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不妊女性が受療中に経験した非支援的状況の分析

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(1)

一原著 一

不妊女性 が受療 中に経験 した非支援的状況 の分析

筑波 大学大学 院人 間総合 科 学研 究科

阿部正子

山梨 大学大 学院 医学 工学 総合研 究部

遠藤俊子

キー ワー ド:不妊 女性 、不妊 治療 、非支援 的状況 、経 験 要 旨 本 研 究 の 目的 は、不妊 女性 が受 療 中 に非支 援 的 だ と認 識 した状況 を分析 し、記述 す る こ とで あ る。 不妊 治療 中の 女 性

14名

に面接 を実施 し、質 的 に分析 した。 そ の結果 、不妊女性 が経験 した非支援 的状況 には、【納得 しがたい 医 師の診察時対応 】【ままな らない環境 】【疎外感 を もた らすケア展開 'の 3カ テ ゴ リーが見出 され た。その背景には、 不妊治療 の特性 を踏 まえた医療側 の対応 と、不妊女性 の心理状態、医療 を受ける姿勢 な ど受療者側 の要素か らなる、 不均衡 な相互作用 によつて生 じてい ることが推察 された。 以上 よ り、不妊治療 にお ける看護者 の役割 として、医療 側 と受療者側双方の視 点を理解 した上で、安心 して受療 で きる医療環境 を整 えること、また、お互いの思いを表現 できる関係 を築 くために、看護者 自身の準備性 を高めることが重要であることが示唆 され た。

I.緒

1978年

、英国で最初の体外受精児が誕生 して以来、生 殖医療の知識・技術は飛躍的な進歩を遂げた。それに伴い、 わが国の不妊治療施設数 も登録制度が始まった当初の約

30施

設か ら

2004年

636施

設へ と

20年

間で急増 し、誰 で も身近 に不妊治療 を受療できるとい う状況 となってい る1)。 さらに、検査や治療内容 もますます複雑になると同 時に、不妊治療に関する情報 も巷にあふれ、姑象者が意思 決定 を してい くための情報の取捨選択 が困難 な状況 にも なってきている。 不妊症は、息者 自身に挙児希望がなければ治療の対象 と はな らず、どの治療をいつまで続けるのか とい う忠者 自身 による治療上の意思決定が、治療 を進めていく上で重要視 されている。一方、治療効果が不確実な不妊治療を継続す る忠者は、「妊娠 に対するノ即 三か さ」 とい う悩みを抱 えて お り2)、 不妊治療のサイクル毎に現在の状態や今後の治療 の見通 しに対す る説明への要望が高 く3)、 ィ ンフォーム ド・ コンセ ン トのあ り方が問われている。 しか し現状は、 説明不足への不満 と、事実を把握できないまま治療 を続 け ることへ の不安や葛藤 に基づ くセカ ン ドオ ピニオ ンを求 める内容が、不妊相談の約半数を占めてお り4)、 医療 を提 供す る側 とされ る側 との間にギャップが存在 しているこ とが推察 された。加えて、不妊治療 を受けるカップルが, 治療の過程において最 もス トレスを感 じる状況は、医療者 が不妊忠者特有の情緒的反応や、それに基づ く言動に対す る理解不足に起因する対応 を した場合 に起 こるとされ5)、 不妊治療 を取 り巻 く医療サー ビスの向上にはいまだに多 くの課題が残 されているとい えよ う。 そこで本研究では、不妊女性が治療開始か ら現在に至る までに医療側か ら提供 された様々な支援の中で、非支援的 と受け止めた状況を分析 し、記述す ることを 目的とす る。 Ⅱ

.研

究方法

1.研

究方法 :質 的帰納的研究

2.研

究対象

:A産

婦人科 ク リニ ック不妊外来に通院中 で、体外受精 を受療 している、過去に出産経験のな い既婚女性 14名

3.研

究期間:2002年二8月 ∼

2004年

3月

4.調

査内容 と方法 :デ ータ収集 は半構成的面接法 とし、

次の手順で行つた。①質問内容は、不妊を疑う契機

となった出来事≧その時の思いや考え、不妊治療を

開始してから現在に至るまでの思いや考え、その時

の出来事とした。②面接時間は対象者の精神的負担

(2)

