戦後日本の公共投資と社会資本 : 1980年代までの理論と実際
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(2) 施 設 等 は戦 災 に よ り手 ひ どい破 壊 を蒙 っ て お り、 国土 は 荒 廃 して 、水 害 等 に よる被 害 も増 大 の一 途 を た ど った。1946年 末 に は失 業 者 も500万 人 以 上 に 達す るの で はな い か と予 測 さ れ 、 連 合 軍 総 司令部 よ り 「 一 般 会 計 に 公 共事 業 費 を一 括60億 円計 上 し、 これ に よ って100万 及 至125万 人 の失 業 者 を 吸 収 し得 る よ うに せ よ」 との指 令 が 出 さ れ た。 これ が 国 の 施 策 と して公 共 事 業 を と りあ げ る に 至 った 端緒 とな る。 こ うして 公 共 事 業 予 算 は1946年 度 か ら事実 上 ス タ ー トし、経 済 安定 本 部 が調 整 監 督 に あ た って 実 施 され 、 当 初 は まず 失 業 救 済 に重 点 が お か れ た。 そ の後 しだ い に 「 即 効 的 生産 増 強政 策 」 か ら や や 長 期 に わ た る建 設 事 業 へ と方 向 転 換 して 、 大 災害 の発 生 に か ん が み て治 山治 水 事 業 な ど国 土 の維 持 保 全 が 中 心 課 題 とな って くる。 た とえ ば1950年 度 の 公 共 事 業 費(広 義)の 事 業 費 と治 山治 水 対 策 費 で全 体 の じつ に65%を. うち 、 災 害復 旧. しめ て い た。 公 共 事 業 も戦 争 の あ と始 末 に追 わ れ. て い たわ け で、 経 済 成 長 の基 盤 づ く りに 向け た 社 会資 本 整 備 は 、 戦 後 の 経 済復 興段 階 を 終 え た50 年 代 後 半 か ら本 格 的 に展 開す る。 経 済拡 大 の も とで編 成 され た1957年 度 予 算 は 、 公 共 事 業 の 展 開 に と って も画 期 的 で あ った 。 一 般 会 計 ・財 政 投 融 資 と も大 幅 な伸 び とな り、 歳 出面 で は 産 業 基 盤 の整 備 拡 充 に 最 重 点 が お か れ 、 積 極 的 に経 済 発 展 の た め の 施策 を遂 行 す る とい う性 格 の もの とな った 。(3)なか で も公 共 事 業 費 は 15%増. と高 い伸 び とな り、積 極 型 予 算 を物 語 っ てい る。 そ れ も従 来 の よ うに 総 花 的 で は な く、 道. 路57%、 港 湾48%、. 工 業 用 水64%の 伸 び とい う よ うに 、 産 業 基 盤 の整 備 拡 充 に 重 点 が おか れ た 。. この57年 に は 新 長 期 経 済 計 画 が策 定 され た こ と も、 社 会 資 本 整 備 の展 開 に と って 画 期 を な して い る。 経 済 の基 礎 部 門 の計 画的 拡 充 が 主 た る課題 と され、 公 共 投 資 も新 た な決 定 方 式 が採 用 され 、 の ち の公 共 事 業 長 期 計 画 の策 定 に 重 要 な 根 拠 を あ た え た。 道 路 、港 湾 、鉄 道 等 の交 通 部 門 で と られ た 「 原 単 位 方 式 」 とい う もので 、 国 民 総 生 産 との 関連 に お い て 国 内輸 送 需 要 を部 門別 に 算 出 し、 これ を基 礎 と して平 均資 本 係 数(原 単 位)に. よ って投 資 規 模 が 巨視 的 に決 定 され た 。(4)公共 投 資. が 国 民経 済 の な か で 明 確 に位 置 づ け られ 、 そ の 計 画性 が重 視 され る よ うに な る。 また 主 要鉱 工 業 地 帯 の 立地 条 件 の 整 備 を 先行 させ るな ど、 重 化 学 工業 化 へ の 基 盤 づ く りとい う性 格 が 強 くな る。 資 本 主 義 の長 期 の 発 展 計 画 の も と に財 政 の方 向づ け を し、 計 画 の基 軸 た る資 本 蓄 積 の 助成 の た め に 、 目的 意 識 的 に 公 共 投資 を使 用 す る とい う政 策 は 、1960年 の 国民 所 得 倍 増 計 画 に よ って 体 系 化 され た 。 こ う した 経 済 ・財政 政 策 は 、社 会 資 本 充 実 政 策 と名 づ け られ る。(5)本格 的 な 高 度 成 長 の 出発 点 とな った 所 得 倍 増 計 画 か ら、成 長 促 進 の財 政 シ ス テ ム の展 開 、 と りわ け 世 界 最 高 の 公 共 投 資 に よる社 会 資 本 充 実 政 策 を め ぐる 問題 に つ い て検 討 して い こ う。 所 得 倍 増 計 画 は 中心 課 題 と して社 会資 本 の充 実 、産 業 構 造 高度 化 へ の誘 導 、 貿 易 と国際 経 済 協 力 の促 進 、 人 的 能 力 の 向上 と科 学 技術 の 振 興 、 二重 構 造 の緩 和 と社 会 的安 定 の確 保 の5つ を提 起 した。 こ う した 課 題 を実 現 す るた め に 、 国 民経 済 の規 模 を今 後 お よそ10年 間 に実 質 価 値 で倍 増 す る こ とが計 画 目標 と され た。 な か で も社 会 資 本 の 充実 が第1の け られ た。. 課 題 と され 、つ ぎ の よ うに方 向づ.
(3) 計 画 期 間 に お け る社 会 資 本 充 実 の 第1の 方 向 と して は 、産 業 基 盤 強 化 のた め の社 会 資 本 を まず 必 要 最 小 限 確 保 す る こ とが 緊 要 で あ る。 な ぜ な らば 、 この面 に お け る施 設 の劣 弱 が 経 済 成 長 の あ い 路 とな る可 能 性 が 相 当 強 い と考 え られ るか らで あ る。 した が って 、産 業 の基 盤 を な す 社 会 資 本 の 拡 充 の た め に 種 々の 努 力 を傾 け る こ と こそ が 、計 画 が め ざす 高 度 成 長 を 実 現 して い く基 本 的 課 題 で な け れ ば な らな い 。 実 際 に社 会資 本 の需 給 ギ ャッ プ はか な りの規 模 に の ぼ って い た 。 そ れ ぞ れ に 想 定 した 基 準 に よ り社 会資 本 の蓄 積 不足 額 を試 算 し、 これ を60年 度 の投 資 実 績 と比 較 す る と、 鉄 道 で は 約10倍 、港 湾 で 約8倍 、海 岸 を ふ くめ た 国土 保 全 施 設 で は約12倍 と計 算 され た 。(6) 社 会資 本 の充 実 に あ た って は 、 国民 経 済 全 体 の運 営 との有 機 的 関 連 が 重 要 と され た 。 そ れ で 国 民経 済 の 均衡 あ る発展 の 見地 か らみ た最 大 限 の規 模 と して、 社 会 資 本 充 実 の た め の 行 政 投資 の 企 業 設備 投資 に対 す る比 率 を 、現 在 の1:3よ. り、 目標 年 次 に は1:2程. 度 に 拡 大 し、 計 画期 間 中. に 合 計16.13兆 円(1960年 度 価 格)が 投 下 され る こ とに な った 。事 業 別 の 投 資 額 は表1-1の に 計 画 され た。産 業 基 盤 が全 体 の40%を. よう. しめ、生活 基 盤 を2.8倍 も上 回 って い た。 と りわ け道 路 が. 30%と 最 大 で あ り、 生活 基 盤 や 国土 保 全 の合 計 よ り2.5兆 円 も大 きか った。. 表1-1行. 政 投 資 等 実 績 お よび 計 画 の進 捗 率 単位:億. 投資実績(名 目価額) 1961∼63計 (A). 1960. 金額. 倍 増 計 画(60年. 進捗率. 度 価 額) 1961∼63計 想 定 額(C). 総 額( B). %. 金額. %. 金額. %. 金額. 円. %. (A) /( B) %. (A) /( C) %. 行政 投資総額. 9,570. 100.0. 44,790. 100.0. 161,300. 100.0. 33,917. 100.0. 27.8. 132.1. 産業 基盤 道 路 港 湾 農林 水産 業. 3,138 2,055 305 778. 32.8 21.5 3.2 8.1. 16,968 12,203 1,560 3,205. 37.9 27.2 3.5 7.2. 64,300 49,000 5,300 10,000. 39.9 30.4 3.3 6.2. 12,536 8,857 1,026 2,653. 37.0 26.1 3.0 7.8. 26.4 24.9 29.4 32.1. 135.4 137.8 152.0 120.8. 34. 0.1. 5,000. (660) (1.9). 0.68. (5.2). 10.2 4.9 2.8 2.6. 4,884 2,354 1,394 1,136. 10.9 5.3 3.1 2.5. 22,700 13,000 5,700 4,000. 14.1 8.1 3.5 2.5. 4,019 2,161 985 873. 21.5 18.1 24.5 28.4. 121.5 108.9 141.5 130.1. 14.8. 16,500 11,200 5,300. 10.2. 4,702 13.9 2,677 7.9 (2,025) (6.0). 40.2 62.6. 141.1 124.0 (163.8). 36.3. 52,800. 32.7. (12,000) (35.4). 30.8. 135.6. 29.2 16.4. 143.2 106.4. :. :. 産業立地調査. 一. 一. 生活 基盤 住 宅 環 境衛生 厚生福祉. 976 465 265 246. 国土保全 治山治水 災害復 旧. 1,960 772 1,188. 20.5 12.4. 6,636 3,320 3,316. その他. 3,496. 36.5. 16,268. 政 府 企 業. 鉄 電. 1,164 1,428. 電 力 地下鉄. 589. 国 電. 注)(1)本. 261. 8.1. 6,587 6,355. 7.4 7.4. 3.1. 6.9 3.3. 22,580 38,670. 4,599 5,974. :. :. 1,607 1,239. 11.8 6.4 2.9 2.6. 表 は 、 経 済 企 画 庁 に お い て と りま とめ た概 数 で あ る。. (2)1962年. は 実 績 見 込 、63年 は 当 初 の 金 額 で あ る。. (3)経 済 審 議 会 編 『国 民 所 得 倍 増 計 画 中 間 検 討 報告 』1964年 、366ペ ー ジ よ り作 成 。. 29.6.
