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ヒドロキシエチルデンプン130/0.4の術中投与が心臓手術における周術期腎機能に及ぼす影響についての検討

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(1)

臓手術における周術期腎機能に及ぼす影響について

の検討

著者

長屋 慶

学位授与機関

Tohoku University

学位授与番号

11301甲第19121号

URL

http://hdl.handle.net/10097/00129216

(2)

ヒドロキシエチルデンプン130/0.4の術中投与が心臓手術における

周術期腎機能に及ぼす影響についての検討

東北大学大学院医学系研究科医科学専攻

医用イメージング分野

(3)

目次

【要約】 ... 5 【研究背景】 ... 7 Ⅰ 背景 ... 7 Ⅱ 心臓手術後急性腎障害 ... 8 1 心臓手術後急性腎障害の病因と発症率および危険因子 ... 8 2 急性腎障害の定義と病期分類 ... 9 Ⅲ ヒドロキシエチルデンプン ... 10 1 HES の構造と性質 ... 10 2 HES と AKI ... 10 【研究目的】 ... 12 Ⅰ 研究Ⅰ:心臓手術後急性腎障害の発症とその危険因子についての検討 ... 12 Ⅱ 研究Ⅱ:ヒドロキシエチルデンプン 130/0.4 の術中投与が人工心肺を用いた心臓手術 における周術期腎機能に及ぼす影響についての検討 ... 12 【研究方法】 ... 13 Ⅰ 研究Ⅰ:心臓手術後急性腎障害の発症とその危険因子についての検討 ... 13 1 対象 ... 13

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2 方法 ... 13 Ⅱ 研究Ⅱ:ヒドロキシエチルデンプン 130/0.4 の術中投与が人工心肺を用いた心臓手術に おける周術期腎機能に及ぼす影響についての検討 ... 15 1 対象 ... 15 2 方法 ... 15 【研究結果】 ... 19 Ⅰ 研究Ⅰ:心臓手術後急性腎障害の発症とその危険因子についての検討 ... 19 1 全症例の術中術後因子 ... 19 2 AKI 発症と病期 ... 19 3 AKI 群と非 AKI 群の比較(単変量解析) ... 19 4 AKI 発症に関連する因子の多変量解析 ... 20 Ⅱ 研究Ⅱ:ヒドロキシエチルデンプン 130/0.4 の術中投与が人工心肺を用いた心臓手術 における周術期腎機能に及ぼす影響についての検討 ... 21 1 術前術中因子 ... 22 2 AKI 発症と病期 ... 23 3 腎臓バイオマーカー ... 24 4 術後尿量と出血量 ... 25

(5)

5 血清アルブミンと凝固機能検査 ... 25 6 術後ヘモグロビンと血行動態 ... 26 【考察】 ... 28 Ⅰ 心臓手術後 AKI 発症と危険因子 ... 28 Ⅱ HES と腎障害 ... 28 Ⅲ 腎臓バイオマーカー ... 30 Ⅳ HES と凝固機能障害 ... 31 Ⅴ 輸液バランスと血行動態 ... 31 Ⅵ 研究の限界 ... 32 【結論】 ... 34 【文献】 ... 35 図 1 ... 45 表 1 ... 46 表 2 ... 47 表 3 ... 48 表 4 ... 49 表 5 ... 50 表 6 ... 51 表 7 ... 52 表 8 ... 53 表 9 ... 54 表 10 ... 55

(6)

表 11 ... 56 表 12 ... 57

(7)

【要約】 背景:心臓手術後の急性腎障害は合併症や死亡率を増加させる。ヒドロキシエチル デンプンはその血漿増量効果のため周術期にしばしば使用されているが、心臓手術 におけるヒドロキシエチルデンプン130/0.4の腎機能への影響は定かではない。本論 文では以下の二つの研究を通して心臓手術におけるヒドロキシエチルデンプン 130/0.4の投与が周術期腎機能へ及ぼす影響について検討した。 研究Ⅰ 心臓手術後急性腎障害の発症とその危険因子についての検討 研究Ⅱ ヒドロキシエチルデンプン130/0.4の術中投与が人工心肺を用いた心臓手術 における周術期腎機能に及ぼす影響についての検討 方法: Ⅰ 2010年1月から2014年3月までに東北医科薬科大学病院で待機的に施行された心 停止下心臓手術のうち透析症例、再心臓手術症例を除外した214例を対象とし、術後 30日間の急性腎障害の発症とその病期および急性腎障害発症の危険因子について検 討した。 Ⅱ 2014年4月から2016年5月までに東北医科薬科大学病院で施行された人工心肺を 用いた成人心臓手術患者60例を、術中にヒドロキシエチルデンプン130/0.4を使用す るヒドロキシエチルデンプン群30例と重炭酸リンゲル液を使用する晶質液群30例に 無作為に振り分けた、単施設、単盲検試験である。ヒドロキシエチルデンプン群で は人工心肺の回路充填液に6% ヒドロキシエチルデンプン 130/0.4を1,000 ml使用

(8)

し、人工心肺後の輸液をヒドロキシエチルデンプン130/0.4で行った。主要評価項目

は術後30日間の急性腎障害発症とその病期とした。急性腎障害の診断とその病期分

類にはKidney Disease : Improving Global Outcomesのクレアチニン基準を用いた。

結果: Ⅰ 急性腎障害発症は81例(37.9%)であった。また急性腎障害発症の危険因子は 肥満、術前の腎機能障害、術前の低心機能、術式、人工心肺時間、術中尿量であっ た。 Ⅱ ヒドロキシエチルデンプン群で6%ヒドロキシエチルデンプン130/0.4の使用量 は中央値で27.7 ml/kg [24.6 – 30.5]であった。急性腎障害発症はヒドロキシエチルデ ンプン群で8例(28.6%)、晶質液群で6例(21.4%)と差を認めなかった(P = 0.5371)。また病期は急性腎障害なし、ステージ1、ステージ2、ステージ3それぞれ ヒドロキシエチルデンプン群で20例(71.5%)、6例(21,4%)、2例(7.1%)、0例 (0%)、晶質液群で22例(78.6%)、6例(21.4%)、0例(0%)、0例(0%)で群 間に差を認めなかった(P = 0.3508)。 結論:ヒドロキシエチルデンプン130/0.4の術中投与は心臓手術後30日間の急性腎障 害発症とその病期に影響を及ぼさない。

(9)

【研究背景】 Ⅰ 背景 一般に適切な前負荷の維持は循環管理においてもっとも重要な要素のひとつであ る。とくに心臓手術では原疾患による心機能障害、手術操作、出血、そして CPB (cardiopulmonary bypass; 人工心肺) の心機能への影響などから循環動態が不安 定となりやすく、適切な循環血液量の維持および前負荷の維持は心臓麻酔中に安定 した循環動態を得るうえで必須の要素である。

また心臓手術後 AKI(acute kidney injury; 急性腎障害)は高頻度に発症する合併

症であるが、その発症は患者の予後を悪化させる1)-6) HES(hydroxyethyl starch; ヒドロキシエチルデンプン)はその速やかな血漿増量 効果から心臓手術中の前負荷維持と過剰な輸液の防止に有用であることが期待され るが、その一方で副作用として術後 AKI 発症への影響が懸念される。 HES130/0.4 は血漿増量効果(約 100%)、効果時間(3~4 時間)いずれも十分な性 質を有し、また使用量上限も 50ml/kg と多い7)ため心臓手術における有用性が期待さ れる。

(10)

Ⅱ 心臓手術後急性腎障害 1 心臓手術後急性腎障害の病因と発症率および危険因子 心臓手術後 AKI は心臓手術を施行された患者の約 15~40%と比較的高頻度に発症 する合併症であるが、心臓手術後に AKI を発症した患者では他の合併症の発症率や 死亡率が高くなることが知られている1)-6) 心臓手術後 AKI の病因としては術前の心不全や腎機能障害に加えて CPB による 低潅流、低体温、血液希釈、塞栓、手術侵襲による全身性炎症反応、大動脈内バル ーンポンプ、種々の薬剤の影響などが考えられている8),9)

一般的な AKI の危険因子としては高齢、うっ血性心不全、CKD(chronic kidney

disease; 慢性腎臓病)、糖尿病、肝不全、敗血症、脱水、腎毒性薬物の投与などが

ある9)-11)が、心臓手術患者ではこれらの危険因子を複数有していることも多く、こ

のことが心臓手術後では非心臓手術後よりも AKI の発症頻度が高くなっている要因

と考えられる。

また CPB は心臓手術に特有の危険因子であり、とくに CPB 時間が長くなると

AKI 発症が増加するとの報告も多い8),12)。一方で CABG(coronary artery bypass

grafting; 冠動脈バイパス術)において CPB 使用の有無と AKI 発症について、心拍

動下冠動脈バイパス術で AKI 発症が減少したとの報告がある一方で変わらないとす

(11)

