• 検索結果がありません。

四国東南部沿岸地域の森林植生

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "四国東南部沿岸地域の森林植生"

Copied!
14
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

四国東南部沿岸地域の森林植生

山  中  二  男  ゛(教育学部生物学研究室)

The

forest vegetation in the coastal district

       of

southeastern

Shikoku*

        Tsugiwo Yamanaka

      Abstract

 The coastal district of southeastern Shikoku belongs to the climax area of evergreen broad-leaved forests dominated by Machilus ihu7ibergiiand Casta710psiscuspidata.but the natural vegetation is greatly destroyed or is replaced by secondary communities。

 The Machilusthunbergiiforests which are included in the Bumohro-MachileUvm thunhergii, occur locally, and the typical stand is found on the Cape of Muroto. 1t is noticeable that

this association is・not developed in the northern half of this district, though Mach-iltts thimhersiiappears constantly in Castancやsiscuspidataiorests。

 The Castanopsisct叫)i血砲forests consist of two associations. The Kapanaeo-Shiietum sieboldii dominated by C. cuゆidatavar. siel,oldii k,Shiiasieboldi-Ci八s common in coastal

areas and hills and the Symploco-Shiietum cuspidataecomposedmainly of C.cuspidata var. cuやidata (,SIiiiaCM・砂f必zta) tends to occur in rather dry and sunny places in inlands.

These two associations, however, are characterized by a large number of plants in common with each other。

 The Querctほが乱政re

scrub is generally regarded as an edaphic climaχ which is included in the ‘Fittosporo− Quercetum夕hillyraeoidis,butthe coppice of this oak occurring extensively resembles the Gleichenio-i:加erce£umphillyraeoidis. 1 は じ め に  四国東南部としてここにとりあげた地域は,おおむね高知県安芸市から徳島県阿南市にいたる沿 岸ぞいで,室戸阿南海岸国定公園が含まれている.最南端の室戸岬は北緯33°15’で,黒汐の影響 をうけて温暖な気候に恵まれ,室戸岬の年平均気温は16.3°C,暖かさの指数135.7°,年間降水量 2512 mm,ランクの雨量係数154.7である.高知県側の岬以東の海岸ぞいの地方では局地的にさら に降水量が大きいところもあるか,北上するにつれて少なくなる.地質は室戸岬に火成岩の露出も あるが,大部分か堆積岩で,南部は第三紀始新世の室戸半島層群,北部は白あ紀四万十川層群め砂 岩と泥岩を主としている.また安芸市から室戸市にいたる間には,海岸段丘かよく観察される.  調査の対象となった範囲には,国有地がほとんど含まれておらず,二次林と造林に占められてい るところが多く,ビワ,ミカン類などの栽培もひろくおこなわれている.したがって,極相林はほ とんど社寺有地を中心に残っているにすぎないが,それすらも近年は荒廃の頓向かめだっている.

(2)

6 高知大学学術研究報告  第19巻  自然科学  第2号

-Fig. 1. Map showing the localities and communities

 investigated.      ,−ト−

O Machilus thunhergii community, ●Castanopsts

cuゆidata V. sieboldii community, (\ C. cuspidata

V. cuspidatacommunity, and

OQuercus phぶyrae-oides community (cf. Table 1).  この地域の森林植生につい ては,室戸岬(佐藤 1946, 山中 1952,館脇・辻井・梅 沢 1959)を除くと,まと まった研究は少なく,山中  (1955)および森本・藤井  (1965)の報告のあるていど である.これらの資料に加 えて,国際生物学事業計画  (IBP)の一部として,徳島 県南部地方を重点におこなっ た調査の結果(山中 1970) をもとに,この地域の極相林 ことにタブ林,シイ林および ウバメガシ林についての考察 をおこなったのが,この報文 のおもな内容となっている.  現地の調査は1969年に終え る予定であったが,事情によ り一部は翌年にもちこした. ことに,・研究を始めて間もな く研究室への出入りができな くなり,しかもその間に研究 費まで持ち去られるという異 状事態がおこったが,これは 研究をつづけてゆくにあたっ て,いろいろな面で大きな障 害となった.しかし,今日までに所期の調査がほぽ果されたことは,せめてものしあわせである. このような研究は,今後ともいかなる政治や思想にもかかわりをもつことなく,遂行してゆかなけ ればならないことを痛感している.  こうした事態のなかで,たえず御激励と御援助をおしまれなかった方たちに,あつくお礼申しあ げたい. また,初めから多くの御配慮をいただいた東北大学教授吉岡邦二博士,現地でひとかたな らぬお世話になった阿部近−および森本康滋両氏に,ふかく感謝の意をあらわすしだいである.        2.植生の現状  (1)安芸一奈半利  国道ぞいに南下して安芸市街をすぎると,タマシダ,シオギク,タイキンギクなどが急に多くな り,海岸のクロマツ林下にはトベラ,マサキ,ハマヒサカキなどの密生する景観を見かける.しか し,この地方は安芸川,安田川,奈半利川などの下流の沖積地や海岸を中心に耕作地と集落がひら け,近年は丘陵地も耕地化されるところが多くなっている.したがって,極相として注目される森 林はごく限られており,わずかに点在するタブ,スダジイなどに,そのおもかげをとどめているて いどのところがほとんどである.社叢も荒れているところか多いが,一般にシイを主としており,

(3)