(4) 具 体 的 な 整 備 方 向 と しては 、 産 業 基 盤 強 化 の た め の投 資 は 計 画 の前 半 期 に 重 点 的 に 投 資 す る。 しか し、 道 路 や 港 湾 を は じめ 産 業 基 盤 施 設 は 今 後 の経 済 成 長 の基 本 的 あ い路 とな って お り、 そ の 拡 充 が 必 要 で あ る とは い え、 行 政 投 資 総 枠 の 制 限 と他 の分 野 との均 衡 上 、 そ の 理 想 的 な 解 決 は 到 底 不 可 能 で あ る。 一 方 、 民 生 安 定 のた め の 投 資 は 、 産 業 発 展 の基 盤 と して 必 要 な もの を の ぞ き、 む しろ後 半 期 に高 く、 国 土 保 全 のた め の 投 資 は 長 期 的 、 計 画 的 に 実 施 し、 緊 急 を 要 す る もの に つ いて は 、 計 画前 半 期 か ら重 点 投 資 す る必 要 が あ る と され た 。 所 得 倍 増 計 画 は社 会 資 本 充 実 政 策 を 国 の 基 本 方 針 と し、 産 業 立 地 政 策 や 地 域 開 発 政 策 と関 連 づ け な が ら、 産 業 基 盤 整 備 が重 点 的 に す す め られ る。 実 際 の公 共 投 資 は 、 地 方 自治 体 の 施行 割 合 が 全 体 の8割. ほ どに達 した 。 これ は 国 の 公 共 投 資 拡 大 政 策 の下 請 け 機 関 と して 、 自治 体 の 大 きな役. 割 を しめ して い る。(7)この よ うな 中央 集 権 シ ス テ ム に よ り、地 方 自治 体 が 社 会 資 本 充実 政 策 に 直 接かか わ っ た。 地 方 自治 体 を 中心 に 巨額 の公 共 投 資 が な され た に もか か わ らず 、社 会資 本 の需 給 バ ラ ンス は 、 計 画 の 期 待 どお りには 改 善 しな か った 。経 済審 議 会 の 社 会 資 本 分 科会 報 告 は 、 そ の原 因 と して3 点 を あげ た 。(8)第1に 想 定 以 上 の 高度 経 済 成 長 に よ って、 社 会 資 本 に対 す る需 要 が急 激 に増 大 し た た め 、 新 規 の投 資 も この需 要 の増 分 を うめ るの に追 わ れ 、 混雑 の緩 和 や全 般 的 な質 の 向上 等 に まで 至 らな か った。 第2に 、 民 間 設 備 投資 と公 共 投資 の 同 時 的 な急 拡 大 が 、建 設 産 業 部 門 の近 代 化 の 立 ち遅 れ と相 ま って 、 建 設 単 価 の 急 上昇 や 用 地取 得 難 の激 化 を まね き 、社 会 資 本 充 足 の た め の事 業 の 実 質 的 進 捗 を 妨 げ た 。 第3に は 、公 共 投資 の 効 率化 、重 点化 の努 力 の欠 如 で あ る。 そ して 、 計 画 どお りに 産 業 基 盤 が 最 優 先 さ れ た 当然 の結 果 と して、 生 活 基 盤 が決 定 的 に 立 ち遅 れ て し ま っ た。1963年 度 まで の 進 捗 率 は産 業 基 盤26.4%に どま る(表1-1)。. 対 して 、生 活 基 盤 の ほ うは21.5%に. と. 産 業 基 盤 へ の傾 斜 は 、当初 の計 画規 模 だ け で な く、実 際 の投 資 に お い て もみ. られ た 。 生 活 基 盤 関 係 の 社 会 資 本 の 絶 対 的 な不 足 は 、都 市 問題 や 公 害 な ど深 刻 な生 活 困 難 を もた ら し、 高 度 成 長 政 策 に も一 定 の 手 直 しが 求 め られ る。. B. 公 共 投 資 と財 政 危 機. 日本経 済 は1960年 代 半 ば に 「 構 造 不況 」 に み まわ れ 、 高 度 成 長 に も最 初 の か げ りが あ らわ れ た 。 政 府 は 財 政 金 融 の 両 面 か ら不 況 対 策 を実 施 し、65年 度 補 正 予 算 で戦 後 は じめ て2000億 円 の赤 字 国 債 、 つ づ く66年 度 に は7300億 円 の建 設 国債 が 発 行 され た 。 公 債 依 存 に よ る不 況 対 策 で あ り、 これ に よ り ド ッジ ライ ン以 来 つ づ い て きた超 健 全 財 政 が くず れ た 。 財 政 硬 直 化 が 問題 視 され る と と も に 、積 極 的 な 財 政 政策 、 な か で もフ ィス カル ポ リシ ー と して の 公 共投 資 が注 目 され る よ うに な る。 こ うした 不 況 対 策 や輸 出拡 大 に よっ て、66年 以 降 は 戦 後 最 大 の 「い ざ な ぎ景気 」 と よばれ る好 景気 が つ づ い た 。68年 に はGNPも. 資 本 主 義 国 で 第2位. とな り、本 格 的 な高 度 成 長 に よ り 「 経済大. 国」 と して の 地 位 を築 い て い っ た。 高 成 長 に よ る 「自然 増 収」 な どを パ ッ クに して、 積 極 的 な 財 政 政 策 が展 開 され 、公 共投 資 も膨 張 を つ づ け た 。 社 会資 本 整備 も60年 代 後 半 に な る と、 産 業 基 盤.
(5) だ け で な く生 活 な い し都 市 基 盤 に も力 点 が お か れ る。65年 策 定 の 中期 経 済 計 画 は 、 従 来 か ら の産 業 基 盤 整 備 と と もに 、 住 宅 ・生 活 環 境 整 備 とい った 「 社 会 開発 」 を柱 に か か げ る。 空 前 の 高 度 成 長 は 公 害 や 都 市 問 題 を 激 化 させ 、 社 会資 本整 備 も成 長 の ひず み 是 正 が 重 要 課 題 とな って くる。 経 済 審 議 会 社 会 資 本 研 究 委 員 会 の報 告 書 か ら、60年 代 末 の 社 会 資 本 を め ぐ る問 題 状 況 を フ ォ ロー して み よ う。(9) この 報 告 書 は新 経 済 社 会 発 展 計 画 の策 定 に む け た 基 礎 的 作 業 で あ り、 公共 投 資 な い し社 会 資 本 の 今後 の整 備 方 向 を しめ して い る。 そ の 冒頭 で 民 間 経 済 活 動 お よび 国民 生活 の多 様 化 、 高 度 化 に 対 す る社 会 資 本 整 備 の量 的 対 応 の立 遅 れ は 、 社 会 資本 整備 に 関す る 当面 最 大 の課 題 で あ る と した。 66年 の経 済 社 会 発 展 計 画 で想 定 した成 長 路 線 に く らべ て 、現 実 の経 済 成 長 な らび に 民 間経 済 活 動 が それ を大 き く上 回 り、 産 業 基 盤 投 資 の 相対 的 「不足 」 が 問題 視 され た 。 世 界 最 高 の 公共 投 資 に よ り社 会 資 本 充 実 政 策 が 展 開 され た に もか か わ らず 、 依 然 と して 社 会資 本 の量 的対 応 の立 遅 れ が 指 摘 され た の で あ る。 こ こに 空 前 の 高度 成 長 と社 会 資 本 充 実政 策 との 関 係 が 、産 業 基 盤 の分 野 か ら問 題 提 起 され て い る 。 そ して 当面 す る社 会 資 本 整 備 の 質 的 な課 題 と して、 ナ シ ョナル ・ミニ マ ム拡 充 、 隆 路 打 開 、新 た な社 会 建 設 のた め の 戦 略 投資 とい う3つ の要 請 をか か げ る。 と りわ け 道 路 ・港 湾 ・鉄 道 ・空 港 な どの産 業 基 盤 整 備 が 、 隆路 打 開 の た め の緊 急 課 題 と され た 。 戦 略 投 資 は 新 全 国総 合 開発 計 画(二 全 総)の 開 発 戦 略 と され た大 規 模 プ ロジ ェク トと関 連 して お り、 そ れ 以 降 の社 会 資 本 整 備 の柱 とな る。 これ ら3つ の 国民 的要 請 に対 応 す るの は 、 ま こ とに 「容 易 な らざ る」 課 題 と され 、 財 政 金 融 政 策 全体 の検 討 や 民 間 資 本 参 加 な どが 提 起 され た 。 こ こで 打 ち 出 され た 社 会 資 本 整備 の 方 向 は 、 そ の後 の政 策 展 開 に 重 要 な 影 響 を あ た え る。 1970年 代 の 公 共投 資 と社 会 資 本 整 備 は 、 この 報 告 書 で 示 され た 方 向 に展 開 して い くが、 経 済 や 財 政 状 況 の急 変 に も大 き く左 右 され る。 わ が 国 経 済 は71年 の ドル シ ョッ ク で 円が 大 幅 に 切 り上 げ られ 、事 実 上 の 円安 の為 替 相 場 に よ る輸 出 ドライ ブ を つ づけ られ な くな る。 そ の た め 政府 は 積 極 的 な 国債 発 行 に よって 公 共 投 資 を 拡 大 し、 と りわ け 「 列 島改 造 」 型 の大 規 模 プ ロ ジ ェ ク トを 地 域 開 発 政 策 と して 展 開 して い った 。 つ づ く73年 の 石 油 シ ョ ックは 、資 源 多 消 費 型 の重 化 学 工 業 に 深 刻 な ダ メー ジを あ た え、 物 不 足 と 「狂 乱 物 価」 が経 済社 会 を揺 る が した。 加 速 度 的 な 物 価 上 昇 に ど う歯 どめ をか け るか が 重 要 な 政 策 課題 とな り、財 政 運 営 の基 調 は総 需 要 抑 制 政 策 に 転 じて 、 公 共事 業 がそ の主 な 抑 制 対 象 とさ れ た。 と りわ け 「 列 島 改造 」 型 の高 速 道 路 ・新 幹線 を は じめ と して、 巨額 の経 費 を 要 し波 及 効 果 も大 き い プ ロジ ェク トが 抑 制 な い し繰 り延 べ られた 。 この年 に 策 定 され た 経 済 社 会 基 本 計 画 は 、 高 成 長 を前 提 に して 「列 島 改 造」 型 の 大規 模 プ ロジ ェク トを 盛 りこん だ が 、 計 画 の 大 半 が挫 折 し た 。 公 的 固 定 資 本 形 成 や 民 間 設備 投 資 の実 績 は ほ とん どゼ ロで あ り、 計 画 との 乖離 が これ ほ ど大 きな 経 済 計 画 も珍 しい とい え よ う。 総 需 要 抑 制政 策 は景 気 を急 速 に悪 化 させ た 。74年 度 の 鉱 工 業 生産 は前 年 度 に く らべ て9 .7%も 落 ち込 み 、戦 後 初 の マ イ ナ ス成 長 とな った 。低 成 長 へ の移 行 に もか か わ らず 、 「 狂 乱 物 価 」は なか な か終 息 せず 、 不 況 とイ ンフ レが 同 時 進 行 す るス タグ フ レー シ ョンがわ が国 で も顕 在 化 して きた 。.
