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中国民法典(草案)の立法過程について

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(1)海外学術情報. 中国民法典(草案)の立法過程について1). 中国社会科学院副研究貞. 千. 唆敏. 校閲・横浜国立大学国際社会科・学研究科教授. 前書き 2002年12月23日に新中国の最初の民法(草案)が第九期全国人民代表大会 常務委員会第31回会議の審議に提出された。. 、これは,新中国が樹立後に数回. にわたっておこなった民事立法作業,特に20世紀70年代の末から改革・開放. 政策が実施されて以来,国は全力を挙げて行った民事立法活動の成果であり, 立法機関,学者および関連部門並びに広範な大衆が長年間の努力の結晶である。 民法(草案)にはまだ不足な点が多く∵存在しているが,それは,中国における 民事立法の一里塚であり,今後の民法制定には深く影響するものである。中国. 民法(草案)誕生の過程を回顧すれば,民法が中国において誕生する史的必然 性が分かり,将来における中国民事立法の動きを展望することができる。. ,民法(草案)の史的位置づけ 今回の民法(草案)は中国における歴史上数回の民事立法の集大成であり, また,新中国の民事立法の一里簸である。 65.

(2) 横浜国際経済法学第14巻第2号(2005年12月). 周知のように,. 20世紀の初めから今まで,中国における民事立法活動は中. 国社会の発展と同じように,清末,民国およびいまの新中国という三つの時代 を経ていた。. 1.清末の民事立法活動 清末の民事立法活動は,日本と同じように列強の圧力の下で始まったもので ある。光緒33. (1894)午,清の朝廷は,沈家本ほか3人に法律修訂大臣を命じ,. 同年10月に修訂法律館を開き,諸法律の調査起草を行った。日本から法学博 士志田太郎,松岡義正を招聴して民律■の起草に就任し,民律の総則,債権,物 権の3編の草案を作成した。親族,相続の2編は同修訂法律館礼学館の章宗元, 高種氏ほかが編訂した。宣統3. (1911)年8月親族,相続の2編が完成した。. これらを合わせて,大清民律草案であり,史上,. 「民律第一次草案」と言われ. ている2)。. 2.民国時代の民事立法 民国が樹立されてから,法典編纂会を設置して,民法,商法,民刑事訴訟法 の作成に従事した。民国3. (1914)年2月,政府は,法典編纂会を撤廃して,. 法律編査会を設置して,親族編の草案を作成した。民国7 府は,また,修訂法律館を設置して,民国14-15. (1918)年7月,政. (1925-1926)年において. 民法各編の草案を作成した。これは,民国時代の初期に起草された民法草案で あり,史上,. 「民律第二次草案」と言われている。しかし,クーデタ等の原因. により,こ・の草案は正式な民法典にならなかった。 民国16. (1927)年6月,国民政府は法制局を設立して,諸法律の修訂作業を. 司らせた。その後,数年間の期日を費やして,民法典の各編が相次いで作られ, 公布・施行されるようになった。民法総則は民国18. (1929)年5月23日に公. 布され,同年10月10日より施行することを決定した。民法債編は民国18年11 月22日に公布され,翌19 66. (1930)年5月5日より施行することが決定された。.

(3) 中国民法典(草案)の立法過程について. 民法物権編は民国.18年11月30日に公布され,翌19年5月5日より施行するこ とを決定した。民法親族編は民国19年12月6日に公布され,翌20. (1931)年5. 月5日より施行することを決定した。民法相続編は民国19年12月22日に公布 され,翌20年5月5日より施行することを決定した3)。ここに至って,清末か ら始まった民事立法活動はようやく結果が出て,. ■終止符を打った。当該法典は. いままで台湾省において依然として適用されている。. 3.新中国における民事立法活動 1949年2月に中国共産党中央は新中国が誕生の直前に,. 『国民党の六法全書. の廃止と解放区の司法原則の確定に関する中国共産党中央の指示』. 4)を発布し. て,民国18年以来,民法各煽が次第に中国大陸において施行されていた歴史 を終結させた。 公開された文献に対する考察によれば5),新中国が樹立されて以来の民法起 草活動は, 20世紀50年代,. 60年代, 70年代の末から80年代の初めまでおよび. 90年代の末から今までの四回があ.る。改革・開放政策の実施を境にして,二 つの時期に分けられる。 (・1)改革・開放前の民事立法活動 20世紀50年代と60年代の二回の民事立法は,いずれも改革・開放政策が実 行される前の社会情勢の下で行われたものである。 1954年,全国人民代表大会常務委員会(以下,全人代常務委員会と略称す る。)が起草組織を設立して,. 『中華人民共和国民法典』を作成した。起草グル. ープは,民事慣習に対して広範な調査研究を行い,批判的に外国,特に旧ソ連 の民事立法の経験を鑑みたうえで,. 2年あまりの努力を経て,. 1956年12月に. 『民法(草案)』 6)を完成させた。しかし,生産手段所有制の公有化改革と大躍 進運動により,.民法典制定の作業は中断された。. 1962年3月22日の毛沢東主席の「刑法が要るだけではなく,民法も必要で ある。現在は,無法無天7)だ。■法律が無ければならない。刑法,民法は作成し 67.

(4) 横浜国際経済法学第14巻第2号(2005年12月). 無ければならない」という指示8)に従って,全人代常務委員会は,また起草組 織をつくり,一第二回の民法典起草作業を始めさせた。 共和国民法(試擬稿)』. 1964年7月に『中華人民. 9)が作成された。. この2回の民法起草作業は,いずれも計画経済体制の社会的背景の下で行わ. れたちのであり,また,大躍進等の政治運動が行われたため,成功しなかった。 その理由は極めて簡単で,すなわち,計画経済体制が支配的な地位を占めてい る社会においては,民事法律に村する需要は限度があるものからである。 (2)改革・開放後の民事立法活動 20世紀70年代の末から80年代の初めまでと90年代の末から今までの民法起 草活動は,改革・開放政策が施行された新しい歴史的な条件の下で行われたも のである。これは中国において100年あまり行われてきた民事立法作業の集大 成的な総括活動であるが,性格上から見れば,それは清末の受動的な民事立法 および計画経済体制の下での市場経済の需要が乏しく,指導者の個人意志によ. る命令で行った民法起草活動とは,本質的な相違がある。今度の民法典編纂作 業は,中国が世界に向かい,積極的に国際経済の大市場に参与しようとした時 代において行った主動的な行動である。もちろん,内容および形式の面におい て,清未の民律草案と民国時期の民法に対する継受は当然多少はあるが,本質 においては,将来誕生される民法典は,今日の時代的な所産であり,もっと国 際化の特色を備えていなければならない。 以下では,改革・開放政策が実施してから,. 20世紀70年代の末から80年代. の初めまでの民法起草活動および90年代の末から今までの民法起草活動の社 会的背景,中国における法体系の形成,特に今回の民法草案の成立過程につい て考察する。. 68.

(5) 中国民法典(草案)の立法過程について. 二,今回の民法典編纂活動の社会的背景. 1.市場経済体制が確立される過程. 今度の民事立法活動は,中甲が市場経済を施行しようとした歴史的背景(70 年代の末)と市場経済体制がすでに全般的に樹立している歴史的背景(90年 代の末)の下で行われたものである。 1949年,新中国が樹立されたことにより,長年間にわたって持続してきた 列強侵略と戦争状態が終幕し,国家経済の回復と再建が始まった。しかし,新 しい政府は,建国後しばらく,所有制の改革を行い,次第に生産手段の公有制 を実施して,計画経済体制が樹立した。計画経済の体制のもとで,国民経済の 発展が大変に束縛されて,それが国民生活の向上と社会的な諸事業の展開に悪 影響を及ぼした。特に「文化大革命」と言われ.た政治運動と社会動乱によって, 社会経済が崩壊の瀬戸際にまでなった。 このような実情に臨んで,. 20世紀70年代の末から■,中国は改革・開放政策. を実施し始め,全力を挙げて商品経済を発展させ,次第に計画経済体制から市 場経済体制-移行してきた。その移行過程は次のような段階を経ていた。 .1978年の第三の年度四半期に,国務院が主催した情勢検討会において, 画経済と市場経済とを結合させよう」という方針が出された。 1982年9月に,中国共産党の十二回会議において,㌔. 「計. 「計画経済を主として,. 市場の調節を補助とする」という原則が提出された。 1984年10月に,中国共産党十二回三中全会において,. 「商品経済の充分な発. 展は,社会経済発展の越えてはならない段階であり,中国の経済的現代化を実 現する必要な条件である」という理論が提出された。 -1987年10月に,中国共産党の十三大において,.「国家は市場を調節し,市場 は企業を誘導する」メカニズムを次第に樹立する方針を作り出した。中国共産 党十三回大会四中全会の後に,また,商品経済め発展に適応する計画経済と市 69.

