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IRUCAA@TDC : 下顎前突症の顎矯正手術後における長期安定性について : 下顎枝矢状分割術と上下顎移動術との比較

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Academic year: 2021

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(1)Title. 下顎前突症の顎矯正手術後における長期安定性について : 下顎枝矢状分割術と上下顎移動術との比較. Author(s). 黒田, 崇; 鈴木, 敏正; 樋口, 和彦; 三田, 起代恵; 渡 木, 澄子; 鈴木, 君和; 鶴木, 隆; 市之川, 義美; 野村, 真弓; 山口, 秀晴. Journal URL. 歯科学報, 102(7): 583-596 http://hdl.handle.net/10130/608. Right. Posted at the Institutional Resources for Unique Collection and Academic Archives at Tokyo Dental College, Available from http://ir.tdc.ac.jp/.

(2) 5 9 7. ―――― 臨 床 報 告 ――――. 平成12年度水道橋病院臨床報告 ― 過去5年間の水道橋病院の動きと平成12年度診療内容 ― 辻 野 啓一郎1). 島 田. 淳2). 大 沢 広 晃3). 宮 崎 晴 代4). 福 田 謙 一5). 高 野 正 行6). 森 山 貴 史7). 鈴 木. 聡8). 東京歯科大学水道橋病院(金子. 金 子. 譲5). 譲 病院長). 1). 小児歯科,2)スポーツ歯科,3)補綴科,4)矯正歯科. 5). 歯科麻酔科,6)口腔外科,7)保存科,8)総合歯科 (2 0 0 2年5月2 4日受付) (2 0 0 2年7月4日受理). 抄 録:水道橋病院では,平成1 3年9月に「第8回水道橋病院身近な臨床勉強会」と題して,平成 1 2年度の水道橋病院各診療科の臨床統計について発表を行い,日常的な診療内容を振り返るととも に,各科の特色やトピックスの紹介を行った。本稿ではその内容をもとに患者数の推移や来院状 況,各科での処置内容について報告するとともに,各科での診療内容や今後の検討課題について報 告する。 平成8年度から平成1 2年度までの5年間の変化は,1日平均外来患者数でみると,平成9年度以 降,大きく増加し,平成9年度には1日平均3 3 1. 0人であったのが平成1 1年度には3 9 9. 2人,平成1 2 年度には4 1 3. 3人と実質的に大きな患者増と考えられた。 キーワード:臨床統計,診療内容,歯科大学病院. 近年,水道橋病院ではスポーツ歯科,眼科の開. その内容をもとに患者数の推移や来院状況,各科. 設,エックス線 CT の導入,顎関節症やインプラ. での処置内容について報告するとともに,各科で. ントなどの専門外来を設立するなど,大きな変化. の診療内容や今後の検討課題について報告する。. がある。また,従来からの診療各科も時代背景や 最近の水道橋病院の動き. 都心の大学病院の役割の変化に合わせ診療内容は 変化しつつある。. 水道橋病院では平成1 1年にスポーツ歯科を新. 水道橋病院では,平成13年9月に「第8回水道. 設,平成12年には眼科を新設した。さらに平成1 3. 橋病院身近な臨床勉強会」と題して,平成12年度. 年には顎関節症やインプラント,口臭などの歯科. の水道橋病院各診療科の臨床統計について発表を. 専門外来を新設するなどの目まぐるしい変化が. 行い,日常的な診療内容を振り返るとともに,各. あった。平成14年4月現在,保存科,口腔外科,. 科の特色やトピックスの紹介を行った。本稿では. 補綴科,矯正歯科,小児歯科,歯科麻酔科,総合 歯科,スポーツ歯科,放射線科,歯科専門外来,. 別刷請求先:〒1 0 1 ‐ 0 0 6 1 千代田区三崎町2−9−1 8 東京歯科大学水道橋病院小児歯科 辻野啓一郎. 内科,眼科の12診療部門から構成されている。. ― 35 ―.

(3) 5 9 8. 辻野, 他:平成1 2年度水道橋病院臨床報告. 各診療部門における臨床統計 1.スポーツ歯科(島田. 患者とした。また顎関節症の疑いで受診した患者. 淳). (以下顎関節症患者と略す) については,咀嚼筋. スポーツ歯学の目的は,!正しい栄養摂取と体. 痛,顎関節痛,顎関節音および開口障害のみでな. 力づくり,"健康維持増進のための歯と口腔の健. く,咬合,全身症状およびブラキシズムについて. 康管理,#歯,顎,口腔領域におけるスポーツ障. 訴える患者も含んだ。検討項目は,調査期間にお. 害の安全対策とその指導およびスポーツ外傷の治. けるスポーツ歯科受診患者の内訳,スポーツ関係. 療,$顎口腔系の機能と運動能力との関係の解明. 患者の内訳,スポーツの種類,所属,主訴,およ. などを中心とし,トップアスリートはもちろんの. び顎関節症患者については年齢分布と処置内容と. こと,国民全体の健康づくりをサポートしていく. した。. ことである。すなわちスポーツ歯学は,従来の歯. 結. 果 平成1 2年度スポーツ歯科受診患者は, 男性319. 科医学に,スポーツ医学の知識を加えた総合歯科 医学であると思われる。そこで当研究室では,ス. 名,女性5 11名の合計8 30名であり,その内訳はス. ポーツ選手の顎口腔の管理として,齲歯,歯周組. ポーツ関係患 者,男 性5 3名,女性1名の合計54. 織および智歯について評価を行い,咬合および顎. 名,顎関節症患者は,男性112名,女性260名の合. 機能の評価を行っている。また外傷予防および,. 計372名,通常の処置で受診した患者は,男性154. スポーツパフォーマンスの向上をめざしマウス. 名,女性250名の合計404名であった(図1,2)。. ガードの製作を行っている。一方顎口腔系の状態. スポーツ関係患者受診年齢は10代が最も多かっ. 変化が全身の運動機能へ影響を及ぼす可能性があ. た。また,チーム契約によるものがもっとも多. ることより,よりよい顎口腔系の状態を探求すべ. かった (図3)。またスポーツの種類では,ラグ. くスポーツ選手を含む顎関節症患者についても専. ビーがもっとも多く, その他アメリカンフット. 門的な治療を行っている。そこで今回は,平成12. ボール,ボクシング,重量挙げ,アイスホッケー,. 年度スポーツ歯科における患者総数をスポーツ関. 野球などが見られた。選手の所属については,高. 係患者,顎関節症患者および通常治療の患者に大. 校生がもっとも多く,以下プロ,社会人,大学. きく分け,特にスポーツ関係患者および顎関節症. 生,中学生および小学生の順であった(表1)。主. 患者について臨床統計をまとめたので報告する。. 訴としては,マウスガードの製作希望がもっとも. 方. 多く,ついで運動能力向上のための相談が多かっ. 法 今回対象としたスポーツに関係し受診した患者. た(図4)。. (以下スポーツ関係患者と略す)は,運動選手であ. 顎関節症患者の年齢の内訳は,20代女性がもっ. り,主にスポーツ歯学に関連した訴えで来院した. とも多く,次いで30代女性,20代男性,50代女性 の順であった(図5)。治療としてはスプリント療. 性 性. 図1 最近2年間の延べ患者数, 新患数 (スポーツ歯科) ― 36 ―. 図2. スポーツ歯科患者内訳.

(4) 歯科学報 表1. ラグビー アメフト ボクシング 重量上げ 野 球 ボウリング サッカー 相 撲 アイスホッケー 柔 道. Vol.1 0 2,No.7(2 0 0 2). 5 9 9. スポーツの種類と所属. 小学. 中学. 高校. 0 0 0 0 0 0 0 0 1 0. 2 0 0 0 0 0 0 0 1 1. 2 3 5 1 0 1 0 0 0 0 0. 大学 社会人 プロ 2 0 0 0 0 0 0 0 0 0. 9 0 0 2 0 0 0 0 0 0. 0 0 1 0 2 1 1 1 0 0. 図4. スポーツ関係者主訴. (人). 性 性. 図5. 図3. 顎関節症患者の年齢分布. スポーツ関係患者内訳. 法がもっとも多く,ついで開口練習であり,修 復・補綴処置や咬合調整も多く見られた(図6)。 考. 察 今回,スポーツ歯科受診患者についてスポーツ. 関係患者と,顎関節症患者について大きく分けて. 図6. 検討を行った。スポーツ関係患者については,ス. 顎関節症患者処置内容. ポーツ歯科が発足して2年目ということもあり, 人数的には他の患者に比較して少ないが,平成13. 明らかにするための診断と治療についてまだまだ. 年度においては昨年度と比較して患者数が大幅に. 課題が残るところと思われる。しかし,スポーツ. 増加しているので機会があれば比較し報告した. 関係患者の中には運動能力の向上について興味を. い。また,主訴としてはマウスガードの製作が多. 持つものも多く,全身機能と歯科との関連を明ら. く,外傷予防というスポーツ歯学の概念が浸透し. かにしていくことも大切であると考える。. てきているものと思われる。顎関節症患者におけ る年齢分布は,従来の報告と同様な結果であると. 2.補綴科(大沢広晃). 1). 思われる 。しかし,今回は顎関節症に含んでい. 近年の高齢社会への急速な伸展に伴い,歯科に. るが,咬合の不調和や全身症状を主訴に来院する. おける補綴治療の役割が大きくなってきている。. 患者も多く,どこまでが歯科の範囲であるのかを. さらに,全身疾患や感染症等の頻度も増加した現. ― 37 ―.

