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4年制大学で学ぶ介護学生の介護に対する考え方の変化 -入学後半年間の学び-

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Academic year: 2021

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4 年制大学で学ぶ介護学生の介護に対する考え方の変化

入学後半年間の学び

日本福祉大学 健康科学部

日本福祉大学 健康科学部

日本福祉大学 健康科学部

日本福祉大学 健康科学部

なおみ

日本福祉大学 健康科学部

日本福祉大学 健康科学部

Impressions of care among university students in education course for certified

care workers

−What have they learned during the first semester−

Keiko Mase

Faculty of Health Sciences, Nihon Fukushi University

Junko Kuze

Faculty of Health Sciences, Nihon Fukushi University

Keiko Takeda

Faculty of Health Sciences, Nihon Fukushi University

Keiko Niwa

Faculty of Health Sciences, Nihon Fukushi University

Naomi Mizutani

Faculty of Health Sciences, Nihon Fukushi University

Hideko Fujiwara

Faculty of Health Sciences, Nihon Fukushi University

Keywords:介護学生, 介護に対する考え方, 入学前, 前期終了時, 変化

研究ノート

受付:2017. 9. 8受理:2018. 1.18

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. はじめに

我が国は 2015年に高齢化率 26.7%に達し, すでに超 高齢社会に入っている. 2025 年には団塊世代が 75 歳に 達し, 後期高齢者の増加は必至で介護の需要はますます 高まってくる. しかし, 介護を担う人材は慢性的に不足 しており深刻な社会問題の 1 つになっている. 職場環境 や労働条件などに起因する離職や介護職を目指す若い人 材の減少など, 改善に向けて対策が急がれている. 離職 問題がある一方, 「介護の仕事はやりがいがある」 と誇 りを持って働いている人達も多くいる. 職業観, 人生観, 生活環境によって介護に対する受け止め方は異なってく ると思われるが, 教育による影響も大きいと考えられる. 石田ら1) (2011) は, 「学生が介護実習の中で介護観を形 成していく多くの要素を学んでいることが明らかになっ た. この事は, 教員と同様に実習指導者が学生とどのよ うに関わり, どのような指導を行い, どのような事を語 り合うかが, 学生の介護観に大きな影響を与えていると いうことである.」 と述べている. 学生の介護観形成に 実習教育は非常に重要であるが, 入学直後から始まる授 業も学生の介護に対する考え方に影響を与えていると考 えられる. しかし, どのような影響を与えているのか調 査した報告はみられない. そこで, 本学の介護学専攻に 入学した 1 年生に前期授業終了時に記載させたレポート をデータとして, 学生の介護に対する考え方に授業がど のような影響を与えているかを検討した.

. 研究目的

入学前の介護に対する考え方と 1 年前期授業終了時の 介護に対する考え方の変化とそのきっかけを検討する.

. 研究方法

. 調査対象及び調査方法 本学介護学専攻 1 年生 42 名を対象に, 介護福祉論 Ⅰ (30 時間) の 1 年前期授業終了日 (2016 年 7 月 20 日) に 「介護に対する考え方の変化−入学前と現在と の比較と変化したきっかけ−」 のテーマでレポートを 記載させた. . 分析方法 レポートから介護に対する考え方と思われる文脈を 抽出し, データとした. レポートより抽出したデータ は, 「入学前に考えていたこと」 (以後 「入学前」 とす る) と 「現在考えていること」 (以後 「現在」 とする) に分け, KJ 法を参考にカテゴリー化した. さらに, この間の変化のきっかけとなる具体的なキーワードを 抽出し, カテゴリー化した. カテゴリー化に際しては, 研究メンバー間で確認をした. . 倫理的配慮 本学 「人を対象とする研究」 に関する倫理審査委員 会規程にしたがい, 事前にレポートは評価には影響し ないこと, 個人が特定されない形で教育・研究目的で 分析することを口頭で説明した. その際, 結果を介護 教育の成果として, 論文にまとめることへの了承を得 た.