(6) 75年 度 の 税 収 は 法 人税 を 中心 に大 幅 な減 収 とな り、税 収 不足=歳. 入欠 陥 を うめ るた め に赤 字 国債. (特 例 公 債)が 発 行 され た 。一 般 会 計 の公 債 依存 度 は一 挙 に25%を. こえ、 高 度 成 長 の時 代 を 特 色. づけた 「 健 全 財 政 」 か ら赤 字財 政 へ と推 移 す る 。 これ 以 降 、財 政 は 巨額 の 国債 発 行 をつ づ け 、 財 政 金 融 両 面 に大 きな 影 響 を お よぼす 。 公 共投 資 も財政 面 か ら制 約 を うけ て、 財 政 政 策 や 景 気 対 策 との結 びつ きを 強 め な が ら実 施 され て い った 。 こ こ で、1970年 代 後 半 の公 共 投 資 を経 済 ・財 政 状 況 とか か わ らせ て振 り返 って み よ う。(10)75年 度 の 当 初 予 算 は、 前 年 度 に つ づ い て総 需 要 抑 制 型 に編 成 され 、 公 共事 業 関係 費 も2年 連 続 して伸 び ゼ ロに抑 え られ た 。 不 況 が 深 刻 化す る な か で 、 政 府 は 本格 的 な需 要 追 加 の た め の総 合 的 な景 気 対 策 を 決 定 した。 す で に 歳 入 不 足 が 明 らか とな って い た段 階 で 、 あ え て公 共 事 業 等 の追 加 を決 定 した こ とは 、財 政 赤 字 を 覚 悟 の うえ で 景 気 調 整 機 能 の 発 揮 に ふ み 切 る第 一 歩 と して注 目され た。 経 済 ・財 政 運 営 は年 度 途 中 か ら景 気浮 揚 に 重 点 が 移 り、 公 共 事 業 費 の追 加 、執 行 促 進 とい っ た措 置 が と られ た。76年 度 以降 は 、 当 初 か ら景 気 浮 揚 を め ざ して 予 算 が編 成 され 、 な か で も公 共 事 業 が 景 気 対 策 の 担 い手 と して活 用 され た 。 公 共 事 業 を 軸 に した 積 極 予 算 に もか かわ らず 、素 材 関連 産 業 の設 備 投資 は低 迷 をつ づ け た 。 しか し需 給 ギ ャ ップは な か な か解 消 せず 、公 共 投 資 の生 産 誘 発 効 果 や 需 要 創 出効 果 、 フ ィス カル ポ リシ ーを め ぐ り活 発 な 議 論 が 展 開 され た。(11) フ ィ ス カル ポ リシー と して の公 共 投 資 の効 果 が あが らな い 一 方 で 、 自動 車 や機 械 な ど加工組 立 型 産 業 の 輸 出は急 膨 脹 し、 国際 収 支 が 大 幅 黒 字 と な って 対 外 的 な 経 済摩 擦 を 引 き起 こす こ とに な る。 わ が 国 の貿 易 戦争 と大 幅 黒 字 が 他 の 先 進 国 か ら批 判 され 、 大 型 予 算 の編 成 を 中 心 に 国 内需 要 を 喚 起 し、 輸 入 の 増 大 、輸 出圧 力 の 内需 へ の転 換 をは か り、 経 常 収 支 の 黒 字 を60億 ドル ま で縮 小 す る見 通 しをた て た 。 財 政面 か らの 内需 拡 大 のた めに 、78年 度 予 算 編 成 と同 時並 行 的 に77年 度 補 正 予 算 が編 成 され 、 「15ヵ月 予 算 」 とな る。 そ して78年 度 予 算 は、 内需 振 興 の た め財 政 が積 極 的 な 役 割 を は たす 必 要 が あ る と して 、臨 時 異 例 の財 政 運 営 方 針 の も とで 編成 され た 。 臨 時 異 例 の 財 政 運 営 と は 、5月 分 の税 収 と りこみ を さ して い る。 国債 増 発 のな か で 、13ヵ 月 分 の税 収 を 見込 む と い う異 例 な措 置 を 講 ず るな ど、 国 と地 方 を あ げ て 景気 対 策 に 全 力 が 傾 け られ た 。 これ だ け の 特 別 措 置 を講 じな が ら も、78年 度 の 公債 依 存 度 は32%ま. で上 昇 し、 財 政 運 営 に 大 きな 問 題 を 投 げ か け. た 。 わ が 国 の財 政 史 上 で 一 般 会計 の公 債 依 存 度 が30%を. こえた のは 、 昭 和 恐 慌 期 な ど5年 間 しか. な く、70年 代後 半 か ら の国 債急 膨 張 は ま さに歴 史 的 な もの で あ っ た 。 先 進 諸 国 も ス タ グ フ レ ー シ ョ ンに よ って、 国債 発 行 を 拡 大 した が 、 早 い段 階 で財 政 健 全 化 に つ とめ て 公 債 依 存 度 を 低 下 さ せ て い った 。わ が 国だ け が 逆 に 公債 依 存 度 を急 上 昇 させ 、財 政 危 機 を ます ます 激 化 させ た わ け で 、 財 政 政 策 の 失敗 とい え た。 深 刻 な 財政 状 況 を か え りみず 、先 進 国 サ ミ ッ トとい う 「外 圧 」 の も と に 、公 共 事 業拡 大 に よ り内需 拡 大 を め ざ した結 果 が 、空 前 の 国債 累 積 で あ った 。 公 共 投 資 は そ の 性 質 上 、裁 量 的 に増 減 させ や す く、不 況 対 策 な どを 口実 に とか く大 盤 ぶ る まい され が ち で あ る。 そ れ は 財 政 危機 の要 因 を 内包 して い る こ とを 意 味 して お り、 公 共 投 資 と財 政 の 関 係 を み て い く う え で 、 この 間 の推 移 は重 要 な 教 訓 を しめ して い る。 こ う して 財政 危 機 が急 速 に 進 行 して 、 国 債 減 額 を め ざす 財 政 再 建 が 経 済 政 策 で も重 要 な 政 策 課.
(7) 題 とな って くる。79年 の 新 経 済 社 会7力 年 計 画 で も 「 財 政 の 収 支構 造 を抜 本 的 に改 善 し、 そ の再 建 を は か る こ とは 、 ひ と り財 政 ば か りで な く、 国 民経 済 に と って本 計 画期 間 の重 要 な課 題 で あ り、 これ に 取 り組 む こ とは 当 面 の 急 務 で あ る」 と され た。 財 政 再 建 は経 済 政 策 の柱 と され た の で あ り、 これ が また80年 代 前 半 の 公 共 投 資 、 社 会 資 本整 備 を規 定 す る こ とに な る。. C 財 政 再 建 と民 活. 1970年 代 後 半 に フ ィス カル ポ リシ ー と して展 開 され た公 共 投 資 は、 財 政 史 上 で も特 筆 され る財 政 危機 を もた ら した 。 そ れ が80年 代 以 降 の財 政 運 営 や 公 共 投 資 の制 約 要 因 とな って お り、2つ の 時 期 の 因 果 関 係 が 注 目 され る 。 81年 に 設 置 され た 第2次 臨 時 行 政調 査 会(第2臨. 調)の も とで 、 「 増 税 な き財 政 再 建 」が 国 を あ. げ て 実 施 され 、 行 政 改 革 に よ って 歳 出圧 縮 が は か られ 。 と りわ け生 活 関 連 の 一 般 行 政 サ ー ビス が 徹 底 して 見 直 され 、 公 共 投資 もそ の 中心 に位 置 づ け られ た。 臨 調 第1次 答 申に お い て 、 公共 事業 関 係 費 は 前 年 度 と同 額 以 下 に抑 制 す る と され 、公 共 投 資 は歳 出 削減 の草 刈 り場 とな り、 ゼ ロな い しマ イ ナ ス の 伸 び の 緊縮 予 算 を つ づ け る 。公 共 投 資 は裁 量 的 に伸 縮 させ や す い こ と も あ り、一 般 歳 出 削 減 の テ コ と して 活 用 され 、 国債 減 額 を め ざす 財 政 再 建 の主 役 を 演 じた 。 公 共 事 業 関 係 費 の 当 初 予 算 規 模 は82∼87年 まで の6年 間 、 前年 度 の規 模 を一 度 も上 回 らな か った 。 行 政 改革 下 の 予 算 編 成 に つ い て 、 宮 島 洋 氏 は 「増 分 主 義」 の変 質 過 程 とい う側 面 か ら検 証 して 、 歳 出 抑制 策 の柱 が 公 共 事 業 関 係 費(あ る いは 国土 保 全 関 係 費)に あ る と指 摘 して い る。(12)財政 再 建 の 過程 に お け る公 共 投 資 、 と くに 量 的 な 抑 制 が 社 会資 本整 備 の実 際 の展 開 に どの よ うな 影 響 を もた ら した か は 、 80年 代 の 重 要 な 論 点 の ひ とつ で あ る。 こ うした 公 共 投 資 の 抑 制 に 対 して 、産 業 界 か ら不 満 の声 が あ が り、 政 府 へ の 圧 力 を 強 め て くる。 景 気 後 退 下 で 財 政 活 動 が 制 約 され て 、 内 需拡 大 が大 き な政 策 課 題 とな る 。 民 間 活 力 の 活 用(民 活)が. ク ロ ーズ ア ップ され 、経 済 を うごか す新 しい主 役 と して登 場 す る。 政 府 レベ ル に お い て も、. 83年 に は 民 活 を 前 面 に か か げ る よ うに な る。 わ が 国経 済 は 中長 期 的 に民 間 経 済 の活 力 に よ り担 わ れ るべ き と し、 今 後 と り組 む べ き課題 と して 公 共 的事 業 分野 へ の民 活 導 入 方 策 の検 討 を も とめ た 。 財 界 サ イ ドか ら、 民 間 主 導 で 大 規 模 プ ロ ジ ェ ク トを実 施 す る 「 民 間版 ニ ューデ ィール 」 が 提 唱 さ れ て い た が 、 政 府 レベ ル で も正 式 に 検 討 され は じめ た。 この年 に社 団法 人 化 され た 日本 プ ロ ジ ェ ク ト産 業 協 議 会(JAPIC)に い た 。JAPICが. は、 鉄 鋼 業 を は じめ と した 財 界 サ イ ドの 民活 へ の期 待 が 集約 され て. 民 間版 ニ ュー デ ィー ル にむ け た 活 動 を 手 広 く展 開 す る一 方 で 、建 設 省 の 「 規制 の. 緩 和 等 に よる都 市 開 発 の 推進 方 策 」 を は じめ と して 、民 活 推 進 へ の政 策 提 言 が 相 つ い で出 され た 。 臨 調 が83年 に 解 散 して 、 た だ ち に 臨 時 行政 改革 推 進 審 議 会(行 革 審)が 設 立 され てか ら、 行 政 改 革 も総 論 提 起 か ら各 論 実 施 へ と展 開 す る。 そ の重 点 課 題 も歳 出圧 縮 を はか る財 政 再 建 路 線 か ら、 民 活 に よる積 極 的 な 財 政 運 営 に 移 行 して くる。85年 の行 革 審 報 告 「 民 間 活 力 の発 揮 推 進 のた め の 行 政 改 革 の 在 り方 」 は 、 民 活 へ の 国 の ス タ ンス と と もに 、行 政 改革 を新 たな に方 向づ け て い る。.
