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都市計画マスタープランに見る地域マネジメントの射程 ~愛知県内自治体を事例に~

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1. はじめに

「市町村の都市計画に関する基本的な方針 (都市計画マスタープラン)」 は, 1992 年の都市計 画法改正により創設され, 30 年近く経過した. この間, 多くの自治体で計画の策定及び改定が 行われている. 都市計画運用方針1)によれば, 都市計画マスタープランは, 「住民に理解しやすい 要 旨 都市計画マスタープランは, 1992 年の都市計画法改正により創設され, 30 年近く経過した. 都 市計画マスタープランの策定や改定では, 自治体として, 社会の変化をどのように受け止め, 未来 を見据えて今後どのように取り組んでいくのかが, 計画文書の記載内容に映し出されている. こう した中, 国レベルでは, 都市のマネジメントに関わる議論が行われる等の動きがある一方で, 地域 では, エリアマネジメントやプレイスメイキング他多様な主体の取り組みが広がる等, 地域のマネ ジメントのあり方への関心が高まっている. 近年は, 都市計画マスタープランの意義や必要性に関 する問題提起もされており, 都市計画マスタープランの果たす役割や地域マネジメントの位置づけ を改めて問い直す必要がある. そこで, 全国の先駆的な取り組みを踏まえた上で, 地域マネジメン トの射程を整理する. そして, 愛知県内の自治体の取り組みを事例に, 実際に策定 (改定) された 都市計画マスタープランにおいて, 地域マネジメントの視点からどのような記述がなされているの かの実態を俯瞰的に明らかにすることを通して, 都市計画マスタープランにおける地域マネジメン トの位置づけのあり方を考察した. キーワード:地域マネジメント, 都市計画マスタープラン, エリア, プラットフォーム, プロセス

都市計画マスタープランに見る地域マネジメントの射程

愛知県内自治体を事例に

Perspectives of Local Management Policies and Measures in Urban Master Plan −Cases in Aichi Prefecture−

吉村

輝彦

Teruhiko YOSHIMURA

1) 国土交通省 (2018.11) 「都市計画運用指針第 10 版」 (https://www.mlit.go.jp/common/001261808. pdf) (最終閲覧:2020 年 5 月)

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形であらかじめ中長期的な視点に立った都市の将来像を明確にし, その実現に向けての大きな道 筋を明らかにしておくこと」 という役割が期待されている. そして, 都市計画マスタープランの 策定や改定では, 自治体として, 社会の変化をどのように受け止め, 未来を見据えて今後どのよ うに取り組んでいくのかが, 計画文書の記載内容に映し出されている. こうした中, 国レベルで は, 都市のマネジメントに関わる議論が行われ, また, 立地適正化計画制度が創設される等の動 きがある一方で, 地域では, エリアマネジメントやプレイスメイキング他多様な主体の取り組み が広がる等, 地域のマネジメントのあり方への関心が高まっている. 近年は, 都市計画マスター プランの意義や必要性に関する問題提起もされており2)-5), 都市計画マスタープランの果たす役 割や地域マネジメントの位置づけを改めて問い直す必要がある. 都市計画マスタープランを扱った論文の中で, マネジメントに焦点を当てた既往研究を見てい く. 山口他6)は, 都市計画マスタープランの推進に着目し, PDCA サイクルに沿った活動全体を 計画管理とし, その実態を明らかにしている. 福本他7)は, 都市計画マスタープランの時間軸の マネジメントとしての PDCA サイクルに着目し, 事例に基づき考察をしている. また, 塩澤他 の一連の研究では, 都市計画マスタープランの見直しや改定のタイミングに着目し, 埼玉県の自 治体を事例に, 改定の契機や見直し・改定に関わる計画への記載内容を分析している8)-10). これ に関連して, 塩澤11)は, 都市計画マスタープランの実効性ある推進に向けて, (1) 事業プログラ ムの作成とそれに基づく進行管理としての行政執行システム, (2) 地区毎の詳細な計画づくりと しての協働のまちづくり推進システム, マスタープランを出発点にしたまちづくりを推進するた 2) 姥浦道生他 (2014.6) 「都市計画にマスタープランは必要ですか?」 蓑原敬他 「白熱講義 これからの 日本に都市計画は必要ですか」 pp.118-126, 学芸出版社 3) 小林敬一 (2017.2) 「都市計画変革論∼ポスト都市化時代の始まり∼」 鹿島出版会 4) 小泉秀樹・村山顕人・高鍋剛 (2017.9) 「JSURP まちづくりカレッジ 「人口減少社会を読む」 特別企 画 マスタープランは必要か? 実施報告書」 5) 阿部大輔 (2019.5) 「デザインスキーム∼低成長期の都市を変える空間的技法」 日本都市計画学会 都 市空間の作り方研究会 「小さな空間から都市をプランニングする」 pp.169-176, 学芸出版社 6) 山口邦雄他 (2005.11) 「市町村都市計画マスタープランの計画管理に関する調査∼埼玉県下における アンケート結果より∼」 都市計画報告集, No.4, pp.63-70 7) 福本充益他 (2013.7) 「都市計画マスタープランのマネジメント・サイクルに関する研究∼PDCAサ イクルの運用実態について∼」 日本都市計画学会関西支部研究発表会講演概要集, 11 巻, pp.21-24 8) 塩澤誠一郎他 (2009.8) 「埼玉県における市町村都市計画マスタープランの見直し・改訂の契機に関す る研究」 日本建築学会大会学術講演梗概集, pp.315-316 9) 塩澤誠一郎他 (2010.9) 「埼玉県における市町村都市計画マスタープランの見直し・改訂に関する研究」 日本建築学会大会学術講演梗概集, pp.521-522 10) 小坂宏他 (2010.9) 「埼玉県における市町村都市計画マスタープランの見直し・改訂を予定しない理由 に関する研究」 日本建築学会大会学術講演梗概集, pp.523-524 11) 塩澤誠一郎 (2006.5) 「都市計画マスタープランの実効性ある推進に向けて∼実効性の鍵を握る, 行政 執行システムと協働のまちづくり推進システムの制度化∼」 ニッセイ基礎研 REPORT, pp.1-8

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めの条例の制定を提案している. これらは, PDCA を基軸とした進行管理に, 都市計画マスター プランの役割を期待しているとも言える. これに対して, 越川12)は, 都市計画マスタープランにおけるコンパクトシティ政策に対する記 述と評価の乖離の実態を明らかにしている. 瀬田13)は, 都市計画マスタープランにおいて, 公益 的施設の統廃合・再編等の方針がほとんど記述されていないことから, 都市計画マスタープラン が総合性を担保できず, その役割を失うことへの懸念を指摘している. また, 吉武他14)は, 地方 小規模自治体の取り組みに着目し, 都市計画マスタープランの優先度や必要性が必ずしも高くな いことを指摘している. さらに, 吉武他15)は, 都市計画マスタープランも含めて都市計画制度に 対する必要性そのものが低下する可能性を指摘している. これらは, 都市計画マスタープランの 役割に対する懸念を示しているとも言える. このように, 都市計画マスタープランの役割に対して, 期待と懸念という両面からの捉え方が ある中で, 近年は, コスト削減の視点から持続可能な都市経営のあり方が議論され, また, 地域 や地区単位でのエリアマネジメントやプレイスメイキングが展開し, 多様な主体が地域づくりに 参画している状況があり16), マネジメントへの関心が高まっている. さらに, 地域マネジメント をめぐり多彩な議論が行われている17). 改めて, マネジメントの視点から, 都市計画マスタープ ランの果たす役割が問われてくる. しかしながら, 都市計画マスタープランにおける地域マネジ メントの位置づけやその実態を明らかにした論文はほとんどない. そこで, ここでは, 全国の先駆的な取り組みを踏まえた上で, 地域マネジメントの射程を整理 する. そして, 愛知県内の自治体の取り組みを事例に, 実際に策定 (改定) された都市計画マス タープランにおいて, 地域マネジメントの視点からどのような記述がなされているのかの実態を 俯瞰的に明らかにすることを通して, 都市計画マスタープランにおける地域マネジメントの位置 12) 越川知紘他 (2017.10) 「コンパクトシティ政策に対する記述と評価の乖離実態∼都市計画マスタープ ランに着目して∼」 都市計画論文集, Vol. 52, No.3, pp.1130-1136 13) 瀬田史彦 (2013.10) 「人口減少局面の都市計画マスタープランの総合性についての一考察∼公益的施 設の統廃合・再編のケーススタディ∼」 都市計画論文集, Vol. 48, No.3, pp.609-614 14) 吉武哲信他 (2015.10) 「小規模自治体の都市計画マスタープランの必要性に対する認識に関する基礎 的調査∼九州地域内の未策定自治体を対象として∼」 都市計画論文集, Vol. 50, No.2, pp.170-176 15) 吉武哲信他 (2017.10) 「地方小規模自治体の都市計画マスタープランの必要性に関する調査研究∼最 近 5 年以内に策定・改訂した九州・中国・四国の自治体を対象として∼」 都市計画論文集, Vol. 52, No.2, pp.116-126 16) 国土交通省都市局 (2017.2.15) 「都市計画に関する現状と課題」 第1回都市計画基本問題小委員会 配布資料 17) 例えば, 佐藤滋 (2010.12) 「まちづくりが問い直す地域マネジメント」 季刊まちづくり, 29, pp.16-24, 学芸出版社. 本論文では, 地域マネジメントをめぐる議論を整理した上で, 独自の定義を示すの ではなく, 都市計画マスタープランにおける記載内容を踏まえて, 地域マネジメントの射程を見出し ていくアプローチをとる.

