障害児 の兄弟関係*
-
しっとを ど う解決す
るか-The Relation of Handi capped Children to るか-Their Siblings
は じめ に . 今 日は先 日答 えていただいた アンケー トを もと に して,障害 児の兄弟関係 とい うことについてお 話 してみた い と思います。 ど うして このテーマを 選 んだか といいます と,障害児本人の ことにあ ま りに もお母 さんが一生懸命 にな ると, どうして も お姉 ち ゃんだ とかお兄ち ゃんだ とかに不満 がでて しま う。 また,障害児 に弟妹が生 まれた場合 ど う して もそ っちに手がかか って しま う。 この ときに お こる障害 児 自身 の不 満 を ど う解 決 した らい い か。 そ うい った ことを中心 にお話 してみたい と思 ったわ けです。 み な さん に答 えていただいた アンケー トの結果 につ いてお話す る前 に,そ もそ も兄弟関係 には ど んな特徴や利点があ るか とい うことについて,簡 単 にふれてみたい と思います。表1をみて下 さい。 表 1 兄弟関係の利点 1.大人 より真似 しやすい 2.大人 より絶対でない 3.大人 より競争事態で真剣である 4.大人に比べて役割を交替 しやすい 5.大人 (親)に叱られた ときの逃げ場になる 6.親の期待が分散する ここに多分 こんな利点があ るだろ うとい うもの を あげてみ ま した。 まず,兄弟の行動 は大人の行動 よ り真似 Lやす い とい うこ とがかいてあ ります。 これ は,年齢 が 近 いので興 味 を もつ対象 も,身体つ きや大 きさも, *本稿 は港 区立 のぞみの家の母親勉強会での講演 (プ ランナー:細貝順子)を文章化したものである。 辛*港区立 のぞみの家 〔〒106東京都港区西麻布2-1-5〕 (長野大学産業社会学部社会福祉学科)
井 原
成 男
*
*
Nario Ihara
能力 も大人 よ りは近 いわ けです。だか ら真似 Lや す い とい うことにな ります。真似 Lやす い とい う ことは,それだけ学習す るチ ャンス も増 えてい く とい うことなのです。次 に,絶対者で ない とい う ことがあげてあ ります。 これは例 えば,兄ちゃん な ら兄 ち ゃんは, オネシ ョを してはいけないよと い って弟を さとして も, 自分 も失敗 して しま うと い うこともお こ ります。 ところが親 には こんな こ とはない。親が子 どもに, オシ ッコを しちゃいけ ない とい っておいて, 自分 も失敗す る とい うこと は まず お こ りえません。 イス ラエルのキ ブツでは 年長の者が オネシ ョな どの しつ けをす るので,権 威 像 が とて もゆ るやかであ る とい うこ とです1)03
番 目にあげてあ る大人 よ り競争事態 に真剣であ る とい うのは こ うい うことです。つ ま り, オモチ ャの取 りあいな ど,子 ども同士 の関係 は とて も真 剣 です。 これが大人の場合,相手が子 どもだ とど うして もこ うはい きませ ん。子 どもとオモチ ャの 取 り合 いをす るなんて ことはまず あ りえませ ん。 まあだいたい子 どもに譲 ります。 また ゲームをや るに して も真剣 にや ったのでは大人の方 が圧倒的 に差をつ けて,勝負にな りませ ん。だか ら,大人 はついてかげん してあげ ます。 このため に子 ども は真剣 な社会性の育つ チ ャンスをな くして しま う のです。次 に,役割の交番 とい うのは,子 ども同 士 でお互いに赤 ち ゃんの役 を とった り,兄の役を とった り,父親 になった り,母親 にな った りで き ます。 そ うい うことを さしてい ます。 ところが, 大人の場合, こんなに縦横無尽 には役割 を交替 し てあげ られ ません。 アンナ・フロイ トとい う人は, 施設 にい る子 どもたち,子 どもたち同士 で2
4
