Posted at the Institutional Resources for Unique Collection and Academic Archives at Tokyo Dental College, Available from http://ir.tdc.ac.jp/
Title
№17:東京歯科大学市川総合病院歯科・口腔外科にお
ける平成25年度入院患者の臨床統計
Author(s)
五月女, 寛明; 三條, 祐介; 野口, 沙希; 齋藤, 朋愛;
酒井, 克彦; 吉田, 恭子; 浮地, 賢一郎; 澁井, 武夫;
佐藤, 一道; 片倉, 朗
Journal
歯科学報, 114(3): 291-291
URL
http://hdl.handle.net/10130/3333
Right
背景および目的:当院は千葉県東 南部の中核病院 で歯科・口腔外科は3次医療を担い,地域の歯科診 療所との連携を密に行っている。今回は今後の当科 に求められる役割を検討する一助とするために,過 去1年間に入院加療を要した患者の動向を調査し た。 方法:平成25年4月1日から平成26年3月31日まで に当科に入院し,加療した患者を対象とした。疾患 の分類は,㈳日本口腔外科学会が作成した実績調査 票に準じて,性別,年齢分布,受診経路,疾患別分 類,基礎疾患,入院期間,術式について検討を行っ た。 結果:入院症例は609例であり,そのうち男性は54 %,女性は46%(平均年齢56.7歳)であった。疾患 別では,歯の疾患が37%,嚢胞性疾患が17%,炎症 性疾患が15%,外傷が10%,良性腫瘍並びに腫瘍類 似疾患が7%であった。悪性腫瘍は口腔がんセン ターに移行して加療を行っているため今回の調査対 象となっていない。入院症例のうち,基礎疾患を 持った症例は76%で高血圧が19%,循環器疾患が約 18%,糖尿病が約10%であった。平均入院期間は 7.8日であった。全体のうち予定入院は86%,緊急 入院が14%であった。予定入院のうち,全身麻酔が 44%,局所麻酔が56%であった。予定全身麻酔は, 男性は56%,女性が44%(平均年齢42歳)で,基礎 疾患の保有率は65%であった。術式では,抜歯術が 33%,嚢胞摘出術が26%,良性腫瘍切除が17%で あった。予定局所麻酔症例は88%が紹介症例で抜歯 術が88%を占め,平均年齢66歳,基礎疾患の保有率 は96%であった。緊急入院症例は,全身麻酔症例が 26%,局所麻酔症例が39%,手術なしが35%であっ た。全身麻酔症例の70%が顎口腔領域の骨折の観血 的整復固定術,次いで炎症性疾患の消炎手術が30% でそのうち約40%が ICU 管理を必要とした。局所 麻酔症例は全例が急性歯性感染症の消炎処置であっ た。手術を行わなかった症例は炎症性疾患が87%, 13%は悪性腫瘍の容体急変患者であった。 考察:当科における入院症例の特徴は,予定局所麻 酔の症例で基礎疾患を有する高齢者の紹介による抜 歯症例が多かったことに代表されるように地域歯科 医療の後方支援の中核となっていることが明確と なった。また,救急病院であるため顎口腔領域の外 傷・重症歯性感染症の緊急入院が多く,さらなる休 日・夜間の初期対応体制の整備が必要と考えられ た。顎変形症や先天性疾患は30例のみであったが, 現在近隣の矯正歯科や産婦人科との連携を図り,顎 変形症・唇顎口蓋裂などの症例を増加させる計画を 進めている。 目的:硬い食物の粉砕時には,歯列内に存在する主 機能部位を中心として咀嚼機能が営まれると考えら れている。この部位は,健常有歯顎者では,最大咬 合力が発揮される第一大臼歯上に存在する可能性が 高いことが報告されている。この主機能部位を決定 する要因として,歯根膜圧受容感覚の他に,顎骨の 生物学的構造や咬合力の力学的効果も関与している ことが推察されるが,未だ十分な検討はなされてい ない。これまで顎骨に対する咬合力の応力分布の評 価には,有限要素解析法が用いられており,その有 効性が確認されている。そこで本研究では,まず成 人乾燥頭蓋骨をμCT で撮影したデータを用いて, 骨梁構造まで構築された有限要素解析モデルを作成 した。次いで,このモデルを用いて骨梁形態計測お よび3次元有限要素解析を行い,主機能部位が第一 大臼歯部上に存在する生体力学的な妥当性を検討し た。 方法:東京歯科大学解剖学講座所蔵の東インド人, 全歯有歯顎の乾燥頭蓋骨5体をμCT 装置(HMX 225-ACTIS+4,Tesco 社製)で撮影し,得られた 画 像 デ ー タ に 立 体 構 築 ソ フ ト(TRI/3D-BON, Ratoc 社製)を用いて骨形態計測を行った。その結 果,著しい叢生や顎顔面の不調和がみられず最も標 準的な骨形態計測値を示した1体を選出し試料とし た。試料の#44と#45,#45と#46,および#46と #47間における槽間中隔部前額断の骨梁形態計測値 を部位別に比較した。続いて,有限要素解析による 応力分布の評価を,有限要素解析ソフト(TRI/3D-FEM,Ratoc 社 製)で 行 っ た。#44か ら#47部 に かけての咬頭嵌合位時の咬合接触領域を荷重部位と して,各歯に咬合平面に対して垂直的な方向に,最 大噛みしめ時を想定した荷重を加えた。 結果および考察:骨梁形態計測を行った結果,骨梁 体積率は#45と#46間における槽間中隔部が3部位 中,最も高い結果となった。有限要素解析における 応力分布の評価では,各歯の応力分布を比較したと ころ,#44と#45部では遠心頬側部に強い応力の集 中が認められ,#46と#47部では歯根全体に応力が 分散し,応力集中は低い結果となった。さらに,周 囲皮質骨への応力分布を各荷重部位における前額断 面で比較したところ,#46遠心部が最も皮質骨への 広い応力分布が認められた。以上より,第一大臼歯 部上に主機能部位の存在する妥当性が,骨形態計測 および有限要素解析から示唆された。