を考え、

1人

あた り

1回

1時

間程度 とし、許可を 得 た上で録音 した。③面接場所は各対象者の希望に 合わせて、 自宅もしくは対象者が設定 した場所 とし た。なお、対象の背景や不妊治療経過等に関す る情 報 は、本人の許可を得てカルテから収集 した。

5.デ

ー タ分析 :録音データか ら逐語録 を作成 し、不妊 治療 を始 めてか ら現在 に至るまでに不妊女性が経験 した内容か ら、特に受療中に経験 した出来事や、そ の ときの思いを語つている部分に着 日し、「もっとこ うして欲 しかつた」 とい う要望や、医療者の対応 に 違和感や不満足感を表明 している語 りを、受療 中に 経験 した不妊女性の『 非支援的状況』 と捉え、分析 デー タ として抽出 した。それ らをコンテクス トの類 似性 に基 づいてカテ ゴリー化 した。分析の信頼性・ 妥 当性の確保 に関しては、研究者

2名

で検討を重ね るとともに、生殖看護に携わる看護師

1名

に分析結 果 の照合 を依頼 した。

6.倫

理的配慮 :本 研究は、計画書の段階で調査実施施 設 の病院責任者 より調査許可の承諾 を受けた。対象 者 の選定お よび調査依頼は、体外受精者 リス トを管 理す る施設のエ ンブ リオ ロジス トを通 じて内諾 を得 た後、研究者か ら研究の趣 旨と協力依頼にういて書 面お よび 口頭で行 った。面接を始める際に再度、調 査途 中の辞退が 自由であること、またそれによる不 利益 は被 らないこと、得 られたデータは匿名 化す る こと、データは調査者が責任 を持って管理す ること を伝 え、書面による同意を得た。 Ⅲ

.結

1.研

究参加者の背景および面接の実施状況 研究参力日した不妊女性の平均年齢は 346(23‐

42)才

、 不妊治療期間の平均年数は 4.9(1・

15)年

、治療段階はす 表

1.研

究参加者である不妊女性の背景 べて体外受精あるいは顕微授精の段階であつた。体外受精 の適応は、卵管因子 5名 、子宮内膜症5名、免疫性不妊2 名、原因不明 2名 であ り、実施回数の平均は 4,2(2‐lo) 回であった。転院の経験者は 14名 中8名であった(表1)。 研究参加者には 1第 につき1回の面接 を実施 し、面接時 間は

55分

87分

であつた。

2.受

療 中に経験 した不妊女J性の非支援的状況 逐語録か ら非支援的な状況 と判断 された場面は

35場

面 であ り、これ らを本研究のノ刀(析対象 とした。不妊女性が非 支援的 と受け止めた状況において、コンテクス トの類似性 か らカテ ゴリー化を行つた結果、I納得 しがたい医師の診

察時対応】〔

ままならない環境】【

疎外感をもたらすケア展

開】の

3カ

テゴリーが見出された

(表2)。

内容の詳細に

ついて以下に述べる。なお、本文中では 〔

】はカテゴリ

ー、《

》はサブカテゴリー、「

1ま

データを示す。

1)納

得 しがたい医師の診察時対応について 〔納得 しがたい医師の診察時姑応 】は、特に診察におけ る医師との関係性の中で生 じてお り、不妊治療の不確実性 とい う特性を踏まえた医師の対応 と、不妊女性の治療への 期待 とのギャップを基盤 ≧して引き起 こされていた。 《治療方針 に対する説明不足》では、治療方針について 明確な根拠が示 されず、不妊女性は治療に対す る不確かさ を抱えこまざるを得ない状況であった。特に、同じ治療が 繰 り返 された時に経験 したと語るものが多かった。 「生理のとき “生理がきま した