(8) こ うした 行 政 改革 の重 点 変 化 は 、公 共 投 資 の動 向に も予 算 面 な どか ら 大 き な 影 響 を お よぼ し て い った 。 そ して80年 代 後 半 に な り、 国 際 的 な 政 策 協 調 の も とで経 済 状 況 が 激 変 す る と、 公 共 投 資 も経 済 や 財 政 政策 の表 舞 台 に 再 登 場 して くる。85年9月. の プ ラザ 合 意 を 契機 に 円高 が 急速 に す す み 、 内. 外 か ら経済 の構 造 調 整 が せ ま られ る。 国 際協 調 と産 業 構 造 転 換 を 提 言 した 「前 川 レポ ー ト」 を う け て 、86年 の総 合 経 済 対 策 で は 民 活 が 内 需拡 大 の柱 と され 、 規 制緩 和 に よ る都市 開発 な ど民 活 プ ロ ジ ェ ク トが 国を あげ て 推進 され る。 この年 は 「 民 活 元 年」 とい われ る よ うに 、民 活 政 策 や 公 私 混 合 領域 の活 動 が い ち だ ん と拡 大 し、 法制 度 の整 備 もす す ん だ 。 と くに民 活 法 、正 式 に は民 間 事 業 者 の能 力 の活 用 に よ る特定 施 設 の整 備 の促 進 に関 す る臨 時措 置 法 は 、 の ち の政 策 展 開 に も大 き く作用 した 。 経 済 社会 の基 盤(イ. ンフ ラス トラ ク チ ャ ー)に あ た る特 定 施 設 の整 備 を つ う じて 、. 内 需拡 大 の要 請 に こた え て い く もの で 、財 政 金 融 両面 か らの新 しい政 策 支 援 の枠 組 み と して も注 目 され る。 この 民 活法 が制 定 さ れ て か ら、そ れ に 類似 した手 法 に よ り社 会 資 本 の分 野 か ら民 活 を 推 進 す る法 律 が 相 つ い だ。87年 の リゾー ト法(総 合保 養 地 域 整 備 法)な. どで あ り、 地 域 開 発 の 新. た な展 開 の も とで 、民 活 プ ロジ ェ ク トと して 具 体 化 され て い った 。 民 活 推 進 に む け て 法 制 度 が 整 備 され る一 方 で 、 円高 以 降 の超 金 融 緩 和 の も とで 開発 ラッ シ ュ とな って くる。 超 低 金 利 の資 金 を 活 用 して、 金 融機 関 を は じめ と して各 種 企 業 が こぞ って 開発 事 業 に 参 入 して きた の で あ る。 の ち に バ ブ ル経 済 と名 づ け られ た よ うに、 地 価 と株 価 の急 上 昇 に よる資 産 イ ン フ レが進 行 し、民 活 プ ロ ジ ェク トに 弾 み をつ け た。 バ ブ ル経 済 は資 産 イ ン フ レや 高 度 成 長 期 に 匹 敵す る好 景 気 を もた ら した が 、 地価 高騰 な どか ら 社 会 的 不 公 平 を拡 大 させ 、そ の対 策 が 行 革審 な どで も重 要 な 政 策 課題 と して と りあ げ られ た。 行 政 改革 も民 活政 策 や バ ブル 経 済 の あ と始 末 に お われ て くる。 金 融 政策 も80年 代 末 か ら引締 め に転 じ、土 地 対 策 に も力 が 入 れ られ る と、 バ ブル 自体 が崩 壊 して 景 気 も減 速 過 程 に移 行 す る。 地 価 や 株 価 の下 落 が 、不 動 産 業 や 金 融 機 関 を 直撃 して、 そ れ まで の 資産 イ ンフ レか ら資 産 デ フ レへ と変 転 して きた 。 バ ブル 崩 壊 と不 況 の 進 展 は 、 民 活 政策 や大 規 模 プ ロジ ェク トに も大 きな ダ メ ー ジ を あた え た 。 開 発 主 体 と して の第 三 セ ク タ ーの 経 営 悪化 を もた ら し、 事 業計 画 の縮 小 な い し見 直 しを せ ま って い る。 地方 圏 の リゾ ー ト開発 は い うに お よばす 、 大 都 市 圏 の都 市 改造 も大 き な打 撃 を うけ 、 空 前 の開 発 ブー ム が急 速 に しぼ ん で い った。 「 逆 風 の ウ ォー タ ー フ ロ ン ト開 発」な ど とい わ れ 、東 京 湾 や 大 阪 湾 の 臨海 プ ロ ジ ェ ク トも民 間企 業 が撤 退 して 、 自治体 に負 担 が さ ら に転 嫁 され よ うと して い る。 これ は不 況 と金 融 機 関 の貸 出抑 制 に よ り、 民 間企 業 の投 資 を 制 約 して い る こ とに よ る。 ま た バ ブ ル を あて に して 開発 規 模 が ふ く らみ 、 開 発 リス クが拡 大 した の も大 き く作 用 して い る。 そ して バ ブル 崩 壊 不 況 は 、好 調 に推 移 して きた 財 政 に も暗 い影 を投 げ か け て お り、 民 活 プ ロジ ェ ク トや 自治 体 財 政 も前途 多 難 で あ る。 不 況 対 策 の た め に 、 国債 や 地 方 債 増 発 な どに よ って公 共 投 資 を 大 盤 ぶ る まい す る と、70年 代 後 半 と同 じよ うな 財政 危 機 の再 燃 が 危 惧 され る。 これ か ら1990年 代 の公 共 投 資 と社 会 資 本 を 展 望 して い く うえで 、 こ うした バ ブ ル崩 壊 後 の民 活.
(9) プ ロジ ェク トと と もに 、 日米 構 造 協 議 で 対 米 公 約 され た430兆 円 公 共 投 資 の ゆ くえ も注 目 され る。 日米 構 造 協 議 は80年 代 後 半 か らの 日米 の経 済 摩 擦 の解 消 をめ ざ し、 公 共 投 資 が そ の 「切 り札 」 と され た の で あ る。 公 共 投 資 の 量 的拡 大 と と もに 、生 活 重 視 へ 転 換 で き るか が 焦 点 と な っ て お り、 「生 活 大 国5力 年 計 画」 とい った経 済 計 画や 現 実 の予 算 編 成 の な か で も、 生 活 の 質 の 向 上 が 重 視 され て きた 。60年 代 の社 会資 本 充 実 政 策 か ら30年 が 経 過 して お り、 公 共 投 資 も従 来 の よ うな 経 済 重 視 の発 想 を転 換 させ 、 生活 の視 点 か ら全 面 的 に 見 直 して い くこ とが 求 め られ る。. 2.経. 済 の構 造 転 換 と社 会 資 本. A 社 会 資 本 を と りま く環 境 変 化. 以 上 の よ うに 戦 後 日本 の経 済 発 展 とか か わ らせ て 、1980年 代 ま で の公 共 事 業 や 社 会資 本 を フ ォ ロ ー して み る と、 お お まか に3つ の 時 期 に 区 分 で きる。 まず は 戦 後 の経 済 復 興 の 時 代 で あ り、厳 しい財 政 事 情 の なか で経 済 と生 活 の基礎 的 な条 件 整 備 が す す め られ た 。 現 在 に い た る公 共投 資 の制 度 や 財 政 の骨 格 が つ くられ 、社 会資 本 充実 政 策 の前 段 階 と して位 置 づ け られ る。 つ ぎ に1950年 代 後 半 か ら70年 代 前 半 まで の 社 会資 本 充実 政 策 の 時 期 で あ り、 高成 長 の 財政 シ ス テ ム と して重 要 な役 割 を はた した 。 この 社 会 資 本 充実 政 策 を め ぐ る政 策 評価 論 争 な どを へ て 、 わ が 国 に お い て も社 会 資 本 の 理 論 が 確 立 され て きた。 第3に 長 か ら低 成 長(安 定 成 長)へ. は、 高 度 成. と移 行 して現 在 に い た る時 期 で あ る。 と くに第1次 石 油 シ ョ ッ クを. さ か い に 、産 業 構 造 を は じめ と して経 済 社 会 が 大 き く構 造転 換 す る時期 で あ る。 日本 経 済 の構 造 転 換 とい っ て も、 す で に か な りの年 数 が経 って お り一 括 して は論 じられ な い 。 公 共 投 資 の展 開 過 程 をみ て も、1970年 代 後半 の 量 的拡 大 が財 政 危 機 に拍 車 をか け 、80年 代 前 半 の 緊 縮 財 政=公 共 投 資 の縮 小 再 編 に つ な が る。 フ ィス カル ポ リシ ー と して の公 共 投 資 が 、 財 政 危 機 か ら財 政 再 建 に い た る重 要 な 要 因 とな った の で あ る。80年 代 前 半 の第2臨 調 に よ る行 政 改 革 は 、 直 接 的 に は 国 債 減 額 を め ざす 財 政 再建 か らス タ ー トした が、 長 期 戦 略 と して は 公 私 両 部 門 の 再 編 成 を 企 図 して い た 。 社 会 資 本 の 民 営化 や民 活 政 策 は、 そ の戦 略 の柱 を な して お り、80年 代 後 半 の 内 需 拡 大 路 線 の も とで 本 格 的 に展 開す る。 お りか らのバ ブル 経 済 は 、 全 国 各 地 に 開 発 ラ ッシ ュを もた ら し、 世 は ま さに 「開発 新 時代 」 の様 相 を 呈 して くる。 民 活 型 の 社 会 資 本 整備 は 、経 済 政 策 の な か で重 要 な位 置 を しめ る よ うに な り、 転 換 期 の社 会 資 本 を 象 徴 す る もの で あ る 。 こ うした80 年 代 後 半 の展 開過 程 は 、 日本 経 済 の構 造 転 換 と公 共 投 資 の 関 係 、 さ らに は社 会資 本 の 今 日的 意 義 を と らえ る うえ で 、多 くの素 材 を提 供 して い る。 わ が 国 の公 共 投 資 や 社 会 資 本 は、80年 代 に どの よ うに 変化 して きた か 。 そ の環 境 変 化 に つ い て 、 高 度 成 長 期 と対 比 させ な が ら特 徴 的 な 問 題 を あ げ て い こ う。 まず 第1に 経 済 の グ ローバ ル 化 が 急 速 に す す み 、 わ が 国 の 公 共投 資 は 国際 的 な影 響 を強 く うけ 、 社 会 資 本 も国 際 的 な 性 格 を 帯 び て きた こ とで あ る。 高度 成 長 期 の社 会 資 本 充 実 政 策 は、 所 得 倍 増.