(6) 横浜国際経済法学第14巻第2号(2005年12月). 場調節とが結合された経済体制および運行メカニズムを樹立する方針が出され た。. 1992.年10月12日,中国共産党十四回大会の報告は,明確に「中国の経済体 制改革の目標は社会主義的市場経済体制の樹立である」と宣言した。中共十四 回大会が市場経済体制を樹立すると宣言したことは,画期的である。この宣言 を契機にして,中国の市場経済は飛躍的な発展が見せられた。 1993年の第八期全人代第一回会議において,憲法の修正により, 会主義的市場経済を実行」すること,. 「国家は社. 「国家は経済立法を強化し,マク■ロな調. 整・制御を完備する」こと等の内容が憲法に載せられた。これで,社会主義的 市場経済の樹立と発展および民商事立法の整備のために,憲法上の根拠を提供 した。. 1993年11月14日,中国共産党十四回大会三中全会は,正式に『社会主義的 市場経済体制の樹立における若干問題に関する中国共産党中央の決定』を作り 出し,具体的で,体系的に新しい経済体制の基本構造を措いた。 1995年9月,中国共産党十四回大会五中全会では,. 「2010年までに社会主義. 的市場経済体制を樹立し完備させる」という塵史的な任務が提出された。 2003年10月,中国共産党十六回大会三中全会において,また,. 『社会主義的. 市場経済体制の整備における若干問題に関する中国共産党中央の決定』が審議 され,採択された。 この一連の方針・政策および理論の指導の下で,中国の市場経済は,迅速な 発展が遂げて,中国の法整備作業も次第に展開され,しかも重大な成果を獲得 した。. 2.立法作業の全面的な展開 市場経済発展の需要に応じて,最初に制定されたのは,渉外取引関係の法律 であった。例えば, によれば, 70. 『中外合資経営企業法』のほカ.∼,数多くの法律がある統計. 1978年の中国共産党十一回大会三中全会以降より,. 2001年の第九.

(7) 中国民法典(草案)の立法過程について. 期全人代第四回会議までの20年あまりの間に,全人代およびその常務委員会 は,あわせて390件以上の法律および関連法律問題についての決定を作り出し た。国務院は,. 800件以上の行政法規を定め,地方の人代は,. 8000件以上の地. 方性法規を定めた。こうして,中国における特色ある社会主義的法体系の構成 部分として、. 7つの法律分野において,主な基本法律が作成された。それで,. 第九期全人代は,その任期内において,物権法の制定を急がせ,それも,既存 の民事法律を踏まえて,一つ完全な民法典を編纂しようと企図した10)。この時 期において,民法典的起草に関連する中国共産党中央的政策および国家立法機 関が行われた重要な立法活動には,主に次のものがある。 (1) 1995年9月の『国民経済と社会発展の「第九回五カ年」計画および2010 年までの遠景目標の制定に関する中国共産党中央の建議』において,経済 立法に拍車をかけて,社会主義的市場経済体制に適応した法律体系を樹立 させ,整備させること,経済関係の立法を重要な地位に置き,法律にした がって社会主義的市場経済の健康的な発展を指導し,推進し,保障するこ と等の目標が提示された11)。李鵬氏が『建議』草案についての説明を行った ときに,第十四回大会三中全会の決定の要請にしたがって,新しい市場経 済体制に適応した法律体系を樹立し整備しなければならないと強調した12)。 (2) 1995年12月,喬石委員長は,第八期全人代任期内において社会主義的 市場経済の法律体系の基本構造を形成しなければならないという目標を提 出して,しかも,五カ年の立法企画を立てた13)。第八期全人代常務委員会 任期の五年間は,社会主義的市場経済体制の樹立に拍車をかけて,立法の 面において,法律の数が多かっただけではなく,質も向上された。・第八期 全人代の任期内において制定された市場経済分野に関連する法律とその前 に制定された経済に関連する法律と合わせて,初歩的に社会主義的市場経 済の法律体系の基本構造が形成されて,社会主義的市場経済の養成および 発展に重要な法的条件を提供している14)。 1993年3月から任期が始まった第八期全人代およびその常務委員会がこ 71.

(8) 横浜国際経済法学第14巻第2号(2005年12月). れらの成果を獲得したのは,改革・開放が行われている社会的環境に恵ま れて,経済と社会の発展趨勢に合致していたからと言える15)。 (3)後任の第九期全人代常務委員会も社会主義的民主と法制の建設の強化を 根本的な任務としており,法に従って国■を治め,社会主義的法治国家の建. 設の前進を促進した16)。李鵬委員長は,第九期全人代第一回会議の閉幕式 において,社会主義的市場経済体制の樹立する過程は,社会主義的市場経 済の法制化の過程でもある。社会主義的市場経済体制の樹立と完備および 経済発展o)要請に適応して,早急に経済的分野の法律を制定し・完備させ なければならず,第九期全人代の任期内において,初歩的に中国特色のあ る社会主義的法体系を形成しなければならないと強調した17)。 第九期全人代常務委員会は,中国特色のある社会主義的法体系に関する. 専門研究小組を設置した。組長の全人代法建委員会主任委員の王維澄氏は, 全人代およびその常務委員会の今後の立法任務についての「簡明説明」に .おいて,. 「民商法の分野において,物権法,独資企業法,合作経済組織法,. 商事登記法,信託法,商業秘密保護法を制定し,婚姻法を改正し,民法典. を制定し・編纂して,商標法,特許法,琴作権法を改正し,企業破産法を 修正する等」の任務を提出した.8)。 李鵬委員長は,第九期全国人民代表大会第三回会議における活動報告に おいて,全人代常務委員会は,初歩的に中国特色のある社会主義的法体系 を形成させる要請にしたがって,力を集中して,幾つかの基本的な法律草 案を起草し,審議し,早急に物権法,国有資産法等の法律を作成して,中 国特色のある社会主義的物権制度を樹立し・整備しなければならない。民 事主体制度,物権制度,債権制度,知的所有権制度,婚姻家庭制度等の単 行法が全般的に備えた基礎のうえで,本期全人代の任期内において,一つ の比較的に完備された民法典を編纂しあげることに努力するという立法機 関の目標を提示していた19)。同年11月に行った全人代常務委員会の立法業 務会議において,李鵬氏は,また,引き続き経済的側面の立法を首位に置 72.

(9) 中国民法典(草案)の立法過程について. きつつ,物権法等の制定を早急に行い,本期全人代の任期内に民法典を作 り出すように努力せよと強調した20)。 新しい民法典編纂活動は,以上のような市場経済体制が初歩的に樹立さ れ,法治国家の建設が国策として実施された社会的背景の下で,順調に再 開されたわけである。. 三,民法(草案)の作成過程. 1... 70年代の未の起草活動および民法通則の成立. 改革・開放政策を実施する目的は,商品経済を発展させることにある。市場 経済の社会は,法治社会でなければならない。そこで,市場経済への経済体制 改革の始まりに伴って,第一番に日程に載せたのは立法活動であった。. 1978年5月に『人民日報』は,故・元革高法院院長・元国家副主席の董必武 氏が1956年9月15日に中国共産党第八回全国代表大会において行った『一歩 的に国家の法制を強化し,社会主義建設事業を保障せよ』という発言の摘要を. 発表した。その発言の中に,民法を早急に制定しなければならない基本法規の 一つとしていた。同年10月30日に中共中央政法小組が主催した法制問題座談 会において,政法小組メンバーの陶希晋氏が「法規の改正,起草についての説 明」を行って,民法を早急に制定する必要のある法規の一つとしていた。. 1978. 年12月13日の中国共産党中央活動会議の閉幕式において,鄭小平氏が明確に 「力を集中して刑法,民法,訴訟法およびその他の各種の必要な法律を制定し なければならない」と指摘した21)。 このように,民法典の制定は再度に日程に載せられた。. 1979年11月3日,. 全人代常務委員会法制委員会の指導の下で,民法起草小組が設立されて,一回. 目の全体会議が行われた。楊秀峰∴陶希晋等の七人からなった中心小組は,氏 法典起草活動に責任を負う。同月9日,民法起草小組は二回目の会議を開き, 73.