2 急性腎障害の定義と病期分類

AKI は周術期管理や集中治療管理において非常に重要な症候であり、死亡の独立

した危険因子と考えられているが、近年まで統一された診断基準がなかった。そこ

で 2004 年に Acute Dialysis Quality Initiative Group によって RIFLE

(Risk-Injury-Failure-Loss- Endstage renal disease)分類が提唱され、2007 年には Acute Kidney

Injury Network(AKIN)により新たに AKI の診断基準と,AKIN 分類が発表され

た。さらに 2012 年には KDIGO (Kidney Disease : Improving Global Outcomes)によ

り AKI の診断基準と病期分類が発表されている18),19)。KDIGO のクレアチニン基準 による診断基準と病期分類は以下のとおりである。 *AKI の診断 48 時間以内に血清クレアチニン 0.3 mg/dl 以上の上昇、または 7 日以内に血清クレ アチニンがベースラインから 1.5 倍以上に上昇 *AKI の病期分類 [ステージ 1] 血清クレアチニンがベースラインから 1.5~1.9 倍上昇、または血清クレアチニン 0.3 mg/dl 以上の上昇 [ステージ 2] 血清クレアチニンがベースラインから 2~2.9 倍上昇 [ステージ 3]

(12)

血清クレアチニンがベースラインから 3 倍以上上昇、または血清クレアチニン≧ 4.0 mg/dl、または腎代替療法の施行 Ⅲ ヒドロキシエチルデンプン 1 HES の構造と性質 HES 製剤は人工膠質液として最も多く使用されており、アミロペクチンと呼ばれ る D-ブドウ糖の 1-4 結合や 1-6 結合で多分子化している重合体から合成されてい る。ブドウ糖分子の C2、C6 の水酸基の水素イオンがヒドロキシエチル基と置き換 わることで血中アミラーゼによる分解速度が遅くなる。HES のブドウ糖分子全体の うちヒドロキシエチル基に置き換わった割合を置換度という。また HES の分子量に は 70,000 Da 以下のものから 450,000 Da 以上のものまであり、静脈内投与後アミラ ーゼにより分解され 70,000 Da 以下のものは糸球体で濾過され尿中に排泄される。 従って高分子量、高置換度のものほど半減期が長くなり血漿増量効果も持続するが 一方で凝固機能障害や腎機能障害、皮膚搔痒など様々な副作用の原因となる7),20) 2 HES と AKI HES はその血漿増量効果のため救急、集中治療、周術期に広く使用されている が、近年大規模な臨床試験で敗血症など重症患者への HES の使用で AKI の発症が 多くなると報告された21),22)。しかしこれら重症患者では長期間にわたり大量の HES が使用されているため、HES の使用が短期間かつ比較的少量である手術患者で重症

(13)

患者での危険性がそのまま該当するかは不明である。非心臓手術では HES の使用に 関して腎機能に影響がないとの報告が多い23)-27)が心臓手術における HES の術中投与 が術後 AKI 発症に及ぼす影響については定まった知見はない28)-30)。HES は高分子 量、高置換度のものほど血管内に長く留まり血漿増量効果も長く続く半面、手術患 者においても出血量の増加や術後の AKI 発症の危険性が危惧される31),32) HES130/0.4 は平均分子量 130,000 Da、置換度 0.4 と低分子量、低置換度である が血漿増量効果は比較的長く、排泄は速やかで血漿中への蓄積は少ないとされ33) その有用性と安全性が期待される。

(14)

【研究目的】 Ⅰ 研究Ⅰ:心臓手術後急性腎障害の発症とその危険因子についての検討 心臓手術後 AKI の発症頻度は KDIGO の診断基準を用いたものだけでも 15~40% と報告によって差がある1)-3),6)。これは施設間で症例、手術手技、CPB の設定などが 異なることに起因すると考えられる。研究Ⅰでは東北医科薬科大学病院における心 停止下心臓手術後 30 日間の AKI 発症頻度を明らかにし、さらにその危険因子につ いて明らかにすることを目的とする。 Ⅱ 研究Ⅱ:ヒドロキシエチルデンプン 130/0.4 の術中投与が人工心肺を用いた心 臓手術における周術期腎機能に及ぼす影響についての検討 HES130/0.4は十分な血漿増量効果と効果時間から心臓手術において適正な前負荷 の維持に効果が期待される。また排泄は速やかで血漿中への蓄積も少ないとされそ の安全性にも期待される。研究ⅡではCPBを用いた心臓手術におけるHES130/0.4の 術中投与が重炭酸リンゲル液と比較して周術期腎機能に及ぼす影響について明らか にすることを目的とする。

(15)

【研究方法】 Ⅰ 研究Ⅰ:心臓手術後急性腎障害の発症とその危険因子についての検討 1 対象 2010 年 1 月から 2014 年 3 月までに東北医科薬科大学病院で待機的に施行された 心停止下心臓手術のうち透析症例、再心臓手術症例を除外した 214 例を対象とした 後ろ向き研究である。 2 方法 (1)評価項目 *術後 30 日間の AKI 発症とその病期 AKI の診断と病期分類は KDIGO のクレアチニン基準を用いた。血清クレアチニ ンのベースラインには手術直近のものを用いた。手術直後の血清クレアチニンは血 液希釈の影響を考慮し診断からは除外した。術後 30 日または術後 30 日以降最初の 血清クレアチニンまでを AKI の診断に用いた。 *AKI 発症の有無と術前因子、術中因子についての検討

・術前因子:年齢、性別、BMI (body mass index)、既往歴(高血圧、糖尿病、

COPD [chronic obstructive pulmonary disease; 慢性閉塞性肺疾患]、PAD

[peripheral arterial disease; 末梢動脈疾患)、術前使用薬(ACEI [angiotensin

converting enzyme inhibitor; アンジオテンシン変換酵素阻害薬]/ARB [angiotensin

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anti-inflammatory drugs; 非ステロイド性抗炎症薬])、術前の eGFR (estimated

glomerular filtration rate; 推算糸球体濾過量)、ヘモグロン、左室拡張終期径、左室

収縮終期径、左室駆出率 COPD の診断は術前の呼吸機能検査で一秒率 70%未満のもの、PAD の診断は術 前の脈波検査で足関節上腕血圧比 0.9 未満のものとした。 ・術中因子:術式(CABG /弁手術/CABG+弁手術/その他)、手術時間、CPB 時 間、大動脈遮断時間、HES 使用量、出血量、尿量 (2)統計学的方法 結果は平均値±標準偏差または症例数で示した。対象症例を AKI 発症の有無で AKI 群と非 AKI 群の 2 群に分け術前因子、術中因子について対応のない t 検定また はカイ二乗検定を行った。P < 0.1 であった因子については多変量解析を行った。多 変量解析には多重ロジスティック回帰分析を用い P<0.05 を有意差ありとした。す

べての統計解析は BellCurve for Excel(Social Survey Research Information Co.,

(17)

Ⅱ 研究Ⅱ:ヒドロキシエチルデンプン 130/0.4 の術中投与が人工心肺を用いた心

臓手術における周術期腎機能に及ぼす影響についての検討 1 対象

本研究は東北医科薬科大学病院倫理委員会(Independent Ethics Committee of

Tohoku Medical and Pharmaceutical University Hospital, Sendai, Japan)の承認を得

て臨床研究登録(承認番号 2013-1-007)を行った、単施設、単盲検試験である。ま

た本研究は University hospital Medical Information Network Clinical Trials Registry

(UMIN-CTR)に臨床試験として登録した(UMIN000025055)。東北医科薬科大 学病院で施行された CPB を用いた 20 歳以上の成人心臓手術症例のうち慢性透析お よび重度腎機能障害の症例(eGFR < 45 ml/min/1.73m2)、緊急手術症例、再手術 症例は除外し、文書による同意を得た症例を対象とした。 対象症例は術中に 6% HES130/0.4 を使用する HES 群 30 例、重炭酸リンゲル液 を使用する晶質液群 30 例に無作為に振り分けられた。対象患者の振り分けにはコン

