図形マッチング課題における提示時間の効果 : 認知的熟慮性-衝動性との関連性
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(2) . 図形マ ッ チン グ課題 にお ける提示時間の効果 :. 認知的熟慮性−衝動性との関連性. 臼. 1. 問. 井. 博. 題. l i t 認知的熟慮性−衝動性 (r mpu sMt oi c ene y) とは, 反応の不確定性の高い課題事態, 即ち複 数の競合的な反応が同時的に存在していて, しかもそのいずれが最適であるのかを即断しがたいよ うな認知的課題に対する個 人の特徴的な行動のしかたにかかわる概念である, このような事態に出 会 う と, 大 ざ っ ぱ に い っ て 次 の よ う な 2 つ の グル ー プ の 人々 が大 勢 を 占め る だ ろ う. 第 1 の グ ル ー. プには, 判断に要する時間が少々かかっても, できる だけ慎重に誤りを避けようとする人たちが含 まれる, これに対照的に, 第2の グルー プは, 即断即決を優先させ, 誤ったらその都度やり直せば i t よ い と 考 え る 人々 で あ る, こ こ で 前 者 の タイ プの 人 た ち を 熟 慮 型 (Renec ves)とよ び, 後者の人々 i i l t i を 衝 動 型 (lmpu l t ves e) の決定 s ves) と よ ぶ. し か し, 実 際 に こ う し た 認 知 ス タ イ ル (cogn y l i i は 図 1 に 掲 げる よ う な 一 種 の 絵 の 見 本 合 わ せ 課 題 ( MFFT, Ma t arFi ch ngFami gures Test) にお. ける個人の初発反応時間と誤数の2つの測度に即して行なわれる, つまり, 最初に答えるまでの潜 時が長いが, 誤数が少ない子どもは熟慮型, 反対に潜時は短いが, 誤数が多い子どもは衝動型とし て 定 義 さ れ る の で ある, こ の 問 題 に 対 す る 研 究 の 歴 史 は 浅 い が, デー タ の 蓄 積 は か な り の 量 に 達 し て い る ( Messer , 1976 ; 臼 井 ・ 佐 藤, 1976; 臼 井, 1979; 臼 井, 1982a) , しかし, その大半は相関的な研究であり,. データの蓄積の多い割には認知的熟慮性−衝動性の本質にかかわる心理的過程の解明に迫るものは 少ないのが現実である, たとえば, 最近の認知スタイ ルの修正についての研究から, 熟慮型や衝動 型といっても全く固定的, 不変的なものではなく, 外的な課題要請に応じてある程度まで柔軟に反 0) 応しうることが分ってきた (宮川, 198 . つまり, 熟慮的な子どもとはいえ, ある程度ま では衝 動的な, 換言すれ ば正確さをある程度まで犠牲にしても早く反応することができるし, 逆に衝動的 な子どもでも正確な反応を要求されれ ば誤りを低減させることができるのである, また, このよう な柔軟性は子どもの発達水準による影響を強く受けていることが知られているが, それぞれの認知 ス タ イ ル の 子 ど も た ち の 柔 軟 性 の 大 き さ, あ る い は 反 応 の レ パ ー トリ ー の 幅 に 関 し て ち が い が あ る か ど う か につ い て はほ と ん ど 手 が つ け ら れ て い な い 状 態 で あ る. 加 え て 柔 軟 性 に つ い て 扱 っ た 研 究. では, 「はやさ」 と 「正確さ」 を強調 した教示において反応の変化を調 べているが (山崎, 1975, 宮川, 19 83) , このような手続きでは被験者である子 どもの教示の解釈におけるちがいを統制する ことができないという欠点をもつ, つまり, 「はやく」 とか 「正確に」 とか大人から言われても, どの 程度まで 「はやく」(「正確に」) するのかは全く子どもの解釈に依存しているのである. たと えば, 「少し時間がかかってしまいま した,」 という記述に対して, 実際にどれほどの時間がかかっ 47.
