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タイの花文化 -- バンコクにあふれる花々 (フォトエッセイ)

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Academic year: 2021

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タイの花文化 -- バンコクにあふれる花々 (フォト

エッセイ)

著者

初鹿野 直美

権利

Copyrights 日本貿易振興機構(ジェトロ)アジア

経済研究所 / Institute of Developing

Economies, Japan External Trade Organization

(IDE-JETRO) http://www.ide.go.jp

雑誌名

アジ研ワールド・トレンド

236

ページ

35-38

発行年

2015-05

出版者

日本貿易振興機構アジア経済研究所

URL

http://hdl.handle.net/2344/00003213

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椰子の葉でつくった金魚 ショッピングモールのイベントに登場した 巨大な鬼を花で飾り立てた 花市場で売られているプアン・マライ

■フォトエッセイ■

タイの花文化

バンコクにあふれる花々

写真・文

初 鹿 野 直 美

Naomi Hatsukano

  タ イ の 首 都 バ ン コ ク の 街 は、 い つ も 花 で 溢 れ て い る。 こ の 数 年、 ク ー デ タ や ら 洪 水 や ら、 必 ず し も 平 穏 と は い え な い 事 件 が 続 く な か、 鮮 や か な 色 の 花 た ち が 咲 き 誇 っ て い る 様 子 を み る と、 ど こ か に バ ン コ ク の 日 常 が 続 い て い る こ と を 確 認 し て ほ っ と す る。 神 様 に 捧 げ る お 供 え の 花、 並 木 と と も に 街 を 彩 る 蘭 の 花、 ホ テ ル の ロ ビ ー に は 大 掛 か り な フ ラ ワ ー ア レ ン ジ メ ン ト な ど、 そ こ か し こ に 贅 沢 に 花 が 散 り ば め ら れ て い る。 さ ま ざ ま な 花 飾 り が あ る が、 筆 者 が い ち ば ん 好 き な の は、 車 の ミ ラ ー に か け ら れ た 花 飾 り や 屋 台 の 調 理 台 の 隅 に 飾 っ て あ る 花 で あ る。 そ こ に、 人 々 の 日 々 の さ さ や か な 祈 り を 垣 間 見 る こ と が できるからである。

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アジ研ワールド・トレンド No.236(2015. 6)  

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●花文化の由来   タイの伝統的な花の文化は、もともとはイ ン ド ネ シ ア の バ リ や カ ン ボ ジ ア を 経 由 し て、 インドからやってきたという。カンボジアで は、内戦の影響もあり、タイのように華やか な文化が育つことはなかったが、アンコール 遺跡をよくよくみると、かわいらしい花のレ リーフが残されている。人びとの生活のなか には、シンプルではあるが類似の花飾りの文 化は息づいている。一方、タイではシンプル なものから装飾的なデザインのものまで、多 種多様かつ大量の花飾りがあふれている。バ ンコクの花文化博物館のサクン・イスタクン 氏 に よ る と、 タ イ で は、 ラ ー マ 五 世( 在 位 一八六六~一九一〇年) の姉が、 フラワーアー ティストとして積極的に花文化の振興につと めたという。その後、王室文化の発展ととも に、非常に凝ったデザインの花飾りがつくら れるようになった。 ●タイの伝統的な花飾り   神様にお供えしたり、来客をもてなしたり す る と き に 使 う 花 輪( 花 数 珠 ) は、 プ ア ン・ マライ、もしくは単にマライと呼ばれる。結 婚式の新郎新婦やムエタイのボクサーたちに もこのような花輪が渡される。祠にお供えさ れているのは、マリーゴールドでつくられた 黄 色 い マ ラ イ、 ジ ャ ス ミ ン と ク ラ ウ ン フ ラ ワーの花でつくられた白いマライが多い。マ リーゴールドは富、ジャスミンは母性、クラ ウ ン フ ラ ワ ー は 愛 の 象 徴 で あ る( 参 考 文 献 ① )。 最 近 で は、 赤 や ピ ン ク、 紫 色 の 花 を 組 み合わせたカラフルで凝ったデザインのもの も多くみられる。   台 座 の 上 に 花 飾 り を 載 せ た も の は、 パ ン・ ドクマイと呼ばれ、なかでも蓮の花のつぼみ の形の飾りは、パン・プムという。仏教寺院 へのお供えや国王の肖像の前に捧げられたり している様子をみかける。最近では発泡スチ ロールの土台に花などを飾りつけるが、昔は バナナの幹や粘土を芯にして、台座の上に飾 りつけていた。   花や花びらだけではなく、葉も多用される。 バ ナ ナ の 葉 と 花 と を 組 み 合 わ せ て バ イ シ ー ( 幸 せ を 祈 り 糸 を 手 首 に 巻 く 儀 式 ) や ロ ー イ クラトーン(陰暦一二月の満月の日を中心に 開催される祭り)で使われる飾りをつくった り、にっぱ椰子の葉を利用して、昆虫や魚の 飾りをつくったりすることもある。   これらのタイの伝統的な花飾りは、ひたす ら花を分解して、裁縫のように縫い合わせた り、重ね合わせたりといった作業を繰り返す ことによってつくられる。このような手法は、 花が比較的安く手に入る環境だからできるこ 花市場で結婚式用の飾りをつくる少女 エラワン廟にそなえられたマリーゴールドのマライの山 道端で通勤途中の人たちに花飾りを売る女性。夫婦で花飾 りをつくりながら、1 日過ごす