(10) 横浜国際経済法学第14巻第2号(2005年12月). 民法典の起草作業は正式に始まった22)。当該小組の草案作成グループには,立 法府の政策研究者と司法府の裁判官だけではなく,法学研究者と大学教授も参 与していた。また,国内において調査研究を行ったばかりではなく,西側諸国 の立法経験を含め,国外の立法経験をも取り入れていた23)。二年間あまりの努 力を経て, 1982年5月に至って,民法草案の-稿-四稿を起草した。これらの 草案原稿は,その後の相続法,民法通則およtF知的所有権法等の民事,経済分 野の法律の制定に便利な条件を提供した24)。 民法は広い範囲に関連し,複雑な内容を持っているため,当時の経済体制の 改革は始まったばかりであり,経験が乏しかったので,完全な民法典を制定す る条件は,まだ,未熟なものであると,当時の立法者が認識していた。そのた め,改革・解放政策が実施された直後の民商事立法は主に単行法を中心として 行われた。しかし,民事活動において共通に遵守されるルールがなければなら ないし,民事上の紛争,特に取引側面での紛争解決において共通に遵守すべき. 規範がなければならか-。そこで,全人代常務委員会法制工作委員会(以下, 全人代法制工作委員会と略称する。)は,最高人民法院と法学研究機関の専門′ 家と繰り返し調査研究を行い,広範に法律専門家,行政府,司法府等の各関連 部門,各地方の人代,政府,裁判所等の機関および社会各界の意見を聴取し, 国外の関連法律資料を参考して,数年にわたった単行法制定の経験および民 事・取引紛争関係事件の審理経験を検討し,民法草案(四稿)を基にして,氏 法通則(草案)を作成した。当該草案は∴1985年11月,第六期全人代常務委 員会第十三回会議の初歩的な審議に提出した後に,また,広く法律専門家と社 会各界の意見を求め,全人代常務委員会委員が初歩的な審議を行った際に提出 した意見も含めて,数多くの草案条文を訂正し,補充した。. 1986年3月に全人. 代常務委員会第十五回会議は民法通則(草案)を六期全人代第四回会議の審議に 提出した(民法通則は1986年4月12日採択,. 1987年1月1日より施行された。)25)0. 民法通則が頒布し,実施されてから,市場経済が次第に進展することに伴っ て,会社法(1993年),担保法(1995年),契約法(1999年)等の法律が相次 74.

(11) 中国民法輿(草案)の立法過程について. いで制定され,市場経済の正常的な発展にとり有力な制度的保障となった。 1997年1月27日,全人代法律委員会,全人代法制工作委員会,最高人民法 院および中国法学会により連合して主催した民法通則実施10周年座談会にお. いて,全人代唐務委員会副委員長の王漠斌氏は,「民法通則は,国家の基本法 律であり,社会主義的商品経済関係を調整する基本法律でもある。民法通則の 成立は,中国法制建設における極めて重要な意義のある出来事である。中国の 法制建設史において重要な地位を占めている」と指摘していた。最高人民法院. 院長の任建新氏も「民法通則は中国が全力を挙げて社会主義経済建設を行い, しかも,計画経済体制から社会主義的市場経済体制へと転換した歴史的情勢の 「法律の形式で,中国における経済体. 下で作り出したもの」であり,それは, 制改革と対外開放の成果を反映している。. 10年間以来の実践は,民法通則の. 実施を通して,社会主義的市場経済樹立の促進,公民・法人の適法な権利およ び利益の保護,■社会主義的民主と法制o)発展に対して,極めて重要な役割を果 たしたことを立証した。. --今後の民事立法の一歩的な整備に礎を提供してい. る」と指摘した26)。. 2.今回の民法(草案)起草作業 民法通則が実施実施されて以来の10年間,民法学の研究も長足な発鹿を遂 げた。また,その同時に,それらの民法通則が制定された当時において,立法 者が「成熟していない,把撞できない」と考慮して,民法通則には定めていな. かった問題,または,規定していたが,具体化されて.い孝かった問題も,次第 に顕在化されてきた。そこで,全面的に民事法規定の体系を構成することが社 会の現実的な必要になった。したがって,民法典を編纂することは,再度,全 人代の立法日程に載せられた。 1997年の末† 1998年の初めごろ,全人代法制工作委員会は民法起草の作業 小組を設置することを検討した。. 1998年の初めに,全人代法制工作委員会は. 江平,王家福,梁慧皇,魂振滅,王保樹,王利明,費宗薩,肖崎,魂耀栄との 75.

(12) 横浜国際経済法学第14巻第2号(2005年12月). 九人の学者,専門家からなる民法起草の作業小組に委託して,民法典起草作業 が本格的に行い始めた27)。 右に述べたように,第九期全人代常務委員会および李鵬委員長は,民法典の 起草作業に非常に重視していた。第九期全人代常務委員会の三回の活動報告に おいて,いずれも民法典編纂の活動を強調し,. 2001年以来,委員長は民法起. 草状況についての報告を六回聴取し,しかも,重要な指示を出した。全人代法 制工作委員会は,常務委員会の立法企画および常務委員会の活動報告にしたが って,民法典編纂の作業に拍車をかけた。 2.002年1月11日,全人代法制工作委員会が専門家による座談会を開.き,主 に民法典の主要内容について検討を行ったと共に,六名の民法専門家に,それ ぞれ民法典の各編の内容を起草するように依頼した。具体的な分業は次の通り である。社会科学院の梁慧星研究員は,民法総則と債権法の起草を組織するこ と,中国人民大学の王利明教授は,人格権と不法行為の起草を組織すること, 社会科学院の鄭成思研究員は,知的所有権の起草を組織すること,中国政法大 学の韮昌禎教授は,婚姻家庭の起草を組織すること,元最高法院副院長の唐 華氏は,民事責任の起草を組織すること,元最高法院裁判委員会委員の費 宗藤氏は,渉外民事関係の法律適用の起草を組織することであった。また,全 人代法制工作委員会は,編毎に連絡人を設置していた。. 「連絡人」の任務は,. 各編の起草作業の必要に応じて,会場の手配等の事務的な面の便利およびある 程度の資料収集の便利を提僕し,起草作業に協力することにあるが,. 「監督役」. という役割はないことであった28)。同年4月の初めごろ,専門家建議原稿(以 下「建議稿」 と略称する。)の作成はほぼ完成された。 全人代法制工作委員会は座談会を開いて,. 4月16日-4月19日に,. 「建議稿」について社会各界の意見. を求めた。 専門家の「建議稿」の起草と同時に,全人代法制工作委員会民法室は,民法 典の編纂業務に着手し,全人代法制工作委員会民法室の民法草案原稿(以下 「室内稿」と略称する。)を起草し始めた。民法室は,法律および行政法現にお 76.

