Title
沖縄県民の戦場動員と第三十二軍の防諜対策
Author(s)
地主園, 亮
Citation
史料編集室紀要(26): 129-152
Issue Date
2001-03-27
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12001/8305
Rights
沖縄県教育委員会
史 料 編 集 室 紀 要 第26号 (2001)
沖縄県民の戦場動員 と第三十二軍の防諜対策
地主園 亮
は じめ に 沖縄戦 において多 くの住民が戦場へ動員 された。第三十二軍は、戦場 に動員 し軍 に協力 させ た住民 をスパ イ祝 し殺害 した。その第三十二軍の住民 に村す るスパ イ視 に 「村 や島 (I) の有力者 た ちが軍 (将兵 グループ) に協 力 させ られてい るケース」 も多数 あ り、住民 が関与 してい た とい う事実 があ る。 それで は、 なぜ住民が住民 に対す るスパ イ視 に関 与す る事 にな ったの か。その ことをあ きらか にす るため に、本稿 では、第三十二軍の 防諜 対策 について整理 し、防諜対策 にお け る住民 の位置づ け をあ きらか にす る。 1.沖縄 県 民 の戦 場 動 員 と日本 軍 の沖縄 住 民 観 第三十二軍の各部 隊が沖縄へ配備 されている1
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日、「総動員警備要項」が閣 議決定 された。「総動員警備要項」 は、沿岸 に対する敵の攻撃、空襲、災害、騒擾その他 の非常事態 に際 して 「人及物的資源 ノ被害 ヲ防止軽減 シ其 ノ他国防目的達成 ノ妨害 卜為ル (2) ベキ諸事象 ヲ排除スル」 ことを目的 としていた。活動 を行 う団体 としては、「警察力 ヲ中 核 トシ関係各庁 ノ警備力 ヲ糾合シ」かつ必要 に応 じて 「帝国法人其 ノ他 ノ団体」の協力 を (3) 得 て行 うものである としている。つ まり、国防に関 しての業務 を軍以外の行政組織お よび 法人団体等 に も課 し、 日本軍 に協力す る体制が作 られたのである。 また、 日本軍は 「総動員警備要項」 に基づ き、沿岸警備 に開通する官民警備機 関の計画 設定上必要 となる事項 に関 して提示 した 「沿岸警備設定上 ノ基準」 を定めた。 この基準 は、 艦砲 。空襲や謀略等の米軍の攻撃への対策 と地域住民 による軍への協力促進、戦意昂揚 に ついての対策の二つか ら成 り立 っている。 「沿岸警備設定上 ノ基準」 において、沖縄の ような島峡地域の警備 については 「第六 島峡 ノ警備」 と別記 している。
「第六 島峡 ノ警備J
は、「既述掲示二拠 ルノ外警備二関ス (4) ル諸般 ノ計画準備 ヲ更二強化ス」 とし、島峡地域では他沿岸地域 と比べて警備 を強化する ことを指示 している。 また、「特二在住民 ノ総力 ヲ結集 シテ直接戦力化」 し、「軍 卜一体 トJrNUSHrZONO Akira,"WartimeMobilizationofOkinawansandthe32thArmy-sCounter-intelligence
Measures.‖
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1) (5) ナ リ国土防衛 二当ルヘキ組織態勢 ヲ確立」す ることを挙 げている。つ ま り、 日本軍 は、一 般住民 も戦力 の一部 と考え、有効活用す るために組織の態勢強化が必要 と考 えていたこと が わか る。 第三十二軍 は陣地構築 と平行 して飛行場設営 を行 っていた。 また、細かい戦術構想 の変 (ら) 更 に よ り、部隊の配備変更 を5
度 も行 うことになった。 この ような状況 にあ り陣地構築、 飛行場設営 な どの戦闘準備 を各部隊の将兵のみで完成 させ ることは到底不可能であった。 例 えば東洋一の飛行場 と称 された伊江 島飛行場 には、第五十飛行場大隊が配備 され、飛行 場設営 を行 っていた。 しか し、実際作業 を行 ったのは国頭郡内か ら徴用 された労務者 によ (7) る ものであ り、「
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人弱の隊員は作業の指揮 にあたるだけ」 とい う状況であった。 この こ とか ら第三十二軍がいかに大規模 に住民 を動員 し、かつ住民 に依存 し戦闘準備 を行 ったか が わか るであろ う。 第三十二軍 の牛 島司令官 は、1
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日、全軍 に次 の ような訓示 を示 した。 第五 「現 地 自活 二徹 スベ シ」 極 力資 材 ノ節用 増 産貯蔵 二努 ム ル ト共 二創 意工 夫 ヲ加 へ テ現 地物 資 ヲ活 用 シ一木一草 卜錐 モ戦 力化 スヘ シ 第六 「地 方官民 ヲシテ喜 ンテ軍 ノ作 戦 二寄与 シ進 テ郷土 ヲ防衛 スル如 ク指 導 スヘ シ」 之 力為 懇 二地方 官民 ヲ指 導 シ軍 ノ作 戦準 備 二協 カ セ シムル ト共 二敵 ノ来 攻 二万 リテハ 軍 ノ作8撃 ヲ阻碍 セサ ル ノ ミナ ラス進 テ戦力 増 強 二寄与 シテ郷 土 ヲ防衛 セ シムル如 ク指 導 スへ シ 沖縄 県民 は、沖縄戦 の時、生 きるための最 も基本 となる食糧 の確保 もで きてい ない状 tリ1 況 にあ った。 しか し、第三十二軍は足腰 の立つ もの全てを総動員 し陣地構 築 などの労働 に 駆 り立 てたのである。 また軍 自ら食料増産 を阻害 してお きなが ら 「一木一草 卜難モ戦力化 スヘ シ」 とし、十分確保 されていなか った住民の食料 まで供 出させ ることを指示 したので あ る。 第三千二軍 は1
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日創設 され、隷下の各部隊の大半 は同年6
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月に沖縄 -移駐 して きた。それ以前の沖縄 において若干の軍事施設 は存在 したが、第三十二軍の将 兵全員 を収容 で きる施設 は存在せず、準備 もで きていなか った。そ こで軍 は住民の民家、 学校、村屋 な どの民 間施設 を住民 との混住 とい うかたちで兵舎 な どの軍施設 として使用 し (10) ていた。 第三十二軍 は沖縄住民 を陣地構築 な どに動貞 していたが、それだけには とどまらず 「敵 ノ来攻 二万 リテハ軍 ノ作戦 ヲ阻碍 セサルノ ミナラス進 テ戦力増強二寄与 シ」 とし、米軍来 攻後 も引 き続 き住民 を軍の戦力増強要員 として協力 させ ることを指示 した。 沖縄 戦の準備 のため に多 くの部隊が沖縄 に移動 して くることになるが、それ以前の沖縄 は軍事 的 には全 くの空 白地 といって も間違 いではなか った。沖縄 には徴兵用務 を行 う連隊ー1