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と で あ る。 決 し て 長 持 ち す る も の で は な く、 ほんの数時間のために、敬いの気持ちを示す ためにつくられた飾りである。ただし、最近 では、花飾りに生花ではなくプラスチックの 造 花 を 使 用 し た り、 香 り の あ る 石 鹸 や 布 を 使った花飾りなども多くみられる。   タイやカンボジアの友人たちに花飾りのこ と を 話 す と、 「 子 ど も の こ ろ、 つ く っ た こ と が あ る わ 」 と い わ れ る こ と が あ る。 し か し、 近年では、街角のあらゆるところで露天商が 花飾りを一〇~三〇バーツ(三〇~一〇〇円 程度)で売っており、各家で手間をかけてつ くるような習慣がどれくらい残っているのか は不明である。バンコクでは花飾りのつくり 方を教えてくれるワークショップがいくつか 開講しているが、そのようなコースをわざわ ざ受講するのは外国人だけだろうと思ってい た。しかし、筆者が参加してみたところ、外 国人だけではなく、花が大好きでたまらない というタイ人受講生が多くみられたことに驚 かされた。また、本屋さんには、まるで手芸 本のように非常に細かなデザインを紹介した 本が並んでいる。日本の人が華道に勤しむよ うに、都市部の豊かになったタイの人たちに とっては、花飾りをつくることは、タイらし さを見直すひとつのきっかけなのかもしれな い。 ●タイの花文化を支える人たち   バンコクのチャオプラヤー川沿い、王宮に もほど近いところに、バンコク最大の花市場、 パーククローン市場がある。 トゥクトゥク (自 動三輪車)に、これ以上載せられないほどの ジャスミンの花を量り売りする青年 花市場の様子 花市場を盛り上げる若者たち

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花を積んで帰路につく人たちが多くみられる。 人々はこの市場で花を買い求め、さらにアレ ンジを加えて、街中に並べる。店頭に花飾り を朝並べるため、市場は深夜になると、さら に活気をましていく。   花は国内外から集まってくる。国内産の花 は、バンコク郊外やタイ北部でつくられてい る。ミャンマー国境近くでは、ミャンマー人 労働者が、花を栽培するプランテーションを 支える。輸入品も多く、インド、インドネシ ア、中国等々のアジア各国から輸入された花 だったり、遠くはアフリカからの花も市場に 並ぶ。   今日では伝統的なマライに独特な色の輸入 花を使ったり、ホテルやデパートを飾る近代 的なアレンジに昔ながらの花飾りを足してみ たり、新しい出会いがタイの花文化をさらに 新しいものに変化させている。   「タイはいつでも花が咲き誇っているから、 贅 沢 な ア レ ン ジ が で き る 」 と は い う け れ ど、 この花を咲かせ続けるには、多くの人たちの 支えと努力がある。そして、なにより、平和 があってこそ、私たちはバンコクの鮮やかな 花を心穏やかに楽しむことができる。 《参考文献》 ① Sakul Intakul and Prinya Ruenprapan. 2013.  Sakul Intakul' sFloral Journey Bangkok.  Purple Press. 花市場の片隅の神様に供えられた花飾り《上、下》 はつかの なおみ/ ジェトロ・バンコク事務所、アジア経済研究所研究員 カンボジア地域研究。カンボジアの国境地域開発、タイで働 くカンボジア人労働者問題に関心をもつ トゥクトゥクやタクシーに飾られたマライ《左、右》 建設労働者が住むバラックの片隅に飾られて いたマライ 千日紅でつくられたパン・プム。筆者がワー クショップに参加した際に作成した。

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1 Library, Institute of Developing Economies, Japan External Trade Organization (3-2-2 Wakaba Mihama-ku Chiba-shi, Chiba 261-8545). 情報管理 56(1), 043-048,

Basic Input-Output Table of Thailand, 1975, (IDE Statistical Data Series, No. 30), Tokyo: Institute of Developing Economies. OSCAS-NEC (Office of Statistical Coordination

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