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づけのあり方を考察する. 研究の方法としては, 全国及び愛知県内の各自治体のウェブサイトで公開されている, 都市計 画マスタープランの内容分析, 策定時の各種会議体における検討資料及び議事録の内容分析, そ して, 事実確認のための行政へのヒアリングの実施を通して, 都市計画マスタープランにおける 地域マネジメントの位置づけの実態を明らかにし, その上で, 都市計画マスタープランにおける 地域マネジメントの位置づけのあり方を考察する. なお, 愛知県内の先駆的な取り組みとして取り上げる名古屋市, 安城市, 長久手市の事例に関 しては, 筆者自身が, 計画策定に関わっており, 参与観察を踏まえて考察を行う. また, 愛知県内の自治体の取り組みの分析では, 計画文書を俯瞰的に, かつ, 横断的に見てい くことで, 全体的な動向を把握するとともに, 先駆的な取り組みを見出していくことに主眼を置 き, 個々の自治体の取り組みを評価するわけではない.

2. 地域づくりにおけるマネジメントの視点

2−1. 国レベルでのマネジメントに関わる議論 社会資本整備審議会 都市計画・歴史的風土分科会 都市計画部会に設置された都市政策の基本 的な課題と方向検討小委員会の報告18)では, 「豊かで活力ある持続可能な都市」 を目指していく ための都市政策の転換を, 政策領域の拡大, 空間的範囲の拡大, 時間軸の拡大, 多様な主体の参 加と実践という4つの視点で整理している. そして, 「財政制約が強まる中, 今後は, 都市経営 (マネジメント) を効率化し, 都市の 持続可能性 を確固たるものにするため, エコ・コンパ クトシティの構築に向けた取り組みに都市の管理・経営の視点を盛り込むことが重要である」 と 指摘している. そのために, 1) エリアマネジメント等の取り組み支援を充実すべきであること, 2) 施設の維持管理・更新に当たっては, 民間事業者のノウハウを一層活用する方向で検討する とともに, ストックマネジメント手法の体系化を図るべきであること, 3) 将来都市像を, 予測 される社会経済状況の変化に予め対応したものとして戦略を持って描き, また, 策定後の変化に も柔軟に対応して見直しながら, それに沿って 「選択と集中」 を徹底すべきであること, を挙げ ている. こうした動きを踏まえ, 塩澤19)は, 都市計画マスタープランの改訂プロセスのあり方を 提起している. その後, 社会資本整備審議会 都市計画・歴史的風土分科会 都市計画部会 都市計画制度小委員 18) 都市政策の基本的な課題と方向検討小委員会 (2009.6) 「都市政策の基本的な課題と方向検討小委員会 報告」 19) 塩澤誠一郎 (2009.11) 「都市計画マスタープラン改訂の課題∼ビジョン実現型都市づくりを担う市町 村マスタープランの共有化に向けた改訂プロセス∼」 ニッセイ基礎研所報, Winter 2009, pp.101-126

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会において, 都市計画マスタープランと地区計画等を基軸にした都市計画の運営について議論が 行われた20). さらに, 新たな時代の都市マネジメント小委員会による 「新たな時代の都市マネジメントはい かにあるべきか (中間とりまとめ)」21) では, 都市マネジメントを, 都市全体から地域・街区, 個々の施設に至る広狭様々な都市空間について, それぞれのレベルで幅広い関係者の総力を結集 して, 整備, 管理運営等を行い, 効率的・効果的に都市機能を高めていく営みとして捉えている. ここでは, 計画整備, 管理運営等に至る一連の時間軸や民間施設を含めた都市空間の総合的形成 に加え, 「民」 の実力・知見の最大限の発揮という視点を意識している. そして, 対象とする空 間概念や時間軸を拡張する 「一連の時間軸やトータルでの都市空間の形成を意識したマネジメン トの推進」 及び対象とするまちづくりの担い手 (主体) を拡張する 「地域を運営する主体との協 働」 の両側面から方向性を示している. こうした議論を踏まえると, 都市計画マスタープランにおいて, 集約型都市構造やコンパクト シティ等のビジョンや将来像を実現するために, マネジメントの視点から何らかの目標, 方針や 具体的な方策を位置づけていくことが重要になってきていると捉えることができる. 2−2. 都市計画マスタープランに見る特徴的な記載内容 こうした動向を踏まえてか, 全国的には, いくつかの自治体では, 早い段階から, 都市計画マ スタープランにおいて, マネジメントの視点から何らかの目標, 方針や具体的な方策を積極的に 位置づけている. 以下では, いくつかの自治体の都市計画マスタープランにおける特徴的な記載 内容を見ていく. (1) マネジメントの視点の導入 さいたま市の 「さいたま市都市計画マスタープラン (2014.4)」22) では, 都市計画マスタープ ランの推進方策として, 「第 4 章 都市マネジメントの導入と推進」 及び 「第 5 章 まちづくりの 進め方」 を位置づけている. 「第 4 章 都市マネジメントの導入と推進」 では, 今後のまちづくり において, 多様な市民のニーズに対応しつつ, 社会資本を適切に費用管理 (コストマネジメント) することが求められるとし, そのために, 既存の都市施設や都市空間の効率的な活用や地域の実 情に応じた市民・事業者との協働による地域の維持・管理という都市のマネジメントが重要にな るとしている. ここでは, 「都市マネジメント」 として, 地域における良好な環境や地域の価値 を維持向上させるための市民や事業者による主体的な取り組みである 「エリアマネジメント」 と 20) 例えば, 2010 年 12 月 10 日に開催された第9回都市計画制度小委員会で議論されている. 「 (資料2) 都市計画制度体系の見直しの方向性 (全体的枠組) の検討 (その 2)」 21) 新たな時代の都市マネジメント小委員会 (2015.8) 「新たな時代の都市マネジメントはいかにあるべき か (中間とりまとめ)」 22) さいたま市 (2014.4) 「さいたま市都市計画マスタープラン」

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都市活動を支える道路, 公園, 上下水道等の都市施設を主に行政が主体となって維持・管理・活 用する取り組みである 「都市施設マネジメント」 を推進していくことを示している. 鎌倉市の 「鎌倉市都市計画マスタープラン (2015.9)」23) では, 「Ⅴ 実現の方途」 として, 「ま ちづくりマネジメントの推進」 を位置づけている. ここでは, 「計画段階→事業段階→管理運営 段階まで, まち全体の価値向上に向けた一体的で総合的なマネジメントによるまちづくりを推進 します」 とあり, 1) エリアマネジメントの導入, 2) 都市施設・公共施設マネジメントの導入, 3) 分野別方針を推進するマネジメントの導入, を示している. エリアマネジメントの導入に関 しては, 地域に関わる様々な主体が担い手となって, 地域における価値や魅力を維持・向上させ る取り組み (エリアマネジメント) が重要となるとし, 合わせて, 自治・町内会, NPO, 事業 者等の多様な主体が役割分担を行い, 対象とする地域や空間, 施設, 資源の維持・管理・活用を 図るエリアマネジメントを推進するために, 市は組織の設立や活動に対して, 支援・協働を行う としている. さいたま市や鎌倉市は, 早い段階で, マネジメントを重要な視点として認識し, 都市計画マス タープランに位置づけていた. その後も, いくつかの自治体でマネジメントを積極的に位置づけ ているが, その捉え方は多岐にわたるのが実情である. そんな中で, 栃木県佐野市の 「第 2 次佐 野市都市計画マスタープラン (2019.3)」24)では, 「第 3 章 全体構想 (分野別方針)」 で, 「都市マ ネジメントの方針」 が位置づけられている. 基本的な考え方として, 「1.民間施設も含めた都市 図 1:都市マネジメントの射程 出典:さいたま市 (2014.4) 「さいたま市都市計画マスタープラン」 23) 鎌倉市 (2015.9) 「鎌倉市都市計画マスタープラン」 24) 栃木県佐野市 (2019.3) 「第 2 次佐野市都市計画マスタープラン」