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0-史 料 編 集 室 紀 要 第26号 (2001) 区司令部 のみ しか置 かれず、明治以 降、郷土部 隊の存在 しないた だ一つの県 であ った。19 41年 か ら砲 兵部 隊射 駐屯 したが、実践 能力 のあ る軍 隊が本格 的 に沖縄 へ 配備 されたの は第 三 十二軍 が初 め てで あ った。 第三十二軍 の派遣 以前 、 日本軍 は沖縄 県民 をどの ように見 てい たのか。沖縄 連 隊区司令 t=l 部 は、 「沖縄 県 の歴 史。 人情 。風俗 。 を略述 し県 出身兵 卒教育 の参 考 に資 す る 日的」 に よ り、1922年 に 「沖縄 県 の歴 史 的関係 及 人情風俗 」 を編 纂 した。 「沖縄 県 の歴 史 的関係 及 人 情 風俗」 は、名称 の示 す通 り沖縄 の歴 史 の概 要、人情 、風俗 、民度 を書 き示 してい る。そ の結論 と して次 の よ うに ま とめ てい る 皇室中心主義、体格の進化、労働主義、文化程度の向上は本県民 に対 し第一に要望すべ き件に して就中皇室及国体観念の徹底 に就いては全力を用ふるにあらされは将来英国の愛欄に於ける 悔いを遺す事なきを保 し難 きものあ り。 (中略) 在郷軍人は輩固なる軍人思想 を養成せ られ数年間内地の制度文物に接 し入営前 に比 し著 しく心ママ 身の向上せるものあるは言を持たさる所にして又郷糞 に新知識者を以て遇せ られつつあ り故に 町村官公吏教職員議員役員等の大半は在郷軍に占むる所にして確かに県民の中堅 とな り県民を 教導薫化するに力めつつあ り従て軍隊教育の徹底 と不徹底 とは直ちに県開発上に影響することママ 大なるのみならす惹て県民思想上に及ぼす影響観過すへか らさるものあ り。教育の任に普 らる る諸官深く12iEJ酎 こ留意 し心身共に優秀なる在郷軍人 として錦を郷土に有 らしめられんことを切 望 に堰へす この よ うに沖縄 県民 は、皇室 、 国体観念 を徹底 して植 え付 けなけれ ば将来英 国 (敵 国) に なび く恐 れが あ る と してい る。 しか も、強固な国体観念 を有 してい ない沖縄 県民 に対 し て、移民経験 者 の与 える思想 的影響 を非常 に懸念 してい た。沖縄 県民 の思想 上 の改善 を行 う存在 と して、 町村 官公吏 、教 職員 、議 員、役員 な どの地域 の要 職 を占め始 め てい る在郷 軍 人 を挙 げてい る。 第三十二 軍 が創 設 され沖縄 に諸部 隊が移駐 して きた.移駐 して きた師団の一 つであ る第 六 十 二 師団 は、会報 において配下 の将 兵 に次 の指示 を出 した。 第拘九号 石兵団会報 九月七 日一〇〇〇 仲 間 (中略) 二、防犯関係 (中略) 2.姦奪ハ軍人ノ威信 ヲ失墜 シ民心離反若クハ反軍思想誘発 ノ有カナル素因 トナルハ過去 ノ苦 キ経験 ノ示ス所ナリ 殊二沖縄県人中ニハ他府県人二比 シ思想的二忘恩功利傾向大ナルモノ多ク其ノ具体的表現ハ中 傷陳情投書等 ヲ以テセラルガ故二涼奪乃至強姦 ノ城二達セズ ト錐モ之二近似セル所為ノミニテ 軍二対スル反感 ヲ醸成スルニ至ルベシ 且一部地域ニハ貞操観念弛緩 シァル所アリ之ガ誘惑二乗ゼラレ不知不識 ノ間狼芸姦通略取誘拐 住居侵入等 ノ犯罪 ヲ犯スコ トナカラシムルコ ト -1
31-史料 編 集室 紀 要 第26号 (2001) 3.管下ハ所謂 「デマ」多キ土地柄ニシテ又管下全般二亘り軍機保護法二依ル特殊地域 卜指定 セラレアル等防諜七葬 メテ警戒ヲ要スル地域ナルニ鑑ミ軍自体此ノ種違反者ヲ出サザル如ク万 全ノ策ヲ請ゼラレ度 第六十二師団はこの会報 において沖縄県民 は 「忘恩功利」 である と していた。 この こと は、 日本軍が沖縄県民 に対 して皇室、国体 に対す る忠誠心が ない とい う見方 をしていた も のが相変 わ らず変化 していない ことを示す ものである。 (ll) 伊江 島において も 「島民二村 シ、吾 々 ヨリ劣等人種 ノ如 キ感こテ接 スルナ」 とい指示が だ された。 この命令 は 「軍兵士の なかには伊江島-沖縄の住民 を劣等視す る者が多 く、そ の軍民一体化 を成就す る支障 とな らぬ ように注意」す ることを指示 した ものであ り、軍が 「みずか らの住民劣等視 を隠蔽 しなが ら、住民 をた くみに領遺 して」 い った ことを示す も 115\ のである。 第六十二師団の会報 において 「姦奪ハ軍人ノ威信 ヲ失墜 シ民心離反若 クハ反軍思想誘発 llhl ノ有カ ナル素因 トナルハ過去 ノ苦 キ経験 ノ示ス所 ナ リ」 とし、過去 の経験 か ら民心が離反 す るこ とを防 ぐために将兵の行動 に注意 を促 している。 また、第五十飛行場大隊による伊 江 島飛行場 の設定起工式 において田村伊江 島飛行場設定隊長 によ り訓示が行 われた。隊長 訓示 において 「諜者ハ常 二身近ニ ア リ内地二帰 りタル トテ寸時モ油断スベ カラズ。絶ユズ (17) 北満 二在 りタル心構二在 ルベ シ」 とい うものであった。 この二つが示す ことは、占領地で あった中国東北部か ら沖縄へ配置換 えを行 われた後 も以前 と同 じように軍紀 ・風紀お よび 防諜 に対 して注意す ることを指示 してい るのである。 この ことは将兵 に沖縄住民 を中国東 北部の住民 と同様 に警戒す ることを指示 したことと同意である。 日本軍 は沖縄県民 を劣等祝 していただけではな く、将兵 に軍紀 ・風紀 また防諜対策 を特 に徹底 させ るため、沖縄 において も以前 の占領地 と同様 に気 を緩 めない ように指示 したこ とをが わかる。
2.
軍 の 防諜 に関す る認 識 日本軍 は、「沿岸警備計画設定上 ノ基準」で島峡地域 において 「特 二在住民 ノ総力 ヲ結 集 シテ直接戦力化」 し、「軍 卜一体 トナ リ国土防衛二当ルへ キ組織態勢 ヲ確立」す るよう に と住民 を動員す るように指示 していたが、同時 に 「軍事施設、軍隊 ノ行動等軍 ノ機密保 (18) 持 二関 シ特二留意ス」 とし、軍事施設の場所、軍隊の行動 な どに関す る機密 の漏洩防止対 策 について も特 に注意す るように指示 を行 っている。 防諜対策 による機密 の漏洩防止 を指示 している日本軍であったが、その有効性 について は 「軍防諜参考資料」 において次 の ように示 している。 -、防諜ノ限度ヲ考慮スル要アリ 1 132-史料 編 集室 紀 要 第26号 (2001) 陣地ノ秘匿ヲ完全ナラシムルハ理想 トスル虞ナルモ諸般ノ関係上某程度ノ部外漏洩ハ巳ムヲ得 サルモノアリ此ノ漏洩ハ国民防諜観念ノ昂揚、敵防諜網二野スル積極的破砕遊二欺臓等二依り 補ハサルへカラス又重要ナル秘匿事項二間シテハ之ヲ知得セシムル範囲程度ヲ定メ其ノ範囲程 度外ノ漏洩ヲ厳こ戒シムル慮罷,ヲ講スルヲ要ス欺臓二関シテハ演習ノ名称ヲ附スル等ノ他特二 偽陣地ヲ設クル著意ヲ必要 トス 日本軍 は、「陣地 ノ秘匿 ヲ完全 ナ ラシムルハ理想 トス)i,処 ナルモ諸般 ノ関係 上某程度 ノ 部外漏洩ハ己ム ヲ得サルモ ノアリ」 とし、機密内容が軍組織 か ら外部へ漏れ ることを完全 に防 ぐことは不可能である と考えてた。 しか し、 日本軍 は 「重要 ナル秘匿事項二関シテハ之 ヲ知得 セシムル範囲程度 ヲ走 メ其 ノ 範囲程度外 ノ漏洩 ヲ厳 二戒 シムル処置 ヲ講スルヲ要ス」 とし、重要事項 に関 しては、情報 を共有す る範囲 を限定 し、機密の漏洩 を厳重 に警戒 し何 らかの手段 を講 じる と している。 機密が軍組織以外へ漏洩 した場合 は、「国民防諜観念 ノ昂揚」、「敵諜報網 二対 スル積極 的破砕」並 びに 「欺捕」等が、機密が さらに広範囲 に広が らない ようにす る手立て となっ ていた。特 に 「欺瞳」 に関 しては、部隊の移動時 な どに 「演習 ノ名称 ヲ附」 した り、「偽 陣地 ヲ設」 ける等の処置 を行 うとしてい る。
3.