時間 暮 している子 どもについて,相手を思いや る気持 ちが一般の家庭児 よ り早 く発達す る とい っていま す2)。 これ は子 どもた ち同士 で暮 して い ますため に早 くか ら相手の役割を 自分が とってあげなけれ ばいけない,そ うい うチ ャンスが多 くな るために - 67-お こって くることです。時にはよ り幼い子の方が, 年長の子を助け ることさえあるのです。最後に5 と6の,親の叱責 ・期待が分散す るとい うことが あげ られ ます。 これは私 自身の母親の例ですが, 私のイクズラに怒 った ときは, カ ッときて 自分の 生んだ順に子 どもの名前をいっていました。私は 4番 目で したので, 自分の名前が正 しく呼ばれる 前 に,す っとんで逃げるとい うことがで きました。 これが 自分一人 の一人 っ子です と,逃げる暇はな くなって しま うわ けです。 また,子 どもが一人 し かいなかった ら,親の期待 も失望 も一身に被 らな ければいけないわけですが,兄弟がいるとこれが 人数分 ,分散 され ます。この点,とて も気が楽です。 また表 にはあげ ませんで したが,兄弟が多い と, 大人になってか ら,誰が親をみ るか とい う問題で も幅がで きます し,困 った ときもなにか と助けに なって くれ ます。 これはまあ,兄弟関係が うま く い っている場合 にか ぎります けれ ど。 以上 の事 は裏返 す とすべ て欠点 に もな りえま す。つ ま り小 さい うちか ら社会性を身につ けねは な らず, もまれ るわけですので,一人 っ子 ならど んなに天国だろ うと思 うわけです。 しか し,我 々 は遅かれ早かれ, いずれは社会の中に入 ってい く わ けですか ら,大雑把にみて,社会性が早 くか ら 身につ くとい うのは利点ではなかろ うか と思いま す。 兄弟の関係は よ く 「ナナメの関係」3)といわれま す。 これは以上 のお話か らも分 っていただけた と 思 うのですが,親子は 「上下 とい うタテの関係」, 仲間は 「競争 ・協調 とい うヨコの関係」 とい うこ と,兄弟は丁度 この中間にあるとい うことで 「ナ ナメの関係」 と表現 されているわ けです。 A 兄弟構成について 22人のお母 さんが回答 して くれ ました。30名に アンケー ト用紙を渡 しましたので,かな り回収率 は よい と思います。22名中,一人 っ子は3人 (14 %)(男2人,女1人), 2人 っ子15人(68%)(罪 一男5人,女一男6人,男一女3人,女一女1人),
3
人兄弟 4人(18%)(男一男一女2人,女一男一 女1人,女一男一男1人)で した。 2人 っ子の時 代4)といわれていますが,のぞみの家で も2人 っ 子が68%と圧倒的に多 く,今や子 どもは2人 とい う時代であることが分か ります。子 どもの数の平 均 は2.
1
人で, これ もだいたい全国平均5)と同 じぐ らいです (全国平均-2.0人,1974年)。本人が1 番下の人が16人いました。(注 これは22人中16人 でかな り多い。その子に手がかか りっ切 りで, と て も次の子を生む どころでない。あるいは,次の 子が障害児であ った らど うしよ うとい う恐れか ら なかなか次の子を生めない とい うことが反映 され ていると思われ る。)Ⅰ
アンケー トか ら分 った兄弟関係
アンケー トは,①上の人 (兄 ・姉)がいてよか った ことは どんなことですか ? 困 った ことは何 ですか ? ②下の人 (弟 ・妹)が生れてよかった ことは どんなことですか ? 困 った ことは何です か ? (診困 った 問題 を どの よ うに解決 しま した か ? とい う3つの項 目か らなっています。一人 っ子の人には兄弟がいればよか った と思 うことは 何ですか ときいてあ ります。 表2 上の人がいてよかったこと書 見のいる人について 遊んでくれる」 3
0
%
(
6
)
・
・ l
あ ず か って くれ る (み は り番 .留 守 番 .私 が 助 か る)L_
_3
0
%(
6
)
)
真似する L15%(?)l お互いのことが分かるロ
ケソカの相手がいる[
コ
普通学級にいっている[
コ 5%(1) 身の回りの世話をやいてくれる[
コ
にぎやかで明かるくなる[
コ
友人を連れてくる[
コ
姉のいる人について 遊んでくれるl
31%(5) l 警碧 く.まわ して 競 争 す る)L2
i