"っ

てい うと、“ほんな ら 何 日後ね

"っ

て言つて、それだけ言われて下がる (診察室 を出る)とかね、ものす ごい時間が短いことがあるんです よ。当時はまだなかなか言い出せな くって “また…

"と

思いなが ら」 C 有征 ^ 有 有 ︵ 狂 ヽ 有 有 有 有 征 ︵ id A B D E F G H 」 K M N L 30 36 34 34 42 42 38 32 38 34 31 23 38 38 27 20 27 29 34 27 23 27 28 25 25 20 34 22 結婚年齢 パー ト パート 常 勤 パー ト パヽ―ト 征 ^ 征 ヽ 常勤 4[ 常勤 征 ^ パ ート 征 ^ 鉦 仕 事

lGOP

OGOP

3GOP

lGOP

OGOP

lGOP

lGOP

2GOP

lGOP

OGOP

2GOP

lGOP

lGOP

2GOP

産科歴 2年 15年 6年 4年 6年 9年 1年 5年 2年 6年 5年 2年 2年 4年 治療期 間 0年 10年 5年 2年 5年 6年 0年 2年 1年 1年 4年 2年 2年 2年 IVFまでの期間 10

IVF回

IVF適

応 卵管因子 免疫性不妊症 卵管因子、排卵障害 子宮内膜症、排卵障害 原 因不 明 子宮 内膜症 卵管因子 子官内膜症 子宮内膜症 免疫性不妊 子官内膜症 卵 管因子 原 因不 明 卵管因子

(3)

カテ ゴリー

納得しがたい医師の診察時対応】

ままならない環境】

疎外感をもたらすケア展開】

「こういう原因が、もしかしてあるかもつて。なん か私、割 りに結構ね、当面の見通 しまで言つて欲 し いほうなんですよ。だけど先生あんまりいわはらヘ んから」 《忠者の理解度の未確認》では、医師が検査や治療の必 要性について忠者の理解度を確認す ることなく、相手の意 向を優先 した結果、不妊女性は実施後に `こんなはずでは なかつた

"と

い う思いを抱いていた。 こうした経験は、不 妊の原因疾患の治療 を優先す る場合や、治療 の不成工力が続 き、不妊女性の焦燥感が募 る時期 と重なっていた。 「流産 しちゃ う人の検査ってい うのがあるつて聞い た し、や りたいって先生に言つた ら “じゃあや りま しょうか。でも、その可能性 はないとは思 うけど" って。“いやいや安心はひ とつでも多いほ うがいいか ら"つ て言つて無理やってもらったんです、3回日の (体外受精 の

)前

に。ただ、その検査が私は白黒出 るもんだ と思ってたんです よ。“大丈夫です

"つ

てい われ るか。そ うした ら先生が “正常範囲内です

"っ

て言つたんで、ちょっ とだまされた と思って。だま されたつてちょっと表現は悪いですけど、 白黒でる もんだ と思ってたか ら」 《治療方針 における個別性の欠如》では、治療方針にお いて個別性が軽視 されているとの思いを抱き、治療への前 向きな意欲 を阻害す る状況が示 されていた。こうした経験 は、不妊治療が長期化 した不妊女性 に限 られてお り、また 転院や治療の一時休上 のきっかけ として も語 られていた。 「例えば、判定 日の 2日 後か 3日 後に行 つた時に、 “えつ と前の時、妊娠反応 って結果報告 したつけ" とか。 も う頭の中で誰が誰だか'……もう人数多いの はわかつてるんですけ ど、なん となく個人に合わせ てやつて くれ てるとは思 えないんです よね。形だけ でも “あなたに合つた治療 をや ってるんです

"っ

て い う風に思わせてくれ ると、“ああ、私にはこ うい う や り方が合 つてるか ら、 こ うや つてるんだ

"っ

て思 表

2.不

妊女性が受療 中に経験 した非支援的状況 サブカテゴリー 《治療方針 に対す る説明不足》《息者の理解度の未確認抄 《治療方針 にお ける個別性の欠如》《医師主導の治療計画》 《公に され る危険性》《プロ トコールの厳箔 さ》