(10) 計 画 とい う成 長 促 進 型 の経 済 計 画 の なか で、 主 と して 国 内 の 経 済 ・財 政 シ ス テ ムか ら位 置 づ け ら れ て きた。70年 代 の公 共 投 資 につ い て も、 国際 的 な要 因 に あ ま り左 右 され な か った が 、 そ れ が80 年 代 の グ ロー バ リゼ ー シ ョ ン と と もに一 変 す る こ とに な る。 公 共 投資 や社 会 資 本 の 国 際化 は 、対 外 的 な影 響 の強 ま りと対 外 的 な経 済 活 動 の拡 大 と い う2つ の側 面 に 大別 で き る。 前 者 か らみ て い く と、わ が 国が輸 出 主 導 で 「 経 済 大 国 」 の地 位 を しめ る過 程 で、 欧 米諸 国 との対 外 的 な経 済 摩 擦 が激 化 し、 そ れ が 公 共 投 資 の動 向 に も直 接 作 用 す る。90年 6月 に 最終 報告 が ま とめ られ た 日米構 造 協 議 は、80年 代 の経 済 摩 擦 の総 決 算 で あ った 。 国際 協 調 で ドル 高 是 正 が は か られ た もの の 、 日米 の貿 易収 支 の 不 均 衡 は な か な か解 消 せ ず 、 日本 へ の風 当 りは強 ま るば か りで あ った 。 そ れ で89年 か ら 「 構 造 的 な 貿 易 障 壁 」 に 関す る 日米 調 整 の ため の協 議 が開 始 され 、公 共投 資 は 日本 の 黒字 削減 の 切 り札 と され 、 今 後10年 間 で430兆 円 に の ぼ る投 資 が 公約 され た の で あ る 。 ア メ リカか らの厳 しい監 視 の も とで 、430兆 円公 共 投 資 が 毎 年 の 予 算 で 具 体化 され て い くこ とに な る。 こ う した 構 造 協 議 問 題 と も密 接 に か か わ って 、 日米 建 設 協 議 もわ が 国 の公 共 事 業 に直 接 的 な影 響 を もた ら して くる。88年 に 日本 建設 市 場 の 開放 に関 す る合 意 が 政 府 間協 議 で成 立 してか ら、 米 国 企業 の公 共 事 業 分 野 へ の 参 入 が 本 格 化 して きた。 関 西 新 空 港 や 東 京 湾 横 断道 路 建 設 な どで あ り、 参 入 分野 はそ の 後 も拡 大 傾 向に あ る。 国 際 化 の荒 波 は、 入 札 ・契 約 制 度 や建 設 業 界 と い っ た公 共 事 業 の実 施 過 程 を 大 き く揺 り動 か して い る。 国 際化 の も うひ とつ の 側 面 は 、 対 外 的 な 投 資 ・建 設 活 動 の 拡 大 で あ り、 これ は 日本 企 業 の グ ローバ ル化 、 多 国 籍 企 業 化 の社 会 資 本 分 野 へ の反 映 で あ る。 海 外 建 設 投資 が積 極 的 にす す め られ 、 そ の受 け皿 と して 政 府 開 発 援 助(ODA)が. 急 増 す る。ODAこ. そ は 社 会 資 本 の 国際 展 開 を支 え る財. 政 活 動 で あ り、 資 本 蓄 積 の対 外 的 な戦 略 手 段 と して 、 グ ロー バ ル 時 代 を 象徴 す る社 会 資 本 問題 と して注 目 され る。 地 球 環 境 問題 が 国 内外 で ク ロ ーズ ア ップ さ れ 、 そ の 保 全 を め ぐる 国 際協 調 が重 要 な課 題 に な り、 国 内だ け で な くグ ローバ ル な 投 資 ・建 設 活 動 、 国 際 的 な社 会資 本 充 実 政 策 の あ り方 が 問 わ れ て き て い る。 社 会 資 本 を と りま く第2の 環 境 変 化 は、 情 報 化 ・ハ イ テ ク化 ・サ ー ビス 化 とい った産 業構 造 の 転換 で あ る。産 業 構 造 転 換 は73年 の石 油 シ ョ ックを契 機 とす るが 、80年 代 の経 済 の グ ロ ーバ ル 化 に よ り加速 され て きた 。 周知 の よ うに、 高 度 成 長 期 に は い わ ゆ る 「重 厚 長 大」 型 産 業 が 高成 長 の 牽 引車 とな り、社 会 資 本需 要 も臨海 型 の産 業 基 盤 な どに 集 中 した 。 成 長 財 政 シス テ ム と して の 社 会 資本 充 実 政策 も、 当 初 か ら産 業 基 盤 が最 優 先 され 、地 域 開 発 な どを つ う じて 整備 され て い った 。 社 会資 本 に た いす る需 要 は 、量 と質 の両 面 で産 業 構 造 の 性 格 に 大 き く規 定 され る。 また 社 会 資 本 の供給 面 に お い て も、資 本 の投 資 ・蓄 積 戦 略 な どと直 接 な い し間 接 的 に か か わ る。 まず 需 要 面 か らみ て い くと、情 報化 ・ハ イ テ ク化 に よ って 「軽 薄 短 小 」 型 の 産 業 が ウエ イ トを 高 め る なか で 、情 報 イ ン フ ラス トラ クチ ャー とか 研 究 開 発 関 連 の社 会 資 本 が 重 要 に な って きた 。 道 路 とか港 湾 な ど従 来 か らの産 業 基盤 に くわ え て、 新 しい 基 盤 整 備 が産 業 界 や 地 域 か ら求 め られ る。 そ れ は大 規 模 の ハ ー ドな 基 盤 だ け で は な く、 情 報 や 技 術 、 人 材 とい った ソフ トな 要 素 が 不 可.