軍 民 の領 域 分 離 に よ る機 密 漏 洩 防 止 策 第三十二軍 は各地 にある自然壕 や沖縄へ移駐後堀始めた構築壕 を利用 し、米軍 に対す る 布 陣 を しいた。壕 は第三十二軍 に とって米軍の攻撃 を凌 ぎ、部隊の所在 を秘匿す るための 重要 な陣地であった。そのため 「待避壕 附近二歩哨 ヲ配置 シ待避壕 内外 ノ警戒二任ゼ シム (20) ベ シ」 とし、壕入 り口付近 には歩哨兵 を配置 し不審者の侵入等の監視 を行 っていた。 l_-ll 日本軍は 「防諜 ノ地域的措置二関スル説明要図」 によ り陣地お よびその周辺 の防諜上の 取扱 を提示 している。 この図は陣地 とその周辺 を三つの円が囲む形 で作成 され、第一地域 か ら第四地域 までの四つの地域 に分 け、その地域 ごとに取扱方 を定 めている。陣地その も の を示す第-地域 を 「術構物 ノ直接周囲」 として 「術構物 ノ素質 ノ細部 ヲ秘匿スル」事 を (22) 目的 としていた。その措置 として 「住民ハ立入 ラシメズ (軍機保護法第八条適用)」、「立 (23) 入 ヲ許可 セ シ将兵 ノ防諜教育 ヲ徹底 スJ と してい る。第二地域 は 「陣地構築 地域」 と し (2`り 「陣地 ノ概要 ヲ秘 匿スル」 ことを目的 と している。そのための措置 と しては、「立入者 ヲ 巳ム得ザルモ ノノ外禁止 ス」、「地域 内写真撮影 ヲ禁止ス」、「立入許可者 ノ防諜教育 ヲ徹底 (25) ス」 としている。第三地域 は 「陣地施設周辺 ノ町村」 として 「地域 内国民防諜 ヲ特二強化 (26) シ陣地 ノ外貌、軍隊 ノ実情 ヲ秘匿スル」事 が 目的であった。そのための措置 と して 「他地 ママ (27) 区 ノ者二秘 匿ス (通信 、言動)」、「容疑者潜入セバ届出 ヅ」 としてい る。第四地域 は 「沿 岸地方」 とし、「防諜 ノ完壁 ヲ期 スル為外 国人 ノ旅行 ヲ制限 シ国民防諜 ヲ一般 二強化」す I133-史 料 編 集 室 紀 要 第26号 (2001) (28) ることにあった。 別 紙 第 1 地 域 (術 物 ノ 直接 周 歯 ) 術 構 物 ノ 素質 ノ 細部 ヲ 秘匿 ス ル 為 左 ノ 措 置 ヲ 為 ス 1 、住 民 ハ 立 入 ラ シ メ ズ (軍 機 保 護法 第 八 条適 用 ) 2 、立入 ヲ 許可セ シ 将 兵 ノ 防諜 教 育 ヲ 徹 底 ス 第 二 地域 (陣 地 構築地 域 ) 陣 地 ノ 概 要 ヲ 秘 匿 スル 為左 ノ 措置 ヲ 為 ス 但 シ 本 地 域 ハ 勉 メテ 最 小 限 ノ 範 囲 二 止 ム ル ヲ 可 ト ス (軍 機保 護法第九 条' 第 十 三 条 適 用 ) 1 、 立 入 者 ヲ 巳ム口 碑 ザ ル モ ノ ノ 外 禁 止 ス 2 、 地 域内 写 真 撮 影等 ヲ 禁 止 ス 3 ' 立 入 許 可 者 ノ 防諜 教 育 ヲ 徹 底 ス / ′
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第 三 地 域 (陣地 施 設周 辺 ノ 町 村 ) 地 域内 国民 防諜 ヲ 特 二 強化 シ 陣地 ノ 外 貌、軍隊 ノ 実 情 ヲ 秘 匿 スル 為 左 ノ 措 置 ヲ 為 ス 1 P 他地区 ノ 者 二 秘 匿 ス (通 信、 言 動) ,, 2 ' 容 疑 者 潜 入 セ バ 届 出 ヅ 第 四 地 域 (沿 岸 地 方) 防諜 ノ 完壁 ヲ 期 ス ル 為外 国 人 ノ 旅 行 ヲ 制限 シ 国 民 防諜 ヲ 一 般 二 強 化 ス\
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要
図
国立公文書館蔵 「機密戦二関スル書類」より作成。 注 :旧漢字は新漢字に直し、誤字はそのままにした。不明部分は口にした。 軍の機密 は、スパイ (スパイに利用 され る恐れ のある者 も含む) を陣地 に近づ けるほ ど 機密 が漏洩す る危 険性 が増 える。 そのため、陣地 にスパイ を潜入 させ ないために、各地域 ご とに立入可能者 及び機密漏洩 に関す る対策 な どを定 めていた。 第一地域 とされ た陣地 は、機密 の漏洩 を完全 に防 ぐことは不可能 と考 えていた軍 におい て も 「漏洩 ヲ厳 二戒 シム処置 ヲ講 スル ヲ要ス」 とした 「重要ナ秘匿事項」 である 「術柄物 ノ素質 ノ細部」 が判 明す る場所 であった。 そのため第一地域 は、一切 の住 民の立入 を禁止 - 134-史料 編 集 室 紀 要 第26号 (2001) し、陣地構築 に動員 された住民であって も立ち入 ることが出来ない場所であった。 また、 将兵 に対 して も外部-の機密が漏洩 しないように防諜教育 を徹底 していた。 第二地域は、陣地構築 などに動員 されている住民の立入 は許可するが、他 の者の立入は、 自由に認めていない。 また、第-地域 と同様 に立入 を許可 された者 に対する防諜教育 を行 っている。 この ような陣地お よびその周辺 においては、「弾薬庫糧株集積場 ノ巡察 ヲ確実 (2n ニ実施 シ地方人 ヲ近 カシメザル如 ク注意スベシ (敵 ノ謀略予防)」 とし、住民 に対 して防 諜対策のために将兵以外 を近づけることを禁止 していた。 第三地域である陣地所在周辺の地域 においては、陣地の外貌、軍隊の所在 の有無等 は隠 す ことは不可能である。そのため地域住民 に対 して、他地域の者 に対 して秘匿す ることと、 外部か らの不審者が地域へ入 って きた らそれを軍へ報告 させ ることにより、陣地所在地域 周辺か ら他の地域へ機密が漏洩することを防ごうとした。 第四地域 は国外への情報の流出地 として沿岸地域が特 に警戒 されていたことを示す もの である。将兵であって も規則 において沿岸地域へ出る事 は規制 されていた。沿岸地方は、 機密が外 国へ漏洩す る とい う最悪の事態 を防 ぐ最後の砦 とされたのである。 第四地域の沿岸地方 を別 にすると、第三地域の陣地施設周辺の町村 は、駐屯する部隊が 機密漏洩 に関 して監視 を行 っていた範囲 といえる。 また、その範囲内の住民 は、軍の指導 の もと防諜対策 に協力 を求め られていた といえる。
4.
陣地 の所 在 明 示 に よる機密 漏 洩 防止 従来か らある要塞地帯 においては軍機保護法において立入者 を制限することによ り、そ の素質、形態等の詳細 な内容が外部 (住民等)に漏洩 しない ように守 られていた。 しか し、 沖縄戦準備のため移駐 して きた第三十二軍は沖縄本 島の至 る所で公有地、民有地の別 な く 陣地構築 を行 った。そのため民間地域 と第三十二軍が軍用地 として定め陣地構築 を行 って いる地域の境界線 に不明確 な状埠が生 じる。軍機保護法 による立入制限は、偶然立ち入 っ た者 に対 しては、その者が他者へ機密 を漏 らすことがない限 り法律 に適用 し裁 くことはで (30) きない。 日本本土 における軍事施設はその多 くが常設の ものであるため、地域の住民 にと って軍事施設 と民間地域 との境界線 は明確 なものである。そのため偶然立ち入 ることはま ずあ りえない。 しか し、沖縄は急速軍事施設 を作成 したため、軍事施設 と民間地域 との境 界線が不明確 であ り地域住民が軍事施設へ偶然立 ち入る事態が生 じかねない。そ うなると 軍の機密が住民へ知れ渡 ることになる。 この ような事が生 じるのを防 ぐため 「軍機保護法 ノ保護物 タル陸軍防禦営造物二対 シテ(
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1) ハ周囲地域 ヲ定 メ標識 ヲ設ケテ標示セネバナラヌ コ トハ法令 ノ示ス原則」 とされ、標識 を 立て軍事施設 と民間地域 との境界 を明確 にする必要があった。標識 を立て施設の境界 を明 ー135-史 料 編 集 室 紀 要 第
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1) 確 にす ることによ り、住民が偶然軍事施設内に立ち入 る事 を防 ごうとしていたのである。 第三十二軍 においてこの方法の可否の検討が行 われ次 の ような結論がだ された。 ⑳法令 ノ命 スル通 り標識ハ標示 スベキモ ノデア リ標示 シテ周囲区域 タル コ トヲ明瞭ニ シテ置 ク 要 ガアル。 ⑳然 シ標識 ヲ標示 スル コ トこ ヨリソノ事 力陣地構成 ヲ秘匿スル為有害ナ リ トス レバ標識 ヲ省略 スル コ トモ考ヘ ラ レル 此 ノ場合ハ法 ニ ヨル取締ハ 出来 ヌ ノデ必要ナル防諜措置 ヲ講ゼ ネバ +テヌO ソノー例 ヲ挙 グ レバ ⑳地区二対 スル郵検 ヲ杵続実施 スル コ ト (32) ⑳地区住民 二対 シ国民思想 ヲ昂揚 シ防諜意識 ノ普及徹底 二努 ムルコ ト 第三十二軍 においては、住民が陣地へ知 らず知 らず に侵入す る とい う偶発 的な ものか ら 機密 が漏洩す る事 を防 ぐため、基本的には標識 を標示す る としていた。 しか し、取 り締 ま りを行 えない ことを覚悟 しつつ も、標識 を標示す ることによ り陣地の素養が外部へ知 られ る恐 れのある時は標示 しない こともあ り得 る としている。その場合の対策 としては、郵便 の検 閲によるよ り広範囲への情報 の漏洩防止 と、地域住民 に対す る国民思想 の昂揚、防諜 意識 の普及徹底 とい う住民の行動 に依存 した ものであった。 第三十二軍の防諜対策 は、軍組織 内部か らの機密漏洩防止 と、漏洩 した機密が他地域へ 伝 わることを防止す るための地域住民 に対す る防諜意識の昂揚 とい う二つの対策 に大別 さ れ る。5.