マニュアルどおりの対応》《非効果的な共感の提示》

えるんですけど。なんか不妊治療の人はみんなこの 流れでやつてるんだっていう風にちょつと感 じます ね」 《医師主導の治療計画》では、不妊治療 のプ ロ トコール に則つて治療を進める医師の治療姿勢が、不妊女性にとつ て押 し付けと受け止められ、その結果、医師主導の治療ペ ースに乗せ られていると捉 えていた。こ うした経験は不妊 治療期間が長 く、体外受精回数が

5回

以上の場合や、年齢 が高い不妊女性の語 りに認 められた。 「次、生理 きた時に一応、行かなきゃ と思って受診 した ら、“す る"と もにしない"と も言つてないのに、 “もう時間ない しな。次は 1月 来て"と か言われて。 “ええ……。す るつて言つてないんだけ ど、なんか す ることになったみたい

"と

か言って、だんなに」 「一般例みたいに、わ―つとその先生の頭の中で組 み立てが出来ていて。私 は前回 こ うい う症状があつ たか らこうして欲 しいつてい う要望云々よ りも、一 般的に “こ うい う流れでや つて るか ら、次 ここまで いつてるんだつた ら次こうね

"っ

てい う感 じで」

2)ま

まならない環境について 【ままならない環境】は、病院の運営システムや治療方 針が不妊 とい う心理的な脆弱性を抱えている不妊女性に とつて、安心感を欠く環境 として捉えられていた。 《公にされる危険性》では、不妊 とい うプライベー トな 問題が公になる危険性をはらんでいた り、否定的な情緒的 反応を引き起こす環境に否応なく晒されて、逃げ場がない 状況を示 していた。特に、治療中に流産を経験 したり、体 外受精を開始 した直後には、妊婦の存在や高額な治療費の 支払いを通して、自分と他者 との相違を強 く感 じていた。 「やっぱり不妊治療は不妊治療の階で設けてほしい です。そ うでないと、だめやつたときに隣の部屋で 赤ちゃんの胎動 とかの音を聞くのがす ごい…私のは もうないんやなとか思ったりとか。あと、妊婦さん がすごい混んでたときに立ってはった ら、やっぱり

(4)

席 を譲ってあげるんです けど、そのときす ごいつ ら くて、譲 らんかった らいいのにって」 「自分が行 き始めて感 じたんですけど、金額聞いた らわか りますよね。だか らあそこの病院はそ うい う の (不妊治療

)も

や って るか ら、そ うい う人 も。だ か ら普通に座っているぶんには分か らないんです よ。 例 えば私 もわかってない とは思 うんですけど、もう 聞かれた ら分かる、値段 と力、 “あっ

"て

い う感 じに なるんです″亀 だか ら、それが全然、何も普通の方 とかは分かつてない とは思 うんですけど、そ うい う ところがちょっと “お―っ

"と

か思いますね」 《プロ トコールの厳密 さ》では、女性の性周期に則つた 厳密 な体外受精の診療スケジュールを強い られるため、仕 事を持つ不妊女性に とっては調整が難 しいと感 じ、ままな らな さを抱いていた。 「採卵するのも戻すのも、“1週間入院 してやってく だ さい

"っ

て。で も、仕事 を している者 には、それ は過酷」

3)疎

外感をもた らすケア展開について 【疎外感 をもたらすケア展開】では、医療スタンフの役 割遂行が忠者の利益 を凌駕 して しま う事態が生 じていた。 《マニュアル どお りの対応》では、不妊治療 を円滑に進 めることを優先するあま り、医療スタッフの都合を押 し付 け、忠者への配慮に欠けた対応によって不利益が生 じてい た。 こうした経験は、施設に慣れない不妊治療の開始問も ない頃や転院直後、あるいは、初回の体外受精実施時に限 られたものであった。 「(胚移植のために