(13) 中国民法典(草案)の立法過程について. ける民事関係の規定を整理し,最近の民法典改正の関連資料を含め,幾つかの 国の民法典に関係する規定を収集して,検討したうえ,. 4月の末,全人代法制. 工作委員会民法室の「室内稿」が形成された。 5月-8月,全人代法制工作委員会民法室は「室内稿」を基礎にして, 稿」と参照しながら■,繰り返して検討をおこない,. 「建議. 8月に至って中華人民共和. 国民法報告原稿(以下「報告稿」と略称する。)を作成した。全人代法制工作 委員会の顧昂然主任,胡康生副主任は,民法典の体系から各編の具体的な規定 について,いずれも重要な指示を出した。. 9月16日-9月25日,全人代法制工. 作委員会は,民法「報告稿」について,民法専門家と実務部門からの意見を聴 取した。. 2002年10月に,すでにできていた民事法律と物権法草案と合わせて,. 民法(草案)の初痛が形成された29)。. 3.契約法の制定 現行契約法は,民法(草案)の一編になっている。契約法の制定は,全人代 法制工作委員会がま■ず専門家に一つ建議満を起草してもらい,それを基にして 修正する方式を採用していた。不完全な統計によれば,少なくとも40以上の 原稿を作成した。また,立法の全過程において,各段階の重要な原稿に対して は,いずれも専門家の意見を聴取した30)。契約法の起草過程にお.いて,最も起 草段階の代表性を備えてVlるのは,いわゆる「試擬稿」,. 「意見徴集稿」,. 「契約. 法草案」と最後の「審議採択稿」である31)。 (1)契約法試擬稿1995年1月の契約法試擬稿は,全国における12の大学 の民法学者により,章ごとに分業して起草し,社会科学院法学研究所の梁 慧星研究員により,. 、整理して形成された学者の建議稿である。. (2)意見徴集満1995年1月-5月は,契約法意見徴集稿の形成段階である。 契約法試擬稿(契約法学者建議稿)が完成された後に,全人代法制工作委 ・貞会民法室は,当該原稿を検討し,それを法律,行政法規,司法解釈等の 契約における関連した規定と比較研究を行い,しかも,国外の関連法律, 77.

(14) 横浜国際経済法学第14巻第2号(2005年12月). 国際条約等との比較研究を行った。契約法の幾つかの主な問題について, 国内の研究成果を踏まえ,中国の関連規定および国外の法律・国際条約の 規定等を参照して,専門問題ごとに研究を行った。また,関連部門を訪問 し,. ■しかも,各部門,企業および専門家を招碑して座談会を開いた。. 1997年5月14日『中華人民共和国契約法意見徴集稿』を各省,自治区, 直轄市および中央の関連部門,法学教育・研究機関等に発行して,意見を 求めた。この期間において,全人代法制工作委員会は座談会,研究会,作 業会議等の各種類の会議を数十回開いて,社会各界の意見を徴集して,し かも,数回に欧米諸国を訪問した32)。 (3)契約法草案1997年6月-1998年8月は,契約法草案が形成される重要 な段階であった。. 「意見徴集稿」が発行された後に,全人代法制工作委員. 会は,直ちに草案の準備作業に着手した。まず,主に社会科学院,中国政 法大学,人民大学,北京大学,清華大学および最高法院,国務院法制局, 国家経済管理部門の学者が参加した研究会を開き,. 「意見徴集稀」の内容. に対して詳しく議論したム また,社会各界の代表が参加した各種類の会議 を数十回開いて改正意見を求めた。全人代法制工作委員会は,国内外での 調査研究を行ったほかに,また,アメリカ統一商法典の改正作業を担当す るグループのメンバー,イギリス,ドイツ等の外国専門家を中国に招精し て議論を行った。. 1998年8月24日全人代法制工作委員会副主任の胡康生. 民は,第九期全人代常務委員会第四回会議において草案についての説明を 行った33)。. (4)審議採択稿1998年8月24日-1999年3月15日は,要約法立法の重要 な段階である。第九期全人代常務委員会第四回会議においそ契約法草案を 審議した後に,全人代法律委員会は,十三回にわたって契約法草案を審議 し,第九期全人代常務委員会は,第五,六,七回の会議において連続して 契約法の草案を審議した。いずれの審議においても,学者と関係部門の専 門家の参加があった。この時期において,多数契約法(草案)の修正満を 78.

(15) 中国民法典(草案)の立法過程について. 作り出した。第九期全人代第二回会議の第五次全体会議での表決により, 『中華人民共和国契約法』が採択された34)。. 4.婚姻法の改正 婚姻法も現行法でありながら,民法(草案)の一編になっている。近年に行 われた婚姻法改正は,. 「ある大衆路線の有益な実践」と言われている。当該法. 律の修正草案が全人代常務委員会の審議に提出される前に,全人代法制工作委 員会は,全人代の代表により提出された婚姻法修正議案および全国婦人連合会 等の関係部門および法律専門家の研究により提出された婚姻法修正建議案を基 にして,婦人連合会,人民法院,民政,衛生等部門および法律専門家および一 般大衆が婚姻法の修正に対する意見を聴取し,同時に,全国各地において調査 研究を行った。. 2000年8月に婚姻法修正草案(意見徴集塙)が完成された。中. 央および地方関連部門並びに法律専門家の意見を求めて,一部の修正を経てか. ら,婚姻法修正衰(草案)を全人代常務委員会会議の審議に提出した去 婚姻法草案は,第九期全人代常務委員会において二回の審議を経て,婚姻法 草案の主な問題および意見の食い違いに対して審議を行った。. 2001年1月に草. 案が新聞紙に載せて社会に公布されて,広範的に意見を求めた。わずか短いケ月あまりの期間内において,立法機関は直接に一般大衆から受け取った手紙 は4000件近くにのぼり,新聞・雑誌およびインターネット等のマスコミ機関 から寄せられてきた改正意見も千を数えた。. 「今度の婚姻法改正は近年来の全. 人代の立法活動において,一般大衆参加の人数が最も多く,、意見の広範性が最 も広いものである」と言われている35)。. 5.物権法華案の作成およびその概要 物権法の立法作業でも上記法律の立法と同じような方法が採用された。例え ば,詳しく調査研究を行い,研究会,座談会などの各種類の会議を開き,さま ざまな形で広範な意見徴集を行った。これをここで詳述する必要はあるまい。 79.

(16) 横浜国際経済法学第14巻第2号(2005年12月). 草案の形成にづいて,■全人代法制工作委員会民法室は,まず,数回にわたって 研究会を開催し,百名以上の専門家の意見を聴取したうえで,全人代に提出す 「室内稿」を基にして,社会科学院. るための「室内稿」を作成した。それに,. の梁慧星研究員および人民大学の王利明教授に委託36)し七,それぞれリーダし. た研究グループにより作成された建議稿,並びに広西大学の孟勤国教授が独自 に作成した建議稿37)を総合参考にして,立法機関としての民法(草案)物権法 編を作成し, 2002年12月の全人代常務委員会会議の審議に提出した。 民法(草案)物権法編は,五つの編(総則,所有権,用益物権,担保物件, 占有)に分かれており,. 第2章.「物権の設立,変更,移転および滅失」 権, (第4章「一般規定」 権」. 物権(第12章「一般規定」 使用権」 権」. ;第9草「相隣. ;第11章「所有権の取得に関する特別規定」),用益 ;第13章「土地請負経営権」. ;第19章「探鉱権,採鉱権」. ;第25章「留置権」・. ;第14章「建設用地. ;第16章「隣地利用権」. 第21章「漁業権」),担保物権(第22章「一般規定」 24章「質権」. ;第6章「集団の所有. ;第8章「建築物区分所有権」. ;第15章「宅地使用権」. ;第18章「居住権」. ;第3章「物権の保護」),所有. ;第5章「国家の所有権」. ;第7章「私人の所有権」. 関係」 ■;第10章「共有」. ;. 26章からなる。つまり,総則(第1章「一般規定」. ;第17章「典 ;. ;第20章「取水権」 ;第23章「抵当権」. ;第. ;第26章「譲渡担保権」),占有のようにな. っており,合わせて329箇条がある。 全人代法制工作委員会主任の顧昂然氏は,民法(草案)における物権法につ いての説明を行った際に,本法で称される物権は,自然人,法人が直接に不動 産または動産を支配する権利のことを指す。それは,所有権,用益物権および. 担保物権を含む。物権の客体は,主に不動産享たは動産である。私人財産の保 護に関する法律制度を整備するために,物権法は,私人の所有権について,辛 ・ら章を開いて規定を設置している。また,物権法の基本原則および物権の保護 に関する規定等は,公民の財産および非公有制企業の財産に対して,いずれに も適用されるものである.。私人の所有権は,包括自然人および個人経営経済, 80.