師「
張 窟 .ltjl(.さ呉 くれ る)ロ亘
変司
友人を連れてくる□
12%(2) 身のまわりの世話をやいてくれる[
コ 6% (1) にぎやかで明かるい[
コ
*
N-15(兄のいる人8人,姉のいる人7人)**
(
)内は実数 (回答は何個あってもよいの で人数とは一致しない)B 上 の人 との関係 につ いて 表2をみ て下 さい。 これ は上 の人 (兄 ・姉) が いて よか った ことにつ いて, こち らで ま とめてみ た ものです。 上 が兄の い る人 につ いてです が, こ れ をみ る と
,
「遊 んで くれ る」,
「あず か って くれ る」,
「真似 す る」 が ほ とん どを 占めています。 こ の3つで75%を 占めて い ます。 これ は姉 の場合 も 同 じで, この3つで74%を 占めてい ます。 兄 と姉 が ちが うこ ととい えば,兄 は どち らか とい うと「あ ず か って くれ る」とい うのが多いのです が,
「姉 の 場 合 は 「真 似 る」 とい うのが多 いのです。 お姉 ち ゃんの方 が,先生的 な側面が強 い とい うこ となの で し ょうか ? 共通 してい えることは,上 の人 は, か な り遊 んで くれた り, あず か って くれた りで, 親 の手伝 い を して くれて い る とい うことです。 こ れ は裏返 してみ る と,本人た ちに とって負担 とな って しまいや す い とい うこ とにな る と思 わ れ ま す。 ところで, よか った こ との中に 「ケソカの相手 が あ る」 とい うのが入 っています。 これは ほ とん どの人 が困 った こ との中 に入れてい ます。 社会 性 が育つ, そ のため には相手 がい る とい うこ とが分 表3 上の人がいることで困ったこと' 兄のいる人について 苫 差 を LLt二言 等 仝 だ け か わ い い⊂
=
コ
22%(2)・・ 上 の 人 に か ま う と下 の 人 が 欲 求⊂二
コ
22%(2) 不 満 lこな る 上の人の時間がな くなる⊂
= ]㌶%(2) どうして何もできないのかときく⊂]
仲間はずれにす る[
コ 11%(1) わ け の 分 か らな い コ トノミを 真 似ロ
す る 姉のいる人について 時間が とれない (上の人に) l 31%(
4
)l
自分 も甘 え た い ●ど う して 自分[
二
亘
亘
変垂
]
だ け い け な い の か と き く .1∴ ∵ .I・:i-_告 ●-r
J
I
i
:
⊥」
上の人の悪いことまでまねる[
コ
ケソカがたえない[
コ 8%(1) ヒスをおこす[
コ
仲間はずれにす る[
コ
*N-15(兄のいる人8人,姉のいる人7人)**
(
)内は実数 かれは 「ケンカ」 は よい ことに も入れ る ことがで きるのです。見方 に よって同 じ行動 が よい こ とに な った り, 困 った ことと考 え られた りす る とい う の は大 変面 白い ことだ と思 い ます。 表3をみて下 さい。これ は困 った こ との方です。 兄 につ いてい うと,
「下 の人 に しっとす る」,逆 に 「下 の人が しっ とす る」 と 「上 の人 の時間が な く な る」 とい った ことです。 これ はつ ま り時間 をた っぷ りとってあげない と 「しっ と」す る6・7)とい う ことです。 この問題 で66%を 占めてい ます。 お姉 ち ゃんの場合 につ いてみ る と,少 し表 現がちが っ て い ます。「上 の人 に時間 が とってあげ られ ない」, 「上 の人 の しっ と」,
「下 の人 に邪魔 され る (オモ チ ャを壊す)」の順で, 合計す る と7
7
%