      四国東南部沿岸植域の森林植生     (山中)      7 海岸に近いところではスダジイ林,丘陵ではコジイ林の見られるのが普通である.代表的な残存林 としては安田町東谷および神の峰,奈半利町法恩寺の社叢などがあげられる. 安田町の社叢はスダジイ林でヤマモモ,コバンモチなどをまじえ;タイミンタチバナが多いが, 林床にはコシダとウラジロがかなり侵入している.神の峰では中腹の250m前後でコジイが優占す るが, 400 m 以上ではふたたびイスノ牛をまじえたスダジイ林に代っている.この事実から,かつ てとりあげたように(山中 1966),スダジイ林とコジイ林の関係を見る場合,このあたりの森林 は参考になるところが大きい.奈半利町法恩寺の社叢もやはりスダジイ林であるが,ナギ,イチイ ガシ,ヤマモガシなどをまじえ,林床にはホソバカナワラビやツルコウジが多い.しかし,乾燥し たところではヤマモモ,タイミンタチバナなどを多くともなったスダジイの優占する林となってい る.  二次林ではシイの萌芽再生林のほかアラカシの叢林も多いが,アカマツ林が最も広い範囲を占め ている.アラカシ林はところによりナンテンをまじえ,またアカマツ林にはひろくモチツツジが出 現する.  (2)室 戸  安芸から奈半利までの植生の傾向は,室戸の西部でもあまり大きなちがいはない.注目されるの は海岸のクロマツ林下にハマオモトの多いところがあるのや,ウバメガシの優占がしだいにめだっ てくることである.  残存林にはしばしばタブをまじえるが,優占種はやはりスダジイであり,西寺の周辺が最もよく まとまっている.この寺叢のスダジイ林はタブ,イスノ牛などをまじえ,タイミンタチバナ,ヤマ ビワ,ヤブッバ牛,ヒロハミミズバイ,ミサオノ牛などが多く,林床の優占種はもともとホソバカ ナワラビと考えられるが,少なくなっているのはおそらく人為的な影響によるものであろう.ま た,林下にヤッコソウが多く出1ることでも保存の価値がある.室戸市岩戸にもタブをまじえたスダ ジイ林かおり,=林床にはやはりホソバカナワラビが多いが,この林にはカラスザンショウ,クマノ ミズキなどがまじり,多少荒れがめだっているし,メジロホウズキが少なくない.このようなスダ ジイ林はかなり内陸まで見られ,保存はよくないが室津川ぞいに残る社叢もおなじ型である.ま た,こうした川ぞいにはウバメガシも奥地に入る傾向かおり,しばしばスダジイ林に似た組成のウ バメガシータイミンクチバナ群落になる.また,室戸市元にはウバメガシーモチツツジ群落かお り,これらのウバメガシ林の下生は,通常ヒトッバまたはコウヤボウ牛を主としている(第6表).  この地方で最もよく植生が保存されているのは室戸岬であるが,これについてはすでにまとまっ た報告があるので詳細は省略する.ただ,近年は道路の拡張,旅館の建築.さらにはいわゆるスカ イラインによる破壊がいちじるしい.  室戸岬以東では岬と同様に,乾燥した海岸にクロマツをまじえたウバメガシ林が見られ,またほ とんど二次林となっているが,タブ林およびシイ林のなごりも見られる.しかし,残存林はいずれ も小規模で,比較的まとまったものとしては椎名にタブーホソバカナワラビ群落かおり,佐喜浜付 近にコジイ,スダジイおよびイスノキの混生する社叢かおる(山中 1955).  (ろ)野根一甲浦  この地方では極相としてタブ林がほとんど見られず,またシイ林には海に近いところに野根の八 幡宮で見られるようなスダジイ林もあるが,すこし内陸ではコジイの優占するところが多い(山中 1955).野根の春日神社や河内神社,甲浦の川内の社叢などは現在もよく残っており,これらの林 内にはクサマルハチ,スジヒトッバ,ヤッコソウなど注意すべき植物が少なくない.  海岸にはウバメガシその他の常緑樹をともなったクロマツ林が普通に見られるが,丘陵地のアカ マツ林やシイの腰林とともに,下生にはコシダまたはウラジロかしばしば優占している.

(4)

  二JL挺些_J肛土  (4)宍喰一牟岐      .  県境をこして徳島県側に入ってまず目につくのが,海岸にクロマツをともなってウバメガシ群落 の多いことである.この群落には自然状態を保っているものもあるが,.二次的な萌芽林も広い面積 を占めている.したがって,かような叢林では下生としてしばしばコシダまたはウラジロが茂って いる(第6表).  隣接する高知県側と同様に,気候的極相としてタブの優占するところはほとんどなく,宍喰町内 や鈴が峰の社寺叢はすべてスダジイ林である.しかし,ほとんどいずれもコジイをまじえタブも生 じ,林内にはタイミンタチバナおよびサカ牛ときにミサオノキまたはサツマルリミノ牛が多い.海 南および海部町にもスダジイ林が残っており,コノ々.ンモチ,タイミンタチバナ,ミミズバイ,ミサ オノキなどを多くともなうが,どことも保存はよくない.海部川以南のスダジイ林ではヤッコソウ が見られる.海部町大里には海岸にクロマツの防風林があり,これに近いところのシイ林は八幡宮 の社叢のごとくスダジイのほか丘の斜面にコジイが優占するが,残存面積は狭い.  浅川以北に`はとくにウバメガシ林がよく発達しており,ウバメガシータイ‘ミンタチバナ群落では 生長のよいウバメガシが見られ,土地的な環境がややよくなると,しばしばヤマモモが優占し(第 3表),しだいにスダジイータイミンタチバナ群落に移行してゆく過程が観察される.  アカマツを主とした二次林にはアカマッーモチツツジ群落の型が多い.  (5)日和佐一阿南 .日和佐町以北も植生の傾向としては牟岐町以南と大差はなく√ニL地的なウバメガシ群落を除き, 極相のかたちをとどめているものはほとんどシイ林である.スダジイ林は阿南市橘や日開野の社叢 によい例があるが,橘の海正八幡ではヤマモガシ,ツゲモチ,モヅフクなどをまじえ,日開野には モヂノ牛が多い.ともに乾燥した斜面ではスダジイ林に接して下生にヒトッバまたはコウヤボウキ の多いウバメガシ林に代り,海正八幡には胸高直径75 cmに達するウバメガシの大径本かおる.コ ジイ林は内陸や丘陵地よりの斜面に見られるが多くは二次的で,日和佐町薬王寺付近の林が人為的 な影響のあとがかなり残っているものの,極相のもようをとどめていて,コジイとともにヤマモ モ,イスノキ,ヤマビワなどの混生が多い.   ’  阿南市津の峰はほとんどアカマツ林となっているが,初期の・アカマツ林からシイ林への推移の状 態がよくうかがわれる. ・ヽ那賀川下流域の一部に多少ともタブの多い林のなごりを見るところはあるが,まとまった林はま ったく残っていない.タブの少ない傾向は阿南市以北ではさらにはっきりしていて,徳島市城山の 森林がムクノヰ,エノキ,クスノ牛などをまじえたホルトノ牛の多い群落であることも(木村・森 本 1964,山中 印刷中),この事実を裏付けるもめといえる. ・(6)島 嶼  紀伊水道には竹が島,出羽島,津島,大島,伊島などが点在し,四国本土にくらべて天然林が比 較的よく残っているところかある.しかし,出羽島のように以前からひらけているところもあ・り, 大島や伊島でも伐採がすすみ,竹が島と本土とは橘によってむすばれたこともあり,しだいに以前 の姿がうすれつつある.ただ,竹が島の社叢には小而積ながらズダジイ林がそのまま残っており, また津島のスダジイ林もあまりいためられていない.これらの島の林はヤマモモ,コバンモチなど のほかタブ,ヒメユズ・リハ,フウトウカズラなど左まじえることが多い.ことに津島の風あたりの 少ない斜面では組成的にタブ林に近いが,風衝地ではスダジイそのものの伸びがわるく,高さ10m をこさず,林床にはシラタマカズラの繁茂がいちじるしい.なお,シラタマカズラやアオノクマタ ケランのように,四国ではほとんど本土に見られず,西南部の島からこの地方の島にとびはなれて ’出現する植物のあることは興味ぶかい.       `.