ピュータを用いた乱数表(Microsoft Excel, Redmond, Washington)を用いた。

2 方法

(1)患者管理

*麻酔

両群とも全身麻酔はミダゾラム、レミフェンタニル、ロクロニウムで導入し、プ

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*輸液管理

両群とも全身麻酔開始から終了まで晶質液には重炭酸リンゲル液を使用した。ま

た HES 群では CPB 離脱後の輸液を HES130/0.4 で行った。HES130/0.4 の使用量

は最大 50 ml/kg とした。 両群とも必要時には 5%アルブミン液、輸血用血液製剤を使用した。血液製剤の 使用基準は厚生労働省の血液製剤の使用指針に準じたが、CPB 離脱時の採血結果 (血算、血清アルブミン、凝固機能検査)、出血量、循環動態から総合的に判断し 適宜使用した。 *循環作動薬 両群で循環作動薬としてドブタミン、ノルアドレナリン、ミルリノンを使用し た。また全例でカルペリチドを低用量(0.01~0.03 µg/kg/min)で使用した。必要 時にはエフェドリン、フェニレフリン、ニカルジピン、ニコランジル、ランジオロ ールを適宜使用した。 *CPB 管理 CPB 回路充填量は 1,200ml~1,600 ml で全例に D-マンニトール 200 ml を使用し た。D-マンニトールを除く CPB 回路充填液 1,000~1,400 ml に晶質液群ではすべ て重炭酸リンゲル液を、HES 群では HES130/0.4 を 1,000 ml と重炭酸リンゲル液を 使用した。

(19)

CPB ポンプには全例ローラーポンプを使用し、潅流量は 2.2~2.9 l/min/m2、潅 流圧は 40~60 mmHg で管理した。 (2)主要評価項目 *術後 30 日間の AKI 発症とその病期 AKI の診断とその病期分類には KDIGO のクレアチニン基準を用いた。手術室入 室前の血清クレアチニンをベースラインとし、以後集中治療室入室中は毎日、一般 病棟へ退室後は適宜血清クレアチニンを測定した。術後 30 日または術後 30 日以降 最初の血清クレアチニンまでを AKI の診断に用いた。 (3)副次評価項目

*術前、POD(postoperative day; 術後病日)1、POD 2 の術後の血清シスタチン

C、尿中 L-FABP(Live type fatty acid-binding protein; L 型脂肪酸結合タンパク)、

尿中β2MG(β2 microglobulin; β2 マイクログロブリン) *術前因子:年齢、性別、身長、体重、BMI、既往症(高血圧、糖尿病、COPD、 PAD)、術前使用薬(ACEI/ARB、NSAIDs)、術前心機能(左室拡張終期径、左 室収縮終期径、左室駆出率) *術中術後因子:術式、手術時間、CPB 時間、大動脈遮断時間、CPB 中輸液バラン ス、術中出血量、術中尿量、術中輸液・輸血量、術中総輸液バランス、術後出血量 (24 時間)、術後尿量(72 時間)

(20)

*止血凝固機能:術前、CPB 離脱時、手術終了後の血小板数、APTT(activated

partial thromboplastin time; 活性化部分トロンボプラスチン時間)、PT

(prothrombin time; プロトロンビン時間)、フィブリノゲン、血清アルブミン *術後ヘモグロビンと循環動態:手術終了後のヘモグロビン、収縮期血圧、心拍 数、収縮期肺動脈圧、中心動脈圧、心係数およびその時点におけるドブタミン、ノ ルアドレナリン、ミルリノンの使用量 (4)統計学的方法 結果は中央値[第 1 四分位数 - 第 3 四分位数]で示した。統計学的方法としてマ ンホイットニーの U 検定、カイ二乗検定を用い P < 0.05 を有意差ありとした。統計

解析は BellCurve for Excel(Social Survey Research Information Co., Ltd.)および

(21)

【研究結果】 Ⅰ 研究Ⅰ:心臓手術後急性腎障害の発症とその危険因子についての検討 1 全症例の術中術後因子 全症例の術中術後因子を表 1 に示す。COPD、PAD についてはそれぞれ 41 例、 12 例が術前検査未施行のため欠測となっていた。 2 AKI 発症と病期 術後 30 日間の AKI 発症とその病期について表 2 に示す。AKI を発症したのは 81 例(37.9%)であった。AKI の病期は AKI なし、ステージ 1、ステージ 2、ステージ 3 でそれぞれ 133 例(62.1%)、63 例(29.4%)、17 例(7.9%)、1 例(0.5%)で あった。 3 AKI 群と非 AKI 群の比較(単変量解析) AKI 群(81 例)、非 AKI 群(133 例)の 2 群間で術前因子、術中因子について比 較した結果を表 3、4 に示す。このうち術前因子で P < 0.1 であったのは年齢(AKI 群, 72 ± 10 歳 vs. 非 AKI 群, 67 ± 12 歳; P = 0.0013)、BMI(AKI 群, 24.0 ± 3.5 kg/m2 vs. 非 AKI 群, 22.6 ± 2.8 kg/m2; P = 0.0038)、eGFR(AKI 群, 58.2 ±

19.9 ml/min/1.73m2 vs. 非 AKI 群, 69.4 ± 17.0 ml/min/1.73m2; P < 0.0001)、ヘ

モグロビン(AKI 群, 12.3 ± 1.8 g/dl vs. 非 AKI 群, 12.8 ± 1.7 g/dl; P =

0.0390)、左室拡張終期径(AKI 群, 55.8 ± 8.6 mm vs. 非 AKI 群, 52.0 ± 8.6

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± 8.2 mm; P = 0.0024)、左室駆出率(AKI 群, 54.2 ± 13.6 % vs. 非 AKI 群, 57.4 ± 11.6 %; P = 0.0660)、糖尿病(AKI 群, 30 例 [37.0%] vs. 非 AKI 群, 33 例 [24.8%]; P = 0.0570)、COPD(AKI 群, 21 例 [35.0%] vs. 非 AKI 群, 21 例 [18.6%]; P = 0.0165)、PAD(AKI 群, 20 例 [25.6%] vs. 非 AKI 群, 16 例 [12.9%]; P = 0.0213)、ACEI/ARB(AKI 群, 60 例 [74.1%] vs. 非 AKI 群, 82 例 [61.7%]; P = 0.0622)、NSAIDs(AKI 群, 39 例 [48.1%] vs. 非 AKI 群, 43 例 [32.3%]; P = 0.0210)であった。術中因子で P < 0.1 であったのは術式(AKI 群,

CABG9 例/弁手術 37 例/CABG+弁手術 33 例/その他 2 例 vs. 非 AKI 群, CABG24

例/弁手術 85 例/CABG+弁手術 14 例/その他 10 例; P < 0.0001)、手術時間(AKI

群, 310 ± 80 分 vs. 非 AKI 群, 259 ± 69 分; P < 0.0001)、CPB 時間(AKI 群,

176 ± 50 分 vs. 非 AKI 群, 137 ± 38 分; P < 0.0001)、大動脈遮断時間(AKI

群, 122 ± 35 分 vs. 非 AKI 群, 98 ± 29 分; P < 0.0001)、HES 使用量(AKI 群,

267 ± 380 ml vs. 非 AKI 群, 218 ± 281 ml; P = 0.3207)、出血量(AKI 群, 612

± 544 ml vs. 非 AKI 群, 424 ± 364 ml; P = 0.0067)、尿量(AKI 群, 521 ± 355

ml vs. 非 AKI 群, 704 ± 384 ml; P = 0.0006)であった。

4 AKI 発症に関連する因子の多変量解析

AKI 群と非 AKI 群の 2 群間で P < 0.1 であった術前因子、術後因子から年齢 ≧

80 歳、BMI ≧ 25 kg/m2、eGFR < 45 ml/min/1.73m2、ヘモグロビン < 10g/dl、左

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病、ACEI/ARB、NSAIDs、CABG+弁手術、手術時間 ≧ 300 分、CPB 時間 ≧ 150 分、大動脈遮断時間 ≧ 120 分、出血量 ≧ 1,000 ml、尿量 < 300 ml の各因子 を説明変数として AKI 発症の有無についてロジスティック回帰分析を用いた多変量 解析を行った(表 5)。COPD は欠測値が 41 例と多く、検査未施行の症例は狭心症 状や心不全症状がより重症であった可能性があることから多変量解析から除外し た。PAD も欠測値が 12 例あったため多変量解析から除外した。