で大勢 を し め てい ます。 兄 と姉 を比較 してみす と, 兄の方 が 「時間 が とってあげ られ ない」 が22%だ った のに 姉 の方 は31%と一位 にな ってい ます。 これ はお姉 ち ゃんの方 が母親 か ら同情 されてい る。 いい代 え 脚 注 姉が我慢す るとい うパターンは,特に姉一弟の組 み合わせに多いのではないかと思われる。依田によ れば この組み合わせは弟に とって最 も調和的関係 をもつ ことが可能で,姉にとっては弟の優位を認め やすい関係であるとされている。依 田は この理 由 杏,姉は幼い ときか ら「あなたはお姉 さんなのだか ら,がまんしなさい」とくりかえしいわれてきた結 果ではないか としている5)。この関係はいわゆる「一 姫二太郎」の組み合わせである。本アンケー トで も, このような組み合わせの6人に同様 の傾向が多か った。 この組み合わせを もつ,ある5歳の女の子 (柿)が筆者に手紙を くれた ことがあるが,それに は 「お とうとがいつ もおせわになっています」とか いてあって苦笑 した ことがある。この女の子はいつ ち,弟のめんどうをみ,「小さな保母 さん」と呼ばれ る程かいがい しかった。筆者は,古事記の中のアマ テラス (柿) とスサ ノヲ (慕)の関係にも,似た よ うな状況をみて とれると思 う。スサ ノヲ (慕)のな す数々の悪行をアマテラスは,結局許す ように思わ れる。アマテラスは最後にはアマノイワ トから出て くるのだか ら。これはまさに姉 とい うより,母親的 (母性的)態度なのだ とい う立場か ら,I.河合 ら10)は スサ ノヲ論を展開 している。このように考 えて くる と,姉が母の同情をひ くとい う構造はより理解 しや すいものとなる。姉はここでは母 と同一視 されてい るのではなかろ うか?る と,兄 よ り姉 の方 が じっ と耐 えて面倒 をみてい る様子があ りあ りとみ える とい うことなので し ょ うか ? こ う考 えてみ る と「下の人 に邪魔 され る」 とい う表現 も母親 か らの同情的感想を こめたいい 方 の よ うにみ うけ られ ます脚㌔ 表4 困った ことの解決方法 (上の人 との関連にて) 1.説明する (病気のこと,まだ小さくて仕方 ないとい うこと) 2.かわ りはんこにおんぶ ・だっこ (交互に接 する,両方に同じことをさせる) 3.思いっきり遊んであげる時間をつ くる
4.
近所の人,父 (夫)の協力で切 りぬける 5.年齢が くれは分かる 6.オ モ チ ャは2つ買 う 7.ケンカは両成敗 表4をみて下 さい。 これはお母 さんな りの解決 方法をい くつかの項 目に分 けてみた ものです。 7
つの項 目がで きま した。 これを さらに3
つのポイ ン トにま とめてみ ま した。 ひ とつ は時間の ことで す。 これについては,両方 になん とか時間を とっ てかかわ ってあげ る とい う解決方法が とられてい るよ うです。交互 にか まってあげ る とい うことで すね。具体的 には,下の人が寝てか ら遊 んであげ るとか,お父 さんの協力をえて,例 えばお姉 ち ゃ んはお父 さんが遊 んで あげ る とい った こ とです (これは案外気づかれていない ことですが,お姉 ち ゃんは, お姉 ち ゃんだか らとい うことで損 して いることが多い。 お姉 ち ゃんだか ら我慢 しな さい とい うわけです。ですか らた まには,お姉 ち ゃん だか らデ ィズニーラン ドに連れてい ってあげ ると か,お姉 ち ゃんだか ら得 を した とい う体験 をた ま には させてあげ ることが とて も大切 な ことだ と思 うのです)。また これは大変面 白い解決方法だ と思 うのですが,あ る3人のお嬢 さんのお母 さんは, 下の人の写真 をみんなでみ るときはいつ も必ず, 上 の人たちの小 さか った頃の写真をみせて, あな たは覚 えてはいないだろ うけれ ど, こんなにかわ いが ってあげた んだ とい うことをみせ てあげてい ま した。 また このお母 さんは,た まに上 のお姉 ち ゃんだけ連 れて例 えは東北旅行 にでかけた りして いま した。 この よ うな楽 しい体験 は, お姉 ち ゃん に とって,-生残 るたの しい思 い出 とな ってい く と思われ ます。 次 のポイン トとして,