防諜対策具体例 (1)部隊移動時 の防諜対策 日本軍の機密漏洩の防止 について具体 的にどの ような村策が行 われたのか を見てい く。 1944年7月以降、配属部隊が次 々 と沖縄へ移駐 し、第三十二軍の陣容が強化 される。多 く の部隊が那覇港か ら上陸 し、各担当地区へ移動 してい くことになる。移駐直後の部隊の一 つであった鰻重兵 第二十四連 隊第五 中隊は、次の命令 を出 し部隊の移動 における防諜 に関 す る注意 を行 っている。 山八三小作命 第二六号 小松 隊命令 八 月十四 日一四〇〇 野 国 -、中隊ハ 当分 ノ間野国部落付 近二於 テ露営 セ ン トス 二、露営衡兵長以下ノ鳩 ヲ以 テ露営地 区 ノ警戒防衛並 二防諜取鞄,
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任 ズ 昼 間ハ特 二上空二村 シ警戒 ヲ厳 ニ シ夜 間ハ盗難火災 二留意 スベ シ 輯重兵第二十四連隊第五 中隊は1944年8月 5日に門司か ら那覇へ到着 し、 8月14日には 蛸壷兵 としての任務 で那覇か ら野 国へ高射砲 の輸送任務 を行 っていた。 この文書 は任務 中 1 136-史料 編 集 室 紀 要 第26号 (2001) の露営時 に防衛及 び防諜取 り締 ま りについて出 された命令 である。防衛 に関 しては米軍の 空襲お よび盗維火災 に対 して注意 を行 っている。 また、防衛のみではな く、防諜 の取 り締 ま りに関 して も注意 を行 っている。 この文書のみでは具体的 にどの ような指示が出 された かは不明であるが、防諜の 目的 として高射砲 を那覇か ら野国-輸送 しているとい う情報が 漏れ ることを危倶 していることははっきりしている。
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月か らの第九師団の台湾抽 出によ り第三十二軍 は、
11月26日に下達 された新防 (34) 衛計画 に基づ き、配下部隊の担当地区の変更 を しい られた。1
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月3
日、独立歩兵第 十五大隊第五中隊は、「石十五作命 第四六号 二基 キ硯 防衛任務 ヲ交代部隊二移譲 シ新作戦 (35) 態勢へ ノ転移 ヲ準備 セ ン トス」 とし、北谷村 か ら新担当地域である玉城村富里への移駐準 備 を行 うこととなった。移駐準備 に際 して諸注意が行 われ るが、「特 二防諜二注意 シ企 図 (36) ノ秘 匿二遺憾 ナキ様留意スベ シ」 とし、特 に防諜 に関 して注意 を促 している。防諜対策 を 講 じる目的 として 「企 図ノ秘 匿」が挙 げ られている。つ ま り、北谷村か ら玉城村へ部隊が 移動す る とい うことが周囲 に漏洩す ることを防 ぐことによ り、米軍 に対 して第三十二軍の 戟術構想 に変更があ ったことを悟 られ ない ようにするための欺臓であ った。 同様 に独立混成四十四旅団第二歩兵隊第二大隊機関銃 中隊 において も 「防諜上今 回ノ移 (37) 動 ヲ爾今ハ号演習 卜呼称 スベ シ」 とし、部隊の移動 を 「ハ号演習」 と呼ぶ とした。舞台の 移動 を 「ハ号演習」 と呼ぶ ことによ り配備変更 を行 った ことを秘匿 しようとしたのである。 配備変更があった こ とを秘 匿す るため に 「ハ号演習」 と呼称 す るの と同時 に、「各本部 中 (38) 隊ハ今 回 ノ移駐二関 シ特二郵便物検 閲 ヲ厳 ニシ防諜二遺憾 ナキ ヲ期 スベ シ」 とした。兵士 の出 した郵便物か ら部 隊の配備の変更が外部へ漏れることを防止 しようとしたのである。 部隊駐屯 中は、地域住民へ協力 を求め部隊の存在や規模 を秘匿す ることがで きた。 しか し、部隊移動時には駐屯 していた周辺地域以外 の住民 に対 して部隊の動 きが露呈す ること になる。つ まり、各部隊の防諜対策 を施 している陣地周辺地域か ら外へ出なければな らな いのである。そのため部隊の移動 を欺隔 し演習 と称す るな ど、住民 に対 して偽 の情報 を流 し、部隊の行動 を隠す必要が あった。(2
)通信 。文書管理 による防諜対策 前 に も例 を挙 げた ように独 立混成 四十四旅 団第二歩兵隊第二大 隊機 関銃 中隊 において (39) 「郵便物検 閲ヲ厳ニ シ防諜二遺憾 ナキ ヲ期スベ シ」 とし郵便物検 閲に注意 を行 っていた。 (10) 歩兵 第三十二連隊は、「信書 ノ点検 ヲ厳 ニ シ軍機 ノ漏洩 ヲ防止 スルモ ノ トス」 と し、部隊 内部 か ら出 された信書 か ら軍機が漏洩す ることを防 ごうとしていた。そのため郵便物 を出 す ときには 「郵便物ハ菓書類 ヲ使用 スル ヲ本則 トシ葉書 ノ点検ハ責任者 (将校)封書ハ ナ IL111 ルベ ク避 ケ封書 ヲ使用 セル時ハ 中隊長以上直接点検スル」 とされ、各部隊 とも郵便物 を発 -137-史料 編 集室紀 要 第26号 (2001) 送す る ときは軍機 が漏洩 しない ように徹底 した管理 を行 っていた。
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年7
月、第三十二軍の増強 によ り、独立混成第十五連隊の一部 は伊江 島に配備 され (42) た。伊江 島に配備 された部隊の無線班 は 「伊江島 卜本 島聞及旅団司令部 間 ヲ連絡スベ シ」 とされた、沖縄 島の部隊 と連絡 を行 うように指示 されてい る。移駐直後 には通信設備の整 備がで きてお らず 「軍通信 ノ整備 セラル迄各隊ハ取 アヘズ地方通信 (警察 -逓信 -鉄道 ノ (43) 脂) ヲ利用 スベ シ」 とあるように民 間通信手段 を使用 しなければな らなか ったようであるt
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小 民 間通信手段 を使用す る場合 において 「但 シ防諜上 ノ注意 ヲ要ス
」 とし軍機が漏洩す る事 を防止す るように注意 を行 っている。 軍内部 においての防諜対策 については 「防諜二就 テハ各部隊厳 二注意セ ラレ度部外 関係 (45) ハ憲兵隊二於 テ対策 ヲ講ズル ヲ以テ部内関係ハ特二厳 ニシ通信検 閲ハ厳重 二実施 ノコ ト」 とあるように通信 に関 しては特 に注意 を していた といえる。 文書の管理 において も防諜対策上様 々な対策が行 われていた。歩兵八十九連隊第五 中隊 (I)6) において 「防諜二関シ書類保管検査 ヲ実施 シ異常 ナシ」 とい う報告がある。つ ま り、部隊 の書類が紛失 し、外部へ書類 が持 ち出 されていないか を検査 しているのである。たびたび 書類 の保管状況 は検査 されてい る。空襲時 には 「書類 其 ノ他 ハ掩 蔽壕 二収 容監視兵 ヲ附 (47) ス」 とし、空襲の混乱 に際 して書類等が散失 しない ように していた。 ILltil 憲兵の巡察報告 に 「宿舎附近二紙屑散乱 シァルハ防諜上注意 ヲ要ス」 とある。 なぜ紙屑 の散乱 まで防諜 と関係 して注意 を しているのか。それは物資の不足か ら文書の下書 き等 に 使 われた紙 を再利用 して他 の 目的で使用 していた。そのため紙屑 として散乱 していた もの の中に、重要 な情報 の書かれた ものがあるおそれがある。そのため防諜上、再利用 した紙 屑 も散乱 させず に処分す る必要があ ったのである。 文書の管理 を厳重 に行 っていた 日本軍 は、米軍の沖縄本 島上陸 に際 して次 のような対策 を講 じた。 機秘密書類非常処理ここ関スル指示 昭二〇、四、四 深見隊長 戦況緊迫 ノ際 二於 ケル機秘密書類 ノ非常処理二関 シ左ノ如ク