)台

でスタンバイ して待ってる時 間が長かつた ときがあって、かぜひいたことがぁる。 まあ、忙 しい ししょうがないかなと思って」 「担当とい うか分かれているから “(本目談を

)誰

に言 った らいいんだろ う

"と

い うのがはっき りわか らな いんです。前は、 田舎の病院やったか らか しらない ですけど、みんながみんな優 しかったんです よ縄 で、都会の病院に変わった ら看護婦 さんが少な く、 今はなんか こ う、ギスギスバ タバ タみたいな感 じあ つたか ら」 《非効果的な共感の提示》では、医療スタッフが不妊で 悩む息者の心理を推 し量 りなが ら関わろ うとしたが、息者 のニーズを査定できず、ちぐは ぐなや り取 りが交わ され、 不妊女性 には心理的な距離感 を抱かせ る状況 を生み出 し ていた。こうした経験は、特に個別の不妊相談時に認 めら れた。 「最初の時、泣き落 としにあつたかのよ うに “全部 話 していいのよ

"と

か “隠 さな くていいの よ

"み

た いな感 じで話 してたんで、なんか思わず こっちがほ だ されちゃって “いや本当に私なんでもないんです" つて泣いているんです。先入観、多少はあったのか も しれ ない…だって “嘘ついてるで しょ

"み

たいな 感 じがずっと。“本当のこと話 して くだ さい

"っ

てい う感 じで言われま したか らね。なんか初めて会 う人 にそんなことも出来ない し」 「私にもどつかに、子 どもがない と一人前の人間 じ ゃない、女′性じゃないってい うとこがあったんだ と 思 う。だか ら余計に焦る気持ちもある し…1回利用 したんです、不妊本目談窓 口に電話 して。“子 どもが産 めない と、 自分を人間に思えないです

"っ

て言った ら、その人が “私 も (子どもは)Vヽ ません

"っ

て言 われたのは、もう参 りま したけど」 Ⅳ。考察 本研究の結果より、不妊女性が受療中に経験 した非支援 的状況には、【納得 しがたい医師の診察時対応】【ままなら ない環境】【疎外感をもたらすケア提供】の 3カ テゴリー が抽出された。その背景には、不妊治療の特性を踏まえた 医療側の対応 と、不妊女性の心理状態、医療を受ける姿勢 など受療者側の要因からなる、不均衡な相互イ乍用によって 生 じていることが推察された。これ らを踏まえて、以下の

3点

から考察する。

1.不

妊治療を提供する医帥 Iの立場 不妊治療は、生殖の営みを尊重 しつつ従来か ら生殖機能 を補助す る立場であ り、治療内容は女性の身体への影響が よ り少ない方法 より選択する◎そのため、不妊の原因を明 らかに しよう溢しなが ら、検査 と治療が平行 して段階的に 進 め られ る。加 えて、不妊女性が受ける治療の実際は、不 妊原 因や年齢により受診行動や治療経過が異なって くる。 しか し、現時点で不妊治療の最終段階 とされ る体外受精に おいて も、妊娠率に限界があ り、反復治療を要する場合 も 少 な くない。そのための精神的・身体的・経済的負担は大 きく、また治療 に伴 う多胎妊娠や卵巣過剰刺激症候群など も問題 となっている6比 不妊女性が受療中に経験 した非支援的状況は、こうした 不妊治療の特性が関与 しているもの と思われ る。その背景 として、全員が体外受精を受療 してお り、卵管因子による 絶対適応や、長い治療経過の末に体外受精に至るプロセス を経験 し、この方法で しか妊娠す ることができないとい う

(5)

