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保育所の特性を生かした子育て支援 ―保護者が支援されていると思わないところでの支援―

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ίᑎ੔Ɂ࿑ॴɥႆȞȪȲފᑎȹୈ૵

──保護者が支援されていると思わないところでの支援──

小 嶋 玲 子

Childcare Support Utilizing Characteristics of Nursery School

—Support where Guardians do not Suppose the Presence of it—

Reiko O

JIMA ɂȫɔȾ  2017年告示の現行保育所保育指針では「保育所の特性を生かした子育て支援」が強調され ており、解説には、保育所の特性についてその具体的な内容も書かれている。本論では、まず 「保育所の特性を生かした子育て支援」について指針と指針の解説の内容を検討し、次に保育 士への調査結果を述べ、最後に筆者が考える「保育所の特性を生かした子育て支援」について 述べていく。 ᴮᴫ ίᑎ੔ίᑎ઩ᦉȈί឴ᐐȾߦȬɞୈ૵ȉᴥࢳ֖ᇉᴦȻȈފᑎȹୈ૵ȉᴥ ࢳ֖ᇉᴦɁ෗ᢎ  ここでは、2017年告示の現行保育所保育指針(以後、現指針とする)「第㧠章 子育て支援」(1) を2008年告示の旧保育所保育指針(以後、旧指針とする)「第㧢章 保護者に対する支援」(2) と比較しながら「保育所の特性を生かした子育て支援」について述べていく。本論では、保護 者支援と子育て支援はほぼ同義として使用するが、現指針の解説(3)序章で述べられているよう に、子育て支援には、保護者と連携して子どもの育ちを支える視点の強調と地域で子育て支援 に携わる他の機関や団体など様々な社会資源との連携や協働も含まれる[1] ḻǽїᭀ୫  旧指針の「第㧢章 保護者に対する支援」の冒頭では「(‒前略‒)保育所は、(‒中略‒)その 特性を生かし、保育所に入所する子どもの保護者に対する支援及び地域の子育て家庭への支援 について、職員間の連携を図りながら、次の事項に留意して、積極的に取り組むことが求めら れる。(下線筆者)」と記され、保育所の特性を生かして保育士が支援を積極的に取り組むこと が求められていた。旧指針解説書(3)には、保育所が持つ【子育て支援の機能と特性】として、

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①日々、子どもが通い、継続的に子どもの発達援助を行うことができること、②送迎時を中心 として、日々保護者と接触があること、③保育所保育の専門職である保育士をはじめとして各 種専門職が配置されていること、④災害時なども含め、子どもの生命・生活を守り、保護者の 就労と自己実現を支える社会的使命を有していること、⑤公的施設として、様々な社会資源と の連携や協力が可能であること、の㧡点が記されている[2]  現指針では、章題が「第㧠章 子育て支援」となり、章冒頭文では、「(‒前略‒)子どもの育 ちを家庭と連携して支援していくとともに、保護者及び地域が有する子育てを自ら実践する力 の向上に資するよう、次の事項に留意するものとする。(下線筆者)」と「積極的に取り組む」 の言葉が消え、子育ての主体は保護者や地域であり、その子育てを自ら実践する力の向上に資 するような支援が保育士の役割となっている。そして、解説では「保育所における保護者に対 する子育て支援は、子どもの最善の利益を念頭に置きながら、保育と密接に関連して展開され るところに特徴があることを理解して行う必要がある。(下線筆者)」[3]とも述べられている。 Ḽǽ Ȉᴮᴫίᑎ੔ȾȝȤɞί឴ᐐȾߦȬɞୈ૵Ɂژటȉᴥக઩ᦉᴦȻȈᴮᴫίᑎ੔ȾȝȤɞފᑎ ȹୈ૵ȾᩜȬɞژటᄑ̜ᬱȉᴥး઩ᦉᴦ  旧指針では、「第㧢章 㧝.保育所における保護者に対する支援の基本」に㧣つの小項目が 並列で記されていた。現指針では、「第㧠章 㧝.保育所における子育て支援に関する基本的 事項」では、㧞つの中項目(「⑴保育所の特性を生かした子育て支援」、「⑵子育て支援に関し て留意すべき事項」)を立て、⑴⑵の中にそれぞれア、イとして、旧指針の㧣つの小項目を現 指針では計㧠つの小項目としてまとめて述べている(4)。つまり旧指針では、㧣つの小項目の㧝 つとして挙げられている「保育所の特性を生かした子育て支援」が中項目になり、強調された ということである。現指針の文言では、「㧝.⑴保育所の特性を生かした子育て支援」の「イ」 に「保育及び子育てに関する知識や技術など、保育士等の専門性や、子どもが常に存在する環 境など、保育所の特性を生かし、(‒後略‒)」とあり、保育所の特性として「保育士等の専門性」 と「子どもが常に存在する環境」の㧞つが挙げられている。現指針解説では「保育所は、日々 子どもが通う施設であることから、継続的に子どもの発達の援助及び保護者に対する子育て支 援を行うことができる。また、保育士や看護師、栄養士等の専門性を有する職員が配置されて いるとともに、子育て支援の活動にふさわしい設備を備えている施設である。さらに、地域の 公的施設として、様々な社会資源との連携や協力が可能である。」[4]そして「乳児期から就学前 に至る一人一人の様々な育ちを理解し支える保育を実践している場」[5]とも述べられている。 さらに「保護者が、他の子どもと触れ合うことは、自分の子どもの育ちを客観的に捉えること につながることから、子育て支援においても、子どもがいるという保育所の特性を活用するこ とが望ましい。」[6]と記され、「保育所を利用している保護者に対しては、保育参観や参加など の機会を、また地域の子育て家庭に対しては、行事への親子参加や保育体験への参加などの機 会を提供すること」[7]が「保護者の養育力の向上につながる取組」として述べられている。