多変量解析の結果、BMI ≧ 25 kg/m2(OR [odds ratio; オッズ比] 2.27; 95%CI

[confidence interval; 信頼区間] 1.07 – 4.83; P = 0.0333)、eGFR < 45

ml/min/1.73m2(OR 3.69; 95%CI 1.27 – 10.74; P = 0.0164)、左室駆出率 < 50%

(OR 0.27; 95%CI 0.08 – 0.89; P = 0.0321)、CABG+弁手術(OR 2.83; 95%CI

1.18 – 6.82; P = 0.0203)、CPB 時間 ≧ 150 分(OR 3.76; 95%CI 1.30 – 10.88; P = 0.0144)、尿量 < 300 ml(OR 3.82; 95%CI 1.16 – 12.63; P = 0.0278)の各因子 が AKI 発症の独立した危険因子であった。 Ⅱ 研究Ⅱ:ヒドロキシエチルデンプン 130/0.4 の術中投与が人工心肺を用いた心 臓手術における周術期腎機能に及ぼす影響についての検討 2014 年 4 月から 2016 年 5 月に東北医科薬科大学病院で施行された成人心臓手術 症例 119 例のうち、重度腎機能障害(eGFR < 45 ml/min/1.73m2)24 例、緊急手術 9 例、再手術 5 例、および研究への同意を得られなかった 21 例を除く 60 例が登録

(24)

され HES 群 30 例、晶質液群 30 例に無作為に振り分けられた。HES 群の 1 例と晶 質液群の 2 例が術式の変更により、また HES 群の 1 例が術後に間質性肺炎の術後急 性増悪をきたして体外式膜型人工肺を装着したため本研究より除外され、HES 群 28 例、晶質液群 28 例が本研究の対象となった(図 1)。 1 術前術中因子 術前の患者背景について表 6 に示す。無作為の振り分けにもかかわらず晶質液群 と比較して HES 群で低年齢であった。また晶質液群と比較して HES 群で術前の左 室拡張終期径、左室収縮終期径が大きく心機能低下が疑われた。左室駆出率には差 を認めなかった。その他の患者背景では群間に差を認めなかった。 術中因子について表 7 に示す。晶質液群と比較して HES 群で手術時間(HES 群, 268 分 [219 – 322] vs. 晶質液群, 192 分 [180 – 257]; P = 0.0068)、CPB 時間 (HES 群, 157 分 [131 – 184] vs. 晶質液群, 114 分 [99 – 170]; P = 0.0191)が長 く、出血量(HES 群, 404 ml [280 – 846] vs. 晶質液群, 243 ml [194 – 290]; P = 0.001)が多かった。また晶質液群と比較して HES 群で CPB 中の輸液バランス (HES 群, -277 ml [-750 – 597] vs. 晶質液群, 1,660 ml [847 – 2,252]; P < 0.0001)、晶質液輸液量(HES 群, 1,475 ml [1,050 – 1,788] vs. 晶質液群, 2,220 ml [1,800 – 2,663]; P < 0.0001)、術中総輸液バランス(HES 群, 2,278 ml [1,192 – 3,262] vs. 晶質液群, 3,373 ml [2,460 – 4,151]; P = 0.0175)がより少なかった。5%

(25)

アルブミン液使用量(HES 群, 0 ml [0 – 0] vs. 晶質液群, 0 ml [0 – 250]; P = 0.0183)は HES 群で少なかったが、輸血量、尿量には群間に差を認めなかった。 CPB 回路充填量は HES 群で 1,400 ml [1,400 – 1,500]、晶質液群で 1,400 ml [1,400 – 1,500]で群間に差を認めなかった(P = 0.6493)。また HES 群で HES130/0.4 使用量は 1,600 ml [1,500 – 1,800](27.7 ml/kg [24.6 – 30.5])であっ た。 2 AKI 発症と病期

術後 30 日間の AKI 発症と病期を表 8 に示す。AKI 発症は HES 群で 8 例

(28.6%)、晶質液群で 6 例(21.4%)と差を認めなかった(P = 0.5371)。また

AKI の病期では AKI なし、ステージ 1、ステージ 2、ステージ 3 それぞれ HES 群で

20 例(71.5%)、6 例(21,4%)、2 例(7.1%)、0 例(0%)、晶質液群で 22 例 (78.6%)、6 例(21.4%)、0 例(0%)、0 例(0%)で群間に差を認めなかった (P = 0.3508)(表 12)。患者背景で HES 群の年齢がより若く、左室拡張終期径と 左室収縮終期径がより大きく、手術時間と CPB 時間がより長かった。これらの二群 間に有意な差を認めた因子のうち、多重共線性を考慮して年齢、左室拡張終期径、 左室収縮終期径、CPB 時間について多重ロジスティク回帰分析および共分散分析で 補正を加えても、AKI 発症および病期には一貫して有意な差を認めなかった。

(26)

3 腎臓バイオマーカー 血清シスタチン C は術前(HES 群, 1.05 mg/l [0.92 – 1.20] vs. 晶質液群, 1.13 mg/l [0.97 – 1.34]; P = 0.1869)、POD 1(HES 群, 0.89 mg/l [0.78 – 1.04] vs. 晶質 液群, 0.87 mg/l [0.73 – 1.16]; P = 0.6554)、POD 2(HES 群, 0.99mg/l [0.90 – 1.15] vs. 晶質液群, 1.03 mg/l [0.88 – 1.19]; P = 0.8399)といずれも群間に差を認め なかった。尿中β2MG は術前(HES 群, 83 µg/l [68 – 153] vs. 晶質液群, 109 µg/l [78 – 153]; P = 0.2445)、POD 1(HES 群, 703 µg/l [299 – 1,855] vs. 晶質液群, 701 µg/l [233 – 1,843]; P = 0.7237)、POD 2(HES 群, 908 µg/l [347 – 4,990] vs. 晶質液群, 1,110 µg/l [390 – 2,708]; P = 0.8663)といずれも群間に差を認めなかっ た。尿中 L-FABP は術前(HES 群, 2.1 µg/g・Cr [1.6 – 3.2] vs. 晶質液群, 2.1 µg/g・ Cr [1.5 – 3.0]; P = 0.8326)、POD 1(HES 群, 9.0 µg/g・Cr [5.8 – 13.2] vs. 晶質液 群, 9.0 µg/g・Cr [5.5 – 14.0]; P = 1.0000)、POD 2(HES 群, 7.9 µg/g・Cr [5.1 – 11.2] vs. 晶質液, 5.5 µg/g・Cr [2.3 – 11.9]; P = 0.1895)といずれも群間に差を認め

なかった。ただし尿中 L-FABP は術前の HES 群で 7 例、晶質液群で 10 例、POD 2

の HES 群で 5 例、晶質液群で 7 例が測定範囲以下であり、これらを除いて解析し

た。また術後 30 日間の血清クレアチニンの最高値にも差を認めなかった(HES 群,

1.09 mg/dl [0.84 – 1.20] vs. 晶質液群, 0.91 mg/dl [0.77 – 1.09]; P = 0.1064)(表

(27)

4 術後尿量と出血量 術後の尿量は術後 24 時間(HES 群, 1,472 ml [1,110 – 1,888] vs. 晶質液群, 1,518 ml [1,222 – 1,992]; P = 0.4363)、48 時間(HES 群, 4,658 ml [3,363 – 5,395] vs. 晶 質液群, 5,537 ml [3,402 – 6,550]; P = 0.1470)、72 時間(HES 群, 8,970 ml [7,556 – 10,412] vs. 晶質液群, 10,300 ml [7,967 – 11,525]; P = 0.1255)いずれも群間に差を 認めなかった。術後 24 時間のドレーン出血量は HES 群で 580 ml [369 – 773]、晶質 液群で 365 ml [310 – 558]と HES 群で有意に多かった(P = 0.0204)(表 10)。 5 血清アルブミンと凝固機能検査 術前、CPB 離脱後、手術後の血清アルブミン、血小板数、APTT、PT、フィブリ ノゲンを表 11 に示す。術前の血清アルブミン(HES 群, 4.0 g/dl [3.9 – 4.2] vs. 晶質 液群, 4.0 g/dl [3.8 – 4.2]; P = 0.7352)、血小板数(HES 群, 151 × 103 /µl[133 – 208] vs. 晶質液群, 156 × 103 /µl [128 – 185]; P = 0.8058)、APTT(HES 群, 31.5 秒 [29.7 – 35.7] vs. 晶質液群, 34.0 秒 [30.6 – 35.3]; P = 0.3630)、PT (HES 群, 13.7 秒 [13.0 – 13.9] vs. 晶質液群, 13.8 秒 [13.1 – 14.5]; P = 0.2974)、フィブリノ ゲン(HES 群, 320 mg/dl [286 – 367] vs. 晶質液群, 351 mg/dl [312 – 411]; P = 0.1516)いずれも群間に差を認めなかった。 血清アルブミンは CPB 離脱後(HES 群, 2.2 g/dl [1.9 – 2.3] vs. 晶質液群, 2.3 g/dl [2.2 – 2.3]; P = 0.0175)と手術後(HES 群, 2.2 g/dl [2.1 – 2.7] vs. 晶質液群, 2.9 g/dl [2.7 – 3.1]; P < 0.0001)で有意に HES 群が低かった。血小板数は CPB 離脱後