認識 を持っていたこと、そのため、妊力「、二す るとも限 らない 治療 の不確実性の下、期待 しては失敗 を繰 り返すたびに、 なぜ上手 くいかないのか、本当に妊娠できるのだろ うかと い う不安が増大 していった と考えられ る。 しか し、医師か ら納得のいく説明を受けることが出来ずに、不消化のまま 治療 を繰 り返す ことが続 く状況の中、不妊女性 自らの意思 で治療を継続 してお り、治療を継続す るか否かも自分で決 定 しな くてはな らない。そ うした意`思決定の困難 さは、治 療 のステ ップア ップを勧め られた ときに、不妊治療への迷 ぃ、くD葛藤が起こりやすい7)≧ぃ ぅ報告か らも、医師か ら十 分 な情報提供 を受 けて最 良の治療 を選択 したい とい うニ ーズが満たされない場合には、診察時の医師の武応 を非支 援的 と認識す ることは容易に想像できる。 更に、不妊治療の成工力率を上げるには、女性の性周期に 合わせて頻国にホルモン動態を調べ、卵胞をチェックし、 タイ ミングを計る。そのため不定期な受診を余儀なくされ た り、性生活を指示 され るな ど、プライベー トな領域まで も医療の管理下に置かれ る。また、体外受精ではほぼ lヶ 月 に渡 る厳密 なプロ トコール に則 つて集 中的な通院期間 が必要であ り、仕事 との両立には困難 を伴 う。そのため、 対象者 の3分の2は、治療のために仕事を辞めた リパー ト に変更するなど、治療 を中心に据 えた生活へ と変更 してい た。高額な治療費の負担 ともあいまって、先の読めない治 療 を継続するプロセスは、不妊女 性にとつてままならなさ を強く認識せ ざるを得ない環境であると考えられる。

2.受

療する忠者側の立場 不妊女性は、子 どもがいない ことによつて社会的な不利 益 を被 ることもしば しば経験す る中で、「不妊であるがゆ えの傷つきやす さ」を抱 えてお り8)、 孤独感や不安を抱き なが ら通院 している現状がある。力日えて、不妊治療を継続 す ることは、女性やカ ップルにとって子 どもを得るとい う 希望の継続保障 となるため9)、 一旦、治療を開始すると妊 娠す るまで何でも試みなければな らない、追い詰められた 状態に陥る1け。また、不妊女性が、生殖期の時間制限とい う「時間性JI♪ を意識す ることで、治療 に対する積極的な 姿勢を維持す ることも報告 されてい る。ある対象者は子宮 内膜症の治療を優先す る方針 を泥示 された時に、「だんだ ん切羽つ まつて くるつてい うか…

6回

無駄 に され るつて い うのは非常に嫌だつた」 と語つていた。このように息者 の妊娠への期待に反 して、一定の治療 を複数回実施 してか ら次へ と段階的に進 められ る不妊治療 は、不妊女性にとっ て、あるところにとどま らざるを得ないことへの苛立ちと 不安を強め、よ リー層治療 に姑す る焦燥感を煽 る結果につ ながることが推察 され る。反面、妊娠 に関しては悲観的な 見通 しを持っているとされI♪、精神 的な脆弱性 を■んでお り、その対処 として、周囲と距離をおいた り1♪、物事 を感 情的に処理す るといつた行動を とり易 くlp、不妊女性 は孤 立感 を深 め内向性を高めていることが考えられ る。 一方、不妊治療が子 どもを得 るとい う、夫婦の希望をか なえる唯一の手段 と位置づけられ ることによって、パ ター ナ リズムに陥 りやすい との特性 1♪ が指摘 されてお り、対 象者 の語 りにも「素人だか らわかんないですか らね、医者 の指示 に従いますって言 う感 じ」 と述べていることか ら、 医療側への遠慮が先立ち、自分の思いや要望を伝えにくい ことが推察 された。また、不妊治療のス トレスは、治療の 費用や検査 。治療の回数 と高い相関を示す 10と の報告か らも、不妊女性は不妊治療の長期化や治療段階が進むたび に、ジレンマや コンプレックスを内在化 しやすいことが推 察 され る。それ らが、不妊である自分を強 く意識す ること につなが り、医療環境の何気ない風景にも敏感 に反応 し、 ネガテ ィブな感情を引き起こしていると考えられる。