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ḽǽ Ȉᴯᴫίᑎ੔Ⱦо੔ȪȹȗɞފȼɕɁί឴ᐐȾߦȬɞୈ૵ȉᴥக઩ᦉᴦȻȈᴯᴫίᑎ੔ɥҟ ႊȪȹȗɞί឴ᐐȾߦȬɞୈ૵ȉᴥး઩ᦉᴦ  上記⑵で述べた「保育参加」については、現指針での新規項目であり(5)、「第㧠章 㧞⑴保 護者との相互理解」の「イ」に「保育の活動に対する保護者の積極的な参加は、保護者の子育 てを自ら実践する力の向上に寄与することから、これを促すこと。」と記されている。現指針 の解説で述べられているように保育所利用の「保護者の就労や生活形態は多様であるため、全 ての保護者がいつでも子どもの活動に参加したり、保護者同士が関わる時間を容易につくった りすることができるわけではないことに留意する必要がある。」[8]にもかかわらず、「保育参加」 が加えられたのは、親準備性が整わないまま親になり、自分の子どものみとの関わりしか知ら ない保護者にとって、保育参加は保護者が有する子育てを自ら実践する力の向上に資する重要 な取組であるからである。「保育参加」は「一人一人の様々な育ちを理解し支える保育を実践 している場」[9]という保育所の特性を生かして、保護者が主体的に学ぶ場を提供する子育て支 援である。  旧指針の「第㧢章 㧞.保育所に入所している子どもの保護者に対する支援」では㧢つの項 目が並列で挙げられており、解説書では「⑴子どもの保育と密接に関連した保護者支援」[10]と して具体例が述べられている。現指針第㧠章では、子どもが入所していなくても一時預かりや 園庭開放を利用する保護者等も含める意味合いから「㧞.保育所を利用している保護者に対す る子育て支援(下線筆者)」となっており、⑴保護者との相互理解 ⑵保護者の状況に配慮し た個別の支援 ⑶不適切な養育等が疑われる家庭への支援、と中項目が置かれ、小項目として ⑴⑶は㧞項目ずつ、⑵は㧟項目で、旧指針の㧢項目に(旧の⑴⑵は㧝項目にまとめられ)、「⑴ イ保育参加」と「⑵ウ外国籍等特別な配慮の必要な家庭への支援」とが新規に加えられ、㧣項 目となった。筆者は、旧指針で並列表記だった㧢項目のうち、中項目に挙げられた㧟項目が現 指針では強調されていると考える。この強調されている項目は「保育所の特性」としての「保 護者との接触がある」「日々子どもが通う」「子どもの育ちを支える保育実践の場」「社会資源 との連携や協力が可能」だからこそできる「保育所の特性を生かした子育て支援」である。 Ḿǽ Ȉᴰᴫ٥ڒȾȝȤɞފᑎȹୈ૵ȉᴥக઩ᦉᴦȻȈᴰᴫ٥ڒɁί឴ᐐኄȾߦȬɞފᑎȹୈ૵ȉᴥး ઩ᦉᴦ  旧指針「第㧢章 㧟.地域における子育て支援」では「保育所の特性」という言葉は出てこ ない。解説書では「地域における子育て支援においても、保育士、栄養士、調理員、看護師な どの職員が配置されているという保育所の特性を生かして、これらの専門職員がその専門性を 基盤として子育て支援に関わることが重要です。(下線筆者)」[11]との記載があるのみである。 現指針では、「第㧠章 㧟.⑴地域に開かれた子育て支援 ア(‒前略‒)地域の保護者等に対 して、保育所保育の専門性を生かした子育て支援を積極的に行うよう努めること。」との記載 があり、解説では、【保育所の特性を生かした地域子育て支援】[12]として具体的な内容が書かれ、 「保育所の特性を生かした子育て支援」が強調されている。