(17) 中国民法典(草案)の立法過程について. 私営経済等の非公有制経済の主体を含め,その不動産または動産に対して,全 面的な支配する権利を有する等を指摘している38)。 二つの委託された団体起草の建議稿と一つの学者が自主的に起草した建議稿 の概略は次の通りである。 人民大学の建議稿は, 「一般規定」. 6章に分かれている。つまり,第1章「総則」,第1節 ■;第3節「物権の公示」,. ;第2節「物」. の占有と交付;第4節「物権的請求権」 則」, 1.所有権の範囲,. 1.不動産登記,. :第2章「所有権」,第1節「所有権通. 2.所有権の取得;第2節「国家所有権」,. 定, 2.国有企業の財産権;第3節「集団所有権」,. および宗教組織の所有権」 ;第6節「共有」. ;第2節.「農村土地請負経営権」. 「地役権」. ;第5節「典庵」. 節「優先権」. :第5章「占有」. ;第5節「社団 ;. :第3章「用益物権」,第1節「土地 ;第4節. ;第3節「宅地使滴権」. ;第6節「空間利用権」. 章「担保物権」,■第1節「抵当権」. 2.集団の土. ;第7節「建築物区分所有権」. ;第9節「相隣関係」. 使用権」. 1.一般規. 1.一般規定,. 地所有権, 3.集団企業の所有権;第4節「公民の個人所有権」. 第8節「優先購入権」. 2・.動産. ;第7節「特許物権」. :第4. ;第3節「留置権」. ;第4. ;第2節「質権」. :第6章「附則」となっており,合わせて574箇. 条がある39)。 社会科学院の建議稿は, 節「一般規定」. 12章に分かれている。つまり,第1章「総則」,第1. ;第2節「物」. ;第3節「物権変劫」. 権」 :第2章「所有権」,第1節「一般規定」 「建築物区分所有権」 第6節「共有」 章「隣地利用権」. ;第2節「土地所有権」. ;第4節「不動産相隣関係」. :第3章「基地(宅地)の使用権」 :第6章「典権」. 2節「最高額(根)抵当」. ;第3節. :第4章「農地使用権」. ;第3節「企業財産の集合抵当」. :第5 ;第. ;第4節「企業担. ;第2節「動産の質権」. :第10章「譲渡担保」. ;. ;第5節「動産の所有権」. :第7章「抵当権」,第1節「一般規定」. 保」 :第8章「質権」,東1節「一般規定」 利質権」 :第9章「留置権」. ;第4節「物権的請求. :第11章「占有」. ;第3節「権 :第12章. 「附則」となっており,合わせて433箇条がある40)。 81.

(18) 横浜国際経済法学第14巻第2号(2005年12月). 孟勤国民の建議稿は4章に分かれている。つまり,第1章「総則」,第1節 「一般規定」 節「占有」. ;第2節「物権の設立および取得」_ ;第5節「物権の保護」. 第2節「国家の所有権」 権」 ・;第5節「共有」. ;第6節「相隣義務」. ;第2節-「経営権」. 権」. ;第5節「資源の占有使用権」. ;第4. :琴2章「所有権」,第1節「一般規定」. ;第3節「集団の所有権」. 定」. ;第3節「物権の公示」. ;. ;第4節■「自然人の所有. :第3章「占有権」,第1節「一般規. ;第3節「土地使用権」. ;第4節「土地請負経営. :第4章「附則」となっており,合わせて. 200箇条がある・41)。 構成上から見れば,人民大学の建議稿は,物権を所有権,用益物権,担保物 権に分けて,また,占有をプラスした構成は,全人代常務委員会の審議に提出 した草案の編・章構成に比較的近い。社会科学院の建議稿は,所有権を一章と して,その他の諸物権が章に分けて規定されているが,このような編・章構成 はドイツ,日本,スイス,韓国および中国民国時代の物権法を模倣している。 この両建議稿は,編∴章の構成において,上記の区別があるにもかかわらず, その内容から見れば,たいした本質的な相違は存在して.いか、。すなわち,ま. ず,所有権について,社会科学院の建議稿において,土地,建築物,不動産相 隣関係および動産等の物の種類により,規定を設置しているが,第87条,第 88条においても,同じように国家の土地所有権,集団の土地所有権を定めて いる。一方,人民大学の建議稿において,国家,集団,個人のように,所有制 によって規定を設置しているが,各所有利のもとでは同じように物の種類によ って規定を設置している。ある学者は,. 「『中国物権法草案建議稿』における所有. 権に関する規定の最も大きな特色は,土地の公有所有権制度である」. 42)と指摘. している。.これはこの二つの物権法建議稿の共通な特色と言えよう。このこと は,如何なる人でも,法典を作成した際に,彼らの生活している現実社会を離 脱することができないことを立証している。次に,社会科学院の建議稿におい て,所有権以外に,章を開いて規定を設けたその他の権利は,性格から見れば, それぞれ,用益物権または担保物権に帰属されるものである。更に,両建議稿 82.

(19) 中国民法輿(草案)の立法過程について. は,いずれも典権43). (一種の日本民法における買戻し債権に近い制度である。). のような,いわゆる「中国特有の制度」を定めている。 あえてその相違点を指摘すると,それは,用益物権における農村土地を使用 する権利についての用語の相違である。つまり,社会科学院の建議稿は,第4 章で定めたのは農地使用権(孟勤国民の建議稿も「農地使用権」を使っている。) であるのに対して,人民大学の建議稿において,用益物権章の第2節で「農村 土地請負経営権」と定めている。全人代常務委員会の審議に提出した草案にお いては,. 「土地請負経営権」を用いておりながら,社会科学院の建議稿の意見44). を採用してようである。すなわち,第122条の規定において,その他の「組織」 をも農地を請負されるものとしていることによって,民法通則がただ集団およ び公民を定め,. 「法人」を定めていなかった不足を補った。もちろん,草案が. こ=_での「組織」との用語使いは,まだ掛酌する余地があるではないかと思わ れる。また,中国の歴史と社会権力構造により形成された農民の「変動」敏感. (何か名義上の変更があれば, 「また変わるなあ」と心配にして不安になる)と いう心理的特性に鑑みて,土地公有制の所有制度のもとでは,継続して「農村 土地請負経営権」を使ったほうが,社会の安定,特に農村の安定および農業の 発展には有利になると思われる。実質的な変更があったとき,名実一致した改 正を行ったほうがいいかも知れない。 孟勤国教授の建議稿は,その物権二元構造の理論45)に基づいている.。その最 も大きい特徴は,占有を一種の権利とみなし,しかも,物権法における用益物 権を占有権として取り扱っている。pまた,その建議稿には,担保物権が定めら れていない。この建議稿は,中国における土地所有権と使用権が分?されてい る社会的財産構造の現実に直面して,物の所有と占有・使用との両側面の視点 から,現行物権法理論と中国の現実との間に新しい理論構築を図っている。こ うすると,当然財産法の基本理論に触れるわけである。すなわち,債権の優越, 物権と債権の限界の相対化,および担保の性格等の問題も討議の視野に入れて くるわけである。中国の財産法構造に対して,流行している理論と違う見解を 83.

(20) 横浜国際経済法学第14巻第2号(2005年12月). 主張しているのは,また,梅夏英博士46)ほかの学者がいる。 一実際には,先進国には上れらの問題についての研究は早くからも進んでいる。. 現在,中国に紹介されてきている日本の学者の見廃と言えば,元東京大学の我 妻栄教授の著作47)および名古屋大学の加賀山茂教授の論文48)等がある。これ は,われわれは同じように,市場経済の社会に直面しており,ドイツ,日本等 の先進国の民法が制定されて百年あまり以来の社会状況の巨大な変革により, 古くからの伝統的財産法理論に提出した質疑に相応しなければならない共通な 立場に立たれていることを立証している。現在の中国における論争が多い理由 は,まず,中国は民法典を制定していることである。他方,より重要なのは, 中国は今日現代社会の状況のもとで,市場経済体制への移行を行っているとい うことであり,伝統的な理論と現実的社会の間の矛盾および不整合している箇 所は当然著しく現れてくる。 中国民法(草案)の物権法編は,国内外の諸事情を詳しく調査研究を行い, さまざまな方式で各方面の意見を求めて,しかも,三つの学者建議稿を参考し たうえで制作されたものであるにもかかわらず,編・章の構成に■ぉいても,内 容においても,いずれも不足することが多くあり,市場経済の発展に適応し, 有効に公民の民事権利を擁護するために,さらなる改正が必要である。物権法 における理論問題は,決して中国一国の問題ではなく,市場経済における共通. の法律問題であり,世界中の民法学財産法理論の角卒決しなければならない問題 でもある。. 2004年中国の立法計画は・,物権法の検討である。すでに施行され. てから100年以上の歴史を持っている日本物権法の経験および教訓,または, 日本の学者が日本の現実問題を解決するために欧米の物権法制度に対する研究 成果は,必ず中国の物権法起草に貴重な知的財産になるに違いない。中国の立 法者と学者達は,心より,数多くの日本法学者が中国民法典の編纂活動への積 極的なご参与を期待している。. 84.

