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環気中石綿の計測に関する研究

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Academic year: 2021

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(1)65. 報  文 lli闘11閣lll闘Ill剛lll屋. 環気中石綿の計測に関する研究 Stud圭es on De宅ermlnation of Trace Amounts of Airbome Asbestos. 松野 武雄*・登丸 雅英*. Takeo MATSUNO aRd Masahide TOMARU. Synops呈s   Collection, identification and data analyzing techniques are presented for airborne asbestos fibers. The li面tations of the techniques on the membrane filter method, X−ray diffraction method and infrared aaalysis are d玉scussed. It was shown that any methods had some merits and demerits, and the rRost suitab互e techn三que shoud be adopte(l according to the concentration of asbestos fibre in ambient air.. 1. 緒  言. ンフィルター法が比較的簡単なため採用されている。. ところが,この方法による測定値には,充分な信頼性.  石綿(アスベスト)は,天然に産出する典型的な繊. がないのではないかという論議がなされている。. 維状鉱物で,有用な蒋性(耐熱性,耐摩擦性,耐酸.  本研究の目的は,特に環境中の石綿繊維の測定法で. 性,耐アルカリ性及び柔軟性等)があり,建築材料や. あるメンブランフィルター法の検討と,このメンブラ. 摩擦材を始めとし広い分野で利用されている。世界総. ンフィルター法に代わるべき簡便で,しかも測定値に. 生産董は毎年増加し,現在年間500万トン近くになっ. 充分信頼性のおける測定:方法の確立にある。. ている。.  この有用な石綿繊維もその濃度によっては有害で,. その発がん性がACGIRによっても認められてい. 2. これ迄の研究成果  大気中石綿繊維の測定法には,一般の粉じんと同様. る。古くから知られていた石綿肺(Asbestosis)だけ. に繊維計数法と重量濃度法とがある。. でなく,肺がん (L・ung cancer),悪性腫瘍の中皮腫.  繊維計数法には,一般的な測定法として使用されて. (Mesothelioma)などが問題になってきた。この石綿. いるメンブランフィルター法がある。この方法にイメ. は,現在大都市の大気,飲料水等のなかからも見出さ. ージ・アナライザーを用いて計数を容易にする研究を. れ,さ嚇こは,グリーンランドの氷のなかにまでクリ. Leslie Bartos1ewicz4)カミ行なった。彼は,初めに繊維. ソタィルが見出されるようになり,その分布は地球全. 状物質の計数を行ない,次にクヲソタイルと同じ屈折. 体におよんでいることが判ってきたP。. 率を持った溶液を同一試料に滴下して計数した。減少.  作業環臆中に石綿が存在すると,従業員の健康障害. した繊維数がクリソタイルの繊維数であり,この計数. が起る可能性があるので,大気浮遊石綿繊維濃度の規. にイメージ・アナライザーを使用すると容易に行なえ. 制が,次第に強められている。わが国では労働省が,. ると提唱した。また,R. C. Reist5)は,バクテリアを. 日本産業衛生学会の勧告2)を受け1975年,石綿粉じん. 計数するのに用いる,Most Probable NUmber法で. の許容濃度を「5μm以上の繊維で5繊維/cm3(0.30. 計数すると,容易で,しかも短時間のうちに計数が行. 1ng/m3)」とした。イギリスでは1969年,アメリカで. なえると提唱した。L・Ortiz等6’は,計数値に個人差. は1976年7月より,「5μm以上の繊維で2繊維/cm3」. の少ない標準試料の作成方法について研究した。. という規制値になっている3}。.  一方,重量濃度法にはX線回折法や赤外線法等があ.  この石綿繊維濃度を測定する方法として,メンブラ 寧当研究センター環境計灘工学研究室. る。X線回折法としてCrable7), A. L. Rlchards8},. それに林9>が研究を行なった。林によれば,普通のX.