(5) 6 0 0. 辻野, 他:平成1 2年度水道橋病院臨床報告. 在,水道橋病院補綴科においては,多岐にわたる. た,局部義歯320装置中253装置(79. 2%)が遊離端. 症例を担当している。今回,日常の処置内容につ. 欠如症例であった。 装着時年齢の分布は,6 0歳代が201例(29. 2%). いて統計的な分析を行い,今後の治療の効率化, 技術の向上の資料とすることを目的とした。. と最も多く,次いで5 0歳代149例(21. 7%),70歳. 方. 代122例(17. 7%)の順であり,これらに8 0歳代を. 法 調査対象は補綴科で平成12年4月から平成13年. 加えると4 92例71. 5%を占めた。一方,40歳代以. 3月までの間,有給者6名,病院助手4名,計10. 下の割合は196例29. 5%であった (図10)。また,. 名の医員と看護婦1名,歯科衛生 士4名,診 療. 補綴装置の割合は20歳代以降では増齢的に歯冠修. チェアー11台という診療体制で対応した症例とし. 復,ブリッジの割合が減少し,局部義歯が増加す. た。調査項目は,来院された延べ患者数および新. る傾向にあった。なかでも30歳代以降の局部義歯. 製した補綴装置の患者数とその男女比,装置の分. 症例では,約8 0%が遊離端欠如症例であった (図. 類,装着時年齢,自費診療の占める割合およびイ. 11,12)。総義歯は4 0歳代以降から増齢的に増加. ンプラント症例についてである。調査方法は補綴. していた。 装着した装置のうち自費診療の占める割合は,. 科で作製したファイルに担当医がそれぞれデータ. 総装着数1, 065装置 中266装 置(24. 9%)で あ っ た. を入力し,統計的な検討を行った。 結. 果. (図13)。. 過去5年間の延べ患者数は, 平成9年度は1 2, 6 1 9. インプラント症例は一次手術2 3例(男性8,女. 名であったが,以降増加傾向にあり平成11年度に. 性15)で あ り,埋 入 本 数 は74本,除 去 本 数 は1. は15, 646名となった。平成12年度に来院された延. 本,成功率9 8. 6%であった。二次手術は2 4例(男. べ患者数は15, 618名で,そのうち新規来院患者は. 性12,女性12),連結本数は8 6本,上部構造装着. 199名であった (図7)。補綴装置を新製した患者. 数は22装置であった。. の男女比は,総患者数591名中男性249名(42. 1%),. 考. 察 平成12年度の患者数は前年度に引続き15, 000人. 女性342名 (57. 9%)であり女性の比率が高かった. を上回り,過去5年間では増加傾向にあった。こ. (図8)。 装着した1, 065装置を分類すると,歯冠修復が. れは医局員数の増加,診療時間の延長に加えて,. 482装置(45. 3%)と最も多く,次いで局部義歯320. 医局員および医療スタッフのモチベーションの高. 装置(30. 0%),総義歯163装置(15. 3%),およ び. 揚による診療の効率化が大きな要因となっている. ブリッジ100装置(9. 4%)の順になった(図9)。ま. ものと思われる。. (42. 1%). 図7. 最近5年間の延べ患者数,新患数(補綴科) 図8 ― 38 ―. 補綴装置を新製した患者数,男女比.

(6) 歯科学報. 図9. Vol.1 0 2,No.7(2 0 0 2). 新製した各補綴装置の割合. 6 0 1. 図1 0 装着した補綴装置の年齢分布. 図1 2 各年代における補綴装置の割合 図1 1 各年代における遊離端欠如症例の割合. た,総義歯,局部義歯,およびブリッジを合わせ た欠損補綴が54. 7%を占めていたが,これは欠損 歯数を多く持つ高年齢層の割合が高いためと思わ (24. 9%). れる。 各年代における補綴装置の割合では,50歳代よ り年代を追うごとに欠損補綴の割合が順次増大 し,60歳代では全体の70. 6%を占めた。また30歳 代から欠損補綴の占める割合が増加し,この年代 (75. 1%). から歯牙の喪失に拍車がかかっているものと考え られる。今回の調査で30歳代以降の局部義歯症例. 図1 3 保険診療と自費診療の割合. のうち,約80%が遊離端欠如症例ということがわ かった。なかでも少数歯の遊離端欠如というの. 補綴装置の分類では,歯冠修復が全体の45. 3%. は,審美的要因が低く患者も支障を感じないた. と最も多かったが,これは歯冠修復の中に鋳造. め,欠如がそのまま放置されることが多い。その. 冠,インレーだけでなく,根面アタッチメント,. ために残存歯の傾斜,移動,挺出等が起こり歯列. 根面板等のすべてを含めたためと思われる。ま. 咬合の乱れを誘発すると考えられる。さらに,そ. ― 39 ―.

(7) 6 0 2. 辻野, 他:平成1 2年度水道橋病院臨床報告. の歯列不正がある口腔内の状況では,当然歯周病. 把握する目的で,外来を訪れた小児の診療内容に. の罹患率が高くなり,欠如はさらに多数歯へと広. 関する実態調査を行った。その中から,特に処置. がっていく。そうなる前に患者に対して今後起こ. 内容,受診年齢,定期健診時の処置内容について. りうる口腔内の変化について,私達が十分に説明. 検討した。. する責務があると思われる。特に30歳代,40歳代. 方. 法. の少数歯欠如を有する患者に対して,適切な治療. 調査対象は,平成12年4月から平成13年3月ま. を行うことにより50歳代以降の欠損補綴症例の減. での1年間に当科を受診した患者である。診療当. 少,また8020運動の達成といったことにもつ. 日に各担当医が,診療日,氏名,性別,処 置 部. ながっていくと考えられる。. 位,処置内容,対応法,基礎疾患,初診・定期健. インプラント症例においては高い成功率を収め. 診などについてコンピュータ入力を行った。処置. ているが,これは診療技術の向上と適切な術前・. 内容は1歯単位でその処置内容ごとに入力を行っ. 術後の患者管理および歯科麻酔科による全身コン. た。小児歯科における処置内容は多岐にわたるた. トロールという良好な手術環境が大きな要因を占. め,保存処置,予防処置,外科処置,咬合誘導処. めるものと思われる。. 置,検査及び資料の採取に分類して入力した。な お,刷掃指導は予防処置に含めた。. 3.小児歯科(辻野啓一郎). その結果をもとに,患者数,処置内容等の細目. 小児歯科では小児に対する総合的な診療を行っ. を抽出するとともに,患者数の推移をみる目的で. ており,処置内容は多岐にわたる。近年,小児の. 過去5年間の延べ患者数と新患数を比較した。. 齲蝕罹患の減少あるいは少子化の進展などから,. 結. 小児歯科医療の在り方が論議されている。このよ. 1.最近5年間の延べ患者数,新患数(図14). 果. うな背景の中で,小児歯科における診療内容を把. 平成12年度の延べ患者数は6, 097人,新患数431. 握することは大切なことと考える。また,水道橋. 人であった。これらはいずれも最近5年間で最も. 病院は都心の大学病院という位置づけにあり,求. 多かった。最近5年間では,平成10年度までの延. められる役割も大きな特性を持つと考えられる。. べ患者数はゆるやかな減少傾向にあり,新患数は. これらのことから最近の小児歯科診療の動向を. ほぼ横ばいであった。それ以降平成1 2年度まで. 図1 4 最近5年間の延べ患者数,新患数(小児歯科). 図1 5 処置内容(6, 0 9 7人 8, 2 3 6処置) ― 40 ―.