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空間の形成を図ります」, 「2.公共施設を適正に配置します」, 「3.社会資本ストックを適正に管理 します」 を挙げ, その上で, 「①様々な分野の連携による総合的かつ戦略的な施策展開」, 「②公 共施設の適正配置」, 「③社会資本ストックの有効活用と長寿命化」 を示している. この中では, 「官民連携による賑わいのあるまちづくりに向けて, 多様な主体の参画によるエリアマネジメン トを推進します」 や 「既存の公共施設や公園などについて, 民間事業者の創意工夫を取り入れた 官民連携による運営維持管理などの幅広い有効活用の方策を検討します」 という記載が見られる. その点で, 単なる都市経営コストの軽減だけではなく, マネジメントを前向きに捉えている. (2) 地域レベルでの取り組みへの眼差し 京都市や静岡市では, 地域まちづくり構想が位置づけられている. 京都市の 「京都市都市計画 マスタープラン (2012.2)」25) では, 「第 5 章 地域まちづくり構想」 が位置づけられている. 従来 の行政区の範囲を超えた地域を対象に, 1) 多様な主体による円滑なまちづくり, 2) 様々な変化 に対応するまちづくり, 3) より多くの市民が関心を持つことによるまちづくりを推進していこ うとしている. 静岡市の 「静岡市都市計画マスタープラン (2016.3)」26) では, 「第 7 章 まちづく りの推進方策」 において, 「地域まちづくり構想」 が位置づけられている. ここでは, 身近な生 25) 京都市 (2012.2) 「京都市都市計画マスタープラン」 26) 静岡市 (2016.3) 「静岡市都市計画マスタープラン」 図 2:地域まちづくり構想の内容 出典:静岡市 (2016.3) 「静岡市都市計画マスタープラン」

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活圏や行政区を跨いだ区域, 行政区全体等, 住民や企業等が目標を共有できるまとまりのある区 域で進めていく 「地域まちづくり構想」 を位置づけている. 「地域まちづくり構想」 は, 地域と 行政の役割分担により, 地域の個性や魅力の向上を目指した 「構想づくり」 と構想を実現する 「実現に向けて」 で構成されている. 地域レベルでのまちづくりを推進していくことに関連して, さいたま市では, 地域別まちづく り構想の策定のためのガイドライン 「地域のまちづくりの構想を作ろう!」 がある27). これら自治体の動きを見ていくと, 都市計画マスタープランにおいて, 全体構想や地域別 (区 別構想) とは別に, 人々の身近な地域や地区レベルでのまちづくりを大事にしていく取り組みを 具体的に位置づけている. (3) 戦術的なプロセスマネジメント 平塚市では, 「平塚市都市マスタープラン (第2次) 別冊 (2017.10)」28) において, 都市計画 マスタープランを実現するためには, 多様な主体の連携, 各地域の個性を際立たせる地域のビジョ ン, それらを推進する体制や仕組みが必要との認識のもとで, これからのまちづくりを推進して いくために, 「第Ⅳ章 戦略的なまちづくりの推進方針」 を位置づけている. 「第Ⅳ章 戦略的なま ちづくりの推進方針」 は, 「Ⅳ.1 まちづくりの基本戦略」, 「Ⅳ.2 まちづくりの推進体制」, 「IV. 3 戦略的なまちづくりの実践」 から構成されている. その中の 「Ⅳ.1 まちづくりの基本戦略」 では, 「1 地域資源を共有する」, 「2 実験的取組から始める」, 「3 地域のビジョンをつくる」, 「4 図 3:地域別まちづくり構想策定ステップ 出典:さいたま市 (2014.7) 「地域のまちづくりの構想を作ろう!」 27) さいたま市 (2014.7) 「地域のまちづくりの構想を作ろう!」 28) 平塚市 (2017.10) 「平塚市都市マスタープラン (第2次) 別冊」

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オープンプロセス」, 「5 仕組みをつくる」 という5つの戦略を示している. そして, 「2 実験的 取組から始める」 は, タクティカル・アーバニズムの考え方がベースにある.

台東区の 「台東区都市計画マスタープラン (2019.3)」29) では, 「第 6 章 まちづくりの実現に向

けて」 において, 「5 都市計画マスタープランの適切な運用・評価・見直し」 が位置づけられて いる. ここでは, PDCA サイクルと OODA ループに触れている. すなわち, PDCA サイクルを 回しながらも, 「まちづくりは刻一刻と変化するまちを対象に展開していくものである. その変 化する状況を的確に捉え, 効果的に展開させるため, 計画を踏まえながらも状況にあわせて, 柔 軟かつ機動的に対応する必要がある. そこで, 観察 (Observe), 状況判断・方向付け (Orient), 意思決定 (Decide), 行動 (Action) といった, OODA ループによる評価も取り入れながら, 柔 軟かつ計画的にまちづくりを展開していく」 としている. 平塚市の 「タクティカル・アーバニズム」 や台東区の 「OODA ループ」 のように, まちづく りを進める上で, 都市計画マスタープランにおいて, 社会の変化に対応した新しいアプローチを 積極的に位置づけていることは, 今後を見据えたものとして重要である. このように, いくつかの自治体の都市計画マスタープランでは, 地域マネジメントの視点から, 今後を見据えた記載内容が見られる. なお, 日野市の 「日野市まちづくりマスタープラン (2019.4)」30) や渋谷区の 「渋谷区まちづくりマスタープラン (2019.12)」31) のように, 都市計画マ スタープラン自体を, さらに柔軟に捉え, 新しい枠組みを持って策定していく自治体も見られる. 図 4:5 つのまちづくりの基本戦略 出典:平塚市 (2017.10) 「平塚市都市マスタープラン (第2次) 別冊」 29) 台東区 (2019.3) 「台東区都市計画マスタープラン」 30) 日野市 (2019.4) 「日野市まちづくりマスタープラン」 31) 渋谷区 (2019.12) 「渋谷区まちづくりマスタープラン」

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2−3. 都市計画マスタープランに見る地域マネジメントの射程 地域マネジメントの視点から, 都市計画マスタープランにおける記載内容を見ていくと, 地域 マネジメントの射程は, いくつかに分類することができる. まず, 財政的観点から, 公共施設や 公共空間他の適切な維持管理, 施設の再編・総量の適正化, 計画的で, 効率的な修繕・更新によ るインフラ施設の機能確保等コストの削減を通した効率化による持続可能な都市経営を意識した 「コストマネジメント」 がある. また, 空き家や空き地も含めて既存ストックの活用等の資源を 最適化していく 「ストックマネジメント」 がある. 一方で, 暮らしに身近な単位でのまちづくり 構想や方針, そして, エリアマネジメントやプレイスメイキング (公共的空間の利活用等) も含 めて, 今ある資源を利活用しながら, 地域の価値を高めていく, あるいは, 暮らしを豊かにして いく 「地域や地区のマネジメント」 がある. また, ビジョン実現のための組織や体制のあり方と しての 「プラットフォームマネジメント (多様な主体の協働や官民連携を含めて)」 がある. さ らに, 従来から行われていた計画の進行管理に加えて, 不確実な時代における将来像 (ビジョン) とそれに基づく柔軟で機動的な対応を含めた 「プロセスマネジメント」 がある. 第3章では, 実際に, 都市計画マスタープランにおいて, 地域マネジメントがどこまで位置づ けられているのか, 愛知県内の取り組みを事例に見ていく.