(3) . 臼. 井. 博. たかを推測させてみたところ,熟慮−衝動の2つの認知スタイ ルの グルー プ間に有意差が認められ, 熟慮型の方がより長い時間を考えていたのであっ た (臼井, 1985) . そこで, 反応の柔軟性につい て検討するためには,第1に被験者の主観に依存する教示による方法は避けることが必要であろう. さて, このような問題意識に立 っ て, 本研究においては実験者の側で MFF テス トの提示時間を 予め長, 短の2種類を設定した強制的な選択反対事態における熟慮型と衝動型の子どもの反応の変 化に注目することにより, 先の柔軟性の概念についての検討を行なおうとするもの である. たとえ ば, 熟慮的な子どもが衝動的な子どもの平均的な初発反応時間 で答えることを強制された時には, 反応の正確さにおいて衝動的な子どもと異るであろうか. また, 衝動的な子どもに熟慮的な子ども の平均的な反応時間で答えるように強制された時にはいかがであろうか. また, 情報処理のスピー ドや自分の好みとする処理の速度において 2 つ の 認 知 ス タイ ル の グ ル ー プの 間 で ち が い があ る の だ ろ う か,. 次に, それぞれの結果についての予測を記す. (A) 反応の柔軟性に関して ( i ) 衝動型と同じ短時間の提示条件 ①もしも情報処理の速度において衝動型の子どもの方が勝っているならば, 遂行量 (正答数) は,. 衝動型>熟慮型 ②もしも熟慮型の方が柔軟性が大きくて, 高速の処理についてのオ プショ ンもより多く・ もって い る の で あ れ ば,. 熟慮型>衝動型 ③もしも基本的な情報処理の能力 (速度) には差がなくて, 衝動型の子どもでは不確定さをな くすのに十分な情報を収集しないままに反応してしまう (見切り発車) とすれば, 熟慮型の 子 どももこの短い時間内 では当然見切り発車をせ ざるをえな いので, 熟慮型キ衝動型 2 ( ) , 熟慮型と同じ長時間の提示条件 l ①衝動型の子どもに反応を遅延する訓練を行っ た研究では (Kag aneta . ,1966) , 反応の正確 さに関してほとんど効果がなく, また, 引き延 ばされた時間では注意の維持や集中で衝動型 の 子 ど も は 劣 る こ と が あ る の で (Au l tetaL,1972) ,. 熟慮型>衝動型 ②もしも衝動型も熟慮型と類似の方略をオ プショ ンとしてもっ ていて, それを必要に応じて使 用 す る こ と が で き る な ら ば,. 熟慮型キ衝動型. (B) 好みの処理速度に関して 自然な条件の下では, 熟慮性−衝動性の認知スタイ ルはかなりの安定性をもつことが知られ て い る の で (Brodz i nsky & Messer ; 臼 井, 1982b) , そ れ ぞ れ の ス タイ ルの子 ど もた ,1981 ち は 好 み と す る 反 応 の テ ン ポ に お い て 安 定 し た も の を も っ て い る こ と が考 え ら れ る, ま た, 時 間 評 価 に お い て も ち が い が あ る ら し い の で ( Wa l ker ; 臼 井, 1985) , 早 い提示 時間 ,1982 で あ っ て も, 衝 動 型 の 子 ど も は さ ほ ど 早 い く は 感 じる 者 が少 な い の で は な か ろ う か.. 48.
(4) . 図形マッチング課題における提示時間の効果 方. 法. 1, 被験者 本学附属札幌小学校の2年 生のクラスの子どもたち78名である, 内訳は1組が37名 (男子17 ,女 名) 2 2 1 である 2組が 4 1 名 ( 男子 0 名 女子 子20名) . , , 2, 手続き 1 ( ) MFFテス ト l i i h i 上記の被 験児童全員 に対して, MFF (Ma t arF ngFami c gures) テス トを実施した, このテ る. テ ス ト は 学 校 内 の i l の も の で あ り, 項 目 数 は12で あ● i ス ト は, Kagan na g . に よ る 児 童 用 の or ,J. 特別教室で, 放課後に行なわれた,. 図I. MFFテス トの項目例. ( 2 ) 時間制限つき MFFテス ト (TL− MFF) imeLimi tMFF) 上記の標準的な MFF テス トを行ってから, 約4か月後に時間制限つき MFF (T プ テス トを実施した. これは1種の集団検査であって, MFFテス トの1項目 ごとにスライ ド ロジェ i t) の中から見本と同じものを各自の解答 クターでスクリーンに 映射し, 6つの比較刺激 (v r n a a くれんしゆう〉. 1かいめ. れんしゅ う1 トラック. れんしゅ う2 ア ヒ ル. く. 図2 TL−MFFの解答用紙 49.