「しっと」とい う問題 があ げ られ ます。障害児には実際手がかか って しま う ので, この問題 を解決す るのは とて もむず か しい ことです。 この 「しっと」 心 に対す る心構 え とし て,「しっと心 を表現す る ことは決 して罪悪 ではな い」 とい うことを しっか りと頭 に入れてお くこと が大切 です。 この問題 につ いてはあ とで症例 をだ して, いかに 「しっと」 を表現す ることで, しっ とが解 決 されてい くか とい う見事 な例 を考 えてみ たい と思 いますので, この-んに してお きます。 次の第3の ポイン トと して,障害の ことを ど う 説 明す るか とい う問題が あ ります。つ ま り,下 の 人の障害 の問題 を どの よ うに上 の人 に説 明 してあ げるか とい うことです。 多分,上 の人 は, ど うし て∼ち ゃんはいつ まで も 自分でで きないの ? ど うして ポ クは い けないの に, ∼ち ゃん だ けい い の ? とい った質問を して くる と思 います。 これ は上 の人の年齢 によって答 え方が違 って きます。 病気 なのだ とい う説明 もあれば, まだ赤 ち ゃんな のだか ら仕方 ない といった答 え方 もあ る。 さまざ まの答 え方が, その子の年 齢 に応 じて考 えだ され なけれ ばいけないわけです。 これ は子 ども療育セ ンターの秋 山先生 のいわれ てい る ことなのですが8), 障害児 の こ とをお姉 ち ゃんな り,お兄ち ゃんに将来 も頼む とい うとその 子 に重荷 にな って反抗す るけれ ども, お前 はお前 の道をい きな さい .′ 私 が この子 はみ るか らとい って障害児を一生懸命かわ いが ると, か えってそ のかわ いが っている様子 をみて, よ く面倒 をみて くれ るよ うにな るとい うのです。 これ は障害児 に 対す る母親 の態度 を他の兄弟が 自分の中に取 り入 れ (同一化) していった結 果 だ と思われ ます。 同 じ障害 の程度 で も家族に よって雰 囲気 は全 く違 っ て きます。 よ り雰囲気の伸 びやかな家庭 の方が, 障害児 自身のパ ー ソナ リテ ィに よい影響 を与 える とい うことがいえると思 い ます。 上 の人はいい上 の人 (いい姉,いい兄)であ る こと, お りこ うさんであ る ことによって,親 か ら 索め られ,み とめ られ る。 そ うい う賢 い解決方法 によって この難問をの りこえてい くのだ と思いま す。私 自身 も6歳 はなれた妹 がいます が,丁度妹が生 まれた頃 , あれて学校 で問題 をお こしていた こ とを思い 出 します
(6
歳 に もな っていたの にそ うで した).そ して,妹 の面倒 を よ くみてあ坑 彼 女 が少 し大 き くな ってか らは, いつ も自分の遊 び に妹 を入れ て あげ る,よいお兄ちゃんになることで 親 か らも褒 め られ, そ うい う形 で この時期 をの り きって い った よ うに思 い ます。 ところで, 下 に障害児 が い るお兄ち ゃんに とっ て は, 下 の人 に手 がかか る,下 の人が赤 ち ゃんで あ る時期 がそ うと う長 び く, そ んな兄弟関係 にな って い くので は ないか ? そん な風 に私 は イ メー ジ して い ます 。 C 下 の人 との関係 について 表5をみ て下 さい。今度 は下 の人 との関係 につ いて分 った こ とです。 まず よか った こと。弟 につ いて は 「よ く遊 ぶ」,
「よい刺激 を与 える」,
「競争 心 がで る」,
「真似 る」 な どがあげ られて い ます。 ところで面 白い こ とに,下 の人 が妹 の場 合 には, 「母 に余裕 が で る」とい うのが上位 に きて い ます。 これ は上 が お姉 ち ゃんの ときに も感 じた こ とです が,母親 に とって女 の子 は,手助 けにな って くれ る。 「余裕」が で きる とい うかん じがっ よいので し ょうか ? これ く・らいの人 数で はは っ き りしませ 表5 下の人がいることで よかった こと' 弟のいる人 について よく遊ぶl
3
0
%(
3
)
●
●
i よい刺激を与 える⊂=
] 20%(2) 競争心 (自立心)がでる[
=
:
コ
20%(2) 真似やすい[
=
コ
20%(2) 母に余裕 (は りあい)がでる[
コ 10%(1) 妹のいる人 について 母に余裕がでる[
二
二
] 22%(2) よく遊ぶ□