(2) 66. 線発生装置では1∼5mgの定量が可能であるが,強. 是非,及びX線回懇懇とか赤外線法の得失についても. 力なX線発生装置を使用すれば0.01mgまで定:量でき. 検討することとした。. るとしている。.  なお,石綿をとり扱う工場の作業環境および道路上.  赤外線法については,R・P・Bagiomilo}がKBr錠. の環気についても実際に石綿繊維濃度の計測を行なっ. 剤法で行ない,2.72μmに0−H伸縮振動をもつクリ. た。. ソタイルの定量を検量線を用いて行なった。また同時.  3.2 メンプランフィルター法. に彼は,クリソタイルを妨害物質から分離する方法と.  a)実験方法. して,重液分離法を併用する方法について研究してい.  平均孔径0.8μm,直径47mmのメンブランフィル. る。. ターをオープンフェイス型のフィルターホルダーにと.  また,電子顕微鏡を用いて,形状と組成から石綿を. りつけ,高さ1.5mで,床面または地面とフィルター. 定量分析する研究もなされている1P。すなわち,非分. 面が直角になるように固定する。吸収ポンプと流壷計. 散型のX線検出器(NDS)を付属させた透過型電子. を用いて2媒minの流速で15min以上空気を吸引す. 顕微鏡(T£M)を用いて分析する方法で,主に水溶. る。. 液中の石綿を定量するのに使われている121。また,.  捕訂したフィルターをいくつかに裁断し,その一片. J.Flickinger等13》はシューペリオ湖に存在する角閃石. をスライドグラス上におき,フィルターを透明にする. 系石綿を同定するのに,TEM,走査型電子顕微鏡 (S£M)およびX線エネルギー分光光度計(XE. 混合溶液を1∼2滴滴下し,カバーグラスをかける。. S)の3つの装蹟を組合せて,最善の方法を見鐵そう. 透明になったのち,位相差顕微鏡(400倍)で視野中. とした。. ようにフタル酸ジメチルとシュウ酸ジエチル1:1の. の石綿繊維数を計数する。ただし,5μm以上の長さ.  A.N. Rohl最戸;は,ブレーキライニングに石綿を. で,長さと巾との比が3:1以上のものだけを計数す. 多量に使用していることに注目し,ブレーキドラムの. る。. 粉じんや,ブレーキドラムを修理する作業中の空気に.  大気中の繊維濃度Cは次の式から計算する。. 含まれているクリソタイルの定量分析をX線回折法,. TEM及びメンブランフィルター法で行なった。その.   N・A c=…. 窒u石.一. 結果,ブレーキドラムの粉じんに2∼15%の範隣でク.  ここで,Nは計数した繊維総数, Aはフィルターの. リソタイルが存在し,ブレーキをかけた時,飛散する. 捕集面積(cm2), aは顕微鏡の視野面穂(cm2), V. クリソタィルの形状は高温になっても変らないことを. は心気量(cm3), nは視野の総数である。. 明らかにした。.  b)作業場における捕集方法と計測.  また最:近,石綿への吸着作用を利用する方法がM..  作業場内の空気試料および市街地路上空気試料の呼. C.Markham等正5》によって研究された。染料を石綿. 集はFig.1に示すような装置を臨いて行なった。な. に吸着させ,これを分光光度計で透過率を求め,吸着. お,作業対象としての一つは電解工場であり,隔膜用. 量との検量線を作った。彼等によれば,クリソタイル. 石綿の計量時(条件1)と計:心した石綿をスラリー槽. とクロシドライトにこの方法が適用でき’るとしている (感度100μg 以下)。. 3. 実  験  3.1  実験方金十.  現在,環境中とくに空気中の石綿繊維濃度を計測す る標準的な方法はメンブランフィルター法である。こ. の方法は試料を採取後,位相差顕微鏡を用いて,視野 中の繊維濃度を計測するものであるが,測定時間がか なりかかることや,操作に熟練を要する点などに問題 がある。さらに,長さ5μ猟以下のものは計数しない こと,および石綿繊維以外の似たような寸法の繊維も 同時に計数する等の不禽理な点がある。.  そこで,本研究では環気中の石綿繊維濃度を計測す. Fig.1Sampling Apparatus for Membra職e. る方法として,上記メンブランフィルター法の適用の.    Filter Method.