. 本学のカリキュラムの特徴

本学の介護学専攻は, 介護福祉士及び社会福祉士国家 試験受験資格を得ることができる 4 年制大学で, 1・2 年次は介護学に関する授業を中心に編成している. 必修 科目に限定すれば, 4 年間で学ぶ総合基礎科目は 8 科目 で 10 単位, 専門基礎科目は 8 科目で 16 単位, 専門科目 は 38 科目で 68 単位である. そのうち 1 年次には, 総合 基礎科目 8 科目のうち 7 科目 (87.5%), 専門基礎科目 8 科目のうち 5 科目 (62.5%), 専門科目 38 科目のうち 14 科目 (36.8%) を学ぶ. 1 年生前期終了時には, 総合 基礎科目 5 科目 (7 単位), 専門基礎科目 3 科目 (6 単位), 専門科目 4 科目 (7 単位) を取得する. 主な科目として, 基礎演習Ⅰ, 医学一般Ⅰ, 介護福祉論Ⅰ, 生活支援技術 Ⅰ, 生活支援技術演習Ⅰ, コミュニケーションⅠ, 介護 過程などがある. 介護福祉論Ⅰは現行カリキュラムの教育内容 「介護の 基本」 (180 時間) に該当し, 「介護福祉論Ⅰ」 として 1 年前期 30 時間, 「介護福祉論Ⅱ」 として 2 年前期 30 時 間で行っている. 教育のねらいは, 「 尊厳の保持 自 立支援 という新しい介護の考え方を理解するとともに, 介護を必要とする人 を, 生活の観点から捉えるため の学習. また, 介護における安全やチームケア等につい て理解するための学習とする.」 である. 本学の介護福 祉論Ⅰの学習テーマは, 「介護福祉を取り巻く状況と介 護を必要としている人の生活を理解し, 人権の尊重と自 立支援の観点から介護の役割と機能を理解する.」 であ る.

