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初等教育教員としての児童の造形活動を支援するために求められる能力に関する考察(4) : 実技センター美術分野における教育活動の改善試案

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Academic year: 2021

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(1)初等教育教員として児童の造形活動を支援するために求められる能力に関する考察(4) ∼実技センター美術分野における教育活動の改善試案-. 岩下碩通**. 初田隆*. はじめに. 性を以下のように整理する。. 近年の教員採用率の著しい低下や、教育課題の変化に 伴い、教員養成系大学(学部)のあり方自体も再検討を 迫られている。兵庫教育大学においても、定員数の見直 し、教育組織の改変等が進められている。 兵庫教育大学学校教育学部附属実技教育研究指導セン ター(以下実技センターとする)は、 「実技能力及び実 技指導力の向上を図ること」を目的として、昭和57年4 月、第1期学部学生の入学と同時に開設された。爾来、 自学自習によって一定の実技水準に達したと思われる学 生に「グレード」を付与する「グレード制」を基軸に、 学部学生の実技力の向上を図ってきた。しかし、本学学 部改組の進行と共に、その存在意義や今後の方向性が改 めて問われることとなった。当然、実技センターの機能 や指導体制、課題の内容や目標とする能力構造などは固 定化されるべきものではなく、教育の動向や学生の意識 の変化に応じ、改善の努力が続けられねばならない。 そこで昨年度より、実技センター美術分野では、初等 教育教員として求められる実技力の要素や水準に関する 研究の一環として、センターで育成すべき能力や目標、 課題内容などを再検討することとした。 1実技センター美術分野の教育活動改善の方向性 実技センター美術分野では、中央教育審議会や教育課 程審議会の示す21世紀に向けた教育課題に応えることの できる教員をどのように育成するか、また、教員採用率 の著しい低下に伴う学生の意識変化、教員養成の空洞化 という問題にどのように対応していけば良いのかという 観点から、教育活動の改善の方途を探ってきた。 平成9年2学期末には、グレード課題提出直後の1回 生全員を対象に意識調査を行い、グレード課題の好感度 やグレードシステムの問題点などを分析した。また、中 教審や教科審の示す教育課程改善の方針を検討し、これ からの美術・図工科を担う教員をいかにして育成してい けば良いのかを考察した。その結果を「初等教育教員と して児童の造形活動を支援するために求められる能力に 関する考察(3)一実技センター美術分野の活動内容の改 善について∼」にまとめた( 「実技教育研究第12号」 初田・岩下1998年3月) 。 同論文を踏まえ、実技センター美術分野の改善の方向. 図1改善の方向性 改善の方向性として、まず、実技センター美術分野の 教育活動を、 「初等教育教員養成に向けた造形基礎教 育」と「青年期の美術教育」という二つの側面から捉え 直すこととした。これまでは、前者に比重をかけた教育 活動をおこなってきたが、教員希望者数、採用者数とも に減少する状況においては、教員養成レベルに視点を限 定せず、普通教育としての美術教育という視点も合わせ もった教育活動を構想すべきと判断したからである。ま た、そのことによって、従来の課題内容にも奥行きが出 き、学生の学習意欲の向上に繋がるものと考えた。 そこで、実技センター美術分野で育成すべき資質能力. *、 **兵庫教育大学学校教育学部附属実技教育研究指導センター ー59-.