(28)

(HES 群, 85 × 103 /µl[67 – 100] vs. 晶質液群, 86× 103 /µl [76 – 100]; P = 0.5551)、術後(HES 群, 97 × 103 /µl[68 – 107] vs. 晶質液群, 97 × 103 /µl [87 – 114]; P = 0.2546)いずれも群間に差を認めなかった。APTT は CPB 離脱後(HES 群, 37.9 秒 [36.6 – 42.4] vs. 晶質液群, 36.8 秒 [35.1 – 40.5]; P = 0.1100)、術後 (HES 群, 37.0 秒 [33.2 – 40.3] vs. 晶質液群, 36.1 秒 [31.7 – 40.6]; P = 0.6941)い ずれも群間に差を認めなかった。PT は CPB 離脱後(HES 群, 17.9 秒 [17.4 – 19.2] vs. 晶質液群, 17.7 秒 [17.1 – 18.5]; P = 0.1421)で群間に差を認めなかったが術後 (HES 群, 17.1 秒 [16.4 – 18.0] vs. 晶質液群, 16.1 秒 [15.3 – 16.7]; P = 0.0021)で 有意に HES 群が延長していた。フィブリノゲンは CPB 離脱後(HES 群, 157 mg/dl [130 – 183] vs. 晶質液群, 199 mg/dl [170 – 229]; P = 0.0065)、術後(HES 群, 162 mg/dl [138 – 197] vs. 晶質液群, 221 mg/dl [168 – 259]; P = 0.0047)いずれも HES 群で低かった。 6 術後ヘモグロビンと血行動態 術後のヘモグロビンと血行動態を表 12 に示す。ヘモグロビン(HES 群, 8.7 g/dl [8.0 – 9.5] vs. 晶質液群, 9.9 mg/dl [8.7 – 10.8]; P = 0.0024)は HES 群で低かった。 収縮期血圧(HES 群, 93 mmHg [80 – 101] vs. 晶質液群, 88 mmHg [84 – 98]; P = 0.3789)、心拍数(HES 群, 100 回/分 [100 – 100] vs. 晶質液群, 100 回/分 [100 – 120]; P = 0.2755)、収縮期肺動脈圧(HES 群, 28 mmHg [22 – 33] vs. 晶質液群, 28 mmHg [23 – 33]; P = 0.8696)、中心静脈圧(HES 群, 7 mmHg [6 – 9] vs. 晶質液

(29)

群, 7 mmHg [5 – 9]; P = 0.7601)いずれも群間に差を認めなかった。心係数(HES

群, 3.5 l/min/m2 [2.9 – 4.0] vs. 晶質液群, 2.4 l/min/m2 [2.2 – 2.8]; P < 0.0001)は

HES 群で高かった。

循環作動薬の使用量はドブタミン(HES 群, 1.7 µg/kg/min [0 – 2.9] vs. 晶質液群,

2.2 µg/kg/min [1.3 – 3.1]; P = 0.4931)、ミルリノン(HES 群, 0.26 µg/kg/min

[0.24 – 0.29] vs. 晶質液群, 0.26 µg/kg/min [0.22 – 0.31]; P = 0.6581)いずれも群間

に差を認めなかったが、ノルアドレナリン(HES 群, 0.10 µg/kg/min [0.04 – 0.13]

(30)

【考察】 Ⅰ 心臓手術後 AKI 発症と危険因子 研究Ⅰでは 81/214 例(37.9%)に、研究Ⅱでは HES 群で 8/28 例(28.6%)、晶 質液群で 6/28 例(21.4%)に AKI が発症していた。これは文献的な報告1)-6)とほぼ 一致するものであった。研究Ⅱでは研究Ⅰと比較して AKI 発症率が低かったが、要 因としては研究Ⅰが透析症例以外の重度腎機能障害症例も対象としているのに対し て研究Ⅱでは術前の腎機能が比較的保たれている(eGFR ≧ 45 ml/min/1.73m2)症 例を対象としていることが考えられる。

また研究Ⅰで BMI ≧ 25 kg/m2、eGFR < 45 ml/min/1.73m2、左室駆出率 <

50%、CABG+弁手術、CPB 時間 ≧ 150 分、尿量 < 300 ml が AKI 発症の危険因 子として示された。術前の腎機能障害、低心機能、長い CPB 時間はしばしば AKI 発症の危険因子とされるが、肥満も重症患者や心臓手術患者で AKI 発症の危険因子 とする報告も散見される34)-36)。肥満による AKI 発症の機序は完全には解明されてい ないが、肥満による腎循環が変化、腹圧による腎静脈圧の上昇、右心不全の存在や 肥満のため薬剤投与量が過剰になりやすい、などが考えられている。 Ⅱ HES と腎障害 HES による腎障害の機序は正確には不明であるが、HES が尿細管上皮細胞に取り 込まれて蓄積し尿細管上皮細胞を障害すると考えられ、形態学的には腎の近位尿細

(31)

管上皮細胞の空胞形成と膨化を特徴とする osmotic nephrosis を呈するとされる 37)-39)。HES は皮膚、肝、腎、骨髄などに蓄積し様々な副作用の原因となるが、特に腎 には高濃度に蓄積し、その一部は 10 年に及んで細胞内に残ることもある40)。また膠 質浸透圧の増加は有効な糸球体濾過圧を低下させ結果として GFR を低下させるた め、高濃度の HES はさらなる腎機能の低下を招く可能性がある41) 敗血症など重症患者の輸液蘇生を HES で行うと腎代替療法21),22),42)や死亡率21),42) が増加するのは、これらの患者の多くが低血圧や循環血液量の減少から GFR 低下を 来しており、このような状況下で HES を使用すると血漿中の HES が高濃度にな り、結果として尿細管細胞も高濃度の HES に暴露されより強い障害が引き起こされ るからと推測される。 一方で手術患者への HES の使用で術後の AKI が増えない23)-27)ことの理由とし て、手術患者では HES の総投与量が少なく投与期間が短いことに加えて HES 使用 時の循環血液量が比較的保たれているためと思われる。 手術後の AKI 発症は非心臓手術で 1~7%26),31)に対して心臓手術では 15~40%1)-6) と高い。その理由として心臓手術を受ける患者では術前から心不全や CKD

(chronic kidney disease; 慢性腎臓病)、不整脈といった術後 AKI の危険因子3),9)-11)

をもつものが多いこと、CPB による低潅流、低体温、血液希釈、塞栓などの種々の

影響があげられる。CPB による血液希釈自体は HES の腎障害を減少させる可能性

(32)

今回の研究Ⅱでは CPB 回路充填液と CPB 離脱後に HES130/0.4 を使用したが重 炭酸リンゲル液と比較して術後 30 日間の AKI 発症に差を認めなかった(HES 群, 8[28.6%] vs. 晶質液群, 6 [21.4%]; P = 0.5371)。また AKI の病期にも群間に差を 認めなかった。その理由としては、術前の腎機能が比較的保たれている(eGFR ≧ 45 ml/min/1.73m2)患者を対象としたことが挙げられる。CKD は術後 AKI の危険 因子のひとつ3)であり、KDIGO の CKD ガイドラインでも eGFR が 45 ml/min/1.73m2未満の CKD 患者ではより腎機能障害が進行しやすいとされている 43)。また今回の研究では HES130/0.4 の総使用量が 27.7ml/kg と少なく、さらに術 中、術後に十分な尿量があったため HES130/0.4 の排泄が速やかで腎機能への影響 が少なかった可能性が考えられる。 Ⅲ 腎臓バイオマーカー シスタチン C はすべての有核細胞で生成される分子量 13,000Da の低分子タンパ クである。年齢、性別、筋肉量によらず生成量が一定で、ほとんどのシスタチン C は糸球体で濾過されたあと近位尿細管で再吸収、代謝されるため血清クレアチニン より正確に GFR を反映するとされる44)。今回 POD 2 までシスタチン C は HES 群 と晶質液群で差がなく、群間で術直後の GFR に差がなかったことが推測される。