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5. 結果

5.1 介護に対する考え方 レポートから抽出されたデータは 193 件あった (表 1). 「入学前」 は 47 件 (全データの 24.4%), 「現在」 は 146 件 (全データの 75.6%) で約 3 倍になった. これらのデータをカテゴリー化した. カテゴリー化さ れた内容として 「仕事としての介護」, 「介護に対する 興味・関心」, 「介護に関する学び」 の 3 つのコアカテ ゴリーが抽出された. 「仕事としての介護」 に関する データは 「入学前」 と 「現在」 を合わせて 109 件で, 全データの 56.5%になった. 「介護に関する興味・関 心」 に関するデータは 36 件で, 全データの 18.7%で あった. 「介護に関する学び」 のデータは 48 件で, 全 データの 24.9%であった. 「入学前」, 「現在」 とも 「仕事としての介護」 の記載がもっとも多く, 「入学前」 では 「介護に関する興味・関心」 が続く. 「現在」 で は 「介護に関する学び」 が続き, 入学後に学んだ内容 の記載が増えていることがわかる. 以下では, コアカテゴリーごとに入学前と現在を比 較する. (%)は, 「入学前」 の 47 件及び 「現在」 の 146 件に対する割合である. .. 仕事としての介護 「入学前」 は 33 件 (70.2%) で 8 つのカテゴリー, 「現在」 は 76 件 (52.1%) で 7 つのカテゴリーとなっ た. 入学前に考えていた 「仕事としての介護」 は, 「人のために働く仕事」 が 7 件 (14.9%), 「介護は 生活のすべてを支援すること」 が 7 件 (14.9%), 「 そ の 人 が で き な い こ と を し て あ げ る 」 が 6 件 (12.8%), 「その人に合った介護をおこなう」 が 2 件 (4.3%) など肯定的なイメージが 22 件 (46.8%) あった. 「重労働で大変な仕事」 は 3 件 (6.4%), 「あまり良いイメージはなかった」 は 2 件 (4.3%) と否定的なイメージは 5 件 (10.6%) あった. 「現在」 では, 「介護の世界が広がり, 今は, 多角 的な見方ができるようになった」 に代表されるよう な 「介護の見方が変わった」 がもっとも多く, 20 件 (13.7%) あった. 「介護はただ心身のケアを行 うだけの仕事ではなく 命 について関わる仕事で もあることに気づいた」, 「利用者がより良い生活が できるようなサービスを行うということでイメージ ががらりと変わりました」 などの記載もあり, 介護 は利用者の立場に立ち利用者の生活に目を向けた仕 コアカテゴリー 入学前 (47 件) 件 % 現在 (146 件) 件 % 仕 事 と し て の 介 護 1. 人のために働く仕事 7 14.9% 1 . 介護の見方が変わった 20 13.7% 2. 介護は生活のすべてを支援すること 7 14.9% 2. 利用者の気持ちを尊重する 16 11.0% 3. その人ができないことをしてあげる 6 12.8% 3. 自立支援を考えることが大切である 15 10.3% 4. 介護は身体的なお世話をすること 4 8.5% 4. 介護の仕事はやりがいのある仕事 7 4.8% 5. 重労働で大変な仕事 3 6.4% 5. 多職種連携が重要 7 4.8% 6. その人に合った介護をおこなう 2 4.3% 6. 利用者のことを考えて介護ができるようになりたい 7 4.8% 7. あまり良いイメージはなかった 2 4.3% 7. 介護は安全・安楽を考える 4 2.7% 8. 深く考えていなかった 2 4.3% 小合計 33 70.2% 小合計 76 52.1% 介 護 に 対 す る 興 味 ・ 関 心 1. 介護に興味がなかった 7 14.9% 1. 介護に対する考えを深めたい 12 8.2% 2. 身近な人をみて介護に興味を持った 3 6.4% 2. 介護について考える機会が増えた 7 4.8% 3. 将来に役立てたい 4 2.7% 4. 介護に興味を持つようになった 3 2.1% 小合計 10 21.3% 小合計 26 17.8% 介 護 に 関 す る 学 び 1. 入学前から介護を学んでいた 4 8.5% 1. もっと学びたい 13 8.9% 2. 沢山のことを学んだ 11 7.5% 3. 学んだことを実習で活かしたい 10 6.8% 4. 勉強しなくてはいけない 5 3.4% 5. 不安がある 5 3.4% 小合計 4 8.5% 小合計 44 30.1% 合 計 47 100.0% 合 計 146 100.0% 表 入学前と現在の介護に対する考え方 (件)