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ḿǽίᑎ੔Ɂ࿑ॴȻȪȹɁίᑎۢɁߩᩌॴɥႆȞȪȲފᑎȹୈ૵ ḧާްȪȲᜆފᩜΡɁഫኳȻί឴ᐐɁ᭴ᑎӌɁտ˨ɋɁୈ૵  現指針「第㧠章 子育て支援」の冒頭文の解説のところで「子どもの保護者に対する保育に 関する指導」について次のように述べられている(6)。「保護者が支援を求めている子育ての問 題や課題に対して、保護者の気持ちを受け止めつつ行われる、子育てに関する相談、助言、行 動見本の提示その他の援助業務の総体を指す。子どもの保育に関する専門性を有する保育士が、 各家庭において安定した親子関係が築かれ、保護者の養育力の向上につながることを目指して、 保育の専門的知識・技術を背景としながら行うものである」[13]。保護者支援というと保護者か らの相談に応じて助言をし、その困り感を無くすことだと思っている人もいるが、「援助業務 の総体」であること、そしてその目的は安定した親子関係を築くことと保護者の養育力向上で あり、保育の専門的知識・技術を背景としながら行うものであることを確認しておく。 Ḩίᑎ੔ίᑎۢȾ෰ɔɜɟɞ˿ᛵȽᅺឧˁ੫ᚓ  現指針の「第㧝章 総則」「㧝.保育所保育に関する基本原則⑴保育所の役割エ」では、保 育所における保育士が規定されており、解説では、保育所保育士に求められる主要な知識及び 技術として以下に示す㧢つの知識及び技術が述べられている[14]。  ①これからの社会に求められる資質を踏まえながら、乳幼児期の子どもの発達に関する専門 的知識を基に子どもの育ちを見通し、一人一人の子どもの発達を援助する知識及び技術、②子 どもの発達過程や意欲を踏まえ、子ども自らが生活していく力を細やかに助ける生活援助の知 識及び技術、③保育所内外の空間や様々な設備、遊具、素材等の物的環境、自然環境や人的環 境を生かし、保育の環境を構成していく知識及び技術、④子どもの経験や興味や関心に応じて、 様々な遊びを豊かに展開していくための知識及び技術、⑤子ども同士の関わりや子どもと保護 者の関わりなどを見守り、その気持ちに寄り添いながら適宜必要な援助をしていく関係構築の 知識及び技術、⑥保護者等への相談、助言に関する知識及び技術、の㧢つである。旧指針の解 説書においても、若干の文言の相違はあるものの同様の内容が保育士の専門性として述べられ ている[15]。保護者支援についての学びが十分でない学生の中には、⑥だけが保護者支援・子 育て支援に必要な知識及び技術と理解している学生もいる。しかし、橋本(2010)[16]が述べる ように、保育士は、これら㧢つの知識および技術を駆使して保護者を支援し、保護者の子育て を支援している。このことがまさに「保育所の特性を生かした子育て支援」である。 ᴯᴫί឴ᐐୈ૵ȾߦȬɞίᑎۢɁߩᩌॴɁҟႊ࣊ᝩ౼ ḻǽᄻᄑ ここでは、2015年に実施した質問紙調査の結果(7)から、保育士がどれくらい「保 育所の特性を生かした支援」を行っているかについて考えていく。質問紙では以下の㧞問を保 育士に尋ねた。質問㧝では旧指針の解説書にある上述した㧢つの専門性をどのくらい保護者支 援に利用できているか、質問㧞では、旧指針の「第㧢章 保護者に対する支援」の「㧝.保育 所における保護者に対する支援の基本」の㧣つの項目をどれくらい意識して保護者支援を行っ

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表㧝 対象者内訳 群 保育経験 年数 人数 平均 経験 年数 㧭 㧝年目 12 2.08 (48名) 㧞年目 20 㧟年目 16 㧮 㧠∼㧥年目 21 6.14 㧯 10年目∼ 4 21.6 ているかについて尋ねた。質問㧝では専門性を十分利用で きている状態を、質問㧞では「支援の基本」の理想とする 支援ができている状態を10点として現状の得点を整数点 で答えてもらった。また、公表について了解を得た。 Ḽǽ஁ศ 対象者:㧹県㧞市での若手保育士研修会参加者 82名。調査日:2015年㧥月と10月。調査方法:保育士研 修時に配布・回収。有効回答数73名(回収率89.0%)。回 答者内訳を表㧝に示す。㧭群を保育経験年数㧟年目まで(48 名)とし、㧮群を保育経年数㧠∼㧥年目(21名)、㧯群を 保育経験年数10年目以上(㧠名)とした。保育経験年数㧥年目までの㧭群㧮群69名の保育士 結果を分析し、㧯群は参考とした。 ḽǽፀ౓ 質問㧝「(旧指針)保護者支援に対する保育士の専門性の利用度」の結果を表㧞に、 質問㧞「(旧指針)保護者に対する支援の基本がどれくらいできているか」の結果を表㧟に示す。 表㧞 保護者支援に対する保育士の専門性の利用度 保育所保育指針(年告示) 第1章総則 2保育所の役割 () 保育士の専門性 解説書 AB 群 名 A群 名 B群 名 ☆ 両側検定t値 p C群 4名 M SD M SD M SD 差 M SD ① 子どもの発達に関する専門的知識を基に子どもの育ちを見通し、ȰɁ਽ᩋˁᄉᤎɥ૵ӒȬɞ੫ᚓ . 1.31 4.65 1.15 5.81 1.30 1.16 t(68)=3.67 ** 6.50 1.12 ② 子どもの発達過程や意欲を踏まえ、子ども自らが生活していく力を細やかに助けるႆ๊૵ӒɁᅺឧˁ੫ᚓ . 1.43 5.02 1.41 5.95 1.25 0.93 t(68)=2.58 * 6.75 0.83 ③ 保育所内外の空間や物的環境、様々な遊具や素材、 自然環境や人的環境を生かし、ίᑎɁၥہɥഫ਽Ȫ ȹȗȢ੫ᚓ . 1.57 4.50 1.59 5.52 1.26 1.02 t(68)=2.57 * 5.75 2.17 ④ 子どもの経験や興味・関心を踏まえ、റȁȽᤅɆɥៈȞȾࠕᩒȪȹȗȢȲɔɁᅺឧˁ੫ᚓ . 1.32 4.75 1.27 5.57 1.26 0.82 t(68)=2.45 * 5.25 2.17 ⑤ 子ども同士の関わりや子どもと保護者の関わりなど を見守り、その気持ちに寄り添いながら適宜必要な 援助をしていくᩜΡഫኳɁᅺឧˁ੫ᚓ . 1.41 5.15 1.37 6.10 1.27 0.95 t(68)=2.67 ** 6.50 1.12 ⑥ 保護者等へのᄾᝬˁӒ᜘ȾᩜȬɞᅺឧˁ੫ᚓ . 1.56 4.42 1.46 5.76 1.38 1.34 t(68)=3.54 ** 6.75 0.83 保育士の保育経験年数 㧭群:㧝∼㧟年 㧮群:㧠∼㧥年 㧯群:10年以上      *p<.05 **p<.01 M:平均点 SD:標準偏差 ☆差:㧮群と㧭群の得点平均の差  表㧞に示した保護者支援にする「保育士の専門性」の利用度の得点の平均点は、どの項目も 㧮群(保育経験年数㧠∼㧥年目)の方が㧭群(保育経験年数㧟年以内)よりも㧝点前後高い。 t 検定の結果、㧢項目とも㧭群㧮群間で有意差が確認できた(表㧞)。㧢項目の内、「①成長発 達援助」「⑤関係構築」「⑥相談・助言」が㧝%の有意差、「②生活援助」「③環境構成」「④遊 びの展開」は㧡%の有意差が認められた。⑤②の知識・技術の専門性の得点平均が㧭群㧮群と も比較的高い。㧭群は、⑥が最低の4.42点で、次に得点の低い項目順に③①④で㧠点台である。 㧮群は、③が最低の5.52点で、次に低い項目順に④⑥①であるが、㧡点台である。AB 群合わ せた結果で得点の低い項目は③⑥④①(④①は同点)の順である。数は少ないが㧯群でも④③ の得点が低い。㧯群は⑥と②の得点平均がともに6.75点で高く、SD も小さい。