(3) 67. に投入する時(条件2)との二つの場合について二二. ク. 測定を行なった。 6.  いま一つは,石綿製品加工工場で局所排気装置を稼.   /. 動している時(条件1)と,同装置を停止している時. /ン. (条件2)の二つの場合を対象とした。また,道路上 の環気としては,国道1号線岡沢町(横浜市)交差点. 4. 付近の横浜国大進入口で捕集を行なった。.  ム. /。.  c)結果. !. ! !. ’. !.  得られた結果をTable 1に示す。それによると,. !♂. 3社(A,B及びC)の電解工場では何れも0.4∼0.5. 2. 繊維/cm3,石綿製品加工工場(D)では2.0∼3.0繊維/.  ’評            (2θ=10.4。)  !       ・一幽偏Anthophyllite. 比べると十分満足すべき作業環境にあることが判る。 00.  また,道路上で捕記した試料について分析すると,. 7ノ. @                 (2θ=9.3。).        0.5      1.O    Asbestos Weight(m黛). 約0.1繊維/cm3と低濃度であった。. F隻9。2 Calibrat玉on Curve by X−ray. Table l Asbestos concentrations三n so孤e    factories玉n which asbestos f玉bers (fibers/cm3).     / 一Ch・ys・tile   、   !!             (2θ=工1.9。〉    ノ     一呼一Amosite. cm3であり,わが国の労働省の規制値5繊維/cm3と. are used.. ◆    !.    Diffraction Method..  クリソタイルアスベストは,2.72μmに0−H伸縮 振動の波長を持つので,赤外線分光法により,この波. Factory. Condition 1. A B C. D. Condit玉on 2. 長での吸収スペクトルを調べれば,その強度から定量. 0.5. できる。. 0.4. 0.4.  本法においても,検量線を作成した。すなわち標準. 0.5. 0。4. 石綿試料一定宅診を蒸留水51蝿と共に,1時間振と. 2.0. 3,0. 0.4. うした後,ミリポァ消過装置を用いミクロフィルター. 上に石綿繊維を源過捕面する。次にこのミクロフィル.  3.3X線回折法. ターを電気炉で500℃,30分間加熱して灰化させる。.  a)実験方法. この灰化したミクロフィルターに,分光光度用KBr.  インピンジャー集じん管に蒸留水約150m量を入れ,. 粉末700mg(200メッシュ以下)を加え,石綿繊維が. 10£/m1nの速度で100min間空気を吸入捕集した後,. KBr粉末によく混ざるようにした後,錠剤成型器で. この液をGS−25(直径26mm)のガラスフィルター. 錠剤にする。これをIRA−1形装置に金属製錠剤ホル. で吸引一過し,フィルター上の試料をX線回折装置 (島津VD−2)にかける。この方法では,あらかじめ 標準試料について検量線を求めておく必要がある。す なわち,Brag9角度2θがクリソタイルでは11.9。,. 一LO. アモサイトでは10.4。,アンソフィライi・では9.3。に ●. おける回折線のピーク面積と石綿重量とから富貴線を. ●. 作成する(Fig.2参照)。 一1.5.  b)結果. ミ.  石綿加工工場の作業室内空気の実測値をX線回折方. ♀. 法で求めた結果,クリソタイル0.16mg/m3,アンソ. ●. ぎ 窒. ●. ●. フィライト0.05mg/m3,計0.21mg/m3となった。. 一2.0. これを繊維濃度に換算すると3.5繊維/cn13となる。.  なお,試料捕集瞬の捕集面積および形状に特殊の工. ●. 夫を施して(縦長のスリット型でその面積はこれ迄の 1/10)精度が大きくなることを確めた。.  3.4赤外線法  a)実験方法. 一2・殆  ・.5  1.・(。g,     Asbestos(g紅rysotile)Weight. Pi9・3Callbration Curve by王R Method..