22%(2) よい刺激を与える⊂]
競争心がで る D l1%(1) 真似やすい[
コ
下の人が よく面倒をみ る[
コ
.L.;'震 .I:1.:・.:-I.{J .圭r
l
*N-6(弟のいる人3人,妹のいる人3人)**
(
)内は実数 んが, ひ とつ の傾 向,仮 説 としてあげて お きたい と思い ます。 表6をみて下 さい。困 った こ とにつ いてあげて あ ります。 下 の人 が弟 の場合, や は り 「しっ と」
の問題 が多 くを しめてい ます。つづ いて 「時間が な くな る」 とい うこ とが あ ります。下 の人 が妹 の 場 合 も同 じよ うな傍 向が あげ られ ます。 ただ,妹 の方 が少 し大 き くな って くる と, お兄 ち ゃんお姉 ち ゃんが手 がかか る とい うことで我慢 させ られ, そ の姿 をみ てい る と 「さび しそ うだ」 とい う,母 親 の側 の感 情表 現 があげ られて い ま した。 下 の人 との関連 で困 った問題 を解決す る方法 と してお母 さん方 が あげた ものを7つ と りあげてみ ま した。 これが表7です。 この場合, いい きかせ るべ き対象 とな る上 の人 が障害 児 とい うこ とにな るので,
「しっ と心」に対す る解決方法 や説 明は さ らにむず か しい もの にな って きます。 上 下 ともに 表6 下の人がいることで困ったこと● 弟のいる人について 吉 富 人 の 甘 え .し っ とが ひ ど く 匝 変 更ヨ 下に手がかかって時間がなくなる⊂
=
コ
25%(2) 上下同時に病気になった とき⊂
:
コ
25%(2) 下がオモチャを とるとき[
コ 13%(1) 妹のいる人について 記 念 巳手 が か か って時 間 がl 7
2
%(
5
) l
怒 り方が分か らない[
コ 14%(1) 妹の方が寂 しそ う□
*N-6(弟のいる人3人,妹のいる人3人)**
(
)内は実数 表7 困 った ことの解決方法 (下の人 との関連にて) 1.下の人が寝てか ら遊んであげる 2.上下同時に病気 しないように気をつける 3.父に協力 してもらって分担 (実家 ・家政婦 にあずける) 4.公平にあつか う 5.かわいが り方を教える (いいきかせ る) 6.年齢がいって怒 らな くてすむようになる 7.下の人の年齢がいって他の子 と遊べ るよう になる - 7-公平 にあつか うとい う点 では,上 の人 がい る場合 と同 じですが, かわ いが り方 を教 える とい うとこ ろが, くり返 し教 えてあげなければな らない, よ りむず か しい ところにな ります。 これ は とて もむ ず か しい。障害児であ る上 の人が よ く分か らない で,もたつ いて い る うちに
7
にあげてあ るご とく, 下 の人 の年齢 が い って他 の子 と遊べ るよ うになっ た り, お兄ち ゃん よ り理解力が優 って きた りす る よ うにな って きます。 こ うな って くる と下 の子 の 方 がお兄 ち ゃん, お姉 ち ゃん とい う感 じにな って おい こして しま うのだ と思 います。 上の人が障害児の場合,下 の人 と極端 に年齢 が ちか く生 まれた よ うな兄弟関係 にな ります。 その 点で, 同 じ くらい手 のかか る子 が2人 いる とい う 極 めて大変 な状 況 になるわ けです。 この よ うな状 況で, 2人が同時 に病気 にな った ときな ど,父や 親戚,近所 の人 の協力が え られればいいのですが, そ うで ない場合 は, ボ ランテ ィアな どの社会的資 源 を利用せ ざるを得 ないで し ょう。 D 一人 っ子 の場合 今 までは兄弟 のいる場合で した。次 に蓑 8をみ て下 さい. これ は一人 っ子の人 が3人 い ましたの で,その母親 に兄弟がいた らよいなあ と思 う点 を かいて もらい ま した。 これをみて分か ることは, 上 の人,下 の人 がいる人 が,利 点 としてのべてい るものがすべ てでてい る とい うことです。 とい う 表8 一人 っ子の人について● 上の人がいればいいと思 うところ 1.いっしょに遊んで くれる (遊び方を教えて くれる) 2.