(8) 歯科学報. Vol.1 0 2,No.7(2 0 0 2). 図1 6 年齢別処置内容. 6 0 3. 図1 7 定期健診時処置内容. は,延べ患者数,新患数ともに増大傾向にあった。. な減少を示し,特に水道橋病院のある東京都では. 2.処置内容(図15). 11. 8%と全国で最も少ない2)(図18)。. 調査期間の延べ患者数6, 097人に対して行われ. この少子化の流れの中で患者数の増加は相反し. た処置 は8, 236処 置 で あ っ た。そ の 中 で 最 も 多. ている。その原因を特定することはできないが,. かったのは保存処置で全処置の44. 6%を占めてい. 当科では4年前から定期健診患者や長期未来院患. た。つぎに,予防処置24. 2%,外科処置1 1. 8%,. 者へ郵便による来院の呼びかけを行っているこ. 咬合誘導15. 0%,検査及び資料採取4. 4%であっ. と,矯正歯科との連携が密となったこと,過去に. た。. 外傷治療を行った児童の小学校養護教員からの紹. 3.年齢別. 処置内容(図16). 介が増加したことなどが来院患者数の増加につな. 2∼6歳では保存処置が半分以上であるが,以 降は減少する傾向にあった。予防処置は4歳以降. がったものと考えられる。 2.処置内容. 14歳まで,ほぼ平均的に行われていた。外科処置. 保存処置の割合が高く,全体の4割を占めてい. は年齢によりばらつきがみられたが,1歳児では. た。小児齲蝕の減少が言われて久しいが,現在も. ほとんどの処置が外科処置であった。咬合誘導処. 小児歯科臨床においては保存処置を最も多く行っ. 置では9,10歳と12,13歳に増加する傾向があっ. ていた。小児齲蝕は減少の一方で二極化の傾向が. た。. 顕在化しているとも言われており,重症齲蝕児に. 4.定期健診時の処置内容(図17). 対する処置,回数が多いことも考えられる。しか. 定期健診に来院した患児1, 021人(1, 521処置)に ついてみると,予防処置が61. 9%と最も多かっ た。定期健診を除く処置内容と比較すると保存処 置は半分以下,外科処置,咬合誘導処置は減少し ていた。予防処置は,逆に約4倍であった。 考. 察. 1.最近5年間の患者数,新患数 調査期間中に来院した患者数は最近5年間では 最も多かった。現在,我が国においては急速な少 子時代を迎えている。総人口に対する14歳以下の 小児人口の割合は,1980年には2 3. 5%であ っ た が,1990年には18. 2%,2000年には1 4. 7%と急激 ― 41 ―. 図1 8 過去2 0年の小児人口の減少.

(9) 6 0 4. 辻野, 他:平成1 2年度水道橋病院臨床報告. し,齲蝕の保存処置の内容をみると形成修復が多. を集めてきた。しかし,近年の少子化傾向に加え. く,歯髄除去療法や感染根管処置,あるいは全部. て矯正歯科専門開業医の急増,矯正治療の一部保. 被覆冠修復など重症齲蝕に対する処置は比較的少. 険化,成人矯正治療の広まりなどにより患者動向. なかった。これらのことから当科来院患者全体で. に変化が生じていると考えられる。 伊藤ら3)は水道橋病院矯正歯科における平成2. は齲蝕の軽症化がうかがわれた。 3.年齢別. 処置内容. 年度から11年度まで10年間の新規来院患者の動向. 保存処置は,2∼6歳では半数以上を占めてお. について調査し,矯正歯科の新規来院患者数は社. り,特に低年齢児で多く行われていた。低年齢児. 会経済状況の影響を受けやすいこと,女性患者が. の来院目的は,齲蝕治療が多いと考えられる。. 約7割を占めること,平均年齢は上昇傾向がある. 予防処置は,4∼14歳までまでほぼ平均的に行. こと,20歳代の患者層が多いこと,平成8年度の. われていた。これは,乳歯列期完成から永久歯列. 顎変形症の保険治療施設認定以降,顎変形症患者. 期への交換期に相当している。このことから,乳. が増加したことなどを報告したが,今回は主とし. 歯列完成期から永久歯の萌出にあわせて,重点的. て平成12年度の矯正歯科患者の来院状況について. に予防処置が行われていると考えられる。. 検討を行ったので報告する。. 外科処置は,外傷に対する処置と乳歯の交換期. 方. 法. 抜歯と永久歯の便宜抜歯を含むことから,患者の. 矯正歯科ではファイルメーカープロにて患者の. 年齢によるばらつきが反映していると考えられ. 基本データを管理し既に約7000件の患者が登録さ. る。1歳では,ほとんどが外傷に関連する処置で. れている。また治療開始患者に関しては診断結果. あった。. など詳細なデータの入力に加え,平成12年4月か. 咬合誘導処置は9,10歳と12,13歳に増加する. らは毎日の診療内容の入力も実施している。. 傾向があるこれは,それぞれ側方歯群交換期,永. 今回はこれらのデータを用いて. 久歯列期初期に相当し,小児歯科臨床における咬. 1.最近5年間の延べ患者数および新規患者数. 合誘導を行っている時期があらわれている。. 2.平成12年度の患者動向の検討. 4.定期健診時の処置内容. 1)新規患者の性別来院状況. 定期健診は,主に保存,外科処置を終了した患. 2)新規患者の年齢別来院状況. 児に対して,通常3,4か月間隔 (症例により1. 3)一般治療患者数と保険治療患者数の割合. ∼6か月間隔) で行っている。新たな齲蝕の発生. 4)治療開始患者の状況. や乳歯交換期の抜歯,咬合誘導の必要性が認めら. 3.平成12年度の矯正診療内容について解析を. れない場合,フッ化物歯面塗布などの予防処置を. 行った。 結. 行っている。 今回の調査では,保存処置が約20%行われてい. 果. 1.最近5年間の延べ患者数および新規患者数. た。今後,それらの患者に対し定期健診の回数や. 図19は平成8年度から5年間の延べ患者数およ. 間隔,処置内容及び部位などについて調査を行. び新規患者数の推移を示す。延べ患者数は平均. い,定期健診に役立てたいと考える。. 12, 893名で最低が平成8年度の12, 286名,最高が 平成11年度の13, 366名であった。平成12年度の延. 4.矯正歯科(宮崎晴代). べ患者数は平均とほぼ同数の12, 861名であった。. 水道橋病院は平成2年に新病院となり本年は新. 新規患者数の5年間の平均は4 81名で,最低が平. 病院開設より13年目を迎えた。当院は交通至便で. 成10年度の426名,最高が 平 成8年 度 の578名 で. 診療各科との連携が整った都心病院であり,矯正. あった。平成1 2年度の新規患者数は4 36名で平均. 歯科は旧病院の時代より広範囲から一般矯正患者. をやや下回っていた。. ― 42 ―.

(10) 歯科学報. Vol.1 0 2,No.7(2 0 0 2). 6 0 5. 図2 0 新規患者性別来院状況 図1 9 最近5年間の延べ患者数,新患数(矯正歯科). 新規来院患者4 36名のうち診断へ移行した患者. 2.平成12年度の患者動向の検討. は239名(54. 8%),相談のみが197名(45. 2%)だっ. 1)新規患者の性別来院状況 平 成12年 度 の 新 規 患 者4 36名 中,男 性 は129名. た。診断患者のうち一般治療患者は54. 4%,保険. (29. 6%),女性は307名(70. 4%)であった。男 女. 治療患者は45. 6%を占め,さらに保険治療患者の. 比は1:2. 4と女性が多かった(図20)。. 内訳は口唇・口蓋裂患者が17. 2%,顎変形症患者. 2)新規患者の年齢別来院状況. が28. 5%だった(図22)。 3.平成12年度の矯正診療内容. 平成12年度の新規患者の平均年齢は21歳6ヵ月 (4歳∼63歳)であった。年齢分布は20歳代の来院. 診療内容を検討した結果,診療内容はワイヤー. が35. 3%と最も多く,6∼12歳が23. 4%,13∼19. 調節が最多で約25%,ワイヤー装着が約16%,可. 歳が20. 9%の順で30歳代以上も18. 3%を占めてい. 撤式装置調節が約15%,リテーナー装置装着・調. た(図21)。. 整が約13%,その他の処置が約9%,可撤式装置. 3)一般治療患者数と保険治療患者数の割合. 装着が約5%,ブラケット装着が約5%,印象採 得が約4%,バンド装着が約3%,検査が約3%. 保険治療には口唇・口蓋裂患者と顎変形症患者 が含まれる。一般治療の延べ患者数と保険治療の. であった。. 延べ患者数の割合を調べると,矯正歯科ではこの. 考. 5年間で一般患者が約2, 000名減少し,保険患者. 1.最近5年間の延べ患者数および新規患者数. 察. が約2, 500名の増加を示している。この結果平成. 最近5年間の延べ患者数はほぼ横這いである. 8年度は25. 0%であった保険治療割合は経年的に. が,新規患者数は平成8年をピークに減少傾向で. 増加し,平成12年度には保険治療患者数が43. 4%. あった。矯正科新規来院患者の1 0年間の動向3)で. となっていた(表2)。. は平成3年度の来院数が最多で,その後平成5. 4)治療開始患者の状況. 年,6年度は患者数が減少,平成7,8年度は一. 表2. 一般患者 保険患者 計. 一般治療患者数と保険治療患者数. 平成8年度. 平成9年度. 平成1 0年度. 平成1 1年度. 平成1 2年度. 名. 名. 名. 名. 名. 9, 2 1 1 3, 0 7 5. %. 7 5. 0 8, 8 3 6 2 5. 0 4, 1 1 6. %. 6 8. 2 7, 9 4 0 3 1. 8 5, 0 6 2. %. 6 1. 1 7, 7 1 7 3 8. 9 5, 6 4 9. %. 5 7. 7 7, 2 7 6 4 2. 3 5, 5 8 5. % 5 6. 6 4 3. 4. 1 2, 2 8 6 1 0 0. 01 2, 9 5 2 1 0 0. 01 3, 0 0 2 1 0 0. 01 3, 3 6 6 1 0 0. 01 2, 8 6 1 1 0 0. 0 ― 43 ―.