3. 愛知県内の自治体の都市計画マスタープランに見る地域マネジメントの位置づけ

3−1. 愛知県内の自治体の都市計画マスタープランの策定 (改定) 状況 愛知県内では, この数年, 都市計画マスタープランの改定に多くの自治体が取り組んでいる. 現行の都市計画マスタープランの目標年次が 2020 年前後に設定されていたこと, また, 社会の 変化に迅速に対応していくことが主な理由である. 愛知県内の自治体の都市計画マスタープランの策定 (改定) 状況及び立地適正化計画の策定状 況を整理したのが表1である. 都市計画マスタープランの策定 (改定) を, 緑の基本計画や立地 適正化計画の策定 (改定) と合わせて検討 (策定作業) を進めている自治体もある. 都市計画マスタープランの基本的な構成は, 都市計画運用方針32)に例示されているように, 「ア まちづくりの理念や都市計画の目標」, 「イ 全体構想」, そして, 「ウ 地域別構想」 である. これに加えて, 多くの自治体では, 計画の推進や実現に関わる項目がある. さらに, いくつかの 自治体では, 自治体固有の特徴的な項目が見られる. そこで, 表1では, 都市計画マスタープラ ンに記載されている特徴的な項目と計画の推進や実現に関わる項目を抽出して示している. また, 表2は, 都市計画マスタープランに記載された具体的な内容をより詳細に示したものである. 32) 国土交通省 (2018.11) 「都市計画運用指針第 10 版」

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表 1:愛知県内の自治体の都市計画マスタープラン及び立地適正化計画の策定 (改定) 状況

出典:自治体ウェブサイトの掲載情報 (2020 年 6 月 18 日現在)

*最近の計画における記載内容, あるいは, 改定作業中の場合, 現行計画における記載内容. 美浜町は, 2020 年 2 月に, 「美浜町都市計画マスタープラン」 (案) を出しているが, 「第 5 章 計画 の推進」 の内容は, 他自治体と異なっていたため, 現行計画を記載している.

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表 2:愛知県内の自治体の都市計画マスタープランにおける計画の推進や実現に関わる記載内容

出典:各自治体の都市計画マスタープランにおける記載内容 (2020 年 6 月 18 日現在) (*) 改定作業中であり, 現行都市計画マスタープランにおける記載内容

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3−2. 地域マネジメントの視点から見た都市計画マスタープランにおける記載内容 ここでは, 表1及び表2を踏まえ, 愛知県下の各自治体の都市計画マスタープランにおいて, 地域マネジメントの視点から, 具体的にどのような内容が記載されているのかを見ていく. なお, 策定時の各種会議体における検討資料及び議事録の公開レベルは自治体によって異なっている. (1) 「都市運営」 や 「都市経営」 とコストマネジメント 都市計画マスタープランにおいて, 「都市運営」 や 「都市経営」 という言葉は, 以前から散見 されていた. また, 「持続的な」 や 「持続可能な」 という言葉も使われてきた. 例えば, 犬山市の 「犬山市都市計画マスタープラン (2017.3)」33) では, 4つある都市づくり の目標の一つに, 「基盤が整い, 活力を創出する都市」 がある. ここでは, 「都市基盤施設等の既 存ストックの活用を基本に」 とあり, 「既存の公共交通や公共公益施設を活用したまちづくりを 進めるとともに, 基盤施設の老朽化に対する対応や既存ストックの有効活用などにより, 都市運 営にかかるコストや新たな費用負担を極力抑制し, 持続的な発展が可能となる都市経営を目指し ます」 としている. 瀬戸市の 「瀬戸市都市計画マスタープラン (2017.7)」34) では, 3つある都市像の一つに, 「2 安心して子育てができ, 子どもが健やかに育つまち」 がある. ここに, 「持続可能な都市経営」 が位置づけられており, 「サービス水準を維持しながら都市経営コストを縮減するため, 道路や 橋りょう, 河川・排水路, 供給処理施設など都市施設の適切な維持管理や施設更新, 長寿命化を 図ります」 としている. また, 将来都市構造の基本的考え方として, 「……財政面や経済面にお いて持続可能な都市経営を行っていくためには, 拡大してきた都市構造を見直し, コンパクトな 都市構造へと転換していくことが重要です」 とある. さらに, 全体構想において, 「行政施設や 福祉施設などの公共施設については, 効率的な都市経営による持続可能な都市づくりに向け, 多 機能化や集約化, 機能転換などによる施設量の適正化, 適正配置を行います」 とある. 春日井市の 「春日井市都市計画マスタープラン (2020.3)」35) では, 都市づくりの課題の一つ として, 「持続可能な都市経営」 の視点から 「公共施設の維持・更新及び利活用」 を挙げている. 関連して, 碧南市の 「碧南市都市計画マスタープラン 2019∼2030 (2019.10)」36) では, 「第 4 章 全体構想」 の 「2.都市施設等の整備の方針」 における 「(1) 都市施設等 (共通) の方針」 に おいて, 「都市施設等の長寿命化を図る等, 持続可能な都市づくりを進めます」 という記載が見 られる. このように, 犬山市や瀬戸市, 春日井市では, コストの削減や効率化という文脈で, 「都市運 33) 犬山市 (2017.3) 「犬山市都市計画マスタープラン」 34) 瀬戸市 (2017.7) 「瀬戸市都市計画マスタープラン」 35) 春日井市 (2020.3) 「春日井市都市計画マスタープラン」 36) 碧南市 (2019.10) 「碧南市都市計画マスタープラン 2019∼2030」

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営」 や 「都市経営」 という言葉や 「持続可能な都市づくり」 というフレーズが使われている. そ の後も, 少なくない自治体がこの言葉やフレーズを使っている. 豊田市の 「豊田市都市計画マスタープラン (2018.2)」37) では, 都市づくりを, 「都市構造 (機 能集積, 公共交通体系の確立)」, 「都市活力 (産業振興, 広域連携)」, 「都市生活 (コミュニティ 維持, 安全・安心)」, 「都市環境 (環境負荷の低減, 自然保全)」 という4つの視点から検討して いた. これに対して, 安城市の 「第三次安城市都市計画マスタープラン (2019.2)」38) では, 「都 市運営」 の視点が加わっている. それ以後, 「都市構造」, 「都市活力」, 「都市生活」, 「都市環境」, 「都市運営」 という5つの視点から, 都市計画マスタープランを検討する自治体が少なからずあ る (稲沢市, 小牧市, 大府市, 常滑市, 日進市他). 稲沢市の 「稲沢市都市計画マスタープラン (第 3 次) (2020.3)」39) では, 時代潮流からみた都 市づくりの方向性として, 「都市運営:持続可能な都市の形成」 を挙げている. そして, その視 点から基本的な課題として, 「既存ストックを最大限生かしたインフラ施設の長寿命化などによ るコスト削減」 や 「必要な公共サービスの維持と施設寮の適正化」 を挙げている. その上で, 全 体構想において, 都市づくりの目標の一つとして, 「次世代に引き継ぐ効率的な都市づくり」 を 位置づけている. ここでは, 鉄道駅等の既存ストックを最大限活用した都市基盤施設の整備や公 共施設の再編・総量適正化を行うことで実現を目指している. 合わせて, 個々の分野別方針にお いても, 都市運営の視点から基本的な考え方を示しているのが特徴である. なお, 「第 7 章 実現 化方策」 では, 「市民協働によるまちづくり」 が記載されている. 小牧市の 「小牧市都市計画マスタープラン (2020.2)」40) では, これからの都市づくりにおけ る重要な視点として, 「都市運営:ストック活用・担い手づくり」 を挙げ, 全体構想の都市づく りの目標の一つとして, 「将来にわたり健全な都市運営が可能な持続発展を続ける都市づくり」 を位置づけている. 都市基盤施設の効率的な改善・更新, 公共建築物の施設配置や施設量の適正 化, 長寿命化対策の促進, 公的不動産をはじめとした既存ストックの有効活用, 市民・民間事業 者と協働した都市づくりの促進や新たな担い手づくり等により 「都市運営にかかるコストや新た な費用負担を抑制」 することで実現しようとしている. なお, 「7 章. 計画の実現に向けて」 では, 「市民協働による都市づくりの推進」 や 「民間活力を活かした都市づくりの推進」 が位置づけら れている. 「民間活力を活かした都市づくりの推進」 では, 「今後は公共空間を地域資源の一つと 捉え, 積極的に活用していくことにより, まちのにぎわいの創出や交流を促進することが重要で す. このため, 効率的かつ効果的なまちづくりの推進に向けて, 公共空間を活用した民間主体の 37) 豊田市 (2018.2) 「豊田市都市計画マスタープラン」 38) 安城市 (2019.2) 「第三次安城市都市計画マスタープラン」 39) 稲沢市 (2020.3) 「稲沢市都市計画マスタープラン (第 3 次)」 40) 小牧市 (2020.2) 「小牧市都市計画マスタープラン」