指示ス依テ各隊長ハ其 ノ責任 二 於 テ之 ヲ確実 二実施 シ軍機保全 二滴遺憾 ナキ ヲ期 スベ シ ー、処理順序 非常 ノ度二応 ジ左 記順序二依 り処理ス 1.栄-回処理 (直チニ実施) ィ、不必要書類一切 ロ、陣地図 原本- ヲ残地 シ タル外全部 ハ、教育図書 現 二必要ナルモ ノ以外全 こ、下士官以下 ノ手帳 2,第二回処理 (大隊長二於 テ指示スルモ現況之 ヲ許サザル場合ハ各隊長ノ命ジタル時期) ィ、必 要欠 クベ カラザル書類各一部 ヲ残地 シタル他 一切 註、残存書類 (連絡規定、略語表、陣 中 日誌、 (判読不能) 3.第三回処理 (判読不 能) -138-史料編集室 紀 要 第26号 (2001) 残存書類全部 4.其ノ他突発的危機二際シタル トキハ随時 二、処理方法 1.処理方法ハ焼却爆破破砕沈下埋没等アルモ時間二余猶アル第一第二回ハ最モ安全ナル焼却 法ニヨルベシ 尚処理ハ焼却法ヲ原則 トス 2.処理ノ際ハ将校立会シ之ヲ確認セシムベシ 3.処理ノ都度速ヤカニ大隊長二報告スベシ 特二連絡規定及略語表ヲ処理シタル場合ノ日時一連番号ヲ報篭語ベシ 4.爾後ノ処理ノタメ予メ石油爆薬等ノ材料ヲ準備シ置クベシ この ように して文書の種類 による処分 の時期が定め られてお り、処分方法 も指示 されて いた。第八十九連隊第五 中隊において 「機秘密書類等ハ事前 ニオモムロ焼却スル等 ノ処置 (50) ヲ講ズベ シ」 とし、文書処分 の命令がだ されている。 (51) また
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年の8
月、 日本軍 は 「戦闘ニハ書翰、 日誌ハ絶対二所持 セヌコ ト」 とい う指 示 を出 してお り、戦場 において私的な物であれ書簡、 日誌等が他者の手 に渡 り情報が漏洩 す る事 を防止 しようと していた。 文書等 の管理、処理 に限 らず写真の撮影 に関 して も 「背景二地貌建造物等 ノ全貌 ガ写真(
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2) ニ硯ルコ トナキ様注意」 とし、で きる限 りどこの写真 であるか とい うことが判明 しない よ うに注意が された。 また、撮影 した写真 に関 して も 「撮影 した写真 ノ裏面二必ズ検 閲済 ノ (53) 印 ヲ押捺」す ることを義務づ けている。 日本軍 は郵便、通信 な どの外部への情報の伝達手段 に対する防諜対策のみではな く、写 真 の撮影方法 な どまで規制 を敷いて陣地配備状況 などの 日本軍の情報が外へ漏れない よう に していた。 また、地上戦が始 まると米軍への情報提供の源 とな りうるあ らゆる文書 の処 分 まで行 い、米軍 に対す る機密の漏洩 を最小 限に くい止 め ようと していたことがわかる。(3
)住 民 との混住禁止 による防諜対策 第三十二軍 は沖縄移駐後、兵舎等の施設の不足 か ら住民 と混住す る形で民 間施設 を使用 す ることを余儀 な くされていた。陣地の配備状況お よびその他の情報が地域住民へ漏れな い ようにす るため部 隊移動の実情 な ども秘匿 していた。 しか し、「書翰、買物等 ヲ地方人 (.rid) ニ依頼スル コ トヲ禁ズ」 とい う指示が出ていることか らも、住民 と将兵 との間にある程度 のや りとりがあった ことがわかる。軍民が混住す る状況 においては、 この ようなや りと り に よ り地域住民 に対 して将兵か ら直接 陣地の配備状況が漏洩す る恐れが増大す る。第三十 二軍が沖縄へ移駐 を完了 した1
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年9
月か ら約1
ケ月経過 した11月7日、独立重砲兵第百 大隊 (球一八八〇部 隊平 山隊) において次の指示がだ された。 平作命 第十七号-1
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9-史料 編 集 室 紀 要 第26号 (2001) 平 山隊命令 十一月七 日〇七三〇 船窪台 一、隊主力ハ十一月十 日迄二舟窪台附近二幕営配置 ヲ完了スル ト共こ硯陣地構築作業 ヲ中絶セ シメザル如 ク有カナル一部 ヲ以 テ兵舎 ノ建築二着手 シ十一月二十 日迄二之 75弄 成 シテ民家 卜完 全二離脱 シ、衛生、防諜、其 ノ他 ノ問題 ヨリ隔絶 シ作戦準備二専念セ ン トス この命令 によ り平 山隊は住民 との混住 をやめ、陣地構築の人員 を割いてまで兵舎 を建築 した。その 目的は衛生、防諜、その他 の問題 より隔絶す ることによ り、作戦準備 に専念で きるようにす るためであった。 第六十二 師団において も参謀長注意 として 「地方住民 卜混住 同居 シテ居 ル部隊アルモ之
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6) ハ厳禁 ス 衛生上、防諜上、風紀上非違誘発 ノ算大 ナ リ」 として住民 との混住 を禁止 して いる。 第三十二軍 は住民 と混住す ることに よ り衛生上、防諜上、風紀上不祥事が起 こ りやすい 状況 にある事 は危倶 していた。 しか し、部隊の沖縄移駐後、部隊 と住民の居住地域 を完全 に隔絶す る事 はで きなか った。 この ような危悦 を持 ったまま作戦準備 を行 っていた第三十 二軍 は、 この時期 や っと部隊 と住民の混住 の禁止へ踏み切 ったのである。 それではなぜ1
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年11月にな りあ らためて住民 との混住 の禁止 に踏み切 ったのか。第三 十二軍配下部隊が沖縄へ移駐後最低 で も1ケ月が経過 した ことによ り、兵舎等の造成 に兵 力 をまわす余裕が出来た とも考 え られるが、その主要 な原 因 となった ものに十 ・十空襲が あげ られるであろ う。十 ・十空襲 に伴 い次 にような事件が多数起 こった。 第七四号 石兵団会報 十月十九 日 一二〇〇 浦添国民学校 (前略) 4.憲兵隊 ヨリノ通報ニ ヨレバ空襲後盗難事件頻発 シア リ軍人ニ シテ空家二立入 り物品 ヲ持 出ス者 ア リ ト注意 ヲ要ス (57) 又避難民 ニシテ糧食衣類等盗 ム者 アリ ト各集積所倉庫等ハ監視 ヲ厳 ナラシムルコ ト (58) 十 ・十空襲以前 は南西諸島に対 して大がか りな空襲 は行 われてい なか った。そのため十 。十空襲 に よ り、軍民 ともに情勢が緊迫 した状況であることを認識す ることとなった。 ま た、十 。十空襲 に伴 い、軍人の空 き巣の頻発、住民の陣地内への進入 による盗みなどが起 こった。 この ことによ り、機密の漏洩や将兵の行 いによる住民の離反、それ を原因 とした 住民の防諜意識の低下 を危倶す ることになる。 また、部隊 と住民が混住 している状態 にお いて攻撃 を受 けた ときの混乱の ようすか ら、第三十二軍の司令部 は米軍上陸 に伴 う混乱 し た様子 を具体 的に実感で きたであろ う。そのため十 。十空襲後の11月初旬 に急速第三十二 軍 は配下部隊 に対 して、軍民の混住 を禁止す る指示 を出 したのである0 -140-史 料 編 集室 紀 要 第26号 (2001)
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)軍属 を介 しての機密漏洩防止対策 第三十二軍 において軍組織の維持 は将兵のみで行 われているわけではなかった。独立混 成十五連隊第四中隊は、臨時傭 人 に関す る次の ような指示 を行 っている。 臨時傭 人使用二関スル指示 -、部隊ハ本駐屯 間兵 ヲシテ戦闘準備二専念 シムル目的ヲ以テ臨時傭人 ヲ使用 ス 二、臨時傭 人ハ連隊本部発行 ノ腕章 ヲ左腕二附着スルモノ トス 三、臨時傭 人 ノ勤務時間ハ〇八。○○ ヨリー七 ・〇〇迄 トシ帰宅 ノ折ハ連隊本部二立寄 ラシム ルモ トス 臥 防諜二関シテハ惰伊責任者二於 テ特二注意スベ シ (七月十一 日 古堅) 傭 人 を含 めた軍属 は、他 の住民が立入 を禁止 されていた陣地周辺へ業務時 に限 り入 るこ とが許 されていた。 したが って、軍属 を他 の住民 と見分 けるため に腕章 を付 けるように指 示 したのであろう。軍属 は軍組織 を維持 す るために必要であったが、将兵 と直接接触 し勤 務 していたため他の住民 と比べ軍の機密 に触れる確率の高い人々であった。 また、勤務時 間終了後 は帰宅す ることになっていたため軍の 日の届かない ところで見開 きした情報 を漏 らすおそれのある存在で もあった。例 えば 日本軍 は次の ような事態が多発す るの をおそれ たのである。 石九六会第一四五号 会報 十二月二十四 日一六〇〇 玉城国民学校 (中略) 三、飛行場整備 ノ勤労奉仕学徒 団員等 ニ シテ飛行機 ノ性能名称行動等軍機事項 ヲ該飛行場ニア ル兵 ヨリ説明 ヲ受 ケ之 ヲ書翰二記載スノ炉 ノ事例 アリ 陣地構築等 二於 テモ此 ノ種軍機事項 ヲ 漏洩セザル如 ク防諜上特二注意 スルコ ト この ような事態が多発す る と将兵が防諜対策 として機密 の漏洩 を防 ごうとして も、軍属 を介 して機密が漏洩す ることになる。そのため機密の漏洩 を防 ぐため に軍属 に対 して も将 兵 と同様 に制約 を設 ける必要があ ったのである。 炊事婦 と して軍 と関わ りを持 つ ことになった人 に対 しては、「服務場所ハ部 隊炊事場 ト (61) シ服務時限ハ通常〇七〇〇 ヨリ一八〇〇迄 トス」 とい うように勤務場所、時 間が決め られ (62) ていた。 また、「業務以外 ノ事項 二間 シ兵員 卜談話 ヲ禁ズ」 とし、業務以外 の情報 を軍属 に与 えない ように していた。軍属が仕事 の上で得 た情報 において も 「業務上知得 セル事項(