(11) 6 0 6. 辻野, 他:平成1 2年度水道橋病院臨床報告. 図2 2 一般治療患者,保険治療患者の割合 図2 1 新規患者年齢別来院状況. に増加したため6)全体の保険治療割合が増加して 度上昇に転ずるが9年度以降は再び低迷し,これ. いた。顎変形症患者の増加の原因として,保険治. は日本の経済状況を反映していると考察してお. 療施設認定以後,顎変形症患者は一般診療から保. り,今回の結果もこの延長と考えることができる。. 険診療へ移行したこと,顎変形症を多く取り扱う. 2.平成12年度の患者動向の検討. 病院として認知が高まったこと,矯正歯科開業医. 1)新規患者の性別来院状況. の急激な増加に伴い一般治療患者はより近医を選. 平成12年度新規患者の性別来院状況は男性約. 択できるようになったことなどが考えられる。今. 30%,女性約7 0%で,男女比率は1:2. 4と他の. 後,歯科大学付属病院の矯正歯科診療は顎変形症. 4, 5). の報告より女性の比率が高. や口唇・口蓋裂や有病者など比較的難易度の高い. い。当科の過去1 0年間の調査3)でも同様の比率で. 特殊な症例が増加し,現在の一般治療57%,保険. あるが,成人患者は男性22. 7%,女性77. 3%とさ. 治療43%の比率が逆転することも予想される。. らに女性の割合が高く,男女比は1:3. 4である. 4)治療開始患者の状況. 歯科大学付属病院. ことから,成人女性患者数が多いことが女性患者. 平成12年度は新規来院患者の約55%が治療へ移. の割合を高めていると推測される。こうした成人. 行したが45%は治療に至らなかった。治療時期が. 女性の矯正治療受診の動きは今後は都市部から地. 早いため定期観察する場合やセカンドオピニオン. 方へも影響していくのではないかと考えられる。. を求めて来院する場合などは治療に至らない理由. 2)新規患者の年齢別来院状況. が明確だが,実際は理由が不明である場合が多. 10年間の新規患者の平均年齢は18歳4ヵ月で,. い。現在は毎年一定数の診断患者数を維持してい. 上昇傾向が報告されているが,平成12年度はさら. るが,今後も維持し続けるためには新規来院患者. に上昇し平均年齢は21歳6ヵ月であった。過去10. 数の減少をくい止め,診断へ移行する患者数を増. 年 間 の 年 齢 分 布 の 平 均 は2 0歳 代 の 来 院 が. やすことが重要である。. 34. 2%,30歳代以上が1 0. 2%と報 告 さ れ て い る. また,診断患者のうち保険患者の内訳は口唇・. が,平 成12年 度 の 年 齢 分 布 は20歳 代 の 来 院 が. 口蓋裂患者が17. 2%,顎変形症患者が28. 5%で,. 35. 3%,30歳代以上が18. 3%を占め,30歳代以降. 計約46%を占め,既に述べたように延べ患者の保. の成人患者が占める割合が上昇していた。. 険割合も約43%と同様の割合を示しており,一般. 3)一般治療患者数と保険治療患者数の割合. 診療のイメージが強かった矯正歯科診療も昨今は. 3). 過去10年間の報告 では口唇・口蓋裂患者の新 規来院数はほぼ一定だが,顎変形症患者数は健康. 約半数を保険治療が占めていた。 3.平成12年度の矯正診療内容. 保険適応の施設認定を受けた平成8年度から有意 ― 44 ―. 毎日の診療内容は本格治療であるマルチブラ.

(12) 歯科学報. Vol.1 0 2,No.7(2 0 0 2). 6 0 7. ケット法に包括される項目が半数以上を占めた。. 処置については外来観血処置日録を,入院手術に. 新規来院患者では半数以上が20歳以上で,13歳以. 関しては手術台帳をもとに集計した。. 上が75%を占めていることからも,成人患者数の. 結. 増加はエッジワイズ法を用いた本格矯正症例の増. 1.患者動向. 加に反映すると考えられる。. 1)平成12年度の延べ患者数と新規患者数. 果. 21世紀に入っても日本経済は長引く不況から脱. 口腔外科における平成12年度1年間の延べ再来. 出の兆しさえ見えず,失業率は5. 5%に達してい. 患者数は3 5, 185名で,1日平均の患者数は1 30. 8. る。新規来院患者数はバブル景気崩壊後の平成. 名であった。また新規患 者 数 は 総 計6, 126人 で. 5,6年に減少し,その後いったん上昇したが,. あった。延べ患者数は最近5年間でやや増加傾向. ここ数年は再びバブル直後と同様の落ち込みが認. にあり,ほぼ昨年と同様であった。一方,新規患. められ,日本の社会経済状況が大きく影響してい. 者数に大きな変動はないが平成10年度,11年度に. ると推測される。こうした経済情勢の中でも,矯. 比べるとやや減少していた(図23)。. 正歯科では一定数の延べ患者数及び診断患者数を. 2)来院経路 新規患者のうち4, 921人(80. 3%)が他病院,歯. 維持してきたが,今後は予断を許さない状況とい. 科医院からの紹介患者であり,その他は主に予診. える。 矯正歯科の総患者数の5年間の推移から,一般 患者が減り保険患者,特に顎変形症患者が増加. または院内他科からの患者であった。 3)紹介施設の地域別頻度. し,同時に平均年齢が高まっていることが明らか. 紹介施設の地域別頻度は,その80%近くが東京. となった。今後は顎変形症患者を含む成人患者の. 23区であり,それ以外で多いのは東京都下,神奈. 治療に重点を置き,安全で安定した質の高い治療. 川,埼玉,千葉などであった。また少数ではある. 結果を訴求し,同時に他科との共同治療体制を充. が,北海道や九州などを含む全国からの紹介が含. 実させ,社会のニーズに応えるサービスを提供し. まれていた(表3)。. ていくべきであろう。. 4)新規患者の年代別分布 新患の年代別では2 0歳代が1, 980人(35. 0%)と. 5.口腔外科(高野正行). 最も多く,次いで3 0歳代の1, 144人(20. 2%)で20. 水道橋病院口腔外科では平成7年より,受付の 患者情報の記録にパーソナルコンピュータを導入. ∼30歳代が全体の半数以上を占めていた(図24)。 5)入院患者数. し臨床統計や診療情報の交換などに応用してき. 平成1 2年度の延べ入院総数は4, 627人で,一日. た。それによれば,当科の新規患者の多くは首都. 平均12. 7人であった。平成11年度よりやや減少し. 圏近隣の歯科医院などからの紹介患者であり,外. ていた。これらのうち蜂窩織炎などが原因で,新. 来では埋伏智歯抜歯などが多く行われている。今 回のそれらに入院患者や手術症例のデータを追加. 規来院時に緊急入院となったものは32人であった (図25)。. し口腔外科全体としての臨床統計を行った。. 2.診療内容. 方. 1)外来での処置. 法 外来患者の臨床統計は水道橋病院口腔外科受付. 外来通院によるおもな処置内容を登録されたも. のコンピュータに入力されたデータと患者台帳を. のから比較すると,抜歯手術が4, 612歯で,その. もとに行った。入院患者に関しては入院台帳をも. うち智歯などの埋伏歯抜歯術が2, 907歯(63. 0%). とにしたが,多機能室と麻酔科外来での口腔外科. を占めていた。歯根端切除術は1 36歯,嚢胞摘出. 処置に関しては一部で歯科麻酔科の記録を参照さ. 術は340件であった。また消炎手術が9 3件,腫瘍. せていただいた。診療内容に関しては,外来での. 切除術が77件であった(表4)。. ― 45 ―.