(2) を、次のように捉える。つまり、将来的に教育現場で機 能させるための造形スキルのみを想定するのではなく、 青年期における美術教育の課題ともいえる"美術を通し た世界観の再編"と、教育的な視座(教育実践力)の獲 得が、実技力の習得過程で、相互に連関し合うような能 力構造を想定することである。 また、教育職員養成審議会の答申で述べられている「地 球的視野に立って行動するための資質能力」や「変化の時 代を生きる社会人に求められる資質能力」の意味内容、及 び新学習指導要領の主張点などを視野に入れて、実技セ ンターで育成すべき資質能力を方向づける必要がある。 本稿では、以上を踏まえ、実技センターで育成すべき資 質能力の具体化を図り、グレード課題及び実技センター が関わる授業内容についての試案を示すこととなる。 2育成すべき資質能力について. 図2児童の造形活動と教員の能力. 初等教育教員として求められる資質能力、青年期の美 術教育の課題、及び両者を関連づける視点について考察 する。 2-1基本的な視点. 児童の造形活動を支援するということは、造形主体の 条件(児童の実態)を把握し、課題の条件を児童の実態 に即してたてていくこと、課題の条件を満たすのに相応. 教員養成系大学・学部では、児童の造形活動を支援す るに相応しい能力水準の確保がまずもって望まれるとこ ろであろう。. しい造形要素の選択を示唆したり、児童が課題を受容し やすいように既習の造形要素を対象化させたり、イメー ジを喚起させることである。また、状況に応じて新たな 表現方法や加工技術などの提示を行うことである。つま. 実技センター美術分野では、一般的な造形要素の分析 を通して、造形指導に必要なミニマム・エッセンシャルズ を抽出するとともに、図画工作科の教科書から出現頻度. り、図1の3円の重なった部分(a)を拡張して行く活 動が支援であるといえる。. の高い技法や素材、道具などを選び出すことによって、 一定の基準を設定した(1)。それに基づきグレード課題の 内容を選定し、学生の作品を評価してきたのだが、先に も述べたように、あくまでも将来的に役に立つであろう という仮定のもとに立てられた基準であり、現時点での. そのためには、教員自身が造形要素を構造的に把握し ており、課題の質や児童の到達度に応じて自在に適用で きなければならない。図2に即して考えてみるならば、 次の3つの能力を想定することができる。. 学生の問題意識や学ぶ姿勢を顧慮したものではなかっ た。従って、学んだ事柄が断片的、表層的にしか定着して いなかったり、特に教職に進まなかった学生にとっては、 ほとんど価値のない学習となった可能性も高い。. ①造形活動を進めるにあたって必要な要素(素材、 表現形式、表現方法、加工技術、道具の操作な ど)についての知識や技能、価値付け ②児童の実態(造形性、造形的な発達段階、造形. そこで、自身の制作体験(自己表現)を手がかりにし て、美術表現の価値や教育的意義を、自ら見出していく ことができる能動的な姿勢を重視することにした。別言 すれば、自己表現の過程を積極的に対象化することに. への意欲や関心、既習の造形要素など)を把握 する能力 ③児童の実態に即して造形要素を分析し、題材を 設定・展開して行く能力. よって、自己の存在を問い、同時に表現過程を児童の学 習過程や教師の指導過程に置き換えて捉えることができ. ①の能力は一般に実技力と呼称されているものであ り、 ②、 ③は実際の教育現場で必要不可欠な要素として 教育実践力と呼ぶことができる。 ②能力の実質. る資質能力を想定する必要があるということである。 2-2初等教育教員として求められる資質能力 か下位能力の設定 まず、児童の造形活動を想定してみる。 児童の造形活動が成立するためには、造形課題と造形 主体の条件が即応しており、各条件に応じた造形要素が 選択されることが必要である(図2) 。. 言うまでもなく、初等教育教員の造形的な実技力や教 育実践力を単純に専門的内容への習熟度で規定すること はできない。佐々木が述べているように1'l、 「普通教育 における美術教育は造形の専門性に立脚した造形活動を 直接的な教育媒介としながらも、その活動の所産として. -601.