(5)

四国東南部沿岸地域の森林植生   ‥  (山中・)

Table 1. Data for the localitiesand communities

19 1 2 3 4 5 6 M   ・ l U U I O O ︸ ︸ 3 u 3 q u n m   s : n j i i j j v p \ f A j i u n t u u i O D   i i p j o q s i s   ' j b a   v j v p t t f s n j   s i s c f o u v f s v Q vivp︸4sn? m m o o y i v p i d s n j   1   2 .   3 -  4   5   6   7   8   9   1 0   1 1   1 2   1 3   1 4   1 5   1 6   1 7   1 8   1 9   2 0   2 1   2 2   2 3   2 4   -  2 5   2 6   2 7 C. Muroto Ibid. Shiina Nahari Iwato Shishikui Tsushima Ibid. Ibid. Takegashima Ibid. Nishidera Ibid. None Shishikui Ibid. Ibid. Suzugamine Ibid. Okuura Tachibana Ibid. Higaino Kashima Oosato Hiwasa Ibid.  70 125  60 - 20 '30  20  20  20  20  20  20 130 130  30  20  15  20 290 320  20  20  10  20  5 - 20  60  50 S30E 20  W , ,30 N25W‘ 5’  L・ S05W S35E N60W N75W N20E  W N60W SE S2SE S30E S30W S65W S40E SlOE S15W S40W N70Xべ7 N35E N30E S45E S60E SSOE '0 40 30 20 10 20 10 20  5  5 35 30 30 30 20 20 10 20 20 30 30 -20 20 15 10×・10 10×ユ0 10×10 10×10 `15×10 10×10 15×15 10×10 10×10 10×10 10×10 10×10 10×10 15×15 10×10 15×15 15×15 10×10 10×10  5×15 10×10 10×10 15×10 10×10 10×10 10×10 10×10  T1 -12-15/80 15-20/80 15-20/90 12-18/80 10-12/90 12-15/80  8-10   `マ´ ‘8-12/80 12-15/90 20-25/90 15-20/60 15-20/60 10-18/80 16-20/90 15-20/80 15-20/90 18-20/90 12-15/80 10-15/70 15-18/60 18-20/80 12-15/95 10-20/80 10-15/90 12-15/30 T2 -3-9/50 3-8/40 5-10/50  3-8/40  3-8/90  4-9/90  4-8/90  3-6/80  3-9/80 2-15/80 3-10/80  4-9/60  3-8/60 4-10/80 6-8/30 3-8/50 3-10/70 5-8/60 3-9/80 4-9/60 3-4/50 3-8/40  3-8/60  3-9/70 4-10/80  7 - S -0.5-2/10 0. 5-2/40 0. 5-3/50 0. 5-2/30 0.5-2/50 0. 5-1/30 0.3二1/40 0. 5-2/40 0. 3-2/30 0. 3-2/20 0. 5-2/20 0.5-3/80 0. 5-2/70 0. 5-2/50 0. 5-3/90 0. 5-2/70 0.5-2/50 0. 5-2/70 0. 3-2/50 0.3-2ソ70 0. 5-2/60 0. 5-2/50 0. 5-2/50 0. 3-2/50 0. 3-2/60  H -く0. 5/80 く0. 5/60 く0. 5/6C〕・ く0. 5/80 ’ <0. 5/90 く0. 5/40 くり. 3/80 く0.3/20 く0. 3/20 く0.3/ 5 く0.5/50 く0. 5/40十 く0. 5/50 く0.5/30 く0. 5/50 く0. 5/30、 く0.5/30 く0.5/40 く0. 3/40 <0. 3/40 く0. 5/50 く0. 3/20 く0. 5/20 <0. 3/30 く0. 3/30 1 0 4 05ぐ∼訪 2 0U-i “ yI・ l   r ll    l− 1 0 1 0 i n L o O           2 2 0 10+51030 5 + + A ) T u n u i u i 0 3   s 3 p w 3 V U i Z i i n i 4   s n o u m ? ) 28 −33 Yodogaiso  34 Moto  35 Sato  36 Kashima  37 Ibid.  38 Ibid.  39 Awanoura  40 Ibid.  41 Shishikui  42 Ibid.  43 Ibid.  44 Ibid.  45 Ibid.  46 Ibid. く5  L  O 20 -NlOE 20 40 N40E 40 10 S05E 30 10 S20E . 30 5 5 5 1 0 2 0 2 0 2 0 2 0 2 0 S50E 35 Slow 40 S70W 40 S05E S60W S60W S60W S60W  S 4 0 2 0 2 0  2×2 4X 4 10×10 10×10 10×10 10×10 10×8 10×10 5×5 5×5 5×5 20 5×5 20 5×5 30 5×5 -10/5 12/5 一 一 -8-10/90 6-8/90 3-8/90 6-8/90 3-8/90  6/20 2-5/90 く0. 5/70   1-2/20 0. 5-2/20 0. 5-2/20 0.5-3/50 0. 5-2/40 3-5/100 2-6/100     2-6/90 8/10 2-7/90  ’ 2-7/100     2-8/100 く0. 5/10 く0. 5/50 く0.3/80 く0.3/10 く0.3/20 く0.3/ 5  <1/80  く1/80  く1/90  く1/90  く1/90   5 1 0 2 0 +305十十 +‘5+