また尿細管障害のマーカーであるβ2MG と L-FABP についても POD 2 まで HES

(33)

ら尿中に分泌される 14,000Da の低分子タンパクで、心臓手術後 AKI の早期検出に

も有用とされる45)-47)。HES の使用と L-FABP に関する報告は少なく28)、今後の検

討が必要であると思われる。

Ⅳ HES と凝固機能障害

高分子量、高置換度の HES による凝固機能障害は希釈による凝固因子濃度の低

下、とくに第Ⅷ因子と VWF(von Willebrand factor; フォン・ヴィレブランド因

子)の低下、および血小板膜の糖蛋白 GPⅡb/Ⅲa 発現低下、そしてそれらによる血 小板凝集抑制が原因とされる48)-51)。しかし今のところ HES130/0.4 による希釈性凝 固異常の機序は明らかではない。また心臓手術における HES130/0.4 と術中術後出 血量の関連は定かではない27),29),32),52),53)が、今回の研究Ⅱでは HES 群で晶質液群と 比較して術中、術後出血量いずれも有意に多かった。CPB は様々な機序で止血機能 に障害を起こすが、HES 群で有意に CPB 時間が長く CPB 離脱時のフィブリノゲン も低値であった。従って今回の結果からは HES130/0.4 が術中、術後の出血量に影 響を及ぼしたかは不明である。 Ⅴ 輸液バランスと血行動態 過剰な輸液バランスは術後の呼吸器系、心血管系合併症の増加や死亡リスクとの 関連が指摘されている54),55)。今回 CPB 回路充填液に HES130/0.4 を使用することで

(34)

CPB 中の輸液バランス(HES 群, -277 ml [-750 – 597] vs. 晶質液群, 1,660 ml [847 – 2,252]; P < 0.0001)、術中総輸液バランス(HES 群, 2,278 ml [1,192 – 3,262] vs. 晶質液群, 3,373 ml [2,460 – 4,151]; P = 0.0175)いずれも HES 群で晶質液群と比較 して有意に小さかった。 一方手術後の循環動態は HES 群でノルアドレナリンの使用量が少ないにもかかわ らず収縮期血圧、心拍数、肺動脈圧、中心静脈圧に HES 群と晶質液群で差がなく、 心係数は HES 群で高かった。手術後のヘモグロビンが HES 群で低かったことで HES 群がより高心拍出量状態になった可能性はあるが、HES130/0.4 の使用は過剰 な輸液バランスを回避しつつ循環血液量を維持し循環動態を安定させるのに有用で あったと思われる。 Ⅵ 研究の限界 研究Ⅱにはいくつかの限界があった。ひとつは無作為の割り付けにもかかわらず HES 群でより年齢が若く、術前の心機能が悪かった。また CPB 時間が HES 群でよ り長かった。年齢が若いことは術後 AKI の危険性を減じ、低心機能とより長い CPB 時間は術後 AKI の危険性を増すと考えられ、多変量解析によりこれらの因子を補正 した結果では依然として HES 群と晶質液群で AKI 発症に差がなかった。しかし今 後より偏りのない症例での検討が必要であろう。

(35)

また対象症例の手術中の出血量が少なく、結果として HES130/0.4 の使用量が

27.7ml/kg と少なかったことが AKI 発症を減少させた可能性がある。HES130/0.4 の

(36)

【結論】 Ⅰ 東北医科薬科大学病院おける心臓手術後 AKI は 37.9%に認められ、文献的な報 告とほぼ同じであった。また AKI 発症の危険因子は肥満、術前の腎機能障害、術前 の低心機能、術式(CABG+弁手術)、CPB 時間、術中尿量であった。 Ⅱ 比較的腎機能の保たれた患者では HES130/0.4 の術中投与は重炭酸リンゲル液 との比較で CPB を用いた心臓手術後 30 日間の AKI 発症とその病期に違いがなかっ た。

(37)

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図 1 図 1.研究Ⅲ:研究参加者のフローダイアグラム 適格性の評価(n = 119) 除外 (n = 59) ◆ 選択基準に含まれない(n = 38) ◆ 参加辞退(n = 21) 解析された(n = 28) 追跡不能 (n = 0) 間質性肺炎の急性増悪により体 外式膜型人工肺装着(n = 1) 術式の変更(n = 1) HES 群へ割付(n = 30) ◆ HES 130/0.4 の投与 追跡不能 (n = 0) 術式の変更(n = 2) 晶質液群へ割付 (n = 30) ◆ 重炭酸リンゲル液の投与 解析された(n = 28) 割付 解析 追跡 ランダム化(n = 60) 組み入れ HES(hydroxyethyl starch; ヒドロキシエチルデンプン)

(48)

表 1

表1.研究Ⅰ:術前・術中因子(全症例;n = 214)

術前因子 術中因子

年齢,歳 69 ± 11 術式

性別,男/女 118/96 CABG 33 (15.4)

Body mass index,kg/m2 23.1 ± 3.1 弁手術 122 (57.0)

術前検査データ CABG+弁手術 47 (22.0) 血清クレアチニン,mg/dl 0.87 ± 0.31 その他 12 (5.6) eGFR,ml/min/1.73m2 65.2 ± 18.9 手術時間,分 278 ± 77 ヘモグロビン,g/dl 12.6 ± 1.7 人工心肺時間,分 152 ± 47 術前心エコー 大動脈遮断時間,分 107 ± 34 左室拡張終期径,mm 53.4 ± 8.8 HES使用量,ml 237 ± 322 左室収縮終期径,mm 37.6 ± 8.9 出血量,ml 495 ± 449 左室駆出率,% 56.2 ± 12.4 尿量,ml 634 ± 383 既往歴 高血圧,n (%) 128 (59.8) 糖尿病,n (%) 63 (29.4) 慢性閉塞性肺疾患,n (%) 42 (24.3)* 末梢動脈疾患,n (%) 36 (17.8)* 術前使用薬 ACEI/ARB,n (%) 142 (66.4) NSAIDs,n (%) 82 (38.3) 結果は平均±標準偏差または症例数(%)で示す. *n = 173(慢性閉塞性肺疾患),n = 202(末梢動脈疾患).

eGFR(estimated glomerular filtration rate; 推算糸球体濾過量),ACEI(angiotensin converting enzyme inhibitor; アンジオテンシン変換酵素阻害薬),ARB(angiotensin Ⅱ receptor blocker; アンジオテンシン受容 体遮断薬),NSAIDs(non-steroidal anti-inflammatory drugs; 非ステロイド性抗炎症薬),CABG(coronary artery bypass grafting; 冠動脈バイパス術),HES(hydroxyethyl starch; ヒドロキシエチルデンプン).

(49)

表 2 表2.研究Ⅰ:急性腎障害の発症と病期 n 214 30日以内でのAKI発症 AKIなし,n (%) 133 (62.1) AKIあり,n (%) 81 (37.9) AKI病期, AKIなし,n (%) 133 (62.1) ステージ1,n (%) 63 (29.4) ステージ2,n (%) 17 (7.9) ステージ3,n (%) 1 (0.5) 結果は症例数(%)で示す.

(50)

表 3

表3.研究Ⅰ:AKI群と非AKI群の比較(術前因子)

AKI群(n = 81) 非AKI群(n = 133) P値 年齢,歳 72 ± 10 67 ± 12 0.0013 性別,男/女 48/33 70/63 0.3444 Body mass index,kg/m2 24.0 ± 3.5 22.6 ± 2.8 0.0038 術前検査データ eGFR,ml/min/1.73m2 58.2 ± 19.9 69.4 ± 17.0 < 0.0001 ヘモグロビン,g/dl 12.3 ± 1.8 12.8 ± 1.7 0.0390 術前心エコー 左室拡張終期径,mm 55.8 ± 8.6 52.0 ± 8.6 0.0023 左室収縮終期径,mm 40.0 ± 9.6 36.2 ± 8.2 0.0024 左室駆出率,% 54.2 ±13.6 57.4 ± 11.6 0.0660 既往歴 高血圧,n (%) 54 (66.7) 74 (55.6) 0.1105 糖尿病,n (%) 30 (37.0) 33 (24.8) 0.0570 慢性閉塞性肺疾患,n (%) 21 (35.0)* 21 (18.6)** 0.0165 末梢動脈疾患,n (%) 20 (25.6)* 16 (12.9)** 0.0213 術前使用薬 ACEI/ARB,n (%) 60 (74.1) 82 (61.7) 0.0622 NSAIDs,n (%) 39 (48.1) 43 (32.3) 0.0210 結果は平均±標準偏差または症例数で示す.P値は対応のないt検定またはカイ二乗検定による.

eGFR(estimated glomerular filtration rate; 推算糸球体濾過量),ACEI(angiotensin converting enzyme inhibitor; アンジオテンシン変換酵素阻害薬),ARB(angiotensin Ⅱ receptor blocker; アンジオテンシン受 容体遮断薬),NSAIDs(non-steroidal anti-inflammatory drugs; 非ステロイド性抗炎症薬).

