,労 働 生 産 性 平 均 上 昇 率5.8%(社 会 主 32) こ の2%の 賃 金 上 昇 許 可 と 廃 止 さ れ た1.5%の 保 障 賃 上 げ と の 差 異 の 理 由 を,L. f ソ グ ラ ー ツ は 前 者 が 自 己 の 力 に よ っ て わ ず か の 賃 上 げ しか で き な い 企 業 だ け に 与 え ら れ た 特 典 で あ る 点 に 求 め て い る け れ ど も,説 得 力 に 乏 し い よ うに 思 わ れ る 。Cf. Pon- gracz Iゑszl6:Al)6rszabalyoz直s m6dosit直sa. Fig:yθ」δ,1979. november 14.
56 義 工 業)の 下 で,6.9%を 記 録 した 現 実 に 対 し,保 障 賃 上 げ の 廃 止 や 賃 上 げ 指 標 の 数 値 の ひ き上げ な どで応 え,賃 金 と企 業 成 果 の結 び つ き の強 化 に よ って 経 済 刺 激 を与 え,従 来 の平 均 賃金 水 準 規 制 よ りは む し ろ賃 金 総 額 規 制 の 拡 大 に よ って ひ つ遣 して い る労働 力 の 合理 的管 理 を 刺 激 せ ん と し てい る ので あ る。 これ らの 課 題 は 決 して新 しい もの で は な い。 小 さ な も の を含 め れ ば,殆 ん ど毎 年 の よ うに 修 正 ・手 直 しを く りか え して きた こ とに端 的 に表 現 され て い よ う。 68年 か ら80年 ま で を 全 体 と してみ てみ る と,当 初 の差 別 的 な 利 潤 分 配 シ ステ ムへ の 不 満,1970年 代 初 め の部 門 の特 殊 性 を無 視 した 画 一 的 な平 均 賃 金 水 準 規 制 下 の 企 業 間 賃 金 格 差,中 央 規 制 の ゆ るい 協 同組 合 企 業(粗 所 得 の 増 大 が 目 的)や 私 的 セ ク ター と国 営企 業 との 間 の部 門間 所 得 格 差 が 社 会 的 緊 張 の 原 因 と な り,改 革 の 続 行 さえ 危 うくさせ た経 験 を 通 して,所 得 格 差 と総 購 買 力 に 対 す る コ ン トロー ル に は それ な りの効 果 を あげ て きた よ うに 思 わ れ る。 そ れ に 対 して,効 率 的 な企 業経 営 へ の経 済 刺 激 とい う点 で は満 足 で き るほ ど の 成 果 が 挙 って い る とは い え な い 。悪 化 した世 界 市 場 の交 易 条 件 は依 然 と して 好 転 せ ず,そ れ ど ころ か 恒常 的 な もの とな りつ つ あ る。 対 外 的 な経 済 均 衡 回 復 が 焦 眉 の 課 題 で あ るに もか か わ らず,1978年 に は一 層 悪 くさ え な った 。 近 年 の この 経 済 状 況 の 悪 化 が,74-75年 の場 合 と異 な り,そ の大 部 分 が 交 易 条 件 の悪 33) 化 の 結 果 生 じた とい うよ りは む しろ 「基本 的 に は 国 内 の原 因 か ら生 じた 」 と い う認 識 が 思 い切 った 業 績 主 義(teljesitm6nyelv)の 採 用 へ と向 か わ せ つつ あ る よ うにみ え る。 そ の こ とは 当 然 に 企 業 間所 得 格 差 を もた らす と思 われ る賃 金 上 昇 と企 業 成 果 の結 合 の強 化 に 現 わ れ て い る。 IV お わ り に 68年 か ら80年 に 至 る企 業 所 得 と賃 金 規 制 の 試 行 錯 誤 の 過 程 をfollowし て き た 。 紙 数 に も限 りが あ り,そ の 中 か ら次 の 二 つ の こ とを 指 摘 して お きた い。 第 一 は,企 業 所 得 と賃 金 規 制 は そ のnormativeな 性 格 を 明 瞭 に して き た こ と