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活動や取組の促進, 民間の資金やノウハウの活用についても検討していきます」 とあり, 前向き な方向性を出している. 大府市の 「第 4 次大府市都市計画マスタープラン (2020.3)」41) では, 時代潮流からみた都市 づくりの方向性として, 「都市運営:効率的な都市運営による持続可能な都市づくり」 を挙げ, 全体構想において, 5つある都市づくりの目標の一つとして, 「5 将来にわたり, 健全な都市運 営ができる 持続可能都市 」 を位置づけている. ここでは, 計画的な土地利用の推進による財 政基盤の安定化, 計画的で, 効率的な修繕・更新によるインフラ施設の機能確保, 市民と協働し たインフラ施設の維持管理や民間活力の導入促進等により 「都市運営にかかるコストや新たな費 用負担をできる限り抑制」 することで実現を目指している. なお, 「第 6 章 計画の実現に向けて」 では, 「市民協働による都市づくりの推進」 や 「民間活力を生かした都市づくりの推進」 が位置 づけられている. 「市民協働による都市づくりの推進」 では, 「身近なまちづくりに対して自発的 かつ積極的に取り組んでいけるような組織づくりやアダプトプログラムをはじめとした地域活動 への支援策などについて検討していきます」 としている. また, 「民間活力を生かした都市づく りの推進」 では, 「今後は公共空間を地域資源の一つと捉え, 積極的に活用していくことにより, まちのにぎわいの創出や交流を官民連携により促進することが重要です. このため, 効率的かつ 効果的な都市づくりの推進に向けて, 公共空間を活用した民間主体の活動や取組の促進, 民間の 資金やノウハウの活用についても検討していきます」 としている. 記載内容は小牧市と同様であ るが, 「官民連携」 という言葉を使っている. 常滑市の 「常滑市都市計画マスタープラン (2020.6)」42) では, これからの都市づくりにおけ る重要な視点として, 「都市運営:ストック活用・担い手づくり」 を挙げ, 全体構想において, 3つある都市づくりの目標の一つとして, 「ともに創り・使い, 未来につなぐ都市」 を位置づけ ている. ここでは, 多様な産業立地による安定した財政収入の確保, インフラ施設等の計画的で 効率的な修繕・更新, 市民と協働したインフラ施設等の維持管理や民間活力の導入による有効活 用, 地域住民との連携・協働による身近なまちづくりの促進等により, 都市運営にかかるコスト や新たな費用負担をできる限り抑制し, 将来に渡り, 健全な都市運営を実現しようとしている. なお, 「第 7 章 計画の実現に向けて」 の 「都市づくりの取り組み方針」 において, 「②協働によ る都市づくりの推進」 を挙げており, その下で, 「市民協働による都市づくりの推進」, そして, 「民間活力を活かした都市づくりの推進」 を位置づけている. なお, 素案の段階では, 「協働によ る都市づくりの推進」 ではなく, 「公民連携による都市づくりの推進」 という言葉を用いてい た43). このように, 稲沢市, 小牧市, 大府市, 常滑市では, 「都市運営」 の視点から, 都市づくりの 41) 大府市 (2020.3) 「第 4 次大府市都市計画マスタープラン」 42) 常滑市 (2020.6) 「常滑市都市計画マスタープラン」 43) 常滑市 (2019.12) 「常滑市都市計画マスタープラン (素案)」

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目標の一つとして位置づけられているが, 記載内容はほぼ同様である. その中で, 前向きな方向 性を示しているところもある. 同時に, これら自治体の策定支援業者は同一であることから, 自 治体がどこまで 「都市運営」 を具体的に考えているのかが顕著に示されており, それが記載内容 に映し出されている. 現在, 都市計画マスタープランの策定作業中の豊川市や東郷町, 豊橋市では, 「都市経営」 と いう言葉が使われている. 豊川市44)では, 都市づくりの課題を 「都市構造 (コンパクトシティ+ ネットワーク)」, 「都市活力 (産業振興, 交流拡大)」, 「都市生活 (コミュニティ維持, 安全・安 心)」, 「都市環境 (個性・魅力, 自然環境)」, そして, 「都市経営 (維持管理, 市民協働)」 の5 つの視点から見ている. これまでの 「都市運営」 を 「都市経営」 と置き換えている. 記載内容を 見ていくと, 都市づくり上の課題として, 1) 安定的な財源確保, 2) 市民参画と既存ストックと しての有効活用, 3) 公共施設の長寿命化・維持コスト削減を挙げている. 2) では, 都市公園の 維持や管理が念頭にあり, より一層の市民協働や民間事業者の参画の促進の必要性に触れている. なお, 参考として, 都市づくりを取り巻く時代潮流の整理の中では, 「既存社会資本ストックの 最大活用と適正管理∼都市運営コスト削減の都市づくり∼」 を挙げている. 先に挙げた自治体と 同様な内容であり, 必ずしも新規性があるわけではない. 東郷町45)では, 社会動向として, 「持続可能な都市づくり・都市経営の必要性」 や 「公民連携 による活動の多様化」 を挙げている. また, 都市づくりの課題として, 「人口減少下にあっても 持続可能なまちづくりの推進」 を挙げ, さらに, 都市づくりの目標の一つとして, 「官民連携型 まちづくりの推進」 を示している. ここでは, 「町民・民間まちづくりによる官民連携型都市づ くりを推進する」 や 「官民連携により公共施設・公共空間の有効活用による楽しく魅力あるまち づくりを推進する」 とある. ここでは, マネジメントに関して, 前向きな捉え方をしている. そ の後, 4 つある都市づくりの目標の一つとして, 「自立的で持続可能な都市」 が位置づけられて いる46). このように, 「都市運営」 より一歩先に進んだ 「都市経営」 という言葉を使っている場合でも, その内容は自治体によって異なっている. (2) ストックマネジメント 都市計画マスタープランにおいて, 全体構想 (分野別構想) において, ストックマネジメント 44) 第1回豊川市都市計画マスタープラン策定委員会 (2019.10.24) 配布資料<資料1:次期豊川市都市 計画マスタープラン検討資料> 45) 第 2 回東郷町都市計画マスタープラン検討委員会 (2019.6.20) 配布資料<資料 1 「第 2 回東郷町都市 計画マスタープラン検討委員会資料」> 46) 第 3 回東郷町都市計画マスタープラン検討委員会 (2019.10.31) 配布資料<資料 4 「第 3 回東郷町都市 計画マスタープラン検討委員会資料」>

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を含めて都市施設や公共施設を中心にマネジメントの方針を掲げる自治体は多い. 例えば, 北名 古屋市の 「第 2 次北名古屋市都市計画マスタープラン (2019.3)」47) では, 「第 3 章 全体構想」 の 「4-2 都市施設の方針」 として, 「既存の都市施設については, 計画的な維持・補修によりこれま でに整備した社会資本を 賢く使う 取り組みを推進する」 とし, 「これまでに整備した社会資 本を活用する都市づくり」 を目標として掲げている. また, 江南市の 「江南市都市計画マスター プラン・江南市緑の基本計画 (2019.3)」48) では, 「第 3 章 都市づくりの方針」 において, 「2-2 公園緑地等の方針」 や 「2-5 公共公益施設の方針」 が位置づけられている. また, 碧南市の 「碧 南市都市計画マスタープラン 2019∼2030」49) では, 「第 4 章 全体構想」 の 「2.都市施設等の整備 の方針」 において, 「(1) 都市施設等 (共通) の方針」 や 「(3) 公園・緑地の整備方針」 が位置 づけられている. そして, 東浦町の 「東浦町都市計画マスタープラン」50) では, 「第 4 章 都市整 備の方針」 のもとに, 「4-3 都市施設の方針」 があり, その中に, 「2.公園・緑地の方針」 が位置 づけられている. ここには, アダプトプログラムの記載が見られる. また, 「4.その他施設の方 針」 があり, 公共施設等について触れている. 合わせて, 「第 6 章 実現化方策」 の 「6-1 住民・ 事業者等との協働」 において, 「道路や公園など公共施設の清掃美化活動などを支援する アダ プトプログラム などを運用しています」 という記載がある. なお, いくつかの自治体において は, 公園・緑地に関しては, 多様な主体による維持管理体制の構築やアダプトプログラムが記載 されている. このように, 分野別構想 (方針) の中で, 都市施設や公共施設について触れる自治体は多いが, 記載内容はコストマネジメントと密接に関連している. また, 公共施設マネジメントが意識され ている場合でも, 都市計画マスタープランで扱う土地利用や都市構造との関係については必ずし も十分に議論されているわけではない. (3) 地域や地区のマネジメント いくつかの自治体で, 地域や地区のマネジメントに関わる取り組みがある. 例えば, 名古屋市 の 「名古屋市都市計画マスタープラン (2011.12)」51) では, 全体構想はあるが, 地域別構想は策 定されていない. それに代わって位置づけられているのが 「地域まちづくり」 である. 「地域ま ちづくり」 は, 地域住民などの多様な主体による, より良い環境を築き, 地域の価値を向上させ る取り組みとして位置づけられている. 地域まちづくりのステップアップしていくプロセスを示 したのが図 5 である. 47) 北名古屋市 (2019.3) 「第 2 次北名古屋市都市計画マスタープラン」 48) 江南市 (2019.3) 「江南市都市計画マスタープラン・江南市緑の基本計画」 49) 碧南市 (2019.10) 「碧南市都市計画マスタープラン 2019∼2030」 50) 東浦町 (2020.3) 「東浦町都市計画マスタープラン」 51) 名古屋市 (2011.12) 「名古屋市都市計画マスタープラン」