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事というとらえ方に変わっていた. 2 番目に多かったのが 「利用者の気持ちを尊重す る」 で 16 件 (11.0%) あり, 具体的には 「心のケ ア, 心に寄り添うことが身体より重要なのではない かと思うようになってきました」 といった記載があっ た. 3 番目が 「自立支援を考えることが大切である」 で 15 件 (10.3%) あった. その他には 「介護の仕 事はやりがいのある仕事」 の 7 件 (4.8%), 「多職 種連携が重要」 の 7 件 (4.8%) などが含まれてい た. 連携に関する記載は入学前にはなかった. 入学 前とは異なり, すべて肯定的な内容であり, 介護の 見方が広がり, 利用者に視点が置かれた内容が多く あった. .. 介護に対する興味・関心 「入学前」 には 「興味がなかった」 が 7 件 (14.9 %), 「身近な人をみて介護に興味を持った」 が 3 件 (6.4%) であったが, 「現在」 では 4 つのカテゴリー に増えていた. 「介護に対する考えを深めたい」 が 12 件 (8.2%), 「介護について考える機会が増えた」 が 7 件 (4.8%), 「将来に役立てたい」 が 4 件 (2.7 %), 「介護に興味を持つようになった」 が 3 件 (2.1%) あった. 「現在」 では, 「興味がない」 とい うカテゴリーはなくなり, すべて興味・関心を抱い ているという内容であった. .. 介護に関する学び 「入学前」 には 「入学前から介護を学んでいた」 が 4 件 (8.5%) あったが, 高等学校で介護を学ん だり, 初任者研修を受けていた人達であった. 「現 在」 では 5 つのカテゴリーに増えていた. 「もっと 学びたい」 が 13 件 (8.9%), 「沢山のことを学んだ」 が 11 件 (7.5%), 「学んだことを実習で活かしたい」 が 10 件 (6.8%) など合計で 44 件 (30.1%) の記 載がみられた. 学びに対して前向きで意欲的なカテゴリーが多かっ た一方で, 「不安がある」 が 5 件 (3.4%) あった. 「応用がきかない自分が介護福祉士になれるかとい う不安がある」, 「心に向きあうということは, 私に とってあまり得意なことではないので実習先でも不 安がある」 などで, 不安の内容は, 将来を見据えて の不安であった. . 介護に対する考え方が変化したきっかけ 介護に対する考え方が変化したきっかけは, のべ 193 件あった (表 2). 変化のきっかけは 9 つのコアカ テゴリーに分類され, 「生活支援技術」 が 52 件 (26.9 %) ともっとも多く, 「介護倫理・人権の尊重」 が 29 件 (15.0%), 「自立支援」 が 27 件 (14.0%), 「学び 方」 が 26 件 (13.5%), 「介護過程」 が 19 件 (9.8%) と続く. .. 授業による影響 9 つのコアカテゴリーは, 介護福祉論Ⅰで取り扱っ ている授業内容であった. ここでは, 介護福祉論Ⅰ の学習テーマでもある 「尊厳の保持」 と 「自立支援」 について詳しく見ていく. 尊厳の保持は 「介護倫理・ 人権の尊重」 として整理されており, 15 のカテゴ リーからなる (表 3). カテゴリーは多い順に 「基本的人権の尊重」 の 7 件, 「相手の気持ち」 の 5 件, 「利用者主体」 の 4 件 と, 介護する側の論理ではなく利用者主体の介護の 重要性について学生が学んでいることを示している. 「自立支援」 は 3 つのカテゴリーからなっており, 「自立支援」 が 18 件ともっとも多かった (表 4). .. 学び方 「学び方」 は授業の展開方法である 8 つのカテゴ リーからなる (表 5). 多かったものから順に 「ゲスト講師」 の 7 件, 「施設見学」 の 6 件, 「DVD」 の 6 件と続く. ゲス No コアカテゴリー 件 % 1 生活支援技術 52 26.9% 2 介護倫理・人権の尊重 29 15.0% 3 自立支援 27 14.0% 4 学び方 26 13.5% 5 介護過程 19 9.8% 6 コミュニケーション 17 8.8% 7 制度・法律 11 5.7% 8 介護学 9 4.7% 9 医学 3 1.6% 合計 193 100.0% 表 介護に対する考え方が変化したきっかけ

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ト講義は, 介護現場で働いている卒業生にゲスト講 師として 2 時間 (1 コマ) 依頼している. 授業内容 については, 「職場の概要」, 「実際に行っている介 護」, 「介護観」 の 3 点を必ず話題にしてもらってい る. 学生の反応は, 「介護のイメージが, 暗いもの から明るいものに変化した」, 「介護に対する考え方 がより具体的に, 現実的になった. 現実に向き合い たいと思っている」, 「介護は人と寄り添った支援を することが大切なことだと分かりました」, 「利用者 のことを考えて介護ができるようになりたい」 など の記載があった. 介護に対するイメージを変化させ, より具体的にする効果があると考えられる. 「施設見学」 については, 学生は入学直後に老人 福祉施設の見学へ行き, 6 月には国際福祉健康産業 展に参加している. 福祉現場を見学したり福祉用具 に触れることで, 「現場を見て, 介護に興味を持つ ことができました」 といった記述が見られた. 「DVD」 についての記述では, 「その人らしさを 尊 重 す る 介 護 の 仕 方 を 実 践 し て い る と こ ろ 」 , 「DVD で取り上げられた人の利用者への対応の仕 方について考えました. その時, 義務や正義感だけ で利用者と接しても利用者を喜ばせることはできな いと分りました」, 「心理的な面での支援は, 衝撃的 でした」, 「介護は人の心に真剣に向き合うことがで き, 一人ひとりに目と耳を向けることができると前 期で学ぶことができました」 といった記載があった.