(21) 中国民法典(草案)の立法過程について. 四,民法制定の展望 1.民法典編纂の動き 『民法(草案)』についての説明は,. 「国家は二十年来の努力により,相次い. で民法通則,契約法,担保法,著作権法,商標法,婚姻法,養子縁組法,相続 法等の民事法律を制定した同時に,また,その他の法律において,数多くの民 事規範に関連する法律規定を設置している。第九期全人代常務委員会の立法企 画と常務委員会の活動報告における『物権法の起草と民法典の編纂作業に拍車 をかける』という要請にしたがって,全人代法制工作委員会は物権法意見徴集 稿を作成して,. 2002年1月に地方,中央の関連部門,法学大学・研究機関に発. 行して意見を徴集して,繰り返して研究し,訂正することを経て,物権法草案 が形成され,しかも,同年10月において,既存の民事法律と物権法草案の基. 礎のうえで,民法(草案)の初稿が形成された」と述べている。 また,民法(草案)の初稿は九編に分かれている。すなわち,第1編総則, 第2編「物権法」,第3編「契約法」,第4編「人格権法」,,第5編「婚姻法」,第 6編「養子縁組法」,第7編「相続法」,第8編「不法行為による責任法」,第9. 編「渉外民事関係の法律通用法」からなっている。民法(草案)の初稿に未編 入の民事法律およびその他の法律における民事規範に関する規定は;引き続き. 有効であり,すでに民法(草案)の初稿に編入している契約法,婚姻法,養子 縁組法,相続法等の法律は,法にしたがって整備されるまでに,依然として有 効である49)。 上記の説明と民法(草案)の編別構成は,今後中国における民法起草(ある いる民法典の編纂)は,民法通則を基礎にして,修正と補充を行う方式で行う 情報を伝達していると言えよう。すなわち,既存している法律と関係なく,す べて最初から作り直すことではなく,今の基本法のうえで,成功した経験を維 持して,不十分なところを補充し,改正する方法を通して,市場経済社会に適 応する原則,国際上に共通した規則を持つ,時代的特色のある先進的な民法典 85.

(22) 横浜国際経済法学第14巻第2号(2005年12月). を作成することである。これは正しい道だと言うべきであろう。. 2.民法起草活動の特徴 今回の民法起草活動における最大な特徴は,学者の広範的な参加と活動の公 開化である。民法通則が頒布し,施行されて以来,民法学研究の展開は大きく 促進された。民法学者達は,民法典の起草作業に注目し積極的に関与してきた。 筆者の知る限り,学者の民法典編纂促進活動は次のものがある。 1994年10月中国政法大学およびイタリア・ロ∵マ第二大学並びにローマ法 広げる組織が連合して『ローマ法?中国法と民法の法典化』という国際シンポ ジウムを開いた。. 1999年10月に,また,二回目のシンポジウムを開き,中国. の法務大臣,イタリアの法務大臣,イタリア国家総検察長官達が出席して講演 をした。ドイツ,ロシア,日本,エジプト等の国から著名な学者は数百人も参 加した。. 1995年10月20日に中国社会科学院が主催した学術会議において,当時の法 学研究所副所長の王保樹教授は,中国はすでに一連の経済分野の法律を公布し, 改正したが,法制度の進展は,ただ,立法の数に現れるだけではなく,また, 基本法の制定に重視しなければならず,法体系を整備して,立法の全体的な水 準を向上しなければならない。例えば,早急に統一した契約法と物権法を制定 して,そのうえで,民法典を制定するようと呼びかけた50)。 2000年3月に中国社会科学院法学研究所とドイツAdenauer財団と共同して 北京で民法典に関するシンポジウムを行い,ドイツの民法学者,裁判官は中国 の同僚達にドイツ民法の現状を紹介し,民法典の編纂に関連する問題を検討し た。. 2002年4月に北京大学大学院院生会,. 『中外法学』編集部,法律出版社等の. 組織は「中国民法百年:回顧と展望」というシンポジウムを開き,清の末か.ら 今まで,中国民法の百年近くの歴史を回顧して,将来中国の法治舞台に登場し ようとする民法典を展望した51)。 86.

(23) 中国民法輿(草案)の立法過程について. 2002年6月中日両国学者は広州で民法典編纂シンポジウムを開き,星野英一, 鈴木禄弥,五十嵐清,鈴木ハツヨほか日本における著名な民法学者が参加され た。. 2002年の末-2003年の初め,中国政法大学民商経済法学院は「中国民法典 論壇・ 2002-2003」を主催して,民法学者と民法典編纂に参与した立法者52)を 招精し, 5回の報告会を行って,民法典編纂とその関連問題について深くて広 範な検討を行った。 2003年10月に中国社会科学院法学所と日本比較民法研究会とは中国民法典 編纂問題についての国際シンポジウムを開き,森島昭夫教授ほか日本における 著名な学者が参加され,主に民法総則における問題に対して深く検討を行った。 ようするに,今回の民法典編纂活動の学者参与は,. 20世紀70年代の末から. 80年代の始めまでの民法典編纂活動のとき,ただ少数の学者しか参加せず, しかも,半分は秘密状態の下で行ったことと鮮明な対比になった。今回の民事 立法活動の学者参加は国際的なことで,その広範性は,今まで史上例のない最 大規模であったと言える。また,参加された学者そのものから見ても,右の時 代と違って,学識の構成は質的な変化が発生していた。つまり,数多くの学者 は欧米・日本で留学した経験があり,大陸法または英美法の知識的背景がある ことで,また,彼らは,もはや外国の教条を書き写すことではなく,各自が勉 強して身につけた法学理論の考え方で問題を分析し,議論した。また,今度の 編纂過程において,学者からの建議稿は,六名の専門家達が作成した「建議稿」. を除いて,更に,二つの専門家団体の「建議稿」があり,それぞれ,梁慧星研 究員と王利明教授が学者を組織して作成したものであった。さらに,アモイ大 学の徐国棟教授もグループを組織して,民法典の「建議稿」を作成した。広西. 大学の孟勤国教授が物権法部分の「建議稿」を作成し,西帝政法大学の張玉敏 教授が相続部分の「建議稿」を作成していた53)。これらの「建議稿」に対して, 立法機関は,. 「これらの専門家建議稿は,民法の作成には極めて貴重なもので. あり,民法関係の法律大学・学者から引き続き各自が作成した民法建議稿,ま 87.

(24) 横浜国際経済法学第14巻第2号(2005年12月). たは民法のある編,あるいはある章についての建議稿を提出することを期待し ている。・皆さんはさまざまな形式を通して,民法典の起草活動に参与してくれ ることを歓迎している。こうして,より優れ,より実際に合致させ,より現代 化された民法典を作成する目的に達成することに有益になるものである」. 54)と. の意見を述べて,非常に歓迎する態度を示している。更に,指摘すべきことは, 立法機関である全人代法制工作委員会の立法作業担当者のなかでも,法学博士, 修士学号を持っている人が多くおり,欧米・日本で留学していた人もいる。こ れらの学者が直接に民法典の起草作業を担当していることは,当然学者意見の 採用には有利になることであろう。 ・また,今度の民法典起草活動において,学者達は資料の収集・紹介・利用を 非常に重視していた。例えば,徐国棟教授の主催で,幾つかの外国民法典が翻 訳された。このような活動は引き続き確実に行っていくことが望ましい。 今回の民法典の起草方式について,全人代法制工作委員会副主任の王勝明氏 は,次のように評価している。すなわち,. 「中国の法規走にしたがって,全人. 代およびその常務委員会だけ立法権を有しているので,ある役人の立法も存在 しておらず,ある学者の立法も存在していないわけである。学者より提出した 『三結合の ・立法に関する『建議稿』である。現在の立法は,実際には, 立法』であり,すなわち,立法機関の業務担当者,学者および実務部門の実務. のは,. 家の三者が共同して立法に参与している。この20年あまりの中国現代立法史 において,終始してこの方式によってやってきたと言えよう」. 55)。. -3.今回の起草活動の不足 民法典の起草過程において,民法の制定と政治体制の改革とは如何に協調す るかについての議論が多くなかったことは,注意すJ<き重要な問題である。 1998年,李鵬委員長は,第九期全国人民代表大会常務委員会において,社 会主義的市場経済方面の重要な法律を早急に制定し完備させ,法律にしたがっ て,社会主義的市場経済の健康的な発展を規範し,誘導し,促進し,保障する 88.