3.不

妊治療における看護者の役割 不妊女性が受療 中に経験 した非支援的状況は、不妊治療 の特 性による医療側 の要素や、受療す る患者側の不妊によ る傷つきか らくるコンプ レックスの内在化など、双方の要 因が絡み合って不均衡な相互作用が生 じていた。そ うした 狭間に立って調整を行 うのが看護師の役害」であるが、【疎 外感 をもた らすケア展開】とい う非支援的状況より、不妊 治療 に携わる看護者側が抱えるジレンマが推測 された。 渡邊 Ipは、看護者 自身の困難や葛藤 について 「不妊症 忠者の特性を理解 したケアが実践できない」「期待に反す る治療結果場面でアプ ローチができない」「治療の選択に 踏み込む ことができない」ことを明 らかに し、その事象 は、 看護者が無意識 の うちに、自らの価値基準によつて患者の 言動 を評価 しがちなこと、看護者が忠者をステ レオタイプ で捉 え、あ りのままの息者を受け止めることができていな い ことに起因 していたと報告 している。看護者のこうした 困難感や葛藤は、忠者 との距離を無意識にとることにつな が り 《マニュアル どお りの武忘 》 となった り、相手の思い を汲み取れず 《非効果的な共感の提示》といつた対応の仕 方に現れ、その結果、不妊女性 と看護者間に心理的距離を 生み出 していることが推察 された。 以上 よ り、息者 との援助的関係を結ぶためには、まず効 果 的な共感 を提示す るために看護者 自身の準備性 を高 め ることが必須である。そのために不妊看護研修会等を不可用 し、不妊治療における患者への具体的な支援方法を理解す ること、その結果、実践に対する自信を持つことによって、 看護者 自身のス トレスの軽減 とステ レオタイプ的認知か

(6)

らの脱却につなが り1の、ひいては安心 して受療できる環境 が整 えられ、対等な関係性 を築 くことができると考える。 V。 本研究の限界 と今後の課題 本研究は対象者が同一施設に限 られた息者であるため、 研究結果の一般化には限界がある。また、′刀`本斤場面を患者 が認識 した非支援的状況に限ったため、不妊治療 をめぐる 医療環境の評価 としては偏 りが生 じたことも否めない。今 後 は、非支援的状況以外に支援的状況についても分析を追 加す ることで、より多角的な視点か ら現状を評価 し、生殖 医療 における “padent・(:entered cTe"と い う理念を具現 化す るための専門的支援について、考察を深めることが課 題 である。 Ⅵ

.結

論 不妊女性が受療中に経験 した非支援的状況を質的に分 析 した結果、医療側の対応 に起因す るカテ ゴリー として 【納得 しがたい医師の診察時対応 】〔ままならない環境】 【疎クト感をもたらすケア展開】の 3カ テゴリーが見出され た。その背景には、不妊治療を提供する医療側の特性や、 不妊女性の心理状態、医療を受ける姿勢など受療者側の要 素からなる、不均衡な相互作用によつて生 じていることが 推察された。 訪僻 本研究を遂行するにあた り、不妊治療中にも関わ らず快 く調査にご協力いただきま した女性のみなさま、およびコ ーデ ィネー トしていただいた施設 の皆様 に心 よ り感謝 申 し上げます。 なお、本研究は平成15。