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3) ニ関シテハ厳 二防諜 二留意 シ自ラ其 ノ責二任 ズルモ ノ トス」 とし、他者へ勤務時間に知 っ た こ とを話 してほな らない とされていた。 日常の勤務 についてこの ように様 々な決 ま りを 作 ることによ り、軍 と密接 な関係 を持つ ことになった軍属か ら他者への機密 の漏洩 をで き る限 り防 ごうとしたのである。 - 141-史料 編 集 室紀 要 第26号 (2001) 米軍 上 陸後、 日本 軍 の防諜対策 は よ り厳 しい もの となった。第三十二軍 の司令 部 におい て 「天 ノ巌戸 戦 闘指揮所取締 二関ス ル規定」 が出 され た。 防諜 に関連す る もの を抜 き出す と次 の通 りであ る。 第二章 洞窟出入二関スル事項 第二条 各坑道ノ出入 リヲ許スモノハ戦斗司令所内二服務シァル各部隊ノ将校以下 トシ其他 ノ 出入二関シテハ左記各号二依ルモノ トス 1,面識ナキ他部隊ノ将校以下ハ確実ナル実証ナキ限り出入ヲ許可セズ 2,戦斗司令所内二依 ル雇傭人 (嘱託ヲ含む)ハ指定入口ヲ走メタル左記様式 ノ出入許可証 ヲ 交付 ス (中略) 3.身分保証 ノミニ止ムル嘱託ハ其ノ用件こ依 り出入リヲ許可シ自由ナル行動 ヲ許サズ 4.一般地方人ハ如何ナル用務 卜雄モ洞窟内二出入セジメズ 5.夜間下士官以下ヲ洞窟外二出入セジメル時ハ下士官以上ノ指揮 ノ下二実施セシムルモノ ト シ各部隊 (各部)先任将校二於テ指示スルモノ トス 第六章 防諜こ関スル事項 第二十三条 防諜上下士官兵軍属 (嘱託雇傭人 ヲ含(ii,)ニ対スル面会 ヲ一切禁止ス 又軍属 (嘱託雇傭人ヲ含ム)ノ単独歩哨線 ノ通過 ヲ禁ズ この規定 を見 て み る と、一般住 民 の洞窟 内へ の出入 りを禁止 してい るの は当然 と して、 下士 官 、軍属 に対 す る面 会 を禁止 し、軍 内部以外 へ の情報 の漏 洩防止 を よ り厳 し く行 って い る。 また、洞窟- の出入 りに関 して将兵以下全 ての ものが面識 が ない場 合 は、確 実 な身 分証 明が な され な けれ ば入 る こ とを許 され なか った。つ ま り、面識 の ない もの全 てが 間諜 で あ る恐 れが あ る と してい たので あ る。 また、第二十 四 師団の第八 十九連 隊 において次 の ような指 示 が 出 され た。 対諜報網強化二関スル件 昭二〇.四.五 深見隊 一、諸情報 ヲ総合スルニ敵 ノ偵察手段ハ逐次積極化シツツアルモノノ如ク現在迄知 り得 タル敵 ノ島尻地区二村スル二、三ノ例左 ノ如シ 1.将校下士官 ノ服装 ヲシテ潜入セルモノ 2.兵ノ服装 ヲナシ潜入セルモノ 3,或イハ避難民 ヲ装 ヒ潜入セルモノ ◎時刻ハ主 トシテ前半夜二多 ク避難民 ヲ装 ヒタルモノハ中頭 ヨリ避難シ来 タルヲ告ゲテ洞窟ノ 所在及部隊位置 ヲ聞ク ◎幹部ノ服装 ヲナシァルモノハ高圧的二主 トシテ防衛隊、兵 ヲ対象 トシテロロ地隊 ヨリノ連絡 者ラシク見セカケ戎ハ道二迷 ヒタル風 ヲ装 ヒ甚ダシキ空腹 ヲ訴エテ食事 ヲ行 ヒ退去セル 例アリ 二、各隊ハ担任地区内ノ之等二関スル警戒 ヲ厳ニスル ト共二特二敵 ノ対象 トナルベキ兵ノ教育 ヲ徹底スベロロロ 1.夜間単独行動 ヲ戒ムベシ (前項謀者ニ ヨリ防衛隊兵-殺サ レタル例アリ)
2.
遭遇セルモノハ直チニ最寄部隊二新都二連絡ノ手筈ナスコ ト (合言葉)3.
地方民 ノ居住 シァル周辺二監視者ヲ配シ侵人出ヲ警視 シムルコ ト 4.軍機事項二亘ル質問ヲ受ケタル場合其 ノ言動 (特二発音)ニ注意 -142-史料 編 集 室 紀 要 第26号 (2001) 無条件 二陣地 ノ状況洞窟 ノ状況其 ノ他 ヲ語 ラザルコ ト 5.日隊 ノ直接警戒 ヲ厳 ナラシ
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ルコ ト) 6.其 ノ他臨機 ノ処置 ヲ為ス コ ト この文書 は将兵、避難民 などを装 って米軍がスパ イを潜入 させ ている とい う情報である。 この指示 においてスパ イの格好が、避難民の格好 だけではな く、将校下士官の服装や兵の 服装 を してい る もの まであった としている。つ ま り、 この文書 は、避杜氏の格好 を した者 だけではな く、将兵 の格好 を してい る者 まで も身元がはっきりしない者 は、スパ イとして 疑 う対象 としている。 この ような状態 になる と信 じられる ものは面識のある もののみ とな り、その他 の者は全 て間諜 と見 えて きたであろ う。情報の漏洩 を防 ぐために将兵 は、面識のない者 に対 しては 一度 はスパ イ として疑 うようになっていった といえる。6.
軍 民 一 体 化 の も とに行 わ れ た 防諜 対 策(1
)防諜組織への住民の組み込み 「軍防諜参考資料」 は防諜 の限界 を示 しつつ も、機密 の漏洩 による被害 をよ り広範囲に 拡大 させ ないために次の ような指示 を行 っている。 二、憲兵 ノ緊密 ナル協力 ヲ必要 トス 1.憲兵 ノ防諜上 ノ協力事項 ノ主要ナルモ ノ左 ノ如 シ ィ、軍隊 ノ防諜措置二関シ専門的立場 ヨリ意見 ヲ具 申ス ロ、官民 ノ防諜協カニ関 シ軍隊 ノ要望遊 二憲兵 自ラ必 要 卜思惟 スル事項 ヲ伝達 シ之 力具 現 ヲ指導ス ハ、軍隊官民 防諜実施 ノ状況 ヲ監察 シ上司 ノ指導二資ス (中略) 三、官民 ノ協力指導二就テ 官民 ノ積極、消極両部面二亙ル協力ハ極 メテ必要ニ シテ部隊 トシテハ 自ラ若 クハ憲兵 ヲ通 シ 協力 ヲ要請 シ其 ノ実行 ヲ指導スル要アリ而 シテ一般二沿岸地区 ノ官民 ノ協力精神ハ十分ナル モ ノアル ヲ以 テ之二必要ナル コ トヲ理解納得セシムル ト共二防諜上 ノ措置 ヲ組織化 シ挙村保 秘二協力スルノ態勢 ヲ作 ル ヲ必要 トシ又他面防諜上 ノ要求二基 ク生活 ノ圧迫 ヲ最小限ナラシ ムル要ア リ 尚将来住民 ノ敵手二人ル場合等 ヲ考慮 シ逐次深刻ナル防諜観念 ノ徹底 ヲ期 スル ト共二骨幹陣 地 ノ簡炉素質二関シテハ其 ノ要点 ヲ官民二対 シテハ一切秘匿スル如 ク指導スル ヲ要ス (後略) この文書 か ら軍の防諜対策 において憲兵の役割 をみ る も軍への意見具 申、官民への指導 など軍 と官民 を繋 ぐ役割 を担い、防諜 の全体 を把握す る存在であ ったことがわかる。防諜 対策 における官民への指導 に関 しては、防諜対策の重要性 を理解納得 させ協力す る態勢 を 組織 的に構成 してい くことを求めている。 -143-史料 編 集室 紀 要 第26号 (2001) また、住民が敵の捕虜 となった場合の対策 として防諜観念の昂揚 を行い機密事項 を洩 ら す な どの敵へ の協力 を阻止 し、同時 に陣地の確信 に迫 る情報 を与 えない ことが挙 げ られて いる。 日本軍 は島峡地域 における防諜対策 に関 しては特 に重要視 していた。 しか し、機密 の漏 洩 を完全 に防 ぐことは不可能であるとい う認識 を持 っていた。そのため憲兵 を通 して地域 の防諜組織 を確立す ることにより、地域外へ の機密の漏洩 を防 ぐとい う考 えを持 っていた。 つ ま り、軍組織 と地域組織 とい う二重の防諜組織 を成立 させ広範囲に機密が漏洩 してい く ことを防 ごうとしていた。 また、地域住民が捕虜 となった場合 を考慮 し、防諜観念の昂揚 に重点 を置いていたが、住民 に対 して陣地の確信 に迫 る情報 に関 しては与 えない ように し ていた。 