めんどうをみて くれる 3.ものを覚えるのもはやい (話 しかけて くれ る) 4.ケンカもして くれる 5.他の子 ともはや く遊べるようになる ことは,実際 に兄弟がいな くて もお母 さん方 は兄 弟 のい るよい点 はだいた い分か ってい らっしゃる のでは ? とい うことになる と思 います。 また, このア ンケー トに答 えて下 さったお母 さん方 は現 に こ うして,のぞみの家 とい うグル ープに参加 し ているわ けです ので,子 どもが多勢 いることの利 点 を体験 して知 ってい るのだ ともいえるよ うに思 い ます。 「ケンカもして くれ る」とい う答 えは, ケンカが 利 点 の方 に分類 され て い る こ とを しめ して い ま す。ただ,
「いたわ りの心 がで る」とか 「一人 っ子 だ とさび しい」 とい うのは,兄弟 のいる人 の とこ ろにでて こなか った ものです。実際 に兄弟がで き る と,母親 に とっては大変 な ことはか りで, この よ うに,理想的 に考 えていた面 は吹 っとんで しま うのか もしれませ ん。Ⅰ
Ⅰ
し っ との 症 例 アンケー トの中で もっとも困 る問題 の一つ とし て しっ と心 とい うことがあ りま した。 お母 さん方 は,公平 に時間を とってあげ る努力を した り,障 害児の病気 につ いて説 明 して,その子 に手がかか るんだ とい うことを説 明 してあげた り, さまざま な解決 の努力を してお られ るよ うです。私 もそれ にい くつかの解決方法をつ け加 えてみ ま した。 し か し, い くら努力 して も,実際 に障害児 には手が かか るのであ り,努力で しっと心 が消 えて しま う 訳 ではあ りませ ん。 これ は とて もむずか しい問題 です。 これを どの よ うに解決 した らよいので し ょ うか。 この問題 につ いて症例 をあげて解決 の ヒソ 図1 症例の同居家族 J 蒸 発 ・ 下の人がいればいい と思 うところ 1.いたわ りの心ができる (や さしさ,協力) 2.さびしい 3.社会性 が育つ *上 ・下いて困ると思 うことについてはきいて いない。 - 7 -33才トを さぐってみたい と思います。 図
1
をみて下 さい。 これは私が病院の外来でみ てい る登校拒 否の子の例です。 この子は小学校3 年生の女の子 で小1
になる妹がいます。不登校 の そ もそ もの きっかけは,学校の給食で食べた くな い ものがあ り,それを食べ るよ うにいわれた こと, 鉄棒 がで きないのを先生にはげまされたのが,本 人 に とっては叱 られた よ うにかんじられた とい う ことなのです。 ところで, この よ うな きっかけが あった とい うことは治療を始めてだいぶた ってか ら分 って きた ことなのです。 この子は嫌な ことを す く一に嫌 / といえない,無 口な子なのです.す ぐ に言 えれば問題 はそんなに長びかなか った と思 う のです。 ところで,学校での きっかけはそ うい う ことなのです が,家において も学校 に行けな くな るきっかけがあ りました。それは,小1
の妹が学 校 にあがるので, ピカビカの机をお じさんに買 っ て もらった こ とには じま ります。妹の ビカビカの 机に比べて, お姉 ちゃんのがあま りに も見すぼ ら しか ったので,お じさんが この子 にも買 ってあげ よ うとした のです。本人は買 ってほ しかったのに 「い らない」 と答 えました。本当はほ しか ったの だ とい うことは,のちに学校 に行かな くなってか らや っと分か った ことなのです。治療が進行す る につれて, この子には,妹に対す る 「しっと心」 がつ よい とい うことがはっき りと分か って きまし た。 また本人 もそれをコ トバ に出 してい うよ うに な りました。 ところで, 同 じよ うな事件は実は, この子が3歳 の とき,つ ま り妹が生 まれた ときに もお こっていたのです。本人は妹が生 まれ るので, 同 じ敷地内 のおばあち ゃんの ところに預け られた のです。ところが,この子は,
「お母 さんがいな く て さび しか った?