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表㧟 「保護者に対する支援の基本」を現状の保護者支援でどれくらいできていると考えているのか 保育所保育指針の保護者に対する支援の基本 AB 群 名 A群名 名B群 ☆ 両側検定t値 p C群 4名 M SD M SD M SD 差 M SD ⑴ 子どもの最善の利益を考慮し、子どもの福祉を重視 すること。 . 1.54 5.38 1.55 6.43 1.26 1.05 t(68)=2.71** 6.75 0.83 ⑵ 保護者とともに、子どもの成長の喜びを共有するこ と。 . 1.48 6.81 1.58 7.86 0.89 1.05 t(67)=3.44* 7.50 0.50 ⑶ 保育に関する知識や技術などの保育士の専門性や、 子どもの集団が常に存在する環境など、保育所の特 性を生かすこと。 . 1.41 5.06 1.39 5.95 1.25 0.89 t(68)=2.48 * 6.75 1.09 ⑷ 一人一人の保護者の状況を踏まえ、子どもと保護者 の安定した関係に配慮して、保護者の養育力の向上 に資するよう、適切に支援すること。 . 1.31 5.13 1.33 5.76 1.15 0.63 t(68)=1.87 + 5.75 0.83 ⑸ 子育て等に関する相談や助言に当たっては、保護者 の気持ちを受け止め、相互の信頼関係を基本に、保 護者一人一人の自己決定を尊重すること。 . 1.47 5.63 1.48 6.19 1.37 0.56 t(68)=1.47 ns 6.25 1.30 ⑹ 子どもの利益に反しない限りにおいて、保護者や子 どものプライバシーの保護、知り得た事柄の秘密保 持に留意すること。 . 2.03 7.63 2.13 8.19 1.71 0.56 t(68)=1.06 ns 9.00 1.22 ⑺ 地域の子育て支援に関する資源を積極的に活用する とともに、子育て支援に関する地域の関係機関、団 体等との連携及び協力を図ること。 . 1.93 4.54 1.89 5.71 1.78 1.17 t(68)=2.38 * 5.00 2.24 保育士の保育経験年数 㧭群:㧝∼㧟年 㧮群:㧠∼㧥年 㧯群:10年以上    +.05< p < .10  *p < .05  **p < .01 M:平均点 SD:標準偏差 ☆差:㧮群と㧭群の得点平均の差  ⑵のみ不等分散のためウェルチ法を使用  表㧟においても、表㧞と同様㧮群(保育経験年数㧠∼㧥年目)が㧭群(保育経験年数㧟年以 内)より得点平均は高いが「⑴子どもの最善の利益と福祉」、「⑵子どもの成長の喜びを共有」、 「⑶保育所の特性を生かす」、「⑺関係機関との連携」のみ t 検定で有意差が認められた。㧭群 㧮群ともに平均点が高いのは、「⑹プライバシーの保護」、「⑵子どもの成長の喜びを共有」で ある。しかし、⑵に比べ⑹の SD は大きい。平均点の最低は、㧭群㧮群共に「⑺関係機関との 連携」の項目であり、㧯群でも最低点である。㧭群㧮群で(順位は異なるが)⑺の次に得点の 低い㧞項目は「⑷保護者の養育力の向上」と「⑶保育所の特性を生かす」である。 Ḿǽᐎߔ 以上の結果から次のことが考えられる。質問㧝(表㧞)、質問㧞(表㧟)ともに保 育経験年数が長い方が得点平均は高い。つまり、保育経験年数が長い方が、保護者支援に専門 的知識・技術を使い、支援の基本を押さえた支援ができていると認識している。質問㧝の保護 者支援に対する保育士の㧢つの専門性の利用度では全ての項目で保育経験年数(㧭群㧮群)間 での有意差が見られた。しかし、質問㧞「保護者に対する支援の基本」では㧭群㧮群間に有意 差のない項目もあった。この理由については、質問㧝では保護者支援を行う際の「保育士の専 門性の知識・技術」の利用度のため、経験年数要因が回答に影響を与えるが、質問㧞では「保 護者に対する支援の基本」という、ある意味心構えや態度という意識の持ち方を尋ねているた め、経験年数要因に加えて、意識の持ち方という個人差の要因が大きいためと推測する。した がって、質問㧞では項目間での得点差も大きい。特に、最高点の「⑹守秘義務」と最低点の「⑺ 関係機関との連携」は㧭群㧮群とも SD が大きく個人の意識レベルの差が大きいと推測できる。 ⑹⑺の個人の意識レベルの差は、その必要性を強く意識する立場にいるかどうか、そしてその