. 考察

本学の介護学専攻においては, 介護に肯定的なイメー ジを持って入学した学生が多かったが, その一方で否定 的なイメージを持つ学生も少数いた. 横山2)は, 「介護 に対するイメージについては, 非常に肯定的に捉えてい る. 一方, 否定的イメージを持つ学生は, 1 年生に多い 傾向があり, 2 年生に進級し実習などさらに経験してい くうちに, そのようなイメージが払拭されていくのでは ないかと思われる.」 と述べている. 介護について深く 考えないまま入学した学生もいたが, 「現在」 には否定 的なイメージの記載はなく, 「重労働で大変な仕事」 か ら 「やりがいのある仕事」 に変化している. このような変化のきっかけとしては, 「学び方」 が影 響を与えた可能性がある. 記載が多かったものから順に 「ゲスト講師」, 「施設見学」, 「DVD」 があがっている. No カテゴリー 件 1 自立支援 18 2 残存機能 6 3 自己決定 3 合計 27 表 自立支援 No カテゴリー 件 1 ゲスト講師 7 2 施設見学 6 3 DVD 6 4 学生間の交流 3 5 事例 1 6 片麻痺 1 7 記録 1 8 グループワーク 1 合計 26 表 学び方 No カテゴリー 件 1 基本的人権の尊重 7 2 相手の気持ち 5 3 利用者主体 4 4 その人らしい 2 5 経済状況 1 6 生活全体を支援 1 7 幸せな生活 1 8 より良い生活 1 9 個別ケア 1 10 価値観 1 11 命 1 12 ターミナル 1 13 死生観 1 14 ノーマライゼーション 1 15 介護倫理 1 合計 29 表 介護倫理・人権の尊重

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卒業生でもあるゲスト講師からは, どのような考えを持っ てケアを実践しているのか直接聞くことができ, 介護に 対して興味・関心を高めることができる. また, 精神的 ケアの学習等は口頭の説明だけでは十分に伝えきれない 難しさがある. そこで 「DVD」 などの視聴覚教材を活 用することで精神的ケアの実際や利用者との関わり方を 学ぶことができる. 学生の反応は, 「心理的な面での支 援は衝撃的だった」 と記載しているように, 介護者の関 わり方で利用者の表情や行動が変化する場面が映し出さ れ, 信頼関係やコミュニケーションの重要性を映像から 学び, 仕事の奥深さを感じ取ったと考えられる. 「施設 見学」 については, 学生は入学直後に老人福祉施設, 6 月に国際福祉健康産業展を見学・体験する. このような 校外学習は, 「現場を見て, 介護に興味を持つことがで きました」 との記載がみられるように, 介護のイメージ をより具体的にする効果がある. 学習の初期の段階に, 介護の実際場面を見学し興味が持てれば, 積極的に授業 に取り組むことができると考える. 次に, 介護に対する考えが変化したきっかけから, 介 護福祉論Ⅰの授業内容について考えてみたい. 表 2 の 9 つのコアカテゴリーは, 介護福祉論Ⅰの学習内容として 網羅できる内容であった. 他の科目においても繰り返し 学習することが知識の定着を促すと考える. 厚生労働 省2)が示す介護福祉士養成課程のカリキュラムにおける 介護教育のねらいは, 「 尊厳の保持 自立支援 とい う新しい介護の考え方を理解するとともに, 介護を必 要とする人 を, 生活の観点から捉えるための学習. ま た, 介護における安全やチームケア等について理解する ための学習とする.」 である. 介護福祉論Ⅰで, 「基本的 人権の尊重」 や 「自立支援」 の考え方を学び, 生活支援 技術演習Ⅰでは, ロールプレイで自己決定や自立を促す 声掛けや支援方法を学んでいる. 理論と実践の統合によ り知識が定着し考え方に変化が見られたと考える. 興味・関心の高まりは, 学習意欲の向上につながり, 「沢山のことを学んだ」, 「もっと学びたい」, 「学んだこ とを実習で活かしたい」 などと学習意欲の向上を示して いた. しかし, 学ぶことで不安が生じる場合もある. 「カンファレンスなど人前で話すことが苦手」, 「応用力 が効かない自分が介護福祉士になれるのか不安が増えた」, 「理論を学習していくうちに不安になった」, 「心に向き 合うということが得意ではないので実習先で不安がある」 などが記載されていた. これらは 1 年後期から始まる介 護実習への不安である. 学生の記載においては, 不安の 原因となっているものが表現できている. 言い換えれば 学ぶ意欲の裏返しとも言えるため, 不安を取り除くため のこまめな指導が必要と考える. 学生の興味・関心を高 めるためには, 学習手段と時期を選ぶことが重要だと考 える. 今回の調査で本学の介護学専攻では, 介護の理念, 本 質を学んだ結果, 介護に対する考え方が変化しているこ とが分かった. 本質の理解から学習意欲の向上, 介護者 としてあるべき基本的姿勢の理解につながっている. こ れらの知識を実践につなげる演習に係る多くのキーワー ドが抽出されていることから, 知識の定着に良い効果を もたらしていると思われる. 1 年後期から介護実習が始 まるが, 実習に向けての意識をも高めることができたと 考える. 入学直後から始まる授業の内容や組み立て方, 授業方法など系統的に学び考える力を養うように授業編 成することが学生の意識変化に影響することが示唆され たと思われる.