1 Quadrat number) 2 Locality, 3 Altitude (m), 4 Exposure, 5 Grade, 6 Area (m), 7 Height(m)/Cover(%)ineach layer.

(6)

 10      高知大学学術研究報告  第19巻  自然科学  第2号       ろ.タプ林とシイ林  この地域全体からみると,極相またはそれに近い森林の占める面積はきわめて狭く,しかもその 多くはシイ林であるが,一部にはタブ林もあり,これらの森林が平地または丘陵地の気候的極相で あることは明らかである.内陸では海抜300 m 前後からウラジロガシ,ツクバネガシなどがしばし ば優占し,ときにモミまたはツガをまじえるが(山中 1961),海に面した地方では少なくとも500 mまではシイ林の占める領域が最も広く,またごIの調査の範囲内では純粋のカシ型森林はもとよ り,カシをまじえたスダジイ林の存在も認められない.したがって,シイ林とカシ林の関係につい てはしばらくおき,ここではおもにこの地域内でのクブ林とシイ林について検討しておきたい.  (1)環 境  生態地理的な立場から,タブ林とシイ林は単純に両者を切りはなして考えることができない.気 候的,土地的,さらには時間的に,これら二つの森林のつながりには,多くの問題が含まれてい る.・はっきりしているのはシイよりもタブが北方まで分布してい゛るごとと,海岸ぞいのシイの分布 域内で瀬戸内地方のように,タブ林のほとんど発達しない地域のあることである.前の場合は,気 候的には気温と関係があり,後の事実を支配する要因としては,今のところ降水量を問題とするほ かはない(山中 1962).  四国の沿岸部で少なくともランクの雨量係数が100以上であれば,気候的にタブ林は存在してよ いはずである.ただ,徳島市での値が106ということは,この調査地域の北部でタブ林の限界に近 づいていることは考えられ,これはあるていどタブ林の発達を制限する要因となっているといえ る.しかし,南部でわずかに見られるほかにタブ林がほとんど残っていないことは,ほかの土地的 および人為的な要因の影響が少なくないものと思われる.  タブ林とシイ林の環境については,海岸とのへだたり,地形とそれにともなう土壌,光,湿度な どの要因が対照的であることが一般に指摘されている.この地域では海岸近くまで山がせまり,ま た段丘の発達しているところか多く,タブ林の領域が狭くなっていることは事実である.こうした 自然的な原因のほかに,他方では沖積地や平地の森林がほとんど伐りつくされていることが,おそ らく既存のタブ林の破壊につながったものとも考えられる.現存するシイ林のなかにも,環境によ ってはタブ林の傾向をもつものがあることは,こうした事実を裏白:きするものといえる.  自然環境の対照がタブ林とシイ林のちがいを生ずるとしても,それは場合によっては絶対的とは いえず,また複雑な要因が相互にmなることによって中間的な森林の存在も少なくない.南四国で はタブの純林ことにシイをまじえない林は多くの例がなく,しまた海岸近くのシイ林にはタブの混生 することが普通である.こうした傾向は,後に述べるように,組成的なつながりにもあらわれてい る.       i ’  , s  シイ林にはスダジイ林とコジイ林があるが,一般に前者は海岸および低山地型,後者は内陸およ び丘陵型の森林と考えることができる.したがって√スダジイ林はタブ林とコジイ林につな力句を もつと同時に,コジイ林とカシ林とのつなぎにもなり,生育環境からもこれらの中間的な位置づけ ができる(山中 1966).このよい例がさきにふれた安田町の場合であるが,ここから以東の海岸 ぞいではスダジイ林が主であり,室戸岬以北では内陸よりにコジイ林が多くなる.徳島県南部にも スダジイ林とコジイ林があるが,いずれにしても’,タブ林とスダIジイ林との関係と同様にまたはそ れ以上に,スダジイ林とコジイ林の間の立地条件のちがいは相対的な場合が多く,両者の混生する 林も見られ,組成的にもはっきりしたちがいを認めがたいことが多い.

(7)

四国東南部沿岸地域の森林植生     (一山中)

Tab\e 2. MachiLusthunherziicommunity (Rumohro-Machileはm thunhergii)

 Quadrat number

 Number of species

 Characteristic and di斤erendal

   species of association M.achilus thunbergii Z:抑ph・ゆりHum teりsmanni Elaeocarpus.りZ。estris v.  elliptictis Piper kadzura AnodendΓθzz qが?ne Podocarpus nagi Prunus zippeliana Arachniodes aristata.  。  Elements of Casはnopsis cuspidata    communities Cleyera Jaかonica Castano{>sis cttstidataヽ。。 steboidii CM。rn,nthusがaber

 Characteristic and differential

   species of alliance and class

Meliosma rigida Myrica r晶心 Heこr rotunda £)istylium racemosuin Actinodaphne laneザol姐 私印aiiaea neriifolia £4 FirIts erecta Camellia japonica Etげ:ya japonica Terns troemia g:ynvtanthera Michelia compressa TracKe J OSper mum asiaticum K.adsura japonica をemmaphyllum micropノlyllum. Neolitsea sp.ricea Maesa japonica Klaeagniis reμeエa Machilus japonica Cinnamomum japonicui・,1 Dendropanax. trifidus HにIntegra Marsdenia tonientosa £)a刀inacantノ辿S indiciis Ardisia japonica Ardis血crenata  Companions Rhus succedanea Kuscaphis jaj・onica Euon:ymus japonicus Pittosporum:ttAira Milletia japonica Oplismenus undulatifolius v・japonicus Farfugium japonicum Soehmeria holosericea Microlepia strigosa Nephroleがs auriculata No. No. 1 2 Layer 4     c ^ r ^ j o -i e n H H H H H H H H S S S S S S S   2 2 2 2 2 2 T T T T T T 1 1 1 1 1 T T T T T T2S T2   S TiTzS Ti Ti Ti T1 H H S S S 9 ″ り 4 9 4 T T T TzSH T2 T2S TaS TzSH TzST SSSSSSSSS  HHHHH  HHHH Ti   TzSH    SH    SH HHHHHH   1 3 1 4一十十CO   2   2十   3 l e 1.2   1   2・・・   2O<I   2。心・・・   2・・十   3十十・+ 12   21+2   1   3 3.3 一一 ・・十・+++++・   2 4 8   1十 I   2I り J   4       3 4+13+・・4 争一・ ・・++・ee・・● Cocculus trilobus SH十, McrcuriaUs leiocarpaH十, Rohdea japonica H 十 Cel£is sincii";t<iv・japontca T1十,Partノlenocisstts tricuspidataTIH十。,Callicarpa japonicaS十, Firmianaがat anifolia.H十,  Ficus nipponicaH十,St砂池not is