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田原市の 「改訂版田原市都市計画マスタープラン (2016.3)」52) では, 全体構想, 地域別構想 の下に, 地区別構想を位置づけている. みよし市の 「みよし市まちづくり基本計画 (2020.3)」53) では, 住民発意・提案のまちづくりとして, 市土地利用条例に基づく 「地区まちづくり計画」 が 記載されている. 安城市の 「第三次安城市都市計画マスタープラン (2019.2)」54) では, 全体構 想, 地域別構想に加えて, わたしたちのまちのマスタープラン (まちマス) の策定を含めた協創 のまちづくりがイメージされている. なお, 扶桑町の 「扶桑町都市マスタープラン (2018.3)」55) における 「まちづくり推進地区」 の設定のように, 事業推進のために地区を設定していくことを 記載している自治体もある. こうした取り組みは, 地域別や地区別レベルでマネジメントを意識した取り組みでもある. ま た, 構想をあらかじめ策定するのではなく, 地域や地区の状況に応じて, 策定していくものであ る. ただし, 地域や地区レベルで近年広がっているエリアマネジメント, タクティカルアーバニ ズム, 社会実験等に触れている自治体は少ない. 図 5:地域まちづくりのプロセス 出典:名古屋市 住宅都市局 都市整備部 まちづくり企画課 (2020.3) 「地域まちづくりミニ冊子 「 まちづ くり ってなんだろう?」」 52) 田原市 (2016.3) 「改訂版田原市都市計画マスタープラン」 53) みよし市 (2020.3) 「みよし市まちづくり基本計画」 54) 安城市 (2019.2) 「第三次安城市都市計画マスタープラン」 55) 扶桑町 (2018.3) 「扶桑町都市マスタープラン」

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(4) プラットフォームマネジメント 都市計画マスタープランにおいて, 実現方策を記載している自治体では, 参加や協働に関する 項目が多く見られる (弥富市, 一宮市他). 図 6:協働によるまちづくりの役割分担 出典:弥富市 (2019.3) 「弥富市都市計画マスタープラン」 図 7:協働によるまちづくりの推進体制 出典:一宮市 (2020.6) 「一宮市都市計画マスタープラン」

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そんな中で, 一部の自治体では, 目標や方針において, 参加や協働に関わる内容を位置づけて いる. 例えば, 尾張旭市の 「尾張旭市都市計画マスタープラン (2018.10)」56) では, 3つある 「都市づくりの目標」 の一つとして, 「 ともにつくるまちづくり の実現のために」 がある. こ こでは, 「市民と事業者, 行政が協働で, 時間をかけてじっくりと解決策を検討する堅実なまち づくりをめざします」 や 「これまでの行政主導による開発型のまちづくりから, 土地利用の適正 な規制と誘導を念頭に置いた市民との協働によるまちづくりへの転換をめざします」 としている. また, 「第 3 章 都市づくりの方針」 として, 「V ともにつくるまちづくりの方針」 が位置づけら れている. ここでは, 「市民と行政の協働によるまちづくりの方針」 及び 「事業者等と行政の協 働によるまちづくりの方針」 が示されている. なお, 「第 5 章 都市計画マスタープランの実現に 向けて」 では, 都市づくりにおける役割として, 市民の役割, 事業者等の役割, 行政の役割が記 載されているが, 協働については, 触れられていない. 刈谷市の 「第 3 次刈谷市都市計画マスタープラン (2011.3)」57) では, 4つある 「都市づくり の目標」 の一つとして, 「安全で安心に暮らせるまち」 を掲げ, ここで, 「市民参加・協働による 都市づくり」 を挙げている. また, 「3-3 都市整備の方針」 の一つとして, 「3-3-9 市民参加・協 働の方針」 が位置づけられている. 主な方向性として, 「市民の参加と協働」 及び 「共存・協働 のまちづくり」 の観点から, 「様々な人や組織がよいまちにしようという目標を共有し, 市民の 提案や事業推進を支援します」 や 「まちづくりを担う様々な主体と行政が協力して, 市民生活を 市民自身で守り合い, 支えあうことができる共存・協働のまちづくりを推進します」 を示してい る. なお, 都市計画マスタープランにおいて, 計画の推進や実現に関わる項目はない. 江南市の 「江南市都市計画マスタープラン・江南市緑の基本計画 (2019.3)」58) では, 5つあ る 「都市づくりの目標」 の一つとして, 「4 多様なコミュニケーションが生まれるまちづくり」 を挙げ, 「地域特性を活かした愛着を醸成できるまちづくり」, 「交流が生まれる拠点の形成」, 「主体となって協働できるまちづくり」 を示している. 「主体となって協働できるまちづくり」 で は, 「地域コミュニティの維持・活性化や交流空間の創出などにより, 地域ごとに異なる特性を もつ課題に対して, 市民や事業者, 行政が連携して主体的に取り組めるまちづくりをめざします」 としている. みよし市の 「みよし市まちづくり基本計画 (2020.3)」59) では, 「Ⅰ まちづくりの基本目標」, 「Ⅱ まちづくりの基本計画」, そして, 「Ⅴ 計画の実現に向けて」 において, 参加や協働に関わ る記載がある. まず, 「Ⅰ まちづくりの基本目標」 において, 基本理念②として, 「住民は, ま ちづくりに積極的に参加し, 多様な価値観を話し合いを通して理解し, 認め合い, まちづくりに 56) 尾張旭市 (2018.10) 「尾張旭市都市計画マスタープラン」 57) 刈谷市 (2011.3) 「第 3 次刈谷市都市計画マスタープラン」 58) 江南市 (2019.3) 「江南市都市計画マスタープラン・江南市緑の基本計画」 59) みよし市 (2020.3) 「みよし市まちづくり基本計画」