(25) 中国民法典(草案)の立法過程について. と同時に,引き続き政治体制の改革を推進し,社会主義的民主制度を整備し, 人民の主人公地位の保障.および行政行為の規範方面の法律を制定し,整備しな ければならないと指摘していた56)。また,第九期全人代一回会議の閉幕式にお いても,社会主義的市場経済体制の成立過程は,社会主義的市場経済が法制化 される過程でもある。また,引き続き社会主義的民主政治方面の法律を整備し なければならないと強調した57)。. 2001年3月の第九期全人代第四回会議のとき. も「本期全人代の任期内において,早急に物権法を制定し,しかも,既存民事 法律を基礎にして∵部完全な民法典を編纂する。. --政治体制改革の推進,深 化に伴って,行政体制と司法体制の改革に相応しい法律を制定し,整備して, 本期全人代の任期内において初歩的■に中国特色のある的社会主義的法体系の形 成に努力せよ」. 58)と指摘した。更に,. 2003年10.月,中共十六期三中全会も,. 経済体制改革と政治体制改革の協調を実現し,積極的で穏健に政治体制改革を 行う等の措置を採用して,社会主義的市場経済の発展に強力な政治的保証を提 供すると要請していた59)。 これらの共産党と立法府からの指示・方針が出されてレナるにもかかわらず, 依然として政治体制と民法制定との調整問題を研究する議論は少ない。この現 象の原因を調べ,政治体制の改革と民法典編纂の整合措置を検討し,施行する 障害を除去しなければならない。民法の中では,特に現在の中国においては, 所有権と国家の国民生活における役割(例えば,土地所有制,土地使用権,国 有企業の地位およびそれと民間企業の関係,国家の,民事責任の負担等)に関す る規定は,政治体制の改革と緊密に関連している問題であり,最低限度の必要 な検討を行わなければならないと思われる。 確かに民法典編纂は,立憲ではないが,民法は「私法」にもかかわらず,そ 「公」, 「私」とも れの制定に影響している環境およびそれが機能する対象は, 並存しているのが現実である。理論上において,社会を経済体制と政治体制と. いう二つの側面に抽象して分析することができるが,・客観的な社会そのものは 有機的で全体的な存在である。政治体制の現状が民法に対する影響,その道に 89.

(26) 横浜国際経済法学第14巻第2号(2005年12月). 民法が法治国家の形成に果たせる役割(つまり,民法典においてどのように定 めたなら,法治国家の形成を促進することができるカモのこと)を考慮しなけれ ば,民法起草の欠陥になるではないかと思われる。. 4.今後の民法起草活動の中心的内容 全人代常務委員会に提出した民法草案について,江平教授は,. 「この草案の. 進歩的な意義はどのように評価しても言い過ぎることはない。しかし,草案に. おいて数多く深く研究し,一歩整備しなければならない箇所が多くある。特に 財産権の保護については問題になっている。少なくとも二・三年の再審議・再 検討をした後に,はじめて草案が採択されるであろう」と評価している60)。こ の評価は,草案の実情には相応しいものと言えよう。しかし,採択される時間 については,楽観しすぎるではないかと思われる。 現在,民法典の編纂について,学者の論争は,一見して非常ににぎやかにや っているものである。例えば,ドイツ民法の構成を取り入れることによって, はじめて厳密な論理性のあり,科学的なものになると主張している学者がいる し,いわゆる「人文主義」. I. 「物文主義」との概念を出している学者もいるし,. また,中国民法制定の取るべきモデルを示す学者もいるし,さまざまな意見が 出されている。しかし,これらの論議は,空理空論に失して,抽象的な理論的 な意義はある程度あるかもしれないが,民法の具体的な制度の設計には,意義 はあまりないと思われる。. 2002年1月11日,全人代法制工作委員会が開いた民法典編纂会議において, 参加者達は如何の形式で編纂すべきかについて論争し,対立して,なかなか意 見が一致できなかった際に,鄭成思研究員は,まず,解決すべき問題の内容を 明確した後に,はじめて形式の問題が発生するではないかとの意見を提出した。 当時, 「まず髪を生えさせて,その後に髪のパタンを決定するものである」と いう比倫的な言い方を用いて,会議参加者の賛成を得た。確かに,われわれは, 今の民法典編纂作業において,検討すべきことは,どの法系にしたがうこと, 90.

(27) 中国民法輿(草案)の立法過程について. どのようなパタンを採用することではなく,一番肝心なことは,具体的な法制 度と民事法原則の法理についての研究およびそれらが民事活動における活用に ついての調査である。これは,立法者と学者が今後の民法起草活動における一 番中心的な業務内容になるべきであると思われる。 私見では,民法典+民事(たとえ民商合一のパタンを採用すれば,商事をも 含む)特別法のモデルは数多くの国に採用されているので,中国でも採用され ると思われる。また,民法通則の内容を基礎にして,. 20年近く施行されてき. た実状により,成功した点を維持し,不足の点を補充してから,それらの内容 を筋正しく構成する道は,比較的に穏健で妥当であり,しかも,法体系の論理 上の厳密性には悪い影響をあたえない方法ではないかと思っている。. 知的所有権は,民事法における特卿生のある部分である。国民の権利保護の 視点から言えば,民法の規定は,当然これらの権利の保護を含めるべきである。 しかし,たとえ知的所有権法の内容全体が一編として全部民法典に置かれるな. ら,問題になると思われる。なぜならというと,知的所有権に対する保護は, 一般の民事権利の保護措置だけでは,なかなか不十分で,また,数多くのその 他の行政上,技術上の手段も必要からである。もしも,■. それらの行政上,技術. 上の規範をすべて民法典の中に規定を設置すれば,民法典が膨大で煩雑なもの になるだけではなく,民法典の民事基本法の私的性格もなくされてしまい,法. 体系の全体的な厳密性に悪い影響をもたらす恐れがあろう。 人格権は独立の編として制定する61)かどうかの問題について,民法典におけ. るその他の編の内容が出来上がってあ、ら,その独立して存在する価値と必要の 問題が自然的に,自ら明らかになるではないかと思われる。. 結語 今日の世界は,環境の面で言えば,地球村であり,経済の面で言えば,国際 大市場であり,人間交流の面で言えば,国際大家庭であろう。また,交通,過 91.

(28) 横浜国際経済法学第.14巻第2号(2005年12月). 伝,インターネットの飛躍的な発展により,世界各国のつながりは,前例のな い速度で緊密になっている。 今日の中国は自ら計画経済体制を廃棄し,、進んで 国際市場顕在に参入している。いまの歴史時期において,このような国内外の 情勢のもとで,行われる中国民法典の編纂事業は,決して自国のことだけ考慮 することができない。民事法の基本原則,商品取引の共通規則,消費者保護の 措置,環境保護の政策,さまざまな面において,国際的な共通民事法規定が必 要になる。中国の民法典が,より国際化された民法典,最も先進な民法典にな ることは,今後中国民法典編纂の目標である。そのため,日本の学者の惜しま ずに智慧を提供する援助が必要になる。もちろん,先進な中国民法典は,まず, 中国に属するものであるが,国際化された先進的な規則と理論は国境のないも ので,世界各国にもよい影響を与えるものであり,結局,世界の共通財産にな るであろう。 (2004年2月14日横浜国立大学において). 1)本文は2004年2月14E=子横浜国立大学において開催された「日本,中国,韓国における消 費者法制および紛争解決方法に関する比較研究」に関する2年間のプロジェクト(共同研究 代表者:横浜国立大学国際社会科学研究科国際経済法学研究科教授円谷峻先生である。). ・の. 定期研究会における報告原稿に加筆・訂正してなるものである。本研究は,文部科学省から の文部科学研究基金の助成を受けていることを,ここで記して,感謝の意を表させていただ きたく所存である。 2)謝振民編著『中華民国立法史』下冊, 3)前掲謝振民編著『中華民国立法史』,. 741頁以下(中国政法大学出版社2000年版)。 747頁以下。. 4)法学教材編集部『中国法制史資料選編』編選組『中国法制史資料選編』. (群衆出版社1988年版). (下), 1187頁以下. 。. 5)文献上の記録が発見されていないが,学者の調査研究によれば,もはや解放の直前,民法学 家の陳壇昆氏が1948年に河北省平山県西相牧村において新中国の最初の民法草案を作成し たそうである(劉鋭「新中国民法法典化の道」. (『人民法院報』2003年3月3日)。. 6)この民法草案原稿は何勤華ほか編『新中国民法典草案総覧』上巻,中巻(法律出版社2003. 年版)ご参照されたい。当該資料から免れば,起草業務は1958年3月まで続け,20世紀70 年代に全人代常務委員会要員長になった彰真氏も当該草案起草の指導に参与していた。 7). 「無法無天」というのは,民間の諺である。毛沢東氏は,ここで,法律もなく,制度も設立 しておらず,秩序が混乱している社会的局面の有様を形容している。. 92.