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役割意識の相違も影響を与えていると推測する。現に古田(印刷中)は、地域子ども・子育て 支援事業の㧝つである「利用者支援事業において保育士が専門員として生かすことができる専 門性は何か」という研究の中で、地域の関係機関と連携ができていることの項目(表㧟では、 得点平均の低い⑺)は、利用者支援事業従事者の内80%が業務に必要な専門性として意識し ていることを示している[17]  また、古田(印刷中)は、保育士資格をもつ利用者支援従事者が㧢つの専門性すべてを業務 に利用しているにもかかわらず、「保育の環境構成」や「遊びを展開」、「日常生活支援」の㧟 項目は業務に必要な専門性としての認識が弱いことを示し、保育士資格を持つ利用者支援従事 者たちは、事業の目的である「情報提供や相談・助言」に強い意識を持っているため、一部の 専門性についての意識のみが顕在化するという偏りが出たのではないかと推測している[18] 実際の利用者支援の際にはこれら㧟つの専門性についても発揮しながら親子を支援しているに もかかわらず、主として子どもの保育に発揮する専門性として、利用者支援の専門性という意 識からは後退させていると考えられる。表㧞において㧮群㧯群では「③環境構成」「④遊びを 展開」の得点が低い。保育経験年数が短い㧭群では、「⑥相談・助言」へのハードルが高いこ とは想像に難くないが、その㧭群でも③④は得点の低い項目である。これら「③環境構成」や 「④遊びを展開」が保護者支援に利用できていないと認識している保育士も上述した古田の結 果同様、保護者への直接の支援を意識しすぎるため、保護者支援には利用できていないという 認識になるのであろう。ただし、保育所保育士は「②日常生活支援」が業務であるため、古田 の利用者支援事業従事者の結果とは異なり、表㧞では利用度得点が高く出ていると考える。  表㧟より、上述した最低点の⑺を除いて、㧭群㧮群では「⑷保護者の養育力の向上」と「⑶ 保育所の特性を生かす」の項目得点が低い。㧯群でも⑷は低い。旧指針で既に「保護者の養育 力の向上」、「保育所の特性を生かした子育て支援」、「子どもの保育と密接に関連した保護者支 援」について述べられていたにもかかわらず、保育士の意識レベルでは保護者支援に十分生か されてないと認識されている。ただし、筆者は、「保護者の養育力の向上」と「保育所の特性 を生かす」の得点が低いのは、表㧞での結果と同様、保育士の意識レベルであって、これらの 項目内容を生かした支援は実施されていると考えている。この理由については後述する。 ᴰᴫί឴ᐐȟୈ૵ȨɟȹȗɞȻ९ɢȽȗȻȦɠȺɁୈ૵  筆者は、「保育所の特性を生かした子育て支援」で最も特徴的だと考える支援は、保護者が 支援されていると思わないところでさまざまな支援が可能である点だと考えている。支援には、 発生予防の段階(第㧝段階)、進行予防の段階(第㧞段階)、特別なニーズへの対応段階(第㧟 段階)と㧟段階想定される(石隈1999[19]、橋本2010[20])。ここでは、各段階で保護者が支援さ れていると思わないところでの「保育所の特性を生かした子育て支援」について考えていく。

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ḻǽᄉႆ̙᩻Ɂ෉᪡ȺɁୈ૵  保育士が行う支援で言えば、保護者がそれほど子育てに困っていなくても、それぞれの保護 者や家族が本来もっている力が十分働くように手助けしたり、潜在的な力を引き出したりする ことも含まれる。保護者同士が支えあう関係を作っていくことに力を貸すことも子育て支援で ある。加えて、子育て家庭ではない人々(例えば地域の高齢者の方)にも働きかけ、その方々 の力を引き出し、相互扶助力や地域の子育て力を高めていく役割もある。これら発生予防(第 㧝段階)の支援は、まさに、現指針第㧠章冒頭文で述べられている「保護者及び地域が有する 子育てを自ら実践する力の向上に資する」支援である。発生予防の段階の支援は、保育士の行 う子育て支援のなかで、保育士の専門性を最も有効活用でき、かつ「保育所の特性を生かした 子育て支援」だと筆者は考えている。保育士は「保育所の特性を生かした子育て支援」として、 発生予防の支援を数多く行っているが、そのほとんどは保護者が支援されているとは思わない ところでの支援であり、かつ、支援を行っている保育士自身にその自覚が足りないと筆者は考 えている。日々の日常業務に流されて、自覚なしに支援を行っていることが、表㧞において「③ 環境構成」や「④遊びを展開」の項目を保護者支援に利用しているという得点を低くし、表㧟 で「⑶保育所の特性を生かす」と「⑷保護者の養育力の向上」の得点が低い理由であると考え る。表㧟で示されている「⑵保護者とともに、子どもの成長を共有すること」については、保 育経験年数にかかわらず、高い得点であるが、「⑵保護者とともに、子どもの成長を共有する」 ためには「⑶保育に関する知識や技術などの保育士の専門性や、子ども集団が常に存在する環 境など、保育所の特性を生か」して子どもの成長を共有していることを自覚する必要があると 考える。現指針では、筆者の思い通り、「(‒前略‒)保育所の特性を生かし、保護者が子どもの 成長に気付き子育ての喜びを感じられるように努めること。」(「第㧠章 㧝.⑴イ)に変更さ れている。  柏女ら(2010)は表㧞に挙げた㧢つの専門性と柏女らが提唱する保育相談技術を生かした保 護者支援の具体例を示している[21]。柏女ら(2010)が紹介しているような支援を、保育士は 日常的に行っている。一例を挙げれば「(子どもが)パパとサッカーしたから上手になったと言っ ていましたよ」という保育士からの日常会話そのものが父親の子どもに対する関わりを肯定し、 養育力向上に資する子育て支援になっていることを自覚することで、「⑶保育所の特性を生か す」ことと「⑷保護者の養育力の向上」に資する子育て支援のスキルアップにつながるはずで ある。日常会話の中で、子どもの肯定的姿や成長を伝え、保護者の日々の努力を労うことはも とより、保護者の言葉をリフレーミング[22]したり、メンタライズ[23]したりして何気なく保護 者に異なる視点を与えたり、時には趣味や好物の話で保護者のリフレッシュの時間を共有した りしていることも、子育て支援に通じている。したがって、保育者のコミュニケーション力や 人間関係形成力が問われるのである。 Ḽǽ᣹ᚐ̙᩻Ɂ෉᪡ȺɁୈ૵  進行予防(第㧞段階)では、保護者から困り感の相談をされることが多くなるが、相談され

