No. 727/Special Issue 2021 63 本報告はドイツにおけるパート労働のあり方を日本 のパートの均等処遇・均衡処遇と比較し,特にフルタ イムとパートの移動可能性,フルタイムとパートの給 与体系・給与差における平等性に着目して論じた。 はじめにドイツで 2000 年に制定されたパート・有 期雇用法が,どのような形でフルタイムとパートの移 動性を具体的に職場レベルで規定しているかという点 を日本との違いに注目して論じた。次にドイツにおけ る給与の比例原則を確認した上で,連邦統計局の収入 構造調査を使って実際のフルタイムとパートの給与格 差がどれほどあるのかを計算した。 その結果,ドイツのパートは週 20 時間より長く働 くパート,週 20 時間以下で働くパート,さらに社会 保険が免除されるアルパイト的なミニジョブで働く者 に分類されるが,三種類の雇用形態に応じてフルタイ ムとパートの給与差がかなり異なっていること,一部 は日本のパートとほぼ同じ水準であることを明らかに した。 他方,ドイツではフルタイムとパートの移動性をよ り強化するための政策や職場レベルでの試みが進んで おり,結果として仕事とケアの両立が容易になってい ることをドイツ企業でのインタビュー調査から明らか にした。 フルタイムとパートの平等性を支える条件である移 動可能性と給与差から見た時,日本では法制度改正が 進行中ではあるものの,職場慣行を含めてなお改善さ れるべき点が多いと結論した。 たなか・ようこ 筑波大学人文社会系教授。最近の主な 論文に「有期雇用の日独比較」『大原社会問題研究所雑誌』 718 号(2018 年)。労働史・日独労働研究専攻。
〈平等〉の視点からみたパート労働の日独比較(PDF:458KB)
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