第6学年 算数科(プログラミング体験)学習指導案 1 単 元 「拡大図と縮図」B図形(1) 2 指導観 〇 本単元は、二つの図形間の関係に着目し、合同についての考察を基に、二つの図形が拡大、縮小 の関係にあるのかについて考察することをねらいとしている。本内容は、二つの図形が形も大きさ も同じであるときに合同という第5学年「図形の合同」の学習を踏まえて、互いに縮図や拡大図の 関係にある図形について、構成する要素の関係を調べ、考察したり作図したりする活動を通して拡 大図や縮図の意味や特徴を理解していくものである。このことは、先に学習した「比」の学習の理 解を深め、中学校数学科第3学年「相似」の学習の基礎につながるものである。互いに縮図や拡大 図の関係にある図形は、対応する角の大きさは全て等しく、対応する辺の長さの比はどこでも一定 である。これを実際に作図することを通して見出していく。その中でプログラミングを用いた作図 も可能である。基本的な平面図形に加え、複雑な図形の拡大図や縮図についても、既習の知識を使 ってかけることを実感することで、理解を確かにすることができる。さらに、平面図形の構成要素 と数に着目する必然性があるため、小学校で学習した平面図形の性質を振り返ることもできる。ま た、反復の手順を組み立てたり仮説検証を繰り返して意図した動作を実現したりしていく活動は、 プログラミング的思考を働かせながら幾何学模様をつくる活動等にも発展させられる。これらのこ とは、図形のよさや美しさを実感し算数で学んだことを生活や学習に活用しようとする態度を育て るだけでなく、コンピュータによる処理の利点を見いだし日常生活に活かす態度を育てるプログラ ミング教育の観点からも意義深い。 〇 本学年の児童は、第5学年「合同な図形」第6学年「対称な図形」において、二つの平面図形の 関係や性質を見いだし、それらを用いて図形を調べたり作図したりする学習をしてきている。算数 科学習に関する実態調査では、「図形をかく学習が得意、好き」という児童の割合は高い。しかし 「問題の答えを出すまでにたくさんしなければいけないことがあって、いま何をしているのか分か らなくなる」という児童もおり、「いろいろな解き方を試してみる」と答えた児童は少なかった。 このことから、図形をかく学習に対する意欲は高いものの、作業手順の整理ができていないことが 分かる。また、情報活用能力調査(H25 文科省)の整理・解釈に関する問題を用いた実態調査では 全国平均と比すると充分とはいえず、曖昧な情報の定義に基づいた正確な分類整理ができていない と思われる。さらに、プログラミングに関する思考力を測った実態調査では、「解決方法を場合毎 に整理して仮定し、それぞれを検証したことから結論を出す問題」の正答率が低かった。これらの ことを総合すると、本学年の児童は、作図等の手順を正確に整理して筋道立てたり、よりよい手順 を見出したりすることに課題があるということがいえる。 〇 本単元の指導にあたっては、見いだした二つの図形の関係や性質を適用しながら発展的な平面図 形をプログラミングで表現したり、平面図形の性質を根拠に説明したりする中で、拡大や縮小の関 係にある二つの平面図形の関係性についての理解を深め、図形に対する感覚をより豊かにすること ができるようにする。そのために、「つかむ」段階では、星型の図形の拡大図が不完全なサンプル プログラムを提示して、プログラミングを用いた作図に関する学習課題を設定する。そこで、見い だした性質を活用して完成させたいという課題意識と問いをもたせる。「しらべる」段階では、基 本的な平面図形の拡大図と縮図の関係や性質を見いだし、星型の拡大図の作図に必要な事柄を明ら かにさせる。そして拡大図と縮図の性質を活かし、プログラミングを用いれば、複雑な図形であっ たり簡単に実測できなかったりする事例でも正確に作図できるという見通しをもたせる。