(13) 6 0 8. 辻野, 他:平成1 2年度水道橋病院臨床報告. 図2 4 新規患者の年齢分布 図2 3 最近5年間の延べ患者数,新患数(口腔外科). 2)手術件数と手術内容 手術室での全身麻酔による入院手術件数は合計 315件で,全身麻酔による手術の割合が増加して きている。平成12年11月に新設された麻酔科外来 では,これ以降平成13年3月までに58件の入院手 術が行われていた。 手術内容としては顎変形症に対する外科的矯正. 図2 5 入院患者数. 手術が109件と最も多く,次いで骨固定用の金属 プレートなどの除去などを目的とした二次手術が. 入院手術のなかで最も件数の多かった外科的矯. 92件行われていた。さらに嚢胞摘出術が6 0件と多. 正手術は1 09件で全体の35. 3%であった (図26)。. かった(表5)。. そのうち約半数が下顎枝矢状分割法単独による下. 3)外科的矯正手術. 顎骨形成術であり,その他のものとしては LeFortI 型骨切り術と下顎枝矢状分割法を併用した 上下顎骨形成術,オトガイ形成術などであった。. 表3 地. 紹介施設の地域別頻度(延べ紹介件数) 域. 東京2 3区 東京都下 埼玉 神奈川 千葉 群馬,栃木,茨城 甲信越 北海道 東北 関西 中国,四国 九州 合. 計. 件. %. 3, 5 6 2 2 4 0 2 9 3 1 5 8 1 4 6 3 5 2 6 3 1 0 1 4 1. 7 9. 5% 5. 4% 6. 5% 3. 5% 3. 3% 0. 8% 0. 6% 0. 1% 0. 2% 0. 0% 0. 1% 0. 0%. 4, 4 7 9. 1 0 0. 0%. 考. 察 水道橋病院口腔外科では平成7年より,受付の. 表4 処 置. 名. 普通抜歯 難抜歯 埋伏歯抜歯 歯根嚢胞摘出術 歯根端切除術 粘液嚢胞摘出術 消炎手術 腫瘍切除術 合 ― 46 ―. 計. 外来観血処置数 (歯数または件数). %. 7 6 9 9 3 6 2, 9 0 7 3 2 2 1 3 6 1 8 9 3 7 7. 1 4. 6% 1 7. 8% 5 5. 3% 6. 1% 2. 6% 0. 3% 1. 8% 1. 5%. 5, 2 5 8. 1 0 0. 0%.

(14) 歯科学報 表5 手 術. 6 0 9. 手術室での手術件数. 名. 外科的矯正手術 二次手術 嚢胞摘出手術 腫瘍摘出術 炎症手術 骨折整復術 補綴前手術 合. Vol.1 0 2,No.7(2 0 0 2). 計. 件 数. %. 1 0 9 9 2 6 0 2 1 1 4 6 7. 3 5. 3% 2 9. 8% 1 9. 4% 6. 8% 4. 5% 1. 9% 2. 3%. 3 0 9. 1 0 0. 0% 図2 6 外科的矯正手術件数. 患者情報の記録にパーソナルコンピュータを導入. 新規患者の年齢別分布は20歳代,30歳代が全体. し臨床統計に応用してきた。当科の新規患者の多. の半数以上を占めていた。これは疾患の割合が埋. くは首都圏近隣の歯科医院などからの紹介患者で. 伏智歯や智歯周囲炎などこの年代の受診率が多い. あり,その診療情報の交換などにも応用してい. 疾患であること,また入院手術症例も外科的矯正. る。今回の臨床統計にあたってはこれらのデータ. 手術などの比較的若い成人の比率が多いためと思. を中心に集計した。しかし臨床統計をより確実な. われる。. ものとするには,記録簿の整備や入力方法の改善. 延べ入院患者数は,開院以来最も多かった平成. をはかるとともに病院医事のデータとリンクさせ. 11年度よりやや減少していた。これは一時的な医. たより徹底した対応が必要と思われた。. 局員の減少により,短期の入院処置症例などが減. 1.患者動向について. 少したためと思われる。. 当口腔外科の最近5年間の新規患者数は6, 000. 2.診療内容について. から6, 300名余であり,年々徐々に増加傾向を示. 外来での観血処置の臨床統計は平成11年より各. していたが平成12年度はその前年,前々年度より. 医局員の自己記載に基づいて行っている。外来観. やや減少していた。一方で延べ患者数には大きな. 血処置で最も多いものは抜歯手術で全体の87. 7%. 変化がなく昨年同様であった。. を占めていた。これらの抜歯手術のうち埋伏智歯. 当科の新規患者の大半は歯科医院,病院などの. 抜歯が63. 0%,難抜歯が20. 3%を占めており当科. 医療施設からの紹介患者であり,ここ数年は80%. の外来での処置内容の傾向が表れている。今後さ. 弱であった。しかし今年度は80%を越えていた。. らに外来観血処置の正確な把握につとめたいと考. 紹介の延べ件数を医療施設の地域別にみると,. えている。. その8割近くが東京23区からの紹介であり,次い. 手術室での入院手術件数は,歯科麻酔科の協力. で東京都下,埼玉県,神奈川県,千葉県の順で. もあり年々増加傾向にある。とくに従来局所麻酔. あった。これは当病院が近隣の首都圏の同窓を中. で行っていた腸骨移植をともなう手術や金属プ. 心とした一次医療施設に対して,二次医療施設と. レート除去手術が全身麻酔で行われるようにな. しての役割を反映しているものと思われる。また. り,手術室ではほとんどすべてが全身麻酔で行わ. 少数ではあるが北海道,東北,関西,九州などか. れている。さらに平成13年11月に新設された第2. らの紹介もあった。これは転勤,転職などにとも. 手術室や麻酔科外来でも入院手術が行われるよう. ない各地域の同窓の歯科医師より紹介が多いもの. になり,全体の手術件数は増加している。. と考えられる。. 手術室での手術内容としては外科的矯正手術が ― 47 ―.

(15) 6 1 0. 辻野, 他:平成1 2年度水道橋病院臨床報告. 最も多く,全体の35. 3%であり,その二次手術と. 方. 法. あわせると65. 1%を占めており,現状では当科で. コンピュータソフト・ファイルメーカープロに. の手術の主体をなしている。当科での外科的矯正. 患者データを入力・管理し,集計した。検討内容. 手術は新病院開院に伴って全身麻酔手術が行われ. は,平成12年度における,!歯科麻酔科外来延べ. るようになってから始まったが,当初は年間数十. 患者・再来を含む総患者・新規患者の数,年齢分. 件であったが年々増加傾向を示し,平成11年度か. 布,男女比,"外来新規患者の分類と全身管理. らは年間に百数件の手術件数を数えるようになっ. 法,#全身麻酔の件数および使用薬剤,$精神鎮. ている。次いで多いのは嚢胞摘出術,腫瘍切除術. 静法の件数および使用薬剤,%ペインクリニック. などで,骨折整復手術は総合病院の口腔外科など. 治療の件数,ペインクリニック新規患者の分類,. と比較するとその割合は少なかった。. 治療法,紹介施設で,加えてそれに関連した最近. これらの臨床統計から,今後の当科での課題と しては,まず二次医療施設として紹介患者をより. 5年間の業務実績を調査し比較した。 結. 果 平成12年度1年間の水道橋病院歯科麻酔科外来. 多く確保するとともに紹介医や紹介医療施設との. 延べ患者数は4, 138人,総患者数1, 912人,新規患. 連携をより密接にしていくことがあげられる。 また,外来処置の主体をなしている埋伏智歯抜. 者数は648人であった。新規患者数648人のうち,. 歯などの手術手技の向上や治療システムの充実が. 女性が3 82人で59. 0%を占めた。年齢分布は,1. 求められる。そのためには研修医や若手医局員の. 歳6ヵ月から91歳で年齢層は多岐にわたった。5. 教育とともに,さらに専門医や認定医を育成して. 年前の平成8年度では,延べ患者数8 46人,新規. ゆく必要があると思われる。また術者は診断能力. 患者数170人であったので,4∼5倍の増加であっ. を向上させるとともに,技術をさらに習熟させ外. た(図27)。. 科的矯正手術など頻度の多い症例に充実対応でき. 全身麻酔件数は,3 84件であった。平成8年度. る体勢が求められていると思われる。またこのた. 全身麻酔件数160件と比較すると,2. 5倍近くの増. めには歯科麻酔科,矯正歯科など院内他科との連. 加であった(図28)。特に外来における日帰り全身. 携をより密接にする必要がある。. 麻酔が6 9件(障害者21件,歯科恐怖症・強度嘔吐 反射39件,口腔外科小手術9件)で,平成8年度. 6.歯科麻酔科(福田謙一). の5件に対して大幅に増加した。使用薬剤は,麻. 水道橋病院の改装に伴い,当科外来は平成12年. 酔維持に静脈麻酔薬プロポフォールを笑気と併用. 度11月移転・新装し,外来の拡大とともにその業. した麻酔が3 68件95. 8%で,ほとんどを占めた。. 務は充実してきた。また,旧多機能診療室が第二. セボフルランの使用は15件,イソフルランの使用. 手術室となるなど,眼科の新設を機に手術室業務. は1件だけであった。. も充実してきた。さらに,専門外来の開設では,. 精神鎮静法は,810件であった。すべてが静脈. リラックス外来,インプラント外来そして口腔顔. 内鎮静法で,うち3件が笑気鎮静法を併用してい. 面痛みセンターと多くの貢献できる場を与えられ. た。使用薬剤は,プロポフォール5 11件(63. 1%). た。我々はここ数年,病院の改革の方針に従い,. とミダゾラム2 99件(36. 9%)のいずれかが使用さ. サービスの向上,収入増加に懸命に努力してき. れていて,それらに塩酸ケタミンが17件,酒石酸. た。今回,平成12年度1年間の水道橋病院歯科麻. ブトルファノールが11件併用されていた。精神鎮. 酔科の臨床業務実績を retrospective に集計する. 静法は,平成10年度から増加傾向にあり,平成8. とともに,我々の主な業務について過去5年間の. 年度精神鎮静法件数2 45件と比較すると,3倍の. 臨床実績 (平成8年度∼平成12年度)を比較し,検. 増加であった(図29)。 ペインクリニック治療件数は,平成11年度から. 討した。 ― 48 ―.