(4) 68. ダーでセットする。赤外分光光度計で波長2.5μmか. について考察してみる。すなわち,わが国の労働省の. ら15μmまでを8分で掃引し吸収強度と石綿重量との. 規制値5回忌/cm3と比べると,電解工場3社では何. 関係より検量線を作成した(Fig.3)。. れも0。4∼0。5繊維/c血3,石綿製品加工工場では2.0∼.  b)結果. 3.0繊維/cm3であり,十分満足すべき作業環境にある.  試料の捕集方法として,ガラスフィルター付脱水管. ことが判る。しかし,イギリスでは1969年,アメリカ. を使用した直接捕集法を用いた。KBr粉末700mgを. では1976年7月1日目ら規制値を2繊維/cm3として. 脱水管のガラスフィルター上に入れ,10垂/miaの吸引. おり,日本もやがて5繊維/c∬13か日2繊維/c皿3に改. 速度で作業環境中の空気を吸引する。. 正されると思われる。したがって,石綿製出加工工場.  石綿製品加工工場の作業室内空気を約100分吸引し. では効果的な局所排気装置の設置と,稼動が必要であ. た後,乾燥器で110℃,1時間乾燥させる。乾燥させ. る。一方,電解工場の方は,当面問題はないように思. た粉末を錠剤成型器で錠剤にし,赤外分光光度計によ. える。. り2.72μmの吸収スペクトルを調べ,検量線を用い.  つぎに路上では,自動車のブレーキライニングに石. て,石綿濃度を求める。. 綿を使用しているところがら,自動車がブレーキをか.  その結果,石綿製品加工工場の作業環境中の石綿濃. ける度に石綿繊維が空気中に飛散する。実測によれば. 度として0.22mg/m3が得られた。これを繊維濃度に. 比較的交通量のはげしい時の繊維濃度の実測値は0.1. 換舞:すると3.7繊維/cm3となる。. 繊維/cm3と比較的低かった。.  4.2 X線回折法 4. 考  察.  X線回折法によって石綿繊維を重量濃度で計測する.  4.1 メンブランフィルター法. 方法による前記の民団線法の他に内部標準法と添加法.  メンブランフィルター法の長所を挙げると,比較的. とがある2)。 しかし,これ等の場合にはサンプル粉じ. 簡単な装置および操作で計測が行なえる点である。イ. ん量として総量30∼40mgを必要とする。そこで,比. ギリス。アメリカ・日本等ではこのメンブランフィル. 較的多量の粉じんを作業環境中の空気から採取するこ. ター法が標準となっているのは,この点からであろ. とは長時間を要する等,困難な場合が多いので,筆者. う。しかし,長さ5μm以上で,長さと幅の比が3:. らは検二線法を用いることとした。. 1以上の繊維状物質を計数するので,その繊維状物質.  前述のようにメンブランフィルター法では繊維状物. が必ずしも石綿繊維であると断定することはむずかし. 質を同定することが鼠来ないこと,連続的な計数が難. い。しかも,長さ5μm以下の石綿繊維でも呼吸器に. かしいこと及び計数値に個人差が出易いという欠点が. 対して無害とはいえず,計数値が有害性の真の指標か. ある。この点,X線回折法では上記の欠点を補って余. 否かは論議のあるところである。それに簡単な装置・. りある。すなわち,石綿繊維だけを同定でき,しかも. 操作ではあるが,繊維の計数は肉眼で行なうので観察. クリソタイル,アモサイト及びアンソフィライトを分. 者による個人差が大きい。また,メンブランフィルタ. 別定量できるという特長:も持っている。さらに,連続. ー上に粉じんが均一に捕集されていても,繊維の方は. して何検体でも計測することができ,得られる値に個. 必ずしも均一に捕集されていないことから,一つの検. 日差はほとんど出ない。それに試料の定量分析に要す. 査片を計数するだけでは十分でない。一般的に雷え. る時間は1検体約12分でよい。. ば,少なくとも三片以上計数しなければならない。.  しかし,X線回折法にも短所がある。サンプ夢ング.  試料の二二から繊維の計数まで,メンブランフィル. に時間がかかることである。現在のX線条件(電圧30. ター法での計数に要する時間は,1検体2三間∼2時. kV,電流40mA)では,定量限界がおよそ50μ9まで. 間半程度かかる。装置の組み立ておよび捕集に約1時. であるから,吸引量は1m3近くを必要とする。その. 間,検査片の前処理および計数に1時間∼1隣聞半で. ため少なくとも1時間の吸引を行なわなければならな. ある。. い。また検量線が,回折線強度面積と石綿重量との対.  また,メンブランフィルター法では連続的に計数が. 比直線であることから,計測値は繊維/cm3ではなく,. できない。肉眼で一個一個長さ5μm以上で長さと巾. mg/m3の単位となる。さらに,メンブランフィルタ. との比が3:1以上の繊維を数えるので,匿に与える. ー法で決められている長さ5μm以上で,長:さと巾と. 疲労は大きい。そのため,適度の休息を入れないと,. の比が3:1以上の繊維を計数するという条件も満た. 後の検査片になればなる程繊維の見落しゃ,計数しな. すことができず,捕集した石綿繊維の全重量を測定す. くてもよい繊維も計数してしまう可能性がある。. ることになる。ただし,0.12mg/m3がメンブランフ.  つぎに,メンブランフィルター法における各実測値. ィルター法での2繊維/cm3と等しいとされているか.