16年

度文部科学省研究費補助 金 (若手

B)課

題番号

(15791312)に

よ り実施 した研究 成果の一部である。また、本研究の要 旨は、第

5回

日本生 殖看護学会学術集会において発表 した。 文献

1)久

保春海 ほか :平成

15年

度倫理員会 。登録・調査・ 小委員会報,日本産科婦人科学会雑誌,57(1):118‐146, 2005

2)長

岡由紀子 :不 妊治療を受けてい る女性の抱えている 悩み と取 り組み,日本助産学会詰,14(2):18‐

27,2001

3)中

嶋文子

,阿

部正子

,宮

田久枝 :不妊原 因別にみた不 妊治療中の女性の医療に姑す る要望の分析

,滋

賀母性 衛生学会誌,6(1):38‐

43,2006

4)橋

村富子 :生殖補助医療 と看護 の役割‐相談事例か ら

ARTを

考える

,臨

床看護,33(6):879‐

384,2007

5)SheHtt RA: Understan山

lg the EmOhnal

Aspects of 11lfe比饉

ty: ImpLcat10ns fOr

Nurshg Practtce, Jounal of PsychOsOcial

NШ嗚4工

g & Mental Health Se■

宙ces, 4213): 40・47,2004

6)荒

木重雄 、浜崎京子編著:不妊 治療 ガイ ダンス第

3版

, 医学書 院

,p.99,2003

7)伊

藤妙子

,赤

城恵子

,

鈴木 良子 ほか :不 妊相談1500 例 のデー タに見 る生の声、助産婦雑誌,53(3),218‐222, 1999

8)長

岡 由紀子 :不 妊治療 を受 けてい る女性 の抱 えてい る 悩み と取 り組 み,日本助産学会誌,14(2),18‐

27,2001

9)阿

部正子 :体外受精 を受療 してい る不妊女性 の治療継 続 の経 験 的 プ ロセ ス。 日本 生殖看護 学会会誌 4(1), 34・41, 2007

10)01shan乱

ER:Responses to High Technology

lnfel北工iけ

Treatment.IMAGE:」

ounal of NШtthg Scholarshp,200,128‐ 131.1988

11)Shandelowsky Mり PO■

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ounal of Nu■

'sLag

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,森

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(7)

Analysis OfUnsupport市 eS詭

uatお

ns Experlenced by Women

Duttng lnfert赴

Treatment

MasakoAbe

Univeぉ 均/ofTSukuba G■・aduate School ofCompl・ehenslve Human S(差 nces

ЪshttЮ EndO

U五

、℃rsiけofYamanashlnterd飩中止na■yG■'aduate School ofMe出 山確and En脚礎elⅦg

Key words:雌

比工

e wOmen,蜘

断 趾 け tl・

eatment,unsttp鵡

shations

Abstract

田に

purpose Ofthis study was to ttlalyze sttuattons du■

ing infe乱

五け

tl・

eatmentthat were peК

eiⅥd as

unsttportive by women and to ttcuss the management ofnllrshg supptt h reproductive assistance

medk五

ne.An mterⅦ

ew was conducted on 14 women du■

'ing theと

と洗

rtility tl→

eatment.As a result,

llnsupportive ttuations expeれ

nced h health‐

care sethgs were ttntitted as fo■owsi al regarttg the

relatlonsと

)with physttans‐

a lack of explanatton Of the ttsults oft()sts and tttatmentsi a treatment

plan based on the physiciants pre∞

ncelved oplFll()nS the phys近 anis failぱ

e to cOttm the patie∬

s

understan山

the laCk Of an h血

dualized tttatment policy;b)覺 gttding the relationship wih the

health‐ calfe en■

h1lment‐

an imttitility tl・

eatment envlrcl1lment which色 ∬

avorable to O随

n偽;

inconvenient tteatment scheduling,c)Ю gMとhg the Ю

la伎

)nsI中

th paramedical stalf‐

inユe述ble

response to clients,herFective response to clien偽

.In such sttuatlons,the cophg strategies most

色equently used by wOmen were hesttating and giving up showing theと

wishes.In such situations,比

seems hat heЮ

is a failure tO llnderstand boh the凹

ueneSS Of each clie∬ s experience of ttltiliけ

p■

oblems and the One‐

sided s位

uctllre of colllnunications betteen the health‐ care prσ

胡錮に

r and the

client as a backttound fact04 TheSe indings suggest the need to provlde a nRIrse to create an

envlro1lment h which clients can easily express the予

feehgs and wお

hes,to act as a pattnt advoca俺

and to strengthen cOmmllttcattons,

参照

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