県農業試験場さとうきび作育種研究室
しながら、近年諸先輩方の多大な努力と技術の研鑛の
結果大きく前進をしてきた。現在では十分な種子量確
保が可能であると同時に遺伝質の蓄積も図られっっあ
る。一方、出穂誘起、出穂時期のコントロール、花粉
稔性等の北限地ゆえの課題についても技術開発と施設
の拡充により一定の克服のめどがつきつつあり、本格
的な種属間交雑育種の方向への転換が図られる方向に
ある。
サトウキビをとりまく状況が一段と厳しい中にあっ
て新品種の育成はますます重要になっている。安定多
収性及び早期高糖性等の育種目標を達成しつつ種属間
交雑育種による新たな育種素材及びそれに伴う技術の
開発を図らなければならない。また、育種事業をより
効率的に押し進めるためにサトウキビの遺伝的な解明
及び育種工学分野との連携を図る必要があろう。現在、
スイートソルガムとの交雑による新規資源作物の創出
を目的に研究が進められており、またサトウキビ収穫
の早期化を図るため約7カ月程度で収穫可能な品種の
育成に向けた研究が行われている。
本県の奨励品種は現在10品種であるが、その内Ni
6、NiN7、Ni9の3品種が最近育成され、現在有望
な系統が選抜されつつある。選抜試験の段階で、既に
本県育成系統群が外国育成系統群を凌ぐ状況下にあり、
今後益会の研究成果が期待される。
(島袋正樹)
サトウキビは、本県の全耕地面積の約54%、全
農家戸数の約83%で栽培されており本県農業の基幹
作物である。熱帯性作物であるサトウキビは南西諸島
固有の作目であるため、我が国では水稲等と異なり技
術開発機関が限定されている。本研究室は、これまで
諸外国との交流を通して技術の蓄積を図ってきた。し
かしながら技術の高度化と特殊な立地条件により現在
では本県独自の技術開発、研究資質が問われるように
なってきた。
本研究室は、昭和51年に農林省指定研究室となり、
九州農業試験場さとうきび育種研究室(種子島)とと
もにサトウキビ育種を担当している。本研究室は南西
諸島南部を担当し、研究職5名、農業技術補佐員5名
のスタッフで育種事業を主体とした研究業務を行って
いる。また、圃場面積も約7haを占めており人員、圃
場規模において農業試験場で最大規模の研究室として
農業研究の中核を担っている。業務内容は、野性種等
の遺伝資源の収集・保存、品種の導入をはじめ人工交
配、実生育成、選抜試験を主として行いつつ、黒穂病
等の耐病性検定及び放射線育種による品種育成に携わっ
ている。最近の世界的な遺伝資源利用の流れの中にあっ
て、本研究室においてもいち早く遺伝資源の収集、利
用に取り組み、現在の遺伝資源保有は約500と諸外
国に比べて少ないものの野生種(S、Spontaneum)や
ススキ属(Miscanthus)、ソルガム属等との交雑育種
をおし進めている。
育種事業の根幹である選抜試験は、年をその効率化
が図られ過去12年のサイクルが現在では約9~10
年のサイクルに短縮され育種目標の繊密化も進んでい
る。南西諸島は、分布域が広く、土壌型、気象及び栽
培環境が多岐にわたるため各支場、製糖工場と育種ネッ
トワークを構成し品種の育成にあたっている。
人工交配は、本県が交雑育種の北限地に位置してい
るため諸外国に比べて大きな弱点となっていた。しか