(5) . 臼 井. 博. 用 紙 に 記 入 して も らう も の で あ る, 解 答 の し か た は, 図 2 の 6 つ の マ ス の 中 か ら, 自 分 で 見 本 と 同 じ も の が あ っ た と 思 わ れ る マ ス に ○ を 記 入 す る も の で あ る.. ここでの手続きを具体的に述べると以下の通りである, 1クラスの子ども全員を特別教室に集め て, 前 方 の ス ク リ ー ン が よく 見 え る よ う に 机 と イ ス を 移 動 して も ら っ た, そ し て, テ ス ト と は 無 関 係 の 風 景 に つ い て の ス ライ ドを 2, 3 枚 ス ク リ ー ン に 写 し, 視 力 の 弱 い 者 は 前 方 に移 っ た り, 見 え. にくい角度にいた者の席を移動するなどの座席の調整を行った,その後に,「これから,この前にやっ たと同じ 『絵さがしゲーム』 をします」 といって, 練習1の項目を映写した. この MFFテス トは, 標準的なものと同 じく, 上の中央に見本が置か れ, その下に3個ずつ2列に比較刺激が並べられて ある が (図1参照) 色で枠組みし , 見本を ピンクで枠囲みし, 比較刺激を解答用紙に対応させて緑・ てある点が標準的な MFFテス トと異なるものである. さらに, 見本と比較刺激を分けるために, 画面の水平に黒い太い線が描かれている. 6つの比較刺激のそれぞれの位置と解答用紙のマスとの 対応づけを, スクリーンに写っ た練習1の項目を例にとっ て, 解答欄を板書しながら具体的に説明 した. そして, 実際に答えを記入してもらっ た, 全員が記入したのを確認して, 同じ項目をもう1 , 度映写し, 『2かいめ』 と書いてある解答欄に記入してもらっ た. もう1回練習を行い, これらの 手続きを確認したうえで, スクリーンから絵が消えた瞬間に答えを記入すること, また, 答えがど れ か 分 ら な く て も 必 ず 6 つ の マ ス の ど れ か に ○ 印 を つ ける こ と を 強 調 し た.. ところで, 1組と2組では映写時間を変えた. つまり, 1組はさきの標準的 MFF テス トの衝動 型の1項目あたりの初発反応時間に近い8秒間だけ, 2組では熟慮型のそれに近い18秒間のスク リーン上での提示を 行っ た (実際の MFF テス トでの衝動型の平均初発 RT は, 5 .74秒, また熟慮 型のそれは18 3秒) .3 . 換言すれば, 1組の子どもたちは全員が, 衝動型の子どものテンポでの反応 を強制され, 2組の子どもは熟慮型の子どものテンポでの反応を強制されたのである. テストの内 容は提示時間が異なるだけで1, 2組とも全く同一のものである, ただし, 子 どもの解答に対して 正誤のフィ ー ドバックは一切行なわなかっ た. 項目数は, 練習の2項目とテス ト用の22項目の合計 24で あ る, こ れ ら の 項 目 に つ い て 2 度 ず つ 提 示 し, 終 了 した 後 に, 提 示 時 間 の 長 さ につ い て,「短 か っ. た」 「ち ょうどよか った」 「長かっ た」 の3件法による判断を求めた.. 結. 果. 1. MFFテストの結果と認知スタイルの分類 MFF テス トの初発反応時間と誤数の2つの測度についての平均値と標準偏差 (SD) は表1に示 す通りである, 1組と2組を比較すると, 1組の方が反応時間が長くて誤数が少なく, つまりより 熟慮的傾向が大きいように見え・ るが, 双方の測度とも学級の間で有意な差には達しなかった. 被験 者全員の初発反応時間と誤数の中央値はそれぞれ122 ,50と7 ,83であったので, この2つの中央値の 2重 折半 法 により, 初発反応 時間 (RT) がそ れより大 で, 誤数 が少ない子どもたちを熟慮型 (Renec i i lmpu l t s)(N =25) ve s ve ,これとは対照的に初発 RT が短くて,誤数が多い者を衝動型( (N = 27) として分類した, この2つの認知スタイ ルの男女 ごとの内訳と初発 RTと誤数の結果 (平均値とSD) を表2に示す, なお, 全員についての初発 RT と誤数とのPe r a s on の相関係数は −.59 (p <,001) で あ っ た,. 50.