(3) の有形無形の学習者の情緒的・精神的な成長を期待して いるから」であり、 「したがって、美術教師の資質につ いても様々な造形の活動そのものについての深い理解と ともに、その教育的、文化的、社会的な意義を、急速に 変化する現代的コンテクストの中で建設的に捉えて行く 能力が必要となる」のである。 つまり、表現への指向性や技術の高低よりも、造形表 現を通して感得した造形芸術の価値や意義を、教育的、 社会的な文脈において客観的に把撞し、それを児童の成. 生の意欲を喚起することは容易ではない。柴田は「図ら ずも再び美術と出会うことになった学生たちの反応」が 「絵をうまく措けないというコンプレックス」と「もは や美術など自分の思考回路には存在しないという一種高 圧的な態度」の二通りあり、 「美術教育は円滑に展開し ているとはいい難い」としているが(6㌧教員養成系大 学・学部学生の現況を言い当てている。 そこで、 「 『美術が自分にとってどのような意味を持 つか』を問う自己探求が教育の大前提としてある以上、. 長・発達の軸に即して具体化していくことができる資質 能力が、重視されているのである。先に設定した実技力. 教職という職能的条件を取り去った形で、青年期と美術 のかかわりを考えることが重要であろう」 `7)と提案して いる。 青年期を、それまでの造形的発達の連続体の一環とし て位置づけ、その特質や発達課題を把握することによっ. と教育実践力は、一体的に捉えられるべきであることが わかる。造形についての知識・技能と教育活動が、実際 の教育場面で相互補完的に機能することは、次の例から も確認できる。 南部は「美術科の教授法は造形的内容と有機的に結び ついて存在する」としたうえで、授業観察から抽出され た「造形対象の言語化スキル」を基にマイクロティーチ ングをおこない、その有効性を検証している`3)。 初田も被験者に教材の構成とモデルの作成をおこなわ せ、その過程で実技力と教育実践力がどのように働き、 統合されて行くのかを観察したが、実際の教育的な活動 場面では、自身の造形活動で生起する問題や対応の方略 などを、児童の立場に置き換えて意義付けすることが不 可欠であることを確認した(4)。 「造形の表現力とそれを支える造形理論と、その上に 子どもを知り授業として体系的に構造化していくという 教育技術とが、欠くことのできない基本的能力である」 という鈴木の指摘(5λに疑問の余地はないが、それらを一 体的、且つフレキシブルに捉えていくことが重要である といえる。 以上のことから初等教育教員に求められる資質能力と して次のことがいえる。 (∋造形要素のそれぞれについて、一定の知識と操 作の経験を持ち、要素間の繋がりを理解してい. ること。条件に応じて造形要素を適切に組み合 わせ、造形的な課題を解決することができる。 (参造形実技の経験を客体化し、児童の造形活動に 結びつけて意義付けすることができる(自己の. て、上述した青年期の停滞の克服が可能となるのではな いだろうか。教員として求められる資質能力の獲得も、 学生が造形活動を通して主体的に自己探求をおこなうこ とと切り離しては考えられない。 大勝は青年期を、 「世界観との出会いを基礎とした造 形活動の時期」であるとし、次のように停滞の原因を分 析している(8)。第1は「現在の教育環境が、発達の外観 の転換を急ぎすぎるために、十分な量的蓄積を保障する ことなく、質的転換を仮像的に重ねてきたこと」。これ は「4本足のニワトリ」現象(9'にも通底する見解である と思われる。第2に、 「子どもたちが世界解釈の要求か ら絵を措いてきたのであるが、青年期には-一一応外界と内 界との相互理解を完了して、これ以降は言語などによる 思索的な活動によって新しい世界把握が可能であるらし い、という予感が生まれる」こと。第3は興味の対象が 分化し、専門化していくことである。 これらの原因に対して大勝は、 ① 「自我の再編期であ るホットな青年期にもう一度、誕生以来の重要な活動を やり直すこと」 、 ② 「青年期の世界解釈を造形の舞台の 上で展開することを誘う」こと、 ③ 「自己の興味と共通 する課題を各自に見つけさせること」を克服の観点とし てあげている。 以上の指摘はすでに実践への手がかりを内包してい る。 ①については幼児教育の授業などで、紙を千切って 並べたりする造形的な遊びに熱中する学生の姿を思い出 すことができるし、 (か、 (釦こついては演劇部や軽音楽部 などのポスターやパンフレットの意匠に驚かされること がしばしばあるからである。これらと教育的な視座とを. 造形活動を他者のまなざしから観察し、そこで 生起する問題や対応の方略などを、児童の立場 に置き換えて捉える) 0 ③児童の人間形成にとって、造形芸術がどのよう な意義や価値を持つものかを理解している。 2-3青年期の美術教育の課題について. 取り結んでいく中から、具体的な課題内容や授業を構想 していくことが可能となろう。. 2-4能力の構造. 2-2で述べたような資質能力を獲得させていくこと が責務であるとはいえ、実際には一般学生を対象とする 美術の授業(実技センターグレード課題も同様)で学. 以上を踏まえ、実技センター美術分野が育成すべき能 力の構造を、学生の学習過程(能力の獲得過程)に即し て図3にまとめた。. -61-.