33) Szikszay B61a;Aszab61yoz6k 1979・6vi m6dos玉tasa・T4r5屈 σ」廊8zθ7π 」θ,1979・
・・ンガ リーの企業所得 ・賃金規制 の推移:1968-1980 57 で あ る。つ ま り中 央 の個 別 規 制 を 制 限 し,利 潤 関 心 に も とづ い て 企 業 活動 を 出来 る限 り統 一 的 に規 制 す る方 向 を 打 ち 出 して きて い る とい うこ とで あ る。 そ れ は 又,例 外 措 置 や 特 恵 待 遇 の 領 域 を狭 め る よ うな形 を とっ て も現 わ れ る。従 来,経 済 規 制 シス テ ム一 般 の機 能 上 の 問 題 点は あ ま りに も多 くの 特殊 な エ レメ ン ト, 中 央 の個 別 規 制 で も って 企 業 活動 を そ の 深 部 に おい て 統 制 し て きた こ とで あ る。 そ こに 「直 接 的 管 理 シス テ ムの 残 滓」 が 認 め られ た。 実 際 個別 介 入 は ひ と つ ひ とつ の企 業 に 指 令 を 与 え るの も同 然 で あ り,あ れ ほ ど批 判 され た 「計 画 交 渉 」(tervalku)と 殆 ん どそ の効 果 に お い て 差 は な い の で あ る 。企 業 所 得 と賃 金 規 制 は この 間 一 般 的 に 利 潤 関 心 に依 拠 して きた し,発 展 の諸 手 段 に お い て も, 個 人 所 得 に 関 して もそ れ を貫 徹 させ る方 向 に動 い て き てい る。 そ こか ら,第 ゴ に 企 業 所 得 と賃 金 規 制 の 内 容 的 な特 徴 とも い うべ き業 績 主 義,成 果 主 義 を 徹 底 させ ん と しつ つ あ る傾 向 を見 い 出す 。 賃 金,所 得 を企 業 の 業 績,収 益 性 に 強 く リン ク させ よ う と して い る努 力 にそ れ をみ る こ とが で き るで あ ろ う。 そ の意 図 は評 価 され る と し て も,問 題 はそ の実 現 の 可 能 性 で あ る。 ハ ンガ リ ー の学 者 の 中 に もそ の可 能 性 を 危 ぶ む も の もい る。 た とえ ばM・ ボ ル ガ ー ル が そ の1人 で あ る。 彼 は 実 質所 得 が 比 較 的 わ ず か しか 上 昇 して い か な い とす れ ば,賃 金,所 得 格 差 は特 に 問 題 とな ろ うとい う。 と くに,社 会 政 策 との 関 係 で この 問題 をみ る と,国 民 の 所 得 の 中 で 社 会 給 付 に 由来 す る 部 分 が60年 の18% (賃 金80%)か ら80年 に は30%(賃 金 は67%)に な ろ う と して い る。 格 差 が 経 済 構 造 の変 化 を もた らす ほ ど有 効 で あ るた め に は か な り大 き な格 差 でな け れ ば な らな い が,そ れ を 可 能 とす る よ うな物 的手 段 を社 会 政 策 に お い て節 約 す る こ とは で きな い 。 も と も と,賃 金 格差 は よ り多 くの,あ るい は よ りよい 労 働 に で は な くて,生 産 構 造 に お い てそ の企 業 が どの よ うな位 置 を 占め てい るか に依 存 して い る とい う。 そ こで 「企 業 間 の賃 金 格 差 の可 能 性 が 構 造 的 な 再 編 成 の ひ と つ の 重要 な バ ネ とな りうる とい う幻 想 か ら解 放 され ね ば な らな い 。 国 民経 済 と 企 業 の構 造 の硬 直 性 は経 済 ・社 会 的 原 因 に深 く根 ざ して い る。 r刺 激』 に よ り