(6) . 図形マッチング課題における提示時間の効果 MFFテス トの結果. 表I. 表2. 認知スタイ ルの分類とMFFテス トの結果. 男 女 男 女 155, 95. 1組. 10 1, 42 ( ). 二3 7 ) (N=. 126, 46. 2組. (N=41 ). 5, 1 6 (7 ). 7, 70. 4, 74 ( ). 5 ) 9 8 4 4 熟慮型(N=2. 誤 数. 95 2, 08 22 0 9( ) 4 ) ,00( ,0 .47 68 3, 21 24 ) ) 12 ,93( .24 ,74(. ニ27 衝動 型(Nニ ). 8, 85. 初発反応時間. 4, 22 ( ). 140. 45 8, 31 4, 48 ) (89,24) (. 全員 8 ) (N;7. 2, TL − MFF の正 答 数 : 2 つ の 認知 ス タイ ルの 比 較 tmode と S1 ow mode ① 熟慮型と衝動型の遂行量の比較:Fa s. の子どもたちは全員が, 衝動型の子どもの平均初発 RT に近い8秒間の刺激提示 という条件 l組, (Fas d tmo e) で反応するように強制された. 結果は表3に示す通りであるが, 両群間に全く差が 1 6. 表3. 各 認知スタイ ルの正 答数の比較 熟 慮 型. Fast mode. S1 ow mode. 衝 動 型. 初発反応. 2, 18( 96 0, ) 2 2. 7 10, 5( 7 ) 1. 第2反応. 2 1 4 5( 3, ) 2, 11. 31( 75 ) 11,. N. 16. 11. 初発反応. 2. 14, 2 5( 77 ). 96 12, 69(2, ). 第2反応. 2. 56 15. 50( ). 36 13, 63( 3. ). N. 8. 16. 1 4. 1 3. S 1 ow p 熟慮型/ ′ / / ′ ノ ′ ′ ′ ′ ′. ず . S 1 ow ′衝動型/. 衝動型/Fa t s 熟慮型/Fa t s. 初発反応. 第2反応. 図3 初発反応から第2反応へ の正答数の変化 なかっ た, このことは, 予測の3番目 (基本的な情報処理の速度に関して熟慮型と衝動型の間には ちがいはない) に対して有利な証拠となりうるだろう, 換言すれば, 衝動型の子どもの好む反応時 間内では, 不確定さを十分に低減するだけの情報を収集したり, 判断することは困難であるが, こ のことは熟慮型の子どもにおいても同様だということである. これに対して, 熟慮型の平均初発 RT に近い刺激提示時間 (S1 ow mode) の 2 組 に つ い て 2つ の 認知スタイルの遂行量を比較してみると, 統計的に有意な差ではないがいくぶんとも熟慮型の子ど もの方がまさ っているように見える. これは, 差の方向性に着目すると当初の予測を支持する結果 である, つまり, 十分な時間が与えられる条件になっ ても, それは衝動型の子どもの課題の対処の 51.