lutchuensis v.1 aponica H十, Ruhus sieboはtiH十。1, Rubus btiergeri H十,

Desmodium laxiim H +3 Poりgonatum.‘falcatum.H十

(8)

12 高知大学学術研究報告  第19巻ハヘ自然科学  第2号 No. 3 χ:μosma congestumT2十, Cephaloはエws harringtonia S+ゝ Aがlananthe aspera     S十, Callicarpa mollisS十, Premna japonicaS十, Malloはs iaponicus H 十,     Boehmeria niかononiでeaH十,Poりgontt‘ほかiformeH十, Achyranthes iaponicaH     十,L,onicera iaponicaH十, Cliamaete decumhens.H十, Angelica japonicaH十,     Arisaema urashimaH十  (2)組 成  1969年から1970年にかけて得られた資料と,それ以前の調査結果のうち今までの報告にとりあげ なかったものを加えたタブ林とシイ林の組成は第2−4表であり,これに高知県東部のコジイ林  (山中 1955)と安田町および奈半利町のスダジイ林'(山中 1962)をあわせてまとめた総合表が 第5表である,これらから明らかなように,タブ林とシイ林はタブ,スダヽジイ,ヤマモモ,イスノ キノヒメユズリハ,モチノキ,モッコク,ホルトノキレイヌビワ,シロダモ,ヤマビワ,ヤブッバ 牛,ヒサカキ,カクレミノ,タイミンタチバナ,ネズミモチ,イズセyリョウ,マンリョウ,サネ カズラ,.テイカカズラ,マメヅタ,ホソバカナワラビなどが共通の組成要素となっている.したが って,この地域に関するかぎりでは,優占種と組成の質的なちがいのほか,m的な差によって森林 の区別・の可能な場合もあるとともに,相互間の推移も見られる.  タブ林の組成的な特徴は,タブが優占するとともに,ナギにヒメユズリハ,ホルトノキ,フウト ウカズラ,ホソバカナワラビなどの優占度または存在皮の高いことである.南端の室戸岬では一部 にアコウの優占するところがあり,タマシダ,ヤマアイなどが量的に多いが,これもタブ林の一部 に含まれる(山中 1952, 1962).  スダジイ林とコジイ林を含めたシイ林はイヌマキ,ヤマモガシ,アラカシ,ツゲモチ,コバンモ チ,トキワガキ,カナメモヂ,サカキ,シャシャンボ,クロバイ,ミミズバイ,ミサオノ牛,ヘクチ ナシ,センリョウ,ベニシダ,マルバベニシダ,シ4ンラン,ツルコウジなどによりタブ林と区別 されると,ともに,二つのシイ林のまとまりが考えられる.したがって,タブ林とスダジイ林とはこ れらシイ林の要素のほか,タブおよびスダジイとざきにあげたヒメユズリハその他の量的関係によ るちがいがあり,スダジイ林のながでもタブ林の要素を量的に多くもつものは,中間的な傾向の組 成を示し,その例が奈半利町法恩寺,室戸市,宍喰町などに見られ,島の林もこの傾向かつよい. コジイ林とタブ林のみをむすびつけるものはほかになく,またスダジイ林とコジイ林の間では,前 者がスダジイ・の優占以外にめだつものはほとんどなく,後者ではゴジイのほかカンザブロウノキ, ルリミノ一半,サツマルリミノキ,コバノカナワラビなどがクブ林になくスダジイ林に少ないことが あげられる.  このような組成を総括すると,この地域ではタブーシイ林としてひとつのまとまった常緑広葉樹ヽ 林をなすとともに,そのなかではシイ林が組成的に最もはっぎりしており,しかもスダジイ林とコ ジイ林との間には大きな差がないが,しいていえばスダジイ林にタブ林と共通の要素が多く,タブ 林は残存面積の狭いことと共に,組成的にも標徴種に乏しいものであるといえる.  この事実は今までに報告された群集を否定するこどにはならず,クブ林はタブーホソバカナワラ ビ群集,スダジイ林はスダジイータイミンタチバナ群集になり,コジイ林はコジイークロバイ群集 のタイミ`ンタチバナ亜群集と考えることができる(山中 1962).しかし,それぞれの区分種が適 当であるかどうかの問題とともに,クブーシイ林についてはさらにもうー・度ひろく検討しなければ ならないことはたしかである.

(9)

   四国東南部沿岸地域の森林植生     (山中)

Table 4、Casta、lopsiscuspidatav.cuspidata community          (Symploco-Shiietmn cuspidatae)

 Quadrat number  Number of species

 Characteristic species of association 宗旨ご包昌忿ふお尚尚  EIJごごこ 尽laeacarpusjaponicus Castanoかis ;:uspidata 'aponica <s primザolia glauca. y・iplocosがauca ・acむ611・urnbracteatum v、sieboldii Randi・acochinchinensi'i Cfitor。ithusがaher Hiospyrosmorrisiana Phottnta,がabra

GαΓj。tia jasnii。 ・j。5 f. graJidびZθΓα Heliciacochinchi・・nensts

聯雛洽扁な叩

聯銘訟愕ぱ怒

Damnacanthus indict。s v. microphylius

Characteristic and differential  species of alliance and class

詣詣肌で: gida hiyrica r油辿 冑銘ゴニ劣ご Camellia jatonica 農工と呪;訟 尚 71'ernsiroemia。・gymnanlhera Dendropanaこむ けifidus Maesa japonic a ̄ Ligustrtふ・I japo‘nicum Ficits e.re.cは Michelia compressa Hex rotun.jα Trackelospermum asiaticum Lemmaphyllum microphyllu・m, 印:yofteris pacifica Kadsura japonica Ardisia c7・C?lata Companions Callicarpa mollis