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ついての合意形成に努力するとともに, 住民と行政は, それぞれの役割を認識し, 協働してまち づくりを行う」 が示されている. また, 将来像として, 「魅力ある自立したまち, いつまでも住 み続けたいまち・みよし」 を掲げており, この中で, 「自立したまち」 は, 「まちの主役は住民で あり, 人づくりはまちづくりの土台をなすものです. 真に地域住民が主体となったまちづくりを 実現するために, 行政は住民がまちづくりに参画しやすい環境を整え, 住民と行政の協働による まちづくりを進めます」 としている. これに加えて, まちづくりの基本目標を6つ定めている中 で, 目標⑥として, 「参加と協働のまちづくりを進める」 が挙げられている. 次に, 「II まちづ くりの基本計画」 の一つとして, 「7. 参加型まちづくりの方針」 があり, 「住民参加と協働によ るまちづくりを進めるための仕組みをつくる」 としている. ここでは, ①住民発意・提案のまち づくり及び②参画機会の充実を挙げている. さらに, 「Ⅴ 計画の実現に向けて」 において, まち づくりの推進にかかる方針として, 「(1) 協働によるまちづくり」 及び 「(2) 効率的なまちづく り」 について触れている. このように, 尾張旭市, 刈谷市, 江南市, みよし市では, 都市づくりの目標や方針において, 参加と協働について触れているが, 記載内容は, これまでにも見られた一般的なものである. な お, 自治体の中には, PPP や PFI 手法も含めて民間活力の導入に触れるところもある (春日井 市, 一宮市). 例えば, 春日井市の 「春日井市都市計画マスタープラン (2020.3)」60) では, 「第 4 章 まちづくり推進方針」 の 「1 市民, 事業者及び行政の協働によるまちづくり」 において, 「持 続可能なまちづくりのためには, 税財源のみに頼ることのない公共サービスの提供が求められる ことから, PPP/PFI 手法などによる民間活力の導入の積極的な取り組みを検討します」 とある. 近年のマネジメントに関わる動きを必ずしも受けたものではない. (5) 進行管理とプロセスマネジメント 表1に示したように, 都市計画マスタープランにおいて, 計画の推進や実現に関わる項目があ る自治体とない自治体がある. また, 項目がある場合でも, 表2に示したように, その記載内容 は, 自治体によって異なっている. これまでの計画でも見られた, 関係主体との協働や連携 (市 民協働, 民間活力, 官民連携も含めて), PDCA サイクルによる進行管理や計画の見直しが多く の自治体で見られる記述である (豊明市, みよし市, 碧南市, 新城市, 弥富市他). 60) 春日井市 (2020.3) 「春日井市都市計画マスタープラン」

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図 8:進行管理の方法 出典:豊明市 (2017.3) 「第 3 次豊明市都市計画マスタープラン」 図 9:PDCA サイクルのイメージ 出典:みよし市 (2020.3) 「みよし市まちづくり基本計画」 図 10:PDCA サイクルによる進捗管理 出典:碧南市 (2019.10) 「碧南市都市計画マスタープラン 2019∼2030」

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PDCA サイクルを基本とする自治体が多い中で, 「柔軟で機動的な対応」 に関する記述がいく つかの自治体で見られる. 例えば, 常滑市の 「常滑市都市計画マスタープラン (2020.6)」61) は, 「本計画に基づく施策, 事業の進捗状況を管理し, その実施や改善を図ることができる仕組 みを検討するとともに, その状況を踏まえながら, 施策の方針を見直していく等, 柔軟で機動的 な対応を図るものとします」 とある. 大府市の 「第 4 次大府市都市計画マスタープラン (2020.3)」62) では, 「必要に応じて本計画の内容を見直していくなど, 柔軟で機動的な進行管理 (PDCA サイ クル) を行うものとします」 とある. また, 豊明市の 「第 3 次豊明市都市計画マスタープラン (2017.3)」63) では, 「必要に応じて主な施策・事業を見直していくなど, 柔軟で機動的な進行管 理 (PDCA サイクル) を行うものとします」 としている. さらに, 碧南市の 「碧南市都市計画 マスタープラン 2019∼2030 (2019.10)」64) では, 「本計画に大きな影響を及ぼすような社会情勢 の変化があった場合には, 機動的に計画の見直しを行います」 とある. 関連して, みよし市の 「みよし市まちづくり基本計画 (2020.3)」65) では, 「 PDCA サイクル に基づき, 実施状況など を検証・分析するとともに, 必要に応じて計画の見直しを行うなど, 柔軟で機能的な対応を図っ ていくこととします」 とある. これらは, 平塚市の 「平塚市都市マスタープラン (第2次) 別冊 (2017.10)」66) や安城市の 「第三次安城市都市計画マスタープラン (2019.2)」67) に見られるように, PDCA サイクルと対比 される, 不確実な時代に求められる OODA ループを意識した 「柔軟で機動的な対応」 とは意味 合いが異なる. 進行管理の一環として, 自治体の中には, 都市計画マスタープランにおいて, 独自の取り組み を 位 置 づ け る こ と も 見 ら れ る . 例 え ば , 尾 張 旭 市 の 「 尾 張 旭 市 都 市 計 画 マ ス タ ー プ ラ ン (2018.10)」68) では, 都市計画マスタープラン掲載事業進捗確認票を位置づけている. また, 常 滑市69)は, 「都市計画マスタープランの進行管理の手引き」 を検討している. 進行管理シートを もとに, 方針 (施策) の進捗状況や取り組み実績を確認し, 見直しや改善策を検討するとしてい る. 61) 常滑市 (2020.6) 「常滑市都市計画マスタープラン」 62) 大府市 (2020.3) 「第 4 次大府市都市計画マスタープラン」 63) 豊明市 (2017.3) 「第 3 次豊明市都市計画マスタープラン」 64) 碧南市 (2019.10) 「碧南市都市計画マスタープラン 2019∼2030」 65) みよし市 (2020.3) 「みよし市まちづくり基本計画」 66) 平塚市 (2017.10) 「平塚市都市マスタープラン (第2次) 別冊」 67) 安城市 (2019.2) 「第三次安城市都市計画マスタープラン」 68) 尾張旭市 (2018.10) 「尾張旭市都市計画マスタープラン」 69) 常滑市都市計画マスタープラン 第5回策定委員会 (2020.2.10) <資料3:常滑市都市計画マスター プランの進行管理の手引き (案)>

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進行管理を具体的に進めるための取り組みが記載される一方で, 近年は, 進行管理において, そもそも PDCA サイクルという言葉に言及しない場合や具体的な評価指標を示さない場合も見 られる. 例えば, 名古屋市の 「名古屋市都市計画マスタープラン 2030 (2020.6)」70) の 「第 8 章 プランの推進にあたって」 では, 「本プランの推進にあたっては, 市の取り組みの実績や成果, 評価指標による数値の変化, SDGs への貢献などを総合的に勘案しプランの進捗状況を把握する とともに, 上位計画の見直しや社会情勢の変化などがプランの内容に大きく影響する場合, 必要 に応じて評価・見直しを行います」 とあるが, 評価指標の例を示しているのに過ぎない. (6) マネジメントへの想い 計画への記載内容から, 自治体のマネジメントや協働のあり方に対する認識も見てとれる. 例 えば, 高浜市の 「高浜市都市計画マスタープラン (2017.9)」71) では, 「第 5 章 計画の実現に向け て」 において, 「市民と行政の協働による都市づくりに向けて」 という項目がある. また, 西尾 市の 「西尾市都市計画マスタープラン (2018.5)」72) では, 「第 5 章 計画の実現方針」 において, 「市民と行政との協働による都市づくりの方針」 という項目がある. 両者とも, その中で, 「市民 主体の都市づくりの推進」 について触れている. 高浜市においては, 「各地域のまちづくり協議 会などの市民団体をはじめとして」 という文が前に書かれているが, いずれにおいても, 「市民 が主体的に都市づくりに参加し, 計画, 運営, 維持・管理, 点検・評価などの一連の地域マネジ メントに関わりながら, 市民が主体となった都市づくりを進めていきます」 としている. ただし, 「地域マネジメント」 という言葉が使われているが, マネジメントの捉え方や方針は明確ではな い. 常滑市では, 第2回都市計画マスタープラン策定委員会において, 「都市づくりの目標」 が議 論され, 「ともに創り・使い, 未来につなぐ都市」 という目標があり, その下に, 「地域住民が主 体となった身近なまちづくりの促進」 という項目があったが73), 議論を踏まえて, 第3回都市計 画マスタープラン策定委員会では, 「地域住民との連携・協働による身近なまちづくりの促進」 と修正している74). 高浜市や西尾市において, 同一な記述が見られること, また, 常滑市において, 文案が修正さ れたことの背景には, 都市計画マスタープランやその推進におけるマネジメントや協働に対する 位置づけや認識がはっきりと記載内容に映し出されている. 70) 名古屋市 (2020.6) 「名古屋市都市計画マスタープラン 2030」 71) 高浜市 (2017.9) 「高浜市都市計画マスタープラン」 72) 西尾市 (2018.5) 「西尾市都市計画マスタープラン」 73) 常滑市都市計画マスタープラン 第2回策定委員会 (2019.3.29) <資料 2:【都市づくりの目標】> 74) 常滑市都市計画マスタープラン 第3回策定委員会 (2019.5.23) <資料 1:【都市づくりの目標】>