(16) 歯科学報. Vol.1 0 2,No.7(2 0 0 2). 6 1 1. 図2 8 最近5年間の全身麻酔件数 図2 7 最近5年間の延べ患者数,新患数(歯科麻酔科). 図2 9 最近5年間の精神鎮静法件数. 図3 0 最近5年間のペインクリニック治療件数. 急激に増加し,平成8年度169件と比較すると, 15. ていた。インプラント手術は,すべて精神鎮静法. 倍の増加であった(図30)。. で管理されていた。救急要請での新規患者の内訳. 外来新規患者を分類すると,有病者患者2 46名. は,院内において治療中の脳貧血による気分不快. (38. 0%),歯科恐怖症患者140名(21. 6%),ペイ. (意識消失)2名,血圧上昇による気分不快2名,. ンクリニック患者133名(20. 5%),口腔外科小手. てんかん発作1名,喘息発作1名,過換気症候群. 術やインプラント手術における全身管理の依頼42. 1名の他,院外からの紹介患者でインレーの喉頭. 名(6. 5%),障害者患者22名(3. 4%),強度嘔吐反. 部への落下症例が1名あった。. 射の患者16名(2. 5%),救急患者8名(1. 2%),そ. ペインクリニック新規患者133人の年齢分布. の他41名(アレルギー検査,局所麻酔奏効不全の. は,19歳から82歳で,女性が67. 7%(90人)を占め. 精査,歯科麻酔科紹介の抜歯や歯科治療など) で. た。診断別に分類すると,緊張型頭痛や頸部,後. あった(図31)。有病者患者は,高血圧症や虚血性. 頭部の筋筋膜痛も含めた顎関節症患者が51名,三. 心疾患などの循環器系疾患を合併した患者. 叉神経領域における神経知覚鈍麻(麻痺)や異常感. が,81. 7%(201人)を占めた。有病者患者の全身. 覚を発症した知覚障害が24名,バーニングマウス. 管理法は,244名が精神鎮静法,2名がモニター. 症候群も含む舌痛症が12名,Complex Regional. 監視で あ っ た。歯 科 恐 怖 症 患 者 の 全 身 管 理 法. Pain Syndrome と三叉神経痛が10名,顔面神経. は,120名が精神鎮静法,20名が全身麻酔であっ. 麻痺7名,帯状疱疹および帯状疱疹後神経痛5. た。障害者患者で22名中21名,強度嘔吐反射の患. 名,器質的疾患のない歯の痛みは,幻歯痛6名,. 者で16名中12名が1回以上の全身麻酔が施行され. 非定型歯痛2名,筋性歯痛2名,神経血管性歯痛. ― 49 ―.

(17) 6 1 2. 辻野, 他:平成1 2年度水道橋病院臨床報告. 1名であった。その他は,原因不明・心因性疼痛の. での維持麻酔薬を,数年前まで主体であったイソ. 疑いが2名,上顎洞炎による痛み1名であった (図. フルランやセボフルランなどの吸入麻酔薬から,. 32)。治療法では,延べ件数で星状神経節ブロッ. 静脈麻酔薬であるプロポフォール麻酔へ積極的に. ク2, 124件,診 査・投 薬7 82件,漢 方 療 法389件,. 転換したことが上げられる。プロポフォールは,. 点滴治療(ドラッグチャレンジテストを含む) 205. 麻酔からの覚醒が速やかで制吐作用があるという. 件,経皮的電気刺激112件,スプリント治療93件,. 利 点 を 持 つ7)。こ れ ら の 特 徴 を 有 す る プ ロ ポ. トリガーポイント注射24件,閉口下顎孔ブロック. フォールの使用は,麻酔時間の短縮などの手術運. 16件,顎関節内洗浄・マニプレーション15件,眼. 営面や,外来での日帰り全身麻酔での術後管理面. 窩下神経ブロック8件,口腔内ステント療法7. から有用性が高い麻酔薬であった。また,これま. 件,オトガイ孔神経ブロック3件,正円孔ブロッ. で静脈内鎮静法によって管理してきた顎変形症術. ク2件であった。圧倒的に多い星状神経節ブロッ. 後のプレート除去手術の全身管理法を,気道確保. クは,あらゆる疾患に応用されていた。ペインク. にラリンゲルマスクを導入した全身麻酔に移行さ. リ ニ ッ ク 新 規 患 者 の 紹 介 も と は,院 外 が61名. せた。精神鎮静法やペインクリニック件数の劇的. (45. 9%)で,院内では口腔外科が58名(43. 6%)で. な増加は,積極的な宣伝と他科からの依頼 (緊急. 圧倒的に多く,スポーツ歯科8名,補綴科4名,. 手術の依頼も含む)を100%受け入れることを徹底. 保存科3名が続いた。. することにより他科との連携が強化されたと考え. 考. ている。. 察 過去5年間の臨床実績の比較によると,各分野. ペインクリニック患者は,院外からの紹介も急. で劇的に増加した。この急激な症例増加は,病院. 激に増加してきている。これらの急激な増加は,. の収入増加に十分寄与してきたと考えている。社. 患者一人一人への配慮が希薄化するという問題点. 会のニーズの増加,他科との連携の強化,徹底的. も浮上しており,業務の仕方について再検討する. な効率化に主眼を置いた業務構造の改革,積極的. 時期が来ている。ペインクリニック症例では,難. な宣伝などが効果的だったと思われるが,安全を. 治性疼痛も少なくなく8),精神面での管理も必要. 十分に確保しつつ,業務の拡大を計るという懸命. である。きめ細かい配慮をいかにして行い,いか. な努力が成果を上げてきたと自負している。. に治療するか,発症は予防できないのか,新しい. 業務構造の改革を具体的に述べると,全身麻酔. 治療法の開発も含めて解決しなければならない課 題は多い。多方面からアプローチしていかなけれ ばならない。 全身管理と疼痛管理を主な業務とする歯科麻酔. 図3 1 外来新規患者の分類. 図3 2 ペインクリニック新規患者診断別分類 ― 50 ―.