Dicranopteri・s linear i'i

Paederia scandens v. mairei Layer T1T2S H   T2SH TiTzS T1 S S S   り ` 9 ` ∼ a T T T T2S T2S T2S 5   5 c > a c -i 4.4 HH H H SH  HH HHHHHSSSS T1T2S H T1T2S H TiT2T TTTT SSSSSSSSSSSSSS HHHHH HHH  HHHHHH HHH 28S  +  十?  1.2  + 十.2  + ・・・+  十 十.2   2・J・   2   2   2十十十・十・・・・ 2十十・ Csj 1 cv) fノ] CNJ      + 十JJ  11 6   0 2   3 4 2   一 ∼ 4 2 1 2 2 1   1.。心   2十十十十   2十十十・’十   2・・・ 十J 1・十十十十十十 2・・・・十2・・・  32       1   ‘+  + 1.2 7   4 n / ″ 4 3.3 1.2 十・。J十十辺・十   2十   n ︱H . cs] 十.2 十.2  1.2  十 十.2 + ︱+ +++

No. 25 T7i£omodon sikokianus S十, Rhu$ succedaneaH十,にy'lospyros kakiV.

 svlijestris      H十, Milletia japonicaH十,  Parthenocissus tricuspidaはH十, Smilaエchina      H十,  Dr:yofttej・tssacrosanctaH+3 Letisortts thunhersianusH十・P:yrola japonica      H十・Farfi。gium jabonicu?nH十 No. 26 RhsけichocarやaS十 No.・11 Cr:yptbmeria japonicaS+7 Hyd・rangea h£teovenosaS十,2, KlaeagnusがabraS

     +7 Ampelopsis brevipedunculataS十, Clerodendron trichotomum H 十,  Iiubi£s

     buergeriH+3入licrolepia stricosaH十,  Thelyl

     theruvi gracileH十

(10)

14 高知大学学術研究報告  第19巻 卜自然科学  第2号

Table 5. Summarized synthesis table for the M≪cゐjlzりZゐ。7ibe7・がi and the Caslanopsis

   a・spidaはcommunities in the coastal district of southeastern Shikoku

      ;。      ,    1 Machilus ihunbergiicommunity > 1 Castanopsis cuspidataV.sieboldiicommunity,    3 Castanopsii ctispidataV.  cuspidatacommunity  上  Number of quadrats l Machilus tJi。iberがi 夕だgだな大詰営ニj‰尚。 Podocarpusnagi 之工だ宗7 鴛混信こaza£α P町d(山・itt.serpens Jjiriope spicata Arisae、ma I・ロigcns 梵ご幄ご首≒ぷ] Helicia cochinchinensis Cle:yera japonica    ・ 忿皆器ぬこ 。お 沁がおこな票大 柄ospyr叩viorrisiana Chtorantlms gtaber /- ¶ ・ ●  ・ ●a石垣noideバ. grandijiora Ophiopogon japonicus

Cas£anoかs・is cl£:s/>,idata v. sieboldi・i

Quercus glauca 11e£goshiensis Vaccinittm.bracteaむ一一附μ Castanoiisls cuspldata v. cus,pidat(i 諭球註 記 おzμ刀口z5山 宍白浜万万生白モと yμ 「a Teriist・?・oetaia syinnanthera 召2;ぷ:2おふ z japonicum Myl‘icartibra・ 召言言≒二犀ぎ Cainelli・a laponぱa 款談77‰ Ltgt。,striii7Xj叫Soittcmn 鸞鷺惣ご叫/ふs

︱]川副﹂ = レー==︲==

・一・ 1 1 1 1 1 3 3 2 2 3 1 e n 2−a  11

千千上川

H111ⅢⅢn1111ⅢIⅢHIlnl 2−b  12 VⅢI・・H・I I ⅣHnvⅣⅢⅣVIⅣⅢⅢHnⅢnⅢ 3 2 VII・・・ I φ@・ Ⅳ111vⅣv11ⅢIvrⅢⅢmⅢII V   V   : I

ニゴ

I I l e l ・ ・ 一 一 m11ⅣlnvvⅣⅣⅣⅢ11 m・’III I 一 ・ ・IVVVⅣⅢⅢⅢ

一引引①

(11)