」 ときかれて も 「いいえ」 とこ たえ,2
週間 もた ってか ら,
「あの時,本当はさび しか った」 とい ったそ うです。 もともと,お母 さ ん とおばあち ゃんは うま くい っていなかったので すが,「あんたがいな くって この子は本当に さび し か ったそ うだ よ」 と母親の くせ にそんな ことも分 か らないのかい, といった風にいやみ った らしく いわれて, お母 さん としてはそ うとうシ ョックだ った よ うです。 この よ うに, この子は昔か ら, 自 分の率直な気持ちを真 にだ していわない (いえな い といった方 がいいか もしれませんが) ことがあ った とい うことなのです。妹が退院 して家 に連れ て こられた ときも,何の反応 もしめ きず黙 ってい たそ うです。たいていのお母 さんな ら,本人がい って くれな くて も, この よ うな気持ちがあること に気づ くと思 うのですが, ところが, このお しゅ うとさんは(図をみて下 さい), 自分の旦那 さんも 追 いだ して しまったほ どの強い人 なのです。その 上,お母 さん とお父 さんは, このおばあちゃんの ところに勤めているとい う形 になって給料を もら っている。おばあち ゃんは事業主なんです。それ ぐらい実権のある人であるわけです。 そんな とこ ろに,11人兄弟の末 っ子であるこのお母 さんはお 嫁 にい ったのです。互角 に渡 り合 えるわ けがあ り ません。いつ も, この子を連れて公園にい ってい る間だけが息ぬ きの時間だ った といい ます。公園 で この子が何を して遊 んでいたか,そんな ことに は関心を向ける余裕 もあ りませんで した。だか ら, お母 さんは この子の ことについて, まった く心理 的 には何 もしりませんで した。 治療 を進めてい くうちに, この子が最 も変化 し たのは,思 っていることを, いい こと悪 い こと含 めて,どん どん言 うよ うになった とい うことです。 まず母親を独占す るとい う形で,妹-の「しっと」 があ らわれました。妹が少 しで も母 と話 している と嫌が るのです。その うち, はっき りとコ トバ に だ して妹への しっとを表 明す るよ うになって きま した。 これ まで出せ なか った ものが一気 に表 明 さ れてい ったのです。私 も, コ トバによる表 明をお おいに奨励 しました。そのことによって この子は 次第に自我が きた えられ,やがて7
カ月のち,登 校 を始め るよ うになってい きます。 コ ト ミで しっ と心を表明す るとい うことは とて も大切 な ことで す。かつ,それを我 々は悪 ととるべ きではない と 思 います。 しっと心 は悪 かもしれないが,少な く ともそれがあることは全 く,正常 なことなのであ り, ましてや,それを表明す ることは必要 な こと です らあると思います。なぜな ら,表現 された「し っと心」は, こち らに も分かる。 ああ, この子 に はそ うい う気持ちがあるのだな,そ うい うことで つ まづいているのだな と分か るわ けです。 い って くれなければ分か りません。 面 白い ことに,妹の方 も, ど うしてお姉 ちゃん だけ学校にいかな くていいの ? と自分の不満を表 明 しは じめ ます。 この妹 の方 は しか し