(7) . . 臼. 井. 博. しかたを熟慮型のしかたに完全に変えられる ものではない. 次に, 熟慮型と衝動型の子どもが外的な課題要請のちがいに対してどの程度の反応の レパー ト リーの幅を示すか, あるい は反応の 柔軟性を示すのかにつ いて検討した. 具体的には, Fa tと s S 1 ow と い う 2つの提示時間の条件に対応 して, それぞれの認知スタイル内において遂行量にどの. ような変化がみられるのかを調べた (表4, 図4) . ︲. 表4 各認知スタイル群内での正答数の提示時間のちが いによる差 S1 ow mode. (1組). (2組) 14, 25(2. 77 ) 3,34** N〒 8. 10. 25(2, 77) N=16. 2, 18( 96 ) 尾 衝動型(N 切) 10,. 4 熟慮型(N=2 ). 葛 に. . ) 熟慮型(N=24. Fast mode. 2. 12 96) ,69(. N=11. N=16. 11, 31(2. 75 ). 56 15. 50(2. ). N=16 21 45(3. 11. ) ÷ N− 11. 13. 3( 3, 3 6 6 ) N=16. *:p<.05 **:p<.01 ) ( ,. X E. F S. S、 。 含も T W T W 初発反応 第2反応 熟慮型. XE s o. F. S. 含も. T W T W 第2反応 初発反応 衝動型. 図4 刺激提示時間の影響 Fast mode に 比 べ る と S 1 ow mode の 方 が遂 行 量 が多 い の は認 知 ス タ イ ル の ち が い を 越 え て 共 通 し. て い る がゞ そ の 量 的 変 化 に 注 目 す る と, 明 ら か に 熟 慮 型 の 方 が 大 き い, Fas tmode で は 両 群 の 間 に 全 く 差 がな い の で, S 1 d ow mo e になると熟慮型の子どもの遂行量の増加が特に大きいことが分る,. たとえば,熟慮型の伸びが4 ,0(初発)と4 .19(第2反応)に対して衝動型の伸びは約半分である(2 ,51 と2 . この結果は, 外的な課題要請に対して熟慮型も衝動型もかなりの反応の柔軟性をもって .18) いるが, その程度と方向性については若干のちがいがあることを示唆するものである. ②. 初発反応と第2反応の比較. す で に 述 べ た よ う に, 子 ど も の TL − MFF テ ス トの 反 応 に 対 し て は 正 誤 の フ ィ ー ドバ ッ ク を 行. なわなか っ た, したがって, 初発反応ではほとんど自信がないままにどれかの比較刺激 (v i t) n r a a を選んだが, 2度目の提示でそれを確認することもあるだろう し, 自分の誤りに気づいて訂正する ことも考えられる. こう考えると, 正誤のフィ ー ドバック情報を受けなくても, 第2次反応の方が 正答数が多いと考えられよう, 結果は, 表5 に 示 す が, ほ ぼこ の 予 想 を 支 持 し て い る. し か し, 衝 動 型 の 子 ど も に 関 して い え ば, Fas l t とs ow の 2つ の mode と も 遂 行 量 の 伸 び は 有 意 な 差 に は 達 し て い な い. こ れ は, 伸 び の 量 につ い て み る と 両 群 の 間 に ち が い が な い の に, SD に お い て 衝 動 型 の. 方がやや大きいことにもよるもの であろう. 52.
(8) . 図形マッチング課題における提示時間の効果. 表5 初発反応から第2反応への正答数の変化 初発反応の正答数 第2反応の正答数 t−値 熟慮型(N;16 ). 2 1 0, 5( 2. 77 ). 11. 31( 2, 75 ). * 3. 06*. 1 衝動型(N=1 ). 1 0. 1 8( 2, 96 ). 2 11. 4 5( 3, 1 ). 1. 2( 9 ) p〈,08. 全 員(N=3 6 ). 1 3 3( 2, 0. 83 ). 11, 53( 2. 97 ). 3, 84***. 熟慮型(N=8). 14. 25( 2, 77 ). 