-Neolttseasericea 包ここぬ宏にごl zzj出心(cum v.rnicrophyllus) 刎5鳥jぶこここ <n asiどiticuni 撫7fこぶ / J窓ごこ a7’ゆ勾z岳7・z 3 2 2 1 2 2 1 nlⅢnⅣⅢⅢ 11ⅢⅢnⅣⅡⅢ 11Ⅳ111ⅢIⅢ 15        4.ウバメガシ林  ウバメガシ林は土地的極相として,海岸ぞいの露岩地や急斜地にひろく見られ,ことに室戸岬や 徳島県南部の海岸によく発達している.生育のよいところでは樹高8 −10m またはそれ以上に達す るが,風あたりのつよい海浜では0.5m以下の団叢をなすことも珍らしくない.タブ林とはいちじ るしく対照的な立地に見られるが,スダジイ林とはしばしば接し,また上層木としてクロマツをと もなうことも稀でなく,岩石地のクロマツ林はほとんどクロマツーウバメガシ群落である.  ウバメガシのほかトベラ,マルバシ十リンハイ,ヤサヰ,コバノタツナミ,クサスギカズラなど によりスダジイ林とは区別され,また林床にはヒトッバ,コウヤボウ牛またはタマシダの優占する ことが多い.同時にカナメモチ,タイミンタチバナ,シャシャンボ,ネズミ'モチなどシイ林とめ共 通のものもあり,ことにウバメガシータイミンタチバナ群落ではトベラ,マサ牛などウバメガ,シ林 の要素を欠いて,しばしば組成的にスダジイ林に近いかたちになる.  ウバメガシ林には,・さきにふれたように土地的極相として自然状態を保っているもののほか,伐 採あとの萌芽による再生林もあり,ことに徳島県南部には,はっきりとそれとわかる二次林がかな り広い面積を占めている.もともとウバメガシは薪炭材としてよ.く利用書れたものであり,タブ林 やシイ林がひろく伐採されているこの地域で,ウバメガシ林がたとえ立地の悪い条件のところにあ るとはいえ,すべて自然のままに残されているとは,とうてい考えられないことである.ただ,気 候的極相の破壊されたあとには,優占種を異にする二次林の出現が見られ,また萌芽林の場合も相 観的および組成的に区別が可能であるか,土地的極相ではしばしばそれが困難をともなう故に,今 までウバメガシの二次林については多く問題にされなか.つたものと思われる.土地的極相の優占種 が一般に陽樹であり,所生の植物にも光を好み乾燥に耐えるものが多いのは,二次林と共通してい ることであり,しかもウバメガシでは環境により多様な生育形が見られることも,極相か二次林か の判断を難かしくする原因となっている.  こうした問題はあるとしても,第6.表のウバメガシ林の一部は,あきらかにこ次林と考えられ る.そのような場所では,ウバメガシは高さ2 ― 6 m,タイミンクチバナ,ヒ・サカ牛などをともな い,コシダおよびウラジロが密生している.・この群落はシイ林とき七タブ林の要素をまじえノ立地 条件からはむしろシイ林の領域に近く,また組成的にはデカマツ林ともっながりが多い.この事実 は,はっきりとこのウバメガシ林が極相のものではないことを示している.  ウバメガシ林はウバメガシートベラ群集にまとめられ,いくつかの亜群集や変群集が区川されて いるが,別にウバメガシーコシダ群集の報告もある(今# 1965).本来の土地的極相そのものは 前者に含まれるが,こうした二次的なウバメガシ林はむしろ後者に近い.ウバメガシーコシダ群集 はマツ林と共通の二次的要素を区分種としており,この群集の性格についてはさらに資料を多く集 めて研究する必要がある.        5/その他の問題 二次林として最も広い而積を占めているのはアカマツ林とシイの萌芽林であり,アカマツ林の多

(12)

16 高知大学学術研究報告  第19巻  自然科学  第2号 くは組成的にアカマツーモチツツジ群集であり,これは四国の西部には見られない.萌芽林ではシ イのほかにアラカシ林かおるが,従来定期的に伐採されていたものが,近年しだいに造林または果 樹栽培などにかえられつつあり,薪炭の需要の減少にともなう土地利用のとうぜんの方向である. また,コナラを主とした二次林もあるが,面積は広くない.室戸岬のアオギリの多い林も,あきら かにタブ林のあとにできた二次的な植生である(山中 1968).  極相林の残存が少ないことはすでに指摘したとおりであるが,そのなかで最もまとまっているの はやはり室戸岬であり,タブ林,シイ林およびウバメガシ林がーか所によく保存されている.しか し,ここでも最近の観光開発は,とくに海岸ぞいのアコウやウバメガシ林に障害をあたえ,植生と 風致に大きな影響をおよぽしている.この傾向は室戸のみでなく阿南地方にまで及んでいるが,今 後は少なくとも植生と自然景観の保存の立場から,慎重かつ早急な対策が望まれる.,       6.ま  と  め  室戸阿南海岸国定公園を含む四国東南部の沿岸地域には,気候的極相としてタブ林とシイ林,土 地的極相としてウバメガシ林がある.しかし,タブ林は室戸岬などごく一部にしか残っておらず, またシイ林も本来占めていた領域は広いにもかかわらず,自然状態を保っているものは,主として 社寺叢として点在するにすぎない.  クブ林はタブーホソバカナワラビ群集であり,室戸岬の一部ではアコウが優勢.になっている.シ イ林にはスダジイ林とコジイ林かおるが,組成的には大きなちがいがなく,沿岸部ではスダジイー タイミンタチバナ群集とコジイークロバイ群集の区別はそれほど明らかでない.ウバメガシ林は海 岸ぞいにひろく見られ,もともとウバメガシートベラ群集に含まれるものではあるが,萌芽林では ウバメガシーコシダ群集に近い組成で,こうした二次林の占める範囲は狭くない. ] 今後はその保存について適切な対策が望まれる. 文 献 今井 勉 1965 : 西日本におけるウバメガシ林の植物社会学的考察.日生態会誌 15, 160-170. 木村晴夫・森本康滋 1964 : 徳島市城山の植物 1-82. 森本康滋・藤井孝也 1965 : 県南のシイ群落.阿波の自然 41―49. 佐藤和韓鶏 1946 : 日本西南部植物気候の研究Ⅲ.金沢高師理科紀要1, 61―71. 館脇 操・辻井達−・梅沢 彰 1959 : 日本森林植生図譜V 四国南部沿岸帯.北大演報20, 511―596. 山中二男 1952 : 室戸岬の植物群落学的研究.植物生態学会報2, 51-61. 1955 : 高知県東部の暖帯林.日生態会誌4, 148―151.

1961 :Abies firmaand Tslしg4sieboはit forests in Shikoku (Forest climaxes in Shikoku

1962 : Warm temperate forestsin Shikoku (Forest climaxes in Shikoku, Japan 2). Ibid.

1966 : シイノキについての問題と考察.高知大学教育学部研報 No. 18, 65―73.

1968 : 四国南部の二次林.一次生産の場となる植物群集の比較研究昭和42年度報告82-88. ■

1970 : The Castanopsis cuspidata and the Quercus phillyraeoides community in southeastern 印刷中:徳島県植生図解説.

(昭和45年8月25口受理)

Japan 1). Res. Rep. Kochi Univ. (Nat. Sci. I) 10, 19―32.

11, 1-8.