(5) 69. ら,X線回折法で得られた値をメンブランフィルター. タイルだけについて比較すると,X線回折法の0・16. 法での値に換算することはできる。. mg/m3に対し,赤外線法ではb,22mg/m3で, X線.  ガラスフィルター上に捕聴する装置の部分は縦長の. 圓折法の方が低い値となった。これは赤外線法の吸引. スリット型になっている(面積は0.2cm3)。これは,. 最がX線回折法よりも少なかったので,より大きな誤. X線の回折効果を上げるためと,分析値にバラツキを. 差を生じたのかもしれない。また,メンブランフィル. なくすために,筆者らが特別に考案したものである。. ター法で2繊維/cm3を越える濃度の作業環境で30分. このため,採取面積が2cm2のときにくらべてバラツ. 間の吸引を行なって計数する場合には,繊維の見落と. キがなくなるとともに,定:量限界も50μgと小さくな. し等が起こる可能性が大であるかもしれない。事実,. る利点を持つことが判った。. 一つの視野で30以上もの繊維を計数せねばならなかっ.  3.3b)で述べたように,石綿加工工場内の空気中. た。. の実測値は,繊維濃度に換算して3.5繊維/cm3とな る。同時に行なったメンブランフィルター法の2.1繊. 5.結  論. 維/cm3と比べると約し7倍程高い値となる。これは長.  メンブランフィルター法は比較的簡単な装置及び操. さ5μm以上で長さと巾との比が3=1以上でない石. 作で空気を採取できるが,位相差顕微鏡を用いて視野. 綿がかなり空気申に存在しているか,あるいは,また. 中の石綿繊維を計数することは甚だ冗長であり結果の. 重景濃度0.12mg/m3コ繊維濃度2繊維/cm3という換. 信頼性にも疑問がある。とくに1視野中の繊維数が多. 算方法が誤りであるか,その何れかに基くものと思わ. くなると,誤差も大となる。一方,普及型X線回折装. れる。. 置を用いたX線回折法の定貴限界は,筆者等の考案し.  4.3赤外線法. た捕集方法により50μ9となる。また,一般の赤外分.  赤外線法も,X線回折法と同様に,メンブランフィ. 光光度計を使用する赤外線法の走量限界は100μgであ. ルター法の短所をおぎなっている。すなわち,繊維状. る(ただし,クリソタイルのみ計測)。. 物質のうちクリソタイルアスベストの同定ができ,ク.  現在,わが国における作業環境中の石綿規制濃度は. リソタィルを定量的に計測することができる。連続し. 5繊維/c皿3となっているが,何れは2繊維/cm3にな. て何検体でも計測することができ,得られる値に個人. るであろうと予測される。上記の数字を重量濃度に換. 差はほとんど出ない。さらに試料の定量分析に要する. 算すると,それぞれ300μg/m3及び120μg/ln3とな. 時間は8分である。. る。.  しかし,赤外線法にもX線回折法同様の欠点があ.  したがって,X線回折法,及び赤外線法は,作業環. る。サンプリングに時間がかかることであり,少なく. 境中の石綿濃度が規制値に比べて,高いか低いかを判. とも1時間程の吸引が必要である。また,本法でもア. 定する場合のような計測方法としては,メンブランフ. スベストの重量濃度が求まると共に,長さ5μm以上. ィルター法にくらべて,あとの計数が容易になると共. で長さと巾との比が3=1以上の繊維状物質だけを計. に個人差もなくなると考えられる。. 数することはできない。また,アモサイト,アンソフ.  しかし,X線回折法とか赤外線法の揚含には,前記. ィライト等の角閃石系アスベストには2.72μmに0−H. の定量限界からみて,石綿繊維の捕集総量を比較的大. 伸縮振動がほとんどないので,クリソタイル繊維の重. きくするために,短時間の測定とするには,空気の吸. 