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なくても、子どもの様子が不安定であれば、保育所内で子どもが健やかな成長や心穏やかに過 ごせるような支援を行う。「子どもの育ちを支える保育実践」が「保育所の特性を生かした子 育て支援」である。当然「①成長援助」「②日常生活援助」「③環境構成」「④遊びを展開」「⑤ 関係構築」などの専門的知識・技術が使われているはずである。それぞれの家庭の状況に合わ せた子どもへの配慮こそ「保育所の特性を生かした子育て支援」であるが、この場合、子ども を支援することを通して保護者の子育てを支援しているので、保護者にとっては直接的な子育 て支援ではなく、支援されているという意識は持ちにくい。同様に、保育士も子どもの保育を しているのであって、子育て支援であるという意識を持たない場合がある。  保育者は子どもとの日常を共有している。それが最大の強みである。そして保護者ともいろ いろな場面を共有できる。たとえ保育者が問題と感じていることに関して保護者とその問題意 識を共有できなくても、同じ場面を共有していることで、あるいは、活動を共有することを通 して、保護者には支援として認識されなくてもさりげなく支援をすることはできる。そのこと が「保育所の特性を生かした子育て支援」である。  進行予防の段階では、保育指導として現指針の解説で述べられる相談、助言がなされること が多くなる。広辞苑によると、相談は「互いに意見を出して話し合うこと。談合。また、他人 の意見を求めること」[24]、助言は「かたわらから言葉を添えて助けること。また、その言葉。 口添え」[25]である。このことより相談支援という言葉は、話し合いそのものが支援を意味する 場合と、話し合ったことを基にしてそこから話し合い以外の方法で支援していくという㧞通り が考えられる。相談は話し合いであるので元来相談の意味の中には助言は含まれない。相談の 意味の中に他人の意見を求めることとあるので、助言が含まれる場合もあるが、相談されたか らといって助言することは必須ではない。にもかかわらず、相談されたら何か助言をしなけれ ばならないと考えてしまうことにも注意が必要である。保護者はただ話を聴いてほしいだけの 場合がある。相談支援の場合、原則は、相談に来た本人が解決策を見つけていくことを助ける ように話し合うのであるが、そのためには何か助言をした方が良い場合ももちろんあろう。助 言はその人の助けになることが条件であって、客観的には適切な助言であってもその人の助け にならなければ、助言とは言えない。助言は行動教唆になり易く、相手の主体性を奪うおそれ をもつ。現指針で強調されているのは、保護者の主体性の尊重である。対話での保護者への直 接的な助言だけではなく、保護者からの相談内容を基に、子どもへの関わりや保育の見直しを すること、掲示や園だよりで子どもの育ちや子育てで大切なことを知らせていくことも「保育 所の特性を生かした子育て支援」である。 ḽǽ࿑ҝȽʕ˂ʄɋɁߦख़෉᪡ȺɁୈ૵  特別なニーズへの対応段階(第㧟段階)は、保育現場だけの支援では限界があることが多く、 他の専門機関と連携しながら長期的な視点に立って、それぞれの機関の専門性が有機的に機能 するよう働きかけていく必要がある。つまり現指針解説にあるように「地域の公的施設として、 様々な社会資源との連携や協力が可能」[26]であることが「保育所の特性を生かした子育て支援」