(29) ヰ国民法典(草案)の立法過程について. 8)周振想ほか主編『新中国法制建設40年要覧』,. 291頁(群衆出版社1990年版)0. 9)この民法草案原稿は,前掲何勤華ほか編『新中国民法典草案総覧』下巻ご参考されたい。 10)第九期全人代第四回会議スポークスマン曾建徴のインタビュー(人民日報2001.03.05第4 版)。 ll)詳しいことは,. 『国民経碍と社会発展の「第9番五カ年」計画および2010年までの遠景目標 (1995年9月28日中国共産党第十四期中央委員会第. の制定に関する中国共産党中央の建議』 五回全体会議で採択)をご参照されたい。 12)人民日報1995.09.29第1版。 13・)人民日報1995.12.20第1版。. 14)詳しいことは;q第八期全国人民代表大会常務委員会副委員長田紀雲氏が1998年3月10日の 第九期全国人民代表大会第一回会議において行った第八期『全国人民代表大会常務委員会活 動報告』をご参照されたい。. 15)人民日報1998.03.06第1版。 法に従って国を治めるために努力せよ』. 16)詳しいことは,李鵬『社会主義民主と法制の強化 の講話をご参照されたい。 17)人民日報1998.03.20第1版。. 18)人民日報1999.65.26第9版o 19)人民日報2000.03.19第1版。 20)人民日報2000.ll.03第1版。 『鄭小平文選』第2巻,. 21)鄭小平『思想を開放し,実事求是をし,団結して前へ』, 民出版社1994年第2版). 146頁(人. 。. 22)前掲周振想ほか主編『新中国法制建設40年要覧』,第448頁。 23)当時のグループメンバーの一人とした王家福教授へのインタビューによ.るo 24)住建新『追悼陶希晋同志が法制建設において取得された業績』. (人民日報1997.06.04第11. 版)。 25)王漠斌「『中華人民共和国民法通則(草案)』についての説明」. (人民日報1986年4月17日)0. 26)人民日報1997.01.28第3版。 27)全人代法制工作委員会副主任王勝明へのインタビューによる。 28)全人代法制工作委員会副主任王勝明-のインタビューによる。 29)王勝明「法治国家の通らなければならない道ける幾つかの問題」 30). (『政法論壇』,2003年第1号所収)。. 『中国民法典論壇・ (www.. 1awintime.. com). 『中華人民共和国民法(草案)』編纂にお. 20・02-2003』第二回講義における王勝明の報告(畠学時評岡 。. 31)全人代常委会法制工作委員会民法室編著『「中華人民共和国合同法」およびその重要な草稿 紹介』 (法律出版社1999年版)参照。 クト記録と見なすことができる。」. 「本書は《中華人民共和国契約法≫の立法史のコンパ. (本書作者「後書」による)0. (前掲全人代常委会法制工作委員会民法室編著 32)楊明倫『契約法試擬痛から意見徴集積まで』 書所収,第101頁以下)0 93.

(30) 横浜国際経済法学第14巻第2号(2005年12月) (前掲全人代常委会法制工作委員会民法室編. 33)杜涛『契約法意見徴集稿から契約法草案まで』 著書所収,第159頁以下)0. (前掲全人代常委会法制工作委貞会民法室編著書所. 34)王勝明『契約法草案から審議採択まで』 収,第218頁以下)。 35)人民日報2002.03.05第5版。. 36)梁慧星主編『中国物権法草案建議稿一条文,説明■,理由および参考立法例』第2頁(社会科 学文献出版社,. 2000年版序言),王利明「早急物権法を制定し頒布させよ」,王利明主編『中. 国物権法草案建議稿および説明』第4頁(中国法制出版社2001年版)。 『法律評論』 (武漢大学学報2002年第5期所収)。. 37)孟勤国「中国物権法草案建議稿」,. 38)顧昂然『全人大常務委員会第31回会議における物権法等の問題らこついて行った説明』. (人民. 日報2002年12月24日第4版)。 39)前掲王利明主編『中国物権法草案建議稿および説明』。 40)前掲梁慧星主編『中国物権法草案建議稿一条文,説明,理由および参考立法例』。 41)前掲孟勤国「中国物権法華案建議稿」。 42)陳華彬「中国物権法草案:一つの中国物権法の特色を比較・鑑み・確定する過程件法草案建議稿』に対する分析」. ・『中国物. (人民大学法学院・中国民商法網:. www.civillaw.com.cn/2003年12月26日所収) ・43) 「典権」という制度が大陸において保留される必要性について,学者の見解が分かれている。 。. 否定する見解も有力説である(謝哲勝利「大陸物権法制-の立法建議-王利明教授の物権法 草案建議稲の評論を重ねて」. (『人大法律評論』 2bol年巻第2号所収)。. 44)社会科学院課題組建議稿,陳蘇執筆部分。前掲梁慧星主編『中国物権法草案建議稿??条文, 説明,理由および参考立法例』 45)孟勤国『物権二元構造論』. 513頁。. (人民法院出版社,. 46)梅夏英『財産権構造の基礎的分析』. 2002年版)。. (人民法院出版社, 2002年版)0. 47)我妻栄『近代法における債権の優越的地位』王吉江等訳(中国大百科全書出版社,. 1999年. 版)。 48)加賀山茂「担保物権法の位置づけ」干敏訳(『民商法論叢』. 1999年第3巻)0. 49)全人代常務委員会法制工作委員会主任顧昂然『「中華人民共和国民法(草案)」についての説 明』 (2002年12月23. E]第九期全国人民代表大会常務委貞会第三十一回会議において)0. 50)人民日報1995.10.21第2版。 51)人民日報2002.04.11第6版。 52)その論壇に出場された講師は次の通り(氏名順は,講義の出場順番による。)である。江平, 梁慧星,王利明,王勝明,魂耀栄,楊振山,王家福,費宗確,鄭成思,韮昌禎,楊大文,陳 明侠,王衛国,撞旭東,徐国棟,平田,郡建東ほかであった。 53)前掲王勝明「法治国家の通らなければならない道-. 『中華人民共和国民法(草案)』編纂. における幾つかの問題」。 54)前掲王勝明「法治国家の通らなければならない道における幾つかの問題」。 94. 『中華人民共和国民法(草案)』編纂.

(31) 中国民法典(草案)の立法過程について 55) 『南方都市報』 2003年1月1日。 56)詳しいのは李鵬『社会主義民主法制の強化,法治国の推進のため努力せよ』. (人民日報. 1998.03.2第1版)ご参照されたい。 57)人民日報1998.03.20第1版。 58)第九期全人代第四回会議スポークスマンの記者会見(人民日報2001.03.05第4版)。 59) 2003年10月の第十六期三中全会において採択された『社会主義的市場経済体制の整備に関 する若干問題の中国共産党中央の決定』。 60) 『南方都市報』 2003年1月1日。 61)人格権を民法典において独立した編として制定することに対して,筆者は否定する見解を採 る。その理由について,拙文「中国民法・不法行為法の起草について」. (早稲田大学比較法. 研究所『比較法学』第36巻第2号(2003年)第139頁以下所収)ご参照されたい。. 95.

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