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3−3. まとめ 愛知県内のいくつかの自治体では, 社会の変化への対応の必要性の認識は見られるが, 国レベ ルでの議論と重ね合わせて見ても, マネジメントへの関心は, 自治体によってかなり温度差があ る. 自治体の中には, 都市計画マスタープランで, 地域マネジメントに関わる方針や取り組みが 位置づけられているが, その記載内容は大きく異なる. 人口減少, 少子高齢化, 厳しい行財政状況を背景に, 公共施設やインフラの老朽化等に伴う効 率的な修繕や更新, 必要な公共サービスの維持や施設の配置や総量の適正化 (再編や再配置, 長 寿命化等), そして, 都市運営コストの削減に言及する自治体は多い (コストマネジメントやス トックマネジメント). また, 参加や協働による推進, そして, PDCA サイクルによる進行管理 に触れる自治体も多い. 一方で, エリアマネジメントや公共空間の利活用等マネジメントを意識 した近年の動きを積極的に捉えている自治体は少ない. 「都市運営」 という視点を導入している自治体もあるが, その射程は限定的であり, また, 都 市づくりの目標の一つに位置づけられていることにとどまり, 具体的な方針にまでは言及されて いない. 計画の推進や実現に関わる実現化方策を示す自治体もあるが, マネジメントの視点を踏 まえたこれからを見据えた取り組みへの言及は少ない. 愛知県内の各自治体の都市計画マスタープラン及びその策定経緯を俯瞰的に見ていくと, 行政 (特に, 担当部署や職員) が, 都市計画マスタープランをどのように捉え, どのような想いをもっ て策定しているのか, 専門家の役割や人選も含めてどのような策定体制を構築しているのか, 策 定支援業務を受託する事業者をどのように位置づけているのかによって, 都市計画マスタープラ ンへの記載内容が異なっていることがわかる. 策定支援業者が同一の自治体は, 計画策定におけ る視点や記載内容が類似していく場合も見られる. このように, 都市計画マスタープランの策定 において, どのような姿勢で臨んでいるのかは, 記載内容に映し出されている.

4. 愛知県内の先駆的な取り組みに見る地域マネジメントの射程

ここでは, 愛知県内の自治体の中でも先駆的な取り組みとして, 名古屋市, 安城市, 長久手市 の事例を取り上げ, 地域マネジメントに関わり, どのような方針や方向性を持っているのかを見 ていく.

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4−1. 名古屋市都市計画マスタープラン 名古屋市の 「名古屋市都市計画マスタープラン (2011.12)」75) では, 行政主導の 「戦略的まち づくり」 の展開に対して, 地域主導の 「地域まちづくり」 が新たに位置づけられた. 2012 年度 から制度が本格運用され, 2017 年度からは支援内容が拡充された. ここでは, マネジメントの 視点を意識し, 地域まちづくりのプロセスを全体として示し, まちづくり団体に対して組織や活 動の成長を促し, 合わせて, 段階や成長に応じた支援をしていく仕組みとなった. 「名古屋市都 市計画マスタープラン 2030 (2020.6)」76) では, 「第 6 章 地域まちづくりの推進」 において, 改 めて, 「地域まちづくり」 及び拡充された支援内容が位置づけられることになった. また, 図 11 に示す 「地域まちづくりのイメージ」 が新たに示され, 直線的ではなく, 往還的な, あるいは, 循環的な地域まちづくりのあり方が示されている. 名古屋市において, 2011 年 12 月に策定された 「都市計画マスタープラン」 に, 地域まちづく りの考え方が導入された経緯や制度の拡充の経緯については, 村山77)や吉村78)に詳しい. 「名古屋 図 11:地域まちづくりのイメージ 出典:名古屋市 (2020.6) 「名古屋市都市計画マスタープラン 2030」 75) 名古屋市 (2011.12) 「名古屋市都市計画マスタープラン」 76) 名古屋市 (2020.6) 「名古屋市都市計画マスタープラン 2030」 77) 村山顕人 (2018.10) 「都市計画と市街地開発・まちづくりを考える∼愛知県での関わりを中心に」 建 築とまちづくり, No.478, pp.6-11 78) 吉村輝彦 (2019.11) 「地域まちづくりの推進に向けた支援の仕組みのあり方に関する一考察∼名古屋 市 「地域まちづくり」 の取り組みを事例に∼」 都市計画論文集, Vol.54, No.3, pp.306-312

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市都市計画マスタープラン 2030」 に関しては, この間の地域まちづくり制度の拡充を受けて, また, 社会の変化にどれだけ迅速に対応していけるのかという改定に向けた行政の姿勢のもとで, 地域まちづくりをより積極的に位置づけていくことになった. 地域まちづくりの運用に関しては, 課題も見られるが, 地域まちづくりの推進に向けては, 「地域まちづくりガイド」79) や 「地域ま ちづくりミニ冊子」80) が作成されている等, 様々な取り組みがなされてきた. 4−2. 第三次安城市都市計画マスタープラン 安城市の 「第三次安城市都市計画マスタープラン (2019.2)」81) では, 今後重視すべき都市づ くりの視点として, 「1 都市構造 (まちをつくる)」, 「2 都市運営 (まちをつかう)」, 「3 都市活 力 (活きる力をつくる)」, 「4 都市生活 (安心をつくる)」, 「5 都市環境 (心地よさをつくる)」 の5つを挙げている. その上で, 全体構想において, 5つある都市づくりの目標の一つとして, 「みんなでまちをつかう!市民とともに育む持続可能な都市づくり」 を挙げている. そして, 分 野別方針として, 「(3) 市民とともにつくり・つかう協創の方針」 が位置づけられている. それ をさらに詳細化したのが, 「第 5 章 本計画の運用」 である. ここでは, 都市計画マスタープラン を柔軟で機動的な進行管理を行うこととし, 合わせて, 「新しいまちづくり」 の考え方を導入し ている. また, 「市民とともにつくり・つかう協創のまちづくり戦略」 を位置づけ, 協創のまち づくりの基本的枠組み・流れを示している (図 12 参照). 「新しいまちづくり」 は, 「まちの課題解決に向けて, いかにまちをつくり・つかうのか を 共有, 実践していく必要がある」 とし, 「刻一刻と変わりゆくまちの課題へ柔軟に対応できるし くみであるべき」 であり, 「まず行動することで事業とまちとの相性を検証し, 反応を踏まえよ りまちに合った計画検討 (まちづくりプランの共有) を行うなど, 一般的な PDCA よりもより 機動的となるよう 不断の見直し によってまちづくりを進めていく」 としている. また, 「民 間主体の社会実験の繰り返しは, 今以上にまちの魅力を高めるとともに市民意識の醸成にもつな がり, 最終的な整備や整備後の“わたしたちのまち” の質的向上を後押しすることも期待でき る」, 「長期的ビジョンを共有しながら地域がやれることをどんどん実施し, 小さな積み重ねで大 きな改善につなげる戦略的取組を進めていく」 とあり, タクティカル・アーバニズムを意識した 取り組みをしていくことになる. PDCA サイクルだけではなく, OODA ループを意識した循環 的なプロセスが想定されている. 79) 名古屋市 住宅都市局 都市整備部 まちづくり企画課 (2017.8) 「地域まちづくりガイド 地域まちづく り の み ち し る べ 」 (http://www.city.nagoya.jp/jutakutoshi/cmsfiles/contents/0000047/47911/ chimachi_guide.pdf) (最終閲覧:2020 年 5 月) 80) 名古屋市 住宅都市局 都市整備部 まちづくり企画課 (2020.3) 「地域まちづくりミニ冊子 「 まちづく り ってなんだろう?」」 (http://www.city.nagoya.jp/jutakutoshi/cmsfiles/contents/0000028/ 28279/chimachiminisasshi.pdf) (最終閲覧:2020 年 5 月) 81) 安城市 (2019.2) 「第三次安城市都市計画マスタープラン」

表 1:愛知県内の自治体の都市計画マスタープラン及び立地適正化計画の策定 (改定) 状況
表 2:愛知県内の自治体の都市計画マスタープランにおける計画の推進や実現に関わる記載内容
図 8:進行管理の方法 出典:豊明市 (2017.3) 「第 3 次豊明市都市計画マスタープラン」 図 9:PDCA サイクルのイメージ 出典:みよし市 (2020.3) 「みよし市まちづくり基本計画」 図 10:PDCA サイクルによる進捗管理 出典:碧南市 (2019.10) 「碧南市都市計画マスタープラン 2019〜2030」

参照

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