(11) 欠 と な っ て い る。 テ クノ ポ リス型 の地 域 開発 に み られ る よ うに 、 ソ フ トな社 会 資 本 整 備 と と もに 、 ア メ ニ テ ィの充 実 な ど地 域 づ く り との 関連 が 重 視 され て きて い る。 そ して 国 際化 や サ ー ビス化 の 進 展 に と も な っ て 、都 市 再 開 発 や 都 市 改 造 関 連 の 需 要 が 内外 か ら強 ま って くる。 供 給 面 で も大 き な環 境 変 化 が み られ 、 「重厚 長 大 」 型 産 業 を 中心 に設 備 投 資 が 停 滞 して くる と、 そ の 余 裕 資 金 が 社 会 資 本 分 野 で 積 極 的 に 活 用 され る。 そ れ は資 金 面 に と どま らず 、都 市 開 発 や リ ゾ ー ト開 発 な どに 直 接 参 入 して 、 官 民 一 体 とな って 大規 模 プ ロ ジ ェ ク トが実 施 され は じめ る。80 年 代 の 社 会 資 本 整 備 を 特 色 づ け る民 活 プ ロジ ェ ク トの展 開 で あ る。 こ う した社 会 資 本 分 野 へ の民 間 資 本 の 参 入 は 、 と りわ け80年 代 後 半 の 超 金融 緩 和政 策 に よる バ ブ ル膨 脹 の過 程 で本 格 化 す る。 エ クイ テ ィ ・フ ァ イ ナ ン スな どに よ る超 低 金利 の資 金 を活 用 して 、金 融 ・不 動 産 業 を は じめ 多 様 な 産 業 が 民 活 プ ロ ジ ェク トに 参 入 して くる。(13)実際 の 投 資 活 動 に と って 、財 政 と ともに 金 融 要 因 が は た した 役 割 も大 きな もの が あ る。 こ うして産 業 構 造 転 換 とバ ブ ル経 済 の展 開 に ともな って 、 民 間 企 業 の 投 資 な い し蓄 積 戦 略 も新 た な 展 開 を み せ て きた の で あ り、 社 会 資 本 整 備 の需 要 ・供 給 構 造 に 直 接 な い し間 接 的 に作 用 して い った。 第3の 環 境変 化 と して 、 国 土 ・地 域 構 造 が あ げ られ よ う。 経 済 の グ ローバ ル 化 や 産 業 構 造 転 換 に と もな い 、 わ が 国 の国 土 ・地 域 構 造 も80年 代 に 大 き く変 容 を とげた 。 そ れ を 象 徴 す るの が 東 京 一 極 集 中 で あ り、 地 域 間 ア ンバ ラ ンス の 急激 な拡 大 で あ る。 東 京 は世 界 の金 融 ・情 報 セ ン タ ーの 一 角 を しめ る よ うに な り、 国 内外 か ら大 企 業 が ます ます 集 中 集積 して オ フ ィス需 要 を 急 増 させ 、 社 会資 本 の な か で も企 業 活 動 に 関 連 した 「 昼 間型 」需 要 が 膨 脹 した 。 「 世 界 都 市 」東 京 の 基 盤 整 備 を は か るた め に 、 大 規 模 な 都 市 改 造 が 広 域 的 な ス ケー ル で実 施 され 、 そ れ が また 一 極 集 中 に 拍 車 を か け て きた の で あ る。 この 東 京 一 極 集 中 を ど う是 正 す るか は 、80年 代 後 半 以 降 の 国土 な い し地 域 レベ ル に おけ る重 要 な 政 策 課 題 とな る。 第4次 全 国 総 合 開 発 計 画(4全. 総)が 策 定 され てか ら、 多 極 分 散 型 の 国 土 形. 成 が 提 唱 され 、 お りか ら の民 活 ブ ー ム も あ って 国 土全 体 に 開発 ラ ッシ ュが 巻 き起 こる。 大 阪 や 名 古 屋 な どの 大 都 市 圏 に お いて は 、 一 極 集 中 に 対 抗 して大 規 模 な都 市 改 造 をお しす す め る。 と くに 大 阪 圏 は 「スバ ル プ ラ ン」 な どを か か げ て 、 関 西新 空港 を起 爆 剤 と して ウ ォー タ ー フ ロン ト開 発 を 実 施 して い った 。 全 体 と して 都 市 間 競 争 が 活 発 に展 開 され る よ うに な り、 都 市 再 開 発 や ウ ォー タ ー フ ロ ン ト開 発 な ど大 規 模 な 民 活 プ ロ ジ ェ ク トが そ の戦 略 手 段 と され た の で あ る。 地 方 圏 に お い て も同 様 に 、 地 域 活 性 化 が 重 要 な課 題 とな り、産 業 振 興 や リ ゾー ト開 発 な どが 全 国 的 に 展 開 され る。 民 活 法 や リゾ ー ト法 、 多極 分散 型 国 土形 成 促 進 法 な ど法 制 度 面 も整 備 され 、 規 制 緩 和 と財 政 金 融 面 か らの 手 厚 い 支 援 策 に よ り、 民活 型 の社 会 資 本 整 備 が す す め られ た 。 地 方 圏 の 地 域 活 性 化 と い って も、 地 方 中 核 都 市 とそ の 周 辺 が 中心 で あ り、新 過 疎 時 代 といわ れ る よ う に 自然 減 社 会 が 到 来 して い る過 疎 地 域 な ど との 格 差拡 大 が 目立 って きた。 国 の地 域 政 策 も拠 点 開 発 へ の 志 向を 強 め てお り、 公 共 投 資 の 地 域 間 配 分 の動 向 が注 目 され て い る。 社 会 資 本 を と りま く第4の 環 境 変 化 と して 、財 政金 融 の構 造 転 換 と国際 的 な政 策 協 調 の も とで の 経 済 や 財 政 の 政 策 展 開 が あげ られ る。80年 代 前 半 は財 政 危 機 の 時代 で あ り、公 共 投 資 も財 政 面.
(12) か ら大 き く制 約 され て縮 小 を つ づ け る。 国債 減 額 をめ ざす 財 政 再 建 の な か で 、 公 共 投 資 は 歳 出 カッ トの切 り札 とされ た 。 地 方 公 共 投 資 の ウ エ イ トが 高 ま る と ともに 、 財 政 投 融 資 や 民 間 資 金 な どが積 極 的 に活 用 され 、 財 政 金 融 が一 体 化 して機 能 す る よ うに な り、 公 共 投 資 の供 給 シ ステ ムを 様 変 わ りさせ る。80年 代 後 半 か らの 内需 拡 大 を め ざす 民 活 政 策 は、 そ れ を 経 済 政 策 と して 強 力 に 推 進 す る も の で あ る。 また バ ブ ル経 済 下 の好 景 気 は、 財 政 と金 融 の両 面 か ら民 活 政 策 を 支 援 して い くこ とに な る。 こ う して80年 代 の前 半 と後 半 とで は 、財 政 金 融 の構 造 と政 策 が 対 照 的 に な って お り、 転 換 期 の社 会 資 本 を 分 析 して い く うえで 注 目 して いか な くては な らな い 。 以上 の よ うに転 換 期 の社 会 資 本 は、 主 に4つ. の側 面 で環 境 変 化 を とげ 、 需 給 構 造 に 作 用 して. い っ た。 これ ら4つ の環 境 変 化 は 、そ れ ぞ れ が 相 互 に 関 連 しあ って お り、80年 代 後 半 の 公 共 投 資 や 社 会 資 本 を左 右 す る。 そ れ は ま た、 転 換 期 の社 会 資 本 を実 証 的 に 分 析 して い く うえ で の重 要 な 視 点 で も あ る。. B 若 干 の統 計 的 検 証. わ が 国 の公 共 投 資 と社 会 資 本 は 、構 造 転 換 が す す ん だ80年 代 後 半 に どの よ うに推 移 し、変 貌 し て き た か を各 種 の統 計 か ら フ ォ ロー して い こ う。 図2-1は70年 (Ig)の. 代 後 半 以 降 の公 共 投 資 の推 移 に つ い て 、 行 政 投 資 実 績(14)と公 的 固 定 資 本 形 成. 実 額 か ら しめ した も の で あ る。89年 度 の 行 政 投 資 は33.8兆 円 、Igは26.5兆. 円 とな っ. て い る。 両者 は ほ ぼ 同 じ投 資 対 象 を集 計 した もの で あ るが 、 行 政 投資 の ほ うが用 地 補 償 費 を ふ く ん で お り、投 資 額 もそ れ だ け 大 き い。70年 代 前 半 まで はIgの 後 の地 価 上 昇 な どに よ り逆 転 して 、最 近 で は 行 政 投 資 が7兆. ほ うが む しろ 大 きか った が 、 そ の 円ほ ど上 回 って い る。 こ う した違 い. が あ る とは い え 、両 者 とも70年 代 後 半 に 急 激 な 伸 び を 示 し、80年 代 初頭 に ピー クに達 してか ら急 カ ー ブ で落 ち込 ん で い る。 公 共 投 資 の急 増 が 財 政 危 機 に 拍 車 を か け 、 そ れ が財 政 再 建 に よる公 共 投 資 の圧 縮 に結 果 した ことが 、 統 計 的 に も 明確 に あ らわ れ て い る。 公 共 投 資 は85年 を底 に して、80年 代 後 半 に は か な り拡 大 して きて い る。 そ の上 昇 カ ー ブ は 、70 年 代 後 半 に匹 敵 す る ほ どで あ る。 日本 経 済 の 構 造 転 換 や 財 政 状 況 な どを反 映 して 、公 共 投 資 は前 半 の抑 制 か ら後 半 の拡 大 基 調 へ と様 変 わ りして きた 。 転 換 期 の 社 会資 本 分析 に とっ て も、80年 代 後 半 の投 資 拡 大 の評 価 が ひ とつ の ポ イ ン トに な って くる。 公 共 投 資 と国民 経 済 との関 係 につ いて 、IgのGNP比 との平 均 値(実 質 値 べ 一 ス)で み る と、60年 代 は8%程 昇 して き て い る。Igの. 率 か らみ て お く。1950年 代 以 降 の5年 ご 度 で あ った の が 、70年 代 に は10%ま. で上. 伸 び は60年 代 の ほ うが2倍 以 上 も高 か った が 、石 油 シ ョ ック を契 機 に民. 間 設 備 投 資 が低 迷 す る なか で 、 公 共 投 資 が 積 極 的 に 活 用 され 、 国 民経 済 に しめ る地 位 を高 め た 。 これ を名 目ベ ー ス でみ て も、 行 政 投資 を ふ くめ て70年 代 後 半 、 と くに78年 のGNP比 な っ て い る。80年 代 の 前半 に は 、Igの のほ うは8.4%と60年. 伸 び は 期 間平 均 で もマ イ ナ ス2%と. 率 が最 も高 く. な った が 、GNP比. 率. 代前 半 と同 じ水 準 で あ る。(15)財政 再 建 の も とで 、 公 共投 資 が大 幅 に 圧 縮 さ.
(13) れ た に もか か わ らず 、 高 度成 長 期 な み の ウエ イ トな の は注 目され る。. つ ぎ に表2-1に. よ り、 目的 別 に 集 計 した 行 政 投資 の長 期 的推 移 か ら、 公 共 投 資 を 内容 や 機 能. 面 で 特 色 づ け て い こ う。1960年 か ら5年 な い し10年 単 位 に行 政 投 資 の 構 成 比 を ま とめ て み る と、 高 度 成 長 期 か ら現 在 まで の 投 資 の 重 点 が よ くわ か る。 ま た90年 度 の 実 績 に よ り、 最新 の投 資 動 向 を み る こ とが で き る。60年 代 に は産 業 基 盤 が全 体 の45%を. しめ 、 生 活 基 盤 を10ポ イ ン ト以上 も上. 回 って い た 。 と くに道 路 は投 資 全 体 の4分 の1以 上 に のぼ り、 文 教 施 設 を の ぞ く生活 基 盤 全 体 よ りも大 きか った 。道 路 は つ ね に最 大 の投 資 額 をつ づ け 、 急 激 な モ ー タ リゼ ー シ ョ ン と 自動 車 産 業 の急 成 長 を 公 共投 資 の側 面 か ら物 語 っ て いた 。89年 度 の 道 路 投資 は26.8%の. 構 成 比 で あ り、60年. 代 後 半 の 水 準 ま で上 昇 して き て お り、 「開発 新 時 代 」の実 態 を 投 資 面 か ら しめ す 。高 度 成 長 期 に は 臨海 コ ン ビナ ー ト関連 の港 湾 や 埋 立 用 地 造 成 、 工 業 用 水 道 な ど もか な りの投 資 規 模 で あ った 。 生 活 基 盤 の ほ うは60年 代 後 半 か ら70年 代 前 半 に め ざ ま し く伸 び 、産 業 基 盤 と肩 を な らべ る よ う に な る。 そ れ 以 降 は伸 び が 目立 た な くな り、 行 政 投資 に しめ る ウエ イ トも あ ま り変 化 して い な い。 財 政 制 約 下 で民 営 化 や 民 活 が ク ロ ーズ アッ プ され て か らは 、産 業 基 盤 よ りも生 活 基 盤 投資 が む し ろ停 滞 気 味 な のが 注 目 され る。 この 点 は80年 代 公共 投 資 の評 価 に と っ て重 要 な 論 点 で あ る。 そ れ と生 活 基 盤 の な か で も、 下 水 道 と都市 計 画 とが急 上 昇 して お り、 他 の 投 資 との 格差 を拡 大 して き て い る。 下 水 道 や 都 市 計 画 な どは 、 生活 な い し都 市 基 盤 たけ で な く、 産 業 基 盤 と して の性 格 も強 く、 産 業 構 造 転 換 や企 業 活 動 の動 向 と関連 づ け て とら え てい く必 要 が あ る。.