15, 50( 2. 56 ). 2, 76*. ) 衝動型(N=16. 12. 6 2, 9( 96 ). 13. 63( 3.36 ). 1, 75. 0 全 員(Nコ4 ). 1 3, 3 2. 89 0( ). 14. 35( 2. 9 6 ). ** 3, 61*. *:p< 05 **:pく 01 ”*:pく,伽1) ( , , , ,. ③ 刺激提示時間の長さについての評価 刺激提示時間の長さについての3件法による評価を, 3 (長かった) , 2 (ちょうどよか っ た) , 1 (短かかっ た) というように得点化した, そして, 認知スタイル (熟慮型と衝動型) ×提示時間 1 (Fa tとS ow) ×性 (男, 女) の3要因の分散分析を行なってみた. その結果, 提示時間の主効 s 06) 果 の み 有 意 で あ っ た (F =8 .82, ガ = 1, p <.0 , また, いずれの交互作用効 果も有意では 1 なかった, つまり 男の子も女の子も, 熟慮型の子どもも衝動型の子どもも一様に, S ow mode よ , り も Fast mode に 対 し て よ り 短 い と 評 価 し て い た (1 組 : Fast mode で は1.34 (0.59), 2 組 :. S1 ow mode で は1 , し か し, 2 つ の 認 知 ス タ イ ル の グ ル ー プ ごと に 比 較 ,82 (0 .51) , 平 均 値 と SD). してみると, 両群間に興昧深いちがい があることを見ることができる (表6) , たとえば, 評価点 表6. 各認知スタイ ルの群内での刺激提示 時間 のちがい に対する評価の差 Fast mode. S1 ow mode. (1組). (2組). 1 0, 7 3 ) ,44(. 5( 46 1 0, ) .7. N=16. 48 1 0( 0. ) .3 N=10. N;8. 1 0, 4 4 ) ,94( N=16. 1 tと S ow の mode の 間 で 有 意 な 差 と な っ て い の 幅 に つ い て み る と, 衝 動 型 の 方 が や や 大 き く, Fas ど も に 比 べ る と 衝 動 型 の 子 ど も の 方 が, 型 の は 熟 慮 子 こ れ 2 ) る (云=3 , .43, ガ =24, p <,00 ,. 刺激の提示時間 のちがいに対して より敏感に感 じとっ ていることを示すひとつの証拠 となるだろ . 考察と今後の課題 ( 1 ) 反応の柔軟性と 処理速度 本研究 は, MFFテス トの各項目の提示時間を .実験者の方で統制した場合に, 熟慮的な子どもと 衝動的な子 どもとでは, そうした課題要請に対する柔軟性においてどのように異なるのかについて なものを繰り返して述べると, 衝動的な子 どもの 検討しようとしたものである. ここでの結果の主. 53.
(9) . 臼 井. 博. 初発反応時間に近いFa tmode に お い て は 2 つ の 認 知 ス タイ ル の 間 に 全 く 差 異 がな か っ た が, 熟 慮 s 的な子どもの反応に即 したS 1 owmode では有意差には達しないがわずかながら熟慮的な 子どもの遂 行 が ま さ っ て い た. こ こ で, Fas tmode で 認 知 ス タ イ ル の グル ー プの 間 で ち が い がな か っ た と いう. ことは, 情報を収集したり, 判断するなどの情報処理の速度について基本的なところでは両群の間 で差がないことを示唆するもの ではなかろうか, 少なくとも, 熟慮型の子どもも衝動型の子,どもの 平均的な初発反応時間内に解答しなけれ ばな らない場合には, 反応の正確さの水準では衝動型の子 どもと全く対等になるといえよう, したがって, 先に述べた予測② (熟慮型の子 どもは,「速さ」「正 確さ」 いずれの要請に対してもより柔軟なので, Fa tmode でも衝動型よりも成績がよいだろう) s もここでは支持されない. 