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である。しかし、他機関や社会資源との連携や協力の大部分は直接的には保護者の目に見えな いところで行われる。筆者への保護者支援の研修会講師の依頼では、この特別なニーズへの対 応段階への研修内容を求められることが多い。現場での苦慮が伝わってきて即効的な対応策を 求めたい気持ちはわかる。しかし、筆者は、保育所保育士ができる支援においては「保育所の 特性を生かした」保護者が支援されているとは思わないような日常の細やかなさりげない小さ な支援の積み重ねが保護者を支え、養育力の向上につながると信じている。 ḾǽᄾᝬൡᩜȻȪȹɁ୧ࠊɁͲȨ  保護者が支援されていると思わないところでの支援に貢献しているのが、保育所が他の相談 機関よりも相談の敷居が低いということだと考える。保護者にとっての保育所は、子どもが育 つ場という認識が強く、相談機関としての機能はそれほど意識されていない。柏女(2010)が 述べているように保育士の専門性は、ある特定の分野においての専門性が求められるというよ りは、子どもや利用者の生活全体を総合的に支援するため『生活総合性』の専門性[27]のために、 特定分野の専門家とはみられてないためである。しかし、そのことが、保護者にとっては、相 談機関に相談するよりも相談に対する敷居が低いというメリットになる。他の相談機関より相 談の敷居が低いために、保護者にとっては専門機関に支援を求めるという感覚ではなく、日常 会話の延長線上に支援が行われる。そのことが支援を受けるハードルを下げることになる。日 常会話故に支援を受けているという意識さえも減じる。  保育所・保育士は保護者にとっての最初の相談窓口であり、最初の支援者である。最初に経 験した相談支援がそれ以後の相談に対する構えを作る。最初の相談支援が適切であれば、保護 者が一人で抱え込むことも無くなる。自身の経験から支援者(先生)に対してマイナスイメー ジを持っている保護者もいるが、子どもの先生に信頼が持てれば、過去の支援者(先生)に対 するマイナスイメージも払拭される。保育士と子どもの保護者との関係は、その園だけの問題 ではなく、それ以降の学校の先生と保護者との関係にまで影響する。 ḿǽίᑎю߁Ɂᄉα  ヘックマン(古草訳2015)[28]の指摘以来、世界的に幼児期の学びの重要性、特に非認知力の 形成の重要性については周知されてきている。現指針の解説においては、「環境を通して乳幼 児期の子どもの健やかな育ちを支え促していくことに、保育所保育の特性があるといえる。」[29] と乳幼児期の学びは環境を通して行われることも明示されている。環境を通して学ぶのは保護 者も同様であり、高山(2018)は保育環境での子育て支援の重要性を述べている[30]。筆者は、 乳幼児期の学びとしての非認知能力の育ちや幼児期の終わりまでに育ってほしい10の姿を伝 えることも「保育所の特性を生かした子育て支援」であると認識している。全国保育士会では 2016年より、保育の言語化を推進している[31]。保育士が自らの保育実践のねらいを意識して、 発信することが保育の質を高め、子育て支援にもつながる。田中(2018)は自園のホームペー ジで発信している子どもの姿から保護者が受け取っているものを検討し、楽しさと活動内容は

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伝わっているが、その活動によってどんな成長が子どもに見られるかについては伝わりにくい ことを示している[32]。だからこそいかに伝えるかに工夫が必要である。  最近はドキュメンテーションによって保育内容や子どもの成長を保護者に伝える努力がなさ れてきている。舞鶴市では2013年から市をあげてプロジェクト型保育を進め、ドキュメンテー ションの作成を行ってきている。㧡年経過した2018年度の舞鶴市乳幼児教育ビジョン推進事 業実施報告では、「保育の可視化のひとつでもあるドキュメンテーションが、子どもとの会話、 保護者同士の会話の糸口にもなり、保育者の子どもへの言葉がけややりとり、発達に関する記 述が子育ての参考にもなっていることがうかがえる。また、㧝人の子の興味・関心から、クラ ス全体で共有し、広がっていく保育や、保育者の指示ではなく、子どもを主体にしながらも、 保育者の教育的意図やサポートを知ってもらう機会になっており、保育への理解につながって いることがうかがえる。保育を可視化することは、保護者に子育てや保育への理解を促す、親 子だけでなく、保護者同士も結びつける効果もあると言える。」[33]と述べられている。ドキュ メンテーションでなくても、日々、クラス前に掲示するホワイトボードやお便り帳の記述で子 育て支援を行っているとの意識をもつことで、記述内容が変わり、子どもをみる目も変わるは ずである。地道な道のりではあるが、日々の保育の発信への努力が保育士自身を変え、保護者 の意識を変え、安定した親子関係の構築と保護者の養育力の向上につながる。 ȝɢɝȾ  旧指針解説書においても「保育所の特性を生かした支援」[34]や「子どもの保育と密接に関連 した保護者支援」[35]という文言があるにもかかわらず、表㧞、表㧟で示されたように、日常の 保育業務を保護者支援・子育て支援の視点から捉えていない保育士の実態があった。現指針で さらに強調された「保育所の特性を生かした子育て支援」に対して、日常の保育を子育て支援 の視点から見直す必要性を論じてきた。特性とは「そのものだけが有する、他と異なった特別 の性質。特質」[36]であるから、保育所がもつ一般的な特性だけでなく、それぞれの園がもつ特 有の優れた特質も保育所の特性である。園庭が広い、子育て支援センターを併設、小学校に隣 接、畑がある、地域の高齢者施設との交流がある、〇○が得意な職員がいるなど、各園独自の 特性(資源)を子育て支援に生かす方法を考えていくことも「保育所の特性を生かした」質の 高い子育て支援につながる。 า ⑴ 本論で述べる2017年告示 保育所保育指針第㧠章の文言は、厚生労働省編 2017年告示 保 育所保育指針 フレーベル館の第㧠章(pp. 36‒37)より引用し、該当箇所のページ数は省略す る。 ⑵ 本論で述べる2008年告示 保育所保育指針第㧢章の文言は、厚生労働省編 2008年告示 保 育所保育指針 フレーベル館の第㧢章(pp. 31‒33)より引用し、該当箇所のページ数は省略す