. おわりに

「介護の考え方」 は, 介護観に通じるもので介護の質 に影響する重要な考え方である. 介護観形成に実習の役 割が大きいことはすでに多くの報告がされているが, 今 回は, 入学前と 1 年前期終了時での考え方の変化を調べ た. 入学初期は学生にとって新鮮な気持ちで授業に臨む時 期であり, 介護についての理解を育む上でも重要な時期 である. 様々な授業から影響を受け, 学生の思考や考え 方に変化を及ぼしている. 授業編成や授業内容など常に フィードバックしさらに教育効果を高めていかなければ ならないと考える. 本学の介護実習の目的は, 「職業倫理の視点を持ち, 介護に必要な知識, 技術を統合し, 利用者の自立に向け た基本的な介護実践力を養い, 自己の介護観を形成する」 ことであり, 介護観の育成は重要な教育課題になってい る. 横山3)は, 「学生の介護観は, 実習を含めた学習を 通して基礎的な部分が形成されつつあるといえよう.」 と述べている. 今回の調査では, 授業により介護観形成 に必要な基礎的な考え方が形成されつつあることが分かっ た. 今後, 実習でさらに介護の考えを深められることが期 待されるが, そのためにも実習指導者との連携を密に行

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い, きめ細やかな指導をしていかなければならないと考 える. 謝辞 本研究にご協力頂いた学生の皆様に感謝いたします. 本研究は JSPS 科研費 JP16K04717 の助成を受けたも のです. 記して深謝いたします. なお, 本研究の一部は, 第 25 回日本介護福祉学会大会において発表したもので す.

引用文献

1 ) 石田京子・小田史・田中真佐恵・鴻上圭太・上山小 百合・山田義秀:短期大学における介護学生の卒業 時の介護観の検討−授業・実習との関連と新カリキュ ラムへの課題−. 大阪健康福祉短期大学紀要, 10, pp. 3-14 (2011) 2 ) 厚生労働省:社会福祉士及び介護福祉士法等の一部 を改正する法律 (平成 19 年法律第 125 号) 平成 19 年 12 月 5 日 3 ) 横山正博・三原博光:介護福祉士養成施設の学生に 関する意識調査, 川崎医療福祉学会誌, 8 (1), pp. 31-37 (1998)

参考文献

1 ) 吉田清子・鈴木聖子・阿部明子・柏葉英美:介護観 の分析からみた介護実習の効果評価研究, 岩手県立 大学社会福祉学部紀要, 17, pp. 43-49 (2015)

参照

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