機密 漏洩 の防止 についての具体的な方策 としては、「一 間諜 ノ取締 二 通信 ノ取締 三 新 聞、雑誌其 ノ他 ノ取締 四 内外 人出入国旅行 ノ取締 五 其 ノ他軍事上 ノ秘密、 (67) 軍用資源秘密、国家機密、総動員機密及経済秘密 に接触スル者 ノ特別取締」 を行 うとして (68) いる. また、 「- 警察消防官吏 二 警防団 三 各庁警備員」 を活動主体 とし、その 下部組織 も含 めた国民全体で防諜対策の取 り締 ま りを行 うとしている。つ ま り、取 り締 ま りを軍 隊内の組織 だけにとどめず、官民全体 に機密保護のために活動す る事 を求め、民 間 組織 も関与す るような軍民一体の防諜組織 を作 っていった。 その ような中、空襲時に 「敵 ノ諜者二村 スル警戒 ノタメ昆布 -後原 間ノ海岸線 ヲ左記区 (69) 分二依 り巡察スベ シ」 とし、空襲の混乱 に乗 じてのスパ イの潜入 に対 して警戒 を行 ってい た。 また、スパ イが潜入 した と情報 を得 た ときには次の ような対策 もとられた。 □作命秘第-早 第-護郷隊命令 三 ・二八 〇八 ・〇〇 谷父岳 -、民情報二依 レバー部落下投入牒者ラシキモノ字汀間二降下セリ 二、第-護郷隊ハ一部防諜班ヲ以テ之ガ摘発ヲ実施セントス 三、玉城兵長ハ秘密防諜班員ヲ率ヒ直チニ出発シ基地汀間道ヲ前進民ヲ指導シ瀬高以来ノ捜索 二任ズベシ 臥 安富祖兵長ハ兵五雪 7。,(軽機-ヲ附ス)ヲ率ヒ基地 字大川-大浦ヲ前進シ大浦附近二至り 右工作二協力スベシ この報告 は、スパ イ潜入の情報が入 り、それに基づ き摘発のための捜索 を行 った もので ある。 この情報 は、「民情報二依 レバ」 とあ るように、民 間か らの通報 である。 この こと は、陣地周辺地域-不審者が潜入 した場合、地域住民が軍へ報告 し、軍がその情報 を もと に摘発 をす る とい う防諜対策 における軍民 の関係 が うま く機能 していた ことを示す もので ある。 住民 を主構成員 として防諜 とい う役割 を特化 させ て組織 された ものに 「国士隊」がある。 -14
4-史 料 編 集 室 紀 要 第26号 (2001) (71) 「国士 隊」 は、「国頭郡翼賛壮年 団 ノ機構 中二組織」 され、1944年3
月
12日に結成式が行 われ た。 国士 隊 は、 「緊張 セル諸情勢 二鑑 ミ地方側 二秘密戦特務機 関 ヲ設置 シ一般民衆 ニ 対 スル宣伝 、防諜 ノ指導及民情 ノ把握並最悪時二於 ケル諜報 ノ活動 ヲ強化」 す る事 を目的 と して結 成 された。 「国士隊」 の結成 は民 間団体 であ った翼賛壮年 団が軍 の防諜組織 の 中 に直接 組 み込 まれ防諜 、謀略の専 門組織 と しての役割 を担 った ことを意味 してい る。(2
)住 民 に対 する戦 意昂場 と防諜意識 の昂楊 日本軍 は機密 の漏洩 を完全 に防 ぐこ とは不 可能 と考 えていた。そ こで軍組織 内 における 防諜対 策 を施 す ことに加 え、地域住民 に対 す る防諜対 策 を施す とい う二重 の防諜対策 に よ り機密 が広範 囲 に漏洩 してい くことを防 ご うと していた。住民 に対す る防諜対 策 と して重 要 な対 策 とされていたのが防諜観念 の昂揚 であ る。地域住民 の防諜観念 を昂揚 させ る事 に よ り、軍 内部 か ら地域へ漏洩 した機密が他 地域- と伝 わる ことを防 ぐこ とがで きる とした のであ る。 太平洋戟争が始 まった1941年の5
月
12日か ら18日の間全 国一斉 に防諜週 間が実施 され た (73) ようで あ る。 その防諜週 間に八重 山警察署長が各官公衛長 に各官公衛 、各 団体 にたい して 次 の要綱 に したが って指導す ることを指示 した。 防諜 要綱 一、回情調査ノ疑アル照会、間合七等ガアッタラ回答前必ズ警察二相談スルコ ト 二、新聞雑誌等二掲載投稿スル内容ハ国情調査二利用サ レル恐アル事項ヲ避ケルコ ト 三、公衆ノ集合シタル場所等デ機密事項ヲ諜ラナイコ ト 四、帰還将兵及出征将兵ノ遣家族ハ軍機 ヲ洩サヌ様注意スルコ ト 五、所謂接客業者ハ来客者二対シ妄 リニ機密事項 ヲ洩スガ如キ言動ナキ様憤 シムコ ト 六、水陸ノ形状若クハ施設物ノ状況ヲ空中高所 ヨリ撮影シタリ測量シタリシテ居ル者ガアツタ ラ何処デモ構ハナイカラ必ズ警察二届出ルコ ト 七、スパイノ狙フ秘密ハ軍機ノミナラズ外交、内政、経情、、交通、気象、防空其ノ他作戦団 ガ判定資料 トナルベキ凡テノ事項ノ調査蒐集ナルコ トヲ忘 レナイコ ト 八、挙動不審ノ内外人ヲ発シタラ時ヲ移サズ最寄警察官署二通知スルコ ト 九、如何ナル誘惑買収ニモ快シテ迷ハナイ様弔辞 ヲ守ルコ ト 一〇、流言飛語二惑ハザレナイ様普意スルコ ト この要綱 に よ り官公庁及 び各種 団体 に対 してか な り具体 的 な防諜対 策 の方策が示 されて い る。 同時期 、防諜週 間に各学校等 におい て講演 を行 うように指示 されてい た。 その講演 の参考資料 には、出征 兵士 の見 送 りにおいて見送 りの人々が あの兵士 は どこの どの部 隊 に配属 され る とい う話 をす るこ とや井戸 端会議 な ども 「知 らず知 らず にスパ イの(
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5) 手先 を してい る例」 であ る とまで し、軍機 に関わ る ことは公 的な場所 に限 らず内 々の関係 にあ る者 同士 であ って も話 をす るこ とを禁止 したのである。 また、具体 的 に防諜 に関す る -145-史料 編 集 室紀 要 第26号 (2001) 指導 を行 うことによって、身近な所 にスパイがいるという危機感を与え、防諜の重要性 を 認識 させ ることにより、国民に対 して防諜観念を昂揚 しようとした。 第三十二軍 は、「忘恩功利」の性質を持つ沖縄県民 に対 しどのように防諜観念の昂揚 を 行 って も日本軍が不利 と見 ると米軍 に寝返 り軍機 を漏洩するか もしれない という不安を抱 いていた。十 ・十空襲以後、沖縄住民の中には情勢 に対する不安が広がっていったことは 否定 しょうがない。そのため 日本軍は、「一般民衆ハ敵情緊迫 ヲ察知シ疎 開避難者 ノ激増
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6) ト人心 ノ動揺注意 ヲ要ス」 とし、沖縄住民の動揺 を抑 える事 に力 を入れることになる。 民情の動揺 を抑 える対策 として情報操作 を行った。米軍の沖縄上陸直前の1
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年 3
月1
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日国頭支隊において 「敵反攻 ノ職烈化 と情勢ノ緊迫特二空襲 ノ激化二伴 フ民心動揺 ヲ防止 (76) シ軍官民必勝 ノ信念 ヲ昂揚 シ現下ノ苦難二飽迫耐忍 ビ戦勝 ノ一途二通進ス気根 ヲ滴養ス」 る事 を目的 として、住民 に対 して次 に挙げる内容に関 して講演等 を行い宣伝するように指 示が出されていた。 -、米国人的資源欠乏 (-)囚人 ヲ釈放軍隊二人ル (二)人的資源 ノ不足ハ士気 ヲ低下セシメッツアリ (中略) (≡)人 的資源及戦時生産諸材料 ノ不足二対処為戦時動員局ハ新 タニ規制 ヲ設 ケ労力不 足 ノ深刻 ナ地域二於 ケル従業員数 ヲ制限スルコ トニナ リ (中略) 二、出血作戦 (-) 出血戦 コソ敵米国二対スル最モ効果且痛烈 ナル戦法 ナ リ、 (中略)敵 ノ局部的進出 二介意スル コ トナク一機 ヲ以 テ克 クー艦諸共二一千 ノ乗員 ヲ屠 ル特攻隊若 クハ懐愉 無比 ナル挺進斬込 隊 ノ活躍等二依 り敵兵 ノ血 ノ最後 ノー滴 ヲ絞 り取 ル迄粘 り抜 ク国 民的決意 コソ必要ナ リ (二) (中略)軍作業部門 ヲ通 ジテ動員余力ハ男女合 シテ百寓余 ナ リ (中略) (四)特 二物量 ノ鎧 ヲツケテ或程度迄生命 ノ安全 ガ保証 ノ見込 アル限 リニ於 テ米国兵ハ 相 当二強キモー度物量 ノ兜 ヲ剥奪 シテ肌 二刀 ヲ擬 スル トキ意外 ノ弱サ ヲ示 ス国民性 ナル コ トハ火 ヲ見 ル ヨリモ明ナ リ 三、「ラバ ウル」ハ敢闘 「一億 ノ最先頭 ラバ ウル同胞」 本土 トノ補給路 ガ断 タ レテ既二年余而モ時 日ノ経過 卜共ニ 「ラバ ウル」 ハ ドッカ リ根 ヲ 下 シ タ精 強 ナ○