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る。 ⑶ 2017年告示の保育所保育指針(現指針)は2018年㧟月に厚生労働省編『保育所保育指針解説』 が出版されており、2008年告示の保育所保育指針(旧指針)では2008年㧡月に厚生労働省編『保 育所保育指針解説書』が出版されている。従って、現指針では解説、旧指針は解説書として述 べていく。 ⑷ 旧指針「第㧢章 㧝」の㧣項目の内「⑴子どもの最善の利益を考慮し、子どもの福祉を重視す ること。」の内容は、現指針の「第㧠章 㧝」には記されていない。ただし、「最善の利益」に ついては「第㧠章冒頭文」の解説で、「子どもの最善の利益を念頭に置きながら」(p. 328)と あり、「子どもの福祉が尊重されるように努め」は現指針では、「第㧠章 㧞⑵ア」、旧指針で は「第㧢章 㧞⑶」に記されている。 ⑸ 保育所保育指針での「保育参加」の記載は2017年告示版が初めてであるが、幼保連携型認定 こども園教育・保育要領[37]には2014年時点で「保育参加」の記載が認められる。 ⑹ 旧指針解説書では同様の内容が㧝文で示されていた。 ⑺ ここで示す研究結果は、小嶋が保育士データを、田辺が学生データを分析し、保育学会で以下 の㧞編の発表を行った内容の内、⑴保育士の意識調査のデータを小嶋が再分析し、新たに考察 し直したものである。  ・小嶋玲子・田辺恭子2016「保護者支援における保育士の専門性⑴─保育士の意識調査から─」 日本保育学会第69回発表要旨集 p. 734  ・田辺恭子・小嶋玲子2016「保護者支援における保育士の専門性⑵─学生の意識調査から─」 日本保育学会第69回発表要旨集 p. 874 ऀႊ୫စ [1] 厚生労働省編 2018 保育所保育指針解説 フレーベル館 p. 6 [2] 厚生労働省編 2008 保育所保育指針解説書 フレーベル館 p. 181 [3] 前掲 [1]  p. 328 [4] 同上   p. 330 [5] 同上   p. 330 [6] 同上   pp. 330‒331 [7] 同上   p. 330 [8] 同上   p. 334 [9] 同上   p. 330 [10] 前掲 [2]  pp. 187‒188 [11] 同上   p. 195 [12] 前掲 [1]  pp. 339‒340 [13] 同上   p. 328 [14] 同上   p. 17 [15] 前掲 [2]  pp. 19‒20 [16] 橋本真紀 2010 第㧞部 第㧞章 第㧞節 保育相談支援における基本的技術 柏女霊峰・橋 本真紀 増補版 保育者の保護者支援─保育相談支援の原理と技術 フレーベル館 pp. 186‒ 205 [17] 古田美津子 印刷中 利用者支援事業において保育士が専門員として生かすことができる専門 性は何か 日本保育学会第73回発表要旨集 発表予定(投稿済み) [18] 同上

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[19] 石隈利紀 1999 第㧢章 㧟段階の心理教育的援助サービス 学校心理学 誠信書房 pp. 140‒159 [20] 前掲 [16] 第㧞部 第㧝章 第㧟節 保育相談支援の㧟つの段階 pp. 165‒167 [21] 柏女霊峰監修・編著 橋本真紀・西村真美編著 2010 保護者支援スキルアップ講座 保育者 の専門性を生かした保護者支援─保育相談支援(保育指導)の実際 ひかりのくに [22] 大熊保彦編集 2011 リフレーミング:その理論の実際  つらい とき見方を変えてみたら  ぎょうせい [23] 池田暁史 2019 メンタライゼーションとは こころの科学206号 日本評論社 pp. 2‒6 [24] 新村出編 2018 広辞苑 第七版 相談 p. 1695 [25] 新村出編 2018 広辞苑 第七版 助言 p. 1469 [26] 前掲 [1]  p. 330 [27] 柏女霊峰 2010 第㧝部 第㧡章 第㧝節保育相談支援の専門性の基本的特性 前掲 [16]  pp. 103‒104 [28] ジェームズ・㧶・ヘックマン(著),古草秀子(翻訳) 2015 幼児教育の経済学 東洋経済新 報社 [29] 前掲 [1]  p. 15 [30] 高山静子 2018 子育て支援の環境づくり エイデル研究所 [31] 全国社会福祉協議会 全国保育士会 保育の言語化検討特別委員会 2016 養護と教育が一体 となった保育の言語化∼保育に対する理解の促進と、さらなる保育の質の向上に向けて∼ [32] 田中裕子 2018 「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」の見える化 日本保育学会第71回 発表要旨集 P-A-4-3 [33] 舞鶴市 平成30年度乳幼児教育ビジョン推進事業 実施報告 実施報告書㧝 p. 22 https://www.city.maizuru.kyoto.jp/kenkou/cmsfiles/contents/0000004/4164/H30maizuru190331_1.pdf  最終閲覧日2020/01/06 [34] 前掲 [2]  p. 183 [35] 同上   p. 187 [36] 新村出編 2018 広辞苑 第七版 特性 p. 2087 [37] 幼保連携型認定こども園教育保育要領 平成26年内閣府 文部科学省 厚生労働省告示第一 号 https://www8.cao.go.jp/shoushi/shinseido/law/kodomo3houan/pdf/seisyourei/h260430/c1-2-honbun.pdf 最終閲覧日 2020/01/06 ពᢷ アンケート調査にご協力いただいた保育士の方々に感謝申し上げます。 (受理日 2020年㧝月㧤日)

参照

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