(18) 歯科学報. Vol.1 0 2,No.7(2 0 0 2). 科医の役割は,これまでの手術室中心から,広く. なった場合などその他のケースである。. 歯科医療の場に活動を広げている。また,社会の. 2.調査方法. 6 1 3. 歯科医療へのニーズは,急激に変化し,多様化し. 調査方法としてはまず,各担当医局員が新規患. てきている。それに十分に応えられるよう今後も. 者のカルテを抽出,以下に述べる各項目について. 歯科麻酔科業務をアクティブに展開していきた. 調査を行い,患者ごとに調査票に記入した。そし. い。. て,この各患者の調査票を集計,分析を行った。 3.調査項目. 7.保存科(森山貴史). 以下の項目について調査を行った。 1)初診時年齢. 東京歯科大学水道橋病院は,東京都心の水道橋 駅前に位置し,延べ1 14, 759名(平成12年度)の外. 2)性別. 来患者数を誇る歯科病院であり,保存科には延べ. 3)新患として来院した経緯. 12, 954名の外来患者が訪れる。. 4)歯周検査実施状況 5)歯周疾患に関する診断名. 保存科は6名の医局員で構成されており,保存 治療や歯周治療の学会認定医の資格を有する専門. 6)歯周治療の治療方針. 医が日々治療に当たっている。保存科の診療内容. 7)歯周検査実施時における歯周ポケットの深 さ. は歯周治療や齲蝕治療などの保存治療が中心であ. 8)歯周治療実施状況. るが,東京都心という地域性もあり外部からの患 者の紹介も多い。重度歯周炎や難治性歯周炎など. 結果および考察. 高度な治療を必要とする歯周病の治療依頼も多. 1.保存科新患の性別分布および年齢分布 平成8年度から平成12年度の5年間における保. く,歯周外科手術や各種再生療法など専門的歯周. 存科来院患者数の状況を図33に示す。平成12年度. 治療を精力的に行っている。 しかし,水道橋病院保存科における歯周治療の. 保存科新患患者の総計は3 66名(男性146名,女性. 現状については,これまで調査が実施されたこと. 220名)であり,女性が60. 1%を占めていた。また. はなく,その詳細は不明であった。そこで今回. 初診時平均年齢は45. 5±14. 5才であり,15歳以下. 我々は,水道橋病院保存科における歯周治療の現. の患者は皆無であったが,30∼50才代を中心とし. 状について retrospective な調査を行い,その問. て幅広い年齢層に分布していた(図34)。しかし, 30. 題点を分析し水道橋病院における今後の歯周治療. 才から60才までのいわゆる中高年層が大半を占め. の発展を図ることを目的としてこの研究を行っ. ていた。当科では補綴治療,口腔外科領域の治療. た。なお今回は,平成12年度保存科新規来院患者. なども含め歯科全般に渡って広範囲な治療を行っ. を対象として調査を行った。. ている。しかし,その治療内容はどうしても歯周. 材料および方法. 治療と齲蝕治療が中心とならざるを得ない。この. 1.調査対象. ようなことが年齢分布に影響があったものと思わ. 対象としては,2000年4月1日から2001年3月 31日までの1年間に当科医局員6名が担当した新. れる。 2.来院までの経緯. 規患者とした。その内訳は,紹介状が無く初診外. いわゆる配当により指名されて担当医となった. 来に来院し担当医として指名された患者,紹介状. ケースは1 46名(39. 9%)であり,このうち院外か. があり初診外来に来院し担当医に指名された患. ら水道橋病院宛の紹介患者が指名されたケースが. 者,院外もしくは院内他科から保存科医局員宛に. 22例(6. 0%)であった。これに対し,院外から保. 直接紹介され担当医となった患者,患者の家族な. 存科医局員に直接紹介があったケースは102例. どより個人的に医局員宛に紹介があり担当医と. (27. 9%)であった。院外から紹介された総数は124. ― 51 ―.

(19) 6 1 4. 辻野, 他:平成1 2年度水道橋病院臨床報告. 図3 4 年齢分布 図3 3 最近5年間の延べ患者数,新患数(保存科). 図3 5 歯周検査実施状況 図3 6 歯周疾患の診断. 名であり当科新患における紹介率は33. 9%であっ た。水道橋病院保存科では院内・院外を問わず紹 介患者が多いことがわかった。. 患罹患率が高いといわれており,歯周検査実施率. 3.歯周検査実施状況および歯周疾患に関する診. の向上を図ってさらなる歯周病患者の発見に努め. 断名. ることが必要であるものと思われた。. 歯周基本検査もしくは歯周精密検査などの歯周. 新規患者3 66名のうち歯周疾患と診断された者. 検査が実施されたケースは216例(59. 0%)であり. は231名(63. 1%)であった。このうち軽度歯周炎. (図35),歯周検査の実施率が低いように思われ. と 診 断 さ れ た 者 が 最 も 多 く142名(61. 5%)で あ. る。その理由として,当科では,歯周治療と並ん. り,次いで中等度歯周炎76名(32. 9%),歯肉炎7. で歯内療法の治療依頼が多いことが影響している. 名(3. 0%),重度歯周炎6名(2. 6%)といった順で. のかもしれない。歯内療法を依頼された場合に. 続く(図36)。歯周疾患と診断されたケースの多く. は,治療後依頼元に患者をお返しするので歯周治. が軽度から中等度の歯周炎と診断された。. 療は紹介元の医院で実施することになる。このよ. 4.歯周治療の治療方針. うなことが影響して歯周検査の実施率が低くなっ. 前述の歯周疾患と診断された新規患者2 31名の. たのかもしれない。しかし今回は歯内療法につい. うち2 19名に対して歯周治療における治療方針が. ての調査は実施しておらず,これはあくまでも推. 立てられた。その結果,いわゆる歯周基本治療の. 測でしかない。今後,歯内療法についての調査も. み で 治 癒 す る と 判 断 さ れ た も の が148名. 必要であると考えている。いずれにしても,当科. (67. 6%),歯周外科手術が必要となると判断され. 新患の多くを占める中高年層では一般的に歯周疾. たものが71名(32. 4%)であった(図37)。軽度から. ― 52 ―.

(20) 歯科学報. Vol.1 0 2,No.7(2 0 0 2). 6 1 5. ルテおよび院内診療録より項目別に抽出し,分析 を行った。そして過去5年間の患者数のデータを 検討した。 方. 法 平成8年4月から平成13年3月までは年度別に. 患者数の集計を行った。また平成12年度に対して は,処置内容を保険診療録および院内診療録より 集計した。さらに処置内容については,保存,補. 図3 7 歯周治療方針. 綴,口腔外科,予防,検査,その他に分類し項目 別に集計し分析・検討した。それぞれの分類に含 中等度の歯周炎と診断されたものが多かったこと. まれる項目については表6に示すとおりである。. が,このような治療方針の傾向に影響したものと. 結. 果 過去5年間の年度別の患者数は図38に示すとお. 考えられる。 5.歯周検査実施時における歯周ポケットの深さ 歯周検査実施時における歯周ポケットの深さを 治療方針ごとに分けて算出した。その結果,歯周. りで,平成12年度における水道橋病院総合歯科の 延べ患者数は,2 1, 360人であり,新規患者数は 1, 8 8 4人 (予診業務による新規患者を含む) であった。. 基本治療のみを行う予定のケースの歯周ポケット. 処置数の合計は, 127, 487件であり, その割合は. の平均は4. 1mm±2. 1mm であり,歯周外科治療. 図39に示すように,保存が56. 0%,補綴が24. 7%,. を行う予定のケースでは7. 3mm±2. 5mm であっ. 口腔外科1. 0%,予防0. 003%,検査13. 6%,その. た。. 他4. 7%であった。保存処置では,歯周治療後の. 6.歯周治療実施状況. 洗浄が18, 880件で最も多く,次いで歯周基本治療. 前述の歯周外科手術が必要となると判断された. (スケーリング,ルートプレーニング及び盲嚢掻. 患者71名のうち17名(23. 9%)に歯周外科治療が実. 爬) 16, 826件,根管貼薬処置11, 683件であった(図. 際に行われた。一見すると歯周外科治療実施例が. 40)。補綴では,印象採得7, 236件で最も多く,次. 少ないように思われる。しかし,今回の調査対象. いで咬合採得6, 963件,有床義歯の装着・調整6, 637. は2000年度1年間における新規患者であり,全て. 件であった (図41)。口腔外科では,抜歯手術6 92. のケースで治療開始後1年を経過していない。. 件,口 腔 内 消 炎 処 置381件,歯 牙 破 折 片 除 去42. 従って多くの症例でいまだ歯周基本治療を続行中. 件,歯根嚢胞摘出手術14件,歯槽骨整形手術7件. であり,歯周外科治療を実施するに至っていない. であった (図42)。また検査では,歯周基本検査. ことがその理由として考えられる。しかし,歯周. 6, 255件,デンタルエックス線写真検査4, 647件,. 治療の進行状況が遅れがちであることも考えら. 電気的根管長測定検査2, 400件,パノラマエックス. れ,的確な治療によって歯周基本治療が終了し,. 線写真検査1, 035件,診査用模型469件,根管内細. 速やかな歯周外科治療への移行を目指すことも必. 菌培養検査7件であった。予防処置では填塞処置. 要であると考えられた。. の3件のみであった。 各経験年度別の一 人 当 た り 平 均 来 院 患 者 数. 8.総合歯科(鈴木. 聡). は,2年目歯科医師が7 89人,3年目歯科医師が. 総合歯科に来院する患者は16歳以上の紹介状を. 1, 229人,5年目以上の歯科医師が1, 780人であっ. 持たない患者が多数を占めている。そこで患者の. た。. 受診動向調査することにより今後の診療体系を構. 考. 築することが重要と考え,今回処置内容を保険カ ― 53 ―. 察 最近5年間の延べ患者数推移は,緩やかな増加.