実際に, 認知スタイ ル (熟慮型と衝動型) ×提示モー ド(Fa 1 tとS s ow) ×性 (男と女) の3要因の分散分析では, 提示モー ドの主効果のみが有意であって, 相互作用効果 を含め他のいずれの主効果も有意 でなかっ た, このことは, 十分とまではいかないが衝動的な子ど もも外的な要請に対してかなりの反応の柔軟性を示すことを物語るものである, ただし, 本研究の 対象児の反応の柔軟性は他の研究に比べると やや大きい可能性がある, たとえば, 宮川 (1983) は, 熟慮的な子どもと衝動的な子どもを 「標準」 「正確さ強調」 「ス ピー ド強調」 の3つの教示条他に分 している. 被験者は1年生 けて MFF テス トを再び行なっ て初発 RT と誤数についての変化を比較. と4年生であっ たが, そのいずれの年齢 グルー プと もスタイ ルと教示の2つの主効果が有意であっ た. し か し, い ず れ の 条 件 に お い て も MFF の 2 つ の 測 度 に 関 し て ス タ イ ル の 差 は確 と し て 動 か な か っ た の で あ る. こ こ で 2 つ の 研 究 結 果 に つ い て 比 較 す る こ と は 慎 重 で な け れ ばな ら な い が, ひ と. つの変数と して子どもの知的水準をあげてよいのではないかと思う. つまり, 本研究の対象児は2 年生である 、が, 知能の偏差値の平均 がかなり高い集団である点が特異である. この要因が反応の柔 軟性に大きく寄与している可能性が大きい. し か し, S1 de になると熟慮型の優位がめだってくるのはなぜだろうか, この結果は, 初期 ow mo の衝動的なテンポの修正の研究で反応時間を強制的に遅延させることは反応の正確さにほとんど効 l 果をもたないとする結果を想起させるものである (Kag a neta , . 衝動型の子どもは, 熟慮 ,1966) 型の子どもと同 じ時間が与えられてもそこで展開される視覚的走査の方略は熟慮的なものとなるこ. と は少な いのである (臼井・佐藤, 1976) l tet . ま た, 日常的行動について調 べた 研究から (Au l 衝動的な子どもの方が注意の維持力に欠け 1 9 7 2 ) 中心−偶然学習の課題 り に ではよ 発達的 未 a, , , 熟 な 学 習 の し か た を し て い た ( We i i ner & Berzonsk ,1975) な ど の 結 果 を 考 慮 す る と, 長 い 時 間 の i i b l 、た め に 衝 動 的 な 子 ど も に と っ て か え っ て d t t e に な り や す い の か も し れ な い. rac s. ・ 提示時間に・ ( 2 ) ついての主観的評価 当初は衝動型の子どもは, 自分たちの平均的な反応時間に近 いf tmode で は 「ち.よ う ど い い」 a s 長 さ と 感 じ, s l ow mode で は 「長 す ぎる」 と 感 じる の で はな い か と 考 え た. し か し実 際 に は, 衝 動 型 の70% はf t mode で は 「短 い」 と 考 え て い る. こ の 子 ど も た ち は個 別 の テ ス トで は TL − MFF as. テス トより もむしろ短い反応時間 で答 えることが多いのに, ここで 「短い」{はやすぎる) と判断 し た の は ど う し て だ ろ う か. ひと つ の 原 因 と し て 考 え ら れ る の は, 集 団 で 実 施 す る た め に ス ク リ ー. ンに刺激が映される度にざわめきが生 じるなどの妨害的要素が多いことである. 衝動型の子どもは こ れ に よ っ て 注 意 の 集 中 を 損 い や す い の で, 候 補 と な る va i tを見つけようとした時にはすでに r an ス ク リ ー ン か ら消 え て い た と いう こ と が多 か っ た の で はな い だ ろ う か. ま た, 2 つ の 提 示 mode に対する評価のちがいが 熟慮型に比べると衝動型の方が大きかった , . l de で ow mo s. 54. 「長かっ た」 と判断した子どもは衝動型では16名のうちで1名 にすぎなかっ たが (熟.