「いかす 」段階では、プログラミングで星型の作図の手順をつくる中で、手順シートを活用した交流活動を 仕組み、つくった手順を手順シートに記録し意味付けさせる。また、これを提示しながら交流させ て、順序や設定値の理由や根拠を明確にしたり、多様な手順に気付かせたりする。さらに、手順の 効率性や妥当性について話し合わせ、解決策の原因と結果を関連付ける「解決策を検証する思考」 を高めさせたい。 3 目 標 〇 拡大図や縮図の意味や性質を理解し、辺の長さや角の大きさに着目して、拡大図や縮図を作図す ることができる。 【知識・技能】 〇 平面図形の構成要素や合同、比の考え方等の既習を基に、拡大図や縮図の意味や性質、作図の仕 方について考え、根拠をもって説明することができる。 【思考力・判断力・表現力等】 ※ 本指導案は「福岡県教育センター長期派遣研修」における主題研究に基づき作成されています。 教育センターホームページの「長期研修報告書:平成 30 年度:各研修報告書」と併せて御覧ください。
〇 身の回りにある拡大図や縮図に関心をもち、実際に用いられている場面を見つけたり、学習を活 かして実測できない長さや高さを求めようとしたりする。 【学びに向かう力・人間性等】 〇 既習から仮説を立て、プログラミングによって反復の手順を組み立て、星型の拡大図の作図がで きるとともに、その手順を検証して適切さや特徴を述べることができる。【プログラミング的思考】 4 単元計画 (11 時間) ※ サ:サンプルプログラム(Scratch2.0) フ:フォーマットプログラム(Scratch2.0) 手:手順シート①③(プリント)②(プレゼンファイル又は授業支援システムのデジタルノート機能) 段 階 配 時 学習内容・学習活動 使用する開発教材(◆) 教材のねらい(○)活用の留意点(・) つ か む 45 (1)学習課題を設定する。 〇 形が同じで大きさがちがうものについて調べ る中で、運動場に複雑な図形を拡大してかく問 題場面を提示し、学習課題をつくる。 ◆ サ(実行状態で提示) ○ サを見て、学習課題やプログラミ ングによる作図への関心・意欲をも つことができる。 ・ サの提示によって、「どうすれば運 動場のような広い場所に星の形を拡 大してかくことができるか」という 拡大図や縮図に関わる問いをもつこ とができるようにする。 し ら べ る 45 45 45 45 45 45 45 (2)形が同じで大きさのちがう図形を調べる。 〇 「方眼上の家の絵」の形や大きさを調べ、拡大 する、縮小する、拡大図、縮図の意味を知る。 〇 三角形や四角形の拡大図や縮図の対応する辺や 対応する角の大きさを調べる。 (3)拡大図と縮図のかき方を調べる。 〇 方眼紙を使って、拡大図や縮図をかく。 〇 三角形のどの辺の長さや角の大きさを測ればよ いかを考え、ものさし、コンパス、分度器を用い て拡大図や縮図をかく。 〇 1つの点を中心にした、三角形や四角形の拡大 図や縮図のかき方を考える。 (4)縮図と縮尺について調べる。 〇 縮尺の用語とその意味を知り、縮図上に表され た長さから実際の長さを求める。 〇 縮図を使って、実際にはかることのできない校 舎の高さを求める。 ◆ サ(画像) ○ サの画像を見て、各時間で究明し たことがサの動きにどのように活か せるか考えることができる。 ・ 究明したこととサの動きを比較さ せることによって、サの不完全な点 を指摘したり、改善点の仮説を立てた りすることができるようにする。 い か す 45 90 本 時 (5)学習内容を活用して日常生活の問題を解決する。 〇 縮図の考え方を使って、身の回りにあるはか りにくいものの高さをはかる。 (6)つかむ段階で設定した学習課題を解決する。 ○ 運動場のような広い場所に、複雑な図形を拡 大してかく方法をプログラミングによる手順づ くりで明らかにする。 ◆ フ 手 ○【プログラミング的思考の育成】 反復を用いた手順で意図を実現し その手順の適切さや特徴を明らかに することができる。 ○【算数科】拡大図や縮図の性質を活 用して、星型の拡大図を作図する手 順をつくり上げ、それを筋道立てて 説明することができる。 ・ 手①によって、手順の仮説を立て ることができるようにする。 ・ 手②によって、手順を意味付けな がら図形(拡大図と縮図)に関する 見方や考え方を働かせたり、手順を 検証し、その適切さや特徴を見いだ したりできるようにする。 ・ 手③によって、手順を生活と関連 付けることができるようにする。 【学習課題】 運動場のような広い場所に星型を形を変えずに大き くかくにはどうすればよいだろう (ま)星型のような複雑な図形でも、角の大きさ は変えずに、辺の長さを同じ比で長くすれば、広 い運動上でも拡大してかくことができる。 (め)星型のような複雑な図形の拡大図が学習し たことを使ってかけるだろうか、プログラミング で手順をつくって調べよう
5 本時 平成 年 月 日( ) 6学年 組 第 校時 において 〇 主 眼 (1) 既習を活かして複雑な平面図形である星型の拡大図を作図する活動を通して、その手順を拡大 図と縮図の性質を根拠に、対応する角の大きさや辺の長さに着目して説明することができる。 (2) プログラミングによって反復による手順を組み立て、星型の拡大図が作図できるとともに、そ の手順の適切さや特徴を述べることができる。 〇 準 備 PC (一人1台)、Scratch2.0、電子黒板、マ:配布マニュアル サ:サンプルプログラム フ:フォーマットプログラム 手:手順シート①~③ 〇 展 開 (「いかす」段階における実証授業 2単位時間分) 段 階 学習活動・内容 指導上の留意点 教材 配時 評価規準 導 入 1 めあてをつかみ、見通しと仮説を 立てる。 ○ 既習の知識とサを比べて、学習課 題をつかむ。 ・拡大図では、辺の長さの比はどれ も一定のはずなのに、動画は、一 定になっていない。 ・拡大図では、角の大きさはすべて 変わらないはずなのに、動画はち がいそうだ。 ○ 本時のめあてをつかむ。 ・簡単な図形は、拡大図のきまりで かけたけど、星型はどうかな。 〇 実現する意図を見通す。 ・自分がネコなら、まず真っ直ぐ 90 歩動いて…、次に左に曲がって… そして、また真っ直ぐ 90 歩動いて ○ 列挙されたものから必要なブロ ックを選択し、仮説をもつ。 ※ 手順を見通すことがで きるように、「自分がスプラ イト(*)ならどう動くか」 を考えさせ手①の図に書き 込ませる。*:動くキャラクターのこ と。ここではネコが動くようにしている。 ※ 手順の仮説をもつこと ができるように、ブロック の数や、〇の設定数値を考 えさせる。 サ 手 ① ⑮ ・ 必要なブロッ クと、その組み 合わせ方につい て仮説を書き込 んでいる。 (手①) 【思・判・表】 (めあて)星型のような複雑な図形の拡大図が学習したことを使ってかける だろうか、プログラミングで手順をつくって調べよう 《星型をプログラミングで作図する組立例》 《 児童が選択するブロック 》 演算ブロックは、既習(拡大図と縮図の性質や角の大き さの計算)を意識していれば活用できる。仮説の時点で 使う必要はない。 演算ブロックを使用する利点は、次のことが考えられる。 ・拡大縮小の倍率(比)を容易に変えられる。 ・計算ミスがない。