(14) 表2-1行. 政 投資 の推 移 単位:%. 1960∼64. 道 路 港 湾 空 港 その他交通手段 埋立 用地 造成 工 業 用 水 道 農 林 水 産 産業基盤(計) 都 市 計 画 住 宅 宅 地 造 成 環 境 衛 生 上 水 道 下 水 道 厚 生 福 祉 文 教 施 設 生活基盤(計) 治 山治水 他 官庁 営繕 他 合 計. 1960年 代. 1965∼69. 1970∼74. 1970年 代. 1975∼79. 1980∼84. 1980年 代. 1985∼89. 24.5 3.0 0.3 1.4 3.5 1.4 8.6 43.7. 26.9 2.8 0.2 2.7 2.6 0.9 9.2 45.8. 26.1 2.8 0.2 2.3 2.8 1.0 9.1 45.2. 24.4 2.4 0.6 1.9 1.6 0.6 8.7 40.4. 18.6 1.8 0.4 7.2 0.6 0.4 9.4 38.5. 20.4 2.0 0.5 5.5 0.9 0.5 9.2 39.1. 20.2 1.7 0.5 5.8 0.4 0.3 10.0 39.0. 25.8 2.0 0.7 2.9 0.1 0.3 10.1 42.0. 23.1 1.9 0.6 4.3 0.3 0.3 10.0 40.6. 2.1 5.9 1.1 1.2 5.1 2.2 2.4 10.6 31.0. 2.3 8.5 2.4 1.4 4.9 3.2 2.7 9.2 35.2. 2.2 7.7 2.0 1.4 4.9 2.9 2.6 9.7 33.9. 2.7 8.5 3.1 2.1 5.0 4.8 3.3 10.8 40.7. 2.5 6.9 1.9 2.1 4.5 5.6 3.0 10.6 37.5. 2.5 7.4 2.3 2.1 4.7 5.4 3.1 10.7 38.5. 3.0 6.1 1.7 2.0 3.9 6.8 3.1 10.9 37.8. 4.7 5.3 2.3 2.0 4.1 8.1 3.1 8.9 38.9. 3.9 5.7 2.0 2.0 4.0 7.5 3.1 9.8 38.3. 19.3. 14.1. 15.7. 10.8. 10.8. 10.8. 11.4. 12.0. 11.7. 6.1. 4.9. 5.3. 8.0. 13.2. 11.6. 11.8. 7.1. 9.3. 100.0. 100.0. 100.0. 100.0. 100.0. 100.0. 100.0. 100.0. 100.0. 注)(1)産 業基盤(計)・ 生活基盤(計)に はその他を含む。 (2)自 治省 「 都道府県別行政投資実績調査」より作成。. 公 共 投 資 の実 際 の機 能 と ともに 、 そ の 主 体 や 財 源 も重 要 で あ る。構 造 転 換 がす す ん だ80年 代 後 半に は、 公 共 投 資 の 主体 や財 源 に おい て 急 激 な 変 化 が み られ た 。表2-2に. は行 政 投 資 の事 業 主. 体 と経 費 負担 別 の長 期 的推 移 が ま とめ て あ る。89年 度 の事 業 主 体 別 は 国21.6%、 市町 村44.2%で. あ り、経 費 負 担 別 で国 費32.1%、. 都道 府 県 費30.0%、. 都 道 府 県34.2%、. 市 町村 費37.9%と. なってい. る。 事 業 主体 と経 費 負担 と も、 国 の ウ エ イ トが 低 下す る一 方 で 、 地方 自治 体 が上 昇 して きて い る の が 目立 つ 。電 電 公社 や 国鉄 な どを のぞ いて 集 計 して み る と、 事 業 主体 で はそ れ ほ どの変 化 で は な くな る が 、経 費 負 担別 で は 国か ら地 方 へ 大 き くシ フ トして きて い るの がわ か る。 民 営 化 や 補 助 金 カ ッ ト、 さ らに は 地方 単独 事 業 の増 加 な どに よ る もの とい え る。 高度 成 長 期 以上 に地 方 自治 体 に 負担 を 転嫁 しな が ら、 公共 投 資 が80年 代 後 半 か ら拡 大 され て きた わ け で あ り、 地 方 債 の急 増 な ど地 方 財 政 へ の 影 響 が 懸念 され る。. 表2-2事. 業主 体 ・経 費負 担 別 行 政 投 資 の推 移 単位:%. 1960. 1965. 1970. 24.6. 21.3. 事 業. 国. 19.6. 主. 都道府 県. 42.5. 39.6. 39.2. 体 別. 市. 町 村. 37.9. 35.7. 39.5. 経. 国. 費. 41.2. 費 負 担 別. 1975 33.8. (23.1) 29.2 (33.9) 37.1. (43.0) 42.7. 36.5. 都道府県費. 28.8. 28.5. 30.4. 市町村 費. 30.0. 28.8. 33.1. 49.3. (41.1) 21.5 (24.9) 29.2. (33.9). 注)(1)()は 電電 公 社 、 国鉄 等 の投 資 額 を除 外 した 数 値 で あ る。 (2)「 都 道 府 県別 行 政投 資 実 績 」 各 年 版 よ り作 成 。. 1980. 1985. 1989. 30.4. 23.7. 21.6. (24.0) 28.8 (31.6). (23.0) 32.8 (33.2). 34.2. 40.7. 43.4. 44.2. (44.4). (43.9). 49.3. (44.6) 20.4 (22.3) 30.4. (33.2). 41.0. (40.5) 24.8 (25.1) 34.1. (34.5). 32.1 30.0 37.9.
(15) こ う した主 体 や 財 源 面 に お け る変 化 は、 表2-3の. よ うにIgの. 会 計 別推 移 に も明確 に あ らわ. れ て い る。80年 代 に は 中央 が公 的企 業 を 中 心 に10ポ イ ン ト以 上 も低 下 して お り、 それ と対 照 的 に 地 方 が 普 通 会 計 で大 き く ウエ イ トを上 昇 させ て い る。 これ は 電 電 公社 と国鉄 とい う公 企 業 の民 営 化 と、 地 方 公 共 投 資 の増 大 に よる も ので あ り、80年 代 公 共投 資 の 変 化 を 実 施主 体 か ら しめ して い る。 また 中央 ・地 方 とも非 企 業 特 別 会 計 が ウエ イ トを 高 め て きて お り、 民活 政 策 に と もな う実 施 主 体 の多 様 化 を 反 映す る もの とい え よ う。. 表2-3 Igの. 会計別推移 単位:億. 1980. 金額 中. 央. 一 般 政 府 一 般. 会. 計. 非企業特別会計 事業 団 公 的 事 業 地 方 一 般 政 府 普. 通. 会. 計. (非企業特別会計 公 的 企 業 社 会 保 障 基 金 総 固 定 資 本 形 成(計) 注)大. 80,294 23,797 5,161. 17,182 1,454 56,496. 153,447 132,866 114,080. 18,787 20,581 511 234,252. 1985. % 34.3 10.2 2.2 7.3 0.6 24.1 65.5 56.7 48.7 8.0 8.8 0.2 100.0. 円,%. 1989. 金額. %. 金額. %. 59,835 25,346. 2,957 34,489. 27.9 11.8 1.9 8.5 1.4 16.1. 62,676 31,961 3,539 24,683 3,739 30,764. 23.6 12.0 1.3 9.3 1.4. 153,845. 71.8. 201,882. 134,318 114,674 19,645. 62.7 53.5 9.2. 176,920 148,706 28,215. 4,116 18,273. 19,527. 9.1. 24,961. 683 214,363. 0.3 100.0. 768 265,375. 11.6 76.1 66.7 56.0 10.6 9.4 0.3 100.0. 蔵省編 「 財政統計」各年版 よ り作成。. 公 共 投 資 を 地 域 別 に 検 証 して も、80年 の構 造変 化 が 明 らか に な る(図2-2)。. 行政投資を大都. 市 圏 と地 方 圏 とに 区 分 す る と、70年 代半 ば か ら地 方 圏 の ウエ イ トが一 定 高 ま り、 地 方 分 散 しは じ め て きた の が わ か る。 そ れ が80年 代後 半 に な る と、大 都 市 圏 へ 再 集 中 す る よ うに な って きた 。89 年 の構 成 比 は 大 都 市 圏 が56.8%を. しめ て お り、70年 代 前 半 ま で と大 差 な くな る。 大 都 市 圏 の な か. で も、 関 東 臨 海 の ウエ イ トが24.3%ま. で 上昇 して 高水 準 とな って い る。 異 常 な 地 価 高 騰 もあ って 、. 東 京 都 の 行 政 投資 の伸 び が87、88年 と2年 連 続 で全 国最 高 で あ った の も、 東 京 一 極 集 中 を実 際 の 投 資面 か ら物 語 る。80年 代 公 共 投資 の地 域 的 な展 開 は 、民 活 政 策 な どを 投 資 面 か ら評 価 して い く うえ で重 要 な 問題 を 提 示 して い る。.