*n = 60(慢性閉塞性肺疾患),n = 78(末梢動脈疾患).**n = 113(慢性閉塞性肺疾患),n = 124(末 梢動脈疾患)

(51)

表 4 表4.研究Ⅰ:AKI群と非AKI群の比較(術中因子) AKI群(n = 81) 非AKI群(n = 133) P値 術式 < 0.0001 CABG 9 (11.1) 24 (18.0) 弁手術 37 (45.7) 85 (63.9) CABG+弁手術 33 (40.7) 14 (10.5) その他 2 (2.5) 10 (7.5) 手術時間,分 310 ± 80 259 ± 69 < 0.0001 人工心肺時間,分 176 ± 50 137 ± 38 < 0.0001 大動脈遮断時間,分 122 ± 35 98 ± 29 < 0.0001 HES使用量,ml 267 ± 380 218 ± 281 0.3207 出血量,ml 612 ± 544 424 ± 364 0.0067 尿量,ml 521 ± 355 704 ± 384 0.0006 結果は平均±標準偏差または症例数(%)で示す.P値は対応のないt検定またはカイ二乗検定による. CABG(coronary artery bypass grafting; 冠動脈バイパス術),HES(hydroxyethyl starch; ヒドロキシエ チルデンプン).

(52)

表 5

表5.研究Ⅰ:急性腎障害発症に関連する術中術後因子の多変量解析

下限値 上限値 術前因子

年齢 ≧ 80歳 1.97 0.81 4.81 0.1362 Body mass index ≧ 25 kg/m2 2.27 1.07 4.83 0.0333 eGFR < 45 ml/min/1.73m2 3.69 1.27 10.74 0.0164 ヘモグロビン < 10 g/dl 1.45 0.36 5.92 0.6043 左室拡張終期径 ≧ 55 mm 1.40 0.48 4.10 0.5365 左室収縮終期径 ≧ 40 mm 2.95 0.81 10.79 0.1024 左室駆出率 < 50% 0.27 0.08 0.89 0.0321 糖尿病 1.34 0.63 2.88 0.4474 ACEI/ARB 2.01 0.94 4.31 0.0722 NSAIDs 1.14 0.51 2.56 0.7442 術中因子 CABG+弁手術 2.83 1.18 6.82 0.0203 手術時間 ≧ 300分 1.32 0.52 3.38 0.5580 人工心肺時間 ≧ 150分 3.76 1.30 10.88 0.0144 大動脈遮断時間 ≧ 120分 0.58 0.20 1.70 0.3219 出血量 ≧ 1000 ml 2.47 0.71 8.62 0.1568 尿量 < 300 ml 3.82 1.16 12.63 0.0278 95%信頼区間 オッズ比 P値

eGFR(estimated glomerular filtration rate; 推算糸球体濾過量),ACEI(angiotensin converting enzyme inhibitor; アンジオテンシン変換酵素阻害薬),ARB(angiotensin Ⅱ receptor blocker; アンジオテンシン 受容体遮断薬),NSAIDs(non-steroidal anti-inflammatory drugs; 非ステロイド性抗炎症薬),CABG (coronary artery bypass grafting; 冠動脈バイパス術).

(53)

表 6 表6.研究Ⅱ:術前因子 HES群 (n = 28) 晶質液群 (n = 28) P値 年齢,歳 67 [63 - 72] 74 [65 - 79] 0.0372 性別,男/女 20/8 14/14 0.1007 身長,m 1.61 [1.59 - 1.70] 1.57 [1.47 - 1.68] 0.1192 体重,kg 60.1 [51.7 - 67.1] 56.5 [47.4 - 64.5] 0.3175

Body mass index,kg/m2 21.3 [20.2 - 24.0] 22.8 [20.5 - 24.1] 0.6820

術前検査データ 血清クレアチニン,mg/dl 0.87 [0.75 - 1.05] 0.78 [0.70 - 0.95] 0.1315 eGFR,ml/min/1.73m2 63 [50 - 74] 61 [54 - 75] 0.7616 ヘモグロビン,g/dl 13.2 [11.5 - 14.0] 12.6 [11.7 - 14.4] 0.7061 術前心エコー 左室拡張終期径,mm 59.4 [53.3 - 64.5] 53.5 [49.5 - 60.1] 0.0143 左室収縮終期径,mm 40.7 [36.0 - 49.5] 34.5 [32.4 - 39.1] 0.0136 左室駆出率,% 60 [38.2 - 65.1] 63.7 [55.9 - 65.8] 0.1157 既往歴 高血圧,n (%) 14 (50) 15 (53.6) 0.7891 糖尿病,n (%) 7 (25) 5 (17.9) 0.5148 慢性閉塞性肺疾患,n (%) 4 (14.3) 4 (14.3) 1.0000 末梢動脈疾患,n (%) 3 (10.7) 2 (7.1) 0.6393 術前使用薬 ACEI/ARB,n (%) 15 (53.6) 13 (46.4) 0.5930 NSAIDs,n (%) 6 (21.4) 3 (10.7) 0.2750 結果は中央値[第1 - 第3四分位数]または症例数で示す.P値はマンホイットニーのU検定またはカイ二乗検定による. HES(hydroxyethyl starch; ヒドロキシエチルデンプン),eGFR(estimated glomerular filtration rate; 推算糸球体濾過 量),ACEI(angiotensin converting enzyme inhibitor; アンジオテンシン変換酵素阻害薬),ARB(angiotensin Ⅱ receptor blocker; アンジオテンシン受容体遮断薬),NSAIDs(non-steroidal anti-inflammatory drugs; 非ステロイド性 抗炎症薬).

(54)

表 7 表7.研究Ⅱ:術中因子 HES群 (n = 28) 晶質液群 (n = 28) P値 術式 0.1005 CABG,n (%) 4 (14.3) 1 (3.6) 弁手術,n (%) 17 (60.7) 24 (85.7) CABG+弁手術,n (%) 7 (25) 3 (10.7) 術中因子 手術時間,分 268 [219 - 322] 192 [180 - 247] 0.0068 CPB時間, 分 157 [131 - 184] 114 [99 - 170] 0.0191 大動脈遮断時間, 分 92 [72 - 128] 80 [61 - 110] 0.2477 CPB中最低体温,℃ 33.9 [33.4 - 34.3] 34.2 [33.3 - 34.4] 0.5715 CPB中最低ヘマトクリット,% 22 [20 - 25] 23 [20 - 26] 0.4356 CPB中輸液バランス,ml -277 [-750 - 597] 1,660 [847 - 2,252] <0.0001 CPB 充填量,ml 1,400 [1,400 - 1,500] 1,400 [1,400 - 1,500] 0.6493 晶質液使用量,ml 1,475 [1,050 - 1,788] 2,200 [1,800 - 2,663] <0.0001 HES130/0.4使用量,ml 1,600 [1,500 - 1,800] 0 HES130/0.4使用量,ml/kg 27.7 [24.6 - 30.5] 0 5%アルブミン液使用量,ml 0 [0 - 0] 0 [0 - 250] 0.0183 赤血球濃厚液使用量,単位 2 [0 - 4] 0 [0 - 3] 0.2477 新鮮凍結血漿使用量,ml 0 [0 - 0] 0 [0 - 0] 0.6190 血小板濃厚液使用量,単位 0 [0 - 0] 0 [0 - 0] 0.1535 出血量,ml 404 [280 - 766] 243 [194 - 290] 0.0001 尿量,ml 568 [349 - 846] 520 [366 - 746] 0.7062 術中輸液バランス,ml 2,278 [1,192 - 3,262] 3,373 [2,460 - 4,151] 0.0175 結果は中央値[第1 - 第3四分位数]または症例数(%)で示す.P値はマンホイットニーのU検定またはカ イ二乗検定による.