(4) 専門化した興味の対象L. 課題意識・自己の生き方について ・教職への意識'等. 自. 課題解釈. 己. 課題の把握. 教育実践力. 表. ・児童の実態分析 ・単元の構成 ・単元の具体化 ・単元の展開 ・評価活動. 作. 現 の. ・課題の分析 ・表現要素の分析 適用 ・材質特性の把握 ・道具、用具の適用 ・加工技術の習得 ・表現形式の適用 ・表現技術の適用. 過 和. 展開 自己評価. 自己探求・世界観の再編 造形芸術の価値の自覚. ・児童への共感的 理解 ・適切な指導言 ・基本的な技術の 示範 ・児童の求めに応 じた技法や道具 の選択 ・個々の児童に応 じた課題設定 ・個々の児童の作 品の良さや問題 点の指摘. 図3能力の構造 (丑学生が、現在個別に抱えている課題意識を、造形的 に表現していく過程で、自らの意識の流れや内面の変容 が対象化されること、 (訂造形芸術の価値の自覚が促され. 化の激しい時代にあっては、同様の感性、感覚、創造力 などの開発は重要な課題となろう。. ること、 (彰自らの表現過程を児童の学習過程や教師の指 導過程に置き換えてイメージすること。このような能力. 3教育活動の改善試案 改善試案の作成にあたってまず、内容構成の基準表を 作成した(図4) 。学習の方法として、 「感覚をひら. の獲得過程を想定して、学習内容や指導体制を整えてい く必要がある。 なお、本稿では詳述しないが、今日の教育的課題や新 学習指導要領の主張点などを踏まえると、 「社会の変化 や教育の課題を的確に把振できる感覚や感性」や「課題 解決に主体的に取り組むことのできる創造力」(10)、加え て教育観(児童観、指導観)及び学校観そのものを刷新し ていくことができる柔軟な教育姿勢などが、これからの 教員の資質能力として、ますます期待されることにな る。また、教職へと進まない学生にとっても、今日の変. く」 、 「表現方法の研究」 、 「課題の発見・追求」 、学 習領域としては「ものとの交流」 、 「こころの探求」 、 「環境との対話」 、 「生活の発見」のそれぞれを設定 し、マトリクスを作成した。方法と領域の交点に、学習 内容の基準項目を記述している。 従来の領域区分(絵画、工芸、デザイン、彫塑等の) を横断する視点から、今日的な芸術文化の様相、教育の 現代的課題、現代の学生の意識などに対応できる学習を 生み出そうとしたのである。. -62-.

(5) 方. ① 感覚 を埠 ら.く. 法. ② 義政 方法 の 研 究. ③ 諌 革 の 発卦 追求 .. (調 査 .研究 .発表 ). 基 礎的 な造 型感 覚 領. 初等 教育 教 員として必 要な. をはた らか せ る活 動. 域. 表 現方 法 や技 法の. 設 定 した課 題 の 主体 的 ... . 体験 .l追求 活動. (領 域 の 目標 ) もの との. 物 への同化.共感 l l素材の良さや特性の感到. 軸 ...實 .鍵. l行為と痕跡についての対象佃. な探 求 活 動. l造形物 .行為への価値や意味の付朝 陳材の良さや特性を引き出すこd. 陣面的な思萄. Wssm m 轟輪 .. 自らの 関心 に基 づ いて .. 一 造形作品の鑑司. 粒形行為の範囲についての認瑚. 陣 形の成立.固. l造形的な思考の過程.方法の日朝. l立体的な思朝. .美術教育の意萄. l平面と立体との連関的な把増. 餐. lg 面体に基づいた思萄. 一 面材.線材、自然素材l人工素材の特徴の∠. 匪現の形式や拙 司. l造形要素の 自覚.分璃 粗菓、落ち葉、土、紙 等の操佃 l身体的な造形行璃. .木材、粘土、多様な紙の加増 [基本的な道具の操叫 [対象物の再現的表現と抽象化の過増. /{拏lr.崇去め. 蔓 も 恒 己の内面に意識を集中させるこd (メデイテ- シ∃ン-ィメ- ジトレーニング). 」3^. 撫品に現われた作家の内司. [無意識の表出、作品への意味の付朝 一 ヒーリングア寸 の基本的確璃 (自動書記、オルタナティブドロI イング、モダンテクニック等). 容や宙己t. 臣I マに基づくイメージの喚起.表現 (変身、秘密、恐れ、異界、迷宮、畏怖、超越、魔法、鼻糞羅 等). 陶 (空間)に応じた即興的な表現 こ AI妥 ノ ニ 7>こ ご ニ = 粗 a r-v j& 志 士 環境内. l環境芸術への基本的な理飼. 障境問題と芸術の可青【 瑚. 障間や季節の変化に対応したものの見瑚 l民族性や歴史性と芸術表現. :JlJJl. [造形的な伝達桟能についての理解.表現 (ピクトグラム、ビジュアルコミュニケ. シヨン) w 途に応じた機能I構造と「 美」についての理解.表現 ー デザイン 工芸作品の礫能性や造形的効果についての理璃 適 轟を. 作 品の制作及び使用 l [美術館.ギャラリーの訪困. 蝣 hst J: "d-. ;1年次授業/グレードC・B. グレ_-FA 図4内容構成の基準表. -63-.