(21) 6 1 6. 辻野, 他:平成1 2年度水道橋病院臨床報告 表6 保. 存. 補. 総合歯科集計項目. 綴. 口腔外科. 検. 査. 普通処置. スプリントの装着,調整. 口腔内消炎処置. スタディモデル. 覆罩. 有床義歯の装着,調整. 抜歯手術. 歯周組織検査. 知覚過敏処置. 歯冠修復物の装着,調整. 抜歯窩再掻爬手術. 根管内細菌培養検査. 歯肉息肉除去手術. 架橋補綴物の装着,調整. 歯根端切除手術. GoA. 生活歯髄切断. 印象採得. 歯牙破折片除去. ChB. 失活歯髄切断. 咬合採得. 腐骨除去術. 平行測定. 麻酔抜髄. 暫間被覆冠の装着,調整. 歯根嚢胞摘出手術. 根管長測定検査. 失活抜髄. 咬合調整. 歯槽骨整形手術. 口腔内写真. 感染根管処置. 有床義歯の修理. デンタル. 根管貼薬処置. 歯冠修復物による処置. パントモ. 根管充填. 歯冠修復物の修理. 根管充填 (加圧). 歯冠修復物の除去. 予. 防. 填塞処置. 顎関節規格写真 CT. 歯周基本処置. 脱離歯冠修復物の装着. フッ化物局所応用. セファロ. 歯周外科手術. ティッシュコンディショニング. TBI. 血液・尿検査. 歯周治療後の洗浄. 歯石除去. 歯冠形態修正. PMTC. 暫間固定. そ の 他. 暫間固定の除去. ラバーダム防湿. 保存修復物による処置. 浸潤麻酔. 歯牙漂白処置. 伝達麻酔. 根管内異物除去. マイオモニター. 保存修復物の除去. 歯軋り防止装置の装着, 調整. 麻抜即時根充. 傾向であった。また同様に新規患者数も増加傾向 であった。これらのことは,予診業務における総 合歯科の役割が大きく,大学病院の信頼性の高さ に反映されていると推察される。 平成12年度における処置内容は保存が56. 0%を 占めていた。その内訳は,歯内療法と歯周治療が 大半であり修復処置は少なかった。修復処置が少 なかった理由として,歯内療法後の治療が修復処 置のみならず補綴処置が多いためであると推察さ 図3 8 最近5年間の延べ患者数,新患数(総合歯科). れる。保存に次いで補綴は,占める割合が24. 7% であり,当科を訪れる患者の多くは補綴処置を必 要としていることを示している。またこれらの処 置に比べて口腔外科の割合が少ない理由として は,併設する口腔外科との連携が密接であり,処 ― 54 ―.

(22) 歯科学報. Vol.1 0 2,No.7(2 0 0 2). 6 1 7. 図4 0 総合歯科・保存処置項目 図3 9 処置内容の割合. 図4 2 総合歯科・口腔外科処置項目 図4 1 総合歯科・補綴処置項目. 置を依頼するケースが多いことがあげられる。ま. べ人数では平成9年以降,微増から横ばいの傾向. た処置内容は抜歯手術と口腔内消炎手術が多く,. にある。1日平均外来患者数 (歯科のみ)でみる. 総合歯科の特性上緊急を要する患者に対して施術. と,平成9年度以降,大きく増加し,平成9年度. されていると考えられる。. には1日平均3 31. 0人であったのが平成1 1年度に. また検査は歯周基本検査,デンタルエックス線. は399. 2人,平成12年度には413. 3人と実質的に大. 写真検査,電気的根管長測定検査で88. 2%と保存. きな患者増と考えられる。また,診療ユニットは. 処置に伴う項目の頻度が多かった。予防は3件. 平成9年に5台,平成12年に6台増設を行った。. (0. 003%)のみであったが,この件数は極めて少. 人員は病院助手,臨床研修医に増加がみられ,卒. ないといえる。今後は長期にわたる患者の口腔管. 後教育の場としての重要性も増している。. 理をするべきだと考えられる。そのため,カリエ. 各診療科においては,新規患者数の減少傾向を. スリスクの判定等,齲蝕予防などの処置を検討す. 示す診療科から,増加傾向を示す診療科まで様々. る必要性があると思われた。. である。患者延べ人数ほぼ横ばいか増加の傾向が あり,特に歯科麻酔科は平成8年度と比較し平成. 水道橋病院全体を通して(辻野啓一郎). 12年度は約5倍の患者増である。また,新規患者. 平成8年度から平成12年度までの5年間の患者 数,診療ユニット数,人員の変化を表7に示す。. 数が減少した診療科においても,延べ患者数では ほぼ横ばいか増加していた。. 水道橋病院全体では新規患者数はほぼ横ばいで. 新規患者数が横ばいないし,減少しているのに. あったが,平成12年度ではやや減少した。患者延. 対し,延べ患者数では横ばいか増加を示している. ― 55 ―.

(23) 6 1 8. 辻野, 他:平成1 2年度水道橋病院臨床報告. へ」という時代の流れに合わせた日常診療の変化 が表れていることが考えられる。 今後,日本経済の停滞から新規患者の増加は困 難になっていくと思われるが,病院の宣伝や Web 上での診療実績の公開を行い,新規患者の増加に も努めるとともに日常診療の充実を図りたい。 今回の報告では各科での処置内容については独 自に集計を行ったため全体での比較は難しい。そ こで水道橋病院では平成14年度より統一された書 図4 3 現在使用している入力画面. 式(図43)を用いて日常の診療内容を入力していく ように集計内容の統一を図っている。平成14年度 以降については各科における診療内容の比較が可. ことは,患者の通院回数の増加と通院期間が延長. 能となり,病院の診療内容がより見えてくるもの. していることが考えられる。これは来院時の主訴. と思われる。今後はこれらの集計により得られる. に対する治療が終了後の患者,あるいは歯周病や. 情報を利用し臨床の実際を検討するとともに,将. 顎関節症などの慢性疾患や義歯を使用している患. 来的には時代の要請に合わせた情報開示などにも. 者に対して,メンテナンスや管理が行われている. 利用を検討している。. こ と が 推 測 さ れ る。つ ま り,「Cure か ら Care. 表7. 最近5年間の水道橋病院の動き 平成8年度. 患 者. 平成1 0年度. 平成1 1年度. 平成1 2年度. 新患数. 1 0, 4 2 3. 9, 7 5 9. 1 0, 3 3 4. 1 0, 4 4 2. 8, 9 0 6. 延べ患者数. 9 4, 4 5 5. 9 3, 2 9 2. 1 0 0, 0 1 9. 1 1 2, 9 9 5. 1 1 4, 7 5 9. 3 7. 4. 3 4. 9. 3 6. 6. 3 7. 0. 3 3. 1. 3 3 8. 5. 3 3 3. 2. 3 5 4. 7. 4 0 0. 7. 4 2 6. 6. 1 0, 1 5 0. 9, 5 0 1. 9, 8 4 2. 1 0, 1 4 9. 7, 8 1 0. 9 3, 7 4 9. 9 2, 6 6 8. 9 9, 6 3 3. 1 1 2, 5 7 0. 1 1 1, 1 7 6. 3 6. 4. 3 3. 9. 3 4. 9. 3 6. 0. 2 9. 0. 3 3 6. 0. 3 3 1. 0. 3 5 3. 3. 3 9 9. 2. 4 1 3. 3. 6 3. 6 8. 6 8. 6 8. 7 4. 3 4. 3 5. 3 7. 3 7. 3 8. 0. 0. 0. 0. 2. 2 0. 1 6. 2 0. 3 0. 3 0. 医師. 0. 0. 0. 0. 2. 歯科医師. 4. 7. 1 5. 1 8. 1 3. 5 8. 5 8. 7 2. 8 5. 8 5. 数 1日平均新患数 1日平均外来患者数 新患数. 患 者 数 延べ患者数 (歯科のみ) 1日平均新患数 1日平均外来患者数 歯科用診療台ユニット数 歯科医師 常. 平成9年度. 勤 医師 歯科医師. 病院助手 臨床研修医. 従事者合計人数. ― 56 ―.

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札幌、千歳、 (旭川空港、

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電事法に係る  河川法に係る  火力  原子力  A  0件        0件  0件  0件  B  1件        1件  0件  0件  C  0件        0件  0件  0件 

1に、直接応募の比率がほぼ一貫して上昇してい る。6 0年代から7 0年代後半にかけて比率が上昇

○ 発熱や呼吸器症状等により感染が疑われる職員等については、 「「 新型コロナ ウイルス 感染症についての相談・受診の目安」の改訂について」