○寓将兵 ノー人十殺 ノ勃 々 タル闘魂 卜侯 ツアル ヲ博 ム決戦態勢 トハ一度 戦勢 ノ転移 ヲ見 ノカ長大ナ敵補給路 ノ背後 二対 スル重大ナ脅威 カラー歩 ヲ進 メ 「ラバ ウ ル」 ノモ ツ太平洋 二於 ケル戦略的地位 卜相侯 ツテ終ニハ敵 ノ死命 ヲ制 セズニハ置 カナイ ト些 モ戦況 ヲ悲観 セザルノ ミカ益 々確 乎 タル必勝 ノ信念 ヲ堅持 シテ闘 フ将兵 ノ意気 卜覚 悟 ヲ聞キ不滅祖国二打 ヨス太平洋 ノ騎波 ヲ脱 ミ乍 ラ今撃敵一途 ノ遭進 ヲシツツアル一億 国民就 鷲鼻土防衛 ノ先駆 タル此処南西諸島民 ノ強 ク鈍感スベキ トコロデアル (後略) この宣伝 において、米国 も日本 と同様人的、物的資源が欠乏 し限界 に来ていることを説 き、 日本が不利 な状況ではないことを住民 に対 して意識 させ ようとしている。また、同様-1
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6-史 料 編 集 室 紀 要 第26号 (2001) に資源が欠乏 してい る状況 においては、米兵 は弱兵であ ることを強調 し、同条件 において 日本軍 の方が有利 で あ るかの ように宣伝 している。 また、 ラバ ウルの守備 隊 を例 に出 し、 長期 間沖縄 を雄持 す るこ とに よ り米軍の補給線 に脅威 を与 えてい る と し、一見負 け戦 の よ うで も実 は戦略上 においては優位 である としてい る。 米軍上陸後 も長参謀長 は沖縄新報 の記者 に対 して 「諸君 は もはや情報 を聞 く必要 はない。
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9) それ よ りも早 く提灯行列 の用意 を しろ」 とか 「沖縄戦 は魚 を釣 ってい る ような ものだ。時 (80) 間 をかければ一匹 も釣 りのがす ことはない。」 とい う発 言 を して状 況が不利 な状 態 にある こ とを隠 していた。 この ようにいか に不利 な状況であ って も実 は 日本軍 に有利 であること には変 わ りない と宣伝 し、住民 に対 して戦意の昂揚 を図ろ うと していた。 1945年
4月1日米軍が北谷 ・読谷海岸 か ら沖縄本 島-上陸 し、第三十二軍 と本格 的 な地 上 戦が開始 された。米軍 は沖縄本 島上 陸後、陸海空 か ら第三十二軍の陣地へ 向けて大量の 砲弾 を撃 ち込 んでい った。米軍 は、陣地へ の攻撃 と同時 に住民や将兵 に対 して戦意喪失や (81) 降伏 を促 す事 を狙 い多量 の降伏勧告 ビラを砲弾 に詰め込 み散布 した。 そのため第三十二軍 は米軍 の謀略 ビラの取 り締 ま り及 び流言飛語の暴圧 に力 が を入 れた。 米軍 の謀略 ビラ及 び流言飛語 の暴圧 を取 り締 まることに よ り、 日本軍 が不利 であ るとい う 情報 を住民 に与 えない ように し、住民 の戦意昂揚 に水 を差 さない ように したのである。 第三十二軍 は、住 民 に対 して米軍 の ビラを所持 す る こ とを禁止 し流言飛語 の発生 を防 ご うと していた。 また、 同時 に次 の ような宣伝 を行 った。 1布告 親愛なる諸君 鬼畜の米軍ハ今中頭で何 をやって居るか 洞窟内の同胞を毒 を使 って追出し 出てくる人達を片端から男女老幼の別なく虐殺 している事実を 平和安住の宣伝 ビラの裏に待つ ものは敵の弾 と銃剣である 『サイパン』で も 『テニアン.巨でも又其他の 島々の同胞が怨を呑んだ其の血 其の血を塗った銃剣が再び我々の前に来たのである 諸君退いて偽れる敵の銃剣の 歓待を受けるより皇国民 として 出て諸共に此の仇敵を一人残さず戦滅 しよう 来たれ決死の士は 壮年青少年男女を間はず 共に悠久e?漆 儀 に生 きん 現地部 隊長 この ビラは米軍上 陸後 中頭 地 区での戦 闘が行 われていた4月上旬 、南部 に駐屯 してい た 歩兵第八十九連隊が所持 していた ものであ る。実際住民 に対 して読 まれたか どうかは不 明 -147-史料 編集 室 紀 要 第26号 (2001) であるが、 この ビラには 「住民 によんでやって ください」 と書かれ住民 に対 して宣伝 を行 うことを目的 としていたことには間違いない。 ビラの内容 は、中頭地区やサイパ ン、テニアンでの米軍の非業 を宣伝 し共 に米軍 との戦 いを行 うことを呼 びかけることにより、米軍 に対す る恐怖 を与え投降を阻止 し 「軍民共生 共死の一体化」 を遂行することを求めたのである。 第三十二軍 は、住民への講演 などを通 して防諜意識 を昂揚 させ他者へ機密 を漏洩 させ な い ように していた。 また、住民 に対 して戦意 を昂揚 させ ることにより、 自分の機密厳守の 意識が戦況 に重要 な役割 を果た していると意識 させ ようとしていた。 また、米軍の上陸後 は以前か ら宣伝 されて きた米軍観 に中頭地区 とい う近傍 において米 軍が非業な行 いを しているとい う情報 を加え住民の恐怖心 を煽ることによ り米軍 に投 降す るとい う選択肢 を消滅 させ、住民の残 された選択肢 を 「軍民共生共死の一体化」のみへ と 追い込んでい った。 おわ りに 日本軍は、第三十二軍創設以前、沖縄県民はいつ裏切 るかわか らない存在 としていた。 沖縄守備軍である第三十二軍 も、沖縄県民 に対 して 「忘恩功利」であるとして以前か ら日 本軍が持 っていた もの とほぼ同様の認識 を持 っていた。 しか し、配下部隊将兵だけでは戦 闘準備 を行 うことは不可能であったため、警戒 しているはずの住民 を積極的 に動員 し戦闘 準備 を行 っていった。そのため軍の機密が住民-漏れない ようにする必要があった。 その方法 として軍組織内か らの住民への機密の漏洩防止がある。軍組織内か らの機密の 漏洩は、部隊移動時、通信、住民 との接触などによる機密の漏洩 を特 に将兵 に対 して注意 を行 うものであった。 また、軍属 などによる機密の漏洩が起 こらぬ ように様 々な規制 を設 けていた。 しか し、 日本軍の防諜対策 に対する意識 としては、「軍防諜参考資料」 に 「防諜 ノ限度
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il ヲ考慮スル要 アリ」 としているように、機密が外部へ漏洩す ることを完全 に防 ぐことは不 可能であると考えていた。 沖縄県民 は、飛行場設営、陣地構築など-動員 され第三十二軍の機密 をある程度知 る存 在であった。 また、第三十二軍の機密漏洩防止策の不徹底か ら住民へ機密が漏洩 していた。 このように機密が陣地周辺へ漏洩 した場合のために、 日本軍は地域住民か ら他地域- と 広範囲に機密が伝 わることを防止 しようと考えた。つ ま り、 日本軍の防諜対策は軍組織内 か らの機密の漏洩防止策 と漏洩 した機密 を各部隊が駐屯 している地域内に止 めてお くとい う二重の壁 により機密が広範囲に伝わ らないように しようとしたのである。 漏洩 した機密 を地域内に止めてお く対策 として とられた ものが、地域住民 を利用 しての ー 148-史料編集室紀 要 第26号 (2001) スパイの進入の防止 と、地域住民 に対する防諜意識の昂揚である。 日本軍 は、地域住民 にスパ イが進入 して きた場合、そのことを報告するように指示 して いた。つ ま り、地域住民がスパイを発見 して報告す ることにより、スパ イが陣地の近傍 に 近づ く前 に摘発することがで きるように したのである。地域住民は、第三十二軍の防諜対 策の末端 に位置 し、陣地へのスパイの進入 を防 ぐための歩哨線の役割 を担わせ られていた といえる。 また、地域住民の防諜意識の昂揚 を促す ことによ り、戦争 において自分が不用意 に軍の 機密 について話 さないことがいかに重要であるか とい うことを認識 させ、住民一人一人が 知 り得 た機密 を口外 しないように施 したのである。住民 に対 して防諜 に関する意識 を重要 祝 させ るためにとられたのが、戦意昂揚であった。戦意昂揚 をおこなうことによ り防諜意 識 を維持 させ ようとしていたのである。 第三十二軍が地域住民 を取 り込み防諜対策の末端 として活用 しようとしていたことを最 もよ く表 してい るのが 「国士隊」 などであろう