(13)

t s j  9芦 ゜CJふ●●● ← + ← Q u a d r a t   n u m b e r N u m b e r   o f   s p e c i e s C h a r a c t e r i s t i c   a n d   d i f f e r e n t i a l   s t ︶ e c i e s   o f   a s s o c i a t i o n Q u e r c u s   p h i l l y r a e o i d e s P i t t o s p o r u m   t o b i r a P y r r o s i a   l i n g u a r e r t y a   s c a n 、 i e n s S c u t e l l a r i a   i n d i c a   v .     p a r v i f o l i a

。付鱒こ器行0 

心沁H貝器吟ド゛

に牡詐作付ド ヨ ︵い`cゝQI∼へaIQミQa 行0 0 に s   c i t s p i d a t a   v .   s i e b o l d i i U u m   t e i i s m a n n i 惣艮豹勺刹にド 行9 特べれ腿腿 でrandiflora Quercus salicina Ilex rotunda 心いぺJいいいい一にQ咄々、ミミ、、ぶQlg 1 rachelospermum asiaticimi Machilus Myrica s   t m c n b e r g i i r i i b r a Cymbidiuni goeringii Lemniaphyllum niicrophyllum Ardisia c.renata Ardtsia japonica Dryopteris paclfica  ︵Companions リ沁0 0 沁 雖汀絞腿i 腔沁に且毀∼1tica Rhododendron 7nacrosepalum 一一汀防犯回禄ジ ミミ Prunus jamasakura 豺0 に計 nensis 溝9 甘H匹沁煙E 沁1 計兪腿戸 Z O ’ Z O ’ Z O ° Z O ’ Z O ’ 之 o ‘ z o ’ r5’Q TiT2   T2   T2 Table 6-   Quercus phillyraeoides community ︵`︶ittosporo-Quercetum phillyraeoidis︶ t 心 α ) く y t s o ゝ O O N C 。 J C ) O l C O 卜 - ・ C O O J l 心 C O O J C べ j O S   【 Z 】 C / ] w w ; ロ ; 1 : ; に ロ   ; 工 ; . . . + o n ● ● l ヽ j p o e n ● ● + + Q I ・ ● ● ● り 1 丿 ● ・ C 4 り 1 ・ ・ ・ t S J t / 1       ごががjjづがが      ・.(/)C/)(/)C/つC/つ(/うC/う(ノ)(/)C/つC/)(/)C/)(/)C/つC/)C/つC/)(/うC/) ;I; ;I; ;コ;工;ロ;;コ;E;ロ:;;ロ   ;Σ;にE;;ロ];;工;;Σ;コiiffitロ ;工;ロ:iXK

       H        HHHHH       (jiV)(/)(/>in[/>t/>win コ;工;;工hKK  ロ; ];  ;エ;に;ロ] N 3 ● ● ● ● ● ● ● ● 6 J + ・ ・ ・・+ ●●●●●+ t 心 ●●●●+ f. - I へ Q ) C O C n ト ー ● ○ へ C O < D \ ← C - n  c・j 4 十』・k +Q●4- r 9 卜 C.J・・● b − 4 ● ← ← K ) ● ● ● ● o o N ) ∞ Q j O O 以 ) り 1 C ・ j α ) 心 , l 寸 心 , O J 加 4 , O n Cocculus trilobus H十 Asplenium incisum H十。  Dianthus japonicus H十。  Carex sp.   H十 Lepisorus thunbergianus H十 Maackia fiorihunda T2十。 Paederia scandens v. mairei H十。  Farfueium japonicum H十 Rhus iavanica S十 Clethra barvi7iervis S十。2 Rhus trichocarpa S十 I ^ O t > J r 心 ● ● ● ●       + ・・・"rso**** ・・・++・・←●●++●●●●+●●++●+≫ ・ CO + C 。 J 一 心 ← つ C 。 J いふ ・         ・ t s i         .-+     ω 十・・・十・・十・μ心・・・十十乙 + ●●●+   9 ゜゛QJ        ふ 十●●●十●●●●●十十k        OJ +●● O J Q ⊃ C O Q ) r. I M ) ← く ㎝ 心 、 C ) t 心 ( ⊃ へ ← Q ) 十乙k十ふ  ・−+ t_n ・こ心十ぶ  −  cノ1・心・十k  ”?・ 十・・・・十・十十;。;。μ   十十十;。・・・心十・・・・十一・十十・・十・十十十乙 ● ● ● ・十十・乙 t > J r - o +。。。 ● ● + 6 J ● ● ● ● ● 心 , ...・・・・十・十十・・・十旨十十心十氾 + ひ 、 ) ● ● ● ● t、J − 心十心十 ト ー - ● l ≒ 、 3 ● ● ● ● ● + ● ● ●  (^O ’−’ to ・C、j・ 十心・・・・・心・L ● −       ・ ● ● ● ● t 心 ^ ト 、 ) ふ t 心 ← r 心 心 C 。 j ← ← ふ へ t / 1 O 1 + - 4 Uいμ, - 4 c_n en - 4 ロヽoヽ C J C J 心 , ぶ k ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ← 十・・十乙       C O ● ● ● ● ● ● 十 』 ,       t o + + ● ・ ● ● ● ● ● ●       1 - = ” * * P O " *   Q 4 ・ ・ ・ + ● ● ● ● ← ● 6 J ← C O ● ● ● ● 6、) 心十    − − 十‥・心・十に‥十 C 。 j C ・ J         ―・ tvO fO ●●●●●●●り、、t、J、、o ・・・・ + ・・ + + C A 3 ふ C O O O ● ● t / J C J O J O O C J O O Q 4 ● ● 乙』・十・十。●・・・・十,。十・ C O O J ● ● ● ● 十十心;。・・・・・・十乙

(14)

Fig. 1. Map showing the localities and communities  investigated.                ,−ト−
Table 1. Data for the localitiesand communities
Table 5. Summarized synthesis table for the M≪cゐjlzりZゐ。7ibe7・がi and the Caslanopsis    a・spidaはcommunities in the coastal district of southeastern Shikoku

参照

関連したドキュメント

[r]

植木祭の開催 愛林デーの制定 愛林植栽日の制定 植樹デーの制定 愛林日の制定 植栽日の制定 植柵デーの制定

東北支部 華北支部 華東支部 華南支部.

aTheTateModem3)4)5)(図6,7,8,9,10):ロン

タンクタンクタンク モバイル型Sr 除去装置 吸着塔 スキッド 計装制御 スキッド 計装制御装置 ウルトラフィルタ スキッド SSフィルタ

添付資料-4-2 燃料取り出し用カバーの構造強度及び耐震性に関する説明書 ※3 添付資料-4-3

2002 2003 2004 2005 2006 年度 (ppm).

(売手R)と締結した売買契約に基づき、売手Rから 2,000 個を単価 600 円(CIF建 て)で購入(輸入)したものである。なお、売手Rは