(10) . 図形マッチング課題における提示時間の効果. 慮型では0) , 提示時間の長短に対して衝動型の方がより敏感に感じていたのではなかろうか, ( 3 ) 実験の手続き上の問題 本実験について 1, 2の問題について指摘し, 今後の課題としたい. 第1に1つの学級を単位に した集団実験であっ たことがあげられる, おおよそ視力は統制したが, 全く十分なものではなかっ た, もっと少人数で行ない, かつ子どもの視力について統制しなくてはならないだろう, 第2 に, 刺激の提示時間は外的に統制 したが, 解答するまでの時間を統制 しなかっ たことがあ げられる, MFFテス トのような見本と比較刺激の図形のマッ チン グ課題 で, 見本を隠してその記憶に基いて 比較刺激の中から見本と同一のものを捜す潜時を調 べたところ, やはり熟慮型の方が衝動型よりも ず っ と 長 か っ た (Kagan eta l . . この傾向は MFF テス トでの再認記憶の実験でも確かめら ,1964). れている (藤田, 大村, 花沢, 1984) . したがって, 解答までの時間についても厳密に統制する必 要がある. また, 第3に反応選択における自信ないしは主観的な確信度の問題 があげられよう, 提 示時間で 「ちょうどよい」 と感じていても, 自分の判断に確信がもてぬことがあるのかもしれない, 幼児の研究で, MFF テス ト に お い て 正 誤 の フ ィ ー ドバ ッ ク が 行 な わ れ て い な い 場 合 に は 衝 動 型 の 子どもの方 が判断に際してより自信のある行動を示した (臼井, 1983) ことを考えると, このよう な場面で確信度において認知スタイ ルの間のどのようなちがいがあるのかは興味深い研究主題とな る はず で あ る.. 引用文献 i l i i i i fr i l l l lscann t t t t t t Au l ta t ‐ − r eso enec s ve as accur a e ow‐ naccura ech sua ngs a eg ve ,1972Vi ,impu ,f ,ands , R,L.e i l l i dDev he ma i t drenont t es rf ch ngf ami a gurest . . ,Ch ,43 ,1412 − 1417. 藤田主一, 大村政男, 花沢成一 1984 熟慮的−衝動的な幼児の課題解決様式 表論文集, 475 .. 日本心理学会第48回大会発. i l l f i i hech d l Kagan t ngi orma onprocess nt . . ,Psycho , Monogr ,19641n .eta ,578 ,1 − 37 ,J h d i f i b i l i f i l i . & w ー t Kagan P L h L 1 9 6 6T t u e m c o a n m s v e e m o a J a r s o n e c e y p po ,j ,educ ,psycho , , り 57 ,359 1 , , ,リ 365 , I i l L,83 f l i l i i ty:Ar Messer t ew.Psycho ec on −impu s v ev ,Bu ,1026 − 1052 ,S,B,1976Re i impu l i i l b i l i f f l t D M 1 9 1 T h t tyi i 8 t t & d k B r n youngado escen s S B r e ‐ e a rs a o e e c on‐ s v Messer e r o z n s y y y , , . , , . , 8 5 0 4 8 − h l 1 7 8 Dev P s c o , . y . , ,. 1 宮川充司 19 80 認知的衝動性の児童における反対の柔軟性, 心理学研究, 5 . , 164−167 宮川充司 19 83 熟慮的・衝動的な児童の非対等性, 日本心理学会第47回大会発表論文集, 520 . i lmpu l i i t 970年以 降の研究を中心にして−− 臼井博, 佐 藤 公 治 1976 最 近 の Re日ect on ‐ s v y 研究の動向−−1 札幌大谷短期大学紀要, 9, 27一74. 臼井 博 1979 認知型・日本児童研究所編 児童心理学の進歩 1979年版, 金子書房 臼井 博 19 81 幼児の課題対処行動における認知的熟慮性−衝動性の効果, 教育心理学研究, 29 , , 58一62 82a誤知型, 詫摩武俊・飯島婦佐子 (編) 発達心理学の展開, 新曜社 臼井 博 19 臼井 博 1982b 認知的熟慮性−衝動性に関する縦断的分析. 日本教育心理学会第24回総会発表論文集, 422−423 .. 臼井 博 1985 認知的熟慮性−衝動性に対する児童の価値志向性:予備的探索. 北海道教育大学紀要 (第 一部 C), 36, 37‐52, i imees ima i l l i fcogn i i l ker t t t Wa s onbyyoungboys cep sono vet empoandt ,Per , Mot ,Sk ,54 , .1982Compar , N. W 715 − 722 , i l i i l i l i dren l l t t t t t i We oni nref opmentofse ec vea en ec veandimpu s vech ner . , & Berzonsky , M,D.1975Deve ,A,S 一 5 4 9 Ch i l dDev 4 6 5 4 5 . . , , 55.
(11) . 臼 井 山崎. 博. 晃 1975 認知スタイ ルに影響を及ぼす外的要因. 日本心理学会第39回大会発表論文集, 336 ,. 〔付記〕 1. 本研究の1部は, 下記の文部省科学研究費による補助を受けた, 昭和57年度 奨励研究 A 課題番号57710023 研究課題:時間統制法による認知的熟慮性−衝動性の柔軟性に関する発達的検討 (本 学 助 教 授. 56. 札幌分校).
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