HES(hydroxyethyl starch; ヒドロキシエチルデンプン),CABG(coronary artery bypass grafting; 冠動脈 バイパス術),CPB(cardiopulmonary bypass; 人工心肺).

(55)

表 8 表8.研究Ⅱ:急性腎障害の発症と病期 HES群 (n = 28) 晶質液群 (n = 28) P値 30日以内でのAKI発症,n(%) 8 (28.6) 6 (21.4) 0.5371 AKI病期 0.3508 AKIなし,n (%) 20 (71.5) 22 (78.6) ステージ1,n (%) 6 (21.4) 6 (21.4) ステージ2,n (%) 2 (7.1) 0 (0) ステージ3,n (%) 0 (0) 0 (0) 結果は症例数(%)で示す.P値はカイ二乗検定による.

(56)

表 9 表9.研究Ⅱ:腎臓バイオマーカー HES群 (n = 28) 晶質液群 (n = 28) P値 血清シスタチンC,mg/l 術前 1.05 [0.92 - 1.20] 1.13 [0.97 - 1.34] 0.1869 POD 1 0.89 [0.78 - 1.04] 0.87 [0.73 - 1.16] 0.6554 POD 2 0.99 [0.90 - 1.15] 1.03 [0.88 - 1.19] 0.8399 尿中β2マイクログルブリン,µg/l 術前 83 [68 - 153] 109 [78 - 153] 0.2445 POD 1 703 [299 - 1,855] 701 [233 - 1,843] 0.7237 POD 2 908 [347 - 4,990] 1,110 [390 - 2,708] 0.8663 尿中L-FABP, µg/g・Cr 術前 2.1 [1.6 - 3.2] 2.1 [1.5 - 3.0] 0.8326 POD 1 9.0 [5.8 - 13.2] 9.0 [5.5 - 14.0] 1.0000 POD 2 7.9 [5.1 - 11.2] 5.5 [2.3 - 11.9] 0.1895 POD 30までの血清アルブミン最高値,mg/dl 1.09 [0.84 - 1.20] 0.91 [0.77 - 1.09] 0.1064 結果は中央値[第1 - 第3四分位数]で示す.P値はマンホイットニーのU検定による.

HES(hydroxyethyl starch; ヒドロキシエチルデンプン),POD(postoperative day; 術後病日)L-FABP(Liver type fatty acid-binding protein; L型脂肪酸結合タンパク).

(57)

表 10 表10.研究Ⅱ:術後尿量と出血 HES群 (n = 28) 晶質液群 (n = 28) P値 術後尿量 術後24時間尿量,ml 1,472 [1,110 - 1,888] 1,518 [1,222 - 1,992] 0.4363 術後48時間尿量,ml 4,658 [3,363 - 5,395] 5,537 [3,402 - 6,550] 0.1470 術後72時間尿量,ml 8,970 [7,556 - 10,412] 10,300 [7,967 - 11,525] 0.1255 術後24時間出血量,ml 580 [369 - 773] 365 [310 - 558] 0.0204 結果は中央値[第1 - 第3四分位数]で示す.P値はマンホイットニーのU検定による. HES(hydroxyethyl starch; ヒドロキシエチルデンプン).

(58)

表 11 表11.研究Ⅱ:止血凝固機能と血清アルブミン HES群 (n = 28) 晶質液群 (n = 28) P値 血清アルブミン, g/dl 術前 4.0 [3.9 - 4.2] 4.0 [3.8 - 4.2] 0.7352 CPB離脱時 2.2 [1.9 - 2.3] 2.3 [2.2 - 2.3] 0.0175 手術後 2.2 [2.1 - 2.7] 2.9 [2.7 - 3.1] < 0.0001 血小板数,×103/µl 術前 151 [133 - 208] 156 [128 - 185] 0.8058 CPB離脱時 85 [67 - 100] 86 [76 - 100] 0.5551 手術後 97 [68 - 107] 97 [87 - 114] 0.2546 APTT,秒 術前 31.5 [29.7 - 35.7] 34.0 [30.6 - 35.3] 0.3630 CPB離脱時 37.9 [36.6 - 42.4] 36.8 [35.1 - 40.5] 0.1100 手術後 37.0 [33.2 - 40.3] 36.1 [31.7 - 40.6] 0.6941 PT,秒 術前 13.7 [13.0 - 13.9] 13.8 [13.1 - 14.5] 0.2974 CPB離脱時 17.9 [17.4 - 19.2] 17.7 [17.1 - 18.5] 0.1421 手術後 17.1 [16.4 - 18.0] 16.1 [15.3 - 16.7] 0.0021 フィブリノゲン,mg/dl 術前 320 [ 286 - 367 ] 351 [312 - 411] 0.1516 CPB離脱時 157 [130 - 183] 199 [170 - 229] 0.0065 手術後 162 [138 - 197] 221 [168 - 259] 0.0047 結果は中央値[第1 - 第3四分位数]で示す.P値はマンホイットニーのU検定による.

HES(hydroxyethyl starch; ヒドロキシエチルデンプン),CPB(cardiopulmonary bypass; 人工心肺), APTT(activated partial thromboplastin time; 活性化部分トロンボプラスチン時間),PT

(59)

表 12 表12.研究Ⅱ:手術後のヘモグロビンと血行動態 HES群 (n = 28) 晶質液群 (n = 28) P値 ヘモグロビン, g/dl 8.7 [8.0 - 9.5] 9.9 [8.7 - 10.8] 0.0024 収縮期血圧,mmHg 93 [80 - 101] 88 [84 - 98] 0.3789 心拍数,回/分 100 [100 - 100] 100 [100 - 120] 0.2755 収縮期肺動脈圧,mmHg 28 [22 - 33] 28 [23 - 33] 0.8696 中心静脈圧,mmHg 7 [6 - 9] 7 [5 - 9] 0.7601 心係数,l/min/m2 3.5 [2.9 - 4.0] 2.4 [2.2 - 2.8] < 0.0001 循環作動薬使用量,µg/kg/min ドブタミン 1.7 [0 - 2.9] 2.2 [1.3 - 3.1] 0.4931 ノルアドレナリン 0.10 [0.04 - 0.13] 0.13 [0.10 - 0.18] 0.0227 ミルリノン 0.26 [0.24 - 0.29] 0.26 [0.22 - 0.31] 0.6581 結果は中央値[第1 - 第3四分位数]で示す.P値はマンホイットニーのU検定による. HES(hydroxyethyl starch; ヒドロキシエチルデンプン).

図   1 図 1 .研究Ⅲ:研究参加者のフローダイアグラム 適格性の評価( n = 119 )  除外 ( n = 59 ) ◆  選択基準に含まれない (n = 38)  ◆  参加辞退( n = 21 ) 解析された( n = 28 )追跡不能 (n = 0)  間質性肺炎の急性増悪により体外式膜型人工肺装着(n = 1)術式の変更(n = 1)HES群へ割付(n = 30)◆ HES 130/0.4 の投与 追跡不能  (n = 0) 術式の変更(n = 2 )晶質液群へ割付( n = 30 )◆
表   2 表2.研究Ⅰ:急性腎障害の発症と病期 n 214 30日以内でのAKI発症 AKIなし,n (%) 133 (62.1) AKIあり,n (%) 81 (37.9) AKI病期, AKIなし,n (%) 133 (62.1) ステージ1,n (%) 63 (29.4) ステージ2,n (%) 17 (7.9) ステージ3,n (%) 1 (0.5) 結果は症例数(%)で示す.
表   4 表4.研究Ⅰ:AKI群と非AKI群の比較(術中因子) AKI群(n = 81) 非AKI群(n = 133) P値 術式 &lt; 0.0001 CABG 9 (11.1) 24 (18.0) 弁手術 37 (45.7) 85 (63.9) CABG+弁手術 33 (40.7) 14 (10.5) その他 2 (2.5) 10 (7.5) 手術時間,分 310 ± 80 259 ± 69 &lt; 0.0001 人工心肺時間,分 176 ± 50 137 ± 38 &lt; 0.0001 大動脈
表   6 表6.研究Ⅱ:術前因子 HES群 (n = 28) 晶質液群 (n = 28) P値 年齢,歳 67 [63 - 72] 74 [65 - 79] 0.0372 性別,男/女 20/8 14/14 0.1007 身長,m 1.61 [1.59 - 1.70] 1.57 [1.47 - 1.68] 0.1192 体重,kg 60.1 [51.7 - 67.1] 56.5 [47.4 - 64.5] 0.3175 Body mass index,kg/m 2 21.3 [20.2 - 24.0] 2
+6

参照

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