(16) 以上 の よ うに 公 共投 資 と社 会 資 本 整 備 は 、80年 代 後 半 に 日本 経 済 が 構 造転 換 を とげ る と と も に、 主 体や 財 源 、 地域 な どい くつ か の側 面 で大 き く変 貌 して きて い るの が 、 若干 の統 計 か ら も 明 らか に で き た。 そ れ は転 換 期 の社 会 資 本 の理 論 、 そ の今 日的 意義 を さ ぐ って い く うえで も、 無 視 で き な い変 化 とい え る。. 3.社. 会 資 本 の理 論 展 開. A.現. 代 資本 主 義 と社 会 資 本. 道 路 ・港 湾 とい った 経 済 活 動 の 基 盤 、 あ る い は住 宅 ・上 水 道 な ど生 活 の基 盤 を なす 社 会 資 本 は、 な に も現代 資 本 主 義 に 限 られ る もの で な い 。 そ れ は資 本 主 義 の か な り以 前 か ら存 在 し、 共 同社 会 を支 え て い く うえ で 重 要 な 位 置 を しめ て きた。 『道 の文 化 史 』の著 者 シ ュ ライ バ ー も次 の よ うに い う。「 道 は 人 間 の も っ ともす ば ら しい 創 造 の 1つ で あ る。 道 は 数 千 年 間 を通 じて 人 間 と と もに発 展 し、 人 間 を助 け て そ の生 活 の 領 域 を 征 服 し、 拡 大 し、他 の民 族 の 生 活 領域 と連絡 す る役 割 を果 た した 。 あ らゆ る道 路 の線 は 、 土 地 と人 間 との あ い だ を 目に見 え るか た ち で結 び 、人 間 の移 動 に役 立 つ 土地 形 態 を か た ち造 った 。 そ れ は む か し か ら何 度 も繰 り返 して お こな われ て き た。(16)古 代 ロー マの 道 路 は 、古 代 帝 国 統 一 の 手段 と して 機 能 した。 社 会 資 本 は イ ンフ ラ ス トラ ク ャー(社 会基 盤)な. ど と も よばれ 、 共 同社 会 の一 般 的条. 件 と して経 済 や 生 活 を 支 え て き た の で あ る。 そ れ が 国家 活 動 の重 要 な柱 と して 、財 政 面 か ら計 画 的 に整 備 され は じめ た の は資 本 主 義 に 入 って か らで あ り、 そ れ も現 代 資 本 主 義 の段 階 か ら とい え よ う。 現代 資 本 主義 は ど こを起 点 に して い るか 、 そ の メル ク マ ール は な に か 。 これ に は種 々 の見 解 が あ るが、 た と えば 宮 本 憲一 氏 は 『現 代資 本 主 義 と国家 』 の なか で次 の よ うに述 べ て い る。(17)現代 資 本 主 義 は 、 国家 が経 済 の再 生 産 過程 に 介 入 し、生 産 ・流 通 ・消 費 ・廃 棄 の全 局 面 に 関 与 し、 地 域(都 市 と農村)の 管 理 を お こな うよ うに な った段 階 の 資 本 主 義 を さす 。現 代 資 本 主 義 は そ の 萌 芽 を第1次 大戦 時 の戦 時 国 家 独 占主義 に も とめ うるが 、1929年 以 降 の 大 恐 慌 時 に お け る ニ ュ ー デ ィール とフ ァシズ ムの 体制 の 中 で形 成 され 、第2次 大 戦後 、 ドル通 貨 を基 軸 とす るIMF体 制 に よって 国 際 的に 成 立 した 。 そ の制 度 的 画 期 を なす のは 、 管理 通 貨 体 制 へ の移 行 で あ り、核 心 的 な 制 度 と もい うべ き社 会保 障制 度(完 全 雇 用 と最 低 生 活保 障 を 目的 とす る 国家 財 政制 度)の 確 立 で あ る。 現代 資 本 主義 の確 立 は 、前 者 を とれ ば1930年 代 に な る が、 後 者 が 全 資 本 主義 国 で確 立 す る の は 第2次 大 戦後 の こ とで あ る。 社会 資 本 は 現代 資 本 主 義 の も とで、 生 産 と生 活 の社 会 化 が す す む 過 程 で 、 国 や地 方 自治 体 に よ り本格 的に 整備 され る よ うにな った 。 現 代 資 本 主 義 の段 階 に 入 って 、 公 共 部 門 の活 動 の貨 幣 的 表 現 で あ る財 政 に は、 い くつ か の 新 しい傾 向 が あ らわれ て きた 。 国 民 経 済 に しめ る財 政 の ウエ イ ト は 高 ま り、 フ ィス カル ポ リシ ー とい わ れ る よ うに財 政 が 政 策 化 して 、 金 融 との一 体 化 を 強 め て き.
(17) た。 公 信 用 の 領 域 が 発 展 して 、 「借 り手」 と 「 貸 し手 」 と して の 政 府 活 動 が 前 面 に で て くる 。そ し て財 政 の 中央 集 権 化 が強 ま り、 財 政 調 整 制 度 な ど政 府 間 関 係 も緊 密 さを増 して い った。 これ らの 現 代 資 本 主 義 財 政 の展 開 に お い て 、公 共 部 門 の 諸 活 動 の な か で も社会 資 本 が演 じた役 割 は と りわ け大 き い。 現 代 資 本 主 義 の生 成 ・発 展 過 程 に お い て 、 公 共 事 業 や 社 会資 本 が重 要 な位 置 を しめ て い た両 大 戦 間 ア メ リカ を例 に して、 当 時 の状 況 を 概 観 して み よ う。 『公 共 事 業 計 画化 の経 済 学 』 の著 者 ク ラ ー クは 、 当 時 の ア メ リカの主 要 な公 共事 業 を次 の3つ に 区分 して い る。(18)第1は 救 貧 事 業 な い し失 業 救 済 事 業 で あ り、イ ギ リス救 貧 法 以来 の長 い伝 統 を もち、 い ろ い ろ失 敗 の経 験 も繰 り返 して きた 。 第2は 景 気循 環 の救 治 策 、景 気 対 策 と して の 公 共 事 業 で あ り、 ア メ リカで は1921年 の 失 業 に 関 す る大統 領会 議 か ら採 用 され 、 大 恐 慌 以降 に 本 格 的 に実 施 され る よ うに な った 。 第3に は 都 市 計 画 、地 域計 画 の た め の公 共 事 業 で あ り、 ア メ リカ の公 共 事 業 計 画 化 に おい て 最 も効 果 的 に 活 動 され て い る 分野 で あ る。 シ カ ゴ計 画 や ニ ュ ー ヨー ク 地 域 計 画 が 代 表 的 で あ り、 景 観 や 物 的 改 善 な どに 大 きな成 果 が あ っ た。 これ ら3つ の分 野 が 、 現 段 階 の 公 共 事 業 計 画 化 の 背 景 を な す もの とい え る 。本 来 は相 互 に 関連 づ け られ るべ き もの で あ る が 、 各 々が 矛 盾 しあ った りす るな ど、 これ か ら克服 す べ き課 題 も多 い。 ク ラ ー クが 計 画 化 に 焦 点 を あ て て 指 摘 す る よ うに 、 両大 戦 間 ア メ リカ の公 共 事 業 は 先 の3つ. の. 分 野 を 中 心 に して 、 現 代 資 本 主 義 の 展 開過 程 と深 くか かわ っ て推 移 して きた 。 そ れ は1929年 の大 恐 慌 を 前 後 して 問 題 状 況 が 急 変 す る。20年 代 は産 業 構 造 転 換 に ともな い 、 モ ー タ リゼ ー シ ョン と 都 市 化 が 急 速 に す す み 、 道 路 や 都 市 基 盤 関 係 の 社 会 資 本 に 対 す る需 要 を 膨 脹 さ せ て い っ た 。 ニ ュ ー ヨ ー ク市 は20年 代 に500万 人 以上 の人 口を か か え る大 都 市 とな り、 人 口増 大 に と も な い 広 域 化 して い った 。 地 下 鉄建 設 が 活 発 にす す め られ る が 、交 通 混 雑 はな か な か 解 消 せ ず 、20年 代 後 半 に お い て も新 た に100マ イル の路 線 の延 長 が 必 要 と され た 。 これ は20∼28年 の2倍. に お よぶ 支. 出 を 要 し、 市 の 財 政 負 担 は 巨額 に の ぼ った。 そ の ため 都 市 公 共 事 業 の 長 期 計 画 の 作 成 を 提 唱 した ボ ル マ ン報 告 書(19)や、 「ニ ュ ー ヨー ク とそ の 周辺 地 域 計 画」(20)などが 民 間 サ イ ドの 計 画機 関 を 中 心 に して 策 定 され た 。 1920年 代 は 主 と して都 市 計 画 の 分野 に お い て、 公 共 事 業 や 社 会 資 本 整 備 が ク ロ ーズ アッ プ され た が 、30年 代 に は 大恐 慌 後 の 失業 対 策 、景 気 対 策 の柱 と して活 用 され る よ うに な る。 そ の 典 型 は ニ ュー デ ィル政 策 の も とで の大 規 模 な公 共 事 業 で あ り、 ケ イ ンズ 的 な 有 効 需 要 創 出 の 手段 と して 積 極 的 に 活 用 され た。 公共 事 業 庁(PWA)な. どの計 画 ・実 施 機 関 も設 置 され 、財 源 や 制度 面 で も. 連邦 と地 方 とが緊 密 に連 携 す る よ うに な り、 公 共 事 業 計 画 化 も い わ ば 国 家 レベ ル で 推 進 さ れ て い った。(21)TVAの. よ うに 、 国 土 開発 や地 域 開発 の戦 略 手 段 と して 公 共 事 業 が 実 施 され る よ うに. な る。 景 気 対策 と して の公 共 事 業 の有 効 性 に議 論 が あ る とは い え 、30年 代 ア メ リカの経 験 は 、 戦 後 の ア メ リカ は い うま で もな く、わ が 国 の社 会 資 本 充 実 政 策 に も きわ め て 大 きな影 響 を もた ら し た。(22)その意 味 で は、両 大 戦 間 ア メ リカ の公 共 事 業 が 現 代 資 本 主 義 の 財 政 活 動 、政 策 展 開 に は た した役 割 に注 目 して い く必 要 が あ る。 こ う して1930年 代 に確 立 した フ ィス カル ポ リシ ー と して の 公 共 事 業 は 、 第2次 大 戦後 に は 先 進.
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将来の需要や電源構成 等を踏まえ、設備計画を 見直すとともに仕様の 見直し等を通じて投資の 削減を実施.
2007 年スタートの第 1 次 PAC インフラ整備計画では、運輸・交通インフラ、エネルギーインフ ラ、社会・都市インフラの3分野へのプロジェクト投資として 2007 ~
日本における社会的インパクト投資市場規模は、約718億円と推計された。2016年度の337億円か
復旧と復興の定義(2006 年全国自治体調査から).
資料提供 富士電機株式会社 都内実績 インバーター盤の共通化 (図面、制作費の削減). (ビルオーナーより
企業会計審議会による「固定資産の減損に係る会計基準」の対象となる。減損の兆 候が認められる場合は、
④資産により生ずる所⑮と⑤勤労より生ずる所得と⑮資産勤労の共働より
運営費交付金収益の計上基準については、前事業年度まで費用進行基準を採用していたが、当