量:濃度しかわからない。ただ,0。12mg/m3が,メン. 引速度を大きくする必要がある。. ブランフィルター法での2繊維/cm3と等しいとされ.  一方,メンブランフィルター法は,人關の吸気量と. ているから,赤外線法で得られた値をメンブランフィ. ほぼ同一になるように,20∼30分間という短時間の捕. ルター法での値に換算することはできる。. 集で計数可能な方法であり,本法は規制値より一桁程.  3,4b)で述べたように,石綿製品加工工場の作業. 度低濃度の石綿を含有する環気に対して,計数の面倒. 室内の空気中では,赤外線法で3.7繊維/cm3となっ. さはあるにしても遭用することは,有効と考えられ. た。同時に行なったメンブランフィルター法では2.3. る。. 繊維/Cln3という値が得られ,赤外線法の値の方がメ.  このように,空気中の石綿繊維濃度の大小により,. ンブランフィルター法に比べ約1.6倍高濃度となっ. 三つの計測法には一長:一短があることが判った。した. た。また,赤外線法ではクジソタイルだけが計測さ. がって,心気申の石綿濃度に応じて,最適の計測法を. れ,アンソフィライトは計測されないはずであるが,. 用いることが望ましい。. X線回折法の値と比べて,より高濃度の値を得たこと は,今のところ説明できない。なお,空気中のクリソ.

(6) 70. 謝. 辞. 6)LW. Ortiz, et a1:Amer.王nd.熱yg. Asso. J.,.  February,104−112(1975)..  本研究を遂行するに当り,X線回折装置の使用に便. 7)J.V. Crable:Amer. Ind.蚤{yg. Asso. J.,27,293. 宜を提供された神奈川県公害センター及び同センター.   (1966).. 安田憲二氏に,また石綿試料を提供頃いた田本アスベ. 8)A.LRichards:AnaL Chem.,44(ll),1872−73. スト㈱に,さらに実験に協力頂いた田代智夫氏に心か.   (1972).. ら感謝の意を表する。. 9)Hisato Hayashi:Ind. Health,11,225−36(1973)..  なお,本研究の研究費は信越化学工業㈱よりの奨学. 10)RP. Bagionil Environ. ScL & Tech.,9(3).. 寄附金によった。とくに記して謝意を表する。.  262−3 (1975).. 文. 11)A.LBrown, et all Environ. Res.,12,150−60   (王976).. 1)1.J. Selikoff, et a1:Arch. Env玉ron.蚤{ealth,. 工2)D,RBeaman, et al:AnaL Chem.,48(1),101.  25, 1 (1972)..  −10 (1976).. 2)許容濃度等の勧告,1974(日本産業衛生学会). 13)J.Flickinger, et al:Env三ron. Sci。&Tech,,10. 3)産業医学,15(3),69−76(1973)..  (10), 】.028−32 (1976).. 4)LBartosiewicz:AlneL王nd. Hyg. Ass◎. J.,. 14)A.NRohl, et a1;Environ. Res,,12,110−28.  June,253−259(1973)..   (1976).. 5)RC. Reist:Amer.1漁d. Hyg. Asso.」., May,. 15)M.CMarkham, et a1:Environ. ScL&Tech.,.  379−84 (1975),.  10(9), 930−31 (1976)..

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