(6) グレード課題等関連授業(例/初等図画工作f-). 2-3年次美術講座. グレードA. <2年次> 美術鑑賞会(国立国際美術館・吹田) ヌードクロッキー(木炭/コンテ/パステル). 写生会(油彩/水彩). <3年次>. 黒陶を作る. テラコッタの製作. 七宝焼きでアクセサリーを作る. <4年次 >. ▼ +弱 毒 + 年 V Z Z & J t i n▲ 巨 携 転Etr, - 里 だ崇 .A .巌 .賢亮 I. l. ∴++. ヨ 哲. 篤淀. み 戎好. が′. 教 員採 用 試 験 に 向 けた 講 習会 .指導 要 領 の 内 容/ 美術 史 .実 技 試 験 の 対 策. 図5活動内容試案. -64-.

(7) 吉田は「表現領域の形式を拡大し、重複する表現領域 を包括する」、 「美術教育論と美術理論の統合」、「理論と 実技の統合」をカリキュラム編成の基本的な考え方とし て「総合造形」や「平面造形」、 「立体造形」等の新科目. 改組の今後の方向によっても試案実施の可能性が左右さ. を構想しているがHlJ、このような試行的事例は皆無では ない。教員養成系大学・学部のカリキュラム編成におい ては、従来の芸術文化領域による区分から、独自の目的 と機能を持った新たな枠組みを構築していく必要がある のではないだろうか。 続いて、図4に基づいて作成した、教育活動の改善試 案を示す(図5) 。グレード課題と「初等図画工作I」 の授業内容を例示したのは次のような理由による。. 注記 (1)初田「初等教育教員として児童の造形活動を支援 するために求められる能力に関する考察(1)」 『実技教育研究』第10号、 1996年。 (2)福田隆真吉田貴富佐々木宰「教員養成におけ る美術教育カリキュラムの試論」 『大学美術教育 学会誌』第28号、 1995年、 27頁。 (3)南部正人「美術科における教授法習得プロセスの 研究( 1 )」『大学美術教育学会誌』第27号、1994年。 (4)初田「初等教育教員として児童の造形活動を支援 するために求められる能力に関する考察(2)」『実 技教育研究』第11号、 1997年。 (5)鈴木寛男「教員養成大学の美術教育カリキュラム」、 「造形美術教育体系7高等学校教員養成編」、 美術出版社、 1983年、 31頁。 (6)同書、 22頁、柴田和豊「教員養成大学における美 術教育」 。 (7)同書 (8)同書34頁∼39頁、大勝恵一郎「青年期の特質と造 形発達」。 (9)宮脇理「4本足のニワトリ」国土社、 1998年、 「感 性による教育」などを参照のこと。 (10)日本教育大学協会全国美術部門新教育課程検討 特別委員会「教員養成系大学・学部における美術 教育の課題と展望第2次報告書」1997年、52頁。 (ll)福田隆真吉田貴富佐々木事、前傾論文、31頁。. 本学では、 2年次以降の美術の授業は、美術専修学生 を対象とした科目として開講されており、全学生が必修 科目として美術にふれるのは、 1年次の「初等図画工作 I」 、及び2年次の「初等図画工作Ⅱ」のみである。 「初 等図画工作Ⅱ」は4領域からの選択履修であり、学生の 興味・関心が一定受け入れられている他、やや専門的な 内容構成になっている。従って、一般の学生にとって は、幅広く、基礎的な美術の学習を行う場は「初等図画 工作I」に限られることとなる。この授業が、初等教育 教員の養成を目標として設定されていることは、名称か ら見ても明らかであるが、現在では絵画、彫塑、デザイ ン、工芸の4分野がそれぞれ独自の内容で、相互に関連 しあうことなく授業をおこなっている。一方、実技セン ターのグレード課題(C、 B)は1年次学生を対象に出題 されており、 「初等図画工作I」の単位認定と連動して いる。 このような実状から、 「初等図画工作I」の内容とグ レード課題の内容構成とを一体的におこない、相互に関. れるなど、不確実な要素が多いことを最後に断っておき >-い。. 連付けながら指導していく体制をとることに、具体的な 改善の方途を見出したからである。先述したように、初 等教員養成に主眼を置きつつも、青年期の造形課題に対 応していくためには、従来の芸術領域による区分から、 領域横断的、総合的に学習内容を構成し、グレード課題 と1年次授業との関連性を強化した指導体制を作ること が望ましいものと考えたのである。. m?Hm 実技センター美術分野の活動内容の改善について述べ てきたが、将来的には、学部の附属機関から美術講座の 1領域として、教員養成に向けた基礎的・総合的な実技 力の滴養と、領域横断的な青年期の美術教育を担う立場 -と移行していくことを期待するものである。 尚、本稿は、実技センター長の要請に基づき、あくま でも実技センター美術分野としての今後の改善試案をま とめたものである。従って、美術講座及び実技センター 全体の意向が反映されたものではなく、また、本学学部. -65-.

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