展 開 前 段 2 手順をつくり試行したり、修正評価 したりして意図を実現する。 ○ 仮説をもとにブロックを組み合 わせたり、数値を設定したりして、 動きを確かめながら手順をつくる。 ※ まず、ある地点(例:C まで)まで意図通りになる ことを確かめてから、その 後を展開するよう助言す ることによって、手順を考 え易くする。 ※ 外角の大きさの設定に 苦戦する児童には、スプ ライトの向きと曲がる角 を図に書き込ませること によって、外角に着眼で きるようにする。 ※ ペアによる教え合いを 設定することで、全員が仮 説をもてるようにする。 フ 手 ① ㉚ ・ 意図と比較し ながら試行修正 を繰り返し、意 図が実現できて いる。 (フ) 【思・判・表】 展 開 中 段 中 段 3 意図が実現した手順を意味付ける。 〇 手②を作成する。 〇 手②上で、手順の各部分を意味 付ける。 ※ 配布したデジタルノー トに貼り付けて印刷する。 ※ プログラムは、スクリー ンショットで範囲指定で きるもの(Windows では、 ペ イ ン ト や snipping tool)で切出し・貼付を 行う。 ※ 手②で、作図と手順の 部分を線で結び付けたり、 どの部分で何をしている のか(引いている線や角) を言葉で記入したり、設定 値の理由を記述させるこ とによって、手順の意味を 捉えられるようにする。 フ 手 ② ② ( デ ジ タ ル ノ ー ト )( ) ⑳ ・ 手順に対して 「ここは~して いる」のように 意味を記述して いる。 (手②) 【思・判・表】 上の単位を直列につなげ 「順次」で組み立てても 意図は実現できる。手順 の重複を避け左図の「〇 回繰り返す」制御の活用 で手順を効率化できる。 《 星型の一部を作図する手順例 》 《 星型の作図を効率化する手順例 》 左図の単位を組み立 て、これを5セット 組み合わせること、 組合せ方を効率的に すること、〇への数 値設定が手順づくり の中心となる。 《 手順シート②の記入例 》 《 配布時の手順シート②の例 》
展 開 後 段 4 手順を検証し、その適切さや特徴を 明らかにする。 〇 動きや手順を見せながら、相互に 手順を説明したり、質問やその回答 をしたりして交流する。 〇 手順が異なるのに、実現できてい る理由を考える中で、手順の適切さ を話し合う。 〇 よりよい手順について話し合い、 手順を組み立て直したり、手順の特 徴を考えたりする。 ※ 互いの共通点・相違点 に着目して、質問や回答さ せることで、設定値の根拠 を示しながら説明できる ようにする。 ※ 反復を用いた手順と用 いていない手順を比較す ることによって、相違点か ら手順の適切さについて 話し合えるようにする。 ※ 「はやい・かんたん・せ いかく・どんなときも」と いう観点を与えることで、 反復の手順や拡大縮小の 比率の変化への対応につ いて議論することができ るようにする。 手 ② ⑮ ・他者の異なる手 順と比較して、ど ちらも意図が実現 できている理由を 述べている。 (発言・様相観察) 【思・判・表】 ・手順を修正した 理由、修正しなか った理由を効率性 の面から記述して いる。(手②) 【思・判・表】 終 末 5 学習をまとめ、プログラミングによ る手順づくりのよさを実感する。 〇 めあてに対する答えを書く。 〇 次のことについて記述すること によって、学習を振り返る。 いずれか1つ以上選択 ①今回の手順のよさ ②今回の手順を使うとできそうな こと ③身の周りに活かされていそうな ものやこと(機械・道具等) 〇 学習の感想を書く。 ※ 書き出しを指定するこ とによって、容易に文章表 現できるようにする。 ※ 一部手順を追加して実 行提示することによって、 手順の発展事例に出会う ことができるようにする。 ※ 試行錯誤したことに目 が向けられるように説明 活動やプログラミングの 過程における自分の取組 について感想を書かせる。 手 ③ ⑩ ・ 辺の長さと角 の大きさに触れ て、適切に文章 表現している。 (手③) 【思・判・表】 ・ 手順の発展事 例や生活に関連 付けた事例を1 つ以上記述して いる。 (手③) 【思・判・表】 (まとめ) 星型のような複雑な図形でも、角の大きさは変えずに、辺の長さ を同じ比で長くすれば、広い運動上でも拡大してかくことができる。 《 手順の一部追加の例 》 拡大の比を 1.5 倍に し、この手順を